10.映画としての未熟さは否めない。既にいくつかのコメントにあるように、細切れなモンタージュ的カットは観る分に苦痛だった。象徴的な映像をつないでいて、ストーリーが紡がれているとは言えない。 けれど、この苦痛は、監督のあまりに強く鋭い「想い」にえぐられているからのようにさえ感じる。 ここまでエンタテイメント性の欠落した作品を世に出そうとするには、相当の抵抗があったはずだ。宇多田ヒカルの夫という話題性がなければ、どの映画会社も配給しなかったかもしれない。まして有楽町マリオンのスクリーンに上映されることなどなかっただろう。 けれど、「とにかくもうどうしても伝えたい」というわがままで鋭いエネルギーによって、この作品は完成され、私の前に立ちはだかった。ここに来て、目を背けることのできない何かがある。 おそらくそれでよかったのではないか。その苦痛も含めて、十分すぎるほど伝わったのだから。 【よしの】さん 6点(2004-04-30 23:22:09) (良:2票) |
9.映画というよりむしろ紙芝居。 【紅蓮天国】さん 3点(2004-04-25 17:54:08) (良:2票) |
8.素材(「キャシャーン」という「素材」ではなく、映像素材ね)は悪くない、いやむしろかなりいいセンいってると思う。この素材を使って誰かマトモな人が編集して尺を半分くらいにすれば、かなりよいものに仕上がっていたと思う。ノリや勢いだけではよい作品を作ることは出来ない、考え無しにセンスだけで映像を撮りまくっても、そこに哲学がなければそれは映画とは言わない(カントクは写真家だっけか・・・)確たる哲学が無いので結局登場人物に差しさわりの無いセリフをしゃべらせることでしか物語を終わらせられなかったのは、正直あまりにも素人臭い、もう映画を撮るな、とは言わない、「出直してきなさい」って感じ。 【るね】さん 6点(2004-04-25 00:08:00) (良:2票) |
7.最近、デビルマンを見て本作を思い出して鑑賞。当時、宇多田ヒカルの旦那ということもあって話題になりヒットしていましたが、実際に見た友達がクソと言っていた覚えがあります。 本編を見る前に予告を見て映像的に好きな雰囲気だったので、当サイトの評価も考慮してB級映画としてなら案外楽しめるのではと期待しました。冒頭は期待通りの雰囲気で楽しかったです。しかし、気が付いたらストーリに着いて行けず、置いて行かれてました… 結果、B級映画としても、クソ映画としても楽しめず、僕がただ単に理解できなかっただけかもしれませんが、正直退屈で長かったです。雰囲気的には嫌いじゃないだけに、もう少しコンパクトにまとめて、ストーリーもシンプルな娯楽作品に仕上げてくれていれば、もっと好きになれたかもしれません。 【映画の夢】さん [DVD(邦画)] 2点(2016-08-22 21:16:42) (良:1票) |
6.監督と脚本家と演出さんが本作品に真剣に、本氣で一途に取り組んだ作品ですね。作品鑑賞後に知りましたが監督が原作に強烈な思い入れがあったと。だからこそか、自ら本作制作の全て(殺陣からBGMからキャスティングから小道具デザインから何から何まで文字通りに全て)に関わって作り上げたと。ハイ確かに大多数の皆様が仰るように、フラッシュバックや説明セリフ多用の、あの表現方法は大多数の観客には耐えがたい物と感じられるものでしたでしょう。ただ私の場合、この映画には【人間の醜悪さと悲しさを芸術として映像化する】意気込みと技術に見惚れて感銘してしまったのでこの点数です。私は原作原体験世代ですが、この監督さんが作った自分の【新造人間キャシャーン】は全面的に指示するし他人にも薦められます。これ以降昭和の特撮ヒーローのリメイク作品は次々と映像化されるけど、原作が大好きでリスペクトしているから真剣に作った、というのはこの監督だけみたいですね。 【役者の魂】さん [映画館(邦画)] 7点(2015-04-05 02:50:11) (良:1票) |
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5.公開当時、賛の声はあったものの、デビルマンとセットで挙げられるほど酷評されていた記憶があります。これほどイマジネーション溢れる映画が酷評されるのかと衝撃がありました。 いかに多くの日本人が映像、芸術性軽視で映画を観てるのかが分かります。 是枝裕和、西川美和、中村義洋、沖田修一、深川栄洋らは確かにうまい。どれもクセのない美しい映像で心理描写も巧みだと思う。 しかし、小綺麗でうまいけど平凡の域を全く出ない映像ばかりの邦画界において、この映画は貴重な存在ではないでしょうか。 【エウロパ】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-04-02 19:38:40) (良:1票) |
4.私が生まれる遥か以前のアニメなのでオリジナルは未見なのですが、どんな作品であったのかの予習はばっちりしました。オリジナルには「平和=戦争をしないこと」という誤った定義付けをした戦後民主主義の矛盾を突く姿勢が根底にあって、「平和を守るためには戦わねばならないことだってあるのではないのか?」という問いを子供たちに突きつける野心的な内容となっていました。例えば、絶対的平和主義を掲げる市民達が、何の抵抗もなしに自分達の街をブライキングボスに引き渡すというエピソードがありました。戦争をしないことこそが最善であり、自分達の善意は敵にも伝わるはずだという勝手な思い込みが彼らの中にはあって、さらには戦いで命を失うリスクを冒すくらいなら隷属の身に陥った方がマシという浅ましい根性があったのですが、そんな卑屈な人間を見たブライキングボスは「このようにして守るほど平和とはありがたいものなのか」と、その姿を鼻で笑うのでした。最終的に、全市民が虐殺されてそのエピソードは幕を閉じます。。。一方、実写版の本作。140分に渡って「戦争はいけないんだ!」と主張する内容はオリジナルの正反対です。軍国日本を悪役にするという世界観からも戦後民主主義的な価値観がベースにあることは明らかなのですが、これでは戦後民主主義への疑念を出発点とするオリジナルとは水と油。キャシャーンの設定にしても、オリジナルの主人公は父の反対を押し切って自らの意思で改造されるのですが、本作では父親のエゴの被害者として扱われています。父殺し・兄弟殺しの物語は石ノ森章太郎の世界だし、本作が「新造人間キャシャーン」のリメイクである必然性は限りなく薄いと思います。映画としても雑な部分が多くて、理念的な主張をしつこいくらいに繰り返す一方で、背景の説明ができていないのでセリフが完全に浮いています。「なぜこの人がここにいるのだろうか?」と、キャラクター達の基本的な動きすら見失うほど状況説明がヘタクソで、さほど難しくないはずの物語が非常に難解に感じられます。ただし、ビジュアルの素晴らしさは本物です。たったの6億円で作られた作品とは思えないほど見応えがあります。「腐ってもオリジナリティで勝負する」という監督のガッツも感じられるため、決して嫌いな映画ではありません(最近見たヤマトの盗作ぶりがあまりに酷かったので、本作がより際立って感じられます)。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-02-01 00:53:49) (良:1票) |
3.周りの評判が極端に低かったので、期待せず観たらそこそこ楽しめた。これよりダメな映画なんてざらにあるし、言われてるほど悪いとも思えない。もちろん良くもない。なにしろ長くてクドい。クドさの塊みたいな感じ。余分なものをカットして、もっと短くすればもう少しは観られるものになったんだろうに。思い入れがあるシーンをカットする勇気を持てない監督には、良い映画は作れないってことだね。 【MARK25】さん [DVD(邦画)] 5点(2006-04-19 21:42:13) (良:1票) |
2.注意!これは白い巨塔風レビューです。 G氏へ このレビューを持って僕のレビュワーとしての最後の仕事とする。 まず、この映画の病態を解明するためにみんシネレビュワーの皆様に映画批評をお願いしたい。 以下に「CASSHERN」についての愚見を述べる。 「あのアニメがついに映画化!!」などの美辞麗句を考える際、第一選択はあくまでわかりやすくという考えは今も変わらない。 しかしながら、現実にはこの映画自体がそうであるように鑑賞した時点で主役の演技力0っぷりやポンコツCGの連続などの進行症例がしばし見受けられる。 その場合には日本映画界その物の全身治療が必要となるが残念ながら未だ満足のいく成果にはいたっていない。 これからの日本映画界の飛躍は、この「みんなのシネマレビュー」というサイトにかかっていると思う。 僕は、君がその一翼を担えるたくさんのレビュワーの一人であると信じている。 君を、始めとするレビュワーの皆様にはこのサイトと日本映画の発展に挑んでもらいたい。 遠くない未来に、日本映画界があの「溝口」、「小津」、「成瀬」、「黒澤」がいた頃の様に再び輝く事を信じている。 ひいては、僕の駄文をレビュー解剖の後、君の研究材料の一石として役立てて欲しい。 駄文も時には師なり。 なお自らみんなのシネマレビュー第一線(?)にある者が暫くの間レビュー投稿出来ず 再起不能の椎間板ヘルニアで入院する事を心より恥じる。 ついでにレンタルで鑑賞直後にテレ朝で放送という金のムダ遣いも心より恥じる(ニガ笑)。 財前桃太郎 【一番星☆桃太郎】さん [DVD(字幕)] 0点(2006-02-13 21:56:08) (笑:1票) |
1.観終わって「この作品は(それっぽい)映画ファンからすごい勢いで叩かれそうな映画だなぁ」と思いました。 「ミュージッククリップのようだ」「無駄なカットを繋げすぎ」「上映時間が長い」「デジタル色強すぎ」「言いたいこと全部喋っている」などなど、おそらく問題点はキリがないほどあげられるでしょう。あ、でも僕はそんなものは気にならなかっです。だってそんな文句も含めて映画だと思っているから。それにどうでしょう。この作品が話題作ではなかったらカルト的な人気を博したかもしれませんし、あと20年経ったらこの映画の評価は変わっているかもしれませんよ(責任は取れません)。そして、かなり意外性のある作品でした(それは当初の予想と全然違う映画だったということです)。なんというか、ただのヒーローモノだと思っていたのですよ。だけど想像したよりドンヨリしていたし、けっこう救いがないし。そういえば多くのアニメもストーリーはシビアなものが大半だったっけ…なんて思ったりして。キリヤさんの『キャシャーン』はメッセージ性が強くて、それで嫌になってしまう人はかなりいると思います。それに映像で語らせる部分も少ないしね。だけど僕はそこにキリヤ氏の「真っ直ぐさ」を感じたな。馬鹿なほどの話好き(だけど口下手)。でも、そういう人って好きよ。良いにせよ悪いにせよ、そんな映画監督っていないじゃない(笑)。それが僕の期待を裏切った点でもあったんですけど。もっとクールな脚本を書くと思ってたのさ~。そしてエンディング、ウタダさんの歌が流れていて、歌詞は聴き取れなかったんだけど一箇所だけ聴こえた。「誰かの願いが叶うころ/あの子が泣いてるよ」 初めて彼女の曲を良いと思ったよ。 【ひろすけ】さん 7点(2004-04-29 14:58:15) (良:1票) |