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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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61.  呪怨 ザ・グラッジ3<OV> 《ネタバレ》 
日本ではオリジナルビデオの扱いになっているが、アメリカはじめ海外では劇場公開したところが多いらしい。公開年としては邦画の「白い老女」「黒い少女」と同期する形になっていたようである。 今回は監督をはじめ基本的にアメリカ人の作った映画になっているが、それだけでなく撮影地がブルガリアというのはわけがわからない。エンドクレジットを見るとけっこう多くのスタッフが地元民らしい名前であり(-ovとか-ovaなど)、これは主に人件費の問題ということか。出演者に関しても、序盤で犠牲になった台詞のない少女(Mihaela Nankova)は現地の人だったかも知れない。  ストーリーとしては前作のあとに直接つながる形になっており、ここまで来ると邦画版から完全に枝分かれした印象がある。メイキングで監督が「解決策があるというのはアメリカ人らしい発想だ」と言っていたのはいいとして、それなら東京から来た女がちゃんと片をつけてもらいたかったが、しかし現地に身代わりを残して大元は別のところに移動していく?というのは前回のパターンを踏襲したような感じもある。ここでさらなる続編の可能性も留保していたのかも知れないが、それならせっかくなので初めから地元を舞台にしたブルガリア映画でも作れば面白かっただろう(最低限おれは見る)。それでこそ前作でいうパンデミックのイメージに近い形になるだろうが、毎回日本人を呼ばなければ映画が成り立たないらしいのが阻害要因か。 ちなみにホラーとしてはドッキリ+スプラッターが基本のようで深みがなく、白塗りの女と子どもを見せて外国人はそんなに怖がるものかどうか不明である。  以上のようなことで、いまさら特に感心するようなものでもないが、ただ今回のヒロインは個人的趣味としてもチャーミングに見え(彼氏は邪魔)、またその妹も愛嬌があって可愛らしい。これに兄を加えた感じのいい家族が、呪いのせいで壊れていくのは少し心痛むものがあったといえなくはない。
[DVD(邦画)] 4点(2015-12-12 13:55:29)
62.  呪怨 パンデミック 《ネタバレ》 
今回は邦画劇場版2の女子高生に加えてOV版1の栗山千明のエピソードなども拾っており、またOV版2の見どころだったフライパンが採用されていたのは個人的に嬉しいが、変にシリアスな場面になってしまって可笑しさを感じないのは残念だった。その代わり、劇場版1の谷津勲氏がさりげなく登場していたところは笑った。事情を知らない外国人ならいたたまれない気持ちになるだろう。 ストーリーとしては前作の続きになっており、題名の印象ほどいきなり拡散はしていないが、邦画版の試みを受け継ぐ形で今後の新たな展開を企図したようでもある。最初の家で惨劇を再現することで新たな呪いを生むのは劇場版1のラストに通じる感じで、また新人を身代わりに残し、その上で母子が外国に移住したということならちゃんと手順を踏んだように見えなくもない。けっこう細かい疑問点が残るため前回ほど整理された感じはないが、それはまあこのシリーズでは普通のことである。 一方で、今回はどうも日本古来の精神文化がこのような怪現象(というかホラー映画)を生んだことをPRしたかったようで、変な田舎に不気味な習俗があるというような話を今回独自にでっち上げていたが、このシリーズはどちらかというと都市的な怪異を扱ったホラーと個人的に思っていたので、いきなり外人が山間地まで出かけて行くのはかなり違和感があった。 以上のほか、今回は母と娘の関係でわりとまともなドラマを作っており、これはこのシリーズとしては特異に見えるが悪い印象はない。また前回でも示唆されていたようだが、今回はガガガ音の由来を初めてまともに説明したように見えたのが新鮮だった。  ところで今回の主人公は比較的かわいく見えるので結構だが、女子高生連中は明らかに可愛くない。金髪と帰国子女?(日系人?)などは早目に死んでもらっていいと思ったが、もっさりした女子高生役の女優が、映像特典のインタビューを見るとけっこう可愛い人(ただし20代初めの状態)だったのは意外だった。邦画ホラーならかわいい女優はかわいいままで出すのではないかと思うが、この辺も少し感覚の違うところか。
[DVD(邦画)] 5点(2015-12-12 13:55:24)
63.  ダーク・ウォーター 《ネタバレ》 
原作からの映画化というより邦画版のリメイクになっている。意味不明なでんでん太鼓とハローキティは日本起源ということを何気に示していたものか。 邦画版と同様にホラー映画らしい派手な場面はあまりなく、その分をストーリーで見せようとしているわけだが、邦画版を見てからだと筋立てがあまりに明瞭で、また簡素化したせいもあって大枠ばかりが目立つ感じになっている。その割に、途中で主人公が母親失格だなどと言い出すのが唐突で、この辺は消化しきれておらず半端な印象もある。また終盤では、問題の子どもが悪魔のように邪悪な意思をもって欲しいものを奪い取ろうとしたように見え、無心に母を恋しがる子どもの印象がなかったのも悲哀を感じさせなくなっているが、まあ外国製なので感覚が違うとすれば仕方ないかも知れない。 なお主人公がタンクの蓋を開けて覗く場面は、自分の知る限りでは2つの邦画ホラーで流用されており、これは日本の関係者にとっても印象深い場面だったようである。また娘が学校の便所で怪異に遭遇した際、個室に逃げ込んでいたのはいかにも日本風の行動で笑った。こんなところに籠っては、かえって逃げ場がなくなることをアメリカ人も思い知った方がいい。
[DVD(字幕)] 5点(2015-11-07 23:31:42)
64.  巨大アメーバの惑星 《ネタバレ》 
冒頭のドラムマーチが勇ましいので期待が高まる。続く管制室の様子がけっこう本物らしく見え、管制員も本当に何らかの仕事をしているように見えて感心する(これは本物を撮影したのか)。火星の風景映像は単純な技法なのだろうが異世界の感じは出ており、これで造形物の貧弱さもある程度ごまかされている印象がある(が、ただの絵だけのものはさすがにごまかせない)。 当方としてはコウモリグモの映画と思って見たわけだが、そのほかの火星生物も出て来るので結構豪華である。まあ邦題の生物は出ない方が変なわけだが、人が食われるところなど見ているとThe Blobのようで結構恐ろしく、これに食われるよりなら感電死の方がまだましだと登場人物も言っていた。火星人ははっきり見せてしまうと失笑モノだったろうから、半分隠れているくらいにしておいてよかったと思われる。 またコウモリグモ(字幕ではコウモリ蜘蛛)は英語で"Rat Bat Spider"と言っており、日本語にはないネズミも入っているが、それでもカニ(エビ?)の特徴を捉えていないので一言では言い切れていない。撮影手法のおかげもあって結構怖く見えるが、フワフワ(トツトツ)と動く様子はクモの感じを出していて面白い。  ところで異星人が地球からの進出を歓迎しないという話は、日本では「ウルトラQ」第3話(1966年放映)を初めとして何例かあるが(「地球防衛少女イコちゃん」でも言っていた)、そういう発想はこのあたりが出所だったかと思われる。ラストでは、敗戦後に日本人が言われたようなことを地球人類が言われていたが、この頃の日本はすでに一億総懺悔して謹慎中であるから、これはいつまでも経ってもインディアン征伐を続けているつもりのアメリカ人に向けたものだろう。劇中でネズミコウモリグモが退散していく様子は哀れにも見えていたが、そもそも原因は地球側の狼藉だったのであるから向こうに非はないのであり、これはこの連中のトラブルメーカーとしての本質を象徴的に示したものと思われる。アメリカ人はネズミコウモリグモに謝れ。
[DVD(字幕)] 5点(2015-06-01 22:12:17)
65.  地球へ2千万マイル 《ネタバレ》 
序盤で子どもが出るので、この子どもが最後までつきまとって煩わしい映画に違いないと思っていたら、金をせしめた後は出なくなったのがドライな印象だった。代わりに外人男女が親密になっていく様子が描かれていたが、事件が終了したとみた途端に2人でどこかに消えてしまったのは無責任で好きになれない連中である。またラストで科学者の博士が意味不明瞭な教訓を述べていたのはわが国の怪獣特撮にも見られる特徴である。 劇中ではアメリカ軍が執拗に金星竜を捕獲しようとしていたが、これは金星の大気中で人類の活動を可能にする秘密を探るためとのことだった。そのために最後は死人まで出てしまったようで、ここは人間の功利的な態度が手痛いしっぺ返しをくらったというように理解したいところである。しかし実際はその前に科学者連中が一定の成果を出してしまっており、結果的には人間(と金星竜)の生命を犠牲にしてでも欲しいものは獲った、という形になっていたのは共感しがたいものがある。 ただシチリアの現地警察があくまで人命保護を優先し、アメリカ軍への協力を拒否して独自に行動していたのは、人類の進歩を一人で先導しているかのような顔の傲慢な大国に対して一定の意地を見せていたといえなくもない。  ドラマ的には以上のような感じだが、撮影技術の面ではさすが侮れないものがある。金星竜の動きが非常に丁寧に作られており、合成も結構上手いと感じられる場面が多い。またゾウの重量で車がつぶれたあたりも実物感がある。そのほか構図の取り方も格好よく見えたりして、映像面では文句をつける気にならない出来だったとはいえる(が、ロケットを絵でごまかしたのは感心できない)。
[DVD(字幕)] 5点(2015-06-01 22:12:13)(良:1票)
66.  ドラキュラZERO 《ネタバレ》 
15世紀の史実と小説「ドラキュラ」から少しずつ要素を取り入れて、あとは勝手にストーリーを作ったような形である。 ヴラド公の生地は実際にトランシルヴァニア(ルーマニア北部)であり、オスマン帝国に人質に取られたのも事実だが、同地の君主という設定にしたのは小説に合わせたものである。史実としては隣接のワラキア(ルーマニア南部)の君主であって、メフメト2世の大軍を迎え撃ったのもここである。このメフメト2世も歴史上の著名人のため、終盤の対決の場面ではどちらも死ぬはずはないと思っていたらメフメト2世がやられてしまったので驚いた。ここで死んだのだとすれば、これが史実からの最大の逸脱ということになる。またDraculaの意味について、映画の序盤でSon of the Dragon、終盤でSon of the Devilと言っていたのは、実際に両義性のある言葉だったのをストーリー展開に合わせて使い分けたもので、これは少し感心した。 そのほかラストで現代に飛んだ場面はロンドンだったようだが、これは小説の内容がロンドンにドラキュラが来るストーリーだったことによるもので、ここで女性の名前がミナだったのは小説の登場人物と同じである。 長くなったが考証的なコメントは以上である。  それでストーリーに関しては、一応まとまったお話ではあるがダイジェスト感が強く、意味不明な人物や事物が目につくほか特に序盤の展開が急で、あっという間に大軍が攻めて来るので呆れてしまう。ドラマ的にも薄味で、現実問題として息子を人質に出すのが当時としてそれほど過酷だったか疑問なため、悪魔と契約してまでの反抗に至る動機に全く共感できない。ラストは時代を超えて二人の魂が共鳴し合うといったところだろうが、それで特に心が動かされるようなものでもない。 結局は映画の中身自体より、この時代のこの地域の歴史を扱っていることが個人的に興味を引くというだけのものだった(デタラメだが)。ちなみに本物のワラキア公ヴラド3世は、敵兵だけでなく自国民も他国の一般民も必要があると思えば串刺しにする恐ろしい君主であり、庶民感覚で共感できる相手などではなかったろうと思われる。
[DVD(字幕)] 4点(2015-05-23 20:44:30)
67.  蝿男の恐怖 《ネタバレ》 
物質転送機という発想はいかにも荒唐無稽である。音や映像が遠くに送れるなら物体も可能というつもりだろうが、“原子が空中を光速?移動”するというなら電話やテレビなどとは原理が根本的に違うだろうし、それよりなら「どこでもドア」方式の方がまだしも現実的に思われる。ただしわが国の「電送人間」(1960)をはじめ、その後の各種特撮の小道具として使われるようになったことからすれば、その独創性だけは評価しなければならない(映画でなく原作の方だが)。USSエンタープライズの転送装置も、このような事故を繰り返しながら改良されていったと考えると恐ろしい。  それで内容に関しては、昔の映画らしくきっちりまとまった印象を受ける。基本的には屋内中心の静的な環境の中で話が展開し、リメイク版のバイオホラーと違うのはもちろん、昔の特撮映画のイメージからもかけ離れている。そのため初見時(10数年前)にはとにかく地味な映画としか思えなかったが、改めて見ればそれなりに見所はあると感じられる。 劇中で一応の問題提起と思われたのは、人間とそれ以外とをどこで区別するのかということである。当初、妻は「理性」「知性」「心」を重視しており、またこういったものが失われかけたことで夫も死を決意していたことから、精神面が重要だということは夫婦間でも一致していたらしい。しかし一方、妻が内心で葛藤しながらも冷徹な表情で夫の殺害に協力し、事件後「あれは死んでよかったんです(I'm glad the thing is dead.)」とまで言っていたのは、要は夫の顔を見てしまった嫌悪感の方が主な動機ではないか。自分としても、夫がハエ面のままで妻にキスをしようとした場面には非常な違和感を覚え、たとえ人間の心があったにしてもハエ男が人間の女性を愛することは許容できなかった。劇中人物は妻を含めてみな理性的な人々だったが、それでも心が大事などというのは綺麗事という冷たい現実を淡々と突きつけているようでもあり、この点はリメイク版との大きな違いに思われた。  ところで劇中では、兄も実は弟の妻に心惹かれていたが2人の意向を尊重する形で譲り、その後はずっと独身で通してきたらしいことが示されていた。事件の結果、弟は失われたがその名誉は守ったまま、愛する女性とその息子と3人の安定的で穏やかな生活が実現していたようで、これは素直にハッピーエンドとして受け取れる。続編などなければよかったのだが。
[DVD(字幕)] 7点(2015-05-04 21:05:14)
68.  マックィーンの絶対の危機(ピンチ) 《ネタバレ》 
邦題には変遷があるが、原題は一貫して”The Blob”である。 以前「消えるヒッチハイカー」という本を読んだ時に、アメリカの都市伝説で夜間に車で出かけた若い男女が恐ろしい目にあう話が書いてあり、なるほど映画でもそういうパターンのがあるなと思った。その時に何となく念頭にあったのがこの映画で、その時点ではこれをアメリカの恐怖映画の代表のように思っていたわけである。実際、幼少時に見たときは非常に怖かったように記憶しており、最初からずっと夜の場面が続くので怖いまま息抜きができず、ラストに至って北極の場面だけが明るい青空なので少しほっとするが、そこでまたさらに?が出るのでもうやめてくれ、という感じだった。  しかしいま見ると、問題のブロブなどあまり出番はなく、出ても少し固目のをモソモソ動かしたり、粘度の低いのを押し出したりするばかりで、特撮映画としては極めてショボい。人が実際に食われる場面は映像化を回避して画面に出さず、またクライマックスの巨大ブロブはアニメーションでごまかしたりしている。そもそもオープニングテーマからしてノホホンとしてとぼけた感じだし、劇中でも主人公とヒロインが、穏やかな音楽をバックに信頼と愛情を深めていく場面が延々と続いたりする。どうも世評の通り初めから青春映画のようなノリで作っているらしく、古き良き時代の愛すべき娯楽映画という感じである。昔と今でこれほど印象が違う映画も珍しい。 また映画の中身と直接関係ない話だが、DVD封入のリーフレットを読むと、撮影が行われたペンシルバニア州チェスター郡フェニックスビルの映画館では毎年「ブロブ祭り」というのをやっているとのことで、映画館の公式サイトを見てみると実際に”Blobfest 2013”のPRをしていた。どうやら地域住民に今なお愛されている映画であるらしいことが窺える。  なお1958.9.12米公開のこの映画と直接の関連があったのではないかと疑われるのは、同年6.24公開の東宝映画「美女と液体人間」で、両者を比べればわが国の誇る昭和特撮の方がまだしも勝っていると思うのだが、ここでの現時点での平均点はこの映画の方が高くなっているのが悔しい。思い切って1点とか付けて点を下げてやるかとも思ったが、この映画はこの映画で愛着があるためそういうこともできず、適正と思われる点を付けるしかない。結果として、かえって平均点を上げてしまった。
[DVD(字幕)] 7点(2015-01-19 21:22:36)(良:1票)
69.  シュウシュウの季節 《ネタバレ》 
まずは自然景観が美しい。場所は四川省内のチベット人居住地域という可能性もある。 内容としては過去の厳しい時代を描いているが、この映画自体は特に政治的主張を含むものとは思われず、そもそも過去の政策を批判して現在が変わるものでもないので、自分としてもこれでこの国への感情を今以上に悪化させたりはしない。劇中に下司な人間が多く出るのは政治体制などと直接関係なく、単にこの社会の文明度とか文化性のレベルを示しているものと解する。  ところで主人公の少女は確かに愛らしいが、自分としては冒頭からいかにも女優が演技しているように見えて心理的に距離を置いてしまい、結果として劇中の悲惨な状況にも過度の思い入れを持たずに見ていられた。さすがに過激な性描写はやりすぎと思うが、ここでの役者はエンドロールに出る「秀秀替身」であって、体型だけ見ても主人公が実際にやっているようには思われない。 それより痛々しいのは同居の男の方であり、一体どこまで耐え忍ぶつもりかと呆れ果ててしまって同情心も失われる。しかし原作者・監督とも女性であることからすれば、これは女性が望む純愛の姿を描いていたのかと思えなくもない。“男は去勢でもしない限り本当の愛を知ることができない”というならかなり毒気のある話になるが、女性の側がどれだけ変質しようと男は一途に愛を貫くというのもかなり都合のいい展開であり、どうも視点の所在が自分とは真逆と感じられる。 本来は自分としても少女の境遇に涙したかったわけだが、それほど純粋な気持ちの持てる年代でないこともあり、残念ながらかなり皮肉な感情を催す映画だった。この映画はあくまで美少女を主人公にした作り物だが、現実にはこういった悲劇は無数にあるだろうし(劇中ではほかに失踪者が一人)、その全てに涙してやれるわけでもないという諦観のようなものもある。  なお直接関係ない話だが、少し前に成都市での会議に出席した際、われわれ一行の世話役についてくれた地元の学生ボランティアが童顔で天真爛漫で本当に可愛らしい人で、それで現地の印象が若干よくなってしまったのは向こうの思惑にまんまと乗せられた形である(ハニトラはなかった)。現在でもいろいろと暗い側面が伝えられる国ではあるが、彼女のような人がのびのびと生きられる社会であってほしいと余所事ながら切に願う。
[DVD(字幕)] 5点(2014-11-04 20:38:26)
70.  吐きだめの悪魔 《ネタバレ》 
技術的価値については何ともいえないが、見て面白くはない。 最初から最後までグロ映像が満載というならまだしも、中間に位置する全体の1/2程度は単なる街のゴミ連中の話が延々と続くだけである。全てが酒の毒で死ぬわけではなく、普通に死ぬ人間が何人もいる。あるいは最初から最後まで徹底的に不謹慎でブラックな映画で通すならそれでもよかったが、実際には鑑賞者が普通に死んでほしくないと思う人物もいて、かえって半端な印象を受ける。これでは何をやっているかわからない。この映画自体がゴミのようだ。 ところで劇中ではゴジラの話が出たり登場人物が巻き寿司を食っていたりBANZAIと叫んだりニッポンのビニ本でも買えと罵倒したりして、日本の存在感が妙に大きい。主要キャストの女事務員もJane Arakawaという人なので日系人だろう。これは”Japan as Number One”の時代だったことと関係があるのかも知れず、あるいはベトナム戦争と合わせて理解すべきものとも思われるが、そんなことを真面目に読み解こうとするのもアホらしい。当初の思いつきレベルのプロットにいろいろ付け足して100分以上にしたものの、伸ばした部分が全部無駄にしか見えていない、どこまでも半端な映画である。
[DVD(字幕)] 1点(2014-06-11 20:27:53)
71.  巨人獣 《ネタバレ》 
特撮ファンには昔から知られていた映画のはずだが、最近になってやっとDVDが出たので長年の希望が果たされた。 ただし中身は淡々としたもので、真面目なお話ではあるが正直面白くはない。劇中で最も信頼すべき人物までがケダモノ扱いしているのに、実の妹だけが懸命に昔の思い出を語りかけるのが切ないのと、最後に一言、妹の名を呼ぶのが唯一の台詞であって、人間の心を取り戻した代わりに生きていられなくなったという展開が悲しいとはいえる。 またこの妹が美形なのは見ていて少し救われる。怪物の身内というつらい立場ながら兄への献身姿勢を変えない筋の通った人物であり、せめて悲劇の後には相手役の少佐と幸せになってほしいと願うところだが、そういう兆しをみせることもせず例によって無造作に映画が終わってしまうのは残念なことである。この妹役のサリー・フレイザーという人は金星ガニの映画にも重要人物で出ているので、そういった方面に関心がある者としては記憶にとどめておかなければならない。
[DVD(字幕)] 4点(2014-05-03 18:56:23)
72.  戦慄!プルトニウム人間 《ネタバレ》 
放射能(放射線)のせいで生物が巨大化するというのはよくある話だが、この映画では生身の人間を怪物化させることでショッキングな感じを出しており、これは日本でいえば「ウルトラQ」第22話や、「シルバー仮面(ジャイアント)」第18話(着ぐるみだが)にも通じるものがある。巨大化の原理については意味不明なところもあるが、全体としてそれらしい理屈をつけているようには聞こえた。また劇中では主人公が中年体型なのが生々しさを出していたが、これをほめていいのかどうかは微妙である。 そのほかこの映画で少し注目したのは、自分を見世物にすればいいだろうと主人公が自嘲する場面で、この映画の題名そのままの言葉を口にしていたことである。そもそもサーカス用のテントにいたせいもあるだろうが、この映画自体がいわばフリークスの見世物小屋のようなもので、それを興味本位で物珍しげに見ている観客が見られている本人から指弾されているように感じられるのは皮肉だった。そういうことからしても貧相な特撮映画と切り捨てがたいものはあるわけだが、全体として華がない感じ(ヒロインが好みでないため)なのが若干残念だった。
[DVD(字幕)] 4点(2014-05-03 18:56:20)
73.  ザ・フライ2/二世誕生 《ネタバレ》 
前作までは移動のための機械を開発していたのに対し、今回は生物工学的に使うことになっていたのは新しいアイデアである。前作の ”FUSION” からの発展だろうが、あるいは以前からずっと化物製造機でしかなかったのをやっと開き直って認めたかのようにも見える。  問題のハエ男に関しては、前作もそうだがそれ以上にハエには見えない。制作側が好き勝手なイメージを膨らませて作ったとしか思われず、これなら旧作のハエそのままの頭の方がまだましである。また人間の時に多少の人情味があったとしても、ハエ男になったとたんに主人公自身が残虐行為をするのでは全く共感できず、イヌ(黒い方)の頭をなでて見せるくらいでは説得力が皆無である。特に今回は、主人公がめでたくただの人間に戻って恋人と結ばれるはずなのだろうが、女にとってはPTSDになりそうな場面が連続し、それでも元の関係に戻れるほど人間の愛情など強くないだろう。  ただこの映画で唯一ほめられるのは、第1作の ”The Fly” (1958)からこの映画に至るハエ男シリーズ5作の中で、ヒロイン(妻を含む)の外見が個人的に最も好みだったことである。
[DVD(字幕)] 4点(2014-01-27 21:37:31)
74.  ザ・フライ 《ネタバレ》 
初見はTV放送で、20年以上前だろうが強烈な印象を残しており、”BRUNDLE, SETH”という電話帳のような言い方や”BRUNDLEFLY”という単語など、些細なことをはっきり憶えていた。その割に残酷描写の具体的内容は忘れていたが、これはあまりにグロいので記憶を封印していたのだろうと思われる。  今回あらためて見てみると、初見時とほとんど同じ感想である。まず序盤で悪役と思わせた男が最後に献身的な働きをするのが不自然に思われるほか、特にヒロインがなんで自ら好んでハエ男に関わろうとするのかがわからない。たとえ記憶が残っていても容貌と性格が違えば別人にしか思えないだろうし、それでも強い思い入れが残るほど長年連れ添ったというわけでもない。最近出来たばかりの男女関係でこの話を作るのは少々無理があるのではないか。遅くとも悪夢を見た時点で決別すれば何の問題もなかったものを、わざわざ妊娠したと告げに行き、その帰りにハエ男に話を聞かれてしまうという展開が極めて作為的である。残念ながらこの二人のラブストーリーに関しては全く納得できない。 ただ一方で、主人公の男がもともと愛すべき人物であり、その境遇が哀れに感じられたこと自体は間違いなく、これも初見時と同じ印象だった。全体としては好きになれない映画だが、この点だけは評価したい。  なお終盤の蛮行では被害者の顔を狙わないで済ませたことからすると、これでまだしも穏健な映画だったとも思われる。
[DVD(字幕)] 5点(2014-01-27 20:49:04)
75.  蝿男の逆襲 《ネタバレ》 
むかし怪獣図鑑などで慣れ親しんだハエ男の写真(ヴィンセント・プライスと一緒に映っている)は、前作ではなくこの続編の方だということがわかった。より本物に近いようだが頭がでかすぎて、中の人が大変そうな感じに見えている。  内容に関しては、古い映画のためか浮ついたところがなく真面目に見える。当初は陰謀含みのサスペンス調かと思ったが、結果的にはそれほど大した話に発展するわけでもなく、要はモンスターに殺される悪人を準備するための設定だったと思われる。 また物質転送機については前回と同じ構造だろうが、今回は転送の過程を分解と再生の二段階に分けて説明しており、これは原作に出ていたような、時間差をつけての融合をやってみせるためのことだと思われる。しかし基本的には“前回やり残したことをやってみました”というだけの内容であり、それも何の工夫もなしに同じ過程を再度行うのではさすがに考えが足りない。さらに本来は人類史に残るはずの偉大な発明の成果が、今回はただの化物製造機にしかなっていないのは情けない。  ところでハエ男が生成してしまった後の、人間としての意識の所在が前回と異なっているのは新しい趣向である。今回はハエ男が明らかにモンスター扱いになっており、相手が悪人とはいえ劇中で二人も惨殺しているが、頭が完全にハエだったのなら主人公が道義的な負い目を感じなくて済むことになり、これはハッピーエンドのためには都合がいい。この点はリメイク版より配慮が行き届いていると感じられる。 一方で、ハエにならなかった右手だけが人間としての情を示していたりするのは微妙な表現である。今回はヒロイン役が若い独身女性のため美女と野獣的な人員配置になり、美女の寝室にハエ男が忍んでいくなどという場面もあったりするが、これほど衝撃的な事件をものともせずに最後は若い男女がめでたく結ばれるという能天気な結末は、後のリメイク版の先駆けかとも思われる。  なお劇中の悪人(悪徳業者)の本業が葬儀屋だったのを見ると、北米にも「おくりびと」的な偏見があったのではないかと疑われる。
[DVD(字幕)] 4点(2014-01-27 20:48:57)
76.  大巨獣ガッパ 《ネタバレ》 
当時の特撮怪獣映画としてはそれなりというしかない。特に前半の南洋の場面はかったるいので、以前見た時には洞窟探検の前あたりで寝てしまったこともある。それでも改めて全編を見れば、中盤で米潜水艦の近くの海面から親ガッパが飛び立つ場面はなかなか迫力があるとは思える。熱海に上陸した場面では、建物が倒壊して出た塵埃のために、せっかくのタコがほこりまみれになるのではないかと少し心配だった。  ところで、この映画の何年か前に公開されたイギリスの「怪獣ゴルゴ」が親一人子一人の親子怪獣だったのに対し、それを受けた?この映画ではさらに設定を強化して両親+子一人の家族怪獣にしてあり、そのためにドラマ部分でも“家族”をテーマにしなければならないよう運命づけられたともいえる。劇中ではヒロインと社長の娘が子ガッパの心情に共感し、周囲を動かして親子を故郷へ返していたが、またこの2人がそれぞれ核になって人間世界にも2つの家族(踊りの先生を含む)を誕生させたのだろうと想像される。現代ではキャリア志向の女性を家庭に押し戻そうとするかのようなお話を作るなど考えられないが、一方では立身出世を第一義とする男の論理にも再考を促しているようであり、この時代に理想として提案された家族のあり方を改めて現代に示すこともまた有意義ではないかと思われた(誰も見なければ無意味だが)。  一方、この映画で最も感動的なのは何といってもヒロイン役の山本陽子さんであり、撮影時点で24歳くらいかと思うが(設定は22歳)、とにかく可愛いらしいので心なごむものがある。全体としてはすらりとした体型でも、あごの下の肉が少し余って見えるのが何ともいえず愛らしい。ラストでは、相手役の男がヒロインを追いかけて二人が寄り添うなどという場面もあってまことに微笑ましく、ちゃんとした万人向けの娯楽映画になっているのが何より嬉しい。この点はネタ元になったイギリス映画と一線を画すところであり、わが国怪獣映画の美点がこの単発映画にも確実に受け継がれていると感じられた。
[DVD(邦画)] 6点(2014-01-07 00:15:18)(良:2票)
77.  禁断の惑星 《ネタバレ》 
宇宙船が行った先の星は「アルテア」と言っていたが、これは実在の恒星アルタイルAltairのことらしい。23世紀にもなってやっと16光年先までかと思うが、そもそも人類が月に行ったのが21世紀末だったという話なので、科学技術の発達が遅れた世界のようだ。征服と植民地化(”conquest and colonization”)とか言われると、今なら何か皮肉で言っているような感じだが、劇中では大航海時代以来の感覚が普通に続いていたと思うしかない。  ところで、映像的には背景画が昔風だとか怪物がいかにもアニメーションだとか四連装機銃が第二次大戦仕様のように見えるとかはあるが、まあ充分に許容範囲である。それよりこの時代に、本物のSFっぽい設定をしっかり作っているのは評価できる。アメリカ人は神様を持ち出すのかも知れないが、もっと普通にいえば“どれだけ文明が発達しても、それを担うのが人間(宇宙人含む)である以上、過ちは免れ得ない”という感じか。不安感をかきたてる変な音響もよく、当時としてはかなりの良作である。やはりアメリカは侮れない。  なお気になる点として、博士の娘は外人にしては可愛らしくていいのだが、顔を見るなり手を出そうとする男がいて、またその上司が権力を笠に奪って自分のものにするのはアメリカの風習なのか。邪魔な部下と博士が排除されたのはいいとしても、1年以上かかる帰路の間、狭い船内で「警備員にも警備が要る」相手を独占するのでは波乱が避けられない。指揮官失格だ。周囲が迷惑だ。
[DVD(字幕)] 6点(2013-08-13 23:18:06)
78.  第9地区 《ネタバレ》 
予備知識なしで、なんでヨハネスブルグなのかも考えずに見始めた。最初、タイトルの場所がいかにも黒人居住区のように見えるにもかかわらず、扱いに手こずる宇宙人連中を見ていると、知的生物とはいえ意思疎通もできないようだし、一軒一軒ハンコをもらって歩くようなのは馬鹿らしく、移住させても問題先送りなだけで、そもそも人類でもないのだから、皆殺しにしてしまえば簡単ではないか、と思ってしまった。 しかし、主人公と宇宙人の親子がコミュニケーションを始めると、ちゃんと意志の通じる、われわれと同じ人間だということがわかり、殺してしまえなどと思っていたのは何だったのかという気がした。もともと前半と後半で視点が移動する映画なので、そのように思うのも当然だろうが、自分としては見事にレイシズムを疑似体験させられてしまったという思いがある。対象を人類ではなくしたことでそういう効果が生じたわけだが、それにしても自分で呆れてしまった。 ただ、180万もの人口がありながらまともに話が通じるのはごくわずかで、あとはみな野蛮人同然というところや、また全編を通じての殺伐とした雰囲気まで、南ア社会の現状を描写しているように受け取るのは、さすがに行き過ぎなのだろうと思う。多分。 なお主人公は、最初は見ていて嫌悪しか感じず、ワーワー騒いでいるのを見て死んじまえこのバカなどと思っていたのだが、最後は真人間になったようでよかった。
[DVD(字幕)] 5点(2013-05-27 19:45:53)
79.  ラッキー・ガール 《ネタバレ》 
見ていてひっかかるところもなく軽快でほのぼのして楽しい。ヒロインは一応大人の女性なのだろうが、キャリアウーマンにしては可愛くていい感じだし、その友達も、下手すると不幸に巻き込まれそうなのにあくまで優しいのはうれしくなる。成功者への対抗心が感じられないのは自分の可能性を信じているからだろう。ラストはハッピーエンドとわかっていても一応ハラハラさせておいて、その後のコンサートで盛り上がるのは素直に気分がいい。 それで最後は“愛とは与えあうもの”ということになったのか、運不運をぐちゃぐちゃに混ぜてしまって余った分をおすそ分け?したらしい。これで多分2人とも普通の男女になったのだろうから、あとはツイてる時もあればそうでない時もあるし、いいことをすれば果報もある。その上でヒロインの友達と同じように、いつも前向きでさえいれば幸運をつかむチャンスもあるという、そんな おはなしなのかなと思った。普通にしあわせそうな2人で大変結構でした。Good Luck.
[DVD(字幕)] 6点(2012-10-15 19:27:30)(良:1票)
80.  金星人地球を征服 《ネタバレ》 
 一つ前のレビューに微妙に心打たれてしまったので、おれもこういう見方ができないだろうか、と思って見直してみたが、初回の印象と同じだった。やはり自分は自分と思うしかない。 それで中身については、要は金星ガニの映画なわけだが、見てまず驚いたのは真面目な映画だったということである。劇中人物が夫婦愛について真剣に語るのは感心してしまったが、しかし主役と軍隊以外が全員死亡というのは何とも殺伐として救いがない。わが国では宇宙人が倒されると、操られていた人々が一斉に元に戻ってよかったね、というのが普通なのに、この映画では洗脳された人間はもう殺すしかないらしく、これには昭和特撮の優しさをあらためて感じた…というか日本の特撮は子ども向けだからだろうが。 ところで、この映画では洗脳で人間の感情を失わせることを問題視していたが、本当に問題なのは教育や宣伝で人間の感情を一方向に誘導することの方だろう。そもそも民主主義にとっては、感情というより自立した理性と意志の方が重要ではないのか(建前だが)。そういうことを考えているようにも見えず、何か平気で教宣活動をやっているようなのは天然なのか特に理由があるのかわからないが、とにかく力んだような外見の割には少しずれた感じのする映画だった。 しかし、そういう変な社会性とは無関係に、羽目を外さない程度の笑いが映画の印象を和らげており、特に洗脳されたはずの将軍が脱力系のジョークを言っていたのは笑った。これのどこが感情を失った人間なのか。また牛はダメだがニワトリは黙認というのもわけがわからず失笑してしまう。そのほか、最初のロケット打上げの映像が大昔の映画にしては斬新で、これは率直にほめていいと思う。
[DVD(字幕)] 4点(2012-10-15 19:09:40)(良:1票)
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