441. 43年後のアイ・ラヴ・ユー
《ネタバレ》 往年の名舞台女優リリィが認知症を患い施設に入所している事を知った元演劇評論家で当時の恋人クロードが、会いたい一心から親友兼悪友の手助けを受けて認知症を装い施設に入所するも、彼女に彼の記憶は無かった。 諦めない彼があの手この手で彼女の記憶を呼び覚まそうとする展開はありがちなものですが、当時から彼女には夫が居た不倫関係で、一線を超えない結末が味わい深いものがあります。クライマックスである「冬物語」での足るを知るかのような切ない二人にグッときます。ブルース・ダーン、ブライアン・コックス、共に安定の名演。 MIPはリリィを演じたカロリーヌ・シロル、1949年フランス生まれの名舞台女優さんという彼女。派手さの無い若々しい装いでの上品さが目玉飛び出そうな高級施設で一際輝いており、且つ、記憶のジグソーパズルを繋ごうとしているのだろうかと思わせる姿が絶品。 スタッフとキャストの上質な仕事ぶりが光る上品な小品。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-15 17:54:39) |
442. クライシス(2021)
《ネタバレ》 法律で医療用に使用が許可されている病院での使用に限られていた麻薬鎮痛剤オピオイド。1995年にパーデュー・ファーマ社が開発したオピオイド系鎮痛剤が処方箋で誰でも簡単に買える常備薬となり、後発組による同種鎮痛剤開発でオピオイド危機に至るという背景を知らずに鑑賞。製薬会社から委託された新薬テストで明らかになった瑕疵を圧力に屈せず食品医薬品局に訴える大学教授(ゲイリー・オールドマン)彼の相手である製薬会社、役人、大学、最凶トリオの人の命を預かる自覚が1ナノグラムも無い姿が恐ろしい。とりわけ事実を公表する事は守秘義務違反、一生かかっても払いきれない賠償金を課せられるという理屈が流石アメリカというべき胸糞の極み。このエピソードのみで作り上げたら地味だと判断したのかもしれませんが、密輸業者への麻薬取締局おとり捜査官(アーミー・ハマー)、息子の死の真相に迫る母親(エヴァンジェリン・リリー)のエピソードが並行して描かれています。犯罪ものとしてまぁそれなりにと言ったところですが、喪失感一杯の母親が見せる奮闘振りは白けた不要さで作品が散漫になってしまったのが少し残念。簡単に薬に頼る事を見直さなければと考えさせられた佳作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-13 19:42:23) |
443. エンゼル・ハート
《ネタバレ》 「錆びた黄金」でのお懐かしや!なミッキー・ローク当時の話題作と言うことで初鑑賞。デ・ニーロ、シャーロット・ランプリング出演に、ガリガリ君当たりで貰ったのがまた当たりだった、やった!ラッキーが浮かぶホクホクする瞬間です。 惹かれるサスペンス色をかき消す過剰な映像によるオカルト臭にゲンナリ。登場時から怪しさ100%のデ・ニーロ、よくこんなの引き受けたと感心する強烈屍ショットのランプリング。風格ある二人に比べてロークの奥行きの無さに「う~ん・・・」そういうキャラなのかもしれませんが腹回りの締まりの無さに「う~ん」いい感じの結末なのに「う~ん」興に乗りきれないもどかしさがある作品です。 [DVD(字幕)] 6点(2021-08-11 14:39:27) |
444. 偉大な生涯の物語
《ネタバレ》 お目当ては勿論クロード・レインズ。オープニングクレジット(フォント小さく見辛い)に出ていなかったので登場シーンを見逃してはならん!気合満々なところ、開始7分でご登場。ワ~イ(喜)17分でご退場でしたが、最後の映画出演作が極悪ヘロデ大王であるのが、ハリウッドデビュー作が極悪透明人間だったレインズに相応しいもので、白髪・皺多数であっても衰え感じない容貌と迫力ある台詞回しに大満足。 あとは「ナザレのイエス」鑑賞済みなのでまぁそれなりにと言ったところ。本作でもイエスは「世の終わりまであなた方とともにある」述べていました。そこで私が思うのは・・・・止めておきます。 デヴィッド・リーンが参加しているというのが頷ける所々見られる絵画のようなシーンが印象的。 [DVD(字幕)] 5点(2021-08-10 12:28:10) |
445. プロヴァンスの贈りもの
リドリー・スコット自身がリラックスしたかったのか、「時にはノンビリしましょうや」語りかけたかったのか、らしからぬマッタリ加減が心地よい小品です。タフガイイメージが強いラッセル・クロウはナイスキャスティングで、その芸達者ぶりに驚きます。今作100へぇはアルバート・フィニー、分からなかったです。 [DVD(字幕)] 6点(2021-08-09 22:25:03) |
446. 島の女
ソフィア・ローレン(23歳)はエヴァ・ガードナーを思わせる美しさ。後の猛女の片鱗が窺えるキリリとした姿にも見惚れます。対するアラン・ラッドはシェーンから4年しか経っていないのに老けた印象。落ち着きと言えるのでしょうが、何かこうハリの無い姿が歯痒い。ローレンより低身長であるのに撮影中酷く落ち込んだというのに、クロード・レインズ、エドワード・G・ロビンソン、アル・パチーノのメンタルを持って欲しかったと激しく思います。 美しすぎるギリシャを舞台としたお宝争奪戦は弟の活躍が良いアクセントになっている見応えのある楽しめた佳作です。 [DVD(字幕)] 6点(2021-08-09 15:14:26) |
447. ムッソリーニとお茶を
タイトルに惹かれての鑑賞。舞台であるフィレンツェの何というかフワッとした美しさはこの監督らしい。戦時下では正しい情報を得て適切に行動する事が生死の分かれ目なのを思わされます。信じた者に裏切られたヘスターとエルサ、それでもそれぞれが生きてゆこうと前を向く姿が印象深い。マギー・スミスのこういう役どころは天下一品、シェールも凄い存在感。ジュディ・デンチはもう一つ影が薄かったかといったところ。淡々としてはいるもののしっかりとした筋立てに魅入った佳作です。 [DVD(字幕)] 6点(2021-08-08 15:13:43) |
448. 錆びた黄金
《ネタバレ》 アラスカで一山当てた金鉱成金ハリー・オークスをモデルとした作品。 キャスティングに賞を授けたくなる他で見たことないスターの顔合わせ。 MIPはルトガー・ハウアー。そのお姿にウットリでストーリーなんてどうでもいいか状態。 ジーン・ハックマンの惨状はいくら何でも盛り過ぎ演出と思ったのが実話というのが恐ろし過ぎる。 キチンと観なければと座り直したものの散漫なストーリーに集中できず終わってしまった。 この題材でこのキャスト。要リトライ、出直してきます。 [DVD(字幕)] 6点(2021-08-07 14:16:03) |
449. 夜歩く男
《ネタバレ》 「実際の事件を忠実に描いている」冒頭ナレーションですが足し算引き算されているのを鑑賞後に知りました。 犯人の過去、心情、犯行理由も一切提示しない潔さも相まって「道」でのキ印が印象深いリチャード・ベースハートの知性豊かでありながら何を考えているのか分からない薄気味悪さが際立ちます。彼にいいようにしてやられる当局側に今作では肩入れしてしまう。同僚の仇討ちながらも頭に血を上らせることなく、清張作品ばりの理詰めで地道な捜査で遂に突破口を開いたのに胸熱に。そこから自宅包囲にこぎつけ「勝った」と確信した途端の展開に「お上は最後の一歩が踏めんのか」呆然と。しかしそこからが最大の見せ場で「地下水道」「第三の男」の元ネタかと思われる追跡劇は映像知識に疎い私でも魅入るもので結末The End に硬直が解けました。見事な脚色での何処までも硬派な傑作ノワールです。 [インターネット(字幕)] 9点(2021-08-06 22:17:49) |
450. 戦慄の狼男<TVM>
《ネタバレ》 ジャケットからデヴィッド・ジャンセン=狼男と思ったのですが。中盤まで誰なのか分かりません。すぐに分かる演出から「あぁ、アンタか」分かってからは気が抜けて盛り上がりもなくお開きに。74分作とは言え、それより短い70分作の1941年「狼男」に比べてご贔屓俳優出演を差し引いても戦慄の「せ」字も哀愁の「あ」の字もない脚本はお粗末です。TV映画でも良作は沢山ありますが本作は凡作でした。 [DVD(字幕)] 4点(2021-08-05 23:14:53) |
451. シー・ホーク(1940)
《ネタバレ》 マイケル・カーティス、エロール・フリン コンビによる定番海賊活劇。フリン痛快アクション大活躍、と言っても海賊の分際なので、「あんまりいい気になっとったらアカンで」とばかりのお仕置きシーンも添えられています。と言っても結末は分かりきっているので悲壮感はありません。決闘模様は「ゼンダ城の虜」ジェームズ・メイソンを思わせる名シーン。 彼を盛り立てる脇役陣、 お目当てクロード・レインズの小柄であっても周りを圧する存在感は流石ですが、見せ場に欠けるのが残念と言えば残念。 オリヴィア・デ・ハヴィランドに代わるヒロインブレンダ・マーシャルのクール・ビューティぶりはなかなかのもの。 そしてエリザベス1世役のフローラ・ロブソンは本作MIPで浮世離れしたド阿呆ではなくお茶目な一面も見せる人物像が好印象。 まずまず楽しめた力作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-05 22:09:56) |
452. ソルジャー・ブルー
当時、凄い映画らしいという評判を聞いて以来今回念願の鑑賞。 ラストのスプラッター映画そこのけの婦女子に対する大虐殺に、ご都合主義の正義を振りかざすDNAは原爆投下の判断を下した者たちからソンミ村事件へと受け継がれているのだなぁと思いました。 一方でフロンティアスピリットとやらの本質・恥部を見せつける作品を世に送り出すのもアメリカならではですね。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-05 09:36:43) |
453. ピアッシング
殺人願望のある男 VS 自殺願望のある女 客と娼婦の間柄を超えた絡み合い。女がキチ〇イ過ぎて小汚い映像共々耐性の無いワタシにはついてゆけません。原作 村上龍に、こんなのも書いてるのかと呆れるところです。 [インターネット(字幕)] 1点(2021-08-04 22:39:13) |
454. すばらしき映画音楽たち
先日の音響製作とは違って大御所の方々の音楽製作はとっつきやすい内容でした。大御所が「ハイ、出来た」と完成させるのでなく、事細かな打ち合わせで内容を突き詰めている仕事ぶりが印象に残ります。 余談ながら、 今パッと思い浮かぶ作曲家と作品は エンニオ・モリコーネ 夕陽のガンマン ハンス・ジマー ブラックレイン ヘンリー・マンシーニ ひまわり ジェリー・ゴールドスミス パピヨン・チャイナタウン ビル・コンティ ロッキー ジョルジュ・ドルリュー わが命つきるとも エルマー・バーンスタイン 大脱走 モーリス・ジャール アラビアのロレンス ニーノ・ロータ 太陽がいっぱい ジョン・ウィリアムズ インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 フィリップ・サルド 離愁 本多俊之 マルサの女 (順位不動) 映画音楽万歳。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-08-04 10:34:21) |
455. パブリック 図書館の奇跡
《ネタバレ》 私的に、図書館=本を借りる場所、本を読む場所。なので、ホームレス面々の歯磨き等の姿にドン引き。 鑑賞後に知った、公共図書館のホームレスが利用する事に対しての消極的な立場と、積極的なサービスを提供するという二つの立場に別れているというのは初耳でした。 エミリオ・エステヴェス、アレック・ボールドウィン・クリスチャン・スレーター・ジェフリー・ライトの手堅い演技は派手さはないものの魅せてくれます。しかしながら、作中から大寒波襲来が感じられず一晩泊めてくれという騒動に逼迫したものが無く今一つ惹き込まれなかったのが残念。全裸になる必要を考えてみても分かりません。 施しを与えるだけでなく、「食うために働く」その意志を後押しする環境を整えるのが立法司法行政のおしごとに思えます。 [DVD(字幕)] 6点(2021-08-04 02:06:33) |
456. エンド・オブ・ステイツ
《ネタバレ》 エンド・オブ・キングダムに続いての鑑賞。体にガタがきているマイク・バニング、濡れ衣を着せられる、父子の絆、ベタながらも「脳筋フェスティバルにはしない」意思を感じる脚本の頑張りが微笑ましい。この親にしてこの子ありのクレイ・バニングを演じていたのがニック・ノルティだったとは分からなかった。健在ぶりが嬉しいところです。今作の大統領はモーガン・フリーマンで守り甲斐のある人物。ドンパチ模様に魅入るところがありました。努力作です。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-08-03 01:05:12) |
457. エンド・オブ・キングダム
ロンドンを舞台にマイク・バニング、アッシャー大統領コンビの大立ち回り一大絵巻。リアリティのカケラもないストーリーでの害虫駆除のように殺しまくる姿はサイコパスそのもの。守られるべき大統領も逞しい身体能力で乱射するのが何ともはや。絶対安全緊迫感ゼロの二人を半笑いで眺めていました。何一つ考えないぶんにはストレス発散になるかも。トランプ前大統領がお好きそうな作品ですかね。 [インターネット(字幕)] 4点(2021-08-02 12:03:22) |
458. 古城の亡霊
《ネタバレ》 若き(26歳!)ジャック・ニコルソン出演の本作。観たいと思ってから40数年、prime 無料配信に出ているのに小躍りすると共にprime 恐るべし! ひれ伏します。 更に本サイトに登録されているというのに10000へぇ。 開始直後に登場したニコルソンのナポレオン軍中尉アンドレという後のキャリアからは考えられない役柄でのコスチュームに笑ってしまう。古城の謎に迫るホラーもので主演ボリス・カーロフ御大に劣らぬ存在感は流石ではあるものの、薄味な演技で物足りなさがありました。というか、脚本が辻褄があわないちぐはぐさで、荒れて見づらい映像も併せて全く興に乗れない怖くないホラーでした。 鑑賞後に分かった御大コーマン監督が古城(他作の使い回し)でのカーロフ(契約残り3日)のシーンを2日間で撮り終えて、あとは弟子達が代わる代わる9ヶ月かけて完成させたという、何ともはやな珍作です。 とは言っても中学時代に出会ってのめり込んだニコルソンの貴重な姿に観た甲斐は大いにありました。 [インターネット(字幕)] 4点(2021-08-02 00:26:36) |
459. コロラド
グレン・フォードのサイコパスな判事役での狂気の瞬間芸が怖い、素晴らしい。対するウィリアム・ホールデンは印象薄く物足りない。毛色の変わった西部劇で憎ったらしい判事の最期を今か今かと待ち続けた結末はやっつけ仕事のようでガックリ。映画も体操競技も着地が大事です。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-08-01 04:49:26) |
460. 奥様は魔女(1942)
起承転結全てが微笑ましい。巨匠作らしい小粋なロマコメにホッコリさせられた一時でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-07-31 01:26:27) |