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風小僧さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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自己紹介 現在の技術で作られた映画を観る目線で過去の映画を見下すようなことは邪道と思っている。できるだけ製作当時の目線で鑑賞するよう心掛けている。

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121.  小さな巨人
主人公ジャックが語る体験談は虚実ないまぜで、いかにも老人の昔語りという趣。数奇な運命に翻弄され白人社会と先住民社会を行き来する彼の姿をみると、結局アイデンティティーって何なんだろうと思わせる展開。そんなの無意味だよと訴えているのかのよう。そこが本作の奥深い魅力になっている。 ジャックが一貫しているのは生に対する執着であり、故に波乱万丈を潜り抜け121歳まで生き延びることができたと言えよう。彼とペテン師の行動からは“とにかく生きろ”というメッセージが伝わる。加えて、必死に生きるほど滲み出るおかしみ。“追い詰められれば最後は笑うしかない”に一脈通じるような。 騎兵隊の先住民虐殺を批判的に描いているが、製作当時の世相からソンミ村虐殺を連想し、ベトナム戦争批判とも受け取れる。また、ジャック夫妻の乗った馬車が先住民の襲撃を受ける逸話で、ジャックと先住民が馬から馬に飛び移るシーンは「駅馬車」を彷彿させる。襲ったはずの先住民が、飛び移りを一緒に楽しむかのごとく嬉々とした表情を見せるところに皮肉を感じる。これらはフォード映画に代表される白人史観の西部劇に対するアンチテーゼだろう。  D・ホフマンはジャックの若い頃を飄々と演じて魅せるとともに、昔を回想する老人の姿を見事にこなし、2つをうまく演じ分けた。シャイアン族の長老役C・D・ジョージは素朴で味わい深い演技を見せ好演。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-05-08 13:42:41)
122.  お熱いのがお好き
映画史上のベスト○○を選ぶとき、プロの批評家さんがコメディ作品を選ぶことはあまりないだろう。自分としては本作をベスト○○に値する傑作と評価する。 禁酒法時代のギャングの抗争を描き、聖バレンタインデーの虐殺やマフィアの親分役G・ラフトの出演等々、パロディ要素はあるものの隠れたギャング映画という見方もできる。ケーキから出て機関銃を乱射するシーンひとつとっても迫力満点。 J・レモンとT・カーティスが女装してドタバタを繰り広げ、笑いを誘いながら最後は人生哲学の名セリフにたどり着く展開がいい。 石油会社の御曹司に扮したカーティスとM・モンローの会話は実に愉快で大好きな場面だ。濃厚なキスで迫るモンローに対し、カーティスが不感症を装ってとぼける演技は抱腹絶倒。モンローのコメディエンヌぶりはもちろんのこと、二枚目ながらコメディーセンス抜群(ケイリー・グラントと双璧)のカーティスが面白い。           ラストシーンの「完璧な人間はいない」・・・何と真理を言い当てた言葉か。女装した男(男と知るや知らずや)に対して大金持ちが求婚で吐くこのセリフは実に意味深長。何十年も前の映画なのに、LGBTが語られる現代だからこそなお輝き、今後も輝き続ける名セリフだ。 この映画に唯一不満があるとすれば、J・レモンの女装がルックスで物足りない点。そう、やはり「完璧な映画」はないのだよ。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2016-05-01 14:08:10)
123.  リンカーン
南北戦争期におけるリンカ-ンと周囲の人々の奮闘ぶりを描く。戦争の早期終結と奴隷解放という2つの難題を背負って、彼らが権謀術数をめぐらし、いかに解決していくかが見どころ。手堅くまとめているが、大人版「世界偉人伝」の域を出ていない。先住民に対する過酷な仕打ちはあえてスルーしたか?今の時代にあってなおリンカーンの都合良い部分しか描かない感度の鈍さよ。 D・D=ルイスは人間味豊かな表現力で大統領の苦悩を演じ熱演だが、(撮影当時同じ位の年齢とはいえ)老成したリンカーンに比べちょっと若い印象。年輪を感じさせる演技のS・フィールドと並ぶシーンでは、若さが露呈し「役作り」感見え見えで見劣りする。アカデミー賞ってどうしてこうも「有名人なりきり芝居」に弱いのかね。俳優陣では、夫や子供に対する夫人の内面を滲ませたフィールドが一番いい。T・L・ジョーンズもいい演技だが、どうしても「BOSSのおじさん」を連想する。 リンカーンの最大の功績は南北戦争を終結に導き国の統一を保ったことだと思うが、議会の議決を無視して政策を遂行したり先住民に冷淡だったことも何かで読んだことがある。彼を描くのなら、奴隷解放一点集中でなく、同時期に行われた負の部分も語られるべきだろう。 奴隷貿易廃止を題材にした「アメイジング・グレイス」と比較すれば、作品の出来は向こうの方に軍配が上がる。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2016-04-17 13:25:36)
124.  ミスタア・ロバーツ
最初に観たときは主人公ロバーツの好人物的個性に好感を覚えた。何十年ぶりかで再見して印象が変わった。J・キャグニーの艦長は鼻持ちならないやつだが、そんなに悪いやつ?嫌な上司はざらにいるが、「ケイン号の叛乱」のような怒りを感じるほどか疑問。 一般社会でも、困った上司と部下の間に立たされた者の対応は難しいものだが、上司に対しては面従腹背を基本とし、時として正論を吐く程度がうまいやり方だろう。 評価を決定づけるシーンを一つ。艦長の理不尽に対してロバーツの怒りが頂点に達し、ヤシの木を海へ投げ捨てる場面がある。物語の展開上重要な場面だが、大海原の船に同乗する数少ない“いのち”を海へ捨てる行為は確実にアウトだ。もっと別な表現があるだろう。船に持ち込まれた経緯がどうであれ、物言わぬヤシの木に罪はない。そのようなものを海上にポイ捨てする行為、人はそれを“八つ当たり”という。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2016-04-03 16:11:27)
125.  サイコ(1960)
ショッカー映画の最高傑作。個人的にはユーモアを盛り込んだヒッチコック作品の方が好みだが、徹底して恐怖を追求した本作も悪くない。 有名なJ・リーのシャワーシーンは細かいカット割りで恐怖を高め、エロティシズムを融合した名場面。が、巷間言われているほど怖くなかった。ラストシ-ンでのA・パーキンスの異常演技の方がはるかに怖かった。初鑑賞後、精神状態が不安定な時にこの映画は観ない方がよいと思ったものである。 B・ハーマンの音楽は映像との相乗効果でスリルを盛り上げ、作品への貢献度は大きい。ソウル・バスのタイトルに載せて流れるオープニング曲は「これから何が起こるのか」という不安を掻き立て秀逸。また、シャワーシーンの音楽は鋭い刃物のような旋律で、始めの数秒間聞くだけで映画の1シーンを思い出し、ゾクゾクする。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2016-03-27 16:16:27)
126.  素晴らしき哉、人生!(1946)
キリスト教的価値観を謳った映画だが、アメリカ映画における一服の清涼剤と受け止めたい。初見後、主人公の人生は暗転してからの後半部分が長いと感じていた。再見すると、大金を紛失する(隠される)前の方が少し長かった。一方に偏っていない時間配分で、良い時もあれば悪い時もある人生を考えるとバランスのとれた編集だ。J・スチュアートは適役適演。 冒頭の天上における神様と天使の語らいシーンは作品に寓意が込められており、オッサンの2級天使という発想もユーモラスでいいアイデアだ。 会社の金を失い絶望した主人公に対して、天使は彼が生まれなかった世界を見せる。その殺伐たる世界を見せつけられ、彼はいかに有意義な人生を送ってきたかに気づく。「ベタな展開」といえばそれまでだがヒューマニズムに溢れており、人生における普遍的なものをファンタジーに包んで描いた映画だと思う。 “クサい”といわれるようなことを正面切って表現する・・・いいね。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2016-03-06 17:09:54)
127.  レッド・オクトーバーを追え!
東西冷戦を背景に、ソ連原潜艦長たちの亡命をめぐって米ソが繰り広げる虚々実々の駆け引きを描く。アメリカ礼賛映画ではあるが、テンポがよく見ごたえ十分。ラミウス艦長役S・コネリーがロシア人に見えないのは先入観のせいか。ライアン役はA・ボールドウィンだが、CIAとしてはひ弱でちょっと頼りない印象だ。 ソ連艦長の亡命か攻撃かの判断は重要なポイントで、緊迫感あるギリギリの決断を描けばもっと盛り上がったのでは?それを決断したダラス艦長役S・グレンは好演。亡命意思を確認するため、ダラスとレッド・オクトーバーがモールス信号で会話するシーンは記憶に残る名場面だ。 潜水艦ダラスの海面浮上シーンはクジラを連想させる映像で面白い。他の動物を助けるような行動をとるといわれるザトウクジラのダイブを模したか? 魚雷発射され危機になっても艦長たちは冷静すぎの印象であるし、ソ連艦でのコックの銃撃はやや盛り上がりに欠けると思うが、最後は亡命に成功し、めでたし、めでたし。 冷戦時代は他人事でなかった。何せ「プロレタリアート独裁」を職場で語る輩が多数いたんだから・・・。そんな連中はソ連崩壊後、誰も「独裁」賛美に加担した謝罪や反省をしやしない。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2016-02-14 15:34:19)
128.  プラトーン
ベトナム戦争に従軍した1兵士の視点から、戦争の実態がリアルに描かれる。ジャングルでの過酷な行軍、疑心暗鬼、服従、裏切り、狂気・・・。さらに、村人の虐殺、焼き討ち、部隊内での殺人、誤爆などこれでもかというほど暗部を暴く。麻薬汚染はいかにもアメリカ的ではある。 製作当時のアメリカ映画としては異色の力作だが、過酷な戦場を描いたら(作品名を挙げるまでもなく)太平洋戦争を題材にした日本映画の方がはるかに説得力があるのではないか。本作と決定的に違うのは、日本映画の場合、物資の補給不足による悲惨な飢えが加わること。時には人食いさえも描かれる。その点は所詮アメリカ映画。エリアス軍曹が最後に両手を上げるシーンは神への祈りなのか戦争への怒りなのか?印象的な場面だが、このポーズでさえ「カッコつけ」に思えてしまうほどヒロイズムを感じる。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2015-12-20 14:09:11)
129.  2001年宇宙の旅
宇宙空間の壮大さをゆったりした映像で表現し、音楽と一体化して見せる一大叙事詩。セリフが極力抑えられており、環境映像のような見方で画面に集中できる。製作当時は米ソ冷戦真っ只中であり、宇宙開発にしのぎを削っていた時代。監督の前作「博士の異常な愛情・・・」からの流れで見れば、対立から協調を経て、宇宙開発における米ソの協力を織り込んでいる。先見性という点で、本作の評価には直結しないが21世紀におけるソ連の存在は、映像の完成度が高いだけにイタかったなあ。HALの予測ミスをあたかも証明したかのようだ。セリフはもっと厳選してもよかったろう。また、木星探査計画での女性・非白人のクルーがいない描き方も物足りない(同時期に製作の「スタートレック」と対照的)。オープニングからHALの叛乱あたりまでは完璧な画面作りに挑み、宇宙船の窓の人影が動く描写など緻密だ。最後の「木星 そして無限の宇宙の彼方へ」の章は、あえて明快な描写をせず、観る人にそれぞれの解釈を委ねる演出だが、これは諸刃の剣だろう。観終わってから、ある人がAという解釈をすれば別の人はしたり顔でBと反論するような議論百出の問題作。進化をめぐるモノリスやスターチャイルドの姿を見ると、科学・哲学と宗教のごちゃ混ぜ感は否めない。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2015-11-29 16:46:06)
130.  戦火の馬
第1次世界大戦を背景に、軍用馬として徴用されたサラブレッドを主人公とし、その数奇な運命と、戦時下における人間と馬の交流を絡めて描くロードムービー。故に長い。全体的に感動要素テンコ盛りで少々ゲップが出る。逆光を活かした撮影は絵画的画面の連続で、時には影絵のような効果も。特に室内シーンはフェルメールの絵画を思わせる。ヨーロッパの牧歌的な時代を舞台にしてヴィスコンティを意識したか?塹壕内での毒ガスによるアルバートの目の負傷は終盤への伏線であり、口笛を吹いてジョーイと再会する場面へと繋がる。クライマックスは鉄条網に絡まれた馬の救出をめぐる英独の休戦シーン。敵味方を超えての会話やカッターを一斉に投げるシーンなど出来過ぎの美談の感もあるが、第2次世界大戦におけるリリー・マルレーンの例もあり、決してメルヘンとも言い切れない。特筆すべきは馬の表情の豊かさで、擬人的な演出が随所にみられる。ラストの帰郷シーンは、遠景ショットのシルエットが印象的な、余韻の残る場面だった。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2015-11-08 14:54:40)
131.  ウエスト・サイド物語(1961)
今に通じる“差別と貧困”や“不寛容による対立”をテーマに、「ロミオとジュリエット」を下敷きにして現代の若者の群像劇を描いたミュージカル映画の傑作。G・チャキリス、R・モレノ、R・タンブリン等の芸達者な踊りに比べ主役二人(R・ベーマー、N・ウッド)は霞んで見えるが、音楽やダンスと芝居の融合という点で、これも計算のうちなのだろう。 躍動的なダンスで若者の活力を謳った「アメリカ」、対立して熱くなった時こそ“頭を冷やせ”のメッセージを込めた「クール」、甘いラブソングの「マリア」等々、名曲が華を添える。お気に入りは「クール」だ。A・パーキンスをワイルドにしたようなT・スミスをメインに、彼らが歌い踊るシーンは「静」から「動」への流れが見事! ラストはトニーが殺され悲劇的な結末だったが、「ロミオとジュリエット」と異なり、生き残ったマリアの叫びは、不毛な対立を越えて微かな救いを残す余韻があった。 フィンガースナップの流行やM・ジャクソンのミュージックビデオへの影響、日本でもジャニーズ少年野球団が芸能界を志すきっかけになった等々、この作品は多くの方面に影響を与えた。そして「サイボーグ009」。ジェットの登場シーンにおけるオマージュは忘れがたい。 共同監督のR・ワイズとJ・ロビンスは作品の完成後決別したとか。2人の才能と情熱が化学反応を呼び起こし、この名作を生んでくれたことに感謝。
[映画館(字幕)] 10点(2015-10-24 20:59:24)
132.  禁断の惑星
テンペストを土台にして宇宙空間をヴィジュアル化し、人間の深層心理を描いたSF映画の金字塔。白黒SFが中心の時代に、哲学的な内容を含んだ奥深い構想力でカラー映像を製作したことは高く評価できる。ロボット・ロビーの登場は画期的で、その後のフライデー等を経て現代まで脈々と受け継がれる、言わばゆるキャラの先駆者といえる。ハニー・ウエストを演じる前のA・フランシスがキュートな魅力全開。惑星に生き残った博士の潜在意識が生んだ“イドの怪物”のアニメ処理はご愛嬌で、獣性はあるものの全然怖くない。が、自然界では恐ろしい風貌の動物ほど弱い小さな生物であることが多く、怖い姿形は身を守るためということもある。「本当に怖いものは優しい顔をしてやってくる」というくらいだから、案外これでいいのかも。その正体は示唆に富んでおり、現代に目を転じれば、いわゆる「神の見えざる手」の世界にも、まるでイドの怪物が棲んでいるかのような強欲が存在する。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2015-10-11 20:29:05)(良:2票)
133.  眼下の敵 《ネタバレ》 
前半から中盤にかけてはアメリカ駆逐艦とドイツ潜水艦内の人間模様が描かれ、終盤は神経戦を交えた緊迫感あふれる攻防が続く。お互い死力を尽くし、ドイツ側勝利!と思ったら最後は駆逐艦が潜水艦に体当たりし相打ちとなる。R・ミッチャム、C・ユルゲンス演じる艦長の的確なリーダーシップとともに細やかな人間性を描いており、前者は兄貴分的な、後者は父親的なリーダー。特に、ナチスに対する批判的な思いを抱きながらも任務として戦うという、複雑な心情を表すユルゲンスの演技が光る。両艦の衝突後、海上では敵味方の区別なく乗員たちが助け合う。ラスト、潜水艦に残ったドイツ艦長とその部下をアメリカ艦長が救い出す。アメリカ艦長「次はロープを投げんぞ」のセリフに、救出されたドイツ艦長が「いや、君なら投げるね」と返すシーンは名場面だ。海の男ならこのような展開もありえるかなと思わせるリアリティがあり、敵味方の枠を超えた物語としては「戦場にかける橋」より数段上だ。ケネディが乗った魚雷艇109と日本海軍の駆逐艦「天霧」もひょっとして・・・気づいていたら・・・???と思わせるような?・・・なんてね。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-09-27 12:40:53)
134.  星のない男 《ネタバレ》 
私評として文句なしに西部劇のベスト1だ。オープニングは機関車の疾走に合わせF・レインの歌声が響く。飄々としながらも影が漂う主人公のガンマンを演じるK・ダグラスの演技は絶品。流れ者のガンマン(ダグラス)が惚れた女性から「何が欲しい」と聞かれ、帳簿に「you」と書くシーンは粋な演出だ。主人公を慕う若者との交流・師弟愛が心地よい。若者に拳銃の扱い方を教えるシーンはガンマンの真骨頂、軽快に銃を捌いて凄腕ぶりを見せつける。その後銃の腕を上げた若者が人を殺してしまった時、主人公はそれまでの飄々とした態度から一変、鬼気迫る表情で軽はずみな行動を窘める。牧場に雇われた彼には、有刺鉄線で傷ついた苦い記憶がある。やがて牧草地の有刺鉄線をめぐって牧場同士の対立が起り、主人公を巻き込むことになる。この過程で描かれる、スタンピートを織り交ぜた銃撃シーンは躍動感が溢れている。終盤、有刺鉄線をバックに繰り広げられる決闘シーンは、拳銃を使わず殴り合いで決着というのもメッセージ性がある。ラストはトラブルを解決し、「俺に境界は無用だぜ」とばかりに去ってゆく流れ者・・・星を持たない、放浪する男の美学。この映画では「有刺鉄線」という境界(しかも人を傷つけるもの)を問題事の象徴として描いている。現実に境界なしで社会は成り立たないものだが、それがために争いの元でもある。宇宙飛行士が地球へ帰還後に語る「宇宙から見れば国境はない」の精神を連想した。
[地上波(吹替)] 10点(2015-09-23 15:52:54)(良:1票)
135.  硫黄島からの手紙
硫黄島二部作の1本、評価は2作トータルで7点だ。こちらの方は日本側からの視点で製作とあったが、栗林中将と西中佐の描き方を見ると「知米派=部下思いのいい上官」的な描き方で、単調なアメリカ目線を感じる。爆撃を受けて馬をいち早く心配するのもどうかと思う。戦闘場面は迫力十分だが、記録映像を見慣れたせいか、リアルに見せようとすればするほど「技術が発達し表現方法が進化しました」という作り物感が出てしまう。戦場では負傷者の血しぶきが顔に当たるどころか、肉片や内臓がもろに飛んでくることもあるのだろう。仮にそこまで描写されたとしても心に響くだろうか。音声も気になる。音の遠近感(奥行)を出す思惑があるのだろうが、小声でセリフをしゃべられても何を言っているのか不明。リアリズムは結構だが、観る(聴く)人を意識して作ることは大事だ。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2015-09-09 11:28:41)
136.  長い灰色の線
長い灰色の映画だったなあ。・・・時間が。とにかくJ・フォードのアイリッシュ愛と愛国者ぶりがよくわかった、てだけの映画。軍人の一代記に特に感じるものはない。T・パワーが終戦直後、進駐軍の一員として来日したとか。その点では適役だったな。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2015-09-09 11:12:37)
137.  父親たちの星条旗
激しい戦闘場面等を通じて戦争の悲惨さ・虚しさを前面に出している。兵士の苦悩や葛藤を丁寧に描いているが、数多の回想形式映画を観てきたせいか、ものすごい既視感がある。それだけに陳腐な印象。基本的には「市民ケーン」の構成かな?事前にBSのドキュメンタリー番組を観ていたため、星条旗を立てた後も戦闘が続いたことや、写真が戦費調達に利用されたことを知ることができた。一部の兵士をヒーロー扱いする政府やマスコミの手口は醜い面もあるが、冷静に考えればこのような資金調達が戦争勝利に貢献したともいえる。したたかに計算されたアメリカの国力と、最後は竹やりで本土決戦しようとした日本、彼我の差を感じさせられる。印象深いのはアイラ。案の定、数か所のシーンで彼に対する差別が描かれており、人間としての苦悩は深い。陰の主役といっていいだろう。
[CS・衛星(吹替)] 5点(2015-09-03 20:55:01)
138.  ファントム・オブ・パラダイス
怪作にして快作。音楽業界を背景にした人間模様が原色コテコテに展開という感じで、ロック・ミュージカルという印象ではない。「オペラ座の怪人」「ファウスト」を土台にしているため物語がしっかりしているのもむべなるかな。ファントムの悲恋が切ないが、怪奇的・喜劇的な要素タップリで、特にビーフ(まさにキモカワイイ)の歌うシーンは何度観ても笑ってしまう。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-07-18 14:48:33)
139.  ビヨンド the シー/夢見るように歌えば
歌手B・ダーリンの生涯を描いたもので、興味深く観た。子供の頃の病気が遠因で彼が早世したとは知らなかった。若い頃のボビー・ダーリンをK・スペイシーが演じるには、ちょっと無理があったかな。でも、自ら演出し、懸命に歌い踊る姿は好感が持てる。「有名人をモデルとして、本人ソックリに演じてオスカー受賞」狙いとは全然違う映画。だからこそ支持したい。ちなみに「俳優ボビー・ダーリン」も素晴らしかった(映画「突撃隊」)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-11-03 21:38:37)
140.  スタンド・バイ・ミー
ノスタルジー映画の代表的なもので、好きな作品だ。少年期に体験する冒険、友情、喧嘩、家族の葛藤などを通じて精神的に成長していく姿をしんみりと描く。主役W・ウィートンと悪童役K・サザーランドが対照的で適役だ。ブルーベリーパイの大食い大会はユーモラスだけど、ゲボを吐くシーンだけは好きになれない。逆に、好きなシーンは猛犬と恐れられた犬が、実は弱々しい小さな犬だったというオチ。伝説とはこういうもの、というナレーションには「そうそう」という思いだった。「ミネソタの猛虎」とか「AWAの帝王」と呼ばれたヴァーン・ガニアの初来日時のファイトがまさにこれにあたる。それまでは、「チャンピオンは強い」というイメージ(あくまでもイメージ)があったが、見事に壊してくれたもんなあ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-18 11:51:52)
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