1. 地獄の変異
そこそこに優秀だけど冒険しない、いまいちぱっとしない優等生のような映画。 映像・美術への力の入れ方は半端じゃなくて、冒頭を観て間違ってヨーロッパの戦争映画を借りてきたんじゃないかと疑ったほど。洞窟内の映像もドキュメンタリーに劣らないクオリティで、ときどき話の筋と無関係にキレイだなーと見惚れていた。 でもお話としては毒にも薬にもならないというか、クズでもないけどA級でもないという平凡さ。暗闇のなかで怪物の姿がはっきりしないのは『エイリアン』第一作とか意識してるのかもしれないけど、いかんせんデザインが微妙。悪くもないけど、パンチが効いてない。 洞窟という閉塞感のある状況設定は秀逸なんだから、ウォータースライダーみたいな下りやロッククライミングの場面をもっと生かしてもよかったと思う。岩壁でロープを利用して振り子のように逃げるあの場面、演出次第によっては戦慄の名シーンになったはずだけど、そこもなぜか普通だった。全体を通して演出が抑え目なんだけど、それが功を奏しているのはラストぐらいなんじゃないかな。 なんというか、惜しい。何もかもが中途半端で、思い切った部分がない。もっとドラマティックにエンターテインメントできたはずなのに(あるいは、B級風味のない硬質なサスペンスにもできただろう)、地味で大人しいレベルに留まってしまったという感じ。 [DVD(字幕)] 5点(2008-02-02 16:32:45)(良:1票) |
2. 16ブロック
《ネタバレ》 どうもアクションよりも端々での人情味あふれる描写の方が冴えているように感じた。普通なら温すぎるように感じるだろう結末も嫌味がない。タイム・サスペンスの要素はさして効果的ではなく、緊迫感が乏しいのが難点だろうか。それでも観て損した気分にならないのは、人間ドラマの構築が巧みだからだろう。サスペンスの小道具がテープレコーダーで、人間ドラマの小道具があの謎かけだとしたら、そのセンスの差は歴然としている。あと、一瞬誤って違う映画を借りてきたんじゃないかと思うくらいに冒頭がかっこいいのは嬉しい収穫だった。 総じて、普通のアクション映画が力を入れるところ(派手なクラッシュなど)に入れないで、手を抜くところでは抜いていないという感じがした。作り手が真面目に、誠実に制作に当たっているのがよくわかる。 ところで、どういう意向か知らないが別パターンの結末はDVDには収録しないでほしい。あるとついつい観てしまうけれど、どっちがいいとか悪いとかいう以前に、「このお話は作り物なんですよ」と強調されるようで、興冷めしてしまう。 [DVD(字幕)] 6点(2007-09-23 15:10:41) |
3. 春夏秋冬そして春
ロケ地の風景がすごい。湖の真ん中にあるお寺とその周りの山林はただそれだけで絵になる。…が、撮り方としてはもっともっと凝ってみても良かったと思う。場所は印象的でも撮り方が普通なので、無料でもらえるカレンダーの写真みたいな微妙な感じ。やろうと思えばもっと深遠な空気が出せたはず。 ストーリー展開はほぼ予想通りのストレートなものなのだけど、これが案外面白かった。ラストで流れる宗教的な曲に拒絶反応を覚えさえしなければ…どうも肝心なところでセンスが合わないんだよなあ…。 一番面白かったのは予測のつかない和尚さんの行動。基本的に目的は間違ってはいないのだが、手段としては若干間違っていると思う。とくに般若心境を書く筆代わりに尻尾を使われてしまう猫が可哀そう(笑)。普通の筆でいいじゃん! いい迷惑だよ、猫。 [DVD(字幕)] 6点(2006-06-29 14:33:10)(笑:1票) |
4. シビラの悪戯
何をしたいのかがよくわからない。シビラがなぜあの普通のおじさんを好きになったのかもわからなければ、そもそも彼女の性格もわからない。おじさんも、シビラに恋する少年の心情も細かく描写されず、終盤一気にドラマチックになっても説得力がない。この脚本で主要登場人物に感情移入するのが難しいのは致命的。 脇役とそのエピソードの方がよほど面白い。シビラを中心に据えてセックスに関するユーモラスな群像劇を描くのかと思ったが、核となるべきエピソードが一番つまらないのでがっかりした。詩的な原題に比べて、なんて空虚なドラマなのか。無理やり劇的なラブストーリーにしようとしなければ面白かったかもしれない。 (後、シビラの声が汚い。鼻詰まりの少年のような声で、ハスキーとかそういうレベルじゃなく、汚い。個人的な好みだが、声の汚い女性は嫌いなので彼女の魅力も半減した。) 3点(2005-01-24 04:24:36) |
5. ジーパーズ・クリーパーズ
前半を撮った時点で監督が強く頭を打ったとか、そういうことだろうか? 3点(2004-02-28 06:19:34)(笑:1票) |