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風小僧さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 262
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自己紹介 現在の技術で作られた映画を観る目線で過去の映画を見下すようなことは邪道と思っている。できるだけ製作当時の目線で鑑賞するよう心掛けている。

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101.  ベン・ハー(1959)
 キリスト教の世界観に基づく一大叙事詩。名画を思わせるゴルゴダの丘、巨大な円形競技場やガレー船海戦、さらに都市国家のセットや大群衆のシーンなど完成度の高いスペクタクル大作。  ルネッサンスの絵画から抜け出たようなC・ヘストンの重厚な演技が見事。そして、神の視点で俯瞰するかのような戦車競走の迫力は映画史に残る名場面だ。  母と妹の病が治る奇跡など宗教的なメッセージを織り込み、キリストの教える愛と赦しを語る。彼の受難も描いているが、キリスト教の布教活動における世界各地の摩擦を考えると、これらのシーンは素直に感動できない。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-05-14 11:13:18)
102.  M★A★S★H/マッシュ
 あえてジョークがわからない無粋な視点でこの映画を語ろう。  ベトナム戦争当時の反戦気分を反映した戦争風刺。ホークアイやトラッパーらが内輪で連む姿は、軍医の立場を利用し「冗談」という言い訳を用意したイジメの構図を内包。野戦病院を学校現場に置き換えれば一目瞭然。そりゃあイジメる側からみれば痛快だろうが、この種の閉鎖的な「仲間意識高い系」は気持ち悪い。実社会でも似たような例をみているからね。  手術場面のリアリズムやフットボールの予定調和(注射のインチキや逆転勝ち等、黒人差別の味付け含め)は免罪符にならない。いつの間にかホットリップスは無邪気に豹変したが、彼女の訴えは回収されていない。  戦争に対する風刺を大義名分にすれば、何をしてもブラック・ジョークで笑い飛ばせるとでも?
[CS・衛星(字幕)] 1点(2017-04-09 11:22:47)(良:1票)
103.  プライベート・ライアン 《ネタバレ》 
 ノルマンディ上陸作戦は連合軍の被害も大きかったという知識があっただけに、ドイツ軍の抵抗を受けるオマハビーチの戦場は従軍しているような臨場感があり、フーバーな任務(=めちゃくちゃな任務)というのも頷ける。極度の緊張・戦闘場面のリアルな迫力は十分な説得力がある。  戦場の土を詰めた複数の缶は、イタリア・フランスなど多くの戦場を転戦した過酷さを物語る。加えて「この光景、すごいな」のリアルさ。  1人のため8人が命をかけるのは理屈に合わないが、それに対する下っ端の心情も掬い取っているので違和感はない。所詮戦争とは不条理の連続。そして戦場では母の話で盛り上がる。死に際の兵士の最後の言葉は「ママ」、これは本作のテーマに沿った重みのある場面。旧日本軍でも同じ話を聞くし、日系人部隊「442連隊」でも同様の実話があったとのこと。  ライアンの残留意向は至極当然のように思う。これに対し、中隊長が命令通り帰還するか残って戦闘に加わるかは究極の選択だが、後者を選択し妥当な展開。最後は助けた捕虜に味方を殺される皮肉。結局、戦場で情けは仇になり、捕虜の待遇に条約違反を語ったアパムが助けた相手を殺す、これまた皮肉。  老いたライアンによる回想は、あの時代と今を繋ぐ意味があり手堅い手法。同じような構成の映画を想起させ、なぜか「リバティ・バランスを射った男」を思い出した。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-03-29 12:43:19)
104.  明日に向って撃て!
 新感覚の西部劇ではある。映像の逆光と主人公たちの時代遅れの「逆行」。ブッチとサンダンスの友情を描きつつ真面目にバカやることの意義を見せつける。  振り返って蛇を撃つシーンの新鮮なこと。そして自転車は自由の象徴。  最後の2人の会話はいい。この軽さが長所であり短所でもある。ラストのストップモーションは余韻が残るものの、特に名場面とは思わず。  男女3人の物語としては「冒険者たち」の方が好きだな。 
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-02-26 13:44:07)
105.  ミッドナイト・イン・パリ
 セピア調で映されるパリの情景を舞台に人生の機微を描いた佳作。エスプリのきいたセリフ、小粋な音楽が画面にマッチしている。   現実の中に夜毎のタイムスリップ(というよりファンタジー)を挿入し、数々の芸術家との出会いを通して人生を語るプロットが良い。  外見はパッとしない主人公(=ロマンチスト)と美女の婚約者(=リアリスト)、そしてパリ好きとパリ嫌いの対比の妙。よく知られるアメリカ人とフランス人の国民性の比較にも通じる面白さがある。風采の上がらない主人公は監督アレンの自己投影そのもの。対する男性有名人、意図はあろうが本人よりかっこ良すぎ。  S・ダリとL・ブニュエルの組み合わせは「アンダルシアの犬」の創作を想起させる。そして、シュルレアリストが恋を理解できないとは風刺気味。また、ガートルードがピカソの絵(「水浴の女」)を辛口で批評する姿は芸術論として面白い。この絵をめぐり、受け売りの解説でギルが“知識人ぶる男”ポールに反論するところは小気味よい。アドリアナとギルの関係は程よい流れだが、ピアスをめぐるエピソードは安易な印象。  現代に生きる主人公は1920年代を眩く仰ぎ、アドリアナはベル・エポックに憧れ、ゴーギャンやドガはルネッサンスこそ最高!とそれぞれの思いを語るところは、いつの世も変わらぬ手の届かぬものへの憧憬や“昔はよかった”的な現実逃避の懐古趣味に対する皮肉も込められる。   最後に、あの探偵はどうなっちゃったんだろう。気になる。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-02-21 13:46:00)
106.  タクシードライバー(1976) 《ネタバレ》 
 流れるような夜景と大都会の息遣い、喧騒の中の孤独と狂気が映し出される。この雰囲気に合った、けだるさを漂わせる音楽がいい。  “洗い流す”がキーワード。社会に不満や怒りを持ち、まっさらな理想を求める狂気は長じて大統領候補暗殺に走る。されどそこに至らぬ小市民的狂気。  ベトナム帰りで不眠症が続いた上、女に振られ心が荒ぶる主人公は汚れた街を洗い流すため銃を入手し、着々と準備を進める。若者の“もっとできる”自己顕示やゆがんだ正義感を描きながら、アメリカ社会の病根を衝く。  少女アイリスに出会い分別を見せるところは、彼なりの“浄化”に向けた使命感だろう。だがその後のアイリスと客のシーンは冗長。  モヒカン刈りで勇者を気取り、殺人マシーンと化した辺りから物語・音楽ともムードが変わる。客引き銃殺後、髪を元に戻したその後の展開が拍子抜け。世間の英雄視は皮肉としても、ベッツィーが「新聞に載ったから」と言ってトラヴィスのタクシーにのこのこ乗るくだりはいただけない。ストーカー的な行動をとった男になびくか?「女はそんなもんだ」とは思わない。  全般的にみると、ベトナム戦争帰り⇒都会⇒孤独⇒狂気という図式は明快だが主人公の行動の動機付けが弱い。ちょっとスタイリッシュな映像とB・ハーマンの音楽に救われている。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2017-02-05 16:19:58)
107.  フットルース
 いつの世にもある新旧価値観の対立を描くところは、往年の映画「青春の旅情」と重なる。片や小説、もう一方はダンスやロックを対立軸に、表現することの意義を問う。新しい動きに反対するキーパーソンの存在も共通する。  終始奏でられる音楽はゴキゲンで、クライマックスのダンスシーンは圧巻だ。が、女優に魅力的な人が全然いない。キャストが弱かったなあ。  ラストは妥当な落としどころで、鑑賞した後の気分はよい。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-02-03 22:27:26)
108.  ゴッドファーザー PART Ⅱ
 マフィアの内幕を描きながら家族愛をテーマとした重厚な大河ドラマ。イタリア系移民街の実情を見事に再現しているが、観客の共感・感情移入を意識してかマフィアの暗黒面をかなりマイルド化した感は否めない。  ヴィトーとマイケルの対比が鮮やかで、一族の発展・組織の拡大と裏腹な家族の離反は皮肉な展開。アメリカ人好みのルーツ探しにも通じ、退任したばかりの某前大統領が好んだ映画というのも頷ける。  ヴィトーが犯罪に手を染めざるを得なくなる経緯は丁寧な描写だが、その後の成り上がりヒストリーが弱過ぎる。「これは家族の映画だからマフィアの怖さはあまり描かなくてよい」わけではないと思う。  R・デ・ニーロのしわがれ声は前作のM・ブランドの声に似せたつもりだろうが、よく聴くと声が一定していない。そんな細工をせず地声でもよかったのではないか。A・パチーノの終始無愛想な表情はドンとしての孤独と苦悩を滲ませるが、一面的過ぎて味わい不足。時に発する怒声も単調さを覆すに至らない。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-01-25 09:52:21)(良:1票)
109.  レナードの朝
 冒頭に実話を強調されると「ああそうですか」というしかない。あんなに劇的に患者が回復するだろうか?と素朴な感想。  治療の方法に疑問は残るが、セイヤー医師は研究医として全力で患者を救いたかったのだろう、と好意的に受け止める。結果的に一時回復→副作用→再発の流れになり、最善を尽くしても治療の結果は「神のみぞ知る」だ。  1969年の象徴として、アポロのポスターやゾンビーズ「ふたりのシーズン」は効果的。  序盤から中盤まではR・ウィリアムス、終盤はR・デ・ニーロが主役といった感じだ。題材の性格上、デ・ニーロの演技に注目が集まるのは自然なことだろう。歯磨き以降の場面は見ごたえのある演技だった。ある意味儲け役を好演だが、“特徴のある役(動きの大きな演技)は演りやすい 特徴のない役(静かな心理描写)は難しい”という思いも若干残る。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-01-15 15:55:15)
110.  サタデー・ナイト・フィーバー
 下町に住むイタリア系らしい濃密な「家族映画」に加え、イモ兄ちゃんと上昇志向娘の刹那的な恋と友情を交えた青春群像。そして、若者の成長物語でもある。  この種の映画にありがちな、悪さを強調した不良ものにしなかった点は好感が持てる。その分、橋の上の無軌道や車で突っ込む相手を間違うなどは物語の盛り上げに必要な起伏だろう。  ダンス大会の優勝に複雑な心情で怒りを表す土曜日だけのヒーロー。やっぱトラボルタの踊りはいいわ。顔は好みじゃないけど。  悩める友の転落死をきっかけにトニーは生き方を見つめ直し、大人として目覚める。「友達になりましょう」のセリフに救いがあり、いいエンディングだった。  公開当時、「ザ・ベストテン」に出演した歌手が虎模様のベルトを巻いて「トラベルト」なんておどけていたなあ。ほら、前回レビューの「Wの悲劇」に出演していたあの人……。
[映画館(字幕)] 6点(2016-12-20 10:27:35)
111.  夢(1990)
第1話【日照り雨】 狐の嫁入りはモロにスモークだね。狐の動きがユーモラスで小気味よい。虹の輝く花畑は鮮やかな情景で、言い伝えを通して自然の大切さを説く。 2話【桃畑】 桃源郷(自然)の喪失感と再生への訴え。 3話【雪あらし】 雪女は厳しさとやさしさ(包容力)を併せ持つ自然の二面性を表現。  2話と3話は舌足らずの印象。 4話【トンネル】 戦争の不条理を描く。犬は死者の魂を象徴し、その魂への鎮魂を込めたもの。 5話【鴉】 豊饒の麦畑、ひまわりや太陽の黄色は強烈な印象。絵画の中に溶け込んだ姿はNHK・Eテレの子供向け番組みたいで変な感じ。ゴッホの世界を駆け回る喜びとともに、彼と通じる創作の苦悩を感じる。  6話【赤富士】 スリーマイルやチェルノブイリ事故を踏まえた問題意識と東海地震への懸念を表したもの。原発に対する危機感を自分も共有する。 7話【鬼哭】 6話からのつながりで、文明の行き着く果てがどうなるか警句を発す。共感するが説明調のセリフが多い。 8話【水車のある村】 自然あっての人間というメッセージ。日本の農村の原風景を見る思いだが、小川沿いのキショウブはミスマッチ。ゴッホ好みの黄色?にしても在来種と競合するほどの繁殖力をもつ帰化植物は合わない。 よく生きよく働いて死ぬという人生観、そして青森ねぶたを連想させる踊りは人生讃歌であり、葬送の音楽は心に残る。   6話から8話までは現代社会への問題提起で、科学万能に対する懐疑を示したもの。共鳴する部分もあるが老人の遺言めいて説教臭が強い。  少年・青年・中年・老人の流れで一貫しているのは、人間と自然の共生を詠い、その大切さを訴えるものだった。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2016-12-05 15:56:42)(良:1票)
112.  ザ・ヤクザ(1974)
「義理と人情」をアメリカ視点で描いたヤクザ映画。刀を鞘に入れる音は意外な新鮮さ。日本刀、花札、パチンコ、庭園、鳥居などJAPAN記号のオンパレード。尺八や五木の子守唄等、音楽も含めオリエンタル趣味たっぷりだが悪くない。虚無僧が突然現れるところは苦笑するばかり。 殴り込みのシーンは東映ヤクザ映画風でよかった。特にタナー襲撃シーンのカット割りがいい。 ラストの日米二人の指詰めは(健は五郎への、ハリーは健への)義理の精神に沿ったものだと思うが、こだわりすぎの感があり、あまり美学は感じない。 R・ミッチャムと高倉健の演技もさることながら、待田“月曜日”京介のヤクザぶりや「GO!GO!トリトン」ヒデ夕樹の貴重な映像がうれしい。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-11-20 20:19:44)
113.  羊たちの沈黙 《ネタバレ》 
ブラックお伽話としてみれば興味深いが、リアリズムの視点でみるといくつか難がある。 1 FBIの一員とはいえ、まだ訓練生の女性を一人で海千山千の猟奇殺人犯に対峙させるか?未解決事件を解決するため上司、クラリスそれぞれの思惑があるにしても説得力に欠ける。 2 上司が警告したにもかかわらず、クラリスが何の葛藤もなしに私生活を打ち明け、レクターにつけ入るすきを与える。信頼関係を築くためだろうが、トラウマを抱えているならなおさら警戒するのが普通。事件解決に向けた「虎穴に入らずんば…」とか「肉を切らせて骨を…」は、この場合該当しないだろう。せいぜい「ケガの功名」だな。クラリスの創作話という高等戦術であれば面白いが。 他にも警備の緩い刑務所(!)への移送等、レクターにとって都合よすぎる展開は弱点であるが、これらの内容がなければ(タイトルが意味するところの)物語が成立しないというジレンマに陥る作品。 また、前景にクラリスとレクターの会話が展開される場面、後景には職業として羊を飼い屠殺する牧場主の姿が脳裏に浮かんでくる。詳細は映画同様謎かけとしておくが、微かな差別を感じ不快感が残る。 上院議員の娘が救出される際、FBIに強い影響力を持つ親がいるためかクラリスに悪態をつきまくるのも変。終盤、バッファロー・ビルとの攻防は「暗くなるまで待って」のスーパーヒロイン版になっちゃった。 レクターの上目遣いの演技は心理学的に威嚇・攻撃・好意を表しているようで、思わせぶりなアップ場面等のカメラワークや心理描写・伏線張りで怖さを強調しているが、その手には乗らなかったよ。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2016-11-13 13:56:34)(良:1票)
114.  バルジ大作戦
初見後・・・タイガー対シャーマンの対決における圧倒的なタイガーの強さが印象的。ガフィー軍曹の奮闘ぶりが際立つ(吹き替えカット版ゆえか)。 2回目鑑賞後・・・ドイツ側の描き方が出色。現場を預かるヘスラー大佐の強い意志と悪戦苦闘ぶり、コンラッド伍長の庶民的目線と戦争への嫌悪、経験不足の若い兵士の合唱による士気高揚、シューマッハ少佐の奇襲場面のスリル。 連合軍側はカイリー中佐の孤軍奮闘、グレイ少将の指揮ぶり、ウォレンスキー少佐の男気を堪能。ウィーバー中尉の成長物語も面白い。 実話に基づく戦争アクション映画として観たので史実と合わなくてもOK、戦車の違いもタイガーとシャーマンの比較ができればOK、雪は融けるものだからあってもなくても気にならず。 3回目・・・武器を捨て、去りゆくコンラッドに反戦のメッセージを見た。 ヘスラー大佐は「ヤマト」デスラー総統のモデル?なるほど。 気がつけば「パンツァー・リート」を何度も聴いている自分がいた。コンラッドの歌う姿が味わい深い。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-06 20:07:53)
115.  トムとジェリー ピアノ・コンサート
 おやおや、こんちトム君、おめかしして何をするんでしょう。ははあ、さてはピアノ演奏かな?見事名演奏と相成りますか、さあお楽しみ。 作品全体がミュージカル調で完成度はピカイチ。格調の高さも時折顔を覗かせ、おすましの表情でクラシックを演奏するトム、鍵盤とともに動き回るジェリー、それぞれの表情が愉快。レンチで殴られた後のジェリーの時差反応、終わったと思えば何度も続く演奏から最後のオチまでがまた結構。 梅木マリのパンチある主題歌、ナレーション谷幹一の名調子、八代駿のトム、藤田淑子のジェリー・・・この日本語版は傑作!何度も観たけどアニメならではのスラップスティックが心地よい。 カートゥーンながらシリーズの1本1本が作品として登録されればその都度投稿するつもり。中でも「天国と地獄」はじめ傑作は多数あり。ディズニーもいいけど、やっぱハンナ・バーベラやテックス・エイヴリーでしょ。 【閑話:台所戦争ならぬフッ○論争の勃発】テレビ放送当時「フッ○、フッ○、フッ○フッ○」と連呼する歯磨きのCMが流れ、この発音を小学校のクラス内で「フット」派と「フッソ」派に分かれて議論。われら「フッ素」派が勝利して終結。 3本放送の真ん中作品も傑作に事欠かない。特にドルーピー(吹き替えは絶妙、玉川良一の名人芸)のおとぼけぶりが最高!彼の「呼べど叫べど」やスパイク「逃げてはみたけど」なども○点献上の用意をしておこうっと。 えっ、某政治家がドルーピーに似てるって?・・・し、しつれいな、失礼な。・・・ドルーピーに失礼な!
[地上波(吹替)] 8点(2016-08-30 10:40:57)
116.  ランボー
ベトナム戦争帰還兵の心の傷を描く。序盤の静かな山水風景と、ラストのランボー告白による戦争批判のシーンは心に残る。 戦争でトラウマを抱えたランボーが過剰防衛で逃走、♪盗んだバイクを乗り回し♪てどうすんのよ。騒動きっかけの、よそ者に冷たい「おらが町さ」意識はどこでもある話。ランボーの非協力に対する保安官の仕打ちも度を越しており、両者はどっちもどっち。ランボー、保安官双方戦う必然性が弱い。お互い過剰な反応で事態悪化、これは、ささいなことから争い事になり、次第にエスカレートする姿を戦争に見立てれば優れた展開と思う。それ故、派手な超人的アクションは違和感があり、中盤のバトルはハリウッド的誇張が過ぎる。アクションを取るかテーマ(内省)を取るかで作風は大きく変わるだろうが、本作はどちらも追い求め、消化不良気味。 ランボーをロケット砲で倒したと思った軍人が記念撮影するシーンは、その後のイラク戦争における米軍の仕打ちを予見したかのようだ。このような体質は昔からあるのかもしれないが・・・。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-08-08 12:40:20)
117.  ウエスト・サイド物語(1961)
今に通じる“差別と貧困”や“不寛容による対立”をテーマに、「ロミオとジュリエット」を下敷きにして現代の若者の群像劇を描いたミュージカル映画の傑作。G・チャキリス、R・モレノ、R・タンブリン等の芸達者な踊りに比べ主役二人(R・ベーマー、N・ウッド)は霞んで見えるが、音楽やダンスと芝居の融合という点で、これも計算のうちなのだろう。 躍動的なダンスで若者の活力を謳った「アメリカ」、対立して熱くなった時こそ“頭を冷やせ”のメッセージを込めた「クール」、甘いラブソングの「マリア」等々、名曲が華を添える。お気に入りは「クール」だ。A・パーキンスをワイルドにしたようなT・スミスをメインに、彼らが歌い踊るシーンは「静」から「動」への流れが見事! ラストはトニーが殺され悲劇的な結末だったが、「ロミオとジュリエット」と異なり、生き残ったマリアの叫びは、不毛な対立を越えて微かな救いを残す余韻があった。 フィンガースナップの流行やM・ジャクソンのミュージックビデオへの影響、日本でもジャニーズ少年野球団が芸能界を志すきっかけになった等々、この作品は多くの方面に影響を与えた。そして「サイボーグ009」。ジェットの登場シーンにおけるオマージュは忘れがたい。 共同監督のR・ワイズとJ・ロビンスは作品の完成後決別したとか。2人の才能と情熱が化学反応を呼び起こし、この名作を生んでくれたことに感謝。
[映画館(字幕)] 10点(2016-07-24 13:07:07)
118.  カンバセーション・・・盗聴・・・
“盗聴”という現代社会の病巣を抉り出すとともに、製作当時のアメリカの自画像を描く。昨今のスノーデン事件等を考えれば、より深刻な将来を予言するかのような作品だ。 男女二人をめぐる公園での盗聴シーンを繰り返し、少しずつ会話を明快にする演出は秀逸。むくつけき男どもや魅力に乏しい女たちの中で、二人を演じるF・フォレストとC・ウイリアムスは隠し味的な味わい。盗聴特有の音の演出やジャズの使い方も効果的だ。 主人公の輝かしい実績とは裏腹に、内面に抱える孤独感や苦悩が描かれる。盗聴する側が逆に盗聴されて動揺し、追い詰められる皮肉。その強迫観念から苛立っていた精神が徐々に崩壊し主人公の焦燥感も頂点に達するが、やがてサックスに安らぎや救いを求める。プロなら覚悟しろよと言いたくなるが・・・。終盤のどんでん返しは平板な印象。 サスペンスや恐怖の味わいはあまり感じられず、社会派ドラマと受け止めた。アスファルト・ジャングルの中の孤独、人間性の喪失・・・ベトナム戦争で疲弊したアメリカ国民の心情やウォーターゲート事件とオーバーラップする。 映画全体を覆う暗さは如何ともしがたく、好きな映画ではない。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2016-07-19 20:39:05)
119.  ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 
無重力を表現した宇宙空間の映像美は見事で、TDLの「スター・ツアーズ」を体験した時のような快感を味わった。技術先行の画面に、2人の会話劇で人間関係が描写される展開は秀逸。無音(?)の大宇宙では軽口をたたくことも重要なコミュニケーションと映る。 娘を亡くし夫と別れた女性宇宙飛行士が宇宙に一人取り残され、一時は死を覚悟しながらも、帰還に向け生への気力を取り戻すという設定に現代性をみる。マットの生還(幻覚)からラストに向けての展開はハリウッド映画の王道であり、悲惨な結末を迎えるリアリズムよりずっといい。 ライアンとマットのロープでのつながり(へその緒のような)やISS内部での胎児ポーズ、そして涙の粒が浮遊するシーンはそれぞれ印象深いが、強調し過ぎの感あり。 地球に帰還し、カプセルが着水した湖でライアンが脱出した際、水中でカエルが彼女の前を横切る。さらに虫が飛び鳥がさえずる芸の細かさ。その後、彼女は陸に上がり、四つん這いから徐々に立ち上がって大地を踏みしめ(彼女の再起を暗示)、最後に2足歩行する。ここで原題「Gravity」の意味する重力の体感が示される。駆け足で生命の誕生~進化を表現したような感じだ。着水場所を湖にしたのは「猿の惑星」を意識したのだろう。が、むしろ子宮形状の入り江(海水≒羊水)に着水し、ウミガメ(4足)の登場、そして陸上へ、さらに2足歩行となった方が胸にストンと落ちる。カエル君の登場は唐突な感じだった。  無重力の宇宙空間、女性の自立、中国の人工衛星の役割、数々の障害を乗り越えて危機からの脱出等、マーケティング・リサーチはバッチリ(若干の皮肉込み)。「生」と「死」、「進化」や「再生」をめぐる91分間で、過去の映画に対するオマージュや生命をめぐるメタファーの詰め込み過ぎも感じる。終盤は生き残ったS・ブロックの一人芝居を見る思いだったが、彼女に魅力を感じないんだよなあ。
[地上波(吹替)] 6点(2016-07-03 22:36:18)(良:1票)
120.  チャップリンの独裁者 《ネタバレ》 
サイレントからトーキーへ一歩踏み出したチャップリンの問題作。ファシズム華やかなりし頃にヒトラーを戯画化した映画を製作することは、かなりの困難が伴ったものと思う。得意のボードビルでサイレントの味わいを残しつつ、トーキーの強み(音楽やスピーカー演説)をうまく活かしている。 独裁者ヒンケル似の床屋がドタバタを繰り広げ、随所にナチズムへの風刺・批判を交える展開。特に印象深いのはヒンケルが地球儀(風船)と戯れるシーン。“地球”という全世界を弄ぶかのような独裁者ぶりを表現した名場面だ(最後に割れるところがミソ)。また、ムッソリーニを彷彿させるベンツィーニとの意地の張り合いは、いかにもの面白さ。 そして最後の演説。満を持して声を出したチャップリン。自らの思いを込めた6分間の名演説は多くの人に感銘を与えたことだろう。「モダン・タイムス」から続く機械文明への懐疑も示しつつ、人類愛を謳い上げ「絶望してはいけない」「自由のために闘え」と印象的な言葉が散りばめられる。 プロローグから演説前までは傑作コメディー、ラストの演説は極めてシリアスな名スピーチ。惜しむらくは、この落差が自分の中でうまくつながらなかったこと。ギャップは承知の上でメッセージを伝えたかったと思うが。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-06-19 17:20:42)
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