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 > かたゆき さんの口コミ一覧。29ページ目
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作国 : アメリカ 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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561.  ザ・アウトロー(2018) 《ネタバレ》 
48分に1回、銀行強盗が発生するという大都市ロサンゼルス――。この危険な街を舞台に、破天荒な生き方で我が道を貫くアウトロー刑事と、常に冷静沈着な頭脳派犯罪者たちの息詰まるような攻防をスリリングに描いたクライム・アクション。犯罪者をどこまでも追い詰める刑事の腕は一級ながら、私生活は破綻している主人公を演じるのはまさに嵌まり役のジェラルド・バトラー。冒頭からいきなり始まる激しい銃撃戦に、「ああ、これはきっと頭空っぽにして観るべき、アクション重視のエンタメ映画なんだな」と思わせるものの、それも最初だけ。それ以降は、この正反対の二人の男の駆け引きがひりひりするような空気の中で描かれていて、これはこれで見応え充分でした。白昼堂々と決行される銀行強盗へと向け、徐々に双方の緊張感を煽ってゆく演出もお見事。特にクライマックス、連邦銀行の中枢部で展開される緊迫感に満ちたやり取りには普通に手に汗握っちゃいました。と、なかなか面白かったのですが、いかんせんストーリーがこのジャンルの名作『ヒート』とあまりにも似すぎているのが本作の評価の分かれるところ。法を守るべき情熱的な刑事が離婚寸前で愛する家族と破綻状態、反対に犯罪者の方が仲間とともに落ち着いた生活を送っているという設定もまんまだし、突発的に始まる白昼の銃撃戦もかなり影響受けちゃってます。オリジナルなのは最後に実は影の黒幕がいたみたいなとこですが、これもちょっと分かりづらくて僕はいまいち納得できませんでした。それに脚本の細部に「?」なところがあるのもマイナスポイント。普通に面白かったですけど、この作品ならではと言うオリジナリティがもう少し欲しかったですね。
[DVD(字幕)] 6点(2019-12-10 22:10:43)
562.  移動都市 モータル・エンジン 《ネタバレ》 
人類を絶滅寸前にまで追い詰めいた世界最終戦争から1700年後、人々はそれまでとは違う新たな文明を築き上げていた。それは、住んでいる都市を丸ごと移動させながら生活すること――。それぞれの都市は資源を求めて互いに闘い合いながら、ただひたすら荒野を移動し続けていた。弱肉強食の荒廃した社会で、世界の頂点に君臨するのは大都市ロンドンだ。そこで暮らす平凡な青年トムはある一人の女性と出会ったことから、この世界を揺るがす壮大な陰謀へと巻き込まれてゆく……。移動する都市同士が激突するという特異な未来社会を舞台に、様々な事情を抱えた主人公たちの波乱万丈の旅路を壮大なスケールで描いた冒険活劇。『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソンが制作したという本作、色んなところで悪評を目にしていたし、本国アメリカでも大コケだということだったので、どんなもんじゃろと今回鑑賞してみました。結果は……、「いや、そこまで悪くないじゃん」というのが僕の率直な感想です。確かに、脚本がしっちゃかめっちゃか過ぎる、大風呂敷を拡げすぎてもはや世界観が破綻している、主人公カップルが揃いも揃ってことごとく魅力がない、といった明らかな欠点はあるのですが、この最先端の映像技術を駆使したアクションシーンはなかなかの迫力で、それを眺めているだけでも僕は充分楽しめました。まあストーリーは完全に『天空の城ラピュタ』に『ハウルの動く城』をブレンドしただけでしたけどね。そのうちこのアジア系の女海賊が「40秒でしたくしな」って言いそう、ヒューゴ・ヴィーウィング演じる悪役がそろそろ「ははは、まるで人がゴミのようだ」って笑い出しそう、世界を破滅に追いやった最終兵器の暴走を止めようとするクライマックスなんてまんまですやん、などといろいろ突っ込みながら観てました。ちゅうわけで中身とかには全く期待しなければ、この荒唐無稽すぎるぶっ飛んだ設定やらふんだんにお金をかけたであろう迫力の映像なんかはそこそこ楽しめると思います。
[DVD(字幕)] 6点(2019-11-14 01:33:24)
563.  孤独なふりした世界で 《ネタバレ》 
ゴミを拾うたびに、宇宙のカオスが一つ減る――。ある日突然、謎の現象により人類の99%が死に絶えてしまった未来社会。そんな終末を迎えつつある世界で、たった一人、街に残った人々の死体を片付けて廻る孤独な男、デル。家々に残る乾電池を集め、シーツに包んだ死体を山の中に弔い、遺された故人の写真をファイリングする静かな日常。誰とも会話することなく、一日の最後に赤ワインを嗜み、図書館で本を読みながら眠りに就くような彼の前に、ある日、謎の少女グレースが現れる。もともと孤独を愛するデルだっだが彼女に強引に押し切られ、やがて一緒に暮らすようになる。ともに協力して街の遺体を弔い続ける二人。最初は疎ましく思っていたデルも、心優しいグレースに次第に心を許してゆくのだった。だが、彼女は誰も知らないとある秘密を抱えていて…。ゆっくりと死に絶えてゆく世界で出会ったそんな孤独を愛する男と孤独を嫌う女、彼らの静かな交流を詩情あふれる映像で綴ったディストピア・ドラマ。偏屈な主人公を演じるのは、あくの強い演技で独自の存在感を発揮するピーター・ディンクレイジ。等身大の魅力を放つヒロイン役には、いま最も注目を集める人気若手女優エル・ファニング。この美女と野獣ならぬ、美女とブ男(失礼!)という組み合わせがなんとも味わい深い作品でしたね、これ。世界がこうなってしまわなければ、決して交わることのなかったであろうこの二人の、静かに少しずつ心を許してゆく過程がとても繊細に描かれています。ともすれば退屈になりそうなお話なのに、この詩情豊かな雰囲気が観ていてとにかく居心地がいい。ずっと静かに進んでいってたところに、急にハードロックの轟音が鳴り響くとこなんかもいいセンスしています。「街に1600人居た時の方が俺は孤独だった」などといった、印象的な言葉が時おり差し挟まれるのもポイント高いです。ただ、残念なのは急展開を見せる後半部分。グレースが抱えたこの世界の秘密が明らかにされるのですが、これがいまいちよく分からない。この“孤独なふりした世界”の真実をもっと作り込んでくれたら(例えば、高度に発展したハイテク社会がそこにあって、彼女はそこから逃げ出したアンドロイドだった!等々)、より完成度の高い傑作になっていたかもしれないのにね。この雰囲気のある世界観は凄く魅力的だっただけに、結末がなんとも惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2019-11-07 21:07:24)
564.  デス・ウィッシュ 《ネタバレ》 
彼の名は、ポール・カージー。優秀な外科医として総合病院に勤務する彼は、愛する家族とともに幸せな生活を送っていた。だがある日突然、家へと押し入ってきた強盗団によって妻を殺され、一人娘も瀕死の重傷を負わされてしまう。巧妙な犯人たちはほとんど証拠も残さず、金庫の中身を持ってまんまと逃走。すぐに捜査は開始されたものの、警察は続発する凶悪事件に忙殺され犯人は一向に捕まらない。哀しみに暮れるカージーはやがてある一つの決断を下すのだった――。「法律など何の役にも立たない!ならば、俺の手で世に蔓延る悪を裁いてやる!!」。目深にフードを被り、慣れない銃を手にしたポール・カージー。夜の街へと繰り出した彼は、野蛮な犯罪者どもを次々と血祭りにあげていくのだった。そんな彼のことを撮影した動画がSNSを中心に拡がってゆき、やがて彼は街のヒーローとして人気を得ていく。そんな折、再び手術室へと戻った彼の元に、なんと亡き妻の時計をしたチンピラが運び込まれてきて…。愛する家族を奪われた外科医の血に塗れた復讐劇をハードに描いたバイオレンス・リベンジ・アクション。復讐に燃える主人公を演じるのは人気俳優ブルース・ウィリス、監督はどぎついバイオレンス&グロ描写で独自の地位を築いた鬼才イーライ・ロス。ハリウッド資本の影響だろうけど、この監督の良くも悪くも持ち味であるそのあくの強い演出は今回は控え目でした。なので、僕はそこそこ楽しめたかな。まあ、ベタっちゃあベタですけど、分かりやすいストーリーテリングやキレのいいアクションなどはぼちぼちのクオリティ。ブルース・ウィリスが全く外科医に見えないのはご愛敬ですけどね。ただ、新しい部分は一切ないので、三日も経てばほとんど内容を忘れてしまうだろうことは自信を持って言えます(笑)。結論。ヒマつぶしで観る分にはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2019-11-04 21:56:15)
565.  LBJ ケネディの意思を継いだ男 《ネタバレ》 
1963年11月22日、ケネディ大統領がダラスで暗殺されたその日、当時副大統領だったリンドン・B・ジョンソンは規定により新大統領に就任することとなった。それまで政治的に限定されたお飾りのような地位にいた彼が、いかにしてアメリカという巨大な国家を動かす最高権力者となっていったのか?本作は、その激動のアメリカ現代史の裏に隠された真実にスポットライトを当てた政治ドラマだ。監督はハリウッドを代表する実力派のロブ・ライナー、実在したアメリカ大統領を貫禄たっぷりに演じるのは個性派俳優ウディ・ハレルソン。ケネディ大統領が愛する妻の目の前で凶弾に倒れたまさにその日のドラマを縦軸に、LBJことリンドン・B・ジョンソンがいかにして副大統領にまで上り詰めたのかを過去の回想シーンを差し挟みながら描くその構成はなかなかのものだった。単調になりがちなこの手の作品を巧く料理した、ベテラン監督のその匠の技が光る。ケネディの実弟である司法長官や南部の重鎮であるテキサス州知事との政治的確執も分かりやすく描かれており、人間ドラマとしてもなかなか見応えがあった。深い愛情を感じさせる、彼と長年連れ添った妻との小さなエピソードの数々も味わい深いものがある。ただ、良くも悪くも優等生的作品なので、いまいち心に響くものがないのが本作の弱いところか。最後まで興味深く観られたが、そこまで印象に残るものはなかったというのが自分の正直な感想だ。
[DVD(字幕)] 6点(2019-11-01 21:10:50)
566.  メリー・ポピンズ リターンズ 《ネタバレ》 
ディズニーの超有名なファンタジーの古典『メリー・ポピンズ』が、約半世紀の時を経て帰ってきました!と言っても僕はその名作と呼ばれる前作は観たことありませんし、内容もよく知らないんですけどね。ちょっと前にトム・ハンクス主演で映画化されたウォルト・ディズニーの伝記で、本作の原作者がかなり偏屈なクソばばあ(失礼!)だったってことを知っている程度。何気に豪華な役者陣に惹かれ今回鑑賞してみたのですが、なるほど、こういう内容だったのですね。確かに最新のCG技術の粋を極めたであろう映像はかなりのクオリティで、そこはもう見ているだけで楽しくなっちゃいます。特に中盤の二次元アニメの世界に三次元主人公たちが入り込んじゃうとこは、当時の合成技術の限界を逆に活かした華やかなもので大変グッド。いやあ、こういうCGの使い方もあるんですね~。主人公メリー・ポピンズを演じたエミリー・ブラント姉さんも終始キラキラしててけっこうな嵌まり具合です。監督が『シカゴ』のロブ・マーシャルだけあって、たまに彼女があの頃のキャサリン・ゼタ・ジョーンズに見えるとこも個人的に嬉しい発見でした。ただ、肝心の内容の方は正直、超絶薄っぺらいですけど。観終わった直後だというのに、物語の最初の方はもう忘れていってます(笑)。特に最後、時間を戻すと高らかに宣言したメリー・ポピンズが何もせず、仲間たちが時計塔に昇っていって針を戻すだけというのはいくら何でもアホ過ぎます!とまあいろいろ書いてきましたけど、映像的には素晴らしいクオリティなんで暇つぶしで観る分にはそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2019-10-26 22:06:56)(良:1票)
567.  search サーチ 《ネタバレ》 
娘の身にいったい何が起こったのか――。最愛の妻をガンで亡くし、年頃の一人娘とともに父一人子一人の生活を送っているデビッド。だが、ある日突然、その遺された一人娘が失踪してしまうのだった。理由は皆目分からない。当然納得いかないデビッドは、警察の捜査とは別に独自の調査を開始する。娘のPCに残された情報やSNS、ネット上に拡がる様々な情報を駆使し、なんとしても娘の消息を探ろうとするデビッド。浮かび上がってきたのは、自分の知らなかった娘の隠された真実の姿だった……。失踪してしまった娘の消息を追う父親の執念の捜査を、PCの画面上の映像だけで展開させるという独自の手法で描いたサスペンス・ミステリー。この制約を巧く活かし、最後まで緊張感を途切れさせることなく魅せきった監督の手腕は大したものだと思います。絵的に単調になりそうだけど、クローズアップや画面の切り替えをタイミングよく使うことで物語にいいリズム感を与えているので最後まで飽きることなく観ることが出来ました。インターネットが発達し、生活の大半をネット上で完結させることが出来る現代社会の光と闇を風刺するその視線の鋭さもなかなかいい。ただ、そこまで面白かったかと問われたら、正直自分的にはちょっと微妙。やはりPCの画面上の二次元世界だけでしか物語が展開されないので、僕的には世界に奥行きが感じられず少し物足りなく感じてしまいました。でもまあそこらへんは好みの問題でしょうね。今までにない新しいタイプの作品なので、嵌まるかどうかはその人次第。興味のある方は是非ご覧になって自らの感性で判断しちゃってください。
[DVD(字幕)] 6点(2019-10-01 23:07:17)(良:1票)
568.  チャイルド・オブ・ゴッド 《ネタバレ》 
彼もまた“神の子”だ。あなたと同じように――。アメリカ北部の寂れた田舎町に住む孤独な男、レスラー・バラード。十歳にして父親を自殺で失い母親にも捨てられた彼は、以来天涯孤独な人生を送ってきた。精神的に深刻な問題を抱えた彼は周りの人間とうまくコミュニケーションを取ることが出来ず、自分を守ってくれる古びたライフルだけを片手に、打ち捨てられた山小屋でその日暮らしの孤独な生活を何年も続けている。もちろん村人からは厄介者扱い、保安官からも常に目を付けられていた。そんなある日、山道を歩いていた彼は事故を起こし立ち往生している車を発見する。覗いてみると、車内には一組の男女の死体が横たわっていた。触れてみるとまだ微かに温もりが残っている。初めて感じた女の温もり。思わずレスラーは、その女の死体と性行為をしてしまうのだった。そのことに味をしめた彼は以来、次々と女を殺しその死体を犯し始めるようになる……。長年の孤独な生活から精神に異常をきたしてしまった男、彼が犯すことになる数々の許されざる罪を乾いた空気の中に描くバイオレンス・スリラー。原作は現代アメリカ文学の重鎮、コーマック・マッカーシー。監督は俳優としても活躍するジェームズ・フランコ。『ノー・カントリー』『ザ・ロード』『悪の法則』といった作品で名高いマッカーシーが原作だけあって、この血と暴力に満ちた物語はいかにも彼らしい閉塞感に満ちた重厚なものだった。「倫理観や道徳といったものが完全に壊れてしまい、世にも恐ろしい罪を躊躇なく犯してしまう彼を同じ人間と言っていいのか」といった重々しいテーマを、無駄を削ぎ落したシンプルなストーリーの中に描き出す意図は充分伝わってくる。果たして神は居るのだろうか――。このイカレタ男の視点で最後まで物語を進行させ、観る者の倫理観を激しく揺さぶって来るところなどその踏み越えた姿勢は高く評価されていいだろう。ただ、この原作を映画化するのであれば、もう少しこのテーマに深みを与えても良かったのかもしれない。最後まで、この罪深き“神の子”になんの罰も赦しも与えないところなど、きっと意図してのことなのだろうがどうしても物足りなさが残る。内容が内容だけに決して観ていて気分のいい作品ではないが、人間の生存欲求の根源性や神の不在などを考えるきっかけとして観る価値は充分にある。
[DVD(字幕)] 6点(2019-09-26 22:55:50)
569.  シドニー・ホールの失踪 《ネタバレ》 
既存の価値観を真っ向から否定するような挑戦的な内容で、全米ベストセラーとなった青春小説『郊外の悲劇』。デビュー作にして一躍時代の寵児となった作者であるシドニー・ホールは、プレッシャーからかなかなか二作目が書き出せずにいた。そんな折、この小説に影響された青年が自らその命を絶ち、全米中で賛否両論含めた議論が巻き起こるのだった。精神的に追い詰められたシドニーはある日、着の身着のままの姿で失踪してしまう――。以来シドニー・ホールの消息は誰にも分からず次第に人々は彼のことを忘れていった。だが、七年もの月日が過ぎたころ、いくつかの図書館で彼の著作が燃やされるという事件が多発する。老犬を連れ、ふらりと現れた犯人こそが彼なのではないか。疑問を抱いたある人物が彼の調査を開始する。浮かび上がってきたのは、シドニー・ホールという男の深い哀しみに満ちた人生だった……。失踪したベストセラー作家のミステリアスな半生を、三つの時間を行き交いながら綴るヒューマン・ミステリー。描かれるのは作家シドニー・ホールのまだ無名だったハイスクール時代と、やがてベストセラー作家となった彼の栄光とプレッシャーの日々、そして一匹の老犬だけを相棒に全米を放浪する空白の時期という人生のターニング・ポイントとなった三つの時代のエピソード。この三つの時間軸を複雑に行き交いながら同時並行で描くという難しい手法を使っているのですが、ちゃんとそれがいつの時代の話なのか観客に分かるように描き分けているのは巧いと思います。どの時代のお話にもちゃんとそれぞれに明確なテーマと謎が存在し、全体としてある一人の男の人生を重層的に浮かび上がらせることに成功しています。そして、それら三つの時代に様々な姿で立ち現れる美しい女性メロディの存在も煌びやかで大変いい。彼女を演じたエル・ファニングがとてもキュートで、まさに嵌まり役。ただ、物語の終盤、それぞれのエピソードに隠された謎が全て明らかにされるのですが、それらが一本の映画としてうまく纏まっていないのが本作の弱いところ。青春期の初恋と友情、デビュー後の挫折と喪失、失踪後の絶望と再生、これらの要素が有機的に巧く絡み合っていません。なんだか別々の映画を一本に編集しなおしたような印象を受けてしまいました。きちんと整理されたストーリーテリングが抜群に巧かっただけになんとも惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2019-09-25 22:38:13)
570.  ローガン・ラッキー 《ネタバレ》 
家族全員が何らかの不幸を抱え込んでいる、自称・呪われた家族、ローガン一家。そんな自らの呪われた人生に一発逆転を図るため、レース会場の地下に隠された金庫の強奪を計画したローガン家の兄弟と彼らの仲間たちの活躍をサスペンスフルに描いたクライム・アクション。監督はこの手の分野を得意とする、『オーシャンズ11』などで有名なスティーブン・ソダーバーグ。主演はチャニング・テイタムをはじめとした若手陣に加え、ダニエル・グレイグやヒラリー・スワンクといったベテランが脇を固めております。まあ事前の予想通りの超ベタベタな内容ではありましたけれど、エンタメ映画としてのツボは押さえられていたので僕はぼちぼち楽しめました。脚本は突っ込みどころ満載ですが、華のある役者たちと終始流れるノリのいい音楽、サクサク進むストーリー展開のおかげで最後までストレスなく観ることが出来ます。まあ三日後には完全に内容を忘れてしまいそうな作品ではありますけど、ヒマつぶしで観る分にはちょうどいいんじゃないですかね。
[DVD(字幕)] 6点(2019-09-15 22:59:47)
571.  海底47m 《ネタバレ》 
メキシコへとバカンスで訪れた若く美しい二人の姉妹。現地で知り合った男たちに誘われるまま、彼女たちは鮫が目の前で見られるというアクティビティを楽しむことに。船で沖合へとやって来た彼女たちは、その強固な檻の中に入り、凶悪な鮫がうじゃうじゃいるという海中へと沈めてもらうのだった。間近にまで迫って来る強大な鮫の姿に興奮を隠せない二人。だが、その直後にあり得ないような悲劇が二人を襲う。船の上で檻を支えていたワイヤーが折れ、彼女たちを閉じ込めていた檻が暗い海の底へと瞬く間に落ちてしまったのだ。辿り着いたのは、海底47メートル――。そこは凶悪な鮫が縦横無尽に暴れ回り、助けてくれる者は誰も居ない、海上の光すら届かない暗黒の世界だった。ボンベの酸素も残り僅か。果たして彼女たちは無事にまた日の光を見ることが出来るのか?海底に取り残された姉妹の究極の恐怖を、ワンアイデア・ワンシュチュエーションで描いたパニック・スリラー。まあいかにも低予算で撮られたであろうそんな本作、これがなかなか演出のキレが良いエンタメ映画の佳品に仕上がっていたと思います。事前の想像通り、お話の7、8割方は海の中で展開されるのですが、このブルーを基調とした映像がキレイ過ぎず汚過ぎないちょうどいい見やすさでした。カメラワークの専門的なことは分かりませんが、この映像技術はなかなかのものなんじゃないですかね。そんなリアルな海の中に取り残される姉妹も、姉は冷静沈着だが臆病、妹は行動的で活発だが少々無計画と各々のキャラがちゃんと立っているのもポイント高い。そしてもちろん最後までナイスな水着姿なのも大変グッドです(笑)。この手の作品に必ず必要な適度なグロ描写も抑制が効いていて良かったと思います。まあシュチュエーションがこれだけなんで、途中で若干ダレてしまうとこはあるものの僕は最後までそこそこ楽しめました。もっと鮫さんたちに活躍してもらってもよかったような気がしなくもないですが、そこは予算の関係なのかな。ただ、ラストの展開には僕は少々否の立場。努力の末、主人公たちは助かった→と思ったら実は主人公の幻覚でした。バッドエンドか→と思ったらやっぱり救出部隊がやってきて……ってちょっとクドいよ!!そこらへんがイマイチでしたけれど、真夏の熱帯夜にビールでも飲みながら観るには最適な映画でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2019-09-05 20:15:21)
572.  タリーと私の秘密の時間 《ネタバレ》 
二人の子供の母として日々子育てに追われる中年女性、マーロ。長女はそこまで手はかからないものの長男は情緒障害からか問題行動が多く、一時たりとも目が離せず気が休まる暇がない。そんな折、彼女に予期せぬ妊娠が発覚するのだった――。無事に次女が誕生したものの、肝心の夫はそこまで積極的に育児に関わろとせず、マーロのストレスは頂点に。このままでは身も心もパンクしてしまいかねない。仕方なく、彼女は兄夫婦の勧めで夜間だけ働きに来てくれるベビーシッターを雇うことを決意する。やって来たタリーと名乗る彼女は想定外に若く、最初は戸惑いを隠せないマーロだったが、その見た目と違うタリーの極め細やかな仕事ぶりに彼女は次第に心を許してゆく。子育てやそれまでの恋愛経験、そればかりか現代の夫との性生活にいたるまで何でも話せる関係へと発展してゆく二人。今にも底が抜けそうな橋の上を恐々と歩き続けるようなマーロの生活は、どんどんと潤いに満ちたものになるのだった。だが、彼女たちのそんな濃密な関係はやがてすぐに終わりを迎えることになって…。三人の子供の子育てに翻弄される母親と自由奔放な若いベビーシッター、彼女たちの友情と再生を温かな目線で見つめたヒューマン・ドラマ。監督はこの手のジャンルを得意とするジェイソン・ライトマン。本作の見どころはやはり、主演を務めた人気女優シャーリーズ・セロンのその真に迫った熱演ぶりでしょう。本作の撮影のために30キロも太っただけあって、終わりの見えない子育てに追い詰められた母親を実にリアルに演じていて、もう見ていて息苦しくさえありました。そんな彼女に訪れる心のオアシス。夜間だけのベビーシッターであるタリーがとても魅力的で、彼女がマーロの心の支えとなってゆくのが実に自然に丁寧に描かれていて好感度は高い。「カップケーキも作れない」と嘆くマーロのためにタリーがした行動は本当に微笑ましかったですね。だけど、急にタリーがウェイトレスの制服を着ておかしな行動を取る辺りから徐々に違和感が。「あれ、どういうこと?」と思っていたら、最後に驚きの種明かし。うーん、ちょっとこれはどうなんですかね。ホラーやサスペンスの分野ではよくあるオチなのですが、こういう地味なヒューマンドラマでこのネタは確かに新しいと言えば新しい。でも、さすがにちょっと無理があるような気が。僕は素直に受け入れることが出来ませんでした。でも、それは好みの問題。賛否は各々で判断してもらうとしても、現在、子育てに悩んでいる母親の皆様に是非観てもらいたい作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2019-09-04 01:26:32)
573.  ザ・シークレットマン 《ネタバレ》 
アメリカ史上初めて、大統領を辞任に追い込んだニクソン大統領による民主党本部盗聴事件。いわゆるウォーターゲート事件。長年の謎とされていた、この事件の密告者である通称〝ディープスロート〟は最近になって元FBI副長官であったマーク・フェルトであると明らかにされたが、本作はその事実を基に決して権力に屈しなかった男たちの熱いドラマを静かに描いたポリティカル・サスペンスだ。物語の焦点となるマーク・フェルト役を人気俳優リーアム・ニーソンが演じている。何十年にもわたり、この組織のトップに立ち続けてきたフーバー長官の突然の死(そう言えば、過去にクリント・イーストウッド監督作でレオナルド・ディカプリオが彼を演じていた)から、この重厚なドラマは幕を開ける。独立した機関として長い間、絶大な権力を有してきたこの組織に何らかの楔を打ち込みたいとホワイトハウス側が画策し、今度はそれに反発したFBI側が徐々に態度を硬化させて両者の対立が表面化し始めたそんな折にその疑惑が明るみに出るのだった。現役の大統領による重大な不正疑惑――。お互いの権益を守るために、ニクソン大統領(そう言えば、オリバー・ストーン監督作でも名優アンソニー・ホプキンスが彼を演じていた。やはりこの事件は多くのアメリカ人にとって非常に重要な意味を有しているのだろう)との権坊術数渦巻く政治劇が展開される。この徹底的な事実考証に基づいたであろう丁寧な演出は、事実の重みとも相俟ってなかなか見応えがあった。民主主義の正義を建前に、自らの立場やプライドを賭けた男たちの闘いはきっと今も権力中枢で繰り返されているのだろう。そう思うと物語の発端となるフーバー長官の突然の死も本当に病死だったのかと疑いたくなってくる。権力の正体というものを改めて分からせてくれる佳品に仕上がっていたと言っていいだろう。ただ、自分には不満な点も多々。ストーリー展開が事実を追うことに焦点を絞るあまり、少々ドラマ性に欠けているのだ。このマーク・フェルトという人物の人間的な側面をもっと見たかったような気がしなくもない。失踪した彼の娘の存在など、そのための格好の材料となりそうなものなのにその部分は意外にあっさりと流してしまっているのが惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2019-08-30 00:40:43)
574.  アナイアレイション -全滅領域- 《ネタバレ》 
アメリカの国立公園の海岸沿いに建つ小さな灯台。この何の変哲もない小さな建物にある日突然、不可解な謎の現象が発生する。光輝く空間が灯台を中心に現れ、やがてゆっくりと周りを呑み込み始めたのだ。中で何が起こっているのか、最新の機器を使っても皆目分からなかった。幾つもの調査隊が組まれ、その「シマー」と名付けられた光の中へと送り込まれる。だが、誰一人として帰ってくることはなく、「シマー」はますますその範囲を拡大し続けるのだった――。何の進展もないまま三年もの月日が過ぎたころ、生物学者として大学で教鞭をとっていたレナの元に、海兵隊員で一年前にシマーへと送り込まれたまま音信不通となっていた夫が急に帰宅する。彼は「シマー」の中での記憶を完全に失っていたばかりか、内臓に重度の損傷を負っていてすぐに昏睡状態へと陥ってしまうのだった。動揺を隠せないレナ。新たに調査隊が組まれることを知った彼女は夫の身に何が起こったのか確かめるべく、無謀にも入隊することを決意する。これまでと違い、学者だけでしかも皆が女性という五人の調査隊の一員となったレナは、その光り輝く「シマー」の中へと足を踏み入れるのだったが…。果たしてこの「シマー」には何があるのか?静かに始まった人類の危機へと立ち向かう女性たちの驚愕の体験をスタイリッシュな映像で描くSFスリラー。監督は前作『エクス・マキナ』でスマッシュヒットを飛ばしたアレックス・ガーランド。主演はオスカー俳優でもある人気女優ナタリー・ポートマン。この監督らしい知的センスに溢れた世界観とシャープでスタイリッシュな映像美はなかなか見応えありました。この謎の現象の中心に近づくと全ての生物のDNAがどんどんと掻き乱されてゆき、やがて突然変異した異形の生き物が幾つも現れるというのはベタですけどけっこう面白かった。グロテスクな映像もそこまでショッキングなものにならず、全体的に何処か気品のようなものを感じさせるのもこの監督のセンスがなせる技なんでしょう。ただ、惜しいのはラストの展開。謎を謎のまま終わらせるのはもちろんいいのですが、いまいちテーマの掘り下げが足らない印象。同じような内容のドニ・ヴェルヌ―ヴ監督の重厚なSFドラマ『メッセージ』などと比べるとやはり深みが足らないように思う。だからと言ってエンタメ作品として捉えると、やはり刺激に欠ける。うーん、なんとも中途半端。映像や世界観は非常に良かっただけに、ちょっと物足りない作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2019-08-20 13:59:59)
575.  ブロークン・フラワーズ 《ネタバレ》 
かつて様々な女性たちと浮名を流し、名うてのプレイボーイとして名を馳せたドン・ジョンストン。そんな彼も寄る年波には勝てず、同棲していた女性にも振られ、いまや自由気儘な独り身として空しい毎日を過ごしている。そんなジョンの元にある日、ピンクの封筒に入った差出人不明の手紙が届くのだった。「あれから20年経った今、あなたに伝えておきたいことがあるの。あなたと別れてから私は妊娠に気付いた。あなたには知らせず、私はその子を産んだわ。そして一人で育ててきた。そう、あなたには今年20歳になる息子が居るのよ」――。当然、寝耳に水のドンは、にわかにはとても信じられなかった。真相を確かめるため、ドンは20年前に付き合っていた心当たりのある女性たちを今さらながら訪ねて回ることに。小綺麗なスーツに身を包み、ゆく先々でレンタカーを調達し、彼は当時付き合っていた5人の女性たちの元へと旅立つのだった。その手に毎回ピンクの花束を握りしめて…。インディペンデント映画界の巨匠ジム・ジャームッシュ監督のカンヌ映画祭グランプリ受賞作。いかにも彼らしい、このトホホな親父のゆる~い一人旅を描いた本作、なかなか味わい深いロードムービーの佳品に仕上がっていましたね。20年前に付き合っていた元カノたち4人(5人のうち1人は亡くなっている)に、自分の息子を勝手に産んでいないか確かめるために旅に出るというこの設定がまず秀逸。男って、何年経ってもかつての恋人たちには自分を愛したことを今でも覚えていてほしいと思うバカな生き物なんで、「あぁなんか分かるわ~」と苦笑交じりに共感しちゃいました。そして相手の元カノたちもそれぞれ四者四様の人生を歩んできたことがしみじみと分かるなかなか個性豊かな面々で、なんだか凄く良かったです。最初の酒に酔ってすぐに身体を許しちゃう軽ーいノリの元カノ(その娘もね!)から、見栄っ張りな経営者、スピリチュアルにいっちゃったアニマル・セラピスト、そして現在とても幸せとは言えない境遇に居る元カノまで、なんだか人生の哀歓を感じさせてじんわりと切なさがこみ上げてきますね。これぞ、ジム・ジャームッシュ節!ただ、惜しむらくは肝心のことの真相。きっと、敢えて真相を謎のままにして終わらせたんだと思うんですけど、さすがにここまで引っ張といてこれはないですわ~。手紙の送り主や息子の真偽など、もっとすっきりとさせて終わって欲しかったです。それまではすこぶる良かっただけに、ラストだけがなんとも惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2019-08-16 23:09:54)
576.  ブルース・ブラザース 《ネタバレ》 
刑務所から出所したばかりの元バンドマン兄弟、その名もブルース・ブラザーズ。子供のころに恩になった教会を救うため、再び音楽活動を始めた彼らの波乱万丈の活躍をコミカルかつダイナミックに綴ったミュージカル・エンターテイメント。何かと有名な本作を今さらながら鑑賞してみました。うーん、時代のせいなのか僕はそこまでのれなかったですね、これ。確かに面白い部分もいくつかあったのですが、全体的にはそこまでって感じでした。余談だけど、タモリ倶楽部の空耳アワーで何度も取り上げられた有名な曲は、リメイク版で使われてたみたいですね。原曲を普通に聴いてみたかったのに、ちょっと残念でした。まあ本当に余談ですけど(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2019-08-02 23:48:23)
577.  雨の日は会えない、晴れた日は君を想う 《ネタバレ》 
都会の高層ビルの一画にオフィスを構える投資会社で、エリート金融マンとして働くデイヴィス。美しい妻にも恵まれ順風満帆な生活を送っていた彼を、ある日、悲劇が襲う。一緒に乗っていた車が交通事故に遭い、目の前でその美しい妻を一瞬にして失ってしまったのだ。病院の待合室でその事実を聞かされたデイヴィスは茫然となってしまう。だが、次の瞬間、彼はあることに気付いてしまうのだった。「僕はちっとも悲しくない」――。それよりも空腹感が勝ったデイヴィスは、待合室の片隅にあった自販機でチョコレートを買おうとするのだが、故障で一向に出てこなかった。何もかもが嫌になった彼は、そのことや亡き妻のことをクレームの手紙に書き、自販機の管理会社へと四通も立て続けに送り付けるのだった。しばらくは何の音沙汰もなかったが、何日かすると顧客担当だというシングルマザーから個人的に話がしたいと電話が掛かってくる。彼の手紙を読んで泣いたという彼女の言葉から、デイヴィスは自らの失われた結婚生活を見つめ直そうとするのだったが…。妻の死をきっかけにこれまでの生活の空しさに気付いてしまった男が、困窮した生活を送るシングルマザーとその子供である聡明な少年との出会いを通じて過去と決別する姿を描いたヒューマン・ドラマ。主演を務めるのは実力派俳優ジェイク・ギレンホールとナオミ・ワッツ。監督は、手堅い人間ドラマを撮ることにかけては定評のあるジャン=マルク・ヴァレ。確かにテーマへの取り組み方も演出力も俳優たちの演技もある一定の水準に達していることは僕も認めるところなのですが、ちょっと自分はそこまで合わなかったですね、これ。この作品の主要テーマである、主人公の自分の人生の「解体」とシングルマザーの親子との偶然の出会いが、なんだか最後まで有機的にうまく絡み合っていないような印象を受けてしまいました。それに人生の曲がり角に迷い込んでしまい、どんどんと迷走してゆくこの主人公にいまいち共感できず…。ただ映像は終始美しく、また都会の片隅で必死に自らの人生を模索するこのシングルマザーの親子のキャラクターはすこぶる魅力的だったので、その点は凄く良かったと思います。要はこの主人公のうじうじっぷりが、僕はあまり好きになれなかったってことですね。
[DVD(字幕)] 6点(2019-08-01 22:16:31)
578.  パシフィック・リム:アップライジング 《ネタバレ》 
アホほど金を掛けて、怪獣VSロボットの人類の存亡を掛けた闘いを大真面目に作ったエンタメ・アクション第二弾。まぁぼちぼちってとこですかね。監督が交代したってことで、お話の内容もアクションも全体的に3割減って印象でしたわ。ヒマつぶしに観る分にはそこそこ楽しめます。ロボットも怪獣も日本の文化なのに、マーケティングのせいなのか全面的に中国フューチャーなとこは違和感ありますけど。
[DVD(字幕)] 6点(2019-07-24 23:50:10)
579.  ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 《ネタバレ》 
ベトナム戦争当時、前線を視察した政府職員が作成したとされる最高機密文書、いわゆるペンタゴン・ペーパーズ。時の政権を揺るがすほどの内容が記されたその文書を巡り、安定した経営か新聞記者としての矜持か、ぎりぎりの選択を迫られることになった記者や社主の葛藤を描いた社会派ドラマ。監督はもはや言うまでもないレジェンド監督スティーブン・スピルバーグ、主演も長年ハリウッドの第一線で活躍し続けるベテラン俳優コンビ、トム・ハンクス&メリル・ストリープ。実話を基にして描かれたという本作、手堅い演出とベテラン勢の安定した演技力でなかなか見応えのある仕上がりになっていたと思います。株式公開による安定経営か、もしかしたら会社存続の危機に陥るかも知れないがそれでも真実の公開か、アメリカの歴史を揺るがした事件を丹念に描いたドラマは抜群の安定力でした。ただ、あまりにも王道過ぎて、若干物足りなく感じてしまったのも事実。もう少し捻りのある展開があればもっと良かったんですけど、これは好みの問題なのかな。面白かったですけど、まあそこまでって感じですかね。
[DVD(字幕)] 6点(2019-07-23 23:13:54)
580.  ヘイト・ユー・ギブ 《ネタバレ》 
貧しい黒人たちが多く住む貧困地区で生まれ育った、何処にでもいるような平凡な女の子、スター。両親の方針から裕福な白人が数多く在籍する私立校へと進学した彼女は、恵まれた白人の子たちに囲まれ、イケメンの白人彼氏とも超ラブラブ、自分が黒人であることなんてすっかり忘れて充実した日々を過ごしていた。そんな折、地元で開かれたとあるパーティで初恋の男の子と再会したスターは、彼の車で一緒に帰ることに。懐かしさから途中で車を停めて、いろんな思い出話に盛り上がる二人。そこにやって来る1台のパトカー。職務質問をしてきた白人警官は、何もしていない彼をまるで犯罪者同然に扱い、反発した彼との間で不穏な空気が流れ始める。すると突発的に白人警官が発砲し、スターの初恋の相手は呆気なく帰らぬ人になってしまうのだった――。当然のようにすぐ捕まると思われたその白人警官は、なんと停職という軽い処分だけで無罪放免になってしまうかもしれなかった。その事実を知り愕然としたスターは、彼のために少しずつ行動を起こすことを決意する…。それまで充実した毎日を過ごしていた平凡なティーンエイジャーが、アメリカに根深く残る人種差別という現実へと静かに立ち向かう姿を描いた社会派青春ドラマ。実際に起きた事件を基にして制作されたという本作、現代のアメリカが抱える闇をあくまでティーンエイジャーの視点から描いたそのスタンスはいいと思います。黒人社会に根深く残る差別意識がより対立を激化させているところなどもきちんと描かれており、そのフェアなスタイルにも好感が持てます。ただ、原作がアメリカのティーンエイジャーを対象としたヤングアダルト小説ということもあり、主人公の恋愛ドラマが非常に甘っちょろいのが本作の評価の分かれるところ。特に全面的に主人公を愛してくれる白人彼氏の存在はどうなんでしょうね。大人が見たら大多数の人が恐らく鼻で笑っちゃうかも。あと、ここまで大風呂敷を拡げたテーマを収束させるラストがけっこう放り投げっぱなしなのもいかがなものか。白人警官は結局無罪放免のままで問題は何も解決していないのに、家族は無事に平和になりイケメン彼氏ともまた超ラブラブに戻りましたとさ、なんてのはちょっと甘すぎやしませんか。あくまでティーンエイジャーの視点から社会問題を描いたその姿勢は良かっただけに、ラストが惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2019-07-18 21:11:55)
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