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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2398
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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181.  飼育(1961) 《ネタバレ》 
大江健三郎の芥川賞受賞作の映画化。のっけから“大宝映画”なんて初耳の映画会社のマークが出てくるのですが、これはたった6本映画を配給しただけで消えていった、新東宝破たん後に製作部門を分社化したもの。なんでもこの会社が製作した映画で現在鑑賞出来るのは本作だけなんだそうです。大島渚もこの映画が独立後の処女作になります。大江健三郎の小説を大島渚が監督するなんて、大蔵貢時代の新東宝では絶対あり得ないお話しです。 太平洋戦争末期、山奥の部落に落下傘降下してきた黒人航空兵を部落の住民たちが監禁します。B29爆撃機に黒人搭乗員がいるなんて当時はあり得ない話なんですが、そこは寓話と考えてスルーしておきましょう。実はこの黒人兵はあまりストーリーには絡まない存在で、部落の長である三國連太郎とその小作人たちが、捕虜を媒介にして人間関係を崩壊させてゆく過程が実はテーマなのです。捕虜も村民たちとの接触はほとんどなく、物語の中盤であっさり殺されてしまいます。そうなるとなんでわざわざ黒人という設定にしたのか腑に落ちませんが、そこは原作通りなんで仕方ないでしょう。“異文化同士の対立”みたいなものを予想していましたが、描かれているのは今村昌平の映画の様な土俗的でドロドロした世界でした。 皮肉にも捕虜を殺したとたんに終戦となり責任のなすり合いになりますが、すべてを一人の厄介者に押しつけてみんなでお囃子を踊って目出度し目出度し、というあっさりした終わり方でした。でも村民たちが集まってくるシーンになると固定カメラによる長回しを多用するなど、大島渚の才気は十分に感じることは出来ました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-02-01 18:47:17)
182.  どぶ鼠作戦 《ネタバレ》 
岡本喜八の愚連隊三部作シリーズの中でももっとも切れた脚本と言ってよいでしょう、この映画は。この三部作はそれぞれのプロットはバラバラですが、共通する登場人物はもちろん佐藤允で、とくに本作で彼は最高のキレ味を見せてくれます。彼と藤田進や加山雄三のやり取りは、粋で軽妙の極みで聞き惚れてしまいました。惜しむらくは、サミュエル・L・ジャクソンの決め台詞“Mother Fucker !”と並ぶインパクトがある「ちっきっしょー」が、前二作ほど聞けなかったことでしょう。 藤田進がまたいい味出してるんですよね。坊さんが召集されて中国戦線に派遣されてきたという、いかにもと言うキャラを大らかに演じております。婚礼シーンの火踊りを観ても判る通り、この映画は『隠し砦の三悪人』のパロディみたいなところが有り、その中で彼が嬉々としてセルフ・パロディに興じるとは微笑ましい限りです。ラストなんか、有名な「裏切り御免!」へのオマージュになってますからね。 加山雄三も結局意外な役どころだったわけですが、この人はヒーローよりも脇に絡む役の方が上手いんじゃないでしょうか。もっとも砂塚秀夫の抱腹絶倒ぶりには大負けしますが(パントマイムで見張りを翻弄するシーンはもう最高です)。 あと今さら言ってもしょうがないことですけど、中国人とはちゃんと中国語(たぶん)で話すのは善いんですが、昼のシーンなんかは白文字を使っているので字幕が全然読み取れないことです。これは当時の東宝映画に共通する欠点なんです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-10-27 19:51:22)
183.  東京オリンピック 《ネタバレ》 
馬鹿な大臣がいちゃもんつけたおかげで「記録か芸術か」と論争が起こったというのは有名なお話ですが、今の眼で見ればしごくまともでオーソドックスな印象さえ感じます。もっと前に『民族の祭典』をリーフェンシュタールが撮ってるのに、当時なぜそんな騒ぎになったのか不思議です。『民族の祭典』と比べれば平凡なもんですよ。それでも市川崑らしさを感じさせられるスタイリッシュなカットも随所に観られ、とくにあの女子80メートルハードルを正面から捉えたショットは、現在では当たり前の技法となっていますが当時は観客をびっくりさせたことでしょう。というわけで、映像に残された当時のオリンピック運営を観察したり日本人の反応を愉しめるのが本作の意義でしょう。■現在のオリンピックと比べると、思った以上に素朴な運営だったんだなとしみじみ思います。マラソンのとき、国立競技場の入口の柱に毛布が巻きつけてあるんです。なぜというと、選手が出入りするときにぶつかって怪我しない様にしてあるみたいです。開会式の晴天は有名ですが、イメージと違ってその後はけっこう雨が降った日が多かったみたいですね。雨天の走り幅跳びなんて、選手の足元は踏ん張ったら穴があくほどドロドロでした。そして見逃せないポイントは、「走る哲人」アベベ選手の力走が堪能できること。ストイックな風貌で、私はこれほど美しく走るマラソン・ランナーは観たことがありません。■実は手違いが怪我の功名になったというあの感動の閉会式の選手入場、今じゃこの「東京方式」がすっかりオリンピック閉会式のスタンダードとなっています。良く見ると選手たちがコスプレやパフォーマンスをしてて、ここだけもっとじっくり見せて欲しいぐらいです。昭和の日本人の精神に多大な影響を与えたもののひとつが、この閉会式が与えてくれた感動だったと思います。■64年のオリンピック招致が決まった時の首相は岸信介、56年後に再び東京オリンピックの招致が決まった時の首相が彼の孫というのは、不思議な因縁ですね(もっとも岸首相は招致には乗り気じゃなかったそうですが)。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-09-23 23:07:22)
184.  亡霊怪猫屋敷 《ネタバレ》 
医師が結核を患う妻の療養のため、九州の片田舎へ引っ越してくる。地元では幽霊が出ると噂されている江戸時代に建てられた古い屋敷を改装して医院を開業するが、妻は不気味な老婆を何度も目撃し首を絞められて殺されかける始末。困った医師は近所の住職に相談したら、彼から江戸時代に屋敷でおきた恐ろしい事件の話を聞かされる… 事件が解決した6年後東京の大学病院に戻った医師の回想という形式で映画は進行するのですが、冒頭のこの大学病院の描写が薄気味悪くてゾッとします。停電で真っ暗な廊下を懐中電灯の灯りを頼りに歩いていると、死んだ患者が看護婦に担架で運ばれているところに遭遇するんですが、ただ通り過ぎるだけなのに実に怖い。しかもこれはストーリーには全然関係ないカットで、さすが中川信夫、恐怖のマエストロです。 現代編はモノクロ、住職の語る時代編はカラーという使い分けもなかなかいいアイデアだったと思います。化け猫女優と言えば入江たか子が有名ですが、この五月藤江の老婆化け猫と言うのもなかなか味があっていいです。入江化け猫と違ってお歳ですから派手なアクションは見せませんが、化け猫映画お約束の念力女中操縦はバッチリやってくれました。ただあの髪の毛が猫耳になるのはちょっと、でしたね(笑)。障子に映る影を上手に使った映像は、ドイツ表現主義の影響を感じさせてくれて見事でした。 中川信夫の怪談映画は、絶望の中にも希望の光が射して終わるのが特徴で、本作もそんな彼らしく、可愛いオチがありハッピーエンドでした。 いやー、やっぱり中川信夫の怪談映画はいいですね~ 
[DVD(邦画)] 7点(2013-09-20 22:07:43)
185.  怪談累が渕(1957) 《ネタバレ》 
脚本やプロットがちょっと狂っているケースが多い新東宝のプログラム・ピクチャーですが、怪談噺は古典が原作なので秀逸な作品が多いのです。この映画は圓朝の『真景累ヶ淵』の前半部を脚色した中川信夫の初怪談映画です。深見新左衛門に斬り殺されたあん摩宗悦の娘お累が、知らずに新左衛門の息子新吉と恋仲になります。お累は三味線のばちが当たって出来た傷が化膿して顔半分がふた目と見られない醜い姿になってしまいます。これは仇の息子と出来ちゃった娘に宗悦の怨霊が呪いをかけたと解釈してよいかと思います(なるほど、罰が当たったというわけですね、落語らしい駄洒落です)。このお累の顔のメイクがなかなか凄くて、楳図かずおの怪奇漫画に出てくるような感じです。お累はばあやから新吉の素性を知らされたうえに傷が悪化して悶死してしまうのですが、新吉は最後まで自分の親が何をしたかも知らずに物語が終わってしまうのがミソなんです。この新吉という男が絵に書いたような色男で、奉公先のお久というお嬢様からもモーションをかけられてお累を見捨ててしまいます。この噺は大村陣十郎という悪徳浪人はいますが、お累・新吉・お久の三人は特に悪いことをしたわけではないのに、三角関係のもつれからみんな死んじゃうところが哀れを誘います。お累がお久への嫉妬に苦しむさまや優柔不断な新吉のだらしなさ、怪談噺の枠を超えてドロドロした愛欲劇として観ても面白いです。新東宝ピカイチの怪談女優である若杉嘉津子の妖しいまでの美しさをご堪能ください。
[DVD(邦画)] 7点(2012-12-06 20:57:11)
186.  ハートブルー 《ネタバレ》 
サーフィン・スカイダイビング・銀行強盗、落語の三題噺みたいなプロットでもちゃんとアクション映画になるとはさすがK・ビグロー、“ハリウッドの女J・ウー”の面目躍如です。『イレイザー』のシュワちゃんの5年も前に、パラシュート無しのスカイダイブをK・リーブスがやっていたとは知りませんでした。ここまでやると普通バカ映画と呼ばれるものですが、あまりにもアクション演出がキレまくっているので無茶が通ってしまいます。あのダイビング・シーンの壮絶な美しさは、その後本作を超えた映画がいまだにないと言えるのでは。大根役者の極北・K・リーブスも、この映画のP・スウェイジぐらいカッコいいキャラと絡めると、けっこう観られるもんですね。でもラストでキアヌくんダーティ・ハリーの真似をしてましたけど、あまり様になっていませんでした。 ここからは私の妄想ですが、邦題をつけた宣伝マンはきっと試写も観てなかったんですよ。資料にサーフィンとダイビングの文字を見て、「ん、ダイビング?じゃあL・ベッソンの『グラン・ブルー』の路線だな、『ハート・ブルー』ってのはどうだ」と言う感じです。ダイビングはダイビングでもこっちはスカイ・ダイビングだっちゅうの!
[DVD(字幕)] 7点(2012-10-23 19:57:06)
187.  死ぬにはまだ早い 《ネタバレ》 
情事を終えた元レーサーと人妻。女を車で送りに行くが、街道では殺人犯を追っている警察が検問をしている。夜11時、喉が渇いたので山小屋風のドライブインに二人は入る。店内には新婚カップル、常連の医者、おつむの軽い若い娘ふたり、タクシー運転手、そしてカウンターの隅っこで黙々とマッチを積み重ねる陰気な男などの客がいた。そこに拳銃を持った男が乱入してくる… ここでネタばらしちゃいますけど、実は本作は64年製作の『恐怖の時間』を翻案した映画なのです。原作は菊村至の『閉じ込められて』という小説なんだそうですが、原作自体が『恐怖の時間』をネタにしたということなんでしょうか。 『恐怖の時間』と違ってこちらは男が立てこもってからは完全に密室、誰も入ってきません。客たちのエゴはだんだんむき出しになってきて、自分だけは助かろうとして醜い行動をする奴も出てきます。黒沢年男が演じる立てこもり犯は、浮気した恋人を射殺しその浮気相手を殺すために店に来たのですが、いきなり見回りの警官を射殺する凶暴な奴です。こいつは『恐怖の時間』の山崎勉とは違って鬼畜のような男で、医者に新婚の女をレイプさせようとしたり緑魔子には裸になることを強要したりでやりたい放題です。この頃の黒沢年男はこういう激情に駆られて身体を動かすキャラをやらせたらピカイチですよね、セリフは聞き取りにくいけど。 低予算ながらもほぼドライブイン店内だけで繰り広げられる密室劇としてはかなり濃度が高いと言えます。ジュークボックスがあって、そこから森進一の『花と蝶』やザ・タイガースの『青い鳥』なんかを聞かせるところなど独特のテイストに満ちています、この映画は。ラストにちょっとしたオチがあるのですが、『恐怖の時間』と比べても毒味がはるかに利いています(基本的には同じオチなんですけどね)。 こんな映画がソフト化されていないのは実に不思議。この映画の内容が、後におこった三菱銀行北畠支店の有名な事件に似ているからというあまり説得力のない説もありますが、真相はどうなんでしょうね。監督の西村潔には、ほかにも完成したのにお蔵入りさせられて観た人がほとんど皆無の『夕映えに明日は消えた』という正真正銘の幻の映画があり、まあ不運な人だったみたいです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-10-08 14:33:41)
188.  影武者 《ネタバレ》 
黒澤映画の中で、本作が史実の出来事をネタにした唯一の時代劇なんですね。橋本忍は脚本に参加していないので、黒澤のロマンチスト気質が濃厚な物語に仕上がっています。言い古されていますけど、勝新太郎の代わりに急遽登板した仲代達矢のあまりにオーヴァーな演技がこの映画の最大の失敗でしょう。影武者が盗人らしい下品な本性を表わすところなんか、勝新ならきっとこんな風に演るだろうなと仲代達矢も意識して苦労したんじゃないかな。皮肉にも、仲代達矢は勝新の影武者だったようなものでしょう。あとちょっと理解しがたいのは黒澤の俳優起用ポリシーで、家康役が俳優は初体験の人とは恐れ入ります。そう言えば、幻の黒澤版『トラ・トラ・トラ!』でも山本五十六に素人の一般人を使う予定だったそうですし、なんか変わってますよね。 長篠の騎馬突撃をああいう風に見せてくれたのは私には不満で、その直前までの騎馬の映像が「さすが黒澤!」と唸らせるほどだったので、余計に残念でした。 それにしても、黒澤映画は馬の映像が素晴らしい。
[DVD(邦画)] 7点(2012-09-01 22:11:52)
189.  白い巨塔 《ネタバレ》 
タイトルバックが実際に開腹手術をしているところを撮っているのにはびっくりです。この映画はその他の手術シーンも実写でカメラに収めていて、現代では絶対に不可能なことでしょう。モノクロだからまだましですが、けっこうグロいです。78年のTV版に衝撃を受けた年代ですので、「あれ、財前五郎はガンで死ぬんじゃなかったっけ?」と拍子抜けしましたが、本作は原作の正編だけの映画化だったんですね。 とは言え、上映時間2時間半でもかなり駆け足で物語を進行させていると言う印象はぬぐえないかな。それでも、田宮二郎のド迫力には終始圧倒されてしまいました。 でもやはりTV版をもう一度観たくなりました、ビデオ屋で探してみよう。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-07-28 23:07:37)
190.  暁の追跡 《ネタバレ》 
先ほど亡くなられた新藤兼人が脚本を書き市川昆が監督した警察もの映画です。新人警察官の池辺良(そういやこの方も先日鬼籍に入られましたね)が、新橋駅前の交番勤務をしながら、警察という組織になじめない自分に折り合いをつけつつ犯罪と対決すると言うストーリーです。ドキュメンタリー的な語り口を交えた撮り方は明らかにジュールス・ダッシンの『裸の街』の影響が感じられます。実際の新橋駅前交番にカメラを据えて撮ったところなどは当時としては斬新だったと思います。この交番、てっきり低予算ででっち上げたヘタなセットだと思いました、それぐらい汚くてボロボロなんです。思えば当時はまだ昭和25年、日本はまだ進駐軍に占領されていてマッカーサーが東京にいた時代なんですよね、復興途上だった日本の貧しさが垣間見えます。新藤兼人の脚本は丁寧に書き込まれていて、池辺良は勤務の合間に転職活動に必死だし同僚警官たちもキャラが良く描かれています。その中で光っているのは拳銃を暴発させてしまってクビになる伊藤雄之助で、ほんと若いころから味がある演技ができた人です。 随所に市川昆らしい才気あふれるカットが観られるなかなかの佳作です。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-06-28 21:19:07)
191.  ジャズ大名 《ネタバレ》 
まさに岡本喜八と筒井康隆、夢のコラボレーションですな。この時期岡本喜八は映画がなかなか撮れない苦境の時期だったけど、初期の喜八映画に立ち返った様なアヴァンギャルドぶりはファンとしてはもう感涙です。おかげで数ある喜八ムーヴィーの中でもとびっきりのカルトとしてその名を轟かせています。 いつもの富士御殿場でロケしているのが見え見えの脱走黒人たちの珍道中パートはちょっとモタモタしているのですが、あのウナギの寝床みたいなお城で殿様に楽器を教え始めると、もうストーリーなんてどっかにぶっ飛んでしまい、後は狂乱のジャズ・セッションが延々と続くんですから観ている方も頭の中トランス状態ですよ。ブレイク前のタモリを始め当時のサブカル界から大挙出演者を引っ張ってきてるのは壮観でもあります。 ちょっと毛色の変わった映画をお探しのあなた、ぜひ一度ご覧あれ!
[ビデオ(邦画)] 7点(2012-05-22 00:07:27)
192.  私の優しくない先輩 《ネタバレ》 
『ハルヒ』の山本寛が実写映画を初監督ということで、あまり期待はしてなかったのですが、自分には意外とストライクでした。たしかに前半のポップだけどチープな展開とラジオドラマみたいなモノローグの多用は好き嫌いがはっきり分かれるところでしょう。あのハリボテ丸出しの宇宙と地球は、相米慎二の『東京上空いらっしゃいませ』を思い出させてくれて、なんか良かったです。まあ邦画では珍しいタイプの映画かもしれませんが、今後カルト的な評価がされるかもしれませんね。 そして、実はわたしここが目当てでこの映画を観た様なもんですが、ワンカット・ワンシーンで撮られたエンディングのダンスはポップでほんと至福感に満ちています。ここだけでも見る価値は十分あります。
[DVD(邦画)] 7点(2012-02-17 23:43:37)
193.  ある殺し屋 《ネタバレ》 
『必殺仕事人』の中村主水のキャラ造形に影響を与えたと言われますが、殺し屋雷蔵は普通ぶりでは藤田まことのはるか上を行ってます。仮の姿は小料理屋の主人、そして本業になれば殺し屋としてターゲットを料理する、いやーカッコ良すぎです。ところが脚本はけっこう粗くて、クールなくせして怪しげな成田三樹夫が持ってくる麻薬強奪案件にホイホイと乗ってしまう。凄腕殺し屋はたいがい仕事にはセオリーやこだわりがあるものですが、この仕事は殺しではなく単なる強盗じゃないですか。野川由美子に付きまとわれるのも「自分しか信じない」一流殺し屋とは思えない甘さです。この野川由美子のキャラがまた増村保造ワールド全開のあばずれで(増村保造は脚本を書いてます)、雷蔵のキャラと野川のキャラが両極端で二人が組む(というか雷蔵が野川を追い出さない)必然性がないのが苦しい。ところがそこに怪しいヤクザ成田三樹夫が絡むので、三人の不思議なアンサンブルが成立しちゃうのが面白いところです。本作の成田三樹夫はなんか光輝いていて、実にいい味出してるんですよ。そして耳に残る主題曲、これだけ単純なコードを使ってここまで印象的なメロディになるとは驚きました。まあいろいろ突っ込みはしましたが、必見の価値ある愛すべき一篇です。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-11-18 00:01:09)
194.  ザ・ヤクザ(1974) 《ネタバレ》 
当時のハリウッドで、もっともディープなジャパンおたくだったP・シュレーダーが書いた脚本だけあって、(これでも)今まで製作された中でもっとも違和感が少ない日本が舞台のハリウッド映画でしょう。「義理」なんて今の私たちの意識には大分希薄になってしまった概念ですが、アメリカ人の視点では「借り」と同等のものだという解釈はあまりに合理的過ぎて異論もあるでしょう。邦画の伝統ではヤクザ映画は「義理と人情」がバックボーンなのですが、外人さんは「義理」が何か日本人に特有なもののように感じるみたいですね。本当は「義理」も「人情」も普遍的なものですが、キリスト教文明は異教徒と普遍的な価値観を共有するという文化がないので、どうしても日本の文化の異質性に関心が行ってしまうのでしょうか。 R・ミッチャムと高倉健のコラボレーションは実に見事で、ミッチャムがこんなにいい役者だったとは見直しました。不器用な生き方を選んだ健さんが鮮やかな殺陣を見せ、クールな男ぶりのミッチャムがドタドタと巨体を揺すってぎこちないガンさばきをリアルに演じているのが好対照で面白かったです。 「ヤクザ」と「サムライ」をどうも混同している様なところがみられるのはちょっと考えものですが。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-03 00:54:53)
195.  スモーク(1995)
ポール・オースター書き下ろしの脚色だけあって、なんと言うか良い意味で小説っぽい映画ですな。それはオーギーはじめ登場人物が、それぞれ丁寧に性格付けされているせいでしょう。NY版下町人情噺というのがピッタリの佳作です。邦画だったら『釣りバカ日誌』みたにシリーズ化させちゃうんだろうな、きっと(『ブルー・イン・ザ・フェイス』はありますけど)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-06-26 00:55:03)
196.  東京暗黒街・竹の家 《ネタバレ》 
名だたる国辱映画として作品名は知っていましたが、いやはや、これはなかなかの掘り出し物でした。まあ題名が“House of Bamboo”じゃあ日本人としては観る前から抵抗感が強くなってしまうのもしょうがないですが。なぜか東京のパチンコ業界を牛耳る傍ら強盗ギャング団のボスでもあるR・ライアンと、その組織に潜入する捜査官R・スタックが死闘を繰り広げます。このライアンが直接描写はないのですが実はホモらしく、でも冷酷ながら結構魅力的なキャラで、ノワールは悪役に魅力がないと面白くないという鉄則をさすがS・フラーは判ってますね。特筆すべきはワイドスクリーンでロケされた日本の情景で、昭和20年代後半の東京が美しいカラー映像で見せてもらえます。女性がほとんど和服姿だったり、畳の上にいきなり風呂があったり、そりゃおかしなところは沢山あります。しかし敗戦後10年も経ってないと思うと、それなりにS・フラーの日本に対するリスペクトが感じられます。ライアンの屋敷で芸者たちが踊る宴会シーンでは、『キル・ビル』の青葉屋が思い出されるシュールさです。クレーン撮影で上下を意識した映像が多用され、ラストのデパート屋上での銃撃戦は、ダイナミックな映像でインパクトがあります。早川雪洲も頑張っていますが、なんと言ってもあの伝説の大女優である李香蘭(山口淑子)がハリウッド映画で見られるとは驚きました。雪洲の日本語はひどかったですが、香蘭の英語はとても流暢で上手でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-06-06 00:18:23)(良:1票)
197.  トラ・トラ・トラ! 《ネタバレ》 
製作当時では、これほど大日本帝国をリアルに描写したハリウッド映画は初めてだったでしょう(日本人が監督と脚本を担当しているので当然でしょうが)。ただあまりに史実に忠実なので、前半部分は日米とも高官ばかり登場するので退屈と感じる人も多いのでは。しかし真珠湾攻撃の映像は今観ても息をのまされます。機銃掃射を受けて爆発炎上した戦闘機のプロペラがくるくる回りながら吹っ飛ぶシーンは、偶然の産物なのでしょうがまさに映画の神様が降臨したとしか思えません。最も本作は、後年に『パール・ハーバー』というトンデモ作が製作されたおかげで評価が高まったという気もしますが。
[映画館(字幕)] 7点(2010-02-14 12:37:23)(良:1票)
198.  キル・ビル Vol.1(日本版)
この作品がタランティーノを許容できるかの境界線のような気がします。「さあ、つっこんでください」と言わんばかりのおかしな撮り方は確信犯ですが、相変わらずの音楽センスの良さには負けました。そしてあの三浦屋の死闘ですが、タランティーノが作り出した不思議な店内の雰囲気(本当にこんなお店があったらいいなあ)が私にとってはツボで、このシーンがあるのでタランティーノを許してしまいます。
[DVD(字幕)] 7点(2009-07-05 23:41:17)
199.  独立愚連隊 《ネタバレ》 
登場人物がみなキャラがたっていて、またセリフも切れがよくてものすごくテンポが快調。三船敏郎の大隊長は、彼のキャリアで他に見ない役柄ですね。ラストの八路軍との戦闘シーンは、日本映画史上に残るものですが、言いすぎかもしれませんがワイルドバンチを彷彿させます。この勢いが、大傑作「独立愚連隊西へ」と続くのですね。 
[DVD(邦画)] 7点(2009-02-18 20:07:55)
200.  フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ 《ネタバレ》 
私が初めて封切時に映画館で観た東宝特撮映画で、いまだに軽いトラウマが残っています。ゴジラシリーズ以外の東宝特撮怪獣映画は、ハードな物語設定で怪獣の恐怖を追及する作品が多いのですが、本作はその中で最高傑作と言えるでしょう。東宝特撮怪獣映画があえて避けてきた「捕食者」としての怪獣をテーマにしたことが観る者の本能的な恐怖心を刺激します。前作で地底怪獣バラゴンに「捕食者」的なキャラクターを持たせていますが、直接描写は見られませんでした。ところが本作では、人間型怪獣フランケンシュタインがヒトを貪り食うというカニバリズム的な映像を見せてくれるわけで、これはガイラの造形と相まって実に怖いです。特筆すべきは自衛隊の対怪獣戦で、軍事作戦としてリアルな演出で見せてくれます。メーサー殺獣光線車が逃げるガイラを追って光線を放射すると、ガイラの前方の木が光線に当たってと激しく吹き飛ぶシーンは、現在の眼で観ても興奮させられます。
[DVD(邦画)] 7点(2009-02-07 11:51:54)(良:1票)
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