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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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201.  血槍富士 《ネタバレ》 
内田吐夢監督の映画ってそういや「宮本武蔵」シリーズと「真剣勝負」しか見ていなかったなあなどと思いつつ本作を見たのだが、スタートからゆったりほのぼのしていて笑えるユーモラスなシーンも多く、すんなりと入っていけたし、作品自体も痛快な娯楽時代劇という感じで面白かった。片岡千恵蔵といえばなにかとっつきにくいというイメージがあるのだが、この映画では今まで見た出演作とは印象が少し違っていて、子供とのやりとりなどで実に温かみのある演技を見せていてかなり良かった。加東大介の相変わらず人懐っこいキャラクターはこの映画でも親しみやすいし、片岡栄二郎の酒癖のよくない主人もなかなかいい味を出してる。それだけにそんな三人の道中を描いた人情時代劇という雰囲気が一変するラストには驚かされた。「東映時代劇」の殺陣といえば「華麗で、舞うような」という印象で、ましてこれは1955年というまだ東映設立後数年しか経ってない時代の作品のハズなのに迫力あるリアリズム重視の殺陣シーンとなっていて、千恵蔵の演技も鬼気迫っており、規模は違うが工藤栄一監督の「十三人の刺客」のような感じを受けた。(そういえば、あれも主演は千恵蔵だったっけ。)それにこの映画、娯楽的な部分だけでなく社会的な要素も盛り込まれた作品になっていて見ごたえのじゅうぶんある傑作時代劇だと思う。内田監督のほかの映画にもちょっと興味がわいた。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-03-06 02:35:40)
202.  座頭市血笑旅 《ネタバレ》 
今回は市がふとしたことから赤ん坊の世話をしながら旅をすることになるというストーリーがなかなか新鮮に感じられる。三隅研次監督の手がけた座頭市はかなり久しぶりに見たのだが、この設定をうまく活かしたドラマ性の高い作品に仕上げていてとても面白かった。市が赤ん坊の世話をする姿は見ていて微笑ましく、途中で一緒に旅をすることになる女スリを演じる高千穂ひづるも良かった。クライマックスの炎の中での斬り合いも迫力充分で印象に残るが、赤ん坊を育てることを決意した市が和尚(加藤嘉)に諭され、赤ん坊を和尚に預けるシーンは市のやるせなさが伝わってきて、分かってはいるのだがやっぱり感動してしまった。まあ多少気になる点がなくもないが、前回見た「座頭市逆手斬り」が物足りない出来だっただけに今回は充分に傑作だと思う。書き忘れてたけど、赤ん坊の父である親分を演じる金子信雄の演技もなかなか迫力があり、印象に残った。
[DVD(邦画)] 8点(2009-02-09 18:43:44)
203.  同胞
山田洋次監督の「家族」、「故郷」に続く三部作の最終作ともいわれている作品。前の二本では一つの家族が新天地を目指して旅立っていく物語だったが、本作では趣を変え、田舎の青年団が統一劇場の公演を成功させるまでを描いたドキュメンタリータッチの作品となっている。最初は淡々とした展開にやや退屈に感じていたが、いつの間にか引き込まれ、公演開催のために奮闘する若者たちの情熱が徐々にこちらに伝わってきて、彼らに感情移入せずにはいられなくなり、見終わってとても感動した。山田監督らしい暖かい視線がどの人物にも注がれていて、見ていて優しい気持ちになれる。それにやはり、こういう映画こそ山田監督の映画の醍醐味だと改めて思うことの出来る映画で、下にも書かれている方がいらっしゃるが本当にこの時期の山田監督の映画は外れの方が少なく、いちばん監督として脂の乗った時期で、これも傑作だと思う。出演している役者たちもみんなよく、特に会長を演じる寺尾聡が素晴らしい。そしてこの映画の主題歌としてもクレジットされている劇中劇ミュージカルのテーマ曲「ふるさと」もかなりの名曲だと思う。 
[DVD(邦画)] 8点(2009-01-13 23:56:10)(良:1票)
204.  次郎長三国志 第五部 殴込み甲州路
シリーズ第5作。今回は冒頭から祭りのシーンでマキノ雅弘監督らしい盛り上がるスタート。既にぐるぐるさんや青観さんが書かれているけど、この前半ではお蝶さんに酒を勧められた次郎長親分が久しぶりに酒を飲むシーンの親分のものすごくうれしそうな表情がたまらなくよく、そこでお蝶さんが親分との馴れ初めを語るんだけど、ここのお蝶さんの表情も最高で、ああ、この二人は本当にいい夫婦だなあと感じさせてくれるまさに名シーンだと思う。後半は後半で前半の和やかな雰囲気とは一転して人質にされたお仲さんを救出すべく殴り込みをかけるという展開。クライマックスのこの殴り込みのシーンもマキノ監督らしいどこかお祭り騒ぎ的な演出なのだけど、そこにいたるまでの大人数相手の喧嘩を前に不利とわかっていながら行かねばならぬ次郎長一家が見ていて実にかっこいい。それに人質にされるシーンのお仲さんの啖呵もかっこ良かった。マキノ監督のテンポのいい演出も見ていて心地よく、充分に楽しめる映画だったと思う。ただ、前回登場したばかりの豚松が、演じる加東大介のスケジュールの都合(黒澤明監督の「七人の侍」に出ることになった。)で早くもここで退場なのはなんか惜しい気がする。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-10 16:21:55)
205.  次郎長三国志 第三部 次郎長と石松
シリーズ第3作。「次郎長と石松」というタイトルのわりには次郎長一家の出番は少なめで、どちらかと言えば「石松と三五郎」という感じで石松と今回初登場の追分三五郎との絡みが中心。前回、最後にチョロッと出てきただけでも抜群の存在感を放っていた森の石松が、今回いよいよ本格始動して大活躍。演じる森繁久弥の持ち味がじゅうぶんに発揮されていて面白い。そして今回もう一人初登場となるお仲さんが色気があって美しくて気風の良い姉御肌で博打で壷を振る姿もかっこよく、見てるこっちまで石松や三五郎と一緒に思わず惚れてしまいそうじゃないか。お仲さんが酔った勢いで石松と一緒に旅に出る約束をするシーン。このシーンの二人はなんかいい感じで、そういえばお仲さんを演じる久慈あさみって「社長シリーズ」では森繁久弥演じる社長の奥さん役だったよなと思って見たり。そのほか、博打で捕らえられた次郎長一家に会うためにわざと見張りをぶん殴る張子の虎造も面白い。しかし、今回はなんと言っても森繁久弥演じる森の石松のキャラクターと久慈あさみ演じるお仲さんにすっかり魅せられた一本だった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-04 22:34:34)
206.  次郎長三国志 第二部 次郎長初旅
シリーズ第2作目。冒頭の婚礼シーンのあと、次郎長一家が旅に出るのだが、それを見送るお蝶さんを演じる若山セツ子の演技がとても良かった。ただ、今回はちょっと最初からしんみりするような展開だったため、この先、どうなることかと思っていたが、あとは全体的に喜劇タッチで、料理屋でのドンチャン騒ぎ(一緒になって騒いでいる料理屋の主人佐太郎役の堺左千夫が女房に呼ばれて「ああ、そうか。」と下へ行くシーンが笑える。)とか笑えるシーンが前回よりも増えている感じで前回同様楽しめた。佐太郎の奥さんのお徳さん(この名前を聞くとなんか「洲崎パラダイス 赤信号」の千草のおかみさんを思い出す。)の優しさはたまらないし、おきねの父が娘の恋人である仙右衛門と和解するシーンは思わず感動した。そして終盤に登場する森の石松を演じる森繁久弥の存在感がすごい。これは、石松が本格的に物語に絡み出す次回が楽しみだ。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-04 15:02:18)
207.  次郎長三国志 第一部 次郎長売出す
マキノ雅弘監督の「次郎長三国志」東宝九部作の第一作。今まで「サラリーマン清水港」とかパロディーものしか見ていなく、本家を見るのはこれが初めてだったのだが、とにかく出てくるやつらがみんな個性的で魅力があって楽しく、明るい作品でとても面白かった。今回出てくる子分たちの中ではとくに最初に次郎長の子分になる鬼吉。このキャラクターは演じる田崎潤に渋い役者というイメージが強くこういう役のイメージが皆無だっただけにそのハイテンションな演技がとても新鮮に感じられて面白い。彼が棺桶を背中にかついで走るシーンは同じ監督だからだろうかどことなく「決闘高田馬場」を彷彿とさせている。ほかにも浪曲をうたう張子の虎三(演じる広沢虎三は実際に次郎長伝の浪曲で知られている人。)なんかも実にいいキャラクターで楽しかったし、「青い山脈」で笹井和子を演じていた若山セツ子演じるお蝶さんは可愛い。大政と女房が別れるシーンは全体的に見て、少ししんみりするが、このシーンの大政役の河津清三郎の演技が素晴らしく、ここはこの映画の中でも名シーンの一つだろう。それにしても、新年一発目に見た映画がこれなのだが、とても満足いく作品だったと思う。第二部も楽しみ。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-02 11:17:23)
208.  デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム! 《ネタバレ》 
テレビシリーズ一度も見たことない状態だったので、一見さんお断りな映画だったらどうしようかと思っていたが、これが本当に東映アニメフェアの子供向け映画として公開された映画なのかと思うほど緻密に作られていて、ネットの中に現れたモンスターがデータを食い荒らすという展開もリアルにコンピューターウイルスを連想させていてひょっとしたら実際にこんなことが起こるかもしれないと思わせる設定で見事だし、細田守監督の演出もしっかりとしていて大人の鑑賞にじゅうぶん堪えうる作品に仕上がっていたのでかなり驚いた。NTTやペンタゴンなど実在のものがそのままの名前で出てくるのがちょっと子供相手の東映アニメでは異色な感じだが、そうすることでなおも映画にリアリティーを生むことに成功している。それに下の方も書かれているけど主人公たちが戦っているのを知らないで日常生活を送っている一般の人々の描写も細かで丁寧でこれが入ることによってストーリーに厚みが出ているのもうまい。確かにテレビシリーズ見ていないから登場人物たちのバックボーンとかがよく分からない点は少し残念だが、この映画は今まで見た東映アニメ映画の中でもいちばん面白いと思うし、純粋に映画という枠で考えても快作といえる作品だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2008-12-23 01:03:49)(良:1票)
209.  日本一の若大将
若大将シリーズ第3作。シリーズを順番どおりに見ているわけではないのだが、前の2作ではなかった加山雄三の歌う歌が冒頭から流れ、劇中にも澄子役の星由里子と歌うシーンやソロで歌うシーンがあるなど、加山雄三がこのあたりからスターになりつつあったのだなあと感じる。それはさておき、今回も田中邦衛演じる青大将のどじぶり(若大将と彼の絡みはやっぱり楽しい。)や、有島一郎や飯田蝶子といった脇のレギュラー陣や左ト全演じる和尚が笑わせてくれて何にも考えることなく楽しめた。加山雄三の父である上原謙が今回は青大将の父親役というのも面白い。若大将が父親(有島一郎)から勘当されるのはシリーズお決まりのパターンだが、今回はラストの父親が若大将の気持ちに気づくシーンで思わずちょっとウルッと来てしまった。当初このシリーズはこの回で終わる予定だったみたいで、このシーンを含めて終盤はそれを思わせる展開になっているのだが、それがあってか、今まで見たこのシリーズ(そんなに数多く見たわけではないんだけど。)の中でも今回はなかなかの出来だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2008-12-21 22:20:44)
210.  痴人の愛(1967) 《ネタバレ》 
「卍」、「刺青」に続く増村保造監督による谷崎潤一郎の原作作品。とにかく凄すぎで本当に怖かった。安田道代が「巨人と玩具」の野添ひとみを思わせる下品さを放つナオミを演じていてとても強烈。物語はこのナオミと彼女と結婚した譲治という男の凄まじい恋愛を描いた作品。「ナオミの日記」のシーンや譲治が風呂でナオミの体を洗うシーン、そしてナオミが譲治の体に馬乗りになるシーンはものすごく変態的ではあるものの、それだけではない深さがこの映画にはある。既に青観さんが書かれているが、ナオミを追い出した後の譲治のあのさびしそうな表情(大量のナオミの写真に顔をうずめてキスをする譲治の姿がなんとも切ない。)や耐え切れなくなって暴れるシーンには思わず感情移入せずにはおれず、切なくてつらい。このシーンの小沢昭一の演技も凄いが、増村監督のストレートな演出のうまさが際立った良いシーンだと思う。互いに本当に愛し合っていても互いに不器用で口に出せない男と女の関係、それをここまで徹底して描く増村監督の力量には脱帽である。また、それがしっかり描けているからこそラストの馬乗りのシーンはものすごく感動してしまった。間違いなくこの映画は純愛映画の傑作と言えるだろう。
[DVD(邦画)] 8点(2008-12-19 00:53:33)(良:1票)
211.  小説吉田学校
GHQによる占領時代の講和条約からバカヤロー解散にいたるまでの吉田茂内閣時代を描いた実録政治もの。見る前はなんか淡々としていそうで退屈するのではないかと思っていたが、確かに淡々としているものの、スケールが大きくてものすごく見ごたえのある骨太の作品で、原作者の監修が入っているからか大作映画で知られる森谷司郎監督作(本作が遺作。)の中では大味な部分も特になく政界ドラマとして非常に面白い作品になっていると思う。公開当時にまだ現役だった実在の政治家(公開当時の首相は中曽根康弘。)たちが多数実名で登場している(当然本人には相当配慮していると思われる。)などドキュメンタリー映画的な側面もあってこの時代の政治家には威厳があったのだなあと感じる。吉田茂を演じる森繁久弥が本当にそこに吉田茂本人がいるような雰囲気が漂うほどの名演技で間違いなくこれは彼の晩年の代表作だろう。またこの映画を見ていると主人公の吉田を含め近年総理大臣に選出された安倍、福田、麻生の父親や祖父が登場しており、今の政界はつくづく世襲の多い世界だと思うと少々唖然とする。
[DVD(邦画)] 8点(2008-11-25 20:17:51)
212.  盲獣 《ネタバレ》 
最初の船越英二が女性の彫刻を撫で回すシーンから既に異様な雰囲気が漂いまくっていたが、とにかく凄い、凄すぎる作品だ。人間の裸体を模した悪趣味としかいいようのないアトリエやそこで繰り広げられる緑魔子と船越英二の変態プレイが何とも強烈で怖く、こんな映画を撮れるのはまさしく増村保造監督しかいないであろう。何かに取り付かれたような変態男を演じる船越英二の演技や、彼に協力する母親役の千石規子、船越英二との関係を続けていくうちに盲目になり、自身も狂っていくヒロインを演じる緑魔子と、登場人物が三人とも怖く、中でも千石規子が死んでからのあの展開は見たのが夜中だったこともあってか、眠れなくなってしまうのではないかとか、夢に出てはこないだろうかと心配になってしまった。映画としては船越英二の悪趣味なアトリエのセットがいかにも大映らしい丁寧な仕事で素晴らしいし、増村監督の演出も本領発揮というか、いやちょっとこれは暴走気味と思えるくらいに作品に対する気合いの入り様が伝わってくる傑作だと思うものの、やはり怖すぎてまた見たいとは僕もおそらく思わないかもしれない、でもとにかく本当に凄い映画を見てしまった。
[DVD(邦画)] 8点(2008-10-30 15:39:04)(良:2票)
213.  ニワトリはハダシだ
最初は在日朝鮮人や知的障害者というテーマから堅い映画なのではと思っていたが、冒頭の養護学校の先生の「オハヨ・オハヨ、スズメもチュンチュン・・・」という歌と、その後のサムと父親とのやりとりの中で「けっこう毛だらけネコ灰だらけ・・・」という「男はつらいよ」シリーズの寅さんが使う文句が出てきてこの二つで笑ってしまい、そこから一気に引き込まれた。とにかく養護学校の直子先生の元気なハッスルぶりや、原田芳雄と倍賞美津子演じるサムの両親、塩見三省のキレまくる刑事など出てくる登場人物たちがどれもこれも熱く魅力的。(中でも直子先生のはつらつとしたキャラクターは気に入った。)晩年を迎えて枯れているのではと心配だった森崎東監督の演出もパワフルでとても撮影当時70代後半だったとは思えないほどの勢いと若々しさがあり、前回見た森崎作品がデビュー作の「喜劇 女は度胸」だったのだが、その頃と比べても全く演出力が衰えていないと感じた。確かに映画としては後半がムチャクチャな印象があるし、変わったバカな映画かも知れないが、人情喜劇としての楽しさはじゅうぶんだし、それでいながら堅苦しくなりがちなテーマもさらっと描いていて、その中に森崎監督の社会に対する怒りも感じ取れ、これが森崎東という監督の本質なのだなと思う。今どきの日本映画には珍しい社会派喜劇の傑作。
[DVD(邦画)] 8点(2008-10-07 19:18:12)(良:1票)
214.  東海道四谷怪談
四谷怪談を題材にした映画と言えば深作欣二監督の「忠臣蔵外伝 四谷怪談」しか見たことがなく、ストーリーもあまりよく知らない状態だったので新鮮な気持ちで見ることが出来た。映画としては低予算なB級ホラー映画ではあるが、それでも歌舞伎のような音楽と演出がとても効果的に使われており、溝口健二監督の作品とためをはるぐらいの映像美にもあふれ、単なる怪談映画では収まりきらないような芸術的傑作になっていて正直驚いた。中川信夫監督の作品を見るのはこれが初めてだったのだが、これ一本でじゅうぶん巨匠のひとりだと感じた。出演している俳優陣も天知茂のニヒルな伊右衛門はハマリ役だし、名前は知らないがお岩役の女優もなかなか不気味で、とくに毒薬を飲んで顔が醜く変わった直後の演技はかなりインパクトがあり印象に残る。「忠臣蔵外伝 四谷怪談」で荻野目慶子が演じたお梅は高笑いだけが印象に残るだけの存在だったが、本作では若き池内淳子で清楚なお嬢様という感じで良かった。何はともあれ、いかにも日本的な怪談映画でありながらそれ以上に日本的な美しさ、様式美を感じさせてくれる、そんな映画だった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2008-08-14 03:19:27)(良:1票)
215.  清作の妻(1965) 《ネタバレ》 
戦前に作られたサイレント映画を増村保造監督が若尾文子主演でリメイクした作品。最初から最後まで重い展開で、とくに後半、清作(田村高廣)が盲目になってからの清作に対するそれまでとは人が変わったような村人たちの仕打ちは見ていてものすごく怖いものを感じずにはいられない。ここでも増村監督は若尾文子に愛する人を思うがゆえに大胆な行動に出る女を演じさせていて演出にも相変わらず力が入っている。中でもお兼(若尾文子)が清作の目を潰す直前のシーンは緊張感にあふれていてすごかった。そんな増村監督の演出に応える若尾文子も「妻は告白する」を凌ぐほどの名演技を見せており、この作品でも素晴らしい。田村高廣も妻によって視力を奪われながらもそれを許してともに生きていくという難しい役柄を見事に演じていてこれも素晴らしい演技を見せていてとても良かった。増村・若尾コンビ作としては個人的には「妻は告白する」のほうが好みだが、久しぶりに純愛映画の傑作を見た気がした。
[DVD(邦画)] 8点(2008-07-31 18:04:29)
216.  巨人と玩具
この異様なテンションの高さは何なんだろう。とにかく巻頭の強烈な歌詞の歌からしてもうテンションが高く、映画が始まっても冒頭の山茶花究のまくし立てるような台詞回しに始まり、出てくる俳優たちがやたらとテンションが高い演技をしていて圧倒されっぱなし。そのまま最後までいってしまうのだからちょっとすごい。とくに高松英郎のテンションの高さは凄まじく、後半になって過労で吐血しているにもかかわらず、それでもテンションの高さを保っているのがすごすぎ。増村保造監督の初期50年代の作品はこれまでデビュー作の「くちづけ」と若尾文子との初コンビ作となった「青空娘」を見ていて2本ともハイテンポな展開だったけど、ここまでのテンションの高さはなかった。そんなテンションの高さを維持しつつ、現代でもじゅうぶん通用するような社会風刺劇としての面白さがあり、増村監督のパワーを感じさせる作品になっている。普通の女の子から大スターになるヒロインを演じる野添ひとみも明るい元気娘という前半の感じから、後半のワールドキャラメルを離れた後の少しタカピーな感じまでうまく出していて素晴らしい。彼女がステージで歌い踊っているシーンがやや悪趣味なのが増村監督らしい。先週見た「妻は告白する」のような深みはない作品だが、これもなかなかの傑作だと思った。
[DVD(邦画)] 8点(2008-07-24 15:19:03)
217.  青空娘
若尾文子といえば落ち着いた上品な大人の雰囲気が漂う女優、あるいはちょっと小悪魔的な魅力を持つ女優というイメージがあるのだが、増村保造監督との初コンビ作となる本作では、そのイメージとは違う明るく元気なヒロインを演じていて、川島雄三監督の「しとやかな獣」や「女は二度生まれる」でも印象的だった彼女だが、ここまで爽やかで清潔感溢れる魅力を感じるのは初めてだ。映画の面白さや完成度としては確かに「しとやかな獣」や「女は二度生まれる」、同じ増村・若尾コンビの作品なら「華岡青州の妻」のほうが上だと思うものの、この映画の若尾文子の明るい魅力にはとにかく「やられてしまった」という感じですごくかわいい。そして映画としても増村監督らしいハイテンポな演出も見ていて心地よく、軽い仕上がりになっていて、とても見やすく楽しいものになっている。脇のミヤコ蝶々や南都雄二もいい味を出していて楽しいが、とにかく本作「青空娘」は、何度も同じことをいうようだが、若尾文子、若尾文子の魅力に尽きる映画だ。
[DVD(邦画)] 8点(2008-07-08 20:28:32)(良:2票)
218.  人間の條件 第五部 死の脱出
いよいよ物語も大詰めの第五部。敗残兵となった梶たちが避難民である民間人たちとジャングルをさ迷い歩くシーンをはじめ、岸田今日子演じる竜子の無残な最期など壮絶な展開ばかりで見ていてかなり辛いものがあった。今回は梶はただ美千子の元へ生きて帰ることだけを考えていて、その気持ちはじゅうぶんに理解できるのだが、そのためには人殺しも厭わなくなっており、第一部からずっと見ていると別人のようである。こうなるとちょっと今回の梶の苦悩というのは理解しがたいものになってしまい、もし、梶と再会した美千子がこれを知ったらどう思うだろうなどと考えながら見ていたらまた辛くなってくる。下にも書かれている方がいらっしゃるが、戦争は人を変えてしまうということがこの「人間の条件」という作品の最大のテーマ、メッセージなのではなのかと思える。そんなこの回において唯一の救いと言えるのは中村玉緒演じる少女の健気な笑顔であるが、ラストの桐原の一言はその彼女に強姦をしたというのが、リアルに想像できて怖かった。次で最後だ。
[DVD(邦画)] 8点(2008-06-24 23:24:51)
219.  あらくれ(1957) 《ネタバレ》 
とにかく荒々しい主人公を熱演する高峰秀子の演技に圧倒されてしまい、見終わった特にはなにかすごいものを見てしまったという気がした。とくに加東大介扮する夫との取っ組み合いの喧嘩のシーンはすごく、今まで成瀬巳喜男監督の映画何本か見てるけどここまでテンションの高いシーンのある作品はなかったし、ラスト近くでの主人公が夫が愛人と会っているところに乗り込んでくるシーンもものすごい。この二つのシーンは本当に今まで見た成瀬作品から考えれば異質であるし、青観さんが書かれてるように川島雄三監督の作品のような勢いを感じた。そんな中でもこの映画は運命に翻弄される一人の女の生き様を描いたドラマとしても見ごたえのある作品になっていると思うし、最初に書いたように荒々しく、強く、逞しいヒロインを演じる高峰秀子が圧倒的な存在感を放っており、演技力も抜群で素晴らしいの一言である。それから、最初の夫を演じる上原謙が陰険なダメ男というのも珍しい。いつもと印象が違いすぎてしばらく気がつかなかった。映画館のシーンは弁士がいたり、途中でフィルムが切れたりして舞台となった大正時代の時代性がよく出てる。劇中頻繁にかかるチンドン屋の音楽も印象的。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2008-06-23 00:16:40)(良:2票)
220.  人間の條件 第四部 戦雲篇 《ネタバレ》 
第四部。今回の見どころはなんといってもクライマックスとなる終盤の戦闘シーンだろう。戦争映画の大規模な戦闘シーンの場合、バックに壮大な音楽を流してシーンを盛り上げる演出が多いと思うが、そうせずに淡々と描く小林正樹監督の演出と梶を演じる仲代達矢ら俳優陣の迫真の演技のおかげで逆にリアルで緊迫感のある戦闘シーンとなっていて見ごたえじゅうぶんだった。この戦闘シーンを含めて上等兵になった梶の苦悩や、少尉として梶と再会した影山の運命など今回も重い展開。とくに発狂した小野寺兵長を梶が殺すというラストは偶然そうなったとはいえ、かなり衝撃的だった。このことで第二部のラストで楊春蘭が言っていたように本当に「鬼」になってしまった梶。(劇中、自分自身で言ってる。)あとの2本がこの先、どうなっていくのか見るのがちょっと怖い気もする。
[DVD(邦画)] 8点(2008-06-18 23:18:53)(良:1票)
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