921. 楽園に帰る
《ネタバレ》 サモア島で6か月のロケが敢行されたという事で作り物でない風景に魅入ります。白人宣教師コベットの独善的な管理に盲従する島民達が、流れ着いたモーガンの活躍で立ち上がる姿と、モーガンとミーヴァのロマンス、モーガンと娘のドラマが描かれています。心変わりしたコベットが印象深いもののその理由が曖昧なのが物足りません。ゲイリー・クーパーの一本調子の台詞回しに気持ちが盛り上がりませんが結末にはさすがにグッときました。ロブソン監督作としては地味な一品。 [DVD(字幕)] 7点(2018-08-30 02:31:05) |
922. パットン大戦車軍団
《ネタバレ》 「あんたは自分の意地で多くの将兵を危険にさらしている。本当の勇気があるのならやめたまえ。そうでないと一般の兵士が気の毒だ。彼らはあんたの夢とは関係ない。彼らは今も最前線で毎日死と直面してるんだ。あんたと私は一点で違う。私は任務だから戦うが、あんたが戦うのは好きだからだ。」ブラッドリーのパットンへの直言が私の感じた事をズバリ言い表しています。お目当てカール・マルデンは期待通りであっても期待を超える事はありませんでした。ノーマークのジョージ・C・スコットが演じるパットンの喜怒哀楽ぶりは実に見応えあるもので他の出演作も要チェック。 ドイツ軍人はドイツ語だったのに好感。ロンメル役のカール・ミヒャエル・フォーグラーは観た事あると思ったら「ブルーマックス」のハイデマン隊長で大出世しています♪ [DVD(字幕)] 7点(2018-08-30 01:41:35) |
923. 新おしゃれ泥棒
《ネタバレ》 チャールズ・グローディンが己の心中を一々語るナレーションが耳障りでダサい演出に辟易。一方でワッツ役のジェームズ・メイソンは言葉にしなくても一つ一つの動作にその胸中が滲み出て、一切登場しなかった妻子との関わりも浮かんでくるもので、生真面目で悲哀に満ちた働き蜂という初めて見る人物も見事に表現する演技力に脱帽。とりわけジョン・ギールグッドとの対決は観直すごとにやるせなさが増してゆき、妻子宛てに遺書を残してきたのだろうと思うと泣きそうに。「ルパン三世」で観たような気がするダイヤモンド強奪シーンはまずまずながら、カーチェイスシーンはイマイチで車を馬で追いかけるトレヴァー・ハワードに「何でやねん?」結末も興ざめ。名優達に対して礼を失する邦題及びDVDパッケージが許し難い。 [DVD(字幕)] 7点(2018-08-28 02:21:04) |
924. ネバダ・スミス
《ネタバレ》 オープニングで登場したカール・マルデン、マーティン・ランドー、アーサー・ケネディの人懐っこさにまんまと騙された私。狂った目つきで狼藉の限りを尽くす姿が強烈過ぎる。執念でこの三人を追い続ける過程で多くの人と出会う事で成長してゆく少年を演ずるスティーブ・マックィーン(さすがに未成年には見えなかった)は何時も通りのクールさと何時もとは違う未熟さを見せる。ラストシーンでの「殺す価値が無い」という一言に、とるに足りない人間に憎む価値など無いと思っている私はいたく共感。物語に厚みを加えたブライアン・キース、ラフ・ヴァローネも忘れ難い。ウエスタンの秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2018-08-27 00:59:07) |
925. ハリケーン(1937)
ストーリーは監督ならではの反骨心溢れるものだけど、単調で都合の良さを感じた結末が物足りない。しかし、ハリケーンの凄まじ過ぎる阿鼻叫喚模様は圧巻。濁流の「ゴゴゴゴゴ~」と鐘の音の「ゴーン ゴーン・・」の迫力たるや。IMAXでこのシーンを見たら気を失ってしまうかも。ストーリーは忘れても映像は忘れられないでしょう。 [映画館(字幕)] 8点(2018-08-26 01:45:43) |
926. 私は告白する
《ネタバレ》 告解は「人殺ししました」であっても絶対他言しない。神父の掟を守り抜こうとするローガンが濡れ衣を着せられて追い詰められてゆくのを固唾を呑んで見守る。恩を仇で返す犬畜生にも劣るケラーのお蔭で、鑑賞翌日歯が浮いてしまって困った事に。ケラーとその妻とルースの告白を聞くローガンの胸の内をモンゴメリー・クリフトが魅せてくれる。タイトルの「私は」はケラーの妻を指しているように思えるもので、そのシーンに堪らず大泣き。何時もの洒脱さが影を潜める監督らしからぬ、それでいて見応えある秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2018-08-26 01:07:46) |
927. マンマ・ミーア!/ヒア・ウィー・ゴー
《ネタバレ》 41年前に購入して毎日聴いていた アルバム Arrival / ABBA 1曲目のWhen I Kissed The Teacher が物語の始まりで流れたのには参りました。いきなり大感激。 更に、Knowing Me, Knowing You My Love, My Life Why Did It Have To Be Me にも感無量に。 そして、Waterloo でピアノを弾いている後ろ姿がベニーに似ていると思ったらベニーその人だったのに大大大感激。 初のIMAXでの鑑賞も相まって酔いしれました。 映画用に改編されたのかもしれませんが歌詞と場面が合っていて歌に加えてストーリーもなかなかのものでした。 俳優では光り輝いていたリリー・ジェームズに拍手喝采。 オッチャン3人に10年の時の移ろいを味わいました。 [映画館(字幕)] 8点(2018-08-26 00:39:42)(良:3票) |
928. サイレンサー/殺人部隊
《ネタバレ》 「サマータイムキラー」のカール・マルデン、「大空港」のディーン・マーチン共演という事で鑑賞。やっつけ仕事の極み。中でも特筆すべきはディーン・マーチンの華の無さ。哀れを誘うくたびれたオヤジに「しゃきっとせんかい!」と野次を飛ばす気力も無く。カール・マルデンの最期にも「アナタも それ で死ぬの? 逝ってよし、はよ逝って!」と毒づく気力も無く。 監督は誰? ヘンリー・レヴィン。うっ、「地底探検」を撮った方ではありませんか! 信じられない。製作の顛末を映画化してもらいたいものです。 [DVD(字幕)] 1点(2018-08-23 21:25:41) |
929. 北極星
WW2に於いて侵攻してきたドイツ軍に立ち向かうソ連ノーススター村の老若男女の奮闘記。スタッフ・キャスト超一流どころが顔を揃えるアメリカ映画が火事場泥棒国家を賛美しているところが当時の米ソ関係を示しています。歌われる歌詞のプロパガンダ臭は原作・脚本リリアン・ヘルマンならではのもので辟易しました。 [DVD(字幕)] 5点(2018-08-23 01:53:40) |
930. 地底探険
童心に帰らせてくれた傑作。探険前、いざ探険。全てにハラハラドキドキさせられ一瞬も目が離せない。スタッフが用意した極上の舞台で一本気なリンデンブロック教授を演ずるジェームズ・メイソン。屈折していない彼(存在しないと思っていた)もまた格別で、ロマンに駆り立てられた冒険模様と晴れやかなラストシーンが脳裏に焼き付けられました。孫と一緒に観たい作品リスト入りで購入手続きを済ませました。 [DVD(字幕)] 9点(2018-08-20 13:59:36) |
931. キル・ザ・ギャング 36回の爆破でも死ななかった男
《ネタバレ》 70年代オハイオ州クリーブランドに於いてイタリアンマフィアと抗争を繰り広げたアイリッシュ・ギャング、ダニー・グリーンの生涯が描かれた実録もの。時折挿入されるニュース映像に爆殺に次ぐ爆殺事件が絵空事でない怖さを感じます。 どんなに分の悪い相手にも恐れることなく喧嘩を売る姿、老女を巻き添えから守る姿に、強調されるケルト人の矜持「闘争心と優しさ」を見ますが、それを真っ当に生きる事に使えなかったのかと醒めた思いにも。 クリストファー・ウォーケン、ヴィンセント・ドノフリオ、トニー・ロー・ビアンコ、ポール・ソルヴィノと濃い面々がレイ・スティーヴンソンを盛り立てています。お目当てクリストファー・ウォーケンの退場シーンは結末と重なる印象深いものでした。 本件をきっかけに司法取引からマフィアが衰退していったというのは、義理も人情もへったくれも無い者たちならではでしょう。 ポッテリとしたヴァル・キルマーの傍観者ぶりが-1点。盛り過ぎの邦題はご愛嬌。 [DVD(字幕)] 7点(2018-08-19 09:23:38) |
932. 太陽は光り輝く
プリースト判事。冴えない見た目の飲んだくれが人を裁けるのか、やたらと陽気な音楽、ハズレだったかと思いました。しかし、「人間の尊厳は肌の色や職業に関係ない」譲れない思いは何があっても譲らない二つのシーンにひれ伏しました。とりわけ後のシーンの演出は鳥肌もので、将軍の胸中を想像すると泣けてきそうになりました。「怒りの葡萄」「わが谷は緑なりき」「周遊する蒸気船」に続く鑑賞となった本作も監督特有の骨太さに感じ入った傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2018-08-17 09:23:24) |
933. 巨象の道
《ネタバレ》 ピーター・フィンチとダナ・アンドリュースの狭間で揺れるエリザベス・テイラー。死者の威光が支配する館。ワクワクしたのですが。 お粗末な展開の中での三人の無機質な芝居に白けて睡魔が押し寄せてきたところへの象の大群。シャキッとなりイライラも解消させてくれた象さんの大暴れに加点。アニマルパニックものにしょうもないドラマをくっつけた愚作。名優の無駄遣いに腹が立ってしようがない。 [DVD(字幕)] 3点(2018-08-15 13:20:28) |
934. 恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ
暑苦しいイメージがあるジェフ・ブリッジスが醸し出す虚無的な雰囲気に惹きつけられる。一方ミシェル・ファイファーは蓮っ葉のイメージそのままで物語に酔えない要因に。兄弟の姿から、自活の為に好きでもない仕事をこなして「今日も稼いだ」と疲れ果てる虚しさと好きな仕事が出来る有難味をイヤと言うほど思い知らされる。 [DVD(字幕)] 5点(2018-08-15 01:16:41) |
935. アパルーサの決闘
《ネタバレ》 辛気臭い、もとい、寡黙な二人組エド・ハリスとヴィゴ・モーテンセン VS 初めて観るウエスタンもののジェレミー・アイアンズ(お目当て) 決闘模様に寄せた大きな期待を木端微塵にぶち壊してくれたのがレネー・ゼルウィガー。見た目も性格も「はぁ? アンタ何なん?・・・以下、悪口」 彼女に振り回されるエド・ハリス同様に脚本(by エド・ハリス)も情けなく、決闘場面に頭の中は「何でやねん?」でいっぱい。もう、いっその事皆死んじゃえばよかったのにと燻っていた憤懣が燃え上がる。 持ち味を十二分に発揮していたヴィゴ・モーテンセンに+2点 [DVD(字幕)] 4点(2018-08-12 13:45:24) |
936. 女と女と女たち
監督は巨匠、脇役陣は一流どころがズラリと居並ぶのに期待が膨れ上がったのですが、シャーリー・マクレーンを愛でるだけの作品で残念。七変化は欲張り過ぎで3話くらいをじっくりと魅せて欲しかったところです。曲者キャラでないピーター・セラーズの瑞々しさが妙に印象に残ります。 [DVD(字幕)] 4点(2018-08-08 15:09:16) |
937. 生きるべきか死ぬべきか
「メル・ブルックスの大脱走」既見。筋立ては解っているので双方比べてみると、メル・ブルックス>ジャック・ベニー、チャールズ・ダーニング>シグ・ルーマン、キャロル・ロンバード>アン・バンクロフトといったところ。お笑い度・しんみりさせられ度はリメイク>オリジナル。ナチスドイツによってドイツ市民権を剥奪されたユダヤ系のルビッチ監督が1942年に作り上げた事を思うと、 生きるべきか死ぬべきか>メル・ブルックスの大脱走 の結論になりました。 ご贔屓アン・バンクロフトが見劣りしてしまったキャロル・ロンバードの魅力に驚いています。 [DVD(字幕)] 9点(2018-08-07 03:01:30) |
938. ブルー・マックス
《ネタバレ》 WW1に於けるドイツ空軍が描かれた物語。地べた這いずり回る歩兵のシュタッフェルが上空の戦闘機を眺める胸中に共感を。技量に出身は関係なくとも、勲章が欲しい、欲しい、欲しい! 飢えた姿に貴族と平民の育ちの違いがある事を実感。更に将軍の妻と火遊びに興じるのには「図に乗るな。このままで済むと思うな。罰が下るぞ」(これは欲求不満気味の妻にも言える)と眺めていました。騎士道精神を持つ隊長以外まともな人物がいない中での真打がクルーガーマン伯爵・将軍。保身>空軍の体面>甥の敵且つ間男への鉄槌を表現するジェームズ・メイソンをたっぷり堪能させてもらいました。終盤の元帥からの電話以降は彼の独断場であり、「うわ~そうきたか、頭いい~、しかし悪いやっちゃなぁ」と思った途端の Sit Down !!!!!!!!! に椅子から思わず立ち上ってしまいました。「えらいすんません」怒髪天を衝く鬼の形相での野太いベルベットボイスはジェームズ・メイソン名場面集の1つとなりました。やるせなさが募る異色の戦争映画。傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2018-07-30 16:19:39) |
939. 私の殺した男
《ネタバレ》 息子を亡くした親の喪失感がひしひしと伝わってきて、墓地での母親同士の会話に泣かされてしまいました。 ラストで演奏に聴き入る夫妻にこれでいいのだと思う一方で、真実を隠し通せるとは思えず、明らかになった場面を想像して、やはり真実を伝えた上で葛藤を乗り越える物語でなけらばならないのではないかと複雑な心境です。 抑えた語り口で反戦を謳う本作から7年後にWW2が開戦する現実の厳しさを感じます。ヒトラー総統は鑑賞してなかったのでしょうね。 [DVD(字幕)] 7点(2018-07-27 16:29:43) |
940. 青髭八人目の妻
クローデット・コルベールが演ずるニコルが鬱陶しく胸糞悪くて笑えず、ゲイリー・クーパーの熱演も空回り感が激しい。ワイルダー脚本作でこんな大ハズレがあるのが驚き。 [DVD(字幕)] 3点(2018-07-22 23:00:28) |