2.ネタバレ “The Right Stuff”『正しい資質=適任』。何かの本でたまたまX-1とチャック・イェーガーの記事を読んだちょっと後に、テレビで本作が放送されてて「あ、コレって、アレじゃん!?」って驚いた記憶があります。チャックだけで1本の映画が出来そうなものの、本題はマーキュリー計画で、まさに映画1本で2本分のボリュームがあり、長尺なのに飽きずに最後まで楽しめました。 まず驚いたのは特撮の質です。'83年の作品で、CGデジタル合成が出る以前の作品。当時は特撮とハッキリ解るブルーバック合成がメインで、明らかに“ウソの映像”と解り、シラケてしまうことが多かったんですが、本作では恐らく、ミニチュア模型による特撮をメインにしているんでしょうね。合成より古い技術ですが、むしろ凄くリアルでした。
さて、本作「ライトスタッフ」(原題:The Right Stuff)という言葉を検索してみると、、「正しい資質」「適性」という意味だそうです。まさに宇宙飛行士やパイロットに対して使う言葉で、序盤からイェーガー(サム・シェパード)を筆頭に泥臭い男たちがわんさか出てきて観客側の気持ちも高まります。序盤こそ頑なに己のみを信じる、まさに「男の中の男」を地で行く脳筋男がワチャワチャと盛り上がりますが、この楽しい雰囲気は早々にフェードアウトします。そして物語はアメリカ初の宇宙飛行士育成の話(マーキュリー計画)にシフトしてしまいます。 前述の通り、若い時に沢山の広告雑誌や専門誌を読み漁りましたのでテストパイロットのことは色々知っていましたし、てっきりイェーガーの映画だと思っていましたので正直テンションはダダ下がりです。テストパイロットの先にあるものが宇宙開発であることはもちろん理解してはいましたが、まさか宇宙の話(マーキュリー計画)がメインになるとは思ってもいませんでした。また、各個別の話は割と面白いものの、それらをつなぎ合わせた全体を見渡すとあまり面白くありません。全体的にはかなり散漫な印象でイマイチ乗り切れないのです。これでしたら普通にNHKのドキュメント番組でも見たほうがよっぽど面白かったかもしれません。