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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 615
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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201.  バレンタインデー(2010) 《ネタバレ》 
 普通ならクライマックスに発生するだろう「プロポーズの成功」が冒頭にて起こる為(これは、どんな話になるんだ?)と興味を引かれる構成になっているのが上手いですね。   パターンとしては「その後なんやかんやあって破局しそうになるが、何とか無事に結婚する」「幸せの絶頂にあった主人公だが、プロポーズした相手と別れる事になってしまう」という二通りの展開がある訳ですが、本作は後者の方。  ただ、肝心の「プロポーズを受諾したはずの女性が、断ってみせる理由」が弱いように思え、残念でしたね。  よりにもよって「仕事人間だから、自分のキャリアを捨てられない」って……身も蓋も無い言い草ですが(じゃあ最初からプロポーズ受けたりするなよ)とツッコみたくなります。  他の登場人物については「実は○○だった」という形で素敵なオチが付いていたものだから、この「プロポーズを断った女性」にも「種明かし的なオチ」が付くんじゃないかと思っていたのに、中盤以降は全く絡んで来ないというのも拍子抜けです。  ここに関しては、もうちょっと何とかして欲しかったところ。   と、そんな不満点もありますが、全体的には面白かったし、何よりも「バレンタインデーらしい、幸せな気分に浸れる」という、素敵な映画でしたね。  何気ないシーンの合間にも、恋人同士でキスする姿が描かれていたりして、なんとも微笑ましい。  上述の「実は○○だった」オチについても「幼い少年が恋心を抱いていた相手は、仲の良い同世代の女の子ではなく、ずっと年上の先生だった」「軍人の女性が会いに行く相手とは、離れ離れで暮らしている息子の事だった」という形になっており、凄く良かったと思います。  アメフトの選手が引退会見をするのかと思ったら「僕はゲイです」と記者達の前で告白し、それによって別れていた恋人と復縁する流れなんかも、綺麗に繋がっていたかと。  この辺りの「登場人物の運命が、少しずつ交差して繋がっていく快感」については、同監督作の「ニューイヤーズ・イブ」よりも優れていた気がしますね。   印象的な台詞も幾つかあって、それがロマンティックな代物だけじゃなく、コメディタッチな面白い台詞もあったりするんだから、嬉しい限り。  子犬を抱いたオバサンの「一分で着替えてくるから、私も交ぜて」って一言なんて、本気なのか冗談なのか、もう気になって仕方ないです。  「バレンタイン大嫌いディナー」に集まった女性陣が「結婚してやがった」「同じ男だった」などと恋人に対する怒りを呟きながら、憂さを晴らすべく騒いでみせる姿なんかも、凄く好き。   ロマンティックな台詞としては……色々あって迷うけど「その美女って、お婆ちゃんだったんだ?」「お婆ちゃんは今でも美女だ」という孫と祖父とのやり取りが、一番良かったと思いますね。  この孫というのが「年上の女教師に恋した少年」「久し振りに母親と再会出来た息子」と同一人物だったりする訳だから、数多くいる登場人物の中でも、特に印象深い。  可愛らしいルックスだし、言動も健気だし、花屋の男性との不思議な関係性も良かったしで、本作のMVPには、彼を推したいくらいです。   ラストの恋人同士のキスシーンにて「イマイチだった」という一言を漏らす女性には(おいおい、最後の最後でそれかよ)と落胆しかけたのですが、その後しっかり「だったら練習しなきゃ」とフォローが入る形になっており、再びキスしてハッピーエンドで終わってくれるのも、嬉しかったですね。   NG集における「プリティ・ウーマン」を連想させる発言は微妙に思えちゃいましたが、まぁ御愛嬌。  念願叶って、バレンタイン当日に観賞する事が出来たし、満足です。
[DVD(吹替)] 7点(2020-03-01 21:26:52)
202.  ニューイヤーズ・イブ 《ネタバレ》 
 前々から観たいと思っていたタイトルを、待ちに待って大晦日に観賞。   この手のオムニバス形式の映画だと、観賞後には「どのエピソードが一番好きだった?」という話題で盛り上がりたくなるものですが、自分としては「仕事を辞めた女性と、メッセンジャーの男性」の話がお気に入りでしたね。  年明けを目前として「今年の誓いリスト」を次々に達成していく様が痛快であり、ベタな表現ですが「これ一本で映画にしても良かったな」と思えたくらいです。  「ハイスクール・ミュージカル」などで、ティーンズの印象が強いザック・エフロンが、髭を生やして働く若者を演じているのも初々しくて良かったし「私、貴方の二倍の歳よ?」なんて言っちゃうミシェル・ファイファーも、実にキュート。  豪華キャストの中でも、この二人が特に光っているように感じられました。   その他のエピソードとしては「新年最初の赤ちゃん」と「エレベーターに閉じ込められた男女」が印象的。  前者にて「新年最初の出産を迎えた夫婦に贈られる賞金」を巡り、争っていた二組の夫婦が、出産後には和解し、片方がもう片方に賞金を譲る形で決着を付ける辺りなんて、とても良かったです。  後者に関しても、男女のロマンスとしては、一番綺麗に纏まっていた気がしますね。  男性が女性を追い掛け「忘れ物」と言ってキスをするシーンなんて、観ていて照れ臭い気持ちになるけど、ベタで王道な魅力がある。   他にも、様々な形で複数のカップルが結ばれており、誰もが幸せになるか、あるいは「悲しみを乗り越えて、一歩前進する」という結末を迎えており、非常に後味爽やかな作りなのも、嬉しい限り。  ・年明けのカウントダウンが主題となっているのに、時間経過が分かり難い。 ・個々のエピソードの繋がりが弱く、複数の流れが一つの大きな結末に収束していく快感は得られない。 ・ラストのNG集は、無くても良かったかも?   なんて具合に、気になる点も幾つかありましたが、作品全体を包む優しい雰囲気を思えば(まぁ、良いか……)と、笑って受け流したくなりますね。  大晦日というベストな環境で観られたゆえかも知れませんが、満足度は高めの一品でした。   ……それと、自分の「2018年の誓いリスト」には「バレンタイン当日に『バレンタインデー』を観る事」と書かれている訳ですが、果たせるかどうか。  二ヶ月後を、楽しみに待ちたいと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2020-03-01 21:23:18)(良:3票)
203.  フラッド 《ネタバレ》 
  これは……  「途中までは面白かったのに」ってタイプの映画ですね、残念ながら。    クレジットではモーガン・フリーマンが一番上になっているけど、物語の主人公は間違い無くクリスチャン・スレーター演じるトムの方って時点で、既に歪というか、どこかバランスが狂ってる感じ。  両者を好きな自分にとっては「夢の共演」と言える映画のはずなのに、この二人が手を組む流れも雑に思えちゃって、全然興奮しなかったです。  トムに関しては凄く好きなタイプの主人公で、スレーターが演じた役柄の中でも一番じゃなかろうかと思えるくらい気に入っていただけに、途中から(何でそうなるの?)って展開になってしまったことが、本当に惜しい。   繰り返しになりますが、途中までは面白かったんです。  町が水浸しになっている光景だけで、如何にも「非日常の世界」って感じがしてワクワクしちゃったし、狭い室内でのジェットスキーを駆使したアクションなんかも、目新しくて興奮。  牢の中にまで水が押し寄せ、溺死しそうになったところを間一髪で助かる場面なんて、本当にドキドキさせられましたね。  口喧嘩ばかりしているけど、実は強い絆で結ばれていた老夫婦の存在など、脇役の魅力も光っていたと思います。  「他人様の金を命懸けで守るなんて、下らん仕事さ」と自嘲していた相棒のチャーリーが、実は裏切り者だったと明かされる流れも、程好い意外性があって好み。   じゃあ、何で「残念映画」と感じてしまったかというと……  やっぱり、主人公のトムと、モーガン・フリーマン演じるジムが手を組む流れが、無理矢理過ぎるんですよね。  せめて、もうちょっと「トムVSジムVS保安官達」という三つ巴展開を描き、終盤にてようやく緊急避難的にトムとジムが手を組むとか、そういう形にした方が良かったんじゃないでしょうか。  本作の場合「金に目が眩んだ保安官達が、敵になる」というだけでも充分にサプライズ展開だったのに、そこにプラスして「トムとジムが手を組む」っていう展開までセットで押し通しちゃったもんだから、驚きを通り越して困惑に繋がってしまった気がします。   あと「引鉄をひいても弾が出ない」って展開を繰り返しやってるのも興醒めだし、スローモーションの使い方も雑だし、終盤になると脚本だけでなく演出まで一気にレベルが下がっていたように思えるんですが……  (制作現場で、何かトラブルでもあったの?)って心配になっちゃいますね。   途中までは本当(意外な傑作に巡り会えた)(しかもクリスチャン・スレーター主演じゃん! 最高!)ってテンション上がっていただけに、終盤のグダグダっぷりが、返す返すも残念。  スレーター好きな自分としては、彼が主演というだけでも満足度は高めだったのですが……  もうちょっとだけ頑張って「文句無しの傑作」「スレーターの代表作といえばコレ」と言わせて欲しかったという、そんな口惜しさの残る一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2020-02-27 04:38:03)
204.  ロッキー 《ネタバレ》 
 あまりにも有名過ぎて、本編を観る前から結末を知っていた映画というものが幾つか存在します。  それは「第三の男」であったり「猿の惑星」であったりする訳ですが、そんな中でも代表的な一本は何かと問われたら「ロッキー」こそが答えに相応しいのではないでしょうか。  あのラストシーン。互いの名前をひたすら呼び合う二人、抱き合う二人。本やテレビの映画名場面特集などでも挙げられるし、パロディでも度々取り上げられています。  勝敗など度外視し、リマッチの誘いすらも「知った事か!」と言い放ち、自らは殴られて変形した顔でありながら恋人の帽子が無くなった事の方を気にする主人公と、そんな彼に勇気を与えてくれたヒロイン。本当に素晴らしいです。   ラスト以外でも、トレーニングシーンの高揚感も特筆物なのですが、僕が一番好きなのは試合の前夜、ふっと夢が醒めたように現実に引き戻されたロッキーが「勝てる訳が無い」とエイドリアンに心情を告白する場面。  アポロは史上最強と謳われた王者、という当然の現実を受け止めて、冷静に自己分析しながらも、それでも逃げずに戦う。  勝つ為ではなく、自己証明の為に、という姿勢に痺れちゃいますね。   裏話によると、この映画には「偶々通りかかった電車」「偶々オレンジを投げ渡してくれた人」「偶々間違っていたポスター」「偶々大き過ぎた衣装」など、幾つもの偶然が素敵に作用しており、その結果として完成した品であるのだとか。  僕にとって、とても大切で特別な映画でありますし、それと同じように感じるファンを永遠に獲得し続けていく映画でないかな、と思えます。
[DVD(字幕)] 10点(2020-02-26 06:15:12)(良:3票)
205.  なんちゃって家族 《ネタバレ》 
 こんなタイトルとあらすじである以上、結末は「なんちゃって家族が本物の家族になる」しか有り得ない訳ですが……  その予定調和っぷりも含めて、充分に楽しむ事が出来ましたね。   主人公一家となる四人は全員魅力的だったけど、自分としてはジェニファー・アニストン演じるローズのキャラが、特にお気に入り。  「本業はストリッパー」であり「なんちゃって妻」であり「なんちゃって母親」でもあるという、とても複雑な存在のはずなのに、非常にシンプルで女性的な魅力が伝わってくるんですよね。  ちょっと生活に疲れた感じとか、ストリップで生計を立てているけど売春はやらないという明確な線引きを行っている辺りとか、とても良かったと思います。   喧嘩ばかりしてた一家が歌を通じて仲良くなるっていうのも王道な魅力があるし、その一方で、スレた態度の「なんちゃって娘」が花火にはしゃぐ姿が可愛らしいとか、適度な意外性を与えてくれる場面があるのも、良いバランス。  息子の恋路を応援したり、娘の彼氏候補に質問責めしたりと、主人公とヒロインとが段々「父親」と「母親」らしくなっていく様も、実に微笑ましかったですね。  クライマックスにて、主人公が敵役の銃の前に立ち「家族」を守る為に立ち向かう姿にも、グッと来るものがありました。  ・冒頭で金を奪ったチンピラ連中に罰が当たらないまま終わるので、スッキリしない。 ・キャンピングカー好きとしては、主人公達が乗り込む際に車内がどんな構造なのかも映し出して欲しい。 ・「ビビった時は三つ数えてから実行しろ」っていう父から子への助言が、殆ど役に立たないまま終わるのは拍子抜け。   等々、欠点やら不満点やらも色々見つかるんだけど、まぁ御愛嬌。  ラストシーンにて、互いに愚痴りながら「家族」としての生活を続けてる姿で終わるっていうのも、良いまとめ方でしたね。  (そんなこと言って、本当は家族になれて嬉しいんだろう?)と、観終わった後にも口元が綻ぶような、後味爽やかな映画でありました。
[DVD(吹替)] 7点(2020-02-20 14:41:38)(良:2票)
206.  フォーエヴァー・ヤング/時を越えた告白 《ネタバレ》 
 あらすじは承知の上で観賞したのですが、冷凍保存されるまでに二十分以上も掛かる構成には驚かされました。   主人公が軍人という事も相まって、どうしても「フィラデルフィア・エクスペリメント」を連想する内容となっているのですが、あちらの品とは異なり、元の世界で一緒だった女性への一途な純愛モノとして仕上げた事に、独自の魅力を感じられましたね。  途中、現代で出会った女性も交えた三角関係に発展する事を匂わせるミスリードもあったりしただけに、主人公が初志貫徹してくれたのが嬉しかったです。   ラストシーンまで辿り着けば、上述の「元いた世界」の尺が長い事にも納得がいくのですが、それでも「序盤と最後だけ別の映画みたい」という印象も拭えなかったりして、そこは少し残念。   その分、過去からやってきた主人公と、現代で出会った少年との交流部分に関しては、凄く良かったと思います。  ツリーハウスに主人公を匿ってくれて、食べ物や飲み物なんかを届けてくれる辺りも、幼少時の「秘密基地」感覚を刺激してくれて楽しかったし、幼くして父と別れた少年との間に、疑似的な親子のような絆が育まれていく様が、とても微笑ましかったのですよね。  好きな女の子に対してどう接するべきかと恋愛相談してくれる辺りも可愛かったし、何と言っても一緒に「飛行機の操縦ごっこ」をしてみせる場面が最高。  それが終盤の「実際に二人で飛行機に乗ってみせる」展開に繋がる流れには、そう来たかぁ……と感心させられました。   ラストシーンにて、愛する女性と再会して抱き合うだけで終わりではなく、駆け寄って来た少年を彼女に紹介してみせる姿も描かれていましたが、どんな風に話してみせたのかが気になるところです。
[DVD(吹替)] 6点(2020-02-19 17:44:03)(良:2票)
207.  レフト・ビハインド 《ネタバレ》 
 飛行機パニック物としては、それなりに楽しめる代物だったと思います。   ただ、それは裏を返せば「世界中から人々が消失する」という展開に、あまり必然性を感じなかった、という事にもなってしまうのが辛いところです。  だって、作中のクライマックスが明らかに「無事に飛行機が不時着出来た」場面であって、人間消失の件が全く関係無い事になっていますからね。  それこそ機長が消えてしまったのならば意味もあったのでしょうが、本作は主人公である機長が現世に健在であり、しかも彼が有能な人物であるものだから、問題無く不時着を成功させて、それでお終い。  これほど無意味で、なおかつスケールの大きい設定というのも、中々珍しいのではないでしょうか。   神様を信じる者だけが消えてしまったとなると、悪人だけが残った世界なのかと身構えてしまいますが、この映画では、その辺りも極めて曖昧。  肝心の主人公達が「神を信じていない」という一点を除けば、比較的善人である事も相まって、あまり危機感だとか絶望感だとかが伝わってこないのですよね。  何せ、主な舞台となる飛行機内に「こいつは文句無しに悪人だ」と思える人物がいないのだから、外の世界が大変な事になっているのが不自然に感じてしまうくらいです。   原作小説はベストセラーであり、これ以前にも三度映画化されているそうですが、いずれも「キリスト教を信じる事」が絶対的に正しいと描かれている内容なのだとか。  そうなると「飛行機が墜落するかも知れない」という展開に着目して、自分みたいな不心得者でも楽しめるような娯楽映画に仕上げてくれた監督さんに、感謝すべきなのかも知れません。   いずれにしても、自らを信奉する人間しか救わないのだとしたら、神様ってのは嫌な奴なのでしょうね。  そんな意地悪な神様なんかではなく、もっと誰にでも優しく出来る存在であって欲しいものです。
[DVD(吹替)] 4点(2020-02-19 17:32:58)(笑:1票) (良:2票)
208.  オールド・ボーイ(2013) 《ネタバレ》 
 今度は原作準拠で作ってくれるんじゃないかという期待があったのですが「原作漫画の再映画化」というよりは「2003年の韓国映画版のリメイク」という内容であった事が残念。   とはいえ、2003年版における欠点が色々と補われた形となっており、そこは良かったですね。  欠点が消えると同時に、あの独特の迫力というか、粘っこい魅力のようなものも失われているので、結果的にはプラマイゼロって感じなのですが……  それでも、リメイクした意義は充分にあったんじゃないかと思います。   まず、原作にもあった「催眠術」の要素をバッサリ削ってみせたのは、間違いなく英断でしたね。  「映画より原作漫画の方が面白い」と考えている自分ですら「あの漫画は催眠術で何でも出来ちゃうのがツマラナイ」って言われたら、反論出来ないところがありますし。  一応、本作においても「心理的な誘導工作」のようなものはありましたが、さほど非現実的ではなく、充分にリアルな範疇に留まっていたんじゃないかと。   また、2003年版においては「これ、ヒロインが主人公の娘なんじゃない?」と途中で観客も気付いちゃうような、作りが甘いところがあったんですが、本作はその点もフォロー済み。  「架空のテレビ番組」「スマホの待ち受け画面」を効果的に活用し、ヒロインの正体を上手くはぐらかす形にしてあったのは、お見事でしたね。  2003年版より先に、こちらを観賞していたとしたら、ネタバラシの瞬間まで「ヒロインのマリーは主人公の娘である」って事に気付かず仕舞いで、大いに衝撃を受けたんじゃないかと思えました。   他にも「飛び降り自殺する男を見殺しにする場面が無くなってる」「娘を人質にしていると犯人が語るので、主人公は彼を殺せない」などの改変が施されており、それらに不満を持っていた自分としては、嬉しい限り。  その一方で「テレビを観ながら自慰に耽る場面」「金槌を武器に大立ち回りを演じる場面」など、2003年版で印象深かったポイントは、しっかり再現してあったんだから、非常にバランスの良い作りだったと思います。   肝心の「犯人の動機」については「2003年版と違って、思いっきり本番行為しているのを見られたんだから、噂が広まるのは当然」「娘だけでなく息子とも性的な関係にあった男って設定にしたのは、流石にやり過ぎでは」「主人公の元嫁はアマンダをいじめるどころか庇っていたのに、殺されたのが可哀想」等々、気になる点も多かったんですが……  家族を淡々と射殺していく場面は不気味で良かったですし、これまた「結果的にはプラマイゼロ」って感じでしたね。  特に、犯人が「近親相姦の罪を背負って生きる事になった主人公」に対し、同情を示す描写があった点は、原作漫画における「孤独な二人の、奇妙な友情」を連想させるものがあり、僅かながらも原作の要素を取り入れてくれたように思えて、自分としては嬉しかったです。   オチとなる「再び監禁部屋に戻るエンド」に関しても、娘との近親相姦関係をスッパリ断ち切ったという感じがして、良かったですね。  曖昧なまま終わらせた2003年版よりも、ずっと誠実な終わり方だったと思います。   あっさり薄味だけど、薄味には薄味ならではの魅力があるんだなと感じさせてくれた、そんな一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2020-02-12 09:37:55)
209.  コン・エアー 《ネタバレ》 
 アクション俳優としてのニコラス・ケイジの代表作といえば、本作になるんじゃないでしょうか。   とにかく主人公のポーが強くて恰好良くて、初見だったとしても「この俳優さんは要チェックだな」と感じさせるような力がある。  ニコラス・ケイジの存在を知っている上で観たパターンでも、他の映画では中々見かけない長髪なので物珍しさがあるし(こんなに肉体派な俳優だったのか……)という驚きを味わえるしで、掘り出し物に思えるんじゃないかと。   ヒロインとなる奥さんと娘さんが両方美人で可愛らしいものだから「早く刑務所を出て、家族の許に帰りたい」と思っている主人公に感情移入しやすい点も良かったですね。  捕まった経緯に関しても「こんなの完全に正当防衛じゃん」と思えて、応援したくなる形になっている。  刑務所で黙々と身体を鍛えつつ娘と文通しているシーンも良かったし、囚人仲間のオーと仲良く話す場面も微笑ましくて、仮釈放に至るまでの流れが非常にスピーディーに纏められている点も、上手かったと思います。  この手のアクション映画は、やはり導入部が大事なんだなと、再確認させられましたね。   敵となる凶悪犯達も「濃い」面子が揃っており、特にジョン・マルコヴィッチ演じるサイラスの存在感は、圧巻の一言。  他の連中だってかなりの面構えの持ち主なのに、もう登場した時から(こいつがラスボスだな……)と直感させるだけのオーラを放っていましたからね。  凶暴なのに知的さを漂わせる悪党って、演じるのはとっても難しいと思うし、正に「怪優」たるマルコヴィッチの本領発揮といった感がありました。  ハイジャックした飛行機で何処を目指すのかと問われた際に「勿論ディズニーランドさ」と切り返す場面なんかを魅力的に演じられたのは、この人だからこそだって思えます。   そんなサイラスに主人公のポーが気に入られ、仲間の振りをしつつもポーは何とか人質を殺さないようにサイラスを誘導していく辺りも、さながら「潜入捜査官物」のような面白さがあって、良かったですね。  飛行機内に裏切り者がいると敵も気付いて、それを探っていく流れになるのは緊迫感があったし、そんなシリアスな魅力の一方で「飛行機から突き落とされた死体が地上の車に激突する場面」をユーモラスに描いたりして、必要以上に肩に力が入らないよう配慮しているバランスなんかも、ありがたい。  ベガスに不時着したら、スロットからコインが溢れ出すシーンを挟んでいるのも「お約束を分かってる」感があって、観ていて嬉しかったです。   で、そんな本作の不満点としては……やっぱり、スティーヴ・ブシェミ演じる「殺人鬼ガーランド」の肩透かし感が挙げられそうですね。  如何にも大物っぽく登場したのに、主人公側にも敵側にも与しないまま、飄々と一人だけ脱獄に成功しちゃうだなんて、流石に予想出来なかったです。  彼に関しては「予想を裏切られた快感」よりも「期待外れだったという失望感」の方が大きくて、今こうして文章を書きながらも(結局なんだったんだ、アイツは)と答えが出て来ないくらい。  「幼い少女の死体とドライブした」という台詞があり、その後に少女と二人きりになる場面を用意して、観客に(女の子が殺されちゃうんじゃないか?)とドキドキさせておきながら、特に何の理由も無く殺さずに別れて終わりってのも(何じゃそりゃ!)って戸惑うばかりだったんですよね。  ベタではありますが「こんなに優しくされたのは、生まれて初めてだ」的な台詞でも言わせておけば、少女を殺さなかった理由も納得だし、一人勝ちする結末に関しても「さりげなく主人公達を助けてあげた」的なシーンを挟んでおけば、それに対するご褒美のような形で逃げ延びる事が出来たって事で納得だしで(もっと、こうすれば良かったのに……)と思わされる部分が多かったです。   ちなみに、本作の小説版においては、そんなガーランドが捕まる場面まで描かれているのですが……それがまた非常にアッサリした逮捕劇なので「映画の続きが気になった人にはオススメ」とも言い難いのが辛いところですね。  キャラとしては独特の魅力があって嫌いになれないだけに、こんな事を書くのは心苦しいけれど、正直彼は登場させなかった方が、シンプルなアクション映画として完成度が高まっていたんじゃないかって思えました。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2020-01-20 23:28:32)(良:2票)
210.  ホーム・アローン2 《ネタバレ》 
 前作と立て続けに観賞したのですが「バズ君、キャラ変わってない?」と、その事が真っ先に気になっちゃいましたね。  作中で一年経過しているので、思春期の盛りを迎えてより狡猾で気障っぽい性格になったとも考えられますが、主人公のケビンが殆ど変っていないように思えただけに、ちょっと違和感がありました。   とはいえ、そんな「前作と続けて観たからこその違和感」もあった一方で……  1:今度はケビンが置いてけぼりを食らわずに、無事に車に乗り込む。 2:バールをワイングラスの乾杯のようにぶつけ合う泥棒二人組。 3:既に通報した後なのに「警察を呼ぶよ」と挑発するケビン。   などの「前作を観ていればニヤリとする部分」も沢山あったりしたもんだから、やっぱり続けて観て正解だったなと、嬉しくなっちゃいましたね。  ビデオカメラやロケット花火などの小道具を「これ、後で使いますから」とばかりに、序盤にて分かり易く登場させている点も好印象。  たとえ舞台が豪邸から高級ホテルに変わったとしても「映画を観ながらアイスを頬張るシーン」は、しっかり用意されていた辺りも、自分としては大いに評価したいです。   また、前作には無かった本作独自の面白さもプラスされており、中でも空港での「ケビンはいない」という伝言ゲームの件なんかは、かなり好きですね。  カメラワークの巧みさと、大人数のキャストが揃っているからこその、映画的な面白さがある。  ニューヨークを一人で観光する楽しさも描かれていたし、高級リムジンでピザとコーラを味わう場面なんかも、凄く印象的。  中盤には「夜のニューヨークの怖さ」が伝わってくる場面も用意されており、観ているこっちまでケビンと同じように不安になり、ケビンが襲われたり攫われたりしないかと心配になってしまったんだから、この辺の「子供が主役だからこその緊迫感の出し方」は、やはり上手かったと思います。   前作のシャベルおじさん同様「主人公と心温まる交流をする大人」枠もしっかり用意されており、個人的には、その鳩おばさんとの会話シーンが本作の白眉だった気がしますね。  「ハートもローラースケートと同じ。仕舞い込んでいないで使わないと」の例え話には感心させられたし「人間っていうのは誰でも、自分を認めてもらいたいと願っている」というおばさんの言葉が、ラストにて家族の皆から認められるケビンというオチに繋がっている辺りも、凄く綺麗な流れでした。   一度は彼女と別れ「もう二度と会えないかも知れない」と言わせていたくせに、土壇場で彼女が助けてくれたり、最後に再び出会ったりと、二回もサプライズを与えてくれた点も良かったですね。  結果としては前回と同じような展開になった訳ですが、ここは(前回と同じ展開にはすまい)と観客に思わせる誘導の仕方が巧みで、見事に驚かされちゃいました。  シャベルおじさんと違って、鳩おばさんは武器を持ってないから助けてくれる場面が想像し難いってのも、良い煙幕になっていたんじゃないかと。   そんな中「子供病院に寄付する為のお金を盗もうとしたので、懲らしめる」っていう大義名分があるせいか、前作より罠の威力がアップしており、泥棒達が可哀想で笑うに笑えなかったって部分は、欠点だと感じてしまうのですが……  それよりも、長所の方がずっと多かったと思いますね。   前作はひたすら可愛いだけだったケビンが、ちょっと成長して男の子らしい恰好良さを身に付けている辺りなんかも、成長を見守る親のような気分になれて、嬉しくなっちゃう。  「第二次クリスマス大戦、開始」と宣言する姿には、少年兵士のような凛々しさすら漂っていた気がします。   「ニューヨークで一人ぼっち」な寂しさを味わったケビンだからこそ、同じように一人ぼっちな鳩おばさんと友達になれて「もう一人じゃないよ」と伝える事が出来た……  そんな素敵なハッピーエンドに至るまで、楽しい時間を過ごせました。
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2020-01-20 23:22:56)
211.  ユー・ガット・メール 《ネタバレ》 
 去年最後に観た映画が「めぐり逢えたら」である以上、今年最初の映画には、これが相応しかろうと思い観賞。   元ネタの「桃色の店」では文通だったのをEメールに変えた事に、ちゃんと意義があったというか「Eメールでのやり取り」ならではの魅力を感じられる作りだったのが流石でしたね。  一度書きかけた文章を消す為、キーを連打しちゃう主人公の場面なんて、特に印象的。  「ペンを使って手紙を書く」という動作では出せない「キーを叩いてメールを書く」という動作だからこその面白さだったと思います。   二作続けて観賞した為か「めぐり逢えたら」同様「他に恋人がいるのに、惹かれ合ってしまう主人公とヒロイン」という設定だった事には(またかよ)と思ってゲンナリしちゃったけど……  まぁ、それに関しては(そういう設定の方が喜ぶ人もいるから)と納得するしかないんでしょうね。  「オマケ程度にクリスマス要素がある」「子供がキッカケになって二人が出会う」という共通点に関してはクスッとしちゃったし、この辺は「二作続けて観賞した」という事がプラスに働いたのか、それともマイナスに働いたのか、微妙なところです。   そんな中「プラス」と言えそうな部分としては「かつての恋人との別れ方が、ずっと円満で納得のいく形になっている」って部分が挙げられそうですね。  お互いに、他に好きな人が出来たんだと分かって双方ホッとして笑い合う場面なんて、見ているこっちまで釣られて笑顔になっちゃったくらい。  エレベーターに閉じ込められ「自分が本当に望んでいる事を悟り、別れを切り出した」というのも、説得力があって良かったです。   ヒロインがマスコミを利用し、商売敵に「悪いキツネ」というイメージを与えようとする件とか(やっぱり、この監督が描くヒロイン像って好みじゃないな)と感じる場面もあったんですが……  とにかくヒロイン演じるメグ・ライアンがキュートなものだから、不快感が尾を引かないんですよね。  主人公に「ファイト」と励まされ、シャドーボクシングを始める場面なんて、もう最高に可愛らしい。  たとえ脚本が肌に合わなかったとしても、演じる役者さん次第で、こんなにも印象が変わってくるんだなって思えるし、ラブコメの女王メグ・ライアンの凄さを、改めて感じる事が出来ました。   「よく出会うわね」「土曜の昼に、また偶然に出会わない?」って会話も印象深いし「すべて35%オフ」のフォックス書店に対抗心を抱いていたヒロインが「閉店セールの40%オフ」で、ようやく価格争いに勝利する事が出来たという顛末も、悲しい皮肉が伴っていて良かったです。  主人公がパソコンから離れた後(どうせ戻って来て、彼女のメールに返事しちゃうんだろうな)と思っていたら、本当にそうなる流れなんかも、実に微笑ましい。  二人が結ばれた後「THE END」の文字を、さながらメールで打ち込む時のように表示して終わるのも、小粋な演出でしたね。   なんだかんだ言っても、やっぱり自分はノーラ・エフロン監督の映画が、そしてトム・ハンクスとメグ・ライアンの映画が好きなんだな……と思わされた一本でした。
[DVD(字幕)] 6点(2020-01-16 00:13:51)
212.  めぐり逢えたら 《ネタバレ》 
 さて、今年のクリスマスは何を観ようかと本棚を眺めていたところ (そういえば、これも一応クリスマス物だったな……)  と思い出した為、本作を観賞。   結果的には殆ど「クリスマス要素」が無くてズッコけた訳ですが……  観た後に幸せな気持ちになれるという意味では、非常にクリスマスらしい映画だったと思います。   なんといっても、恋のキューピット役となってくれる主人公の息子が良かったですね。  可愛らしい子供キャラを配し、ファミリー映画的な側面を備えているのは、元ネタである「めぐり逢い」(1957年)には無かった魅力。  なんせ本作の主人公カップルときたら、出会って話すと同時に映画が終了しちゃうくらいなんだし、作り手としても意図的に「二人を結び付けようとする子供が主軸の映画」として完成させたんじゃないかな、って気がします。   そんな息子くんには、同世代の彼女もいたりして、ちょっぴり憎たらしい感じだったのに……  エンパイアステートビルに一人ぼっちになった時は、心細げな顔を見せたり、パパと再会出来た時には、喜んで抱き付いたりと(なんだかんだ言っても、まだ子供なんだな)と思わせてくれた辺りが、実に可愛かったです。  個人的には、ここの「父子の再会」の場面が、映画の白眉だった気がしますね。  「めぐり逢い」(1957年)同様、やはり主人公カップルは約束の場所で会えない運命なのかなと思わせておいて、息子が置き忘れたリュックのお蔭で会う事が出来たという脚本も、非常に凝っていて素敵でした。   翻って、悪かった点はというと……これが結構多かったりもして、困っちゃいます。  まず、メグ・ライアン演じるヒロインに共感を抱けない。  主人公の住所を調べて会いに行く件とか、どう考えてもストーカーそのものだし、彼女の恋路を応援しようって気になれなかったのですよね。  作中にて彼女が昔の映画を鑑賞し「この頃は、みんな本当の愛し方を知っていたのよね」なんてウットリする場面がありましたが、二十年以上前の映画を観ている最中な自分からすると(この頃は、まだストーカー的な愛し方が肯定されていたんだなぁ……)と、皮肉気に考えちゃいました。  そもそも婚約者がいるのに「運命の出会いに憧れ、恋に恋している女性」って時点で、どうしても拒否感が出ちゃうんですよね。  彼女も浮気な自分を悔いて「許せない裏切りだと思うわ」と嘆く事になるんですが、観ているこちらとしても(ホンマやで)とツッコむしか無かったです。  トム・ハンクス演じる主人公も、ヒロインが強烈に恋い焦がれるほど魅力的には思えなかったという辺りも、辛いところ。  「ラジオ番組で話した時の声が素敵」「話す内容が素敵」というくらいで、手紙が殺到するほどの人気者になるというのも、ちょっと無理があった気がしますね。  二人とも好きな役者さんであるだけに、その辺は観ていて辛かったです。  結局「僕は君が妥協して仕方無く選んだ男には、なりたくない」と告げ、ヒロインを約束の場所へと送り出してくれた婚約者のウォルターこそが、作中で一番「いい男」だったんじゃないかと思えちゃうし、どうもスッキリしませんでした。   そんなウォルターと、主人公の恋人候補であったヴィクトリアが完全に「恋の当て馬」ポジションに収まっており、救いが描かれていなかった辺りも、残念なポイント。  上述の通り「観賞後は幸せな気持ちになれる映画」だったのですが、当て馬組にも優しい描写がもっと盛り込まれていたら、より好きになれた気がします。   ちなみに、この映画を基にしたとんねるずのコント「めぐり逢えたら スペシャル版」では、主人公の息子がラジオ番組に再び電話を掛け「パパが結婚する事になったんだ!」と嬉しそうに報告して終わるという形になっており、元ネタ以上に爽やかなハッピーエンドだったりするんですよね。  個人的には、そちらの方が好みな終わり方でした。
[DVD(吹替)] 6点(2020-01-10 20:24:45)(良:1票)
213.  ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎 《ネタバレ》 
 バイオリンを弾くのが下手だったり、ワトソンの「名前当て」も完璧には成功出来なかったりと、まだ未熟で人間臭さの強いホームズ像が如何にも「ヤング」という感じがして、好印象。   その一方で、ヒロインを巡る恋のライバルな男子生徒を嫌味に描いているけど、ホームズ自身も「嫌味な優等生」に思えてしまうキャラなので、これにはチグハグな印象も受けましたね。  既に恋人がいたり「授業中は気が散るから話しかけないでくれ」と言ったりと、取っ付き難いタイプの主人公なので、もう少し相棒のワトソンの比重も大きくして「親しみが持てる凡人」としてのワトソンの魅力も描いていたら、それと対になるホームズの魅力も、更に際立っていた気がします。  あくまで個人的な見解ですが、偉大なるポーの「オーギュスト・デュパン物」をそのまま剽窃したとしか思えない「シャーロック・ホームズ物」が何故魅力的なのかといえば、それはワトソンの存在が大きいからであると考える自分としては、ちょっと本作はホームズにばかり偏り過ぎに思えちゃいました。   また、本作は「スリーパーズ」や「レインマン」で有名なバリー・レヴィンソンが監督を務めているのですが、それ以上に脚本のクリス・コロンバスの個性が色濃く表れている感じでしたね。  後に「ハリー・ポッター」シリーズの脚本を担当する人だけあってか、それと共通した「少年少女達の学園物語」として仕上げられている。  特に、空飛ぶ自転車に乗って歓声を挙げるシーンなんかは、如何にも「青春物」「子供達が主役の話」って感じの魅力が伝わってきました。   退校処分になったホームズを見送るヒロインが窓に息を吹き掛け、指で「I LOVE YOU」と書く場面なんかも、凄く良かったですね。  しかも、相手が読めるようにと普段とは反対に書く為、ちょっと考えて間を置いたりするのが、また可愛いんです。  そんな印象的なやり取りが、ラストシーンにて「ここには思い出が多過ぎる」と、ヒロインが指文字を描いた窓を見つめるホームズの姿に重なる脚本となっており、切ない余韻を与えてくれました。  「レストレード『警部補』が登場し、最後に昇進する」 「恩師であり敵となる相手が『モリアーティ』を名乗る」  など、元ネタを知っていればニヤリと出来る描写が多いのも特徴ですね。  自分としては、ヒロインのエリザベスが後のアイリーンなのでは? と思っていただけに、その予想が外れたというか「最後に死ぬからアイリーンじゃなかったのか!」と唸らされた形。  パイプを買ったワトソンに対し「そんなの馬鹿に見えるだけさ」と皮肉るも、別れ際にパイプをプレゼントされたら、喜んで受け取るホームズの姿も良かったです。   その他、印象深いのは、吹き矢を操る相手と格闘になった際に「相手が吹くよりも先に射出口から吹いて、毒矢を逆に呑み込ませる」方法で勝つ場面。  そして、ワトソンの好物である「クリームパイ」がチョココロネみたいな形をしており、かなり美味しそうであった場面なんかが挙げられそう。   観賞中は、退屈になってしまう事も多く 「幻覚シーンが何度もあって、流石にしつこくて飽きる」 「ヒロインが死んで犯人も逃げ延びてとバッドエンドに近いので、後味が悪い」  などの不満点も数多くあるのですが、こうして感想を書いてみれば「良かった部分」ばかりが思い浮かんでくるんだから、何とも不思議ですね。  観客にとって「良い思い出」として記憶に残り易いタイプの、非常にお得な映画だったと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2019-12-25 06:23:17)(良:1票)
214.  アフリカン・ダンク 《ネタバレ》 
 「才能」を発掘する喜びを味わえる映画ですね。   冒頭、生意気な新人選手と対決する件では主人公を応援したくなるし、舞台をアフリカに移してからの敵となる「町の顔役」も憎たらしいので、勝利の瞬間には大いにカタルシスを得られるという形。  「ディフェンスは息するより大事」などの台詞も印象深く「身体能力は高いが、粗削りなメンバーを磨き上げる」楽しさが、しっかり描かれていたと思います。   第二の主人公と言えるサーレが一度わざと下手な振りをして、落胆させた後に本気のプレイを披露し「やっぱり駄目かと思ったのに、本当に凄かった!」と歓喜させてくれる流れも上手いですね。  観ている側としても(アフリカの奥地に物凄い才能を持ったバスケットプレイヤーがいるだなんて、そんなに上手い話があるのか?)という疑いの念を抱いてしまうのは避けられない訳で、それを逆手に取っている。  「嘘みたいなストーリー」だからこそ出来る、気持ち良い展開でありました。   実はサーレーの兄もバスケが上手いという点に関しては、もうちょっと伏線が欲しかった所ですが……気難しい父と和解し「ウィナビに戻す」と宣告される場面が凄く良かったので、あんまり気にならなかったですね。  アメリカ人の主人公と、現地の部族が交流し「水道を作ろう」「それじゃあ、皆で一緒に水を運ぶ事が出来なくなる」という会話を交わす件も、現代人の価値観に違う方向から光を当てる効果があり、良かったと思います。   部族の仲間入りを果たす為、チャンピオンリングを空に捧げる場面も、雄大な自然を感じられて心地良いし「振り回し」のテクニックが、主人公からサーレーに受け継がれた事を証明して、試合に勝利する流れも素敵。  展開が王道、お約束に沿っている為、意外性や斬新さには乏しいかも知れませんが、その分だけ安心して楽しめる一品でありました。
[DVD(吹替)] 8点(2019-12-15 20:48:44)(良:1票)
215.  シャークネード<TVM> 《ネタバレ》 
 「サメ映画」というジャンルは、非常に当たり外れが大きいです。  もしかしたら当たりよりも外れの方が多いのでは……と考えてしまう事も屡々。   それだけに、本作のような掘り出し物に出会えた時は、その喜びも一入ですね。  無数のサメが竜巻によって空に舞い上げられ、それが浸水状態の市街地に降り注いでくる。  そのアイディアだけでも拍手喝采なのですが、本作が面白い要因としては、きちんとパニック映画としての基本を押さえた筋運びになっている事が大きいのだと思います。   「アイディアと勢いさえあれば、面白い映画は撮れる!」という考えも間違いではないでしょうけれど、やはり基本は大事。  まず、この作品においては「誰が死ぬのか分からない」というドキドキ感の煽り方が、とても巧みなのですよね。  冒頭にて、主要人物っぽく登場した船上の二人が、すぐに殺されてしまう辺りは少々やり過ぎ感もありましたが、それが結果的に上手く作用しており、後に登場する人物達の生存予測を、適度に困難にしてくれています。   そして、もう一つ大事なのが「観客が納得するような人物を生き残らせる」という点。  上述の「誰が死ぬのか分からない」展開と相反してしまう、この条件。  生き残りそうな人物でも死ぬからこそ油断ならない面白さに繋がる一方で、やはり観賞後の爽快感を考えると、生き残って欲しいと思わされた人物が死んでしまうのは、納得出来ないものがありますからね。  大抵のサメ映画は、この矛盾を解消する為に四苦八苦している印象がありますが、本作においては、そのバランス感覚が絶妙。  ラストには反則的な「実は生きていた」展開も駆使して、観客の後味を良くしてくれるのだから、嬉しい限りです。   サメが泳いでいる「道路」の上を、車で走って避難するという絵面だけでも面白いし、血生臭いシーンは控えめになっている辺りも好み。  主人公のフィンは「困っている人を放っておけない」という、典型的なタイプではあるのですが、決してテンプレをなぞるだけで終わっていない点も、良かったと思います。  その性格ゆえに 「私達家族よりも、他人の方が大事なの?」  と妻に責められて、家族関係が不和となっている設定など、きちんと個性が確立されているのですよね。  他人よりも家族を優先して守ろうとする事だって、決して間違いではない。  それでも主人公は、孤立したスクールバスを見かければ、避難する足を止めて、子供達を助け出そうとする。  あまりの「良い奴」っぷりに、惚れ惚れさせられます。   中盤から終盤にかけて、やや間延びしてしまった印象があるのは残念でしたが、その代わりのように「チェーンソーを携えてサメの口の中に飛び込む主人公」なんていう、トンデモないクライマックスを用意してくれているのだから、もう大満足。  愛すべき映画でありました。
[DVD(吹替)] 7点(2019-11-30 04:04:07)(良:3票)
216.  ルビー・スパークス 《ネタバレ》 
 理想の恋人を現実世界に召喚してみせるも、結局は彼女も思い通りになってくれない……というお話なのかと思いきや「主人公が本気で彼女を操ろうとすれば、簡単に操れてしまう」と証明されるシーンが衝撃的。  ホラー映画テイストな演出も相まって、大いに恐怖を抱かせてくれましたね。  劇中で二人が観賞し、楽しそうに笑い合っていたゾンビ映画「ブレインデッド」よりも怖かった気がします。   「ありのままの自分を愛してくれる人」を作り出したはずの主人公が求めていたのは、結局「貴方は天才!」と絶賛してくれるだけの操り人形に過ぎなかったというオチも、何とも哀れ。  最後には「誰にも操られない、自由になった彼女」と再会する事となる訳ですが、これはココから本当の恋が始まるというハッピーエンドなのか、あるいは主人公が彼女の存在に囚われたまま離れられないバッドエンドなのか、解釈が分かれそうなところです。  自分としては、前者であると信じたいのですが、どうも後者であるようにも思えてしまい、今一つスッキリしない感じが残りました。   以下、映画の内容とは直接関係無い事なのですが、この脚本を書いたのはヒロイン役のゾーイ・カザンであり、プライベートでも恋人であるポール・ダノに主人公を演じてもらったというのが、とても興味深かったですね。  一見すると、本作は「女性に幻想を抱く男性」を揶揄した代物であるかのように思えます。  けれど実際は「理想の彼氏」を求める女性によって作りだされたものであり、ルビーではなく「悩める天才小説家の青年」であるカルヴィンこそが「(脚本家にとっての)都合の良い妄想の産物」ではないか、とも思えました。  キャスティングからしても、それを隠そうとする意図は無く、確信犯的に二重構造を楽しみながら、この映画を作ったのではないかな……と感じられて、何だか微笑ましかったです。
[DVD(吹替)] 5点(2019-11-24 15:38:51)(良:1票)
217.  きみがくれた未来 《ネタバレ》 
 こんなに可愛くって、しかもレッドソックスのファンな弟がいるだなんて、全くもって主人公が羨ましい。   一応、本作には女性のヒロインも登場しているのですが、明らかに「男女のロマンス」よりも「兄弟の絆」を重視した作りになっていますよね。  大人な自分としては、自然に兄の側に感情移入し (こんな可愛い弟がいたら、そりゃあ楽しいだろうな)  と思えた訳ですが、多分コレ、幼い子供が弟の側に感情移入して観たとしても (こんな恰好良いお兄ちゃんがいたら、きっと楽しいだろな)  って思えたんじゃないでしょうか。  そのくらい「理想の兄弟像」が描けていると思うし、兄を演じたザック・エフロンも、弟を演じたチャーリー・ターハンも、素晴らしく魅力的だったと思います。   「主人公は幽霊と会話出来るし、触れ合う事も出来る」という設定の使い方も上手かったですね。  特に序盤の、サリバン中尉殿とのやり取りなんて、凄く好き。  出征して戦死した友人に対し「俺も一緒に行けば良かった」と悲し気に訴える主人公と「来なくて良かったんだ」と笑顔で応え、静かに立ち去る友人。  ベタなやり取りなんだけど、じんわり心に沁みるものがあって、とても良かったです。  「実はヒロインも幽霊だった(正確には、仮死状態による生霊?)」というドンデン返しについても、彼女が墓場で眠っていたという伏線なども含めて、鮮やかに決まっていたんじゃないかと。   それと、この映画って「何時までも死者に囚われていないで、前を向いて生きるべき」という、ありがちなテーマを扱っている訳だけど、それがちっとも陳腐に思えなかったんですよね。  何せ本作においては「主人公は幽霊と会話出来るし、触れ合う事も出来る。たとえ幽霊でも弟と一緒にいれば、弟が生きていた時と何も変わらない、楽しい日々を過ごせる」という設定な訳なのだから、主人公が世捨て人のような暮らしをしていても納得出来るし、自然と感情移入出来ちゃうんです。  この手の映画の場合、いつまでもウジウジ悩んでいる主人公に共感出来ず、むしろ主人公を励ます側の目線で観てしまう事が多い自分ですら、本作に限っては完全に主人公側の目線で観る事が出来た訳だし、これって何気に凄い事なんじゃないでしょうか。  「良くあるタイプの映画でも、設定や描き方に一工夫加える事によって、独特な味わいになる」例の一つとして、大いに評価したいところです。   弟とのキャッチボールに、恋の悩み相談、雨の森ではしゃいで遊ぶ姿なんかも非常に楽し気に描かれており  (このままずっと、兄弟一緒の世界で生きていくのも、それはそれで素敵な事じゃないか……)  と思わせる作りになっているのも、凄いですよね。  「死者に囚われて生きる事」を決定的に否定するような真似はせず、むしろその生き方の魅力を存分に描いておいたからこそ、終盤における主人公の決断「弟と共に過ごす日々よりも、愛する女性の命を救う事を選ぶ」行為にも重みが出てくる訳で、この前後の繋げ方は、本当に良かったと思います。   約束の森で、一人ぼっちになった弟が「兄は自分よりも大切な存在を見つけたんだ」と悟ったかのように、寂しげに立ち去るも、恨み言などは一切口にせず「お兄ちゃん」「好きだよ」と呟いてから消えゆく様も、本当に健気で……観返す度に瞳が潤んじゃうくらい。  ラストシーンにて、以前のように会話する事も、触れ合う事も出来なくなってしまった兄弟が「それでも、何時かまた会える」「会えない間も、いつまでも俺達は兄弟だ」と約束を交わす終わり方も、凄く好きですね。   冷静になって考えてみると、肝心のヒロインには魅力を感じなかったとか、弟がお兄ちゃんにしか執着してないので両親の置いてけぼり感が凄いとか、色々と難点もある映画なんですが……  眩しいくらいの長所の数々が、それらを優しく包み込んで、忘れさせてくれた気がします。   「面白い映画」という以上に「好きな映画」として、誰かにオススメしたくなる一品でした。
[DVD(吹替)] 8点(2019-11-11 18:07:00)(良:1票)
218.  パッセンジャー57 《ネタバレ》 
 85分という短い尺の中で、主人公が悪人退治してハッピーエンドという、非常にシンプルな映画。   年代が近い事もあってか、そこかしこに「ビバリーヒルズ・コップ」の影響が窺える作りにもなっていますよね。  特に中盤、わざと情けない男の振りをして犯人一味を騙す件なんて、ウェズリー・スナイプス的というよりは、如何にもエディ・マーフィ的な感じ。  飛行機で隣の席になった老婦人から、主人公が「誰かさん」に間違われてしまう件も、そこら辺を踏まえてのネタなんじゃないかなって思えました。   そんな訳で、遊園地でのアクションパートも「ビバリーヒルズ・コップ3」(1994年)を意識したのかなと思ったのですが……  確認してみると、本作は1992年公開であり、これに関してはむしろ先取りしている形だったんですね。ちょっと吃驚。  果たしてジョン・ランディスは「3」を撮る前に本作を観賞済みだったのかどうか、気になるところです。    気になるといえば、脚本にも色々と粗が多くて……  主人公も敵役も「有能な男」という設定にも拘らず、それがあんまり伝わってこなかった辺りは残念でしたね。  特に主人公は「ハイジャック対策のスペシャリスト」って設定のはずなのに、犯人との交渉にはアッサリ失敗して乗客死なせちゃっているし、これなら「偶々飛行機に乗り合わせた刑事」で、ヒロイン格のスチュワーデスから飛行機の情報を色々聞きながら事件解決するってストーリーでも、充分に成立していた気がします。  犯人側も犯人側で「主人公を撃つよりも、無能な部下を撃って殺すのを優先した結果、肝心の主人公を逃がしてしまう」なんて醜態を晒しちゃっているし、どうも二人して詰めが甘い感じ。  犯人組と妙に仲が良い描写があって、その後に絡んでくるんじゃないかと思われた金髪少年のノーマンが、放ったらかしのまま終わるとか、保安官から貰った銃を主人公がアッサリ落として使わず仕舞いとか、肩透かしな場面が多かった辺りも、ちょっと寂しかったです。   ……とはいえ、それらのアレコレも「気になる」程度で済んでしまい、決定的な失望に至らなかったのは、スピーディーな演出でグイグイ物語を動かしてくれる力強い作りゆえ、なんでしょうね。  「車で並走して飛行機に乗り移る」とか「飛行中に扉が開いて機内がパニックになる」とか、この手の映画ならお約束の描写を、きちんと盛り込んでくれる辺りも嬉しい。  友人役のトム・サイズモアに、美人スチュワーデスのエリザベス・ハーレイと、味方側と敵側、両方に魅力的な脇役が揃っていた事も、画面を引き締める効果があったと思います。  最後は主人公とヒロインが結ばれて、予定調和な結末を迎える辺りも心地良い。   「期待以上」ではないにせよ「期待通り」の満足感は得られた、良質なアクション映画でありました。
[DVD(吹替)] 6点(2019-11-01 00:49:18)(良:1票)
219.  ロマンティックじゃない? 《ネタバレ》 
 作中にて幾つかのラブコメ映画の名前が挙げられている訳ですが、その殆どを観賞済みな身としては、とても面白かったです。   主演のレベル・ウィルソンは太っているけど、美人でチャーミングな存在だし「ラブコメとしての見栄え」という点を考えても、充分に満足出来るキャスティング。  それに対し、彼氏役のアダム・ディヴァインも「美男子ではないけど、愛嬌があって優しい男」を好演しており、凄くバランスが良かったと思います。  「単純な美男美女ではないけど、魅力的な主人公カップルの映画」という形であり、作中で「美男美女が織りなす、王道なラブコメ映画」をパロっている事と併せて考えても、非常に相性の良い組み合わせだったんじゃないかと。   仕事中にラブコメ映画ばかり観てる同僚のホイットニーに、アパートの隣人なゲイ男性など、脇役がキュートなキャラクター揃いだった点も嬉しい。  この「キュートな脇役」達の中に、後に本命彼氏となるジョシュが自然と紛れ込んでいる形なので、お約束のはずの「親友と結ばれるエンド」に関しても、適度な意外性を味わえたんですよね。  「親友のジョシュを愛するべき」→「いいえ、やっぱり本当に愛すべきなのは他人ではなく自分」という、自己啓発的なエンドかと思わせておいて「でも、やっぱりジョシュが好き!」という三段仕掛けオチになっていたのも、上手い構成だったと思います。   ただ、終わり方に関しては「脱け出したと思ったラブコメ映画の世界から、実は抜け出せていない」というオチにも思えてしまい……そこが、ちょっと気になりましたね。  「汚い言葉を使おうとするとピー音が入る」という伏線があった為、ヒロインが汚い言葉を使えるようになったのは、現実世界に戻った証だとも思えるのですが、最後の歌って踊る展開は完全に「ラブコメ映画の世界」そのままなんです。  推測するに、ヒロインが迷い込んだ世界は「PG13指定の、健全なラブコメ映画」で、元いた世界は「大人向けの、普通のラブコメ映画の世界」だったと、そういう事なのでしょうか?  自分としては「結局ラブコメの世界から抜け出せていない」というバッドエンドではなく「実は元々ラブコメ映画の世界にいて、それに気付いていないだけだった」という、ハッピーエンドなのだと思いたいところです。   それと、本作は「王道なラブコメ映画」をパロってるというか、茶化して馬鹿にしているようなテイストもあるんだけど、そんな「王道なラブコメ映画」らしい場面を、ちゃんとロマンティックに、魅力的に撮っているというのがポイント高いんですよね。  ゲイの隣人にスクーターに乗っけられ、出勤する場面なんかは凄くオシャレだったし、音楽の使い方なんかも洗練されてる。  花びらに書かれた電話番号を繋げてみせる場面には感心しちゃったし、夜のアイス屋に忍び込んで二人で盗み食いする場面なんかも良い。  「君の目には愛が映らない」というジョシュの台詞には切なくなったし、窓の外の広告に見惚れてばかりいると思われた彼が、本当はずっとヒロインを見つめていたんだと分かるシーンも、実にロマンティック。   つまり「ラブコメをパロった映画」としての面白さと共に「王道なラブコメ」の魅力も同時に味わえる形になっている訳で、これは非常にお得感がありましたね。  皮肉な目線を備えつつも、ちゃんと「ラブコメを愛する気持ち」があるからこそ作れた映画なんじゃないかな……と、そう思えました。
[インターネット(吹替)] 7点(2019-10-19 15:10:20)(良:1票)
220.  プライド&グローリー 《ネタバレ》 
 実に豪華な出演陣。  そして監督さんは「ウォーリアー」を手掛けた人と知り、観るのを楽しみにしていた一本なのですが、少々ノリきれない内容でした。   期待値が高過ぎたのでしょうけれど、真面目で丁寧に作られた刑事ドラマだなと思う一方で「胸を打つ」「心に響く」といった感情を抱く事が出来ないままエンドロールを迎えてしまい、残念でしたね。  理由を分析してみるに、まず主人公であるエドワード・ノートン演じるレイと、コリン・ファレル演じるジミーの、どちらにも共感を抱けなかったのが大きかったかなと。  いくら家庭の事情があるとはいえ、完全なる悪徳警官なジミーの事を同情的に描いているような作りには違和感を覚えますし、レイに関しても、公的な意味での「正義」と「家族」どっちつかずな印象を受けてしまいました。  特にノートンは好きな俳優さんなので「もっと両者の板挟みになって苦悩する男を魅力的に演じられたのでは?」なんていう、身勝手な不満も抱いてしまいましたね。   終盤に銃を置いてから二人が殴り合う展開、ジミーがレイを庇うようにして犠牲になる展開なども、心の歯車が映画とカチっと合わさっていれば、きっと感動的な場面だったとは思うのですが、自分ときたら「えっ? 何でそうなるの?」とボケた反応をする始末で、恐らくは物凄く真面目に作ってくれたであろう監督さん達に対し、申し訳ない思いです。   導入部の、スタジアムから事件現場へと視点が切り替わる流れには、本当にワクワクさせられましたし、一見すると模範的な警察官一家が大きな歪みを抱えているというストーリーを丁寧に描いてくれた作品だとは思います。  あと何かもう一つでも取っ掛かりがあれば「好きな映画」と言えそうなものを感じさせてくれただけに、残念な映画でした。
[DVD(字幕)] 5点(2019-10-18 01:48:56)
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