映画『山椒大夫』の口コミ・レビュー

山椒大夫

[サンショウダユウ]
1954年上映時間:124分
平均点:7.91 / 10(Review 32人) (点数分布表示)
公開開始日(1954-03-31)
ドラマ時代劇モノクロ映画小説の映画化
新規登録(2003-11-09)【--------】さん
タイトル情報更新(2025-01-26)【イニシャルK】さん
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監督溝口健二
助監督田中徳三
キャスト田中絹代(女優)玉木
花柳喜章(男優)厨子王
香川京子(女優)安寿
進藤英太郎(男優)山椒大夫
菅井一郎(男優)仁王
見明凡太朗(男優)吉次
小園蓉子(女優)小萩
浪花千栄子(女優)姥竹
毛利菊枝(女優)巫女
三津田健(男優)藤原師実
清水将夫(男優)平正氏
香川良介(男優)曇猛律師
河野秋武(男優)太郎
小柴幹治(男優)内蔵介工藤
荒木忍(男優)左太夫
藤間直樹(男優)幼年時代の厨子王
加藤雅彦(男優)少年時代の厨子王
榎並啓子(女優)幼女時代の安寿
大美輝子(女優)遊女中君
橘公子(女優)波路
金剛麗子(女優)汐乃
南部彰三(男優)平正末
東良之助(男優)遊女宿の親方
大邦一公(男優)判官代則村
伊達三郎(男優)金平
石原須磨男(男優)墓守の老人
天野一郎(男優)一の木戸の番人
堀北幸夫(男優)佐渡二郎
大国八郎(男優)宮崎三郎
藤川準(男優)金丸
芝田総二(男優)佐渡の男
菊野昌代士(男優)牢役人
清水明(男優)仲買人
中西五郎(男優)番人
沖時男(男優)船着場の男
石倉英治(男優)百姓
志賀明(男優)百姓
大崎史郎(男優)百姓
相馬幸子(女優)菅野
小柳圭子(女優)
前田和子(女優)
玉置一恵(男優)鎮守府の侍
葉山富之輔(男優)老僧
小松みどり(1891年生まれ)(女優)船着場の女
小林加奈枝(女優)
原作森鴎外「山椒大夫」
脚本依田義賢
八尋不二
音楽早坂文雄
望月太明吉(和楽)
撮影宮川一夫
製作永田雅一
大映(京都撮影所)
企画辻久一
配給大映
美術伊藤熹朔
内藤昭(美術助手)
衣装吉実シマ
花井りつ(結髪)
編集宮田味津三
照明岡本健一[照明]
その他マーティン・スコセッシ(4Kデジタル修復版)
あらすじ
小津安二郎、成瀬巳喜男、黒澤明らと並ぶ日本四大巨匠の一人である溝口健二監督の、後期傑作の一つ。本作は『近松物語』『雨月物語』『西鶴一代女』と共に、後期溝口の時代劇の一つであるが、海外で高い評価を得た通り、非常に見応えのある傑作に仕上がっている。特にラスト30分は涙なしには観られない。その後半の怒濤の展開は、観る者を必ずや感動に導くであろう。
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💬口コミ一覧

32.ネタバレ 溝口はワンシーンワンカットの監督じゃない。
冒頭の厨子王が走る後ろ姿をオーバーラップするスピーディな繋ぎにまず驚愕。それに続く父親の回想の繋ぎ方のもうこれしかないという構図、照明にしびれる。

どのシーン、どのカットをとっても完璧な撮影だ。
中でもススキの野を行く4人のカットと佐渡の岸壁から子どもの名を呼ぶ田中絹代のカットは絶品。
ゑぎさん [映画館(字幕)] 10点(2017-03-28 06:01:18)
31.ネタバレ 童話、小説、映画だからこその奇跡の物語とともに、普通とされることを変える難しさも描かれる。おそらく貴族に生まれ、貴族として育った者には奴隷を救うという発想そのものが無い。奴隷の苦しみを味わった厨子王だから奴隷を救えた。現代の政治においても国民が抱える苦しみを政治家が知ることが基本中の基本だし、それは上に立つ者が忘れてはならないこと。山椒大夫にきつい罰が与えられるところまで見せてくれれば文句なしだったが、だからといって10点以外は付けられない。芸術性の高さはもちろんだが、厨子王が逃げると決断してからのスリルはそう味わえるものじゃない。奴隷が一人、二人逃げたからってあんなに全力で追ってこなくていいだろうにと思うんだけど…。おっそろしいな~、ホラーだよ。俳優陣は田中絹代、花柳喜章、香川京子(お美しい!)はもちろん、山椒大夫役、進藤英太郎の上手さも印象的。とにかく凄い映画を見てしまった。
リーム555さん [DVD(邦画)] 10点(2011-06-26 14:02:03)
30.ネタバレ 「安寿と厨子王」はタイトルだけ知ってたけど、どんなストーリーかは全く知らなかったので悲惨なストーリー展開にはかなり驚いた。安寿と厨子王が連れて来られる山椒大夫の荘園が現在からすればモロに北朝鮮みたいな感じなのも恐ろしい。全体としては「雨月物語」や「近松物語」と並んで世界的評価の高い作品というのが頷ける素晴らしい映画で、安寿が入水自殺する湖のシーンや親子が引き裂かれるシーンなど映像がとにかく美しく、溝口映画にはやっぱり宮川一夫のカメラだなあと感じる。母親を演じる田中絹代も冒頭とラストでは本当に別人のようになっていて女優魂を感じた。まさに完璧な映画だと思う。それにしてもこの時代の溝口健二ってとても晩年とは思えないくらい傑作を連発していてほんとにすごい。
イニシャルKさん [CS・衛星(邦画)] 10点(2006-09-14 16:51:53)
👍 1
29.すでに技術に詳しい方々が映像の美しさ、構図の見事さにつきたくさん言及されてますが、私にはそういことができる能力がないので、自分なりに技術以外のことでこの映画を賞賛したいと思います。私は本作は冷静に観れません。メチャメチャ青臭いヒューマニズムに感動して泣きます。慈悲の心による自己犠牲を説き、人は平等で「幸せに分け隔てはない」という「父の教え」は普通なら口にするのも恥ずかしいようなクサい言葉ですが、でも、本作を観た後にこの教えをバカにするのは難しいと思いますよ。本作を観ると、日本の歴史は人権無視の世界で展開してきたんだよな・・・(まあ当然ですが)というラディカルな考えが湧いてきて、なんか能天気な時代劇全てに欺瞞を感じさえもします。たしかに現代の人権思想をあの時代に引き移しているような違和感は多少あります(見かけは御仏の教えからくる慈悲の心がヒューマニズムの根拠ですが)。でも、それでいいじゃありませんか。人権の親玉みたいな顔してるアメリカの映画でもこんなのなかなかないですよ。キャプラ映画の演説なんかより全然心を打つ迫力がありますもん。【りく&あん】さんがおっしゃるとおり↓わかりやすさ、面白さも負けてない、いや勝ってるし。それでいてこんな美しい映像の格調高い映画は奴らには作れんですよ。本作は外国(の評論家の間)で評価が高いのか外国人の評論家が褒めてる文章を何度も目にしたのですが(アメリカでは一般には全然知られてないらしいけど、日本でもそうか・・・)西洋人からすれば自分らの土俵で負けてる気がするんじゃないですか?。ヌーベルバーグは溝口監督の映像美や技術に驚いたのかどうか知りませんが、この映画が外国の人々を引きつけるとしたらその理由は何よりも強烈に各人のヒューマニズムを刺激し、普遍的に人の心を打つからでしょう。
しったか偽善者さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-10-30 22:48:46)
28.ネタバレ 「雨月物語」よりも遥かに進化した溝口最高傑作の一つ。
本作は平安末期。
平安時代にキッチリした活字が合わないのは別として、生活を追われたある貴族一家の波乱に満ちた人生を描く。
主人公たちは今まで貴族という安全に浸かった生活を送ってきた。当然世の中に投げ出されれば、一人では生きていけないほど世間知らずでもある。そんな人々が狼や野盗、“偽り”の情けに騙されても文句が言えない過酷な世の中に放り出される。
主人公の兄妹。人買いの大主の山椒大夫(どんな美人の“太夫”かと思ったらオッサンの方の“大夫”かよ、チッ)にこき使われ、今までした事もない野良仕事に明け暮れ倒れそうになる日々。
そこに声をかけた男。
「辛かろうに負けるんじゃないぞ」
声をかけるくらいなら二人が成人するまで見守ってくれても良かろうに。ひやかしもいいところだ。為にならない情けは世の中いくらでもある。いや、俺がひねくれているだけなんだろうな。世の中、声すらかけてくれない奴が多すぎるもの。
妹はそんな男の言葉を支えに懸命に生きるが、兄は山椒大夫のやり方に染まり、山椒大夫がやった行いを同じ様に平気で行えるほど心が荒んでしまった。
国が乱れ、人買いや姥捨てが平気で跋扈する荒んだ世の中は、人の心も荒らす。
年月が経った兄の顔を見てみろよ。その面を、菩薩のような妹が少しずつ浄化していく。
妹は本当に健気で強い女だ。最後まで母親や父親の事を諦めなかったし、グレた兄の事も見捨てなかった。
それがあんな・・・溝口貴様あああっ(それと「山椒大夫」の原作者)!
兄は妹のためにも、何より家族のために一人で生き抜こうと抗う。荒んだ世の中が同時に彼の心も強くした。
そして父親は息子から離れても違う形で息子を助けてくれた。
兄は学を身に付け、官職になっていく。そして山椒大夫への逆襲。政治の攻防。
悪人は一掃されるが、主人公の運命には絶えず残酷な答えが待つ。
解放されて自由に歓喜する人々、ただ一人満たされない兄。それでも一縷の光が見える限り生き続けた。
終盤のあの池の畔に立ち尽くす、悲しみに満ちた場面。
それに全てが流されてしまった浜辺の村。あの黙々と海藻を整理する男が、それを物語っているのだ。
息子はまだいいさ。これからがある。だがもう一人は、“あの人”は最後の最後で救われたのだろうか
すかあふえいすさん [DVD(邦画)] 9点(2014-12-17 07:28:01)
27.ネタバレ ここ最近私が見た映画の中では、群を抜いて美しく力のこもった作品だった。黒々とした残酷物語の中を光の矢が走るような展開に胸を高鳴らせ、沼に吸い込まれていく香川京子の、まさに天女のような儚さに目を見開いた。しかし厨子王よ、天晴れ初志貫徹。それは本当になかなかできないことなのだ、今も昔も。
のはらさん [DVD(邦画)] 9点(2008-10-19 02:44:44)
26.ネタバレ 家族の別離による激しい苦しみ。安寿と厨子王、それに母親のほとばしる感情が画面から溢れ出ています。そして山椒大夫の根城の陰鬱な雰囲気。物語としては前半部の方が過酷であり劇的なんですけれど、この映画は厨子王の逃亡場面あたりからが特に際立っていると思います。もはや一瞬たりとも気が抜けたシーンがないどころか素晴らしいシーンの連続!まったく驚愕の完璧さです。
ミスター・グレイさん [ビデオ(邦画)] 9点(2007-09-19 18:31:51)
👍 1
25.あまりにも深い絶望。苦しくて、どうしようもなく、それなのになぜ死に行く安寿はあれほどまでに美しく描かれているのだろう。水面が揺れ、吸い込まれていく肉体が絶望さえも吸い込んでいくように、美しく見える。溝口監督の作品には必ず、どこかに小さく、本当に目を凝らし、心を完全に広げていなければ見えてこないような儚い希望の光が見えるような気がする。繊細で尊い命という名の光。それを我々に教え、伝えてくれる。心が震えた。
ボビーさん [ビデオ(邦画)] 9点(2007-02-04 02:40:52)
👍 1
24.ネタバレ 驚天動地の傑作。何たる濃密な映像美、芝居の深み。これを神業と云わずして何と云おう。親子の行く末を手に汗握りながら見つめ、ラストの再会は感無量となりました。
丹羽飄逸さん [ビデオ(邦画)] 9点(2006-12-31 21:44:34)
23.ネタバレ 溝口健二監督、この監督の描く世界とそしてまたそんな監督の期待に応えるべき名カメラマン、宮川一夫撮影監督の黄金コンビによる美しい映像、力強さの中に見える人間的感情、これまた一つ素晴らしい映画に出会った。もう、何て言ったら良いのか?本当に美しい!それもただ美しいだけでなく、美しくて力強い!カメラがヒロインの姿を映し出している時のその美しさ、海辺のシーン、船に乗せられて誘拐されてまう場面でのため息の出る美しさ、何もかもが本当に惚れ惚れするような圧倒的な美しさ!香川京子演じる安寿が水死した後にそっと広がってく水面の輪の美しさ、とにかくどのシーンも本当に美しい!そんな美しい映像の世界で繰り広げられる人間模様、全てが一本の映画として見事に描かれています。これまた間違いなく傑作と言って良いでしょう!この監督の作品も日本映画黄金時代の時の日本映画が本当に良かった時代の名監督達が沢山、いた時代の一人、小津監督作品と並んで一度、はまってしまうとやめられません!
青観さん [ビデオ(字幕)] 9点(2006-01-02 17:37:10)
👍 1
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22.安寿と厨子王で有名な小説を、溝口作品としては割と原作重視で、映画化した作品と言えるのではないでしょうか。溝口独特の「女の物語」に加え、原作の持つヒューマニズムが色濃く反映されているところがこの映画の特徴のひとつでしょう。ただ、この映画を世界的名画たらしめたのは、原作の持つヒューマニティたっぷりのストーリーなどでは断じてなく、圧倒的な映像美にあることは一見すれば明らかだろうと思います。もっと言ってしまえば、キャメラ。そしてそれがもたらす「構図」の美しさでしょう。フレームの一番手前の端に大木や建造物の一部を入れ込んで狙った奥行き重視の構図。この縦の構図の連続でこの映画の映像は成り立っています。キャメラはほとんど引いたままで、しかも奥までしっかりピントがあった見事なパンフォーカス。クレーンは多用しているものの、無駄にキャメラは動かさない。引いたキャメラのおかげで、お芝居の対象物がすっかりフレームに収まり、おまけにピントまであっているのでお芝居の区切りまで一切キャメラを動かす必要がないのです。ここでカットを入れたりキャメラを振り回すのは野暮ってものでしょう。結果的に長回しになり、崩れること無く、長時間保たれた美しい縦の構図の数々が、観るものの脳裏に焼き付き、そのままこの映画の印象となっています。そして、ここぞというお芝居の区切りでゆっくり、おもむろにキャメラが動き出す。キャメラによってここがお芝居の区切りですよと見事に物語を語っています。この瞬間はまさに芸術であって、この理にかなった律儀なキャメラワークは圧巻の一言。これは職人芸。ただ、同じ溝口の1930年代の傑作群ではお芝居の区切りでさえもカットを割らずに移動やパンでシーンをつなぐケースが多々あります。それに比べれば大映時代の溝口のキャメラは実に律儀で、いかにも「円熟期」といった感じがします。若さ溢れる30年代の溝口が好きか、それとも50年代の円熟期の溝口が好きか。これは好みの分かれるところでしょう。30年代と50年代。いずれも溝口の全盛期ですが、これが日本映画の全盛時代とぴたりと一致することを忘れてはならないと思います。ちなみに僕は30年代が好きです。
スロウボートさん 9点(2004-09-26 13:31:42)
👍 5
21.ネタバレ 奥方の田中絹代、遊女の田中絹代、そして老婆の田中絹代。この3発の爆撃だけであまりにも強烈。これぞ役者、これぞ俳優。●映像面で印象に残ったのは、実は、最後の感動の再会からさらにその後、カメラが遠景を捉える中で、漁婦が黙々と作業を続けている風景。親子の再会という壮絶なドラマも、誰も気づかない、一番近くにいる人すらまったく気づかない中で、ごくひっそりと行われている。かつて存在した無名の町民・村民に対する製作者の祈りすら感じる。●姉弟を兄妹に変更してしまったのは、やはり大いに違和感がありました。荘園内での成長上の変化や、逃亡の決断のシーンに説得力がありません。
Oliasさん [映画館(邦画)] 8点(2015-05-17 01:36:33)
👍 1
20.ネタバレ 溝口健二監督の代表作の一つだけに見ごたえがある。
森鴎外の原作とは姉が妹だったり厨子王が役職を辞したりと何点か変わっていて、少しほろ苦さが増しているようだが、わかりやすく感情移入しやすいストーリーなのは同じ。
艱難辛苦を乗り越える、兄妹愛や親子愛、愛するものへの献身、離別の悲哀、慈悲深い人物に心ある人の支え、善の報い、悪玉への制裁など、日本人の大好きな要素がいっぱい詰まった物語。
妹ながら兄を叱咤し、自ら犠牲になってでも兄や病人を助ける安寿の慈愛には心打たれる。
飛鳥さん [ビデオ(邦画)] 8点(2013-07-24 22:20:21)
19.山椒大夫の下で働かされ、過酷な労働と掟によって望みを失い人の心を忘れてしまった厨子王、その彼を立ち直らせ、自分はどうなっても兄だけは助けたいと思う安寿、そのけなげな心に打たれる。またその役を演じた香川京子さんの美しさにうっとり。
森鴎外の「山椒大夫」を見事なまでに映像化した感動の名作、さすがは溝口健二だ。
ESPERANZAさん [DVD(邦画)] 8点(2012-06-07 08:28:36)
18.安寿と厨子王の物語ですね。原作読んだときとまったく同じ評価点数です。そのときは激しい人生の物語にただただ圧倒され、その日以降少しずつ思い出しながらいろいろと考えを巡らした覚えがあります。溝口監督の手によって映像化されたわけですが、人生の根源を見据えるストーリーといい、喜怒哀楽の表現といい、まったく遜色ありません。安寿を演じた香川京子さん、下にも同じ意見がありましたが、とても清楚な印象で好感が持てました。
mhiroさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2008-04-02 20:39:40)
17.ネタバレ 圧巻の映像美。それに尽きる。映像が語る物語の厚さ。特に厨子王が山椒大夫のもとを脱走してからの重厚な展開は、もう文字通り息をもつかせぬ展開だ。
いのうえさん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-10-11 00:55:19)
16.本作はヴェネチア国際映画祭で賞もとった国際的にも評価の高い作品である。
個人的には『残菊物語』と並んで溝口作品の中では最もお気に入りな作品となった。


オープニングのキャスト表示からして胸躍る。
重厚な音楽と共に、これから溝口作品が始まることを教えてくれる。

これからも溝口作品を観るにつけ、まるで『男はつらいよ』のオープニングを観るかの様に、条件反射的に胸躍ってしまうに違いない。

そして宮川一夫撮影による芸術的な映像美は言うまでもなく美しい。
単に美しいだけでなく、その映像を通してその世界に引き込まれていくような感覚を覚える。

この感覚がクセになってしまったので、もはやそう簡単には溝口映画から抜け出せそうにない。


そして出演陣では、香川京子に目を奪われた。

美しいというか、かわいいというか。

他の作品で何度か香川京子を観たことがあるが、この作品の香川京子が一番魅力的だった。
足の先まで可愛らしかった。

『ワンダフルライフ』での“おばあちゃん”香川京子を観てしまっているだけに、少々気分は複雑だが(笑)、今だ存命でいらっしゃるのは嬉しい限りだ。


『残菊物語』でもそうであったが、正直、中盤でダレル部分があるにはある。

しかし、これも『残菊物語』と同じく、“ラストの怒涛な展開”がそんな不満を木っ端微塵に吹き飛ばしてくれる。

本作のラスト15分はそれだけ凄まじい印象を残し、涙無しでは観ることができなかった。

こういったラストの怒涛な盛り上がりが、更に溝口作品へのハマりを助長する。
ますます溝口から抜け出せない。
困ったもんだ。

むちゃくちゃ忙しい毎日なのに、困ったもんだ。
あー、困った。
溝口健二には困った。

これから一つでも多くの、美しすぎる溝口作品を観ていきたいと思う。
にじばぶさん [ビデオ(邦画)] 8点(2007-09-02 11:10:09)
👍 1
15.地獄のようなストーリーだが、天国のように美しい映画。時代劇だけど、どんな国の人が観ても確実に楽しむことが出来るということを確信できる映画。
かんたーたさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-02-16 14:15:19)
14.悲しすぎるストーリー・・。美しすぎる構図・・。日本映画の至宝。これ以上言葉になりません・・。
STYX21さん 8点(2004-10-23 13:24:06)
👍 1
13.STING大好きさんじゃないですけど、確かにキレイな構図の数々が非常に印象的な映画。入水シーンは私の見た入水シーンNO.1です。他にも山から都を見下ろすシーン、ラストの浜辺のシーンなど等、ただ近頃はきれいなシーンを取れるようなロケーションが日本にないんでしょうねェ。キレイと評判のところにはおかしな建造物が建ち、海には至る所にテトラや防波堤、残念です。話しとしては親子兄妹の愛もいいですが、千年続く日本の腐った官僚体制がよくわかります。
亜流派 十五郎さん 8点(2004-03-10 22:24:06)
👍 1
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【点数情報】

Review人数 32人
平均点数 7.91点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
513.12%
6412.50%
7721.88%
8928.12%
9721.88%
10412.50%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 10.00点 Review2人
2 ストーリー評価 10.00点 Review2人
3 鑑賞後の後味 10.00点 Review2人
4 音楽評価 10.00点 Review2人
5 感泣評価 10.00点 Review2人

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