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あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 2524
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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181.  彼らが本気で編むときは、 《ネタバレ》 
 ふんわりとしたタッチの中に偏見や差別、育児放棄といった問題が編み込まれていて、その弱者であるがゆえの脆さが心に痛い映画。   LGBTのカップルと育児放棄された子供の共同生活というと『チョコレートドーナツ』を思い出しますが、この映画では登場人物達は差別や偏見と戦いません。ひたすら耐え忍ぶ、逃避する、やり過ごす・・・当然、勝利する事はありませんし、ゆえに勝利のカタルシスもありません。  途中でトモが台所洗剤で攻撃するシーンに爽快感を覚えたりするものの、それは間違った事として否定されますし、リンコが男性病棟に入れられた事を差別だとして怒るマキオに対しても何の対応もされません。自殺未遂のトランスジェンダーの少年に未来が開ける事もありませんし、最終的に誰かが救われる事もありません。  もっと世界と戦っていいんじゃないか? あまりに被虐的なんじゃないか? とも思うのですが、この中で勝利した事で現実の世界で何かが変わる訳ではありませんからね。カタルシスはそこで完結させちゃうためのものですし。   リンコと母、マキオと姉、その姉、トモと母、少年と母、それぞれの関係を通して、家族だけは理解し、味方になってあげなければならない事が強く示されます。社会や世間がいかに無理解で、牙を剥いてこようとも、家族が理解し、居場所があれば生きてゆける、と。徹底的に父性が排除されている点にどんな意図があるのかはちょっと理解し難く気になりますが。男はマキオや老人ホームの年寄りを見てもただのガキとしての立ち位置しかないような感じ。   残念ながら生田斗真が『予告犯』や『グラスホッパー』や『秘密』の生田斗真その人、リンコというキャラを演じてる人にしか思えなかったのは、私の想像力の欠如が原因かな。でもそういう人の「演技」はそうだよね、っていう感じで、ナマのそういう人の感覚がどうにも薄かった気がするのですよね。   世界が理解を示してくれればいい、けれどそれはあまりに遠い道、ある意味絶望的、ならば理解ある人だけで繋がる世界であっても仕方ない・・・って、それは色々な偏見や差別と同じ地平に繋がっている訳ですね・・・
[映画館(邦画)] 7点(2017-02-28 23:26:11)
182.  ひるね姫 ~知らないワタシの物語~ 《ネタバレ》 
 なんでこんなにゴチャゴチャしちゃったかなぁ、っていうのが見終わっての印象。予告だけ見るとファンタジーのようですが、実際にはSF成分が多め。あとミステリー要素があって、ロードムービーで、あれこれといろんなエッセンスがいっぱい詰め込まれているのだけれど、何かすきま風が吹いているような、空回りしちゃってるような感じ。   話の主軸であるハズの夢の中の世界と現実世界とのリンク、ここが実のところあまり上手くいっていない気がするんですね。物語に絡む余計なモノが多過ぎてしまって、その上、物語上での隠し事をするものだから明快さも欠いてしまって、結局のところ、夢と現実とがどう作用してどう機能していたのかが最後まで見ても今一つハッキリしないっていう。それじゃ肝心のドラマも迫ってきません。   で、その世界をブレさせてしまう余計なモノって、主に凝った設定関係。背景となる陰謀部分と、夢世界での王国部分とで、色々細かに描いてみせる訳ですが、そこがそんなに重要なのか?と。両親とお爺さんの会社の設定部分なんか、色々説明されたところで面白さには繋がっていかないんですよね。  その上、デザイン、エピソード、設定に既存のモノが、もうそれこそいっぱいイメージされてしまいます。そこに見えるのは大量の国産アニメと少しの海外のアニメと実写作品と小説。どこかで見た事ある、って印象が世界観を狭いものに感じさせてしまいます(さすがに『クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』との基本設定から重要な部分までの激しいネタカブリっぷりは製作時期から考えても偶然による不幸としか言い様がないでしょうけれど)。   声まで含めてキャラクターは魅力的だったのですが、設定や世界観に縛られてしまって自由に動けてなくて可哀想、って印象でした。その、様々な要素を活かしきれないままな状態のアニメ、第二の『ポッピンQ』爆誕!みたいな・・・
[試写会(邦画)] 5点(2017-02-28 21:24:38)
183.  恋妻家宮本 《ネタバレ》 
 役者がとても良くて、登場人物ひとりひとりに気持ちを乗せる事ができて。特にドンが良かったなぁ。ドンの抱えた哀しみが響いて。   でも残念ながら、映画としてはあまり褒められない状態で。映像と脚本と音楽とが、全部説明口調というか解説風というか。面白味を狙っているつもりが全部説明になっちゃってる映像なんかは、あー、やっちゃったねぇ、ってモノがたっぷり。  完全な一人称映像で始まりながら、次のカットでその存在が消滅しちゃうという冒頭からして間違っちゃってるのですが(いや、あのファーストカットこそは映画の「入口」で観客を迎えてるって言いたいんでしょうけれど)、問題はたとえば映像とモノローグと文字と音楽とが全て同じ事を語るという、そのハイパーおせっかい表現法。本来、無言の演技だけで構成して表現できるであろう事柄に気持ちを表すモノローグを入れ、更にそのモノローグを具体的に表す文字を画面上に登場させ、音楽も気持ちを語るという。そこまでしなければ理解してくれない誰かを対象に映画を作らなければならないと思うのは、強迫観念みたいなものなのでしょうかねぇ。  状況によって変化するライティングとか特定のセリフにかかるエコーとか、お節介、やり過ぎ感がハンパないです。  対象として想定される観客のレベルを下げる事によって作品のレベルまで下がっちゃうと思うのですが。   阿部寛と天海祐希のコンビは眺めているだけで十分絵になっちゃうわけで、そんなに色々と盛ってあげなくちゃいけない存在ではありませんよね。「語らなきゃ想いは伝わらない」ってお話ではあるのだけど、それは映画そのものの物理的現象とイコールって訳ではない筈です。   でも、天海祐希が停電した駅の待合室でお弁当を食べるシーンを見て、かつて邦画に食事シーンが多い事に苦言を呈していた人がいた事を思い出しましたが、食事シーンこそは邦画の大きな魅力の一つなんじゃないかな、と思いました。このところ『エミアビのはじまりとはじまり』『この世界の片隅に』『サバイバルファミリー』そしてこれと、邦画の印象的な食事シーンに出会う事が多いな、って。
[映画館(邦画)] 6点(2017-02-19 21:57:46)
184.  本能寺ホテル 《ネタバレ》 
 良くも悪くも(いや、良くもな部分はほぼ皆無に等しいのですが)いかにもフジテレビな映画。真面目に作ろうって気はあるのかいなぁ、ってツッコミたくなるような作品で。   綾瀬はるかの役が素の彼女を活かしてか、かなり天然系なんですよね。なのでタイムスリップしても大して驚きゃしないし、タイムスリップ先で最初に出会った人物(森蘭丸)にいきなり自分の身の上話を始めちゃうし、無礼者としてさっさと斬り捨ててくださいね、と言わんばかりに信長の前で頭の悪い言動を繰り返すし。現代の人間が信長の前にタイムスリップしちゃったら、っていう話と言うより、世間がイメージしてる綾瀬はるかが信長の前でボケかましまくったら、っていう映画になっていて、ゆるキャラものみたいなモンで。実にフジテレビらしいです。   一方の信長はタイムスリップしてきた娘の存在によって何らかの意外な展開を見せる訳でもなんでもなくて、なーんの変化もないままに本能寺の変までを消化してゆくだけで、面白味に欠けまくります。ただ、信長というキャラの成り立ちについてはそれなりに語ってみせてます、って、それだけ。唯一、現代から持ち込まれた観光チラシがキーアイテムのような存在に見えますが、それもあまり上手く機能しているようには思えません。   タイムスリップの結果として、このような事になりましたというオチが存在していないんですよね。綾瀬はるかは最終的に成長したような描かれ方をしますが、それは別にタイムスリップによる作用でなくたって何だっていい訳ですし。明智光秀の謀反による本能寺の変について説明を受けた上でも信長側の歴史は改変される事はありませんし。タイムスリップものとしての面白味、醍醐味はほぼ皆無。   で、そんな作品でも退屈はせずに見られたのでこの点数。映画そのものが面白かったのではなくて、好きな京都を舞台にしていて(絵葉書的風景が羅列される映画ではありますが)その歴史に想いを馳せる事ができた事、綾瀬はるかのキャラものとしては楽しかった事、その二点が良かった、ってそれだけ。  少し前に宝塚月組の『信長』も見ましたしね(あれはあれでトップの退団公演なのに信長から話が離れる時間が長過ぎたり、この映画と同様に信長のキャラが固まってて変化が無かったりで、イマイチな舞台でしたが)。   まあ、人には決してお薦めできない映画ではあります。
[映画館(邦画)] 5点(2017-02-15 23:24:40)
185.  傷物語Ⅲ 冷血篇 《ネタバレ》 
 延々と執拗に続くヒロインへのセクハラ描写とクライマックスの人体欠損合戦に、結局このアニメの本質ってそこだったんだなぁ、と呆れつつ見ておりました。つーか結局あの「NOIR」に意味なんて無いし。ノワール・・・何が黒いの暗黒なの? カッコだけ。あれ全部削除した方がいいんじゃね?   最終作はそれなりの尺になりましたが大したハナシは残っちゃいない状態でダレます。主人公がキスショットの命を救った事の意味に主人公自身が気付いて戦慄する前半、だけどそんくらい覚悟してなかったんかい、ってな話で一人で何を悲劇のヒーローの如く嘆いているのやら、と。  で、間延びした末の対決で、ご丁寧にセリフで解説されてしまうキスショットの本意の意外性の無さも去る事ながら、最終的な着地点は、つまり、永遠のロリコンの円環の中に閉塞する道。おいおい『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』以前まで退化しちゃったよ・・・   この作品、何か新しい事をしているように見えて、実のところ再生産を繰り返しているばかりに見えます。子供向けでない、エロティックな、或いは残虐な描写でアピールする、そういうのは進化でもなんでもなくて、過去に何度も繰り返された、安易にエログロに走って袋小路にハマるパターン。その先に待っているのは滅亡なので、そっちではない道を探した方がいいと思いますよ?   で、褒められるところがあるとしたら、シネスコ画面にひたすら空虚な背景を重ねてゆく事で、なーんにもないカラッポな世界を描出している点。この作品の本質も実はそんなモンなんですよ、ってシニカルに象徴しているのだとしたら、それはなかなかじゃない?
[映画館(邦画)] 4点(2017-02-15 22:47:34)(良:1票)
186.  サバイバルファミリー(2017) 《ネタバレ》 
 東京大停電とか東日本大震災の時の物不足とかを経験しているので、この映画に描かれた事がリアリティを持って伝わってきて、これ、私にとってはコメディなんかじゃなくって、パニックホラーの世界でした。映画を見ながら実際にこのような状況に陥ったらどうなっちゃうんだろう?とあれこれ考えて恐怖に震え上がってしまう状態。   映画にはツッコミどころがいっぱいです。乾電池、充電池まで全て無効化してしまうとかいう本来あり得ない事はそういう状況を作るためのファンタジーとして、事態を認識するまでが遅い、自動車がダメなのに飛行機は飛ぶと信じてしまう根拠が判らない、それなりの日数が経過しているのに主人公一家が到達したタイミングで閉鎖になる羽田空港、全く機能していないように見える警察や自衛隊や地方自治(マンション一棟での自治しか機能していないっていうのは幾ら連絡方法が無いとはいえ狭すぎやしませんかねぇ?)、その一方で妙に連帯している田舎(そうやって都会と差別化してイメージ作ってる訳ですが)、これ見よがしに要所要所で登場するゲスト出演者でシラケる(フジテレビらしいと言えますが)等々。   でも、やがてその旅から根源的な「食べるため、生きるために行動する」姿が浮かび上がってきて、それはやっぱり感動的なのでした。後半の農家でのご飯は『この世界の片隅に』以上に泣ける食事シーンでした。   教訓染みた自然回帰志向とか、依存型の文明に対する批判とか、そういう部分を強調し過ぎていて白ける感もありましたし(都市型の一般大衆を意識の低い存在と見てるフシがありますな)、エピローグ部分のダメ押しみたいな展開にゲンナリしたりもしましたが(目覚ましのところあたりで終わらせちゃった方が良かったんじゃ?)、この世界の中で「人間」という生物が「食べる」事の重要さ、大切さを描いた点を高く評価したいと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2017-02-14 22:32:40)
187.  沈黙 ーサイレンスー(2016) 《ネタバレ》 
 海に接する場所、霧の中に消え、霧の中から姿を現し、この映画に描かれる日本という閉塞的な世界には一貫して神の視点がありません。地理や位置関係を示す視点、生活や人物の関係性を語る視点、そういう作品世界を俯瞰する描写が存在せず、ひたすらロドリゴ神父の見聞きする世界のみがあって。その閉塞された混沌世界の描写は、己の信仰心と対峙する神父の葛藤を明確に浮き彫りにさせます。  絶対的な神を持たない民族の信仰の姿はキチジローに代表されて、それは今に至るまでずっと同じ日本人の姿を示しているところが面白いです。陰鬱な映画なのに、布教どころか自己の信仰すらも歪ませてしまいかねない、八百万の神を持つこの国の特異性を妙に面白く(自嘲的に)感じてしまう私でした。   踏み絵も拷問も処刑もお役所仕事、みたいな描かれ方もまた日本人らしさを示していて、なんとなく可笑しく思えてしまって、でも海の向こうの人から見れば恐ろしい事なのだろうなぁ、と。    だけどリーアム・ニーソンのキャスティングによってフェレイラ神父がクワイ=ガン・ジンに重なってしまい、そう言えばアンドリュー・ガーフィールドってヘイデン・クリステンセンに似てなくもなくて、ダークサイドに堕ちたクワイ=ガン・ジンがアナキンを誘う映画みたいに見えてしまい。オビ=ワンがいればなぁ、みたいな。日本はダークサイドか。   しかし蜩はあの時間には鳴かないのではないかいな?
[映画館(字幕)] 9点(2017-02-13 22:15:23)(良:1票)
188.  僕らのごはんは明日で待ってる 《ネタバレ》 
 主役2人が魅力的なので最初から最後まで退屈せずに楽しませてくれました。特に高校時代に2人が重ねてゆくエピソードが微笑ましくて。  でも、どんな映画か知らないままに見に行ったのですが、どこかとんがった映画なのか(タイトルがヘンだし)と思ったらワリとフツー(凡庸)で。   食べ物を通して、個と個、意識と意識、自我と他者との関係について語る映画、なんですけれど、なんだかハンパなんですよね。  たとえば食べ物がモチーフになっているのですが、その食事風景や料理に対して映画として拘りが感じられません。ただ普通に漫然と過ぎてゆくだけ。単なる口を経てお腹に収まってゆく小道具としての食べ物が描かれるばかりで、美味しそうとか、食べ方に意味があるとか、そういうの無し。ポカリやケンチキといった実在するものがキーアイテムになりつつ、それらの持つ既存のイメージ以上のモノは何も描こうとしていません。  更に、セリフで表現されるものが総てといった感じで、延々秘匿されるものも、フタを開ければ(タネ明かしのセリフで説明されれば)よくある物語の姿が露出するだけ。  米袋ジャンプのシーンは明らかなメタファーだと思ったのですが、その後のフツーさから考えるとそれすら怪しく感じられて。  ヒロインの泣きにかつて彼女が発したセリフをリフレインさせるという説明過剰っぷりは失笑モノですし、病院のロビーでのおばあさんの言わずもがななセリフも頭の中で先行したモノをトレースしてくれて苦笑状態。  病室での「握手」から一気にエピローグまですっ飛ばすくらいの飛躍があっても良かったんじゃないですかねぇ。全体的に拘りが足らない映画という印象でした。   でも「ああいうコいるいる」って感じのヒロインが反応薄い主人公(と映画自体)を動かす、軽やかで爽やかな動力源として機能していました。あと片桐はいりがいい感じ。   主人公の心の変遷に、若い人が少し自分のこれからの生について何か考える事ができる、そんな映画なんじゃないかと思います。
[映画館(邦画)] 6点(2017-01-10 20:46:21)
189.  ポッピンQ 《ネタバレ》 
 ワリと見られるというか、惜しいというか。   キャラクターデザインとか設定とか良いと思うんですよね。自分を見失った少女達が、突如誘われた異世界で悪と戦う事になる、って。  でも脚本と演出のせいで面白いモノになってゆかない感じ。説明セリフ多過ぎ、というかセリフによってねじ伏せて話を進めてゆくという日本のアニメの悪癖がここでも繰り返されます。  踊りで世界を平和にするっていう無理矢理な設定にクドクドと説明をする事で納得させようとする必要があるのでしょうか? 『スペースチャンネル5』みたいに「踊りで勝負よ!」で済ませちゃえばいいんじゃないかと。  そういう「設定を説明するための時間」が映画のテンポを悪くしますし、もっと見てみたい部分が削られてしまう結果になって。メインキャラ5人の個性はもっともっといっぱい描かれて良かったハズなのに、説明に引っ張られてとても物足らないものになってしまって。  彼女達が抱えた悩みや想い、悪の存在が意味するもの、同位体(マスコット)との関係性、それらの要素がどれもハンパになってしまって、ここまで色々と創造したのに扱い方がなんとも勿体なくて残念、って感じ。   ヒロインの色や役割は『どれみ』『プリキュア』を思わせて、しっかりと東映魔法少女モノの系譜を感じさせつつ、一方で『ガリバーの宇宙旅行』なんかも思い出させて、東映動画伝統の香りを漂わせていたあたり、古いアニメおたくとして楽しませて頂きました。  でも、当然予想されるラストシーン(エンドクレジット後ですが)を更に突き抜けてゆく部分はふざけ過ぎ。あれじゃ真面目に見てきた観客を馬鹿にしちゃってません?  観月ありさ、中井貴一主演のドラマ『じゃじゃ馬ならし』最終回ラストを思い出しました。
[映画館(邦画)] 6点(2017-01-05 22:50:22)
190.  映画 妖怪ウォッチ/空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン! 《ネタバレ》 
 CGとの合成を前提として撮られている実写パートがかなりぎこちないとか、アニメパートの作画がテレビアニメレベルのお手軽さとかっていう明らかな難点はありますが、もっと基本的なところで「この映画は大丈夫なのだろうか?」って心配になりました。   アニメのキャラクターがこちら(現実)側の世界の存在になってしまう事に対する違和感、異常さを描いているわけですが、それはつまり『妖怪ウォッチ』という作品そのものがアニメの世界の話である、現実とは違う世界の物語であると主張しているんですよね。こちら側を毛穴世界(アニメのキャラクターには毛穴がありませんから)と呼ぶ主人公を始め、全てのキャラはあちら側の存在であり、そこには明確な境界が存在しているのですよ、と作品をメタ化してみせます。  更にこちら側の人間が逃避という形であちら側の(アニメゆえの)飛躍的に自由な能力を獲得し、あちら側のキャラはこちら側に来る事で現実に引っ張られて能力が極端に低下するという描写によって、その差異を強調してみせた上で、現実を生きるための努力が必要ですよ、アニメに逃避してちゃダメですよ、と釘を刺してきます。  それが劇場に来ていたメイン層である未就学~小学校低学年の子供達に受け入れられるのかどうか、ちょっと心配。むしろ人間側ヒロインの15歳という設定年齢、そのくらいの世代の人に向かって発信されているようにも思えます。大人に向かって社会と自己とに向き合ってゆかなければならない、そんな時期の人。  夢の側から「夢は夢として現実を生きろ」と主張してくる、なかなかに辛辣で侮れない作品だったりするのでした。   まあ、私なんかは遠い昔に手遅れになってますが。CGジバニャンかわいー。
[映画館(邦画)] 7点(2017-01-05 22:24:13)
191.  ぼくは明日、昨日のきみとデートする 《ネタバレ》 
 その構成が『ヒメアノ~ル』とモロにカブってますが、こちらはひたすら甘く切ない映画。   『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクが言った「細かいコトは気にするな」って、私はレビューでよく書くんですが、この映画は「大きなトコからして気にするな」って映画で、基本設定が「なんでそうなってるの? そもそもどこからどうきてるの? 起源はどこ?」ってまあ大変なツッコミワールド。でも、グダグダと説明を重ねて言い訳せず「そういうものだ」と割り切ってくるので、こちらもいつまでもソッチに頭を使わずに済みます。それにとにかく映像が魅力的なのでそちらに心がどんどん動いてゆく、全編アタマよりココロな感じで見られる映画です。   「青春映画を撮らせたらこの人!」な三木孝浩監督お得意の光を駆使しまくった映像(よくもあれほどまでにキレイに自然光を利用できたもので)によってキラキラ輝く小松菜奈の魅力、彼女の存在感だけで映画を引っ張る十分な力を持っています。福士クンはどうも毎度演技が薄いと思っちゃって仕方ないのですが、今回はそれがプラスに作用していた気がします。彼女の心を受け止め、伝えてゆく役ですからね。   題材からタッチから『陽だまりの彼女』の姉妹編のような作品ですが、こちらは更に純化されていて(物語に絡む登場人物の少なさ!)、舞台の京都の風情も手伝って味わい深い一編に仕上がっておりました。京都好きな私から見ると聖地巡礼がしやすい映画(笑)
[映画館(邦画)] 8点(2016-12-18 21:44:19)(良:1票)
192.  劇場版 艦これ 《ネタバレ》 
 『艦これ』、元のスマホゲーは以前DLしたものの、サーバーが混雑していて入れない状態がずっと続いて、ハラ立ってさっさと削除っちゃったのでプレイしていません。今回の映画、ツイッターとかcocoとかによると「テレビシリーズよりはずっとマトモ」だそうで、映画版でコレじゃあテレビ版は一体どんだけ酷かったんだ?っていう。   この映画版、『艦これ』のどこが魅力なのか、どこが売りになる部分なのかが全く描かれておらず、背景の説明も全く無く、ただ状況が描かれるばかり。大海原を舞台にしながら、その世界は極めて狭く小さいです。何しろ「何か」と海で戦っている数十人の少女達だけで完結している世界ですから。舞台も拠点となる海岸と海しかありません。世界の成り立ちも少女達のそれまでの生も何も描かれず、ただ海で戦わなければならないという刹那的な状況があるだけ。  それでも一応、後半になると「物語」が動き出しますが、それがどっかで見たようなハナシで(ハッキリ言っちゃえば『まどマギ』ですな)、観念的世界に入り込んで自己満足的自己完結ワールドでケリ付けちゃうという、甚だ迷惑なタイプの(しかし、よくある)アニメでございまして。   キャラがそれぞれシリアスになればなるほど個性分けができなくなってゆく感じで、お姉さんタイプか、妹タイプか、その中間か、くらいの分類がせいぜい(しかも単純に上官か否か、体が大きいか小さいかで見分けるような)、誰かに愛着を持てるようなエピソードも無く、小隊に分かれて別々にエピソードが描かれたところで誰がどこに所属しているから物語的にどうだ、という違いが判る訳もなく(もちろん主人公的存在が中心に存在しなければならないのだけは確かですが)、そもそも地理が描かれない(イマジナリーラインめちゃくちゃ)ので戦況の把握も不可、と。海戦モノは地理描写が重要だと思うのですけれど。   魅力ある個性的な戦闘シーンが描かれるという訳でもありませんし(実のところ、ああいう武装少女モノって『プロジェクトA子』あたりのクラシカルなセンスね)、見てて「あー、困っちゃったなぁ」って感想しか抱けない状態で。   世界と断絶した閉塞的な作品として、今の萌えアニメを象徴する典型としてのサンプル的な価値はあるのかもしれませんけれど、そんなネガティブな存在価値なんか無い方がマシではあります。
[映画館(邦画)] 2点(2016-12-03 17:59:17)
193.  アズミ・ハルコは行方不明 《ネタバレ》 
 東京国際映画祭で鑑賞。   オヤジ狩りの女子高生達は、あれ、つまり『2001年宇宙の旅』のモノリスみたいなモンですね。   描いているのは今の時代を生きる若い人達、映像表現はとんがった映画なのですが、なんだか随分古い感覚を受けてしまって、まるで70年代の青春映画みたいで、それは描いている事が普遍性を持ったものだから、だけでは説明できないような気がします。   実は結構芯が脆い映画なように思います。皮を剥いてゆくと意外と殆ど何もないような感じで、時系列バラバラなのもそれを少しでも隠すためのようで。それは映画の内容に符号してはいるのですが。   フェミニズムに寄っているように見えながら、単に男女の差異を描いているようで、そこに更に双方に対する差別的な意識が感じられてしまうのは、それこそがリアルなのかもしれませんが、でもその捉え方が昔からあるものだから、だから古い感じを受けるんですね。郊外の若者の暮らしぶりの描き方も含めて、リアリティという名の差別意識が働いてしまっているように見えてしまって、実はこれかなり救いのないネガティヴ志向な映画なんじゃない?って。登場人物全員馬鹿にしか見えない作りになってますし。   蒼井優は最近『オーバーフェンス』といいこれといい、ちょっと壊れ気味な役が多くなっていますが、それでいいのかなぁ?   キャラの抱くジレンマがそのまま映画の抱えたジレンマに直結しちゃてるようで、勢いの良さは虚勢を張っただけな芯の脆い映画という印象でした。
[映画館(邦画)] 5点(2016-10-31 23:43:56)
194.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 
 東京国際映画祭で鑑賞。   原作がマンガというフォーマットを最大限に活かした名作だったので、アニメ化には大きな不安を抱いていました。原作は絵の表現がそのまま主人公すずの描く絵と内面の心理描写とに反映され、すずの一人称的世界を構築していたのに対して、アニメは共同作業による三人称世界ですから、原作をそのまま置換する事はできない訳で。後半のある時点からの大きな変化を描く重要な部分を映像で表現するのは無理、その代わりをどうするのか?と。  結論から言えば、完璧ではないけれど、アニメならではの表現を模索していて、それなりに上手くいっていたように思います。少なくとも同じ作者の『夕凪の街 桜の国』の無惨な映画化に比べれば、原作に過剰な思い入れのあるファンでも納得のゆく作品に仕上がっていました。   基本は原作に忠実で、原作の絵柄を丁寧に再現し更に細やかにアニメートさせ、エピソードを上手くすくっています。  精密に描かれた戦中の広島と呉の世界に、声と動きを与えられたすずが生きていて、彼女が巻き起こす笑いが楽しく、それがゆえの後半の痛みも厳しく。  手の描写にこだわるのは原作からすれば当然と言えるのですが、その当然の事をきちんとできているかどうかが重要なわけで。これはとてもきちんと真面目に作られています。   リンのエピソードがかなり割愛されてしまっているのはとても残念なのですが、そこを描くとPGー12指定の映画になりそうな気もしないではなく、仕方ないのかな。  鬼いちゃんと座敷わらしのエピソードはもう少しハッキリと浮かび上がらせて欲しかったですし、ラストの邂逅も淡々とさりげなさ過ぎな気もします。  ですが、魅力的な存在感を放つすずを通してあの時代を暮らした人々の生が輝き、現在に繋がるこの国の人の営みを実感させてくれて見事です。   誠実な作りのアニメ映画、これもまた日本のアニメの力を示しています。どうか多くの人に見て貰いたいです。
[試写会(邦画)] 9点(2016-10-31 23:11:59)(良:3票)
195.  GANTZ:O 《ネタバレ》 
・原作なり映画なりでGANTZの設定、システムを知っている。 ・国産CGアニメ特有の、表情の変化に乏しい、声優の演技に頼ったマネキン人形風キャラを、そういうもんだと割り切ってる。   この2つをクリアしていればかなり楽しめる作品だと思います。   タイトな上映時間にGANTZの世界が凝縮されています。時間が短いが故の難点もありますが。バトルが映画本体では1度だけ。その1度の戦いの中で様々な要素を描こうとしていますから、各キャラの成長や心の変化が唐突だったり、強さはセリフで語られるばかりで実力を発揮できないまま終わってしまうキャラだらけだったり、重要なポジションのように見えながらそんなには存在価値がないままなハンパなキャラがいたり。  ですが、無駄無く矢継早にアクションを重ねてゆくので、あまり細かい事に拘っているヒマもありません。   迫り来るバケモノに対して、自分か、誰かが落とした武器を拾おうと手を伸ばす、駆け出す、その危機一髪の瞬間をスローモーションで描く、ってパターンが多過ぎて、もう少し他にサスペンスを生むシチュエーションを考えつけないのかいな、とは思います。  武器のバリエーションが豊富なのはいいとして、明らかに『パシフィック・リム』なアレは明らかに浮きまくりで別作品になってるじゃん、みたいなのもあります。  突然の超展開でシーンやエピソードがちゃんと繋がってなかったり、まるで説明不足だったりもします。なんで東京チームは大阪に飛ばされて共闘って事になったのかなぁ?  でも、そういう点をツッコミながら見るような映画って感じです。   読めまくりのラストの展開も含めて、フルCGになってもあんまり変わらない国産アニメの様式美みたいなのを生暖かく見守って楽しむのが吉、ってところで。二人の女性キャラの気合い入りまくりなモデリングだけでも十分に楽しめますしね~。
[映画館(邦画)] 6点(2016-10-14 23:14:04)
196.  ジェイソン・ボーン 《ネタバレ》 
 1作目を見逃すと当然2、3作目も見れなくて、そんなこんなでシリーズを最初にスクリーンで見たのが『レガシー』っていう。1~3はBSだかCSだかで一挙放送したのをゴロゴロダラ~っと見た程度。で、シリーズ通しての印象は1作1作の物語のカサがあまり無いって事と動かし過ぎのカメラワークがウザいって事。今回も印象はあまり変わらず。マンネリ度が更に増したけれど「それで終わりかよ!」って感じは少し軽減したかな?   とにかくあのカメラワークはもう要らないんじゃないかと。ひたすら見辛いだけです。前世紀末に流行ったのをいまだに引っ張ってる状態で、それこそがこのシリーズのアイデンティティだと言われるかもしれませんが、カメラが意思を持って存在をアピールしちゃうとね、それは一体誰の視線、もしくは誰の持ってるカメラよ?って事になっちゃう。いや、臨場感を出すために観客の視線を作ってあげてるんですよ、って事なんでしょうけれど、大きなスクリーンと対峙してるこちらにとっちゃ、そりゃ余計なお世話。せっかくのスタッフとキャストの仕事がガチャガチャな状態でしか記録されてませんっていうの、勿体なくないかなぁ?   それから念押しするような映像がクドくて。冒頭のギリシャのデモシーン、後半のカーチェイスシーンは不要なショットがかなりありますし、父親が殺害される回想シーンを何故あそこまで繰り返す必要があるのやら。これもまた親切心から?の余計なお世話ね。   物語はジェイソン・ボーンのごくパーソナルな話ですよ、っていうのが明らかになると共に底が見えて中盤以降は退屈気味。   せめてアクションやサスペンスに独自性があればいいのですが、なんかもうシリーズだけでなく、このジャンルの見せ場の繰り返しですね、っていう。その上、クライマックスの大事なところでモタモタと弱みを見せちゃうあたりはかなりガッカリ。続編をなんとなく意識したのか、微妙にボヤかしたエピローグも含めて、この程度の続編作っちゃったのねぇ、って印象。  もっとスゴい状態に成長したジェイソン・ボーンを見せて欲しかったのですが、むしろ退行してなかった?
[映画館(字幕)] 5点(2016-10-10 14:39:59)(笑:1票) (良:1票)
197.  少女(2016) 《ネタバレ》 
 繊細で残酷な映画。全編をヒリヒリとした空気が漂い、心を締め付けてきますが、その切ない痛み、居心地の悪さがむしろ不思議な快感と感動を呼びます。   二人の少女が負った傷は他者の悪意の象徴。様々な悪意の中で傷付き、壊れ、死が囁きかけてくる、徐々に悪化してゆくそこから逆に得るもの。  幾つもの(痛い)エピソード、映像がパズルのように散りばめられ、組み合わさって1つのカタチを織りなしてゆく、それが心地良さを生んで。二人の少女、冒頭とラスト、共通する2つの映像(夕陽を駆ける二人、それぞれが防波堤を歩く、足が「治る」瞬間、二人の繋がりが遮られる刹那、水の中に沈んでゆく)、幾つもの対を成すものによって構成されて、その対比の組み合わせが大きなうねりを創り上げています。  因果応報を示す繋がりはファンタジー的ですが、ゆえに1つの作品の中に閉じ込められた、閉塞された世界が完成されています。  その世界を創造するロケーションも効果絶大、二人の身近にある海が生と死の境界を示していて。   闇を抱えて生と死の狭間を彷徨う女子高生を演じる本田翼と山本美月がとても良いです。   実はシンプルな友情物語、ヨルはまた来るのでしょう。
[映画館(吹替)] 9点(2016-10-09 21:51:48)
198.  レッドタートル ある島の物語 《ネタバレ》 
 映画がかなり進んだところまで映画と格闘状態でした。カメはなんのメタファー? この世界って主人公の心象風景? 主人公には見えていない、主人公の息子の視点が登場した時点で、ああ、これは描かれた事象をそのまま受け止めりゃいいんだ、って気付く始末。つまり孤島に流れついた男がカメに惚れられ、人間となったカメと孤島で暮らし、一生を過ごす物語。それだけ。   情報量はそれほど多くありません。シンプルなデザインのキャラと、描き込み過ぎていない背景、静かな音楽。いちばん情報量が多そうなのはリアルな環境音。主人公の出自など語られません。大自然に翻弄されつつ、その世界を受け入れてゆく主人公に心を重ねてゆけば、世俗から離れて何物にも煩わされず(不作法な観客がいなければ、ですが)、映画と自分との対話ができるひとときを過ごせます。強いて言えば、色々と削ぎ落とした(描かれる事も映画の表現法も)後に見えるもの、そこに物事の真価を問うているのかな、と。でも、そこに意味を求める必要もないですね。   カニが可愛かった、感想はそれだけでも十分な気がしないでもないです。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-09-29 22:54:28)(良:1票)
199.  映画 聲の形 《ネタバレ》 
 耳が聞こえないというのは、この映画では障害ではなく個性であるのだと思います。これは障害者の映画ではなく、いじめの映画でもなく、個人と個人についての普遍性を持った映画、なので障害やいじめに固執すると矮小化してしまう、そこを山田監督は真面目に丁寧に、バランス良く描いています。   それぞれの自分を守るための戦いが生む摩擦、その戦いから逃走する事で更に生まれる摩擦、ひたすら繰り返される闘争の傷とその痛みの容赦の無さ。映画はそこに真正面からぶつかっています。他者のパーソナリティを受け入れると共に自分のパーソナリティも受け入れる、それがどれだけ大変な事か、どれだけの傷を乗り越えてゆかなければならないか、その闘争について映画もまた表現の闘争を繰り広げている訳です。ゆえに受け手は見ていて古傷が痛む訳ですが、映画が戦っている以上、受け手もまたその戦いに向き合い、見届ける必要があって。   そんな映画の心を示す映像表現の数々が秀逸です。アニメならではの心象風景とリアルとの共存を端的に示す、顔の上のバッテンマークは勿論ですが、足だけ、顔が欠けている、誰かが収まっていていい筈なのに空いている、そんな不安定な構図が重ねられて、ほのぼのとした絵柄とは裏腹なヒリヒリとした痛みを伴う緊張感をずっと投げかけてきます。   同じ監督と脚本家、そして同じ京都アニメーション製でありながら、この作品とは正反対に位置しているとも言える『けいおん!』(摩擦は意図的に最小限に抑えられています)では複数のキャラのモノローグによって人称がブレて、流れがおかしくなってしまう箇所も見られましたが、今回はモノローグにも制限が与えられ混乱をきたす事がない点も成長が感じられます。   決して心地良い時間を運んでくれる映画ではありませんが(そもそも主人公のパーソナリティを受け入れられない人もいるかと思います)、そこに向き合う事に大きな意味のある作品です。その闘争の真摯な姿勢を高く評価したいと思います。
[映画館(邦画)] 9点(2016-09-26 21:05:11)(良:4票)
200.  SCOOP! 《ネタバレ》 
 『モテキ』『バクマン。』に続いて、またまた編集部が拠点となる群像劇って事で、この監督の引き出しはソレだけなのかいな?   前半は快調です。ベテランのフリーカメラマンに無理矢理押し付けられた新人記者。まるでかみ合わない二人が夜の東京を舞台に繰り広げるドタバタ劇はスピーディで笑いもあって。  ところが中盤以降、徐々にテンポダウンしてきて、何やら小さなところでまとまりそうな感じもして、その程度の映画なのかなぁ、と思っていると更に続いて、この映画は一体いつになったら終わるの?というとりとめのなさを見せ始め。  そして唐突な展開によって映画のカラーそのものが変わるのがクライマックス。ここはサスペンスという事になるのでしょうが、どうにも緊張感に欠ける、ダラダラした画が連なっていて、登場人物それぞれの行動にまるで共感も納得もできず、その上で立てまくっていたフラグを当たり前に回収するという。カルいモノを撮るのは得意だけれど、シリアスな展開になるとボロが出る、みたいな感じですかねぇ。  更にその事が起きて以降がまた長くて、体感3時間、みたいな映画になっちゃってました。    大体、バディものとしてベテランがルーキーに夢を託し、その成長を描くのはいいとして、ロバート・キャパの精神を写真週刊誌のカメラマンに重ねるセンス、その写真を記事にするあたりのセンスを理解しろというのはかなり無理なハナシで。キャパの「崩れ落ちる兵士」の真贋騒動や、写真週刊誌のあり様(最初に最悪な仕事だと言わせつつ、最後には見ているこちらを置いてけぼりにする美化っぷり)を皮肉った上でそうしているのかいな?と考えたりもするのですが、じゃあ福山雅治の役はただの道化だったのか?って事になっちゃいますしねぇ。ドラマ上、福山雅治がそうなる事の必然性が薄い気がしました。  ラストの編集部一同の酔いっぷりも自己満足、自己完結っぷりがハンパなく、ずいぶんとスクリーンとこちらの距離が離れた映画だねぇ、って感じでした。妙に悟っちゃったような二階堂ふみや吉田羊はともかく、あの娘さんの物語上のフォローはしておいて欲しかったなぁ。
[試写会(邦画)] 5点(2016-09-26 20:15:45)
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