映画『美しい夏キリシマ』の口コミ・レビュー

美しい夏キリシマ

[ウツクシイナツキリシマ]
A Boy's Summer in 1945
2002年上映時間:118分
平均点:6.56 / 10(Review 27人) (点数分布表示)
公開開始日(2002-12-14)
ドラマ戦争もの青春もの
新規登録(2003-12-08)【すぺるま】さん
タイトル情報更新(2017-08-14)【イニシャルK】さん
Amazonにて検索Googleにて検索Yahooにて検索
Twitterにて検索
ブログに映画情報を貼り付け
監督黒木和雄
助監督河合勇人
キャスト柄本佑(男優)日高康夫
エリカ(女優)宮脇なつ
石田えり(女優)宮脇イネ
左時枝(女優)日高しげ
香川照之(男優)豊島一等兵
中島ひろ子(女優)藤本はる
宮下順子(女優)青山宇知子
寺島進(男優)古寺秀行
入江若葉(女優)古寺寛子
平岩紙(女優)青山世津子
甲本雅裕(男優)芹沢大尉
眞島秀和(男優)浅井少尉
青木和代(女優)はるの母
野呂圭介(男優)鍼灸師
牧瀬里穂(女優)河合美也子
原田芳雄(男優)日高重徳
中村たつ(女優)石嶺フミ
脚本黒木和雄
音楽松村禎三
撮影田村正毅
プロデューサー仙頭武則
特殊メイク原口智生
美術磯見俊裕
須坂文昭(装飾)
赤松陽構造(題字)
編集阿部亙英
照明佐藤譲
その他内田絢子(スクリプター)
スポンサーリンク

💬口コミ一覧

27. 作品の上映前、この日は初日でもないのに偶然、監督の黒木和雄氏が岩波ホールに来ていて、予期せぬ舞台挨拶を聞くことができました。この映画は監督さんの体験を元にした作品なんだなぁって思いました(映画の内容を仕込まずに観に行ったので)。これは戦争の映画です。でも戦闘シーンは1回も出てこない。それなのに100%戦争の映画。1945年8月の宮崎県霧島に住む少年の視点から、戦争を捉えた映画です。少年(つまり監督)の戦争に対する複雑な思いがとってもよく表されています。しっかし、この主役の少年がほんとに演技が上手いんだ・・・なんでかなと思って、上映中にチラッと売店で買ったパンフレットを見てみたら「柄本佑」と書いてありました。「あ、柄本明の息子かぁ」と納得(『偶然にも最悪な少年』にも出てましたね)。これは年配の人向けの映画なんですかね(観客も殆どご年配方でした)。そんなことないと僕は思ったんですけど・・・。ドンパチの戦争映画も確かに考えさせられることは多いですが、やっぱりこういう映画も観ないとダメですよ。とくに僕らみたいな戦争の「せ」の字も知らない若い世代が観て「戦争って怖いな」とかそういうことを感じる以前に、とにかく観ないとダメです。とってもお勧めの映画です。
ひろすけさん 7点(2004-02-19 00:27:18)
26.決して悪くはないしいいとは思うけれど、これがキネ旬1位というのはちょっとピンとこない。しかし監督が真摯にこの映画を作ったという姿勢や熱意は評価したい。終戦当時の戦争とは無縁の田舎が舞台だが、平和な田舎にも等しく戦争の陰鬱な日常があったことをいろんなエピソードで丁寧に描いている。親友を死なせてしまったトラウマ・自責の念に苛まれる少年を演じた柄本佑君が自然でいい、ナイーブな気持ちが伝わってくる。固める脇役がベテランの原田芳雄や石田えり、左時枝、香川照之などだから安定感がある。一番感心したのは風景描写。田舎でも60年近く経って終戦当時とはまるで様子が違っているだろうに、田舎道でもどこでも今を感じさせる絵がなかったこと。何気ない田園風景や霧島の遠景などの描写で、そいう昔を再現するのはさぞ大変だったのではないか。
キリコさん 6点(2004-02-19 23:57:31)
25.黒木和雄の泥臭~い世界を覚悟していったんだけど、ありゃま意外にクールな展開。それでいてどのおハナシにもひねりが効いてて面白いじゃないか。こりゃ脚本の勝利だなと思ってエンドロールを見ると松田正隆。納得。方言に集中するためか演技に余計なものが出ないのもいい。少年が自分を「殺せ」と連呼するのは、浪花節とは判っていても胸に迫る。
イツジさん 8点(2004-02-20 00:24:26)
24.監督の実体験がもとになっているというこの映画のテーマは、そのまま「鎮魂」である。自分が助けなかったことによって死んだ級友を、どうやって弔ったらいいのかという、本当にストレートで重い問いかけだ。死んだ級友は決して戻ってこないし、恨み言を言ったりもしない。だからといって級友のことを忘れることもできない。自分を責めつづけ、級友への負い目を感じながらこれからの毎日を過ごさなくてはならない。この負い目は米兵に殺されるという、級友と同じ死に方によってしか解消されない。しかし、終戦を迎え、少年の願いはかなわないまま。結局この映画では、級友の弔い方について何の解決もなされていない。しかし、答えの出ていない問いに対しては、その問いを叫ぶ(問いつづける)という態度で臨んでいくしかないのだ。この至極単純な人類の経験則が見事に描出されている。
wunderlichさん 7点(2004-06-24 20:51:25)
23.黒木和雄監督のライフワークとも言える反戦をテーマに描かれた本作は、終戦を間際に控えた霧島を舞台にした群像劇である。監督自身の体験に基づいて描かれただけに、その意気込みには並々ならぬものを感じる作品だ。戦争映画とは言え日常化した戦闘機の編隊飛行があるという程度で、戦闘シーンなどと言ったドラマチックな場面がある訳もなく、むしろこの土地に住む名も無き人々の様々なエピソードを積み重ねていく事で、ドラマを確立していくというスタイルを採っている。そして彼らの日々の営みや慣習、戦時中のやり場の無い閉塞感といったディテ-ルがしっかりと描かれているからこその説得力が、ここにはある。出演者たちそれぞれの達者な演技が作品を支えてもいるのだが、その中でも生きていくことに彷徨する柄本佑と小田エリカの純真さには、まさにこの時代に生きている若者像を見事に体現してみせた。本作は“反戦!”と声高に叫ぶものではなく、その語り口はひたすら静謐であり続ける。それだけ余計心に染みるのだが、しかし、だからこそ戦争未亡人を兵士が慰めるという生々しいシチュエーションには、やはり違和感を覚えてしまうし、また監督の戦争に対する思い入れの強さが、果たしてどれほど戦争を知らない世代に普遍性を感じさせたかにも疑問が残ってしまう。
ドラえもんさん 7点(2004-08-24 18:43:45)
22.主人公の叔母の花柄のワンピースが素敵だった。ああいうの着てみたい。
parabenさん 6点(2004-11-19 15:09:23)
21.ネタバレ 確かに「キリシマ」の映像は美しかったが、あとは退屈なだけの映画だった。主人公?の少年が、友人を見捨てて逃げたことを悔いて見せていたが、その思いが伝わってこないどころか、むしろ他人の手を借りて死のうとするところに強い甘えを感じて呆れた。亭主が戦死した女が、息子という労働力を持ち、地主に地代を免除してもらっているにもかかわらず、男をくわえ込んでいる有り様には、呆れるばかりだった。亭主が実は生きていると分かった後、子供のことを考えもせずに自分勝手に死のうとしたり、帰ってくるだろう亭主の家に放火して逃げ出したり、その身勝手さには心底、呆れ果てた。キリスト教のゴッド、八百万の神、現人神、いずれも「かみ」という言葉を使うが、意味するところは同じではあるまい。それを故意か過失か不勉強のせいか混同しているところにも、私は真に呆れ果てた。
駆けてゆく雲さん 3点(2004-11-22 21:01:53)
20.一昔前の、古い日本の夏の雰囲気はよく伝わっていると思いました。その点は美しい。、、、、、またありきたりの戦争殺戮シーンを描くのではなく、戦時中の一人の少年の心象風景を通して戦争を描き、反戦を訴えようという試みであることも理解できます。、、、、、、、、、しかし、日本映画の多くが犯している誤りを、同じように犯していると私は思います。どういうことかというと、特定の主人公の心象風景を感情的にべったりと描こうとするあまり、その登場人物以外の人間達が、単なる風景になってしまい、その時代、空間に生き生きと存在しているものにならないということ。言い換えると生きた社会的な空間が生まれないということです。、、、、、そういう手法は自然の風景の美しさを描くには相応しいかもしれないけど、人間の世界は描けない。だから、この映画で伝わるのは、南国の自然の美しさだけなのです。、、、、あっそうか、「美しい夏キリシマ」っていうんだから、この映画、自然観賞の映画だったのか。
王の七つの森さん 4点(2005-01-29 23:37:06)
19.あの瓦屋根と、その上にいる少女・波を中心に、いろいろな比喩を想像できる。良くも悪くも見る人次第の映画。俺はハマった。
途中、一歩間違えば虚構の世界に足を踏み入れかねない危ういストーリーの流れを、一人で現実世界に引きつけてみせた原田芳雄の名演が印象に残る。
藤村さん 8点(2005-02-03 22:43:39)
18.15歳の多感な少年の目を通して、戦争、生と死、性を幾重にも重ね、丁寧に描く事から、何のために生きるのか、如何に生きていくべきかをジックリと考えさせてくれる。ただ原爆が落とされたとか戦争が終わったというセリフが余分だった気がする。何の前フリも無く、竹ヤリを持って進駐軍に突進していく少年・一発の銃声の方がインパクトがあって良いと思う。
亜流派 十五郎さん 7点(2005-02-06 23:30:12)
スポンサーリンク
17.全体的に戦争の虚しさや滑稽さを漂わしてはいる。このような作品は良い評価をしたくなるが、作品の登場人物に魅力的な人が少ない。人間は弱いのでいろいろ間違いをしてしまうものですが、登場人物は弱い人間というよりもだらしのない人間が多い印象。弁舌の立たない戦争体験の講義を聴いた感じです。映画の志に+1点という感じで。
チューンさん 6点(2005-02-08 12:47:41)
16.黒木和雄の最高作品と私は思う。同様のテーマの作品は、大島渚の『少年』などがあったけれども、これは監督自身の体験にもとづくだけあって、問題の深刻さと真摯さにおいて他をぬきんでている。また、主人公の少年と親戚の少女役の演技が、とても自然で、ただものでなかった。映像もふくめて、全体にすばらしい。
goroさん [DVD(字幕)] 10点(2006-01-01 02:02:02)
15.ネタバレ 1945年8月を舞台にしているので、到達点が終戦であろう事は容易に想像できるんですよね。見ている方は知識として広島・長崎があり、そして玉音放送があり、という流れが判っているのです。それに対して映画は流れが曖昧で、その2週間ほどの物語が、一体どういう日数の進行をしているのかよく判らず(セリフから判る6日と9日の間が妙に日数が経過しているように思えます)、言葉足らずな感じがもどかしい映画でした。少年の両親が満州にいる、というのもかなり後になって語られますし(延々と原田芳雄が父だと思ってました)、石田えりが姉弟2人の母親であるという事が判るのも少し経ってからですし。点描される終戦直前の人々の生、だけど人数多すぎで、映画が終わった時点で、さて一体どうなっちゃったのかな?って登場人物多数。牧瀬里穂と、彼女を慕って来た特攻間際の兵士のエピソードなど、最終的に放置されてしまう分、その存在そのものがこの映画に必要だったのかどうかが疑問だったり。でも、そんな欠点はあっても、戦時下の人の日常が今となってはどれだけ異常であったのかはハッキリ伝わってきます。死が身近に存在し、生き残っている事の後ろめたさを感じ、理不尽な事を受け入れ、そして神を失ったという事実を受け入れなければならない、受け入れられないその時。悲しみも憎しみも、癒されるための答えなど誰も与えてはくれずに、ただ現実の中に放り出され、でも人の心がどうであれ、自然はそこにありのままに存在している、そんな映画でした。今もあの戦いの答えなど誰も出せないままに時は続いています。
あにやん‍🌈さん [DVD(邦画)] 7点(2006-09-01 01:16:34)
14.良作ですね~ シリアスに終戦間際の霧島が描かれています..物語としては、リアルな日常が淡々と進むので..ちょっと淡泊に感じるかも..しみじみと戦争を見つめ直すには良いかもしれませんね...
コナンが一番さん [DVD(邦画)] 6点(2006-09-28 12:18:49)
13.まあなんちゅうか、Fuckin'純文学。これがキネマ旬報1位か…日本アカデミー賞の商業主義もうんざりだけど、キネ旬の「俺らはモノが分かってるんだぜ」的な態度もどうなんだかね。いや、別に純文学的だからどうという事ではなく、単純にこの映画には観客を引き込む力がないと思いますよ。特に抑揚がなくてもグッと引き込まれてしまう映画は沢山あるけど、これはひたすら退屈だった。ひとりひとりの人間像が練れているようで練れていない。妙に登場人物を多くしないで、うちのひとりふたりに絞り込んだ話にしても良かったと思うけど。時間の進行もよく分からなかったし、映画全体が何だか散漫な印象だった。まあ、「美しい夏」というだけあって、確かに風景は美しかったけど。
C-14219さん [DVD(邦画)] 4点(2007-01-29 02:46:59)
12.ネタバレ “戦争で生き残る事の悲劇”が伝わりました。身近な人々が戦死や犠牲者となった時、生き残った者は生きている事自体を罪と感じる。私が今まで観た反戦映画とは別の次元での葛藤が描かれており、考えさせられました。戦争とは、“死ぬも地獄、生きるもまた地獄”なのでしょうか。
ヨシオさん [DVD(字幕)] 8点(2007-07-27 00:38:06)
11.黒木監督晩年の終戦映画三部作の評価、私見では「紙屋悦子」→「キリシマ」→「父と暮せば」の順です。他の二作品が舞台演劇的な演出なのに対し、この「キリシマ」のみロケーションを最大限に生かした、空間的広がりを持った作品になってます。多感な少年期に終戦を迎えた少年を、柄本ジュニア君が上手く演じてました。やっぱりカエルの子はカエルなんでしょうか?脇を固める役者陣も充実。ラスト行進する占領軍に向かって、「殺せ!殺せ!」と走り続ける横移動の長い長いシーンが、この映画のクライマックス。これら上記の良心的佳作が、都内岩波ホールたった一館のみでの単館ロードショーになってしまうっていうのは、やっぱり今の日本映画興行界の問題点のひとつだと思います。
放浪紳士チャーリーさん [映画館(邦画)] 7点(2007-07-27 11:37:53)
10.ネタバレ タイトル通りの美しい夏だった。ただ淡々と描かれる話もリアルだと思ったし、まさに真実なのだろう。映像も役者の演技も良かったし、ラストシーンは凄かった。激しい戦闘シーンを細かく描く戦争映画より、こっちの方が考えさせられる。
マサさん [DVD(邦画)] 8点(2007-08-07 22:10:20)
9.死に遅れた少年の目にうつる幻想の二週間。この監督、戦時下の日常にこだわってきた人だけど、リアリズムのようでいて、そこからちょっとはみ出すところがいい。ジャングルの湿気た雨の世界から生還してきた傷病兵が、こっちはずっと雨降っちょらんですねえ、とつぶやく。単に事実を述べただけなのだろうが、それだけで広がる青空がなにやら魔法にかかったもののように見えてくる。ラストの竹林の雷雨とそこにかかる虹が、単に虹としての美しさ以上のものに見えてくるのは、その魔法の効果だろう。
なんのかんのさん [DVD(邦画)] 6点(2007-10-03 12:22:25)
👍 1
8.ネタバレ この物語は死者と共にある。
少年は、学徒動員先の工場で戦死した親友を見殺しにしたという意識に取り付かれ、薄ぼんやりとした生と贖罪の中で生きている。
全てをジャングルに置いてきたと語る片脚を失った傷病復員兵と不安の中で彼に嫁ぐことになった女。彼は自分は幽霊のようなものだと女に語る。
南方で戦死した夫を持ちながら兵士と関係する女、その兵士は満州で人を殺したと呟く。それを受け流す彼女の生は日常の中での生死の意識を軽々と越えている。
静かに特攻での決死の覚悟を報告する海軍将校とそれを受け入れる女。それは既に多くの死の上にある運命といえる。

死者は記憶となり、記憶は生者を縛る。そしてその風景の中で人は生きた。

石田えり演じる宮脇イネが事の終わりに兵士に言う。
「死んでるもんでも生きてるもんでもなか気色の悪かものになっていくのが恐ろしゅうて、気持ちよか」
彼女は、戦死したと思っていた夫が生きていることを知り、罪の意識の中で生と死に揺れる。兵士に導かれて死を選ぼうとするが、結局、その男にも逃げられ、入水も未遂に終わる。彼女は生と死の日常を拒み、死者すらも失って村を出る。

死と死者が日常を揺蕩う終戦間近のキリシマ。そこでの数日間の出来事を美しい自然と人々の心象の風景と共に綴る叙事詩。それが黒木和雄なりの当時キリシマに生き、死んだ人々に対する鎮魂歌なのだと思った。それは美しい夏に翳り、さざめく影となって僕の心を打った。素晴らしい映画だと思う。
onomichiさん [DVD(邦画)] 10点(2009-03-29 20:36:51)
👍 1
スポンサーリンク
マーク説明
★《新規》★:2日以内に新規投稿
《新規》:7日以内に新規投稿
★《更新》★:2日以内に更新
《更新》:7日以内に更新

【点数情報】

Review人数 27人
平均点数 6.56点
000.00%
100.00%
200.00%
313.70%
427.41%
5311.11%
6725.93%
7725.93%
8518.52%
900.00%
1027.41%

■ ヘルプ