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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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41.  ターミネーター 《ネタバレ》 
最初に見たのは公開後のTV放送と思われる。1984年の映画なので世紀末にはまだ間があったが、いわゆる「ノストラダムスの大予言」が事実無根ということが証明されていなかったこともあり、少し先取りした終末感を煽るラストが非常に印象的だった。その後の実生活でも、どうも嵐が来そうだとか漠然とした不安があるときに、この映画のテーマ曲が頭の中で鳴っているということはあった。 もう一つ、ラブストーリーの面では「僕は君に会うために時をこえて来た」(I came across time for you)という台詞が女性にとっては胸キュンに違いないとずっと思っていた(自分で使ったことはない)。ただし今回見たBDの字幕では、なぜか素っ気なく「僕は君のために来た」としか書いてないのは心外だった。「時をこえて」と書くからいいのではないか。こんなことを言える男はそうそういるものではない。  今回見て思ったのは、やはりいかにも低予算な映画だということである。基本的にはアクションで見せており、金属製の腱?を動かすと指が動くとか、目玉をほじくり出すとかを見どころと思っていたらしいのはかなりショボい。ただストップモーション撮影の部分は、昔は何とも思わなかったが、いま見てもまあこんなもんだと思わなくはない。 もう一つは(少し前から思っていたが)、現時点でドローンの軍事利用に関わっている連中は絶対この映画が念頭にあるだろうなということである。またAI技術の進展や情報通信ネットワークに関わる世界的企業が存在感を増しているなど、劇中のスカイネットそのままではないにせよ、何か恐ろしい時代が来るのではないかと不安な情勢になっている(便利になるのは結構だ)。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-06-22 23:21:08)
42.  エイリアン 《ネタバレ》 
公開当時、“WARNING”ばかりを強調するテレビCMがやたら目について、どういう話か知らないまま映画館で見た。alienという言葉はこの映画以降に日本でもよく知られるようになったと思うが、自分としてはwarningもこの映画で初めて知った。憶えるべき英単語に含まれていなかったのか勉強不足だったのか。 実際見ると導入部がいきなり得体の知れない不安感から始まり、その後にいったんほっとさせてから、また緊張感を高めた上で最後に開放感を生じる構成になっており、これでホラーとは思わなかったがスリリングだったのは間違いない。ただ初見時には、エンディングに入ってからもこれで本当に終わりなのかと不安が残る気分だったが、それは結果的に2に送られた形になったらしい。 当時の感覚として斬新だと思ったのは、まずは国連宇宙軍とか惑星連邦とかではなく民間企業の所有する産業用の宇宙船が出て、化学工場のようなごつい設備がむき出しのまま宇宙を飛んでいたことで、内部に薄汚れたような暗い空間があるのも町工場じみて産業用らしい。また電子機器の稼働に付随する騒音が耳に残るのと、「ロボット」であるのに金属製の部分が見えない(白い液体がおぞましい)ことに素朴な驚きがあった。 そのほか何よりこれ以降、宇宙というのは夢のフロンティアとか希望の大洋とかいうよりも、何が出て来るかわからない怖いところ、というイメージが生じた気がする。侵略宇宙人のようなものなら昔からいたが、こんな得体の知れないのは初めて見た。  今回見て思ったこととして、コンピュータに文章で適当に問いかければそれなりの答えが返るというのが当時は安易な発想に思われたが、2019年の現在ではすでにそういう感じのものが実現しており(それも音声で)、ここは40年間の人類文明の進歩を実感した。 また宇宙船に愛玩動物を乗せていたのは乗員のメンタル対策として有効だろうと思った(ネズミ駆除用という話もあるようだが)。ネコ嫌いの乗員はいなかったのかとか放し飼い状態はさすがに運行に支障があるというような問題はあるが、とりあえずネコが最後まで生き残ったのはこの映画としてのささやかな良心を感じた。 現代と違ってエンドクレジットが延々と続くようなこともなく、ラストシーンの雰囲気を引き継いだ穏やかな音楽のまま終わっていたのはかなり好印象だった。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2019-06-22 23:21:04)(良:1票)
43.  ガス燈(1944) 《ネタバレ》 
往年の名画だろうが、現在は文化的価値とは別の面で有名らしいのでどういうものかと思って見た。 公開時期はニューヨークが1944年5月4日、ロンドンでは同年7月とのことで戦時中の映画ということになる。アメリカではまだしも内地は平穏だったろうが、ロンドン市民は空襲におびえながら映画館に行ったということなのか?? 主人公がロンドンからイタリアへ留学したのも公開時には現実離れしたことだったろうが、劇中でヨハン・シュトラウス2世の「こうもり」(1874初演)を「新作のオペレッタ」と言っていたことからすれば、映画の時点から70年くらい前の話だったらしい。そもそもガス燈自体が相当昔のものということかも知れない。  物語に関しては、主人公が最初から中年男(役者は当時40代中盤)とラブラブ状態で、こんな怪しげな男で大丈夫なのかと思わされる。マエストロの言葉からすると恋は盲目という意味かも知れないが、本人が生来の甘ちゃんだからということも当然あったはずで、下町育ちらしいメイドとの対比が際立っている。ただ、ちゃんとしまったはずのものがなくなるというのはなくもないことなので(実際ある)、こういう弱味を衝かれると危ないとの警告をくみ取るべきかも知れない。 個人的趣味としては精神的虐待の話など好んで見るものでもないが、しばらく我慢すれば爽快なラストを迎えるはずと信じて期待していたところがそれほどでもない。終盤いきなり反転攻勢に出たところが見せ場だったのだろうが、疲れ果てていたはずの主人公が、あらかじめ仕込んだような台詞で的確に相手を追い込んでいたのは出来すぎである。その割に、終幕の時点でまたロンドン警視庁の男にさりげなく暗示をかけられていたようで、こういう相手なら騙されてもいいということなのか(心理操作の正しい使い方?)。 またその最後の締め方は、当時はこれで普通だったのかも知れないが、今までの男が抜けたあとをすぐ別の男で埋めようとする態度は安易というしかない。しかし男の立場としては少年時代からの夢がかなうということらしいので、ダルロイ夫人に賛成してもらえるならいいかも知れない。  ほか主人公が取り乱した場面のうち、息を止めていてプッと噴き出した(ように見えた)ところは笑ってしまった。音楽会での出来事自体はそれほど大ごとでもなかったが、非常に気まずい雰囲気になっていたのは周囲が上流階級の人々だったからだ。
[DVD(字幕)] 6点(2019-04-06 09:59:36)
44.  ジェーン・ドウの解剖 《ネタバレ》 
大変申し訳ないがホラーとしてはあまり怖いと思わなかった。最初のドッキリには呆れたが、本番になっても型どおりの怖がらせだけでそれほど刺激的でもなく、わざと怖くないように作ったのかという気もした。プロットとしてもよくある話のように思ったが、根本原因だけは少し意表をついていた。アメリカ人なら誰でも知っている事件だろうが邦画ホラーでは出て来ようがない発想である。 この映画の見どころは、何といっても題名の死体である。最初は土中にゆで卵が埋まっていたような印象で、その白い身体を男連中が勝手にいじくり回して滑らかな肌を切り開くというのが痛々しい。最初は単なるsleeping beautyだったが、目を開けてみると思わず惚れてしまいそうな微笑の美女になり、次に口を開けたところは驚いたような顔だったが、解剖が始まってみると悲しげな顔にも見えて、自分の身体にこんなことをされるのは誠に遺憾という表情のようでもある。基本的には被害者顔に見えたのが愛おしく思われたが、最後になると気高くも見える顔になっていたのがまた美しい。一応見終わってからも、また彼女に会いたくなったというのはもう呪われている。 死体以外では「スタンリー」というのがなかなか愛嬌のある奴だったが残念なことだった。
[インターネット(字幕)] 6点(2018-11-09 19:41:44)
45.  ブラッド・ダイヤモンド 《ネタバレ》 
5年前に一度見た時点では何も書く気がしなかったが、他のアフリカ関係の映画を見た機会に書いておく。 まず、どれだけ悲惨な話でもきっちり娯楽映画にしてしまう米映画産業には感心する。紹介文では「衝撃のアクション超大作」とされているが、村の自警団など笑わせるところもあり、最後は美人ジャーナリストの功績で世界が動いて、ただの漁師が立派な身なりで国際会議の晴れ舞台に立つのが非常に都合のいい展開で、ラストの説明文も真面目に受け取る気がしなくなった。ただし途中でラブシーンを完全に飛ばしていたのは悪くないと思う。  ところで劇中ではシエラレオネ共和国の国歌を披露する場面があったが、歌詞と実態のギャップが激しいのは悲しいことである。腕の切断はベルギー人が始めたという台詞があったが、ベルギー人が野蛮とすれば真似する連中も野蛮なのであって言い訳にもならない。先進国が諸悪の根源で途上国の民はみな善良、などという図式は必ずしも成り立たないのが現実であり、そもそも平和愛好的に躾けられている日本人とは倫理性のレベルが全く違うと思わなければならない しかしここで大事なのは、人間に本質的な善悪はなく具体的な行動が問題だ、という登場人物の言葉と思われる。誰もが主人公のように行動できるわけではないが、しかし皆が衣食足りて礼節を知る状態になれば行動面にも自然に影響し、人の本性の善悪に関わりなく総体として穏やかな社会ができるのではと思われる。それは日本ではだいたい実現しているが、いずれこの地域にも期待できるのかも知れない。  また企業活動に関しては、最後に出たキンバリー・プロセスなるものの実効性がどうかはともかく、紛争資源に対して何らかの取組みが行われること自体は悪くない。その原動力になるものとして、この映画では消費者その他の庶民一般に働きかける形になっていたが、今なら投資家という言葉も出るかも知れず、また個別企業がそれぞれの動機で自ら制度遵守に取組む場面が生じることも考えられる。本質論として業界や企業の本性の善悪を問うのは無意味だが、しかし多くの個人の良心に沿った行動を合理的観点から選択することはありうるのであって、それが結果としていい方向に作用するなら否定すべきものでもない。 映画産業も基本的にはカネを追求しているわけだろうが、このように少し考えさせる内容を娯楽映画に入れること自体を悪く言えない気はして来た。
[DVD(字幕)] 6点(2018-11-01 19:56:21)(良:1票)
46.  ステルス 《ネタバレ》 
以前にTV放送で見たことがあったが、最近どうも隣の半島情勢に変化がありそうなことと、直前に見た別の映画(実写版)で「ステルスモモ」という登場人物が出ていたこともあって改めて見た。 映像的にはいかにも作り物の未来戦闘機という感じで今どきそれほど驚くようなものでもないが、最初に見た時に非常に印象に残ったのはタイ国内とされている場面で、白人男女をペアにしておいて余った黒人にはその辺から調達したアジア人がお似合いだという扱いをしていたことである。まあベトナム戦争の頃ならこういう感覚だったかも知れないが、2005年から見て近未来の話であってもやはりアメリカ人は変わらないということらしい。黒人を殺したやんちゃなAIも命令に従えば許してやる、女は男が当然助けてやる、真のヒーローは誰なのか教えてやる、という映画のようだが、それなりに大金をかけて作ったのだろうから商品価値まで否定するものではない。 なお一つ皮肉を書いておくと、映画というものは劇中でいくら人が殺されても構わないが、犬が殺されることだけは許されないらしい。
[インターネット(字幕)] 2点(2018-04-28 00:28:13)(笑:1票)
47.  フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ 《ネタバレ》 
前作「フランケンシュタイン対地底怪獣」(1965)に続くフランケンシュタイン第2作である。前作と異なり、同時上映の映画は明らかに子ども向けだったようなので、今回は普通に怪獣映画の扱いだったと思われる。 基本的な設定としては前作の経過を引き継いだ形だが、水野久美さんが共通の出演者というだけで、ほかは役者も登場人物の名前も違っており、ずれのある並行世界のようである。今回も日米合作とのことで、水野久美さんが洋モノ映画で見るような、感情で動いて面倒を起こすバカ女の役になっていたのは残念なことである。メイクもきついので可愛気がない。 また怪物の造形も、もさっとした着ぐるみになってしまってケモノの印象が増しており、これはキングコング対キングコングのつもりだろうかとも思う。羽田で人が食われたのは衝撃的だったが、前回は人間っぽかった怪人が、条件次第でいつ今回のようなケモノに変わるかわからないというのでは、やはり全部駆除しておいた方が無難ということになってしまう。劇中の科学者も研究材料が失われないようにとしか考えていなかったようで、前作に比べて人の心が失われた単なる怪獣映画のように見えた。かろうじて兄弟愛という点で、最初に兄が出現した時の、おれの弟に何をするんだ、という抗議の姿勢が印象に残った程度である。 ちなみにタコを最初に出すことにしたのは前回からの改善点ということかも知れない。今回も最後は海底火山の爆発というのが唐突だが、これは1952年の「明神礁」爆発が人々の記憶に残っていたからだと思われるので、その発想自体は理解できなくはない(「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」(1967)でも冒頭にニュース映像が出る)。  なお今回の見どころは何といっても陸上自衛隊の大活躍である。最初に何をするか明示してからの準備がかなり念入りに見えたが、その甲斐あって効果は絶大で、怪物が今にも死にそうなところまで追い詰めたのは前代未聞の大戦果である。ヘリコプターが身を挺しての遅延策も功を奏し、怪物が木をなぎ倒しながらひたすら逃げ回るのは痛快だった。日頃から不死身の大怪獣を相手に戦っている自衛隊がその気になれば、サル人間程度は容易に倒せるということである。今回初出の殺獣光線車の重量感がいい。 また人型の怪物がミニチュアセットの中で、その辺のものを蹴散らしながらドカドカ走って行くのは珍しい眺めだった。
[DVD(邦画)] 5点(2018-04-08 23:28:04)
48.  フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン) 《ネタバレ》 
大人向け映画と断言するほどでもないがまるきり子ども向けでもない。同時上映が若大将映画だったことからすれば「マタンゴ」(1963)並みの扱いということか。 全体構成としては日本の東西で別々の怪物が出現し、それぞれ勝手に移動して最後に富士山麓で出会う形になっており、海外公開が前提だからか各地の名所も映されている。ロードムービーというほどでもないが行く先々でさまざまな人々が登場し、岡山の田崎潤・佐原健二の組み合わせがほんのチョイ役だったというのがフェイント感を出していた。その後も「大怪獣バラン」(1958)の対潜哨戒機テーマに乗せて飛騨の白川郷まで追手が迫り、いろいろあってからイノシシが走り去ったところまでの流れが個人的には好きだ。  しかし問題なのがラストの締め方で、突然地面が陥没するというのも感心できたものではないが、海外版では突然のタコの出現のために怪人が次から次へと敵を求めるタイプに見えてしまっているのは非常によろしくない。 またテーマ的には、永遠の生命が果たして人間の幸福につながるのか、ということが問われていたようでもあり、実際にそういう生物が出て来た結果、必ずしも幸福ではない(「死んだ方がいいかも知れない」)という結論につながったようでもあるが半端である。またそれが原爆とどう関わるのかと思っていたが不明瞭なまま終わり、結果として広島から物語が始まった意味もよくわからなくなっていた。  そういうことで不足の点はあるが、しかし物語としては一本筋が通っていたようで、要はたとえ人が造った人間でも、人の心が通じるなら人間だ、というのが最終的な結論と思われる。当初、怪人は逃げてばかりでこんな奴が兵隊として使えるのかと思っていたが、しかし誰かを助けるために戦う決心をしてからは見違えるほど勇敢になり、生まれながらの兵士では全くないが確かに人間だ、ということを自ら証明していたようである。救出した男を仲間のもとに返してから、地底怪獣の叫び声の方へ向かおうとする姿は正直格好いい。顔に似合わずヒーローだったというしかない。 なお劇中の女性科学者は広島市内?の近代的アパートに住んでいたようだが、怪人が成長してみると部屋が2階だったことの意味がわかる。ここで怪人が見せた顔が何とも心細げで情けない表情で、それで観客としてもこの男に肩入れしてやらなければという気にさせられた。
[DVD(邦画)] 6点(2018-04-08 23:28:01)
49.  her 世界でひとつの彼女 《ネタバレ》 
人が作ったプログラムからいったん本物の人間のように進化して、そこからさらに別の超越的存在になっていく、という段階を踏む発想は、ほかにあったか知らないが個人的にはユニークに思われる。ただしその本物の人間の段階では妙に性欲がらみのことが重視されていたようで、まるでエロがなければ人間の本質に迫れないとでも思っているようなのはあまり納得しない。人類の活動力の根源は性欲だとかいう前提なのかも知れないが、それならOSなどでなく普通に人工知能搭載のラブドールにしておけばいいだろうとしか思えない。 それでも前半はほのぼのした笑いもあって結構いい雰囲気だったが、後に行くほど醒めてしまって終わり方だけを気にする状態になっていく。全編を通じて何らかの人間ドラマが展開されていたようでいて、結局最後まで何が言いたいのかはわからなかった。人類が特定の個体に特別の関係を求めようとすること自体が間違っているという想定だったのなら、ほとんど破滅的な近未来像ということになる。 どうも自分としては乗れない感じの話だったが、しかし主人公が比較的親しみやすいキャラクターだったのは安心できた。また大学時代からの友人も感じのいい人物で、この二人の関係は(非常に微妙だが)これからも大切にした方がいい。  なお余談として、舞台は一応ロサンゼルスということになっていたが(街頭の路線図、元妻の台詞、小包の宛名)、なぜか特定のアジア系住民が目立つのが近未来の姿のようである。劇中ニュースによればインドは併合されるらしいので警戒が必要だ。そのほか素朴な疑問として、いわゆる膝かっくんというのは世界的に分布しているものだったのか??
[DVD(字幕)] 4点(2017-12-31 19:26:01)(良:1票)
50.  オーメン(1976) 《ネタバレ》 
恐らく自分の世代では知らない者のない映画と思われる。6月6日生まれの人ならほとんどダミアン呼ばわりされた経験があるのではないか。 内容に関しては、監督本人も「傑作だ」と言っているのでそうなのだろうが、しかし1976年の時点でどれだけ革新的だったのか、今となってはよくわからないのが残念である。ストーリー展開とか個別の出来事とかに既視感があって驚きがないが、それは他の映画でさんざん流用されたからか、あるいは大昔にこの映画で見たのを何となく憶えていたからか。ちなみに棒が落ちて来るのは最近見た「富江 アンリミテッド」(2011)にもあったので(笑)、いまだにグローバルな影響を及ぼしているとは思われる。 ほか不吉感のあるメインテーマ(Ave Satani)に関しては、曲自体はわざわざ作らなくてもカルミナ・ブラーナのO Fortunaそのままでよかったのではと思ったりしたが、歌詞の方は悪魔の映画ならではの不穏な感じに作ったようである。  一方で、今になってみるとどうも穏健すぎる作りに見えて少々退屈である(首が飛んだのを見ておいて何だが)。悪魔の子があまり邪悪に見えないのは意外だったが、終盤の物理的脅威がイヌと岸田今日子似の乳母だけだったのも盛り上がりに欠ける。 また個人的に不足に思ったのは、善なる神の意思がほとんど感じられないことである。少しくらい救いがあってもいいではないか、という意味もあるが、そもそもアンチキリストというのは正統なキリスト教あってこその対立勢力だろうから、本体に存在感がなくてアンチだけというのも変な気がした。ちなみに吹き曝し感のある丘に建つ教会の門前で悪魔の子が暴れた時に、結果として結婚式に悪影響がなかったらしいのは幸いだった(外の男がドアを閉めたところで安心した)。ここは神の恩寵があったのか、制作側のささやかな良心ということか。 なお余談だが、メギド(ハルマゲドン)というのはエルサレムの南ではなく北にあるのではないか?? 確かに直線距離で90キロ(60 miles)くらいのようだが。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-12-21 23:59:30)
51.  地獄のモーテル 《ネタバレ》 
DVDが「バンパイア・ラヴァーズ」(1970)とセットになっていたのでたまたま見たが、映画の紹介文に書いてある以上のことは起こらず、またサプライズ要素だったはずの被り物も宣伝写真に出ているので意外性がない。昔の映画であっても、現在まで残ってきたからにはそれなりに娯楽性が高いのだろうと思ったらそういうこともなく、大変申し訳ないが時間の無駄という言葉が最も当てはまる映画だった。ただあからさまな減点ポイントはあまりなかったとは思う。
[DVD(字幕)] 2点(2017-12-14 22:58:07)
52.  世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す 《ネタバレ》 
序盤は言葉の説明が長いのでニュース映画のようだ。 はっきりしないが宇宙人は北極星から来たと思えばいいのか。劇中でたまたま捕獲した宇宙人が老齢であることが示唆され、パワードスーツの機能が老眼鏡とか補聴器のように思わされたのは意味不明だったが、個人的にはこれが日本の特撮TV番組「ウルトラセブン」第11話の元ネタになったのではと思ったりした。「我々の惑星は崩壊」したということの原因は、日本特撮なら核戦争で破滅したと説明して済ませるところだが、この映画では星の寿命で自然崩壊したイメージだったものか。 この映画で「世紀の謎」なのは、宇宙人が世界を相手にしているはずなのに何でワシントンに来るかということで、この疑問は観客だけでなく劇中人物も口にしていたので当時としても普通の感覚と思われる。博士が一応の見解を示していたが何か歯切れの悪い感じで、EARTHというよりアメリカ合衆国vs.侵略者という構図になってしまっている印象は確かにあった。ホワイトハウスが破壊される映画は見たことがあるが、ワシントン記念塔とか国会議事堂をわざわざ壊す映画は多くないのではないか。  映像面では、円盤の造形はジョージ・アダムスキー氏のデザイン(1952年発表)ではない、端正で正統派の空飛ぶ円盤である。円盤が飛んでいる場面で、手前の飛行機との相対関係で安定しないように見えるのは臨場感があった。宇宙人のスーツも素っ気ないデザインだが、円盤内で部屋の外から地球人を見ていた場面などはなかなか不気味である。 また戦闘場面では実写映像をうまく使っていたようで、実写のミサイル発射から命中まで直接つながる(ように見える)映像を作っていたのは新鮮である。攻撃された飛行機が墜落炎上する場面も実写だったが、死者が出た事故映像だったとすると面白がってもいられない。 全体としてそれほどの驚きも派手さもないが、大昔の特撮映画にしては悪くなく、特に期待しなければそれなりに見られるものと思われる。
[DVD(字幕)] 4点(2017-10-07 20:23:03)
53.  原始獣レプティリカス 《ネタバレ》 
最初から余談だが、怪獣を攻撃していた軍艦はデンマーク海軍のコルベットF346フローラ(Flora, 894t)である。これはイタリアが建造したアルバトロス級コルベットをNATOの枠組みのもとでアメリカがデンマークに供与したもので、1956年に就役し1977年に退役している。また空軍が活躍する機会はなかったようだが、この時期ならF-100スーパーセイバーとかに出てもらいたかった。 劇中では場所がデンマークのわりにアメリカ人が妙に幅を利かせており、登場人物がみな英語なのも興を削ぐところがあるが、コペンハーゲンの現地映像はそれなりに出している。不機嫌なアメリカ人が暇だという理由で市内観光に出て、若い女性の案内でいきなり機嫌を直して人魚姫その他の名所を回るあたりは、背景音楽のせいもあって楽しいひと時を過ごした気分にさせられなくもない。図々しいまでのご当地映画ぶりも笑える。  ところで怪獣に関しては、「爬虫類から哺乳類への進化の過程」というのはゴジラ風にも聞こえるが、実際は恐竜というよりドラゴンのようなもので、翼が付いているが飛べない仕様だったらしく、また脚も動いていないのでただの蛇である。爆雷攻撃時にこれが海底に沈んでいた姿には大笑いした(目に生気がなく攻撃前からすでに死骸)。 しかし見た目はともかく実は結構恐ろしい怪獣であって、襲撃された農場主が妻子の目の前で怪獣に呑まれるという悲惨でチープな合成映像があったりもする。また口から緑色のものを吐いていたのは「酸性粘液」(acid slime)とのことだが、実際これにやられるとどうなるかの映像化を徹底的に回避していたのは残酷描写を自己規制していたのかも知れない。 さらに恐ろしいのは死体を1000個にばらすと1000匹に育つという性質であって、そのため通常の爆発物による攻撃ができずに手詰まりになった場面は一定の緊張感を出していた。ここで指揮官がアメリカ人であるからには熱核攻撃とか言い出すのではと思ったが、さすがにヨーロッパで核兵器を使う発想はなかったらしく、代わりに薬物を口から撃ち込んだのは斬新な手法だった。この辺は「シン・ゴジラ」(2016)の元ネタだったのではと勘繰ってみてもいいかも知れない。 世間的に酷評されるのもよくわかる映画だが、自分としては正直けっこう面白かった。ちなみにランゲ橋という大きな橋(長い橋)を大勢の市民が逃げていた時、跳ね橋部分を上げたために人が落ちていく実写映像は特撮場面以上の驚きがあった。
[DVD(字幕)] 3点(2016-09-17 19:59:40)
54.  大海獣ビヒモス 《ネタバレ》 
放射能怪獣が大都市を襲うパターンは「原子怪獣現わる」(1953)と同じだが、前回からここまでの間に“放射能は怖い”という認識に至ったらしいのは著しい進歩である。食物連鎖をもとにした説明はゴジラにもなかった説得力があり、また怪獣の死体を「核廃棄物として安全に処理」する必要があると思っていたのもまともな感覚である(実際はそうでもなかったが)。最後はゴジラ並みに“最後の一匹だとは思えない”的な終わり方になっており、核の時代に警鐘を鳴らす形には一応なっていた。 またこの映画でも怪獣が出現するのは遅いが、その間のドラマ部分にあまり退屈しなかったのは大違いだった。積極派と慎重派の学者がある程度の緊張感を持ちながら、結構まともに見える検証を通じてともに怪獣の存在を確信するに至り、それを軍当局に通報したことで速やかに対策が始まるというのが理性的で、これはさすがイギリス人だとか思ってしまう。また放射能カレイ(日本なら放射能マグロ)が発見された時点で、慎重派の学者は市場に出ないよう関係機関に通報し、積極派の学者は原因究明に当たっていたのもそれぞれの個性を生かした分担で現実味があった。トロール船の船長と学者の会話もなかなか気の利いた感じで面白い。 ただし出て来た怪獣は基本が恐竜なので姿形に面白味がない。それでも何か武器を持たせなければならないと思ったのか電気ウナギからネタを借りたようだが、実際それで攻撃する際の効果音が極めて間抜けである。それでもやっとロンドンに上陸した後はそれなりの迫力があり、川岸からぬっと上がって迫って来るとか、お決まりの高電圧線の接触場面など面白く見せようとしているところもある。パニック描写としてはエキストラ然とした人々がとにかく走る場面が多かったが、街角で怪獣を見た老人が口をあけたまま固まってしまい、その後のポワポワ攻撃でやられてしまったのは気の毒だが笑ってしまった。 なお途中で出た古生物学者は低身長で威厳はないがユーモラスで、これから第三の中心人物として活躍するのかと思ったらすぐ退場してしまったのは残念だった。制作側としては、もし恐竜が生き残っていたらという子どもらしい夢を、この人物を通じて語らせようという思いがあったように思われる。日本のゴジラも出発点は恐竜ながら、その後は普通一般の生物を超越した存在になっていったのとは対照的である。
[DVD(字幕)] 5点(2016-09-17 19:59:36)
55.  原子怪獣現わる 《ネタバレ》 
レイ・ブラッドベリの短編「霧笛」をもとにした映画とのことで一応それも読んでみると、劇中では灯台のエピソードに化けていたようである(形だけだが)。全体として「ゴジラ」(1954)の元ネタになっているというのはその通りかも知れないが、北極圏から出現するとか灯台を襲うところなどは「ガメラ」(1965)でも真似しているように見えた。 そういう面で歴史的意味はあるのだろうが、しかしこの映画自体にはどうにも褒める材料がないので困る。定評のある特撮部分を除けばほとんど取り柄のない映画であって、これに比べれば「ゴジラ」などは特撮技術とメッセージ性の両面で全く新しいものを創造したというくらいに言ってしまっていいのではないかという気がする。 まず苦情を言いたくなるのは、全編の3/4程度は怪獣がほとんど出ないので人間を見ているしかないわけだが、その間のドラマ部分が非常にかったるいことである。精神病扱いされてまでモンスターにこだわる主人公の気が知れず、どうせそのうちニューヨークに出るのだから放っておけばいいだろうと言いたくなる。ちなみにタコをサメに食わせる水族館映像をしつこく見せられるのもつらい。 やっと怪獣が上陸してからはそれなりに見ごたえがあるが、しかしその怪獣が人間にとって致命的な病気をばらまくという展開は唐突で変である(ちなみに日本語字幕で「細菌」「病原菌」と出るのは不正確で、また「分子」は明らかに誤り)。その必然性がどこにあったかというと、当時の科学の最先端だった放射線でなければ除去できなさそうな感じの危険な性質を怪獣に付与しようとしたかったようで、要は人類の未来を担う核技術バンザイと言いたかったらしい。しかしそういう強力な放射線を使うには作業着のようなものを着れば安全だと思ったのか、また怪獣が死んだ後でも死体に残った放射性物質の危険性は変わらないという意識があったのかは不明である。そもそも主人公は最初から身辺が放射能だらけのように言っていて、とても長生きできそうにない男であるから、ヒロインは早目に別れてしまって生涯の伴侶を別に求めた方がいいだろう。 そういうことで、古い映画をわざわざ見ておいてけなすのは大人気ないと思うが、ここは見た通りの点数をつけておく。ちなみに映像表現としては、高圧電線に触れた時の光の明滅と、怪獣が火のついた構造物を跳ね上げたところが印象的だった。
[DVD(字幕)] 4点(2016-09-17 19:59:32)
56.  杉原千畝 スギハラチウネ 《ネタバレ》 
製作委員会の中に某旅行社が入っているが、劇中でもその会社の「客船乗務員」が出て来て、難民を助けたいと領事館に対して涙ながらに訴える場面があった。自社の美談として世界に広めたいのかも知れないが、子どもの顔など見てしまえば助けたいと思うのは人として当然のことであり、それ自体が特に美談という気はしない。仮に史実とすれば領事館の功績だろう。 自分としてはあからさまな美談にみずから進んで感動したい種類の人間ではないので、この映画も最初から斜に構えた姿勢で見ていたが、しかし話の本筋としては結構まともだったようである。主人公は「世界を変えたい」と言っていた割に具体的な目標があるわけではなく、基本的には大日本帝国の国益のために働いていたようだが、そのために持てる能力を活用したいという思いは結局満たされずに終わったことになる。しかし、いわば本国政府にまでPersona non grata扱いされたビザ発給の方が、結果的に希望の実現につながったのだと解される。 一人の人間が直接世界を変えるほど大きな仕事をするのが難しいのは当然で、それは優秀な外交官でも同じことだろう。しかし普通の人間が普通の人生の中で、普段の行動を通じて周りの人々に伝えることが多ければ、それが少しずつでも世界を変えていくことになる。一人の人間ができることなど結局その程度でしかないわけだが、そのような意志を持つこと自体は誰にでもできるのであり、逆にそういうレベルで考えるなら、主人公のやったことはまさに偉業ともいえる。それを改めて示したことが、単なる美談の紹介にとどまらないこの映画固有の価値と思われる。  ところでこの映画では、主人公が科学者を逃がしたのが結果的に「別の命を救った」という話になっていたが、さすがに日本人の立場として、広島・長崎の人々が殺されたのは世界平和のために有益だったなどというメッセージを許容するわけにはいかない。所詮アメリカ人の監督だから、アメリカの正義は世界の正義と言いたいのだろうと解していいのか。このことでロシア女が主人公を薄ら馬鹿のように憐れんでいたらしいのも腹立たしい。劇中の出来事が事実とは限らないにせよ、これで主人公のモデルになった実在の人物の名誉が損なわれないよう願うしかない。 なお主人公の妻がケーニヒスベルクの近郊で「日傘を差す女」を気取っていたのは意味不明だったが、こういうのは単なるお遊びと思っていいか。
[DVD(邦画)] 6点(2016-07-30 21:41:02)
57.  極底探険船ポーラーボーラ 《ネタバレ》 
東宝特撮としてはそれなりの出来である。Polar Borerというネーミングはいいと思うが、それ以外はほめるところがない。 基本設定については多分、大昔にあった地球空洞説というものから着想を得たのではないかと思うが、劇中の図を見る限りは同じでもない。地底の空間で昼夜があるのはなぜかという説明があるわけでもなく、サイエンス・フィクションというより荒唐無稽ファンタジーになっている。 また最大の問題は主役が汚い顔のジジイなことで、この時60歳くらいの役者を引っ張り出しておいて「アダムとイブ」とは何たることか。そもそもこの主人公が自力で成り上がったわけでもないのに粗暴で傲慢でスケベであって、これまで金も権力も何にも不自由せず勝手放題やって来ておいて年取ったからといって悲哀を語られても共感できるものではない。孤独なハンターとか孤高の英雄のようなものを称揚する文化が向こうにはあるのかも知れないが、個人的にはキ○○○じみたこだわりとしか見えず、アメリカ人とは人種が違うことを思い知らされる映画だった。  ところで原地住民役で出ている日本人女優に関して、自分としては昔のTVドラマ「特捜最前線」の高杉婦警役が好きだったのだが、この映画に出ている顔(眉毛がつながっている)を見ても全く得にはならない。ただ体形が意外にふくよかで、こういう感じの人だったのかと認識を新たにした。またDVD特典で、ご本人が映像付きでコメントを寄せられているのも嬉しかったりする(コメンタリーも務められている)。この関谷ますみさんを人質に取られた形になっているために、映画そのものを全否定できないのは困ったことである。
[DVD(邦画)] 2点(2016-05-14 20:08:39)
58.  緯度0大作戦 《ネタバレ》 
東宝特撮の延長で見たわけだが、日米合作のためか違和感が大きい。なぜか悪玉側に日本人女がいて外人男に媚びまくった上に捨てられて醜態をさらすのが見苦しいが、そもそも生き物を職人技で切り貼りしてバケモノを作るというのが悪趣味で、アメリカ人の好みに合わせるとこういう下劣な映画ができるのかと呆れる。またキャスティングの意図はわからないが中高年同士の三角関係など見たくもないのであって、比較的若手の女医にしても変に露出部分が多い割に顔が可愛くないので存在意義が感じられない。  加えてラストが全く不可解で、当時はこういうものが洒落ていると思ったのかも知れないが、どう考えても合理的解釈が不可能なものを作られてしまうとさすがに困るわけである。並行世界という考え方もあるようだが、同じ顔で同年配の人物がたまたま揃ったことは説明できていない。こんなことなら単なる夢オチの方がまだましである。 そのほか特撮面では船舶関係(潜水艦含む)の出来がなかなかいいとかいうことはあるが、ライオンさんとコンドルさんの様子を見れば昭和特撮だからといって不問に付す限界を超えているので全体的には相殺される。また出演者に関しては、黒部進氏ほどの人を正体不明の外国人役で使うなと言いたい。  ここまでさんざん書いておいて少し褒めることはないかと考えたが、上に少し書いた以外にないので困る。日本側ヒロイン役である中山麻理という人のことも書くべきだったろうが書かないで終わってしまった。ちなみに劇中で世界的科学者が誘拐されたときに、米ソが互いに相手方の陰謀だと中傷していた発言の中で「中共の侵略的計画」という言葉が出ていたのは、中ソ対立以降で西側との関係がまだ改善されていなかった時期の感覚を反映したものと思えば少し興味深い。 追記:ほかの皆さんのレビューを見て思い出したが、海底火山の爆発がうまくできていたというのは同感だった。こういうのはもう円熟の技法である。
[DVD(邦画)] 3点(2016-05-14 20:08:37)
59.  呪怨 ザ・グラッジ3<OV> 《ネタバレ》 
日本ではオリジナルビデオの扱いになっているが、アメリカはじめ海外では劇場公開したところが多いらしい。公開年としては邦画の「白い老女」「黒い少女」と同期する形になっていたようである。 今回は監督をはじめ基本的にアメリカ人の作った映画になっているが、それだけでなく撮影地がブルガリアというのはわけがわからない。エンドクレジットを見るとけっこう多くのスタッフが地元民らしい名前であり(-ovとか-ovaなど)、これは主に人件費の問題ということか。出演者に関しても、序盤で犠牲になった台詞のない少女(Mihaela Nankova)は現地の人だったかも知れない。  ストーリーとしては前作のあとに直接つながる形になっており、ここまで来ると邦画版から完全に枝分かれした印象がある。メイキングで監督が「解決策があるというのはアメリカ人らしい発想だ」と言っていたのはいいとして、それなら東京から来た女がちゃんと片をつけてもらいたかったが、しかし現地に身代わりを残して大元は別のところに移動していく?というのは前回のパターンを踏襲したような感じもある。ここでさらなる続編の可能性も留保していたのかも知れないが、それならせっかくなので初めから地元を舞台にしたブルガリア映画でも作れば面白かっただろう(最低限おれは見る)。それでこそ前作でいうパンデミックのイメージに近い形になるだろうが、毎回日本人を呼ばなければ映画が成り立たないらしいのが阻害要因か。 ちなみにホラーとしてはドッキリ+スプラッターが基本のようで深みがなく、白塗りの女と子どもを見せて外国人はそんなに怖がるものかどうか不明である。  以上のようなことで、いまさら特に感心するようなものでもないが、ただ今回のヒロインは個人的趣味としてもチャーミングに見え(彼氏は邪魔)、またその妹も愛嬌があって可愛らしい。これに兄を加えた感じのいい家族が、呪いのせいで壊れていくのは少し心痛むものがあったといえなくはない。
[DVD(邦画)] 4点(2015-12-12 13:55:29)
60.  呪怨 パンデミック 《ネタバレ》 
今回は邦画劇場版2の女子高生に加えてOV版1の栗山千明のエピソードなども拾っており、またOV版2の見どころだったフライパンが採用されていたのは個人的に嬉しいが、変にシリアスな場面になってしまって可笑しさを感じないのは残念だった。その代わり、劇場版1の谷津勲氏がさりげなく登場していたところは笑った。事情を知らない外国人ならいたたまれない気持ちになるだろう。 ストーリーとしては前作の続きになっており、題名の印象ほどいきなり拡散はしていないが、邦画版の試みを受け継ぐ形で今後の新たな展開を企図したようでもある。最初の家で惨劇を再現することで新たな呪いを生むのは劇場版1のラストに通じる感じで、また新人を身代わりに残し、その上で母子が外国に移住したということならちゃんと手順を踏んだように見えなくもない。けっこう細かい疑問点が残るため前回ほど整理された感じはないが、それはまあこのシリーズでは普通のことである。 一方で、今回はどうも日本古来の精神文化がこのような怪現象(というかホラー映画)を生んだことをPRしたかったようで、変な田舎に不気味な習俗があるというような話を今回独自にでっち上げていたが、このシリーズはどちらかというと都市的な怪異を扱ったホラーと個人的に思っていたので、いきなり外人が山間地まで出かけて行くのはかなり違和感があった。 以上のほか、今回は母と娘の関係でわりとまともなドラマを作っており、これはこのシリーズとしては特異に見えるが悪い印象はない。また前回でも示唆されていたようだが、今回はガガガ音の由来を初めてまともに説明したように見えたのが新鮮だった。  ところで今回の主人公は比較的かわいく見えるので結構だが、女子高生連中は明らかに可愛くない。金髪と帰国子女?(日系人?)などは早目に死んでもらっていいと思ったが、もっさりした女子高生役の女優が、映像特典のインタビューを見るとけっこう可愛い人(ただし20代初めの状態)だったのは意外だった。邦画ホラーならかわいい女優はかわいいままで出すのではないかと思うが、この辺も少し感覚の違うところか。
[DVD(邦画)] 5点(2015-12-12 13:55:24)
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