341. 幸せのちから
《ネタバレ》 どん底から駆け上がっていくサクセスストーリーかと思いきや、物語の98%はどん底で、最後そこからはい上がるきっかけをつかんだところで映画は終了。ナレーションで「そのあと億万長者になりました」って・・・。物語のどの伏線が「億万長者になる」きっかけになるのかと思って見ていたら、とんだ肩すかしでした。主人公のがんばりはわかるけど、結局なぜ採用されたのかも、そのあと成功できたのかもはよくわからないので、やや消化不良。最後のシーンも成功のカタルシスというよりは、やっと落ち着けてほっとしたという感じ。まあ、父子のどん底生活物語というテーマでは観客集まらないというのはわかるけど、今回は宣伝コピーに見事にだまされてしまいました。原題「幸福の追求」は、合衆国独立宣言のなかの一節(つづりが間違っている点についてはWikipediaなどでも解説されていたので、そちらをどうぞ)で、主人公の成功を「アメリカン・ドリーム」として描こうという思いのあらわれなんだろうけど、その言葉自体、あまり映画のなかでうまく機能していなかったのも残念。そのへんの文脈を見事に外した邦題は論外です。 [地上波(吹替)] 5点(2009-03-07 00:52:54)(良:1票) |
342. イーグル・アイ
《ネタバレ》 ユビキタス社会に潜む恐怖というテーマ自体は現代的といえるかもしれないし、わけもわからず巻き込まれる序盤の展開は、娯楽映画の王道という感じで「これはちょっと面白いかも」と思ったけど、種明かし後は失速。とくに「アリア」のデザインが、いかにもB級SF映画的で興ざめ。サーバーの集積のような思いっきり機械的でリアルな感じにするか、SF的な独創性にあふれたものにしてほしかった。「アリア」に唯一認められた副大統領が鍵になるのかと思ったらそうでもないし、政治スリラーとしても中途半端。ひまつぶし以外にはあまり進められない。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-02-22 14:15:13) |
343. アイランド(2005)
《ネタバレ》 実は、「クローンを扱った映画だ」ということ以外の予備知識ほぼゼロで見ました(この映画公開されたころって忙しかったんだよなあ・・・)。個性のある俳優たちを配した前半の淡々とした進行から、主人公の逃亡劇になったとたん、別の映画になりました。この映画にカーアクションとか看板落下とか必要なのかなあ。ある意味、思想的なSF映画の伝統に喧嘩売っているとしか思えない設定無視の大アクションでした。でも、とにかく車ぶっとばすんだ、という監督のよくわからない「こだわり」を感じることはできました。倫理的なテーマについて、「映画とは見せ物である」という創生期以来のもう一つの映画の伝統に忠実につくられた迷作。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-05-12 11:44:45)(良:2票) |
344. ディパーテッド
もともと設定の勝利という感じの映画なので、物語自体は十分楽しめる。けれど、一番期待していたディカプリオとデイモンの対決シーンにがっかり。スコセッシなら、香港版の緊迫感とカッコよさをうまく再現できると思ったんだけどなあ。Fワードを連発するだけの、よくある平凡なギャング映画になってしまった。見所は、ウォルバーグのイヤ~な上司ぶりくらいかな。 [DVD(字幕)] 5点(2007-08-25 01:59:59) |
345. RENT/レント
《ネタバレ》 ブロードウェイキャストの日本公演を見に行ったけど、音響の悪さと不気味な観客の一体感にいまいち乗り切れず、DVDで再鑑賞。ほぼミュージカル版そのままなので、冒頭のSeasons of Loveをはじめ、普通にミュージカルとしては楽しめる。ただ、2000年代の映画として見ると、本編中に多く流れる80年代アメリカン・ロック調の音楽がどうも安っぽく感じてしまう。ミュージカル版でも後半の怒濤の展開は違和感があったのだけれど、映画としてみるとますます疑問。エンジェルの最期やロジャーとミミの葛藤など、映画なのだからもう少し丁寧に描いてほしかった。キャストは(多少歳をとっていても)ミュージカル版のオリジナルキャストをそろえるという徹底ぶりなのに、監督はクリス・コロンバスというのも、こだわってるのかこだわってないのかよくわからない。 [DVD(字幕)] 5点(2007-07-01 19:16:50) |
346. 恋するレシピ ~理想のオトコの作り方~
私も飛行機の機内で見ました。基本的に「悪人の出てこないラブコメ」というジャンル(?)が嫌いではないので、長旅で疲れているときに、気軽にみるにはいい映画だと思います(余談ですが同じく機内で「シリアナ」みたときは、なんだか疲れが倍増したもので・・・)。マコノヒーつながりで「10日間で男を上手に・・・」とかぶっている感じがして新味はないに等しいですし、結末も最初からわかっているので、サラ・ジェシカ・パーカーのファッションとか、そういうのに興味がなければ、あえて映画館でみるのはおすすめできないかな。日曜の午後にでもテレビで何かしながら見るにはちょうどいいという感じ。 [映画館(吹替)] 5点(2006-08-25 08:28:11) |
347. エリザベスタウン
『シングルス』のシアトルや『バニラスカイ』のニューヨークの印象が強かったんで、キャメロン・クロウが描く「南部の田舎」という設定はどうかな~と思っていたけど、お父さんの葬式の描写なんか、とてもよかったと思う。あと、キルスティンもうまい。スパイダーマンより数倍いい。ただ、やはり問題は主人公か・・。オーランド・ブルームは顔はキレイなんだけど、やっぱり平板な感じだし、そもそも喪失と再生というテーマもありきたり。リンクレイターの『ビフォア・サンライズ』の会話センスと比べると、あの電話のシーンも物足りない。あと、キャメロン・クロウ映画の特徴というべき音楽も今回はあまり印象に残らず・・・。見所はいくつかあるけど、総じて「まあまあ」という映画。 [DVD(字幕)] 5点(2006-06-06 11:21:56) |
348. シリアナ
映画の内容もよくわからないが、この複雑で不親切な映画を国際線で機内上映するJALもよくわからない。それを1度見て理解できず、2度見てしまった自分も自分だが・・・。あまりに『トラフィック』的な演出のせいで「二番煎じ」感はぬぐえないし、『クラッシュ』も含めて、この手の群像的ドラマ自体、ちょっとした流行なのだろうか。あまりに「現実の複雑さ」と「観客の(能動的な)理解力」に頼りすぎで、監督の実力はよくわからない・・・。もう少し親切な演出を心がけてもいいように思う。 [映画館(字幕)] 5点(2006-05-17 10:56:15)(笑:1票) (良:1票) |
349. 太陽の帝国(1987)
敵とか味方といった大人の事情ではなく、美しいもの、強いものの惹かれる少年の柔らかさとしたたかさと脆さが、きちんと描かれていたように思う。ベイシーや医師など周りのキャラクターもいいし、美しく印象的なシーンも多い。だから、いい映画だったなあといいたいところなのに、映画のそのものはなぜか退屈だった。脚本も演出にも、なにか心をぐっとつかむような力強さに欠けるんだよなあ。 [DVD(字幕)] 5点(2005-07-24 10:02:37) |
350. マーシャル・ロー(1998)
テロの最も怖いところは市民に「恐怖」を植えつけることであることを、ちゃんと描いていることは偉い。「アラブ人刈り」の光景の恐ろしさ、そして、本来は自分たちの味方であるはずの人間をも攻撃してしまうテロ犯という不条理(とその狭間で苦悩するデンゼル)もちゃんと描かれている。でも、話を将軍の暴走というかたちでまとめてしまったのは消化不良。とくにブルース・ウィリスの「I am a law」というセリフには、がっかりした。FBI、軍、テロ犯のそれぞれの理由をちゃんと描いていれば、と思うものの、けっきょくは、デンゼルの正義漢ぶりだけが目立つ映画になってしまったのも、ズウィック監督らしい。まあ、9.11以前の、それも娯楽映画に、それは過剰な要求なんだろうけど。っていうか、いまの状況では、逆に、こんな娯楽映画は作れないか。そういう意味では貴重な作品かも。 [DVD(字幕)] 5点(2005-05-03 08:32:56)(良:1票) |
351. ニューヨークの恋人(2001)
本当にそれでいいのかと思えちゃうラストも含めて、微妙だったなあ。さすがのメグ・ライアンも少し無理があったような。立ち居ふるまいもキマっているヒュー・ジャックマンとの「大人のラブコメ」を目指すんだったら、タイムスリップという荒唐無稽な設定は必要なかった気がする。現代の英国かどっかの貴族とNYのキャリアウーマンの恋じゃだめだったかなあ。そのほうがスティングの主題歌もハマった気がする。 5点(2005-02-05 20:52:57) |
352. ニューオーリンズ・トライアル
意外に高得点続出だったんですね。演出と脚本は少しテンポが悪かったように思いました。主人公二人をミステリアスに仕立てようということだと思うんですが、陪審員に選出された後に落ち合う2人がいかにも「なにかたくらんでそう」な悪人風だったのに、ラストの裁判後の2人は急に善人になってしまうのも、最初にプロット(or観客だまし)ありきで人物としての掘り下げができていない演出のように思えました。ラストも、結局陪審員を「操作」したのかどうかはわからずじまい・・・。実は「操作」したわけでなく、最後は陪審員の良心に委ねられたのだと解釈しても、肝心の部分で「人間の良心」に頼ったのだとしたら、ヒューマン・ドラマとしてならOKだけど、知的スリラーとしては失格なのではないかと思います。そのへんの演出上のバランスの悪さが目立って、見終わってもなんだかモヤモヤしました。とはいえキャスティングは見事でした。グリシャムの原作も俳優たちの演技もよかっただけに、このモヤモヤ感が残念。 5点(2005-02-03 22:19:17)(良:1票) |
353. シュレック2
うーむ、前作が好きだったけれど、今作は「前作が当たったからつくった」感がありまくりの典型的な「パート2映画」になってしまった。『指輪物語』や『スパイダーマン』など、おなじみ映画のパロディ連発は映画ファンとして楽しいものの、前作では効いていた「毒」が、今回は予定調和的な物語のなかに埋もれてしまった。今作のもう一つの楽しみは、ミュージカル・ナンバーの選曲かもしれないが、それも『ムーラン・ルージュ』ほどの新鮮さはない。ミュージカル的には特典映像の『American Idol』のパロディ(あの辛口サイモンもしっかり登場)のほうが楽しいというのも、DVDとしてはいいのかもしれないが、映画としては少し残念。 5点(2005-01-23 02:50:25) |
354. デイ・アフター・トゥモロー
あいかわらずのエメリッヒ節。もはや大味な映画を撮らせたら右に出る者はいない。見る側も、それを期待して(?)見てる部分もあるわけだから、薄っぺらい人間ドラマも気にせずに、むしろツッコミを楽しみながら、スペクタクル・シーンにただただ圧倒されるのが正解なんでしょうね。ニューヨーク大洪水→大寒波到来までの流れは、お約束の展開ながら、画面に釘付けでした。しかし、敵が「火」や「水」や「隕石」でもなく「寒さ」だったために、クライマックスが「寒さに耐えて嵐が過ぎるのを待つ」になってしまったのが、この手の大作映画としては致命的だった。エメリッヒ監督には、余計な欲を出さす、水戸黄門のような永遠のワンパターンを追求してほしいな。今回は、クライマックスの地味さでマイナスな印象でした。 5点(2005-01-14 10:00:04)(笑:1票) |
355. エネミー・オブ・アメリカ
5年以上前に「情報監視社会」というテーマを娯楽映画に仕立てたブラッカイマーの先見の明に感心。携帯電話、SuicaやICOCA、監視カメラなど、利便性や安心感と引き替えに成立しつつある監視社会の恐怖をかいま見ることができます。ただ、それを使ってる人間たちが、意外なほどマヌケなのもブラッカイマー流なのかも。序盤のウィル・スミスがどんどん包囲されていくまでは、面白かったのだけれど、そこから急に話が荒唐無稽になっちゃった上に、ラストは某映画を思わせる銃撃戦・・・。題材が面白かっただけに、ちゃんと脚本も練ってくれたら上質なサスペンス・スリラーになったと思うんだけど、それをこの映画に期待するのが間違いか・・・。 5点(2004-10-23 21:41:11) |
356. スパイダーマン(2002)
《ネタバレ》 ピーターが「スパイダーマン」になるまでの過程が面白い。シンプルなキャラ設定だけど、それで複雑な人間関係を構成してるのも、ほかのヒーロー映画と比べて好印象。ヒロインのMJも、たった120分の間に、4人の男(最初のBF、ハリー、「スパイダーマン」、ピーター・・・)に恋をするという異例の尻軽ぶりに驚いたけど、複雑そうな家庭環境や女優を夢見つつもしがないウェイトレスやってるところとか、妙な現実感があるのもいい。ただ、敵役グリーンゴブリンの造形があまりにも、安っぽかった・・・。もう、これだけで映画の印象が大きくダウン。そのせいか、後半の対決もあんまり盛り上がらなかった。ただ、ピーター、ハリー、MJのその後の関係には興味あるんで、続編も見たくなった。もう映画館でやってないかなあ・・。 5点(2004-09-23 23:31:11) |
357. トロイ(2004)
うーん、2時間40分の上映時間は、ちょっとダルかった。女優陣が弱かったんで、「愛」の語りもすべり気味。ブラピ、バナ、オーランドの3人は、それぞれの役柄をうまく演じてたと思うけど、ピーター・オトゥールの存在で(特に後半の)物語が締まって、駄作一歩手前で止まったという感じ。 5点(2004-06-17 00:39:56) |
358. ロスト・イン・トランスレーション
けっきょく、主人公二人の孤独が、異国の地でつかの間に交差したさまを切り取った映画ってことでいいのでしょうか? でも「異国」としての日本は、最後まで、主人公たちと交わることなく、「異国」のまま。じゃあ、日本じゃなくてもよかったんじゃないか・・。<以下DVDにて再見>西洋人には「クール」に映るであろう「東京」を舞台にしたソフィア・コッポラのあざとさというか、計算高さは好きになれないし、彼女の「日本好き」というのも、きっと(ソフィア的には)センスのいい「日本のお友だち」が好きなだけなんじゃないのか? 劇中で、日本の友だちと遊ぶシーンも、そのへんを見せつけられているようで気分が悪かった。ソフィアには本気で「異文化」と格闘するつもりなんて、はなからなかったのでしょう。主人公二人をめぐっては、いいシーンがたくさんあっただけに、そのへんの覚悟のなさが残念。この映画の収穫は、やっぱりスカーレット・ヨハンソン! いい女優になったなあ・・・。 5点(2004-06-07 01:37:45) |
359. テープ
キャスト(ホントに3人だけだ!)の演技も申し分ないけど、イーサン&ロバートのコンビは「いまを生きる」を思い出させて、年月を妙に感じてしまいました。こういうミニマムな心理劇って、映画人だったらやってみたいんでしょうねえ。話してる内容のくだらなさは、自分としては好きかも。ただ、寝不足気味だったせいか、物語にうまく入れず、何度か眠ってました・・・。体調がもう少しよければ、緊迫感のある会話を楽しめたのかな。 5点(2004-05-15 01:50:06) |
360. バニラ・スカイ
リメイクだけど、ほとんどオリジナルと一緒でしたね・・・。ペネロペまで一緒だし。妙に豪華なキャストにしてスター映画っぽくして、言語が英語になっただけ? まあ、冒頭の無人のマンハッタンのシーンは印象的だし、キャメロン・クロウらしい音楽もよかったけど。それだけかなあ・・。 5点(2004-04-01 15:03:51) |