1.中身が何もない映画。動物実験もアメリカの自由も演説も、この映画ではただ空虚な入れ物、物語の題材でしかない。ありがちな物語をいかに感動的に語るか。この映画が素晴らしいのは、その語り口であり、演出であり、撮影であり、編集であり、照明…、つまり「映画」の本質だ。で、それが素晴らしいんですわ、これが。単一の光源を生かした照明と、それを前提にした人物の動き、主演女優を美しく撮影すること、切り返しをしっかりと撮ること。古典的な技がこんなに光る映画を、今の世の中、そう簡単に観ることはできない。傑作です。泣きました。