145.《ネタバレ》 丁寧なストーリーと、とことんまでリアリティー求めるアクション。これを「素晴らしい」という賛辞以外にどう表現したらよいのでしょう。迫力の戦闘シーンは特に評価されますが、この作品の魅力はそこだけにあらず、ある意味青春群像劇のように一人一人のエピソードを順に、それぞれ決して長くはない尺ではありますが、描いています。それも野武士を迎え撃つという本軸から外れる事なく一瞬にしてその人となりを感じられるのです。脚本の上手さを認めざるを得ません。個性的な侍に対し、百姓たちはあくまでも「群衆」として一個の塊のようにぞろぞろと固まって行動する無個性の集団です。イメージは真面目で弱く守らなければならない存在というよりはむしろ、ひもじく、うじうじと不幸を顔に張り付け、保守的で、人間の根っこにある意地汚さもしっかり保守してるような群衆です。そして百姓と侍を繋ぐ△、菊千代という存在。演じる三船敏郎にはとにかく花がありますねぇ。どんな役をやっても、ここでは下品なノラ犬みたいな偽侍で七人の内の一人に過ぎないのですが、どうしてもその際立つ花のオーラは消すことが出来なかったようです。少々鬱陶しいけど憎めないキャラクターをチャーミングに演じています。ところがやっぱり目玉は戦闘。敵の40騎は作戦ごとに一人ずつ数を数えながら消えていき、味方も一人また一人と死んでいく。決戦では泥臭く、豪雨の中文字通り泥まみれになりながら、あくまでも最初から最後まで一人ずつ一人ずつ(味方も含めて)朽ちていく。その演出がまた迫力と悲哀を併せ持っています。そしてそもそもが高低差のある土地を利用した戦策なので、走る騎馬隊とそれを追う見方の陣の動きが、左右にも上下にも縦横無尽に動き走りまくり、圧巻の戦闘シーンになっています。そういえばちょうど最近スピルバーグの「フェイブルマンズ」を見てきたのですが、そこで(黒澤監督も敬愛するという)ジョンフォードが言ってました。「地平線はどこだ」と。上にあるホライズンと下にあるホライズンを繋いだのがここでのロケーションなんだろうなぁなんて、フェイブルマンズの感想で書くべき事を、ここに書きたくなってしまいました。ジョンフォードから黒澤へ、黒澤から多くの映画人へと受け継がれて行く映画表現と映画愛、これを評価の+αにしてもしなくても、満点の作品です。どっこいそらそらさーっさ 百姓どもの勝ち、という悲哀のあるエンディングも全て、満点。 【ちゃか】さん [インターネット(邦画)] 10点(2023-03-16 15:40:58) |
144.日本映画およびアクション映画の傑作。長い映画だが、面白さに飽きることはない。椅子に座ったお尻の痛さも感じない。前半部は、人が集まって来る映画。そして、後半部はワクワクの大活劇。SFXが全盛の現代の映画より面白い。特に雨中の襲撃シーン。また、三船の映画。迫力、おかしさ。すごい。4k版前は、三船のセリフが聞き取れなかったが、それでも傑作。映像の力。(4k版では、左卜全以外は、明確に聞き取れます。)唯一、木村と津島のお花畑のラブシーンが欠点。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 10点(2018-12-25 20:42:53) |
143. ひさしぶりに見た。何度見ても面白い。 映画を一生懸命作っている。世界の映画人をうならせたのもよくわかる。 やっぱり黒澤最高! 【海牛大夫】さん [DVD(邦画)] 10点(2018-05-23 21:42:50) |
142.《ネタバレ》 語るまでもない、邦画史上における最高傑作だが、敢えて不満点を挙げるならば、侍と村娘の恋物語のシーンは不要。 村が助かったら侍に目もくれず~の展開は素晴らしかったが、たかが村娘が侍に恋をした挙げ句に、「いくじなし」などという台詞は吐かんでしょう。 久蔵のイライラも、村娘に現を抜かす不甲斐ない姿に嫌気が刺してのものでしょう。あれは視聴側もイライラがあるので、削って2時間30分にでもしていただきたかった。 史実では侍は総じて同性愛者なのだが、近代映画ではどうしてもタブー視されるので、尚更、村娘に現を抜かしてしまうシーンに違和感が強く残る。 【カムイ】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-11-28 22:14:32) |
141.《ネタバレ》 非の打ち所が全くない脚本には敬服します。シーンの流れや登場人物の言動に全く違和感がない。一つ一つのセリフが重いですよ!観客に「なんだこれ?なんでだろ?」と一切思わせることなく話が進むので、3時間超えの作品とは思えないほど疲れない。どんな映画を観ても鑑賞後には疲労感が残ってしまう軟弱野郎なんですが、本作ではまったく…。すげえな。ヒーリング効果か! 話は侍探し、戦の準備、戦の三幕構成になっていて、それぞれに見せ場がしっかりとある。脇役だと思っていた人物がしっかり仕事をするなど、無駄の無さが目立ちます。なんというか、歴史ゲームの楽しさが詰まっているというか。人材集めに苦労しながらなんとか人数を集めて、百姓の統率を取るのに苦労しながら準備をして、そして大迫力の戦へと繋がる流れは、丁寧にプレーを進める信長の野望そのもの。弱小大名プレーの楽しさを映画で見せられた感じです。それでいて登場人物は全員がキャラ立ちしているからね!ゲームの何倍も面白いんだ。映画と区別がつかないゲームが話題になる昨今、ゲームが「面白さ」の点でどうしても映画を超えられないことを54年の映画が証明していたのです。 俳優の演技もまた素晴らしい!俳優と百姓たちの演技は置いておくとして、虜になったのが津島恵子と島村雪子の顔!島村雪子の出演シーンは1分も無かったと思いますが、3人の侍が覗き見する(観客が映画を通して人の顔を見るのと同じ行為である)時のドキドキの高まり方がケタ違いでした。火事に一瞬驚きを見せるも不敵に笑ってみせる。利吉が目の前に現れて驚き、燃え盛る小屋に戻る時の表情。後に明かされる事実も相まって、非情に印象に残る素晴らしいシーンを作り上げています。津島恵子のセクシーさも…あんな後ろ姿を見せられたら、そりゃ父親も普通じゃいられないよね。男にしてでも奪われたくないと思っても仕方がない。リアリティのある行動ですよ。 もう本当にすごい映画でした。本作より凄い映画に出会うことが果たしてあるかどうか? 【カニばさみ】さん [映画館(邦画)] 10点(2015-06-01 00:00:58) |
140.《ネタバレ》 様々な映画の要素を真っ暗な部屋にある鍋の中にドバドバッと放り込み、ぐつぐつ長時間煮込んで電気を点けたら凄いのが出来ていました、という作品ではないと思います。 3人の凄腕の料理人がレシピを書き、その中の1人の天才が最高のシェフを集め、最高の厨房で最高の食材と最高の調理器具を使い、たっぷり時間を掛けて完成させた最高の大衆料理の様な作品だと思います。 時は戦国時代です。槍一本、己の武勲で素浪人から一国一城の主にも成れるようなジャパニーズサムライドリームの真っ只中で「ゴハン奢るから、野武士やっつけて」って言われても断られるのは当然です。ハイリスクウルトラローリターンです。 しかし、何時の世にも実利を選ばない奇異な人は居ます。20億円以上のオファーを蹴って4億円の年俸に応えるプロ野球のピッチャーのように…。 難航する侍集めをおざなりにせずに、時間を掛けて描くことにより、当時の世相や百姓が侍を雇うことが如何に無謀な事であるかを理解させてくれますし、それぞれの侍のキャラクターの説明や、彼等の個々の行動の説得力にも繋がります。 また、後半の怒涛の乱戦での決して大団円といかない結末に対する濃厚な前フリとも言える巧妙なプロットになっているとも思えますし、これらをサラッと描いていたら底の浅い作品になっていたと思います。 私にとって最高の作品のひとつですが、完璧なそれでは有りません。粗はあります。古さも感じます。しかし、それらを軽く凌駕する高揚感だったり、突き抜けたカッコ良さや、感情をジャイアントスイングされるようなダイナミックさがあります。 要因として特筆すべきは三船敏郎さんの演技力です(勿論、他にも沢山の要因は有りますが、書いていたらきりが無いので…)。 まさに水を得た魚のようにフレームの中を縦横無尽に動きまわり、台詞も何を言っているか聞き取れないほど吠えまくります。 また、彼が劇中で見せる豊かな表情や子供達を相手にしての演技などは、彼自身の人間的魅力とも感じさせられます。 しかし、彼がどんなに全力で演技をしても、決して画面からは窮屈さは感じません。三船敏郎さんの激情を伴った演技を、勢いそのままに映画に昇華させる黒澤監督の懐の深さは、孫悟空とお釈迦様の関係のように感じました。 本作のスタッフやキャストの方々へ、「七人の侍」を作って頂きありがとうございました。 【しってるねこのち】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-04-12 12:35:53) |
139.《ネタバレ》 邦画史上最高レベルの傑作と言っても過言ではないだろう。 黒澤明監督作品の中でも1、2を争う作品であり娯楽映画の頂点で間違いない。 3時間半というかなり長い作品ながらも決して退屈せず、非の打ち所がない作品。 とりあえず見ればわかるが何もかもが素晴らしい。 七人全員が濃いキャラで全員に魅力があり、特に三船敏郎演じる菊千代の立ち位置というか役割があったからこそこの映画をここまで昇華させたように思える。 侍と百姓が団結したかと思えた矢先の百姓の落ち武者狩りの発覚。 六人の侍の視点では落ち武者の境遇を知っているからこそ許せないありえない行為だと見えるであろうが百姓からすればそれは違い、仕方のないことでむしろこの様な事態を引き起こしているのはそっちじゃないかと元百姓である菊千代が代弁する。 ただ野武士を返り討ちにするだけではなくこのようなシーンがあったからこそ感動を生み引きこまれていくんだと思う。 そしてアクションシーンも素晴らしい。 土砂降りの中での野武士との攻防。素晴らしいとしか言えない。 撃退した後官兵衛が呟く言葉でこの作品は完璧なものになった。 とにかく邦画だけではなく洋画合わせてみても最高レベルの出来である。 【こしち】さん [DVD(邦画)] 10点(2014-08-07 21:39:33) |
【cogito】さん [映画館(邦画)] 10点(2014-07-30 19:30:56) |
137.《ネタバレ》 勘兵衛と久蔵のアクション、利吉と菊千代のヒューマン、菊千代と与平のコメディ、志乃と勝四郎のロマンスなど、「ステーキの上にうなぎを乗せ…」くらいでは言い表せない、てんこ盛りの超絶ドラマ。「列に戻れ」と一喝し抜き身を下げて走り寄る勘兵衛、「来やがった来やがった」と平八の「○△た」旗を握って怒鳴り散らす菊千代、「この子は俺だ」と泣き喚く菊千代の後ろで回る火達磨となった水車。これまでスクリーンでこれ以上の迫力あるシーンを見たことがない。これからもないと断言できる。 そうそうDVDで初めて観る方には、日本語字幕での視聴をお勧め。黒澤作品はセリフが聞きづらいのが唯一の弱点のため。 【Q兵衛】さん [映画館(邦画)] 10点(2014-04-11 16:02:56) |
【pillows】さん [DVD(邦画)] 10点(2014-03-29 14:37:21) |
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135.《ネタバレ》 やっと観れました!ずーっと観たかったのですがなかなかご縁に恵まれずネット系DVDレンタルにて鑑賞。もうぉ勝手にハードルが上がってるにもかかわらず大変面白かった!! 皆様仰せの音声が聞き取りにくいこともなく(改善されてたのかな?)黒澤ワールドを堪能致しました。観る前は約3時間半の長丁場、果たして大丈夫か?(自分が耐えれるか)と心配してましたが心配ご無用、全く問題なく一気に観てしまいました。いやーとっても面白いよ、菊千代の弾けっぷりは最高! 黒澤明監督珠玉の一作、さすが名作と呼ばれるだけのものはありますね。約60年前の作品ですが時を超えて我々日本人の何かに訴えかけてくる。。。ご覧になってない方は是非ご覧になって下さい。 【Kaname】さん [DVD(邦画)] 10点(2014-01-14 08:46:24) |
134.映画史上最高の迫力を持つ戦闘シーン。飽きさせないストーリー。野武士の攻め方に難ありとか、セリフの聞き辛さがたしかにあるが、何度繰り返し見ても楽しめる間違いなく傑作中の傑作。 【竜ヶ沢中段】さん [DVD(邦画)] 10点(2013-10-21 21:45:12) |
133.《ネタバレ》 二回目の視聴。やっぱり面白すぎる!一人一人のキャラがたっていて、引き込まれます。 なんてったって、菊千代。かっこよすぎるわ!弱きに優しいんだけど、照れ屋で、わざとつっけんどんに接する。 脚本、見せ方、演技、どれをとっても素晴らしい!初めて見た時は、白黒で、台詞聞き取れなかったけど、気づいたら前半終わってる位のめり込めました。 本当に名作中の名作。 【kontiki】さん [DVD(字幕)] 10点(2013-07-29 02:14:10) |
132.この映画の前では他の映画が幼稚園のお遊戯会に見えてしまう。それぐらいずば抜けているのです。 【maguro】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-12-25 23:17:56) |
131.もう何度も観た作品だ、この作品は最近のVFXやSEで飾り立てられた作品の後に観ると、また感動するんだな。これが。 【min】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-12-22 19:26:22) |
130.やたらに傑作扱いされているから、いっちょケチをつけてやろう・・・。そんな気持ちでレンタルしたのが中学二年生の時。そう、まさに「中二病」真っ盛りであった(笑)。だが結果は私の大敗。この映画はぞっとするほど緻密に完成されていた。緻密といっても、設定が作り込まれているとか、世界観の説明ができているとか、そういった退屈な類の緻密さではない。この映画の緻密だったのは、言わば映画の脈拍のコントロールだ。出来事やセリフが実に精密に、狙いすまして配置してある。これはもはや、努力で何とかなる分野ではない。天性の計算力と、ひょっとして(失礼な言い方になるが)少しの化学反応的偶然が絡み合って、やっと形になるものではないだろうか。この配置から生まれるリズムに、中学二年生の私は酔いしれた。べつに映画監督を目指しているわけでもないのに、まるで勉強でもするように繰り返し見て「なるほど、なるほど」と構成を頭に叩き込んだ。あの時間を学校の勉強にあてていれば、その学期のテストの点数も幾らか良くなっただろうに、アホなことをしていたものである。まあ、良い思い出だ。 【肛門亭そよ風】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-12-09 15:04:29) |
129.サッカーと言えばブラジルかイタリア ジャズと言えばアメリカ クラシック音楽といえばドイツかオーストラリア エンターテイメントと言えばアメリカ? いえいえ、七人の侍を超えるエンターテイメントがありましたか? 最高のエンターテイメントを作ったのは日本の黒沢明監督です。 【sky】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-12-05 22:56:18) |
128.日本映画の最高の作品のひとつでしょう。はじめはテレビ放映されたものを見てあまりの面白さに驚き、後にリバイバルされた際に映画館で見ることができ、とても嬉しかったのを覚えています。セリフは確かに聞き取りづらい。初めて見た後、ちょうど大学の図書館に、黒澤明映画の脚本全集が置いてあるのを見つけ、自分が聞き取れなかったセリフを逐一チェックしたのも良い思い出です。(正直に言えば、初見時評価は9点、セリフの中身が全部理解できたところで、+1点の10点というのは否めません。残念ながら。) 【Northwood】さん [映画館(邦画)] 10点(2012-09-02 14:35:44) |
127.207分という長丁場ながら、それは7人の侍達はもちろん村人に至るまで1人1人のキャラクターやその背景を細かく描写しドラマ性を高めるためのもの。シーンがまるで長回しかのように無駄なくつながっていきストーリーテリングも巧みなため長さを全く感じさせない。その個性豊かな面々はそれを見た年頃、年代によっても解釈が遷り変わり見るたびに違う種類の感銘を受けるほどだ。今でも全く色あせないその迫真に満ちた決戦シーンも含め、日本映画のみならず世界映画史上に残る傑作の1つですね。 【Arufu】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-04-27 03:22:28) |
126.《ネタバレ》 今になってふと思いついての投稿ですが実はすでに十回ほど見てます。私のベスト1の映画です。リメイク版の「荒野の七人」も大好きですが本家のこちらは文句なし。楽しめる映画のすべての要素を盛り込んだ傑作だと思います。個々のキャラもまた魅力的です。 【仁】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2012-02-12 11:40:03) |