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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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421.  ブラックバード 家族が家族であるうちに 《ネタバレ》 
アメリカ郊外ののどかな田舎町に建てられた一軒の豪華な邸宅。そこで暮らすのは、医者である夫と二人で暮らす初老の女性リリーだ。ある日、そこに彼女の二人の娘、ジェニファーとアンナがそれぞれ夫とパートナーを伴って帰ってくる。目的は、週末のディナーをともに過ごすため。孫にあたるジェニファーの息子やリリー夫妻とずっと親友関係にあるリズという女性も加わり、楽しい夜になるはずだった。だが、彼らの表情は何処か不安げで隠し切れない哀しみに満ちている。何故なら、夜が明けるとリリーはもうこの世に居なくなってしまうから――。彼女は徐々に全身の身体機能が失われ、半年後には完全なる植物状態になることが分かっており、身体の自由が利くうちに自ら人生を終わらせることにしたのだ。そう、これはリリーが最後に過ごす家族水入らずのディナー。夫も二人の娘たちも母親の決断を容認し、最後は穏やかに逝かせてあげようと決意したはずだった。だが、夜も更けてゆくとそれぞれに抱え込んだ思惑が抑えきれなくなり、とうとう爆発してしまう……。尊厳死を決断した女性とその家族の最後の夜を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。アカデミー賞の栄誉に輝くベテラン女優スーザン・サランドンとケイト・ウィンスレットがそんな確執を抱えた母子を熱演しております。難病に侵された女性の尊厳死という大変重いテーマを扱っていながら、全体に漂う空気はほのぼのとしていてこのギャップが何とも言えない気持ちにさせられますね。死を決意した祖母を演じるスーザン・サランドンの、悲愴感を漂わせながらも微塵も同情を求めていないその凛とした佇まいがとても魅力的。彼女とケイト・ウィンスレットとのそれぞれの思いがぶつかりあう濃密な演技合戦はとても見応えありました。そして今回意外だったのは、次女役のミア・ワシコウスカ。精神的に不安定で自殺未遂を繰り返す問題児をリアルに演じていて、この二人に負けず劣らずの熱演を見せてくれます。この人、いつの間にここまでの実力をつけたんでしょうね。内容の方は、もちろん非常にデリケートな問題を扱っているので当然賛否が分かれるところ。でも僕は、善悪の彼岸を越えた、「永遠に分かり合えない家族の切なさ」を感じてとても心に染みました。最後、それでもそんな分かり合えない家族の元へと帰ってゆく登場人物たちの後ろ姿が何とも切ない。シリアス版『8月の家族たち』とも呼ぶべき、深い慈愛に満ちた良品と言っていいでしょう。
[DVD(字幕)] 8点(2022-01-14 02:29:31)
422.  ドリームランド 《ネタバレ》 
ここは、荒涼とした大地が何処までも続く未墾の地、テキサス。家族とともに貧しい生活を送る17歳の青年ユージンは、何処にでも居る平凡な男の子だ。今は保安官の義父と暮らしているが、本当の父は彼がまだ幼いころに酒に溺れた挙句、夢を求めてメキシコへと旅立ったきり消息不明のままだった。心配性の母や幼い妹とともにそれでもこの地で生きていた彼は、ある日、町で不穏な噂を耳にする。銀行強盗を繰り返し何人も人を殺したという凶悪な犯罪者が、この町まで逃亡しているかもしれないというのだ。不安を感じながらも家に帰った彼は、納屋で驚きの事態に直面する――。なんと、その逃亡犯の女が、大怪我を負って隠れていたのだ。アリソンと名乗る彼女は、ユージンにどうか誰にも言わず逃亡に手を貸してほしいという。多額の報酬と彼女の魅惑的な笑顔に惹かれたユージンは、そのまま誰にも内緒で彼女を匿うのだった。罪は犯したが人は殺していないというアリソンの言葉を信じ、駄目だと分かりながらも潜伏生活に手を貸すユージン。だが、警察の手が間近に迫ってきたと感じた彼は、彼女とともに父が夢見たメキシコへと向かう決意をするのだが……。1930年代、アメリカ南部の閉塞感漂う田舎町を舞台に、犯罪者の女と大人しい青年との決死の逃避行を描いたクライム・ドラマ。そんな17歳の青年を惑わす犯罪者を演じたのは、いまやすっかり演技派としてのイメージが定着した人気女優マーゴット・ロビー。危険な匂いをぷんぷん漂わせる彼女はまさに嵌まり役としか言いようがなく、彼女に翻弄される純朴な青年との破滅的な恋の行方は終始ハラハラドキドキの連続で最後まで目が離せません。うだるような熱気に包まれたテキサスの空気も相俟って、なかなか緊張感に満ちた犯罪劇に仕上がっていたと思います。ただ、監督がこれが長編デビュー作ということもあってか、意味不明な演出がところどころにあったのが非常に惜しい。例えば冒頭のナレーション。実はこの青年の妹の回想という形で物語が進むのですが、これが非常に分かり辛く、しかも家族構成も説明不足でいったい誰が語り手なのかイマイチ分からない。物語の掴みとしてはマイナスというしかありません。致命的なのは、彼ら二人がホテルのバスルームで初めて関係を持つシーン。アリソンが切々ともう後戻り出来ないことを語るのですが、彼女の姿は画面の外で一切その姿が映らないんです。「あぁきっとマーゴット・ロビーがヌードNGで仕方なくこんな演出にしたんだろうなぁ」と思ってたらその後、普通にヌードの彼女が出てきて、「え、じゃあなんでこんな変な演出にしちゃったの?」と思わず呆然。きっと撮り方次第でものすごく印象的な良いシーンになったであろうに、何とも勿体ない。良い部分もたくさんあったのですが、それと同じくらい残念なところも目立つ作品でありました。ま、この監督の次作に期待ってことで。
[DVD(字幕)] 6点(2022-01-11 02:36:35)
423.  ゴジラvsコング 《ネタバレ》 
監督が変わるとここまで違うかというくらい、さっぱり面白くなかったでしゅ。
[DVD(字幕)] 4点(2022-01-07 00:45:19)
424.  mid90s ミッドナインティーズ 《ネタバレ》 
1990年代に青春の日々を過ごしたとある少年の鬱屈した日常を描いたノスタルジック・ドラマ。率直に言ってちっとも面白くなかったです、これ。起伏も何もない凡庸なお話が最後までダラダラダラダラ。映像も終始小汚いし、ところどころ画面が凄く暗くなるもんだから見辛いことこのうえない。何だかさして仲良くない赤の他人の思い出ホーム・ビデオを無理やり見させられた感が半端なかったです。90年代半ばというからには、当時僕が大ハマりしていたニルヴァーナやナイン・インチ・ネイルズの楽曲が使われてるのかなと思ったら(だって音楽担当はトレント・レズナーですし!)、それもなく最後までただひたすら退屈な時間を過ごしてしまいました。
[DVD(字幕)] 4点(2022-01-04 01:13:02)
425.  ストレイ・ドッグ(2018) 《ネタバレ》 
17年前のとある事件がきっかけで心を病み、以来酒に溺れ荒んだ生活を送ってきた女性刑事エリン。ロサンゼルス市警内でもお荷物扱いされ、夫とも離婚、16歳の一人娘からも嫌われ、生きる希望も見失いかけた彼女はただ刹那的に日々を生きていた。そんな折、エリンの元に差出人不明の一通の封筒が届く。中に入っていたのは、紫色の塗料で染められた、一枚の薄汚れた紙幣だった。そしてそれは、17年前に封印したはずの忌まわしき記憶を彼女によみがえらせるのだった――。17年前、エリンはFBI捜査官であるパートナーのクリスとともに、とある犯罪組織内で潜入捜査任務にあたっていた。だが、そこで彼女は取り返しのつかない失敗を犯し、犯罪組織のボスであるサイラスを取り逃してしまったのだ。そしてその紙幣は、以来潜伏生活を続けていたサイラスが再び、現役復帰を果たしたことを宣言するものだった。17年前の忌まわしき記憶にけりをつけるため、エリンは執念の捜査を再開するのだが……。オスカー女優ニコール・キッドマンが、過去の記憶に苦しめられ酒浸りの生活を送る刑事役を熱演し、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされたクライム・サスペンス。全編に横溢する、このひりひりとした緊張感はなかなかのものでした。過去と現在を行き交いながら描かれるストーリーも全く先が読めず、最後まで飽きさせません。特に中盤辺りで突発的に開始される銀行強盗のくだりは、非常にサスペンスフルで見応え充分。大胆な老け顔メイクを披露したニコール・キッドマンもなかなかの熱演ぶりで、回想シーンの美しかった時との激しい落差がより、この女刑事の悲哀を浮き彫りにさせている。そして、クライマックスで明かされる主人公の衝撃の過去…。と、クライム・サスペンスとしては充分面白かったのですが、惜しいのは脚本に突っ込みどころが多い点。現代と過去の銀行強盗パートがさすがに都合よく行き過ぎる。ここまで大胆な行動を取った主人公をほっとく警察署は明らかに無能すぎだし、事故を起こした逃走車の近くにあるごみ箱を調べない鑑識も不自然。冒頭の殺人事件が実は…となるミスリードもイマイチ効果を発揮していない。と、そこらへんに不満は残るものの、総じて満足度は高い。なかなか密度の濃い犯罪劇の佳品でありました。
[DVD(字幕)] 7点(2021-12-16 05:24:08)
426.  ピアッシング 《ネタバレ》 
男は、生まれたばかりの自らの子供にアイスピックを突き刺したい衝動に駆られていた。女は、生きづらい世の中に絶望を感じると自らの太腿にハサミを突き刺すという自傷行為を止められずにいた。内に潜むそんな抑えきれない衝動に悩む彼らはある夜、場末のホテルで客と娼婦として出会うことに。殺人願望を抱えた男と自殺願望を抱えた女――。出会ってはならないそんな二人が顔を合わせたとき、身も凍るような惨劇の幕が切って落とされるのだった……。社会のルールからはみ出してしまった男女のそんな文字通り命を懸けた駆け引きをサスペンスフルに描くサイコ・スリラー。原作は、泣く子も黙る現代日本文学の重鎮、村上龍。私、原作本ははるか昔に読んだ記憶があります。この本が出た90年代の村上龍って、そのシャープで切れ味鋭い文体とエロとグロをふんだんに取り入れながらもあくまでスタイリッシュさを失わない世界観とを武器に、ひたすらワンアイデアで新作を量産していたころ。なんか金に困ってんのかなってくらい毎年大量の本を出していたので、もちろん傑作と呼べるものも幾つかあるのですが、中には駄作と断言できる酷いものまでさまざまでした。そしてこの『ピアッシング』は、ギリギリ駄作ではなかったかなという印象。で、そんな本を映画化したという本作。ま、こんなもんじゃろって感じでした。やはり彼の本を映像化するとグロさが勝っちゃうんですよね(最後の乳首に針を突き刺すシーンはあかん!)。映像や脚本にも何のセンスも感じられなかったし、最後まで観るのが結構しんどかったです。変な虫が出てくる幻想シーンにだけ、ほんの少しセンスを感じました。以下余談。本作を本サイトに登録したのは私なのですが、きっかけは近所のツタヤのツタヤ先行レンタルコーナーに並んでいるのを見かけたから。「あ、原作読んだことあるし僕のお気に入りのミア・ワシコウスカも出てるしいつか観よう」と思うもわざわざ新作料金で借りるのもなんだし、旧作になるまで待って先に登録だけしとこうって思ったんです。でも、いつの間にかそのツタヤからはなくなってしまいました。近くの店舗にもないし、わざわざ取り寄せてもらうほどでもないし、いったいなんでないんだって思いつつもずっとレビューできずにいました。今回ネットフリックスでようやく鑑賞できたわけですが、いったいなぜツタヤからなくなってしまったんでしょう。もしかして、あまりに酷い内容だったからかな(笑)。
[インターネット(字幕)] 4点(2021-12-14 17:10:10)
427.  ペンギンが教えてくれたこと 《ネタバレ》 
海外旅行中のタイで事故に遭い、下半身不随の障碍を負ってしまった母親とその家族の苦難の日々を実話を元に描いたヒューマン・ドラマ。3人のかわいい盛りの子供たちにも恵まれ順風満帆の人生を送っていたのにいきなり、そんな失意のどん底へと落とされてしまう母親を演じるのはベテラン女優ナオミ・ワッツ。タイトルにペンギンとありますが本作にペンギンは一切出てこず、実際はペンギンと名付けられた小さなカササギが物語の鍵となります。内容は、そんな小さな一羽の鳥がこの壊れかけた家族の絆を再生してゆくという、まあ率直に言ってベタなもの。物語の前半、不慮の事故により一生車椅子生活を強いられることになってしまったこの母親のあまりにも自己中心的な姿に、僕はちょっと観たのを後悔してしまうくらい腹が立ってしまいました。いやいや確かにしんどいのは分かるけれどもあなたより大変な思いをしている人はごまんといるし、自分を献身的に支えてくれる夫も居るし何より3人のかわいい子供たちも居るのに、何をそんな自分が世界で一番かわいそうみたいな態度取ってんだよ!っていう、ね。そう思わせるほどナオミ・ワッツの演技力が素晴らしいんでしょうけれども。まあ「子供がトイレで吐いてるのに自分はもう駆けつけることも出来ない、母親として私もう終わってる」という言葉には、確かに心動かされるものがありましたけれど。でも、その家族の元へと迷い込んだカササギとの交流を通じてこの主人公が次第に前向きな気持ちを取り戻してゆくというのは、実話ということもあってなかなか惹き込まれて観ることが出来ました。娘を思うあまり主人公に酷い言葉をはいてしまう母親の造形も何ともリアル。そして最後、色んなものを抱えながらもそれでも前を向いて生きてゆこうと決意する家族の姿には、素直にエールを送りたい気持ちにさせますね。ただ、最後にテロップで表示される「この母親はその後、カヤックで世界大会に出場し、障害者サーフィンで2度優勝した」との事実にはビックリ!え、そっちをメインで描くべきやったんじゃないの?(笑)。ここまでベタで行くなら、ペンギンとのエピソードはあくまでサブに抑えて、この失意のどん底にいた主人公がカヤックやサーフィンで世界へと羽ばたくというお話にした方がより面白くなったと思うんですけど……。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-14 17:05:48)
428.  パワー・オブ・ザ・ドッグ 《ネタバレ》 
1920年代のアメリカ南部を舞台に、牧場主の兄弟とこの家に嫁ぐことになったとある未亡人、そして彼女の息子のそれぞれ複雑に絡み合う思惑を濃密に描いた心理サスペンス。主演を務めるのは、人気俳優ベネディクト・カンバーバッチとベテラン女優キルスティン・ダンスト。監督は、カンヌでパルムドールを受賞した名匠ジェーン・カンピオン。というわけで、観ながら思い出されるのはやはり同監督の名作『ピアノ・レッスン』でしょう。許されぬ愛に身を焦がす男女をこってり濃厚に演じたホリー・ハンター&ハーベイ・カイテルに負けず劣らずの熱演を見せてくれます。特に、ほとんど風呂にも入らず悪臭を放つ荒くれ者でありながら実は繊細な心の持ち主である牧場主を演じたB・ガンバ―バッチは見事でした。愛のない結婚生活から次第に酒に溺れてゆくK・ダンストの切なげな表情もなかなか良かったです。そして、最初は頼りない若者に過ぎなかった彼女の息子が次第に何考えているのか分からない得体のしれない存在へと変貌してゆくのも不気味でいい。ただ、『ピアノ・レッスン』と比べるとどうしても地味な印象を持ってしまったのも事実。何が足りないのかと考えてみると、それはやはり音楽なんじゃないでしょうか。あちらでは世界的なピアノ奏者マイケル・ナイマンの繊細で美しい旋律を持ったピアノ曲が全編に流れていて、非常に気品溢れる芸術作品へと昇華されておりました。対して本作、最後までほとんど音楽が使われず、終盤まで何とも地味な展開で気持ちが離れてしまうこともしばしば。最後に各々の思惑が明らかにされ、人間の底知れぬ怖さが浮き彫りになるというのは良かったのですが、いかんせんそこまでが長すぎます。いろいろと興味深い部分も多かったのですが、それと同じくらい欠点も目につく作品でありました。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-14 03:12:56)
429.  ELI イーライ 《ネタバレ》 
彼の名は、イーライ。数年前に発症した極度の免疫疾患により、少しでも外気に接すると瞬く間に皮膚が爛れてしまうという難病に侵された11歳の少年だ。なので、普段の生活は完全に外部と遮断されたテント内のみ、外出する時も完璧に防備された防護服を着なければならなかった。悲嘆に暮れた彼の両親は、様々な専門家を当たってみるものの有効な治療法を見出せぬまま時間だけが過ぎていった。そんな中、両親はこれこそ本物かもしれないと思しき専門医に行き当たる――。アメリカ郊外にひっそりと佇むその医師の治療施設は、外部との接触を一切絶った一軒の洋館だった。しかもそこは最新鋭の設備によって外気から完全に隔離され、この中であればイーライも普通の少年のように自由に生活することが出来るという。久しぶりの普通の生活に嬉しくなったイーライは、治療に専念するため、その洋館に両親とともに泊まり込むことに。だが、一日二日と過ぎてゆくごとに、彼はこの洋館に言い知れぬ違和感を感じ始める。何処からか自分を見つめる視線、いつに間にか壁に書かれていた謎のメッセージ、そして屋敷の外をうろつく怪しげな少女……。果たしてこの施設に隠された秘密とは?という極めてオーソドックスな設定のゴシック・ホラーなのですが、本作のミソは主人公の少年が外部との接触が一切無理という難病に侵されているという点。おかげでこの洋館から逃げ出せないという密室設定を無理なく作り出せている。そこで次々と巻き起こる怪異現象もまぁかなりベタではありましたけれど、それなりに怖くて一定の水準には達していたと思います。知らない洋館で夜を過ごすというのはやはり本能的な怖さを搔き立てるものがありますね。そこで繰り広げられる主人公の治療も禍々しくて大変グッド。特に、イーライの頭に電動ドリルを突っ込むシーンは思わず目を逸らせちゃいましたわ。このシーンを含め、何だか全体的に楳図かずおテイストを感じたのは自分だけでしょうか。そして、最後に明かされる驚愕の真相にもまんまと騙されてしまいました。なるほど、このどんでん返しは予想できませんでしたわ。監督はこの善悪の逆転劇を見せたかったのですね。とは言え、100%納得できたかというと全くそんなことはありませんでしたけど。納得度で言えば正直、25%くらいですかね。残りの75%は「んなアホなぁ」でした(笑)。と、オチがちょっと(かなり?)残念な作品でしたけれど、正統派ゴシック・ホラーとしてはぼちぼち楽しめると思います。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-10 08:10:49)(良:1票)
430.  ムクドリ 《ネタバレ》 
生まれたばかりの赤ん坊を亡くしてしまった中年女性、リリー。以来、精神の不調から入退院を繰り返す夫を支えながら、近所のスーパーでパートとして働いていた彼女だったが、それでもふとした瞬間にどうしようもない悲しみに襲われるのだった。なんとか気分を変えようとリリーはある日、自宅の庭をガーデニングすることを思いつく。倉庫からスコップや鍬を取りだし、麦わら帽をかぶってこれから素敵なお庭を完成させようとした矢先、思いもよらぬ敵が彼女の前に立ち塞がるのだった。それは、一匹の小さなムクドリ――。庭で何かしようとするたびに自分のことを執拗に攻撃してくるそんな小さな闖入者に、いいように振り回されるリリー。ホームセンターでフクロウの置物や害獣用の駆除剤を手に入れ、なんとか撃退しようと目論むリリーだったが、どうにもうまくいかない。そんな折、病院に入院していた夫の病状が悪化しているとの連絡が……。大切なものを亡くし失意の中に生きていた中年女性が、小さなムクドリとの攻防を通じて自らの過去と向き合う姿を描いたヒューマン・ドラマ。主演を務めるのは、何処にでもいるような平凡なおばちゃんを演じさせたら右に出るもののいないメリッサ・マッカーシー。彼女のナチュラルな演技は抜群の安定感で、そんなどうしようもない悲しみに暮れるパート主婦をリアルに演じております。基本暗くなりがちな内容なのに、最後までそこまで重苦しくならないのは彼女の持ち前の明るさによるところが大きい。アメリカ郊外のノスタルジックな映像とほのぼのとした音楽も観ていて心地よく、この悲しい物語をいい感じに中和している。なので最後まで気持ちよく観ることが出来ました。ただ、彼女と裏庭に棲み着いたムクドリとの肝心の攻防が物語としてイマイチ巧く効いていないのが僕的には物足りなくも感じちゃいました。もっとスラップスティックなドタバタに振り切るか、あくまでリアルに徹するか、どちらかにしてほしかったですね。そうすれば、後半に明かされるムクドリの習性ももっと活きてきたと思うのに。この監督の前作『ドリーム』でも感じた、暗く重い物語をあくまで明るいエンターテインメントでという作風は嫌いじゃないだけに何とも惜しい。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-06 05:03:00)
431.  炎の裁き 《ネタバレ》 
1991年、12月23日。テキサス州、コルシカナにおいて一軒家を焼く火事が発生する。子供部屋で出火した炎は瞬く間に家全体へと拡がり、手の施しようのないまま全焼してしまう。当時家に居たのは失業中の父親トッドと、産まれたばかりの赤ん坊を含む3人の幼い子供たち。母親のステイシーは夜勤に出ていてまだ帰宅していなかった。消防車が来るまで懸命に子供を助けようとしたトッドだったが、炎の廻りは予想以上に早く、不幸にも3人の子供たちは帰らぬ人になってしまうのだった――。当初は被害者として扱われていたトッドだったが、その後事件は予想外の展開を見せる。なんとトッドが、自らの子供3人を焼き殺した放火犯として逮捕されたのだ。そうして始まった裁判では、トッドの過去の犯罪歴や妻に暴力を振るう粗暴な言動、そして彼と揉め事を抱えていた隣人たちの証言によって追い詰められ、最終的に彼は死刑判決を受けてしまうのだった……。果たしてあの日、いったい何があったのか?彼は本当に娘を殺したのか?そして彼はこのまま死刑となってしまうのか?実話を元に、そんな痛ましい火事の真相を巡って翻弄される人々の葛藤を描いた法廷劇。という、冤罪の疑いのある死刑囚の再審請求を巡るお話なのですが、普通ならここで彼の事件の再調査を担うことになるのは理想に燃える若手弁護士と相場は決まっているもの。だけど今回、この事件の再調査を行うのは何処にでもいるような平凡なおばちゃんというのが本作のミソ。もちろん頑張って裁判記録や当時の証言者に当たってみるのだけど、死刑反対派ってだけの何の権限もない単なるおばちゃんなので、そりゃもちろん調査は難航するわけですよ。しかも彼女だって自分の子供たちまで巻き込んでるわけですから、そりゃ世間の白い眼を浴びて当然。それでも地道な調査の結果、彼の冤罪の可能性が濃厚となり、決定的な証拠も掴めそうになるクライマックスは非常にサスペンスフルで見応え充分でした。死刑執行が明日に迫る中、ぎりぎりのタイミングまで尽力する主人公。きっと最後には執行延期の連絡が届くはず……。でも、ここで大きくネタばれすると、物語は非常に重い結末を迎えてしまいます。果たして何が正しかったのか?自分は死刑存置論者ですが、それでもこの結末は深く考えさせられました。監督は、社会性の強いエンタメを得意とするエドワード・ズウィック。彼の演出力は相変わらず高く、特に死刑囚独房で幻想の娘と一人会話を交わすトッドには胸打たれるものがあります。当初はこのトッドに冷たく当たっていた看守が次第に彼に同情を寄せていく描写も巧い。ただ最後、テキサスの共和党知事の実際の映像を流すシーンは非常に政治的主張が強いので、恐らく賛否が分かれるところ。自分はちょっとやり過ぎに感じてしまいました。とは言え、いろいろと考えさせられる密度の濃いヒューマン・ドラマの逸品と言っていいでしょう。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-22 08:35:52)
432.  密航者 《ネタバレ》 
ここは、火星へと向かうために宇宙を航行する最新鋭の宇宙船。目的は、地球から持ってきた植物の種子を繁殖させ、不毛の地である火星を人が住めるような環境へと変えること。経験豊富な女性船長をはじめとする3人の乗組員は、2年後の火星到着を目指し順調に航行を進めていた。そんな矢先、彼らは予想だにしない事態に直面する。なんと空気濾過設備内に見知らぬ男が忍び込んで意識を失っていたのだ。しかも男のせいで設備に致命的な損傷が起こり、船内の酸素が火星到着まで持たないことが判明するのだった――。船内に積んでいた藻を繁殖させることでなんとか当面の酸素は確保したものの、計算してみると2年後の火星到着まではぎりぎり3人分しかない。意識を取り戻した当の〝密航者〟は、なぜ自分がこの宇宙船内に紛れ込んでいたのか記憶がないという。疑心暗鬼から次第に不穏な空気が漂い始める船内。ミッション遂行のため、仕方なく彼を「排除」しようと目論む船長だったが…。火星へと向かっていた宇宙船内で発見された密航者を巡り、そんな極限の選択を迫られる乗組員たちの葛藤を描いたSFドラマ。若手女優アナ・ケンドリックと実力派女優トニ・コレット共演ということで今回鑑賞してみました。率直に言って、さっぱり面白くなかったです、これ。SFなのにとにかく単調!!この黒人の密航者をどうするのかというただそれだけのお話が最後までダラダラ続き、僕はずっと眠気と戦いながらの鑑賞となってしまいました。とにかく無駄なシーンやエピソードがてんこ盛り。普通に削っていけば一時間程度で終わるんじゃないかという薄っぺらいお話を無理やり2時間近くまで引き延ばしたような印象です。致命的なのは、この密航者がどうして宇宙船に忍び込んでいたのか最後まで一切明かさなかったところ。そこが物語として重要な鍵とちゃいますのん!密航者「どうしてこんなとこで寝てたのかさっぱり分からない」、乗務員「あ、そうですか。それは仕方ないですね」ってそんなアホな(笑)。また、宇宙空間を舞台にしているのにほとんど無重力の描写がないのも、恐らく予算の都合なんでしょうけど何とも不自然でした。最後のオチも後味が悪いだけで深みも何もあったもんじゃありません。久しぶりにこんなつまんない映画と出会ってしまいました。映像はちょこっとキレイだったので、ギリ4点!!
[インターネット(字幕)] 4点(2021-11-18 03:54:49)
433.  ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ 《ネタバレ》 
離婚のショックから広場恐怖症を患い、以来狭い一軒家でずっと閉じこもって暮らす児童心理学者のアナ。愛する一人娘とも離れ離れとなってしまった彼女の唯一の心の慰め、それは向かいの家につい最近越してきた家族を夜な夜な覗き見ることだった。窓の隙間から双眼鏡を使い、そのラッセル家の赤裸々な日々をじっと見つめる歪な毎日。ラッセル家はそんなことなどつゆ知らず、彼女の元へと挨拶にやってくる。まるで初めて会ったかのように気さくに話し込むアナ。特に妻ジェーンとは夜中まで酒を酌み交わすほど意気投合するのだった。それでもアナは夜ごとカーテンの隙間から彼らの生活を覗き見ることを止められない。そんなある夜、アナは恐ろしい出来事を目撃してしまう――。なんとジェーンが夫との口論の末に刺し殺されてしまったのだ。動揺しながらも、すぐに警察へと通報するアナ。だが、ラッセル家を訪れた警察はそのような事実は確認できなかったと彼女に告げるのだった。さらには別の女性をジェーンだと言い張る夫も現れ、彼女の証言は誰にも信用されないまま警察は帰ってしまう。到底納得いかないアナは、部屋の中から独自に調査を開始する。ネットや電話を使い、夫の私生活を執拗に追ううちに彼こそが真犯人だという確信を深めてゆくアナ。ところが、彼女自身の心にも忘却の彼方へと押し込んでいた深い闇が潜んでいて……。引きこもりの孤独な中年女性がたまたま残虐な殺人事件を目撃したことによって、悪夢のような世界へと迷い込むサスペンス・スリラー。というなかなか古典的な設定の作品なのですが、何度もオスカーの栄誉に輝くジョー・ライト監督の作品ということで今回鑑賞。しかも同じくオスカー俳優のエイミー・アダムスとゲイリー・オールドマン、そしてジュリアン・ムーアが豪華共演というのですからこれは観ないわけにはいきますまい。この布陣からも分かる通り抜群の安定感で、最後までぐいぐい引き込ませる良質のエンタメ作品に仕上がっておりました。舞台はほとんどこの狭い家の中のみで登場人物も限られているのに手を変え品を変え、最後までこの緊張感を途切れさせずに見せきったのは素直に素晴らしい。ヒッチコック風の古典的なサスペンスでありながら、そこにSNSやGメールといった現代のアイテムをさりげなく盛り込む手腕もお見事。中盤に明かされる主人公の衝撃の過去もまぁベタではありますけども、エイミー・アダムスの真に迫った演技により惹き込ませます。肝心のことの真相が若干強引でしかも後味がいまいち良くないのが残念ではありましたけれど、僕は充分楽しめました。お薦めです。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-11-15 06:55:09)
434.  オキシジェン 《ネタバレ》 
人一人がなんとか横たわることが出来るような狭い密室である日、目覚めた一人の女。まるで棺桶のようなここには、高度な医療技術を備えた設備が整えられ、「ミロ」と名乗るAIが全てのシステムを管理していた。どうやら完全隔離された医療ポッドらしい。目覚めた女は断片的な記憶はあるものの、自分がなぜここに居るのか、なぜこのような事態に陥ってしまったのか、さらには自分の名前すら思い出せなくなっていた。「すぐにここから出して!」――。ミロにそう訴えるものの、ミロは「今はその時ではありません」と事務的に告げるだけで外部へのドアは固く閉ざされたまま。しかもポッド内の酸素残量はあと僅かしかなく、このままでは一時間もすれば窒息死すると冷徹に告げるのだった。あまりの事態に半狂乱になる女。酸素が底をつく前になんとか脱出しようと、微かな記憶だけを頼りに必死で解決法を探るのだったが……。手足を僅かばかり動かせるような狭い密室で目覚めた女の極限の恐怖を描いたサスペンス。一時期大量生産された、いわゆる密室系ソリッド・シチュエーション・スリラーの一種と言ってもいい本作、そんな期待せずに今回鑑賞してみました。だって『リミット』をはじめとするこのジャンルの映画にはさんざん苦い思いをさせられてきましたから。なのですが、僕のそんな先入観は良い意味で裏切られました。いや、なかなかの良作ですよ、これ。何が良いってまずはセンス溢れる美しい映像。ずっとこの医療ポッドの中だけで最後まで進むので物語としては単調になりがちなのだけど、青を基調としたスタイリッシュな映像がとにかくキレイでずっと見ていられます。時折挿入される回想シーンもノスタルジックで、現在の危機的状況との対比が巧く効いている。と、油断していたら、急に大量のネズミがポッド内に出現して、これがなかなか衝撃的でひえーっと思わず声に出しちゃいましたわ。この緩急のつけ方は見事というしかないですね。もう一つは、練られた脚本の力。主人公がポッド内の電話で警察と連絡を取るところから、「あー、これはきっと何処かのイカれた病院かサイコパスに地中に埋められたかだろうな」と思っていたら、途中でまさかの急展開!いや、そうくるかって感じです。そしてその真相はあまりに切ないもので、僕は思わず泣きそうになっちゃいましたわ。外の世界の映像があまりに美しく、より悲しみを倍増させます。自分だったらこんなの絶対耐えられないよ…。監督は『ピラニア3D』などのバカ映画を撮っていたかと思えば、急に『ルイの9番目の人生』というセンス溢れる良作を撮ったアレクサンドル・アジャ。この人のふり幅は相変わらず激しい。今回は良い方のアジャでした。最後の映像は個人的にはいらんかったと思うけど、低予算ながらなかなかの逸品でございました。
[インターネット(字幕)] 9点(2021-11-15 05:22:20)(良:1票)
435.  ブラッド・ダイヤモンド 《ネタバレ》 
世界の片隅で皆から忘れ去られたようにひっそりと存在する小さな国・シレラレオネ。そこに住む人間以外、ほとんど誰も知らないまま、ダイアモンドを巡る内戦が激化していた。ディカプリオ演じる主人公のアーチャーは、とある希少なダイアモンドを求めて子供をさらわれた黒人と共に内戦下の危険な世界を疾走していく。とても重たい社会的テーマを扱いながら、エンタメ映画として充分な面白さをも兼ね備えた稀有な作品。リアリティ溢れる世界に展開される、徐々に疾走感を増していくストーリー、ダイアモンドを巡る国際的な血生臭い真実。「ダイアで済んで良かった。石油だともっと人が死んでいた」という老人の言葉が重い。俳優としてどんどんと実績を積み、確実にキャリアアップしていくディカプリオの男臭い演技も見応え充分。私たちが知らない間にいったい世界で何が起こっているのかを知らせてくれる、良質のエンタメ映画だ。余談だけど、映画館で一緒に観た人の一人がたまたま結婚を控えた若い女性だった。もちろん、彼女の左手の薬指には彼氏から貰った婚約指輪が…。見事に立ち直れないくらいへこんでました(笑)。ごめんね、こんな内容だとは知らなかったんだ。
[映画館(字幕)] 9点(2021-11-13 00:54:15)(良:1票)
436.  私というパズル 《ネタバレ》 
赤ん坊を自宅出産した女性が、助産師のミスからか、産まれたばかりのその子供を死なせてしまい、以来激しい喪失感と罪悪感に苛まれる日々を淡々と見つめたヒューマン・ドラマ。見どころとなるのは、やはりなんといっても冒頭30分にも及ぶワンカットで撮られたリアルな出産シーンでしょう。不安や痛みがダイレクトに伝わってきて、まるで自分もその場で立ち会っているかのような緊張感が感じられました。このシーンは率直に見事というしかない。ただ、それ以降、映画はずっとこの子供を亡くした夫婦の苦悩の日々をひたすら淡々と描いてゆきます。アカデミー賞にノミネートされただけあって、主役を演じたヴァネッサ・カービーの熱演も真に迫っております。ただ、とにかく暗い!!正直自分はこういう後ろ向きな人々の激しい口論がひたすら続くような内容がかなり苦手です。いや、彼女たちの気持ちは分かるんですけどもう少し明るい内容というか、もっと希望を持てるような展開がないとちょっときついですね。もう気が滅入って仕方ありませんでした。病んだ妻に嫌気がさして浮気しちゃう夫も、余計なお世話を焼いてますます事態を拗らせちゃう身内も、誰も彼も全く好きになれませんし。きっと完成度は高いんでしょうけれど、自分はこういう内容は好きじゃないです。すんません。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-11-09 01:16:52)
437.  ケイト 《ネタバレ》 
大都会・東京の裏社会で暗躍する凄腕の殺し屋、カイト。引退を決意した彼女が最後に挑む任務をハードに描いたサスペンス・アクション。ハリウッド・スターのウディ・ハレルソンが出演し、日本からは海外でも活躍する浅野忠信や國村隼が出演しているということで今回鑑賞してみました。率直な感想を述べますと、まー、ダメな映画でしたね、これ。『96時間』風のシリアス路線でいきたいのか『ジョン・ウィック』風のコミカル路線でいきたいのか、最後まで軸がブレブレで何とも中途半端。「今時これはないだろ!!」っいうアメリカ人が思い描くトンデモ日本描写もまぁ狙ってやってるのは分かるんですけど、振り切れてないから全然笑えないし、マジで見る分には寒すぎる。冒頭のやくざに追われた主人公が公道から車を盗むシーンなんて、わざわざ一番ど派手なヤンキー車をチョイスするというバカっぷり。何度も繰り返されるブーンブーンレモンのくだりもしつこいうえに終始すべってましたし。クライマックスなんてグダグダでもう見れたもんじゃありません。完全なる実力派の無駄遣い映画でありました。トホホ。
[インターネット(字幕)] 3点(2021-11-06 02:52:52)
438.  この茫漠たる荒野で 《ネタバレ》 
彼の名は、ジェファソン・キッド大尉。今は退役したものの南北戦争で戦ったかつての英雄だ。そんな彼の現在の職業は、〝ニュース屋〟。まだ通信技術も移動手段も限られていたこの時代に、普段新聞を読まない市井の人々のために全米各地を転々としながら日々の出来事や政治情勢を分かりやすく読み聞かせることを生業としている。今日もまた次の町へと向かうために荒野を旅していた彼は、途中10歳くらいの謎めいた少女と出会う。白人でありながら英語は話せず現地の民族服を着た彼女は、明らかにインディアンに連れ去られた子供だった。調べてみると、彼女の名はジョハンナ。6年前にインディアンによって家族を皆殺しにされて、そのまま部族の中で育てられたらしい。唯一の身寄りは、テキサス南部に暮らす叔父夫婦のみ。遠方へと出払ってしまった保安部隊の代わりに、地元当局から身内の元へと送り届けてほしいと頼まれた彼は、仕方なく彼女を連れて荒野へと旅立つのだった。だが、武器となるのは鳥撃ち用の貧弱な散弾銃だけ。そんな二人を当然、荒野の荒くれ者どもは見逃すわけもなく、執拗に付け狙い始める……。『キャプテン・フィリップス』のポール・グリーングラス監督と名優トム・ハンクスが再びタッグを組み、南北戦争後のアメリカを舞台に孤独な退役軍人と家族を皆殺しにされた少女との苦難の旅路を描いたロード・ムービー。主人公となるのが現役バリバリの英雄なんかじゃなく、今や老境へと差し掛かろうかという枯れたオヤジというのが本作のミソ。そんな圧倒的に弱い立場の二人の旅路は常にサスペンスフルで最後までハラハラドキドキの連続で目が離せません。特に中盤、少女を売春宿へと売り飛ばそうという無法者3人に荒野で追い詰められるシーンは、リアルで生々しくひりつくような緊張感に溢れた名シーンでした。それ以降も、豪族が支配する地方の村落でニュースの読み聞かせからのアジテーションで村民に暴動を起こさせて逃げようとするシーンは、名優トム・ハンクスの面目躍如といった素晴らしい熱演で見応え充分。そんな彼とタメをはる子役の女の子も、これが新人とは思えない堂々とした演技で全く負けておりません。最後のオチもベタながら、この茫漠とした世界の中で微かな希望を感じさせ、良い余韻を残してくれます。過酷な運命に見舞われた少女がこれから先、少しでも幸せになってほしいと祈らずにはいられないなかなかの逸品でありました。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-06 02:43:16)
439.  THE GUILTY ギルティ(2021) 《ネタバレ》 
ここは、ロサンゼルス各地からかかってくる911コールを一手に引き受ける緊急通報センター。自らのデスクで今日も業務にいそしむ彼の名は、ジョー・ベイラーだ。数日前に発生した大規模な山火事により、その日はいつもよりも通報が多くもう目が回るような忙しさだった。ようやく勤務が終わるというその時間に彼はある一本の通報を受ける。「私の名は、エミリー。今、元夫の車に拉致され何処かへと向かっている。私、このままじゃ殺される、お願い、助けて」――。明らかに切迫した彼女の悲痛な声に、ジョーは運転しているであろう夫に悟られないよう慎重に言葉をかける。警察と連携を取り、すぐさま発信元である高速道路へとパトカーを向かわせるジョー。ここで彼の仕事は終わったはずだった。だが、自らも幼い娘を抱える彼は、携帯の登録情報から彼女の実家へと電話を掛けてみる。電話に出たのはエミリーの幼い子供だった。詳しく話を訊いてみても、血だらけのママが父親に連れ去られたと泣き叫ぶだけ。さらにはまだ赤ん坊の弟までナイフで刺されて血だらけになっているという。どう考えても異常な事態。居ても立ってもいられなくなった彼は、現場の警察とは別に独自の行動を取るのだが……。緊急通報センターという閉じられた空間を舞台に、主人公であるオペレーターとあとは電話の向こうにいる幾人かの人々とのやり取りのみで描くという挑戦的なスタイルでスマッシュヒットを飛ばしたデンマーク製サスペンスをリメイクしたという本作、監督は男臭いエンタメを得意とするアントワン・フークワでしかも人気実力ともに今一番脂ののっているベテラン俳優ジェイク・ギレンホールが主演を務めております。ちなみに僕はオリジナルの方は鑑賞済みで、そのワンシチュエーションな設定ながら練られた脚本の力で最後まで見せきったなかなかの佳品だったので、今回楽しみに鑑賞してみました。結論を言うと、ほぼオリジナルに忠実なリメイクでしたね、これ。状況設定もお話の展開も最後のあっと驚くどんでん返しも。なので新たな驚きはなかったのですが、やはり見どころは主役を務め、ほぼ最後まで独り芝居を披露したジェイク・ギレンホールの熱演でしょう。オリジナルで主役を演じた方も決して悪くはなかったのですが、ハリウッドの第一線で子役の頃から何十年もキャリアを積んできた実力派はやはり違いますねぇ。最後までぐいぐい惹き込ませる素晴らしい熱演でした。特に最後、自らの過ちに気づいた彼の真に迫った表情には圧倒されるものがあります。新たに追加された山火事設定がいまいち活かされていなかったのがちょっと気になったけど、なかなか見応えのあるサスペンス・ドラマの逸品でありました。お薦めです。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-01 03:49:39)
440.  ペット・セメタリー(2019) 《ネタバレ》 
そこは太古より、邪悪で禍々しい力が宿る場所――。都会の喧騒を逃れ、のどかな田舎町へと越してきたクリード家。可愛い盛りの二人の子供たち、愛する妻、そしてペットの猫と共に充実した日々を送っていた夫のルイスだったが、彼にはたった一つだけ気掛かりなことがあった。それは毎日家の前を猛スピードで通り過ぎる幾台ものトラック。不安を感じながらも新生活を始めた数日後、恐れていた事態が起こってしまう。娘のエリーが可愛がる猫がトラックに轢かれ、無残な死体となって発見されたのだ。エリーのことを思い途方に暮れる彼に、隣に暮らす老人が驚きの事実を教えてくれる。なんと森の奥深くにある神聖な〝ペットの共同墓地〟へとその死体を埋めると、次の日、何事もなかったように帰ってくるというのだ。半信半疑ながらも言われるまま、猫の死体を埋めたルイス。すると、ちゃんと次の日、猫は生きて帰ってきたのだった。だが、何処かおかしい。見た目は変わらないが、以前とは何かが違う。戸惑う彼を更なる悲劇が襲う。今度は愛する娘のエリーが、暴走トラックの犠牲となってしまったのだ。「どうして娘がこんな目に…」。嘆き悲しむ彼の脳裏に過ったのは、そのペット霊園の恐るべき力だった……。かつて何かのインタビューで、自分の書いたものの中でもっともおぞましい小説と言わしめたスティーブン・キングの初期の代表作を再映画化したという本作を今回鑑賞してみました。ちなみに僕は原作小説も映画の方も遥か昔に鑑賞済み。どちらも感想としては、愛する者の甦りという設定こそ秀逸だったものの、お話としてはどちらも普通という印象でした。なんか原作は、スティーブン・キングの悪い面が若干強めに出ちゃった感が強く、良くも悪くもサービス精神過剰なんですよね。この邪悪な力を使ってでも愛する者を甦らせたいというテーマ一本に絞れば良いものを、主人公が救えなかった患者の幽霊が何故か何度も出てきたり、妻の死んだ姉のエピソードが何度も繰り返されたりと明らかに詰め込み過ぎでした。本作も基本的にはそんな変わらず、やはり一本の映画としては散漫で引っ張りすぎな印象が否めません。中盤まで、「もうええからはよ死体を埋めに行けよー!」って何度も思っちゃったし。んでも後半、死んだ娘が生き返ってからはホラー映画のセオリーはちゃんと押さえられていたので僕はぼちぼち楽しめたかな。今回、死ぬのは長男から長女にしたのはナイスな変更だったんじゃないですかね。この子がなかなか頑張っていて、顔を歪ませながら包丁を持って襲ってくるとこはけっこう怖かった。あのたどたどしい喋り方もなんともヤな感じで大変グッド。という訳で、僕はまぁぼちぼち楽しめましたです、はい。
[DVD(字幕)] 6点(2021-10-11 23:57:42)
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