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1.  パスト ライブス/再会 《ネタバレ》 
見終わるといくつかのシーンが頭から離れない。本当に美しい106分間でした。  主人公のノラは小学校時代にソウルからカナダに移住し、いまは家族とも離れて作家としてニューヨーク暮らし。ノラの小学校時代の(両想いの)幼なじみヘソンは、途中で兵役や上海に留学した期間もあったけど、基本的にはソウルにとどまっている。NYで自分のキャリアを追求してどんどん前へ進んでいくノラと、ソウルでなんとか暮らしながら、いつも同じメンバーの男友達と焼き肉屋でのやりとりを繰り返すヘソンの描き方は、とても対照的。二人は10年前にSkypeを介して遠距離でやりとりするも、結局会えないまま。そして現在のNY、結婚したノラのもとにヘソンが尋ねてくる。24年ぶりの再会は果たして・・・というストーリー。  広告や予告編のイメージでは、コリアン・アメリカンの女性がかつて恋人だった一途なイケメン韓国男性とNYで再会、というキラキラ恋愛ストーリー風だったのだけれど、実際見てみたら全然違ってた。たしかにヘソンは一見イケメンではあるのですが、NYに降り立った彼の野暮ったさ。今どき英語も片言でいつも自信なさげ。それでも、ノラと時間を過ごすうちに、彼の迷いや気持ちが、台詞というよりも佇まいや表情、語っている言葉の裏側から少しずつ見えてくる。その過程が、とても自然で、リンクレイター監督のカップル再会ものの傑作『ビフォア・サンセット』を思わせる、自然な会話と態度の変化が、雨のニューヨークを舞台に丁寧に描かれていました。  そして象徴的な場面の数々。冒頭のノラと夫のアーサーそしてヘソンの3人の並び。子ども時代のノラとヘソンが別れる「分かれ道」。そして、ラストのウーバー車を待つノラとヘソン。どれも台詞はほとんどないのですが、空間の切り取り方と間の取り方がすばらしく、どれも脳裏に焼き付いています。とくに、ラストのノラのアパートを出て歩くシーンは、「無言であることに悶絶する」屈指の名場面です。これを映画館で味わえたのが一番の幸福だったかもしれません。やっぱり大作以外は配信に偏りがちな映画鑑賞習慣を見直さなきゃと思いました。  結局、ノラとヘソンは、子ども時代の「分かれ道」で言えなかったことを言うために、24年間かけてきたわけですが、「あの時こうしていたら、ありえたかもしれない二人の姿」を思いながらも、「いま」を抱きしめるラスト。こんなド直球な大人の恋愛映画、本当に久しぶりでした。冷静にみれば、アーサーもヘソンも「いい人」過ぎて、ちょっと主人公にとって都合良すぎな感じもありますが、それを補って余りある美しいシーンの数々と自然な会話の脚本をぜひ堪能してもらいたい。  蛇足ですが、FacebookやSkype(とくに着信音)が、ひと昔前のノスタルジックな感情をかき立てる小道具としてとっても効果的だったのには、時の流れを感じました。
[映画館(字幕)] 9点(2024-04-25 07:52:19)
2.  バービー(2023) 《ネタバレ》 
まず、グレタ・ガーウィグの映画は好きだけど、これだけエンタメに振れた作品って初めてでは。その点ちょっと不安だったのだけれど、名作映画オマージュやら時事ネタも散りばめながら、まず楽しかったのが何より。冒頭の「2001年」オープニングはいいのだけれど、その後のバービーランドの描写が個人的にはなかなかキツく、この調子で2時間は辛い、と思い始めたあたりからグングン面白くなりました。まさに「現代フェミニズム入門」的な内容で、近年の「男社会」批判(有毒な男性性、ホモソーシャル、マンズプレイニングなど)がうまくエンタメに組み込まれていて、とくに「フォトショップの使い方を聞く」「ゴッドファーザーを語らせる」あたりは本当にツボでした。ただ、ケンがたくさんいるわりには人種以外のバリエーションにとぼしく(アランという別人格がいるから、というのもあるだろうけど)、ここに弱者男性キャラみたいなのが話に絡んでくると、ますます現代フェミニズム入門映画としてふさわしかったかもしれない。  残念だったのはマテル社のほうの描き方。幹部が全員男性なのは皮肉なのでしょうが、あまりそれが物語上活かされていない。ウィル・フェレルのコメディセンスは本作と相性よさそうなのに、どうにも空振り気味。結局最後までイマイチ何がやりたかったのかわかりにくく、テーマ的にもちょっとノイズでした。あと、もうひとつ。「家父長制が・・・」とか「女性の現実を知って目覚める」みたいな部分を解説調の台詞で説明しちゃった箇所もちょっと残念。第二波フェミニズム時代のコンシャスネス・ライジングであり、今風に言えば「Woke」なんだろうけど、見てればわかるから、あの解説台詞はちょっと観客を冷ましちゃったのではないかな。あそこだけ「フェミニズム入門」講義のようでした。  そして、ラストのラスト。バービーが行った場所があそこだったというのは、ちょっと深すぎて考え込んでしまったよ。一人の人間として生きればいい風だったラストで、やっぱり「女性であること」がそこでズシリと重く響く。スッキリというよりも、「え・・」っとしばらく困惑しながらエンドクレジットを見ることに。そのあとジワジワとその意味みたいなものが浮かんできたけど、まだ腑に落ちたわけではない。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-12-10 15:30:53)(良:1票)
3.  ハイスクール白書/優等生ギャルに気をつけろ! 《ネタバレ》 
邦題に恵まれない女優(笑)リース・ウィザースプーンの出世作にして、アレクサンダー・ペインの監督デビュー作。主人公の1人トレーシーは、日本的な意味での「優等生」というよりは、本作中にも出てくる「overachiever」という言葉がぴったり。何にでも必要以上の努力をしてしまう非人間的でちょい恐ろしげなトレーシーの人物像を、嫌みにならない程度のユーモアで包むことに成功したのは、なによりリースの好演がある。一方で、彼女に振り回されるマクリスター先生役のマシュー・ブロデリックは、中途半端に人がよさそうな感じが彼の行動への嫌悪感というか、いやーな感じを増幅させていて、これを映画として楽しめるかどうかが、映画の評価の分かれ目になりそう。個人的には、彼の行動は、いわゆる「小市民」的な人がハマってしまいそうな落とし穴の描き方が見事過ぎて、ちょっと笑えない程度に怖かった。たぶん、同じ系統の作品としては『ファーゴ』があると思うけど、仕事とか不倫とかを扱ったこっちのほうがはるかに怖い。とくに、冒頭の冷蔵庫から掃除したばかりの床に食べ物を投げ捨てるシーン。本人に悪意はないのに、ちょっとした配慮のなさが、その身の破滅をもたらすのだよ・・という恐ろしい教訓でした。ただ、この作品の面白いところは、悪夢的な終盤の展開の後、物語の結末がなぜかハッピーエンド調になっているところ。共和党の(←トレーシーらしくてちょっと笑う)代議士の秘書になっているトレーシーだけでなく、破滅したはずのマクリスターまでも、なんとNYでそれなりに楽しそうに生きているのだ。なんという懐の深さ。見てる自分もちょっとホっとして、人生というものの深みをじんわりと感じさせてくれる。単なる破滅型ブラックコメディで終わらない、アレクサンダー・ペイン作品の魅力の片鱗が味わえます。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 7点(2020-02-25 03:51:10)
4.  パッセンジャー(2016) 《ネタバレ》 
120年の宇宙旅行中に冷凍睡眠状態からなぜか覚醒してしまった男女、という設定は絶妙。その裏にある「秘密」は、まあ想像どおりではあったけれど、ジェニファー・ローレンス&クリス・プラットの主演俳優2人の圧倒的なスターパワーで押し切った感じ。とくにジェニファー・ローレンスは、旬の女優が放つセクシーなオーラだけでなく、「秘密」を知って豹変する表情など演技も絶品。熱愛ピークからの居心地最悪の地獄絵図状況に、こちらまで居たたまれない気持ちになりました。ただ物語の雲行きは、後半のローレンス・フィッシュバーンの登場あたりから怪しく・・・。彼の登場と退場は物語的に都合よすぎる(あの何でもできる腕輪を渡すため、だけのように見える)。不具合の真相は、それぐらい想定しておけ、としか言いようがないことだし。アクション演出自体もしょぼい。ラストの選択は、無理矢理眠らせる方向にしないと、彼が「やったこと」の責任は宙ぶらりんになってしまう。だいたい「孤独」の厳しさ・恐ろしさを知ってるジムだからこそ、自分が死んで彼女を1人でも生存させること以外の選択肢をなんとしても探ってほしかった。せっかくの秀逸な設定で描かれる「愛」の表現が、一回命かけて守った、その後は二人でイチャイチャするってところだったのが残念。もっと違うかたちの描き方あったんじゃないかなと思いつつ、まあ美男美女の幸せそうな画でなんかごまかされた気分。あと、邦題。なぜ単数にしたんだろう。まったく意味がわからない。
[インターネット(字幕)] 5点(2019-11-30 22:13:55)(良:1票)
5.  バイス 《ネタバレ》 
アダム・マッケイ監督の前作『マネー・ショート』は公開年の個人的ベスト映画だっただけに、同じ路線の政治ドラマコメディとして期待値が上がりまくった状態で鑑賞。面白かったけど、期待したほどではないか・・・というのが見終わった第一印象。前作も今作もポイントは、ある人の成功物語の背後に世界的な悲劇が存在するという両義性にあると思います。思わず笑ってしまうんだけど、実はこの笑いの裏に惨劇・悲劇が潜んでいるという居心地の悪さ。今作も、ホワイトハウスでのややバカバカしい会話劇の合間に、空爆や拷問などの目を背けたくなるシーンが挟み込まれています。ただ今回は、惨劇面は「言われなくてもわかっている」感はあるので、ちょっとしつこいというか、くどい印象もありました。そこは前作くらいのバランスのほうが効果的だったか。演技面は、あいかわらずの外見まで変えてきたクリスチャン・ベイルをはじめ、エイミー・アダムスのリン・チェイニーも、スティーヴ・カレルのラムズフェルドも、サム・ロックウェルのジョージ・Wも全部すばらしく、めちゃくちゃ高いレベルの演技を堪能できて、それだけでも楽しいです。ナレーターの正体のアイデアは面白いと思ったけど、この物語でこのプロットがどこまで重要だったのかは、よくわからない。そして、「あえて」チェイニーの内面を描くことを避ける(「そのとき彼が何を思ったのかはわからない」というナレーションは秀逸)手法も、とても興味深いと感じたけれど、その意義はまだ自分のなかでうまく理解というか落とし込めていない。全体としては、もう少し時間がたつか、何回か繰り返して見ると、じわじわとこの映画の良さ、斬新さがわかってくるのかもしれない、そういうタイプの作品でした。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 7点(2019-09-14 22:21:59)
6.  ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー 《ネタバレ》 
ほぼ期待ゼロで見たせいか、思ったより楽しかった(という人、多いですね)。フツーに冒険映画として映像的見所も多く、騙しダマされな後半もそれなりに楽しい。ただ、『スターウォーズ』のサイドストーリーとしての魅力・・といわれると大いに肩すかし。そもそも主人公がハン・ソロには見えないし、キャラもあまり立っていない。ヒロインのエミリア・クラークは影があってよかったけど『ゲーム・オブ・スローンズ』のイメージを引きずっているだけのようにも思える。『ローグワン』でも気になったドロイドの「狙いすぎ」なキャラ設定は私は否定派。前半はあちこち金かかっていたのに、後半地味で単調なアクションに終始しちゃったのはスケジュールの関係? そして、ラストのあいつ。アニメのことなんて知らないよ。一瞬これって「エピソード1」の前日譚だっけ、でもだったら「エピソード4」のハン・ソロって何歳?などと余計な混乱で頭を抱えての終幕。ついでにいえば、あそこって『クローンウォーズ』見てた人にとっては「キターーーー!」ってアがるところなのか聞いてみたい。最後に、ロン・ハワードに監督させるんだったら、もう少し時間あげようよ(クリスマス公開でよかったのに)。『レゴ・ムービー』コンビの「やり過ぎ」路線を軌道修正するためだけにロン・ハワードを連れてくるっていうのは贅沢過ぎるけど、彼のキャリアに対する敬意が足りん(「レゴ」コンビに対しても!)。ディズニー版SWは経営陣なのかプロデューサーなのか、マネジメント面の問題が目立ち過ぎで、その雑音のせいで素直に楽しめないのも本当に本当にマイナス。
[映画館(字幕)] 4点(2018-08-16 17:18:33)(良:2票)
7.  バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生 《ネタバレ》 
もうザック・スナイダーには雨と夜を禁止にしたい。バットマンが主人公だから夜主体になるのはしょうがないし、ノーラン版よりはアクション・シーンも何が起きているかはわかった。けど、こうも終始雨と夜のシーンばっかりだと、さすがに見ててうんざりくる。一度前に見て、まったくダメだと思ったのだけれど、『ワンダーウーマン』見て、あらためて見てみたくなって再見。でもやっぱりダメなものはダメだ。娯楽大作のはずなのに一見さんお断り感満載の回想やら夢やらのシーンを支離滅裂に詰め込み、登場人物の動機はどれも「まあ、わかるけど、そんなに怒らなくても・・・」みたいなのばっかりで感情移入もできない。スーパーマンとバットマンのスケールの違いが、悲しいくらいに物語のバランスを崩しているし、レックス・ルーサーは劣化版ジョーカーでしかないし、最後のアイツに至っては、もう笑うしかない。ワンダーウーマンはめちゃくちゃいいが、この映画で一番かっこいいのがワンダーウーマンっていう点で単体の映画としてはダメだろう。それから、マーベルにも言えることだけど、映画の総予告編化っていうの、いい加減にやめてほしい。いつから映画にとって大事なのが、完結した1つの物語を楽しむことよりも、次回作を見にいかせることになったのだろう。次回作見ても、どうせそれは次々回作の予告編でしかなく、永遠の予告編ループで観客が飽きたら、きっとあっさりと打ち切られるんだろう。マーベルは、それでも単体で楽しませることがある程度できているからましだけど、この映画は絶対にダメだ。ワクワクするわけでも、へえーっと考えさせられるわけでもなく、ただ陰鬱な気分になるだけの夜と雨ばっかのヒーローものを何作もみんな見たいんだろうか。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2017-09-15 20:56:56)(良:1票)
8.  ハドソン川の奇跡 《ネタバレ》 
短くシンプルな作品ではあるけれど、うーん少し疑問が。結局、この映画は事故に関わったすべてのプロフェッショナルたちが「自分の仕事」をしたことで「奇跡」が起きたということを美しく描いているのだと思うのだけれど、唯一ちゃんと仕事してないのが、NTSBの調査官だ。ラストの公聴会でのサリーの主張は、「え、そんなことNTSBが考えてないわけないでしょう」というもので、NTSBからどんな反論が用意されているのかと思えば、なんと本当にNTSBは考えてなかったらしく、そのまま大逆転からの大団円(どころかNTSBによるサリーへの絶賛付き)・・・・。数十年前の話ならともかく、今時、再現シミュレーションにヒューマン・ファクターによる時間ロスぬきで計算していたなんて、普通に考えてあり得ないでしょう(とはいえ、実話ベースの話なので、それも実話なのだろうが、そうであるならなおさら、なぜNTSBがヒューマンな要素を抜きで計算してしまったのか、についての検証も必要な気が・・・)。NTSBの「壁」があまりに脆かったので、個人的には物語的なカタルシスの行き場がなく、「これで終わり?」という結末でした。とはいえ、NTSB以外の事故シーンにおける淡々とした描写には、イーストウッドらしい「引きの美学」が満載で、どんな派手な再現ビデオよりも素晴らしい人間賛歌であったと思います。であるがゆえに、NTSBの調査官も市井の人であり、プロフェッショナルであることをきっちりと描いてほしかったし、そうであればこそのこの事故検証劇だったのだと思うのです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-08-01 12:55:30)
9.  バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 《ネタバレ》 
イニャリトゥ監督のコメディでしかもオスカー受賞ということもあって、やや期待値高めでの鑑賞でしたが、結果的にはうーん、という感じ。まず撮影についてはすごいです。劇場を中心とした密室劇的な構成なのもあるのですが、ワンカットでひたすら続くカメラワークには唸らされます。エマニュエル・ルベツキは、現在の撮影監督の最高峰といえるでしょう。そして、マイケル・キートン、エドワード・ノートン&ナオミ・ワッツのアテ書きっぽい設定だけでも楽しめるし、エマ・ストーンのちょっとスレた演技も印象的。全体に漂う皮肉っぽい独特のムードも好みです。ただ、ドタバタがドタバタしきれない消化不良な感じを終始感じていたのも確か。ちょっと捻りのきいた映像や台詞でごまかされるけど、よくよく考えてみれば、いかにもよくあるシチュエーション・コメディな展開で、そもそも「ブリーフでNYの町を歩く」って面白いのか?という気にさえなってくる。面白くはないのだけれど、人生の苦みを表現した一種の「雰囲気映画」と考えれば、まあ楽しめる作品に仕上がってると思います。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-03-11 15:11:04)
10.  her 世界でひとつの彼女 《ネタバレ》 
いやあ、スカーレット・ヨハンソンに「サマンサ」役をあてた配役の勝利。ハスキーで明瞭さに欠けるあの声は、ふつうに考えれば、もっとも人工音声向きではないのだけれど、これがドはまり。これを考えた人(スパイク・ジョーンズ?)はすごい。そのおかげで、人工知能との恋愛というテーマにも妙に自然に入っていけた。そして、恋愛って何だろうということを妙に深く考えさせるエピソードの数々。声だけのセックスはOK(ここは『恋人たちの予感』のメグ・ライアン以来の名シーン!)なのに人間の体を借りたら急に気分が下がったり、ラストのサマンサの告白をどうしても受け入れられないセオドアなどなど。久々にスパイク・ジョーンズらしい皮肉とユーモアと探究心が同居する世界を楽しめました。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2014-08-12 22:59:19)
11.  パシフィック・リム 《ネタバレ》 
はじめて日本語吹き替えで見なければと思った作品。某社の機内上映で吹き替え版放送があったので鑑賞。もちろん、3DでもIMAXでもないが、この映画の魅力は十分伝わった。最初の出撃まではダレダレで選んだのを後悔しかけたけど、後半のバトルに入ってからはもう楽しすぎ。幼少期に早起きして再放送のウルトラマン見てる気分で楽しめました。ただ、視聴環境のせいもあってか、怪獣バトルアクションの狭間に見え隠れするハリウッド的な要素がうざい。たとえば、主人公のマッチョな外見。やっぱり、この手のロボット・アクションの主人公は線の細い「少年」であってほしい。逆にヒロインは菊池凛子ではない。あのパワースーツみたいなのが似合う女優は他にもいるでしょう。ついでにラストの海上での抱擁もいらないなあ。怪獣の不満はみなさんの言うとおり。少なくとも最初から最後まで外見が同じなのは残念。ウルトラマンやエヴァもそうだったけど、怪獣の「個性」は、僕はこの手の作品にとってはとっても大事だと思う。外部の「敵」を均質なものにしたがるのはハリウッド映画(だけでなくアメリカ文化)の特徴だけど、敵の「個性」を(愛憎こめて)丁寧に描くのは怪獣映画やロボットアニメの美学のようなものだと思う。そこを落としてしまったこの作品は、怪獣バトル風味のハリウッド映画なんだなあと・・・。そういう意味ではラストの謝辞はちょっと残念な感じ。
[DVD(吹替)] 7点(2013-12-08 03:31:19)
12.  ハート・ロッカー
なぜか劇中、主人公に振り回される同僚サンボーンの気持ちになって見てました。こういう狂気スレスレの主人公というのは戦場ではたいへん優秀だったりするわけですが、これまでの戦争映画にありがちだったヒロイズムを徹底して廃した映像から、この主人公が戦場においても極めて迷惑な存在であることが伝わってきます。そんな主人公がヒーロー化しかける後半の展開がお見事。ヒーロー化したって結局は迷惑度倍増で部下に罵られる始末です。このあたりから、僕はひたすらサンボーンの無事の帰還を祈ってました。そんな私は、この作品の「真意」をつかみ損ねていると思いますが、映画的にちゃんと見せ場を作って盛り上げつつ、同じようなテーマを描いていた『地獄の黙示録』やら『プラトーン』のほうが断然よかったんじゃないかなと思いました。
[DVD(字幕)] 6点(2011-01-16 00:45:52)(良:1票)
13.  バベル 《ネタバレ》 
アメリカ、モロッコ、メキシコ、日本の4つの世界が「つながり」を持っているということよりも、そこに存在する「断絶」のほうが印象的でした。アメリカ人夫婦のためには政府が動き、メディアが動き、(多少遅れてブラピが焦ったとしても)ヘリが飛ぶ。日本の女子高生がいくら暴走しても「君は悪くない」と言ってくれる人がいる。でもアメリカの子どもの親代わりを真面目に勤めてきたメキシコ人のメイドは、自分の息子の結婚式に出たかったばっかりに仕事と住む場所を失い、モロッコの子どものちょっとしたいたずら心が、家族の破滅を招く。因果応報とはいいますが、小さな過ちから立ち直るチャンスを与えてもらえるのかどうか、それが私たちが生きる世界の「不平等」なのだと痛感しました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-08-30 15:21:27)(良:2票)
14.  バットマン ビギンズ 《ネタバレ》 
シリーズ映画では、ネタが尽きてきたところでその序章的な作品をやるというパターンはよくあります。そんなわけで、ああバットマンもネタ切れなのかなと思い、結局劇場で見ることがありませんでした。しかし、いざ見てみれば、クリストファー・ノーラン監督によるバットマンの見事な再創造でした! ヒーローものとは思えない渋い俳優の競演も含めて、「正義」を問い続ける新しいバットマンの誕生物語として期待以上の出来でした。ラストシーンも含めて、傑作『ダークナイト』への壮大なイントロダクションとなっています。難をいえば、忍者軍団がローマなどの堕落した文明を滅ぼしてきたという設定でしょうか・・・。あの忍者軍団にそこまでの力があるようには見えず、ここだけ子ども向け戦隊モノみたいだったのが残念でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-03-19 20:12:31)(良:1票)
15.  バタフライ・エフェクト/劇場公開版 《ネタバレ》 
予備知識ほとんどなしで見ました。序盤のスリラー調の演出から一転してタイムトラベルものになり、最期はちょっと切ないラブストーリーという展開には飽きずに楽しめました。脚本もがんばっていたと思うけど、残念なのはやっぱり主人公のヒロインに対する思いの深さが序盤に伝わってこないこと。子ども時代に二人に絆の強さを示すようなエピソードがほしかった。ただ、この点は実は主人公の「片思い」だったという解釈もできる。過去の小さな出来事の変化で、彼女の彼への思いは簡単に覆ってしまう。そういう部分の「切なさ」も主題としてド~ンと出してくれたらあと2点は評価が上がったかも。あと、個人的にはラストのオアシスはNG。ストリング中心のBGMで静かに終わってほしかった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-07-19 10:10:50)
16.  パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
やたら長いし、ジャックとウィルとエリザベスを妙な三角関係にしたせいで、映画の爽快感そのものも失われてしまった。この映画に求められているのは『マトリクス』の謎解きでも、『指輪物語』の壮大な世界観でもなく、ディズニーアトラクション的な爽快感だと思うんだけどなあ。正直、ジャック・スパロウの謎とか、たいして印象に残ってもいない前作のキャラクターの再登場とかどうでもいい・・・。ただ2時間、冒険を楽しませて最後はスッキリさせてもらえればよかったのに。
[DVD(字幕)] 4点(2007-01-08 07:29:29)(良:1票)
17.  パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
ジョニー・デップのアウトローぶりと、ディズニーアトラクション系エンターテインメントの奇跡のような共存。だけど見所はそれだけ。長いし、解説しすぎの演出のおかげでテンポも悪い。アクション・シーンも新鮮さには欠ける・・・。インディジョーンズ・シリーズのようにグロテスクなヘビや虫やクモなど登場しないぶん、子どもと一緒にみるには、楽しい映画なのかもしれない。ただ、個人的には、ヘビや虫は大嫌いだけど、こーゆー温室培養のような清潔さでパッケージされたアドヴェンチャー映画というのは、なにか物足りない。
[DVD(字幕)] 6点(2006-07-20 08:50:54)
18.  バーティカル・リミット
これはキビしい。典型的な「予告編」映画。期待の雪山描写も予告編だけで十分。クリス・オドネルもアクション映画の主役としては微妙だなあ。
[地上波(吹替)] 3点(2006-01-07 11:07:25)
19.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
全体を支配する緊迫感の割には、物語そのものがゆったりと展開しているので少し退屈もしますが、ブラックなジョークの切れ味はさすがです。事件のきっかけとなるリッパー将軍の抱える「恐怖」は、テロの恐怖を煽りながらいつのまにか思い通りの政策を実践している(そして再選してしまった)某国大統領をめぐるアレコレを彷彿させます。映画の内容そのものは冷戦時代の核抑止政策を皮肉ったものですが、そこで描かれる恐怖に支配される人間の姿は、現代でも色あせることはないでしょう。笑いながら背筋が凍る思いをするという貴重な体験を味合わせてくれます。それでも、満点からマイナス2点にしてしまったのは、肝心のストレンジラブ博士の役回りがよくわからなかったためですが、たぶん何度見ても新しい発見がある映画だと思います。というわけで、現段階の評価ということで8点です。
8点(2004-11-23 20:49:59)
20.  パニック・ルーム
よくできてて面白かったと思うけれど、監督がデヴィッド・フィンチャーだと知ってしまうと、やはりちょっと物足りなかった。悪役側のまとまりのなさとフォレスト・ウィテカーのいい人ぶり(でも完璧に正義の味方になっちゃうわけでもない)は、「冷酷な敵に追われる主人公母子」というスリラーの構図を微妙にぐらつかせて、見ているほうに居心地の悪さを感じさせる。けれど、これも「一筋縄ではいかない」フィンチャー監督のねらいなのか? それとも、単に演出がダレているだけなのか? そのへんがよくわからない。
6点(2004-10-25 13:10:29)
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