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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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541.  ザ・テキサス・レンジャーズ(2019) 《ネタバレ》 
アメリカ犯罪史上にその名を残す、全米屈指の凶悪犯カップル、ボニー&クライド。銀行強盗や脱獄など稀に見る凶悪犯罪を次々と繰り返し、邪魔する者は容赦なく殺害した彼らの逃走に終止符を打ったのは、今や引退した元ベテラン刑事コンビだった。本作は、そんな通称・テキサスレンジャーズの知られざる活躍を実話を基に描いたクライム・ドラマだ。監督を務めるのは、実話を基にした幾多の作品群で確実に実績を残してきたジョン・リー・ハンコック。第一線から退き、もはやすっかり体力が衰えてしまったベテラン・コンビを演じるのは、こちらもベテランのケヴィン・コスナー&ウディ・ハレルソン。『俺たちに明日はない』など数々の映画や小説でお馴染みのボニー&クライドの逃走劇を、追跡する側から描いたというのはなかなか新しい視点だったんじゃないでしょうか。全米を股にかけて何年も逃走をつづけたボニー&クライドのドラマをほとんど描かず、しかも彼らの姿はほぼバックショットのみでその表情すら捉えなかったこの演出は正解だったと思います。なので、彼らを地道に追うこの主人公二人の方がどれだけ英雄と呼ぶにふさわしいかと言うこの作品のテーマがより明確に伝わってきました。彼らを演じるK・コスナーとW・ハレルソンもそのいぶし銀の渋さが光っております。特にここ最近のコスナーさんは良い感じに枯れてきて、なかなか格好いいジジイになってきましたね~。彼の「悪人は容赦なく殺してよし!」と言う自らの唯我独尊ぶりと、でもそうしなければこちらが殺されるからというジレンマに苦しむところもばっちり嵌まってました。厚かましいおばさん知事を厭味ったらしく演じたキャシー・ベイツも相変わらずいい仕事してます。ただ、肝心のお話の方は、若干パンチに欠けていたのも事実。あまりにもオーソドックス過ぎて、正直、僕は少し物足りなさも感じてしまいました。もうちょっとこの作品ならではと言う突出した部分が欲しかったですかね。最後、ボニー&クライドの葬儀に何万人ものファンが参列したという実際の映像には驚かされました。SNSなどない時代から、流されやすい世論と言うのはあったのですね。改めて自戒の念を抱いた次第です、はい。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-05-22 14:00:17)
542.  アイリッシュマン 《ネタバレ》 
アメリカ裏社会にその名を轟かせた大物マフィア、ジミー・ホッファ。しがないトラック運転手をしている時に見出され、その容赦のない仕事ぶりで瞬く間に彼の右腕にまでのし上がった男の半生を実話を基に描いた伝記ドラマ。監督を務めるのは、もはやハリウッドの伝説と言っても過言ではないマーティン・スコセッシ。そしてキャストを務めるのも、ロバート・デ・ニーロ&アル・パチーノと言うこちらもレジェンド・コンビ。という訳でかなり期待して今回鑑賞してみたのですが、ちょっと僕の期待が高すぎたのか、そこまで心に突き刺さるものはなかったですかね。まず言わせていただきたいのが、とにかく長い!!この内容ならきっと3時間内に絶対収まったはずだと思うのですが。これは映画館での回転率を気にしなくていい最近のネット配信映画全般に言えることなのですが、いかんせん長くなりがちです。三つの時代を行き来するストーリー自体もなかなかよく出来ていたし、登場人物たちもそれぞれに皆魅力的だったと思うのですが、上映時間が長いせいでどうにも散漫で冗長な印象になっちゃいました。もっとキレのいい演出を心掛けて欲しかったです。とはいえ、デ・ニーロとパチーノの重厚な演技合戦は充分見応えありました。特にアル・パチーノの高圧的で自信家のジミー・ホッファ像は非常に魅力的ですごく良かったです。それだけにもっと削るべき部分はバッサリ切って、ちゃんと構成を考えてほしかった。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-05-15 22:33:18)
543.  マイヤーウィッツ家の人々 (改訂版) 《ネタバレ》 
気難しい彫刻家の家長を中心に、一癖も二癖もあるマイヤーウィッツ家の人々の悲喜こもごもを時に辛辣に、時にちょっぴりほろ苦く描くファミリー・ドラマ。プライドだけは超一流で何かというと悪態ばかりつく売れない彫刻家のじいさんを演じるのはベテラン、ダスティン・ホフマン。妻に捨てられた冴えない長男役にアダム・サンドラー。会社の経営者として社会的に成功した立場に居る次男には、ベン・スティラー。他にもアダム・ドライバーやシガニー・ウィーバーと言った豪華な面々がちょい役で出演しております。監督は、僕とはどうにも相性の良くないノア・バームバック。確かにところどころ笑える部分もあるし、個性豊かな登場人物もそれぞれに憎めない魅力を持っているし、何より家族の関係をほろ苦いユーモアを交えて見つめる暖かな目線がとても心地よい作品だったとは思います。でも、やっぱり僕は個人的に好みじゃないんですよね、これ。なんか、赤の他人の思い出ホームビデオを延々見せられてるような感じがして、僕はそこまで嵌まれませんでした。うーん、完成度はかなり高いことは認めますけど、こればっかりは感性の問題なので如何ともしがたい。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-05-09 02:02:18)
544.  1922 《ネタバレ》 
1922年、あの時代、男の誇りと言えば自らの土地と息子だった――。アメリカ南部の田舎町で農家を営むジェイムズ一家。家長であるウィルフレッドはいま、とある問題に頭を悩ませていた。この肥沃な農地を父から相続した妻が、この地を売り払って都会暮らしを望んでいるのだ。権利は全て相続人の妻にあり、拒否すれば離婚も辞さないという。だが、ウィルフレッドの望みは一人息子であるヘンリーにこの土地を引き継がせ、これからもここで農家として暮らしてゆくことだった。次第にギクシャクし、諍いが絶えなくなるジェイムズ一家。悩んだ末に、ウィルフレッドはある一つの決断を下す。それは、自らの妻を殺してしまうことだった――。綿密に計画を練り、息子の手を借りて完全犯罪を実行に移すウィルフレッド。裏庭の井戸に妻の死体を隠し、それまでと変わらぬ生活を営もうとする父と息子だったが、その日から少しずつ日常が歪み始める…。ネブラスカの広大な田舎町を舞台に、妻を殺した父と息子が辿る悲劇をダークに描いたサスペンス・スリラー。原作は泣く子も黙るモダン・ホラーの大家、スティーヴン・キング。いかにも彼らしい、全編に渡っておどろおどろしい空気が濃密に漂う、こってり濃厚な作品でしたね、これ。もう見ているだけで汗が滲んできそうな暑苦しい田舎町を舞台に描かれる、ある一家族の愛憎渦巻く犯罪劇は見応え充分でした。特に、井戸に捨てた妻の死体を次の日覗いてみるとネズミが大発生していたというシーンは夢に出てきそうなくらいエグい。物語はそこから、この親子の因果応報とも言うべき破滅への過程を丹念に辿ってゆくのですが、こちらもいちいち観客の神経を逆撫でするエピソードばかりで大変グッド。天井からいきなり血が滴り落ちてきたり、大量のネズミがパイプを伝って溢れ出てきたり、血だらけの妻がちょっとずつ迫ってきたり……と、ベタながらもツボはちゃんと押さえられていたのでけっこう怖かった。ここらへんはさすがスティーヴン・キング原作って感じです。ただ、さすがにオーソドックス過ぎるのが本作の弱いところか。あまりに王道過ぎて、こちらの想定した範囲を一切越えてこないんですよ。もう少しこの作品ならではと言う突出した部分が欲しかったかな。結論。まあぼちぼち面白かったですけど、一か月後にはきれいに内容を忘れてしまいそうな作品でありました。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-05-03 22:08:45)
545.  バード・ボックス 《ネタバレ》 
それは本当に世界の終末なのか――。突如として全世界に拡がった謎の伝染病。その病気に感染した人々は急に狂いだし、自ら死を選ぶ衝動に駆られるようになるのだった。運転していた車のアクセルを限界まで踏み込み、手にしたハサミを自分の首元へと突き立て、自ら火の中へと飛び込む感染者たち。さらに恐るべきことには、その疾病は発病者の姿を〝見る〟ことによって感染するのだ。瞬く間に増殖する感染者によって、社会は暴力と死に支配された絶望的な世界へと変貌を遂げる。そんな破滅の淵に瀕する世界を生き延びるため、現在妊娠中のマロリーはある一軒の豪邸へと逃げ込むのだった。強固なセキュリティに守られたその家の中には、同じく逃げ延びた何人かの人々がすでに籠城していた。外には多くの感染者が徘徊し、しかも食料は残り僅か。マロリーとお腹の中の赤ちゃんは無事に生き延びることは出来るのか?恐ろしいディストピアと化した世界で、なんとしても生き延びようともがくそんな母子の姿を描いたサバイバル・スリラー。冒頭からいきなり始まるパンデミックの絶望的な描写に摑みはばっちり。死への衝動に駆られた感染者たちが、次々と自ら死を選ぶさまはかなり怖いです。物語はその後、一軒の豪邸内に籠城する彼女たちと、五年後、大きくなった二人の子供たちとともに河を下って脱出しようとする彼女の姿を交互に描いてゆきます。まあこういう不条理系パニック・スリラーの名作『ミスト』の一亜流と言ってしまえばそれまでですけど、この閉じ込められた人々の極限の心理劇はなかなか良く出来ている。感染者の姿を見てはいけないという設定も荒唐無稽ながらけっこう効いています。一時期大流行りした〇〇してはいけない系のはしりみたいな感じですね。目隠ししたまま幼い子供たちと貧弱なボートで激しい川を下ってゆくシーンは緊迫感もあって大変グッド。ただ、脚本に突っ込みどころ満載なのが本作の惜しいところ。感染者たちが全員すぐに死を選ぶのかと言ったらそんなこともなく、何故か非感染者を襲う者も居るというのはおかしい。また姿を見ても感染しない人もいて、その人たちは心に闇を抱えているからという謎の説明だけで済ませちゃってるのも納得いきません。目指していた安全地帯が実は盲学校だったという最後のオチもいまいち腑に落ちない。目が見えない人たちはそもそも見ることが出来ないから感染しないというのであれば、全員そうじゃないとおかしいのですが、ちゃんと目が見える人もそこに混ざってますし。主人公親子も最後、生き延びるために自ら盲目になるくらいのオチがないと説得力がありませんって。前半はパニック・スリラーとしてはなかなか頑張っていただけに、ここら辺の詰めの甘さがなんとも残念。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-04-29 00:36:10)
546.  リヴァプール、最後の恋 《ネタバレ》 
ジュリエットを演じるには、私は歳を取り過ぎてる?――。1981年、リヴァプール。長い下積み生活を続ける売れない役者ピーターの元にある日、一本の電話が掛かってくる。過去にオスカーを獲得したこともある、かつての人気女優グロリア・グレアムが公演中の劇場で突然倒れたというのだ。何故か彼女は病院でも家族の元でもなく、ピーターのアパートに運んでほしいと訴えたらしい。戸惑いつつも彼は、両親や弟夫婦も住む自らのアパートへと彼女を連れてきてもらう。胃にガスが溜まっただけですぐに良くなるというグロリア。彼女との再会は、この数年間のともに過ごした濃密でかけがえのない日々を彼に蘇らせるのだった。運命的な出会いと初めてのデート、還暦に近い女性と28歳の自分との歳の差を越えて過ごした幸せな月日、そして愛に満ちた情熱的なセックス――。だが、いつまで経ってもグロリアに回復の兆しは見られない。主治医と連絡を取ったピーターは、彼女の本当の病名を知ってしまう…。実話を基に、往年の名女優と売れない役者との30歳もの歳の差を乗り越えて紡いだ愛の日々をドラマティックに描いたラブ・ストーリー。いつまでも女としての誇りを失わなかった、そんなかつての人気女優を演じるのは同じく還暦に近い名女優アネット・ベニング。本作の最大の見所は、いつまでも若々しい彼女のチャーミングな魅力に尽きると思います。確かに四人も子供がいる年相応の見た目なのですが、やはり女優と言う職業柄なのか、終始凛とした彼女の美しさに思わず惚れ惚れしちゃいました。そして、二人の大胆なラブシーンにちょっとびっくり。でも、きっと撮り方もあるのでしょうけど、終始上品で美しく、また実に官能的で大変良かったです。普段は若い子のばかり見てる僕でも、たまには熟女ものも見てみようかななんて思ってみたり(笑)。また回想シーンへの入り方も凄く凝った撮り方をしているのも印象的でした。と、ラブストーリーとしてはすこぶる王道で充分及第点ではあるのですが、その分物足りなさを感じたのも事実。あまりにもオーソドックス過ぎて、こちらの想定した範囲を一切越えてこないんですよね、これ。まあ原作がこの青年の回想録と言うことで、かなり思い出美化フィルターが掛かっているからなんでしょうけど、ちょっとあまりにキレイごと過ぎたのが僕的にはちょっぴり不満でした。もう少しこの青年の打算的なずるい部分(恐らく経済的な)にも踏み込んで欲しかったですかね。そしたらこのきれいごとなお話にピリリとした隠し味が利いて、より深みのある物語になったと思うのですが。まあでもそこは好みの問題。どんなに歳を取っても男と女でありたいと思わせる、なかなか美しいラブストーリーでありました。
[DVD(字幕)] 6点(2020-04-10 23:42:36)
547.  トイ・ストーリー4 《ネタバレ》 
大人気CGアニメの約9年ぶりとなるシリーズ最新作。あのほぼ完璧なラストを迎えた前作からどうやって新たな物語を紡ぐのだろうと思ったら、まさかのゴミから創られた新キャラ、フォーキー登場。物語はこのフォーキーを助けるためにお馴染みのおもちゃたちが悪戦苦闘する形で進んでゆきます。確かに頑張ってるのは分かるのだけど、やはりどうしても付きまとうこの蛇足感…。なんかこの先割れフォークのフォーキーを必死で救おうとするアンディに僕はいまいち共感できませんでした。持ち主の女の子のためと言いながら、ここでフォーキーに媚売っといて後々女の子の気を惹くための足掛かりにしようって計算じゃないの?なんて穿った見方をしてみたり……。それに、妙に恋愛要素をぶっこんでくるとこにも違和感が拭い切れません。いやいやトイストーリーにそんなんいりませんから!最後、ウッディとボーがキスするんじゃないかとひやひやしちゃいましたわ。あと、おもちゃたち、自分勝手に行動しすぎ!車のアクセルを勝手に踏み込むなんて危なすぎます!これで交通事故でも起こったらどう責任取るつもりなんですか。あのキャンピング・カーも好き勝手にぶっ壊してましたけど、これであの両親とレンタカー会社が料金や補償を巡って揉めたり、両親にネットで悪口書かれたりして業績が悪化でもしたらと思うと不憫でなりません。ここらへんもう少し考えて欲しかったです。とはいえ、ハイクオリティなCG映像はもう安定のピクサー印なのでその点に関しては普通に楽しめました。特にあのアンティークショップの不気味な雰囲気は、けっこうお気に入り。完全に『シャイニング』のパロディになってて(おばあさんの入浴シーンもあったし!笑)、これ子供が見たら泣くんちゃうかってくらい怖いんです。なんだか一作目の悪戯っ子シドの改造おもちゃたちを髣髴とさせて、ここら辺のダークな世界観は個人的に好きでした。結論。前シリーズのスピンオフくらいの感じで観たら、ぼちぼち楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2020-04-04 00:19:42)
548.  スノー・ロワイヤル 《ネタバレ》 
深い雪に覆われたデンバー近郊の小さな田舎町キーホー。見渡す限りの雪景色が拡がるこの町で、長年除雪作業員として働くコックスマンは、その功績を認められて市から名誉市民賞を受けるほどの真面目な男だ。だがある日、空港で働く一人息子がヘロインの過剰摂取で死亡したとの連絡を受ける。半信半疑で死体安置所へと向かってみると、そこには紛れもない愛する息子が横たわっていた。「息子はドラッグなんてやる奴じゃない!」。そんなコックスマンの訴えも、警察はまともに取り合ってくれない。絶望のあまり自ら死を選ぶほど追い詰められた父だったが、そこに瀕死の重傷を負ったかつての息子の同僚が現れる。彼の口から語られたのは、とても信じられない事実だった――。息子はマフィアの手違いによって殺されたのだ!動揺し、我を忘れるコックスマン。何もかもを失った親父による血に塗れた〝除雪作業〟が今、幕を開ける…。雪深い田舎町を舞台に、そんなブチ切れおやじの暴走復讐劇をハードに描いたリベンジ・アクション。主演は、すっかり暴走やり過ぎおじさんのイメージが定着したリーアム・ニーソン。もっと頭空っぽ系のベタベタなアクション映画だと思ったら、意外にもこれってブラックなネタ満載のコメディタッチの作品だったのですね。とにかく息子の死に関わったクソ野郎どもをわらしべ長者よろしく、親父がひたすら数珠繋ぎで殺してゆくわけですが、その度に画面に墓標が表示されるというヘンテコな設定にまずやられました。黒幕であるマフィアのボスも息子に三食同じものを食べさせるという変人で、彼の部下たちも皆どこかおかしい。彼らが殺されるとすぐ、ぐるぐる巻きにした死体を湖に捨てるシーンを軽快な音楽とともに流すというのもなかなかシュール。物語はその後、まったく無関係だった先住民居住地のインディアン・マフィアも絡んで三つ巴の戦いが展開されるというタランティーノの雪国版みたいになるのですが、監督が北欧の人ということもあってかこちらは何処までもスタイリッシュでした。終始ウィットに富んでいて、知的でお上品なのです。ただ僕はこの世界観と終始まったりとした緩やかなテンポに眠気を誘われたこともあり、正直そこまでって感じでした。中国人の鬼嫁が超怖かったり、女性警官の元カレへの扱いがテキトーだったり、絵本がないので代わりに除雪車のカタログ読んだりと、細かなネタはけっこうクスリと笑わせてくれたんですけどね。要は好みの問題。自分はぼちぼちってとこでした。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-31 23:11:38)
549.  ラ・ヨローナ ~泣く女~ 《ネタバレ》 
その女は泣きながら、滴る水とともにやって来る――。1973年、ロサンゼルス。貧しい家庭の子育て支援に尽力するケースワーカー、アンナ。様々な問題に忙殺される彼女自身もまた、数年前に警官だった夫を亡くし女手一つで二人の幼い子供を育てていた。そんなある日、アンナは自らの子供を自宅の一室に監禁したシングルマザーの案件に関わることに。無事に子供たちを保護したものの、母親からアンナは謎のメッセージを受け取るのだった。「私は子供を守ろうとしただけ。あの泣く女、ラ・ヨローナから…」――。その直後、無事に施設へと保護されたと思われていた彼女の子供たちが謎の溺死を遂げたとの知らせが届く。突然のことに動揺を隠せないアンナ。すると、彼女の子供たちの周りでも不可解な現象が起き始めるのだった。何処からともなく聞こえてくる女の啜り泣き、子供たちの腕にいつの間にかついていた火傷の痕、そして子供を水の中に引き摺り込もうとする謎の女の影…。果たして〝ラ・ヨローナ〟とは何者なのか?数百年の時を越えて生き続ける悪霊の呪縛に囚われた、ある家族の恐怖を描いたモダン・ホラー。稀代のヒット・メーカー、ジェームズ・ワン監督のヒット作『死霊館』のスピンオフとして制作された本作、これが極めてオーソドックスな古典的ホラー映画でありました。悪霊に呪われた家族、無理解な周りの反応、窮状を知り除霊にやって来る霊媒師、一度は反撃に遭うものの最後は家族一致団結して悪霊撃退…。もうホラー映画の教科書どうりに作ったらこれが出来上がるんじゃないかってぐらい、新しい部分の一切ないそんなベタベタな内容です。もう少しこの作品ならではと言う突出した部分が欲しかったところ。その良い材料になりそうなのが肝心の「泣く女」ラ・ヨローナなんですけど、これがいまいち使いこなせていない感じです。嫉妬に狂った挙句自らの子供たちを溺死させてしまい、以来身代わりの子供を求めて彷徨う悪霊と言う割には怨念と言ったものが感じられない。こいつがただ単に観客を驚かせるための道具じゃなく、もっと子供へのおぞましいほどの暗い情念と言ったものを滲ませてくれていたら、とんでもなく怖い存在になりえただろうにね。ここらへん、やぱ日本のホラーの方が一枚上手かな。とはいえホラー映画としてのセオリーは充分押さえられていたので、暇潰しで観る分にはそこそこ楽しめると思われます、はい。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-30 03:00:27)(良:1票)
550.  ホワイト・ボーイ・リック 《ネタバレ》 
1984年、長びく不況によりすっかり寂れてしまったアメリカの工業都市、デトロイト。人々の生活は荒み、街の隅々にまで暴力や麻薬が蔓延していた。銃の転売でなんとか生計を立てる15歳の白人少年リックもまた、先の見えない自分の人生に嫌気が差していた。根拠のない大口ばかり叩く父親はろくに働かず、麻薬中毒の姉は売人の彼氏の元へと家出、向かいに住む祖父母は人目もはばからず悪態ばかりつき、そして自分自身もまた学校にも行かず地元のチンピラたちとつるむどうしようもない日々。そんなある日、リックは突然現れたFBIの麻薬捜査官からとある提案を受ける。「今勢力を拡大しつつある黒人ギャング集団の囮捜査に協力してほしい」――。多額の報酬に惹かれ、依頼を引き受けるリック。密売人となった彼は、黒人たちから〝ホワイト・ボーイ・リック〟と呼ばれ徐々に信頼を得ていくのだった。捜査終結とともに彼の役目は終わるはずだった。だが、なんとしても貧困から抜け出したかったリックは、そのまま裏社会へどっぷりと沈み込んでゆく…。17歳にして全米屈指の麻薬王となった少年の栄光と転落の日々を実話を基にして描いたクライム・ドラマ。主役の少年を演じるのは本作がデビュー作となるまだ無名の新人なのですが、彼がほんと何処にでも居るような平凡な若者顔なので物凄くリアルで説得力抜群でした。そう、この時代のこの街にさえ生まれていなければ、彼もまた友達や彼女と平凡な青春を謳歌していただろう普通の若者に過ぎなかったはず。人生の落とし穴は何処にでも転がっているという事実に、改めて恐ろしさを感じました。この後、彼は8キロのヘロイン所持で捕まり、なんと仮釈放なしの終身刑を言い渡されてしまうのですから。情状酌量により仮釈放が認められたのは収監から30年後。人生の大半を刑務所の中で暮らすなんて、考えただけでも恐ろしい。転落のきっかけとなったのが、FBIの囮捜査だというのもなんとも皮肉です。彼の自業自得だと簡単に切り捨てることはさすがに出来ず、なんだかいろいろと考えさせられてしまいました。ちんけなダメ男をナチュラルに演じた、彼の父親役のマシュー・マコノヒーの深い愛情が唯一の救いです。ただ、事実を追うことにこだわり過ぎたのか、ドラマとして幾分か冗長に感じてしまったのが本作の惜しいところ。もう少しドラマティックに演出しても良かったのでは。とはいえ人生のリスクというものを改めて考えさせられる興味深い内容の作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-22 22:51:56)
551.  ドゥームズデイ 《ネタバレ》 
2035年、スコットランドはもはや世界から見捨てられた地と化していた。2008年に大発生した殺人ウィルスによって当時の住人は大多数が死滅。感染拡大を恐れたイギリス政府は、巨大な壁を建設し、スコットランドを完全に隔離してしまったのだ。取り残された人々は生きるために略奪や暴行、果ては食人行為にまで及んだが、それもやがて消えてしまった――。幼いころにその地から救い出されたシンクレアは、今や特殊部隊の精鋭として日々凶悪な犯罪と対峙していた。そんな折、彼女に極秘任務が下る。なんと、壁から遠く離れたロンドンで新たな感染者が確認されたというのだ。しかも時を同じくして、隔離地区内で生存者と思われる人間の姿も確認される。どうやらこの地に取り残された、免疫学の権威であるケイン博士がワクチンを開発したらしい。「人類の危機を救うため、今から壁の向こうに行きワクチンを取ってきてくれ」。やむなくその任務を受け入れたシンクレアは、仲間たちとともにすぐさま死の世界へと侵入する。期限は、48時間。だが、そこには感染者よりも恐ろしい存在が待ち受けていたのだった…。殺人ウィルスによって荒廃した近未来を舞台に、世界から見捨てられ暴徒と化した無法者たちを相手に戦う美しきヒロインを描いたダーク・アクション。もっとゾンビ的なやつと戦う内容かと思いきや、意外にもこれってパンクな無法者の食人族集団と戦うお話だったのですね。モヒカンやらタトゥーやらピアスやら、イカレタ敵の皆さんはもう完全に『マッドマックス』のそれ。他にも装甲車で侵入するシーンは『エイリアン2』だし、隔離地区内での戦闘はありがちなゾンビもの、そもそも主人公のスタイリッシュ・ヒロインという造形は完全に『アンダーワールド』。そして、中盤からはまさかの『ロード・オブ・ザ・リング』もどきの中世騎士ものになるというぶっ飛び展開。クライマックスは、もはや何が何だか分からない『マッドマックス』ばりのカーチェイス。いや、さすがに盛り込み過ぎっしょ!これだけ盛沢山な内容を一つに纏めようと言うのだから、さすがに脚本がしっちゃかめっちゃかになるのは自明の理。もう突っ込みどころのオンパレードです。主人公のカメラ付き義眼なんて凄くいいアイデアなのに、まったく活用されておりません。そもそも冒頭から生き別れたお母さんのメモをあないに強調しておきながら、まさかのお母さん最後まで登場せず(笑)。とはいえ、存分にお金を掛けたであろう美術に関してはかなり頑張っており、細かか小道具やちょい役のモブの衣装に至るまで監督の拘りが感じられてそこは大変グッド。やり過ぎグロ描写満載のアクション・シーンもけっこうスタイリッシュだったし、何も考えずにただボーっと観る分にはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-21 22:31:10)
552.  ビール・ストリートの恋人たち 《ネタバレ》 
ビール・ストリート、ここはアメリカの全ての黒人の故郷であり、レガシーだ――。1970年代、公民権運動や社会不安により人種間の対立が激化していたアメリカ、ニューヨーク。身に覚えのないレイプ事件の容疑者として逮捕され拘置所へと収監された青年ファニーと、彼の子供を妊娠したことが分かった恋人のデパート店員ティッシュ。ともに黒人と言うだけで彼らは今にもどん底の地獄のような世界に堕とされようとしていた。白人警官の策略により、彼らはレイプ魔とその恋人と言うレッテルを貼られようとしていたのだ。このままでは生まれてくる赤ちゃんも過酷な人生を歩まざるを得なくなる。何としても彼の汚名を晴らそうと奔走するティッシュだったが、アメリカの司法は何処までも白人に有利になるように作られていたのだった…。ただ人並みに幸せになりたいと願った若き黒人カップルが辿る過酷な運命をソウルフルに描いたヒューマン・ドラマ。監督は前作『ムーンライト』でアカデミー賞の栄誉に輝くバリー・ジェンキンズ。この人の映画って、確かに完成度がむちゃくちゃ高いんですよね。はっきり言ってストーリー自体はけっこうありがちで物凄く単純。だけど、時系列をバラバラにして描かれるエピソードの数々がどれもこれも印象的で分かりやすく、なおかつ詩的で音楽のセンスも抜群に良い。なので最後まで純度の高いドラマを構築することに成功している。登場人物もたくさん出てくるのですが、ちょっとした脇役に至るまでキャラの描き分けが的確になされており、誰もが血の通った人間として感じられます。特に、冒頭にちょっとだけ出てくる狂信的な彼氏の母親なんて短い出演シーンなのに強烈な印象を残してくれます。ただ、これは個人的な好みの問題と言ってしまえばそれまでなのですが、僕はこの監督の政治的メッセージを前面に打ち出す作風がどうにも苦手です。黒人にとって白人は悪魔の手先で常に黒人を不幸にすることばかり考えている。そして、黒人はいつだって可哀想な犠牲者――。敢えてそう描いているのだろうけど、これってちょっとあまりにも偏り過ぎていやしませんか?モヤモヤするばかりで後味の悪いラストなど、かえって人種間の対立をより一層煽っているような気がします。深い物語性や洗練された世界観を構築する手腕は確かだと思うので、次はもっと政治から離れたテーマを扱ってほしいと切に願います。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-17 23:06:05)
553.  オーヴァーロード 《ネタバレ》 
1944年、ナチスドイツとの熾烈な戦闘が繰り返されるヨーロッパ戦線。アメリカの若き空挺部隊の兵士たちは、ドイツ軍の猛攻撃を受けながらも輸送機で目的地上空まで辿り着く。パラシュートで何とかフランスの大地へと降り立った彼らは、郊外の小さな村へと到着するのだった。生き残ったのはボイス二等兵をはじめとする4人の兵士たち。教会にナチスが建てたという電波塔を速やかに破壊せよという命令を果たすため、彼らは偶然知り合った村娘の民家を隠れ家にしてそれぞれ任務遂行への道を探る。だが、目的の教会へと忍び込んだボイス二等兵は、そこで驚くべき光景を目にするのだった――。悪魔のようなナチスの科学者たちは、村人たちを材料に恐るべき実験を繰り返していた。なんと彼らは死人たちを蘇らせ、死をも恐れぬ兵士を創り上げようとしていたのだ!圧倒的に困難な状況の中、甦った死人軍団を相手に何とか任務遂行を目指すボイスたちだったが…。対ナチスの戦争ものとゾンビパニックものの奇跡の融合というアイデア一発勝負のそんな本作、戦争もののグロにゾンビもののグロを掛け合わせるというアイデアはけっこう新鮮で、このグロの相乗効果はなかなか良い感じでした。全体的に演出のキレも良く、特に冒頭ナチスの猛攻を受けながらのパラシュート降下シーンはかなりの迫力で摑みはばっちり。中盤、主人公がナチスのうじゃうじゃ居る教会内へと忍び込むシーンなども緊迫感があって普通に楽しかったですし。ナチスの人体実験と言うよく考えればけっこう不謹慎な内容ながら、これがなかなかゾンビものとよく合う。粘液質な液体からゾンビがぬるぬる出てきたり、首だけの女性がまだ生きていたりと、その手の映画のツボはちゃんと押さえられていたのもポイント高いです。ただ、さすがに後半脚本に突っ込みどころ満載なのが本作の残念なところ。あの村娘の家に囲われていた叔母ゾンビは、いったい何のために出てきたのでしょう?クライマックスは設定のむりむり加減がたたってだいぶ破綻しかけちゃってます。そもそもこの兵士たちが何のために戦ってるのか観ていていまいち分からなくなってくるので、物語としてのカタルシスがかなり弱い。電波塔破壊かゾンビ殲滅か、焦点をどちらか一本に絞るべきでした。とはいえ、エンタメ映画としてはある一定の水準に達しているので何も考えずに観る分にはぼちぼち楽しめると思います。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-01 00:35:07)
554.  バグダッド・スキャンダル 《ネタバレ》 
『石油・食糧交換プログラム』――。それはイラク戦争開戦前夜、欧米の経済制裁によって苦しむイラク国民を救うために国連主導で行われた人道援助だ。当時まだ独裁者として同国に君臨していたサダム・フセインによる大量破壊兵器開発を防ぐため、国連が窓口となって豊富な石油資源を市場価格で売却し食料や医薬品と交換してイラクへと還元させる。多くの人命を救うための人道的プログラムのはずだった。だが実際は、フセイン政権による横領や横流しが相次ぎ、さらには先進国の大手企業がその利権を巡って多くの不正行為に手を染めていた。驚くべきことに、監視者であった国連職員にまで汚職が蔓延していたのだ。若き職員マイケル・サリバンはその事実に気付き、すぐさま上司に報告するも実態は公にされることなく握りつぶされてしまう。だが、様々な国の思惑が複雑に交錯する国際情勢の中、やがてそれは国連を大きく揺るがす一大スキャンダルへと繋がっていくのだった……。本作は、200億円にも及ぶ大金が闇に消えたという実話を基にして描かれた硬派なポリティカル・サスペンスだ。主演を務めるのは若手俳優テオ・ジェームズ、他に制作も務めたというベテラン、ベン・キングズレーが名を連ねている。確かな取材や時代考証に基づいたであろう骨太な物語はなかなか見応えがあった。ニューヨークの国連本部から当時混乱を極めたイラクの首都バグダッドにまで拡がるそのスケールの大きさにも圧倒されるものがある。何より、この弱者を救うためのプログラムを利用し甘い蜜を吸い続けた、欧米各国の行き過ぎた資本の論理には戦慄させられる。人間とは、かくも欲深き生き物なのか――。「民主主義に汚職はつきものだ」と言うベン・キングズレーの言葉が重い。そんな醜い国際情勢によって翻弄される、主人公の国連職員とクルド人女性通訳との儚い恋物語は強く印象に残った。丁寧な手腕が光る政治サスペンスの逸品と言っていいだろう。ただ、こういう作品なので仕方ないのだろうが、お話として地味すぎるのが自分には少々退屈に感じてしまった。もう少しドラマティックに脚色しても良かったのではないか。世界の実態を知るという点では充分観る価値はあったが、人間ドラマとしては幾分か物足りなさの残る作品であった。
[DVD(字幕)] 6点(2020-02-17 23:10:59)
555.  バーバラと心の巨人 《ネタバレ》 
信じられる?奴らは太陽も逃げ出すような恐ろしい存在よ――。彼女の名は、バーバラ。海沿いの寂れた田舎町で、まだ若い姉や兄とともに貧しい生活を送る彼女にはとある秘密があった。そう、この世の諸悪の根源である邪悪な〝巨人〟が森の奥深くに潜み、何も知らない人間どもを虎視眈々と狙っているということに、彼女だけが気付いてしまったのだ。いつも身に着けているポーチへと秘密の武器「雷神トールのハンマー」を潜ませ、巨人の大好物である甘い蜜や手作りの罠を森のあちこちに仕込み、いつでも巨人の動向を監視しているバーバラ。だが、巧妙な巨人たちは一向にその尻尾を彼女に摑ませることなく森の闇の中に蠢き続けるのだった――。でも、彼女の家族や学校の先生、そしてバーバラの同級生たちはその事実に全く気付くことなく、いつものような普通の日常生活を送っている。そんなことなど気にする様子もなく巨人の物語へとのめり込むバーバラ。周囲の人間との軋轢はどんどんと増すばかりで、彼女は次第に孤立を深めてゆくのだった。そんな彼女のことを心配する転校生のソフィアや学校のカウンセラーが、何とか彼女の孤独な心を開かせようとするのだったが……。妄想とも現実ともつかぬ世界へと迷い込んでしまった少女の孤独な闘いを幻想的に描いたダーク・ファンタジー。アメリカのグラフィック・ノベルを原作にしたという本作、なかなか面白そうだったので今回鑑賞してみました。観終わってまず真っ先に思い浮かぶのは、J・A・バヨナが監督しリーアム・ニーソンが怪物の声をアフレコした某作品と設定やビジュアル・センスが丸かぶりしているところでしょう。巨人の脅威をフォークロアのように描いた幻想的なシーンなんて全くそのまんまなんですけど、これって大丈夫なんですかね?ただ、あちらの如何にもきかん坊な少年主人公に全く共感できなかった自分としては、こちらのメンヘラ女子の方にはまだ好感持てました。バーバラもその友達となる同級生もけっこう可愛かったってのもあるかもですけどね(笑)。とはいえ、だからと言って本作に嵌まったかと言えばそこまででもなく、終始辛気臭い展開に終盤はぐったりしてしまいました。もう少しファンタジー色強めでも良かったような気もしますし。ま、ぼちぼちってとこでした。
[DVD(字幕)] 6点(2020-02-04 23:31:13)
556.  マーシャル 法廷を変えた男 《ネタバレ》 
1941年、アメリカ南部の保守的な田舎町で起こった、貧しい黒人男性による裕福な白人女性レイプ事件。社会に衝撃を与えたこの事件に弁護士として関わることになるのは、「全米黒人地位向上委員会」で当時唯一の弁護士だったサーグッド・マーシャルだった。まだまだ根強く残る黒人への差別感情と戦うために、マーシャルは身重の妻を残して現地へと旅立つ。だが、事件を担当することになった判事は、彼が他州で弁護士登録をしていたため被告の主任弁護士となることを認めなかった。仕方なく彼が取った方法、それは現地で手伝いだけをする予定だった民事専門の弁護士フリードマンを担当弁護士として祭り上げること――。波風立てず順調に出世コースに乗ることだけを心掛けていたフリードマンは、降ってわいた事態に混乱するばかり。だが、裁判が始まり、黒人たちが置かれたこの国の現状を知ってゆくと、彼の心情にも変化が訪れ……。のちに黒人初の最高裁判事にまで昇りつめた弁護士サーグッド・マーシャルの文字通り法廷を変えた事件を描いた法廷サスペンス。実話を基にしたという本作、綿密な取材と時代考証、役者たちのナチュラルな演技、そして何より黒人たちが受けてきた不当な差別にスポットライトを当てる社会性等によって、なかなか見応えのあるドラマに仕上がっていたと思います。重いテーマを扱いながらも、一貫して変わらない軽妙洒脱な演出やお洒落でブルージーな音楽とによって非常に観やすく創っているのにも好感持てました。黒人と白人、方や正義感に燃える敏腕弁護士、方や平凡に生きていたいだけの小市民弁護士と、まったく正反対の二人にいつしか芽生える友情という弁護士版バディものとも言うべきストーリーも分かりやすくてグッド。ただ、良くも悪くも本作は実話を基にした作品。肝心の法廷劇の方は、正直微妙と言うほかありません。黒人が犯した白人女性レイプ殺人未遂と言う凶悪事件の真相がドラマの最大の焦点となるのですが、最終的に明かされることの真相が「え、結局それだけのことやったんかい!」と言わざるを得ない凡庸なものでした。まあそれが事実だと言われればそれまでかも知れませんが、もう少しドラマティックな見せ方をとっても良かったのでは。法廷劇としてはちょっぴり物足りなさの残る作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2020-01-09 03:06:23)
557.  ダーク・クライム 《ネタバレ》 
警察署で捜査資料や証拠品の管理を担当する事務員、タデック。かつて現場で殺人や強盗などの凶悪事件を担当する花形刑事だったものの、不祥事から今は現在の職場に左遷されてしまったのだ。そんな鬱屈した日々を過ごしていたある日、彼は過去に未解決に終わった警官殺し事件の新たな証拠とも言える映像を入手する。見終わって、彼はある直感を得るのだった。とある雑居ビルの地下にあった違法風俗クラブに足しげく通っていた、過激な作風で知られる作家コズロフこそが真犯人なのではないか――。再び現役へと返り咲くため、タデックは強引に捜査を再開する。コズロフ本人はもちろんのこと、彼の元妻へも執拗に事情聴取を行い、彼の著書や違法風俗クラブに残された映像を何度も見返すタデック。だが、そんな彼にかつて事件を担当し今や警察長官となった男から、あからさまな妨害工作を受けるようになり……。果たしてタデックは無事に事件を解決することはできるのか?現代社会の闇に潜むおぞましい犯罪を重厚に描いたクライム・サスペンス。人気俳優ジム・キャリーが久々に主演を果たしたという本作、なかなか面白そうだったので今回鑑賞してみました。冒頭から繰り返される、秘密セックス・クラブ内での怪しげでエロティックな映像はなかなかにスキャンダラスで摑みはばっちりでした。その後もこのこってり濃厚な映像と、観れば観るほど気が滅入るような陰鬱なストーリー展開は見応え充分。何処か『セブン』を髣髴とさせるこの重厚な世界観(あ、それはさすがに言い過ぎか笑)はけっこう自分好みでした。コメディ要素を封印し、あくまでシリアスに徹した髭もじゃジム・キャリーもけっこう嵌まっていたと思います。ただ、ストーリー展開がわりかし単純で一本調子なのが本作の弱点。もう少しひねりが欲しかったですね。あまりにも似たような映像と展開が続くもんだから、一時間も過ぎるとさすがにダレてきちゃいます。全編に漂う、このダークな雰囲気はなかなか良かっただけに、ちょっと物足りない作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2020-01-06 21:46:36)
558.  ペイシェント・セブン 《ネタバレ》 
舞台はアメリカ郊外に佇む、とある精神科病院。重度の患者のみが収容されるという閉鎖病棟に、高名な精神科医が診察にやってくるところから物語は始まる。新しい著書の取材のために、ここに収容されている七人の重症患者たちのインタビューを行いたいというのだ。さっそく彼に指定された患者たちが一人ずつ連れてこられることに。ビデオカメラの前で自らの経験を語り始める、様々な病を抱えた精神病患者たち。その内容は、どれもにわかには信じがたい驚くべきものだった……。とある精神科病棟で語られる患者たち驚愕の回想を次々と描きだすサスペンス・ホラー。一応、一本の映画という体裁は取っていますが、これは幾つもの短編を集めたオムニバス・ホラーと言っていいと思います。患者たちの回想という形式で描かれるそれぞれのお話も、サイコ・スリラーからゾンビもの、悪霊憑きやヴァンパイアとバラエティ豊かで見ていて飽きさせません。まあ逆に統一感がないと言われるかも知れませんけどね。以下それぞれのお話の感想。①妄想に支配された母親に襲われる娘のお話。母親が妄想で見る怪物がけっこう気持ち悪くてグッド。②ハロウィンの夜に死体を持って歩きまわる猟奇殺人鬼のお話。殺人鬼の冷酷さと周りの浮かれキャラとのギャップが面白い。③ゾンビに支配された街で出会った男女のお話。女を助けた理由が実はゾンビ化した彼女の餌にするためだったというオチはありがち。④シャベルが欲しい女の子のお話。あらゆる方法でシャベルを手に入れようとする理由が…、いまいちよく分からない。⑤悪魔に取り憑かれた女の子のお話。主人公姉妹が可愛い。⑥社会に潜伏する吸血鬼を密かに退治するヴァンパイアハンターのお話。この中二病感が痛々しい。⑦またもやゾンビに支配された世界で逃避行をする親子のお話。率直に言ってありがち。んで、最後の大オチは主人公の精神科医も実は長年収監されていた患者だったという、これまたありがちなもの。と、まあそれぞれのお話自体は、何処かで何度も見たようなよくある話ばかりなのですが、全体的にそこそこ演出のキレもよく、映像もそこそこセンスあるんで最後まで普通に見ていられます。総評。暇潰しに観る分には、ぼちぼち楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2020-01-01 01:01:24)
559.  スパイダーマン:スパイダーバース 《ネタバレ》 
映像は文句なしに素晴らしかったです!!でも、肝心のストーリーの方がしっちゃかめっちゃか過ぎてついていけませんでした!!
[DVD(字幕)] 6点(2019-12-30 21:36:01)
560.  プーと大人になった僕 《ネタバレ》 
大人になり、一児の父となったクリストファー・ロビン。第二次大戦にも従軍し、復員後は一般企業に就職した彼も社会の様々な荒波に揉まれ、もはや夢見ることすら忘れてしまっていた。そんな折、所属部署に突如として持ち上がったリストラ計画。コスト削減を実現できなければ、数名の社員を削減しろという上司からの命令に彼は頭を悩ませていた。週末の娘たちとのバカンスもやむなく延期せざるを得ず、次第にギクシャクしていく家族。すると、100エーカーの森の奥深くから、彼の“古い友達”がやってくるのだった――。何もしないことを頑張る癒し系キャラクター、クマのプーさん。世界中から愛される、この元祖ゆるキャラとも呼ぶべきディズニーアニメの古典を最新の映像技術で実写化したという本作、監督がわりかし好きなマーク・フォースターということで今回鑑賞してみました。リアルな戦場描写やままならない理不尽な現実を容赦なく描く冒頭部分から、単なる子供向けではないことをアピールする本作のスタンスにはなかなか好感が持てましたね。そうして現れるクマのプーさんのぬいぐるみっぽい造形も、リアリティをぎりぎり損なわない愛くるしさで良かったと思います(若干怖いときもあったけど笑)。なによりこのクマのプーさんを主人公の子供のころのイマジナリー・フレンドのように描くストーリーがノスタルジックで大変いい。そう、生きるための生活にいつしかしんどさを覚えた時なんかに、ふと子供のころの無邪気で楽しかったときを思い出すようなこの感覚はすごく良く分かります。ノートの切れ端なんかに夢中で書いた、いま読むと拙いばかりの絵物語を懐かしく読み返してみたくなるときってたまにありますもんね。ただ、これは仕方ないとは言え、途中からこのクマのプーさんたちが普通に実在の存在として周りの人々と関わり始める展開になっちゃうところが僕的には残念でした。最後まで、このお父さんと娘にしか見えないイマジナリー・フレンドのように描いてくれた方が物語上しっくり来たと思うのですが。まあそうしちゃうと、このクマのプーさんという存在自体否定しちゃうことになっちゃうので、ディズニー的にもそれは無理ってものかな。うん、ぼちぼちってとこでした。余談だけど、はちみつでべとべとのクマプーを娘のベッドに寝かすのはどうかと思うぞ(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2019-12-15 01:28:33)(良:1票)
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