4.《ネタバレ》 評判の悪いタレント吹替えということもあり、「3Dでジュラシックワールドの世界と恐竜たちの恐ろしさが体験できる」という点のみを楽しみに見に行きましたが、違和感のない奥行きのある3Dは非常に見やすかったものの、そこまでスリルや迫力を感じることができませんでした。
昔と違って目がCGに慣れきったせいかと思いましたが、テレビでやっていたジュラシックパーク(初代)を見てこの映画以上の迫力を感じたので、やはり演出、構成、アングルなどのCG以外の人為的なセンスが原因なのかと思います。
今回は客が大勢いる中での恐竜たちの暴走が売りのような予告で、過去作から続くパニックホラー要素としてそこが一番楽しみだったのですが、実際には予告にあった鳥型の恐竜が控えめに客を振り回したりつっついてるぐらいで、一人海に引きずりこまれた女性が気の毒な以外はみんな安全圏に避難してそれきり、というのにガッカリ。
また、今回のヒール怪獣であるインドミナスの凶暴さを描写するにも、同じような構図と演出と展開が多く、討伐に向かう主人公たちを画面ごしに眺めている感じが強くて、1のように襲われるキャラクターの主観目線で怖がれるような迫力がありませんでした。どうも今回はかなり子供向けに振り切っているようで、ラプトル娘たちと主人公の絆や恐竜同士の戦いが中心という怪獣映画の趣が強く、怖がらせるシーン自体を極力割けてるような感じがします。作中で客はより大きく凶暴な恐竜を求めていると、この映画を見てる客への風刺のように描写していましたが、見た目だけ大きく凶暴にしても表現の仕方が悪ければ客の心に響かないと言う好例となったと思います。
広大なパークの表現も「インドミナスが○○エリアを移動しています」という口頭説明ばかりで実際にインドミナスが暴れている映像はほとんどなし。子供たちに家庭問題の会話をさせるため、アトラクションの待機列やモノレール車内というどうでもいい場面に尺を使うという無駄な構成です。
恐竜が出てこないシーンが説明会話ばかりで全く工夫がなく、キャラクターがアホなのも脚本上トラブルを起こすためなのがバレバレな不自然な言動だらけなので、誰がやられてもどうでもいいという他人事のような気持ちで最後まで見ることになりました。
女社長は最後のTレックスを自ら引き寄せてくるシーンがかっこよかったので、ああいう活躍が他のキャラにもあればよかったのになあ。
あと主人公の声がただの玉木宏でしかないというのも感情移入しにくかったです。
とまあ不満は多いですが、映画館で3Dで前の方の真ん中の方の席で見たら値段分は楽しめるかと思います。