5.1994年の映画で、メグ・ライアンが主演、さらにこのクサイ邦題、とくれば、見なくても内容はわかりそうなもんである。だが、ティム・ロビンス強化中なので、やっぱり見る。
舞台は1950年代前半で、映像もまた、そのころの映画をほうふつとさせる。ぺったりとなにもかも均等に照らし出す照明、花は咲き乱れ、芝生は緑、プラネタリウム真っ青の星空、まるで書割である。そしてヒロインはブロンドで、世間知らずでキュート。
ティム・ロビンスの立派なオデコについ目を奪われてしまうが、それ以上におもしろかったのが、アインシュタインに扮したウォルター・マッソー。往年の名脇役で、けっこう強面のイメージがあったのだが、この映画では、とぼけた味がとてもいい。実在の人物はアインシュタインだけでなく、アイゼンハワーのそっくりさんまで出てきて、「ソ連に対抗するために、宇宙船の開発を!」とくる。繁栄のただなかにある、能天気なアメリカの50年代は、また冷戦の時代でもあったことを、ちらりと見せるのが隠し味である。
しかし、メグ・ライアンはやっぱり優秀な数学者には見えないよな。頭脳と美貌は両立しない、なんて俗説に毒されてるのかしらん。