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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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321.  ある映画監督の生涯 溝口健二の記録
溝口健二の伝記映画かと思っていたら、生前の彼を知る映画人たちへのインタビュー集でかなり意表を突かれた。インタビューアーは新藤監督自らが努め、溝口健二という監督がどういう人だったのかがよく分かる。インタビューを受けるのは溝口の映画に出演した京マチ子や田中絹代などのスターはもちろん、カメラマンの宮川一夫、脚本家の依田義賢、友人の映画監督 伊藤大輔、作家の川口松太郎、助監督を努めていた増村保造、元大映社長の永田雅一など今では故人となった溝口ゆかりのスタッフたちの姿が見られるのも貴重。皆それぞれ溝口への思いを告白しており興味深く、中でも田中絹代へのインタビューは圧巻である。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2005-03-05 10:55:14)(良:1票)
322.  三大怪獣地球最大の決戦
このキングギドラが一番好きだ。「怪獣総進撃」のところでも書いたようにキングギドラの第一印象は僕にとって最悪のものだったが、本作では初登場だけあってさすがにカッコイイ。特に隕石がだんだん怪獣の形になっていく登場シーンは印象深い。ゴジラとラドンをモスラが説得するシーンは怪獣の言葉を小美人が訳すというのが笑える。ゴジラはこれ以降、人類の味方になってしまったのが今にして思えば残念だが、それでもこの映画は好き。
[ビデオ(邦画)] 8点(2005-03-05 00:59:33)(良:1票)
323.  バトル・ロワイアル
初めて見た深作欣二のバイオレンス映画だったのだが、70歳の老人が監督にしてはパワーを感じるし、面白かった。僕はこの映画を遺作だと思いたい。生徒役の俳優に関してはこの映画で初めて見た藤原竜也や柴咲コウ、栗山千明などが印象的。とくに相馬光子役の柴咲コウは怖すぎて今でもテレビなどで彼女を見ると相馬光子を思い出してしまう。桐山役の安藤政信もそれまで見た映画の印象とは違う一言も喋らない狂気に満ちた生徒役を好演している。それから、説明ビデオのシーンとビートたけしの役名が笑える。
[ビデオ(邦画)] 8点(2005-03-02 22:51:36)(良:1票)
324.  トラ・トラ・トラ!
アメリカのシーンはリチャード・フライシャー、日本のシーンは黒澤明に代わって、日活の舛田利雄と当時まだブレイク前だった深作欣二が監督した日米合作の戦争映画。それだけに日米双方の視点で物語が描かれていて偏りがない。ところで、「パールハーバー」で山本五十六役だったマコ岩松がこれにも役は違うが出ていて驚いた。渥美清のカメオ出演が笑える。もし、黒澤が最後まで日本側監督をやっていたらどういう描き方をしたかも少し気になる。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-03-02 13:41:20)(良:1票)
325.  クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦 《ネタバレ》 
劇場版シリーズ第7作。今回初めてノーカット版を見たが、確かに間延びしていてテンポが悪く、ストーリーだけ見るとちょっとイマイチな感じがするものの、通常子供向け映画で絶対テーマになりそうもない温泉という題材や、マニアックなギャグの応酬など「クレヨンしんちゃん」らしい作品になっていてとても楽しめたし、久しぶりに見たのもあるが懐かしさも感じることができた。YUZAMEの巨大ロボットの進撃シーンは怪獣映画のパロディーになっていて、陸自の戦車隊が「怪獣大戦争」の音楽を鳴らしながら進むシーンと、直後の巨大ロボットがゴジラの音楽をスピーカーから流して陸自を威嚇するシーンは今見てもついすごく笑ってしまう。でも、巨大ロボットの進撃によって避難勧告の出た春日部の住人(いつものクレしんの脇役メンバー)の描写はリアリティがあり、真に迫ったシリアスなものになっているのは良かった。(劇中のテレビで一つだけ報道特番をやっていないチャンネルがあるのもこだわっていて好き。「アイアムアヒーロー」で同様のシーンを見た時、このシーンを思い出した。)そしてゲストである丹波哲郎の使い方も「クレヨンしんちゃん」らしく「ジェームズ・ボンドと一緒に風呂に入ったことがある」というセリフにやはり爆笑。「007は二度死ぬ」からのネタだが、本当に本作や同時上映の「クレしんパラダイス!メイドイン埼玉」を見ると原恵一監督をはじめとしたスタッフに映画好きが多かったことが分かるし、この頃の劇場版シリーズの自由さも感じられる。(野原一家が巨大ロボットにシェーをさせるシーンも「怪獣大戦争」ネタ。原監督は小学生時代に怪獣少年だったと聞いたことがあるが、それも納得できる。)アカマミレが風呂嫌いになった理由もバカバカしいが、それも楽しい。エンディングが本作のために作られたタイアップの新曲ではなく、登場人物ほぼ全員で歌う「いい湯だな」というのもこの映画にすごく合ってる。(2023年12月3日更新)
[DVD(邦画)] 8点(2005-02-28 00:01:55)
326.  決算!忠臣蔵 《ネタバレ》 
東映の任侠映画をいろいろ見ていると実は忠臣蔵に近いものがあるのではと思えてくるのだが、本作に出て来る大石内蔵助(堤真一)をはじめとする赤穂浪士たちは関西弁で喋り、ガラも良くないというのが、いよいよ任侠映画を思わせていて、それが変にリアリティーを感じさせているし、時々抱いていた、美談としての忠臣蔵に対する違和感も赤穂浪士をこういうふうに描いていれば、それに対する答えも出ているように思う。中村義洋監督の映画としては「殿、利息でござる」と同様に歴史学者(今回も磯田道史原作かと思ってしまうところだが、違うのね。)が原作で、経済的な面から見た忠臣蔵が描かれているが「殿、利息でござる」同様に軍資金を現代のお金に換算して表現しているので分かりやすいし、面白く、だんだん減っていく残金をちゃんと計算機のような形で表示して見せてくれるのも良い。吉本興業メインの映画ということもあって、吉本芸人が大量に出演していて、笑いの部分がちょっと濃いかなあとは思うものの、それほど気になるということもなかった。勘定方 矢頭長介を演じる岡村がなかなか良い味を出していて、浪士たちを「無駄遣いするなよ」と咎めるところなどちゃんと見ている観客側の立場に立ったキャラになっているのも良かった。この長介が死ぬところが中盤の山場となっているが、公開時の宣伝では堤真一とW主演のように言われていたので、けっこう早くに出番が終わってしまったように感じたのが意外で、それが残念と言えば残念。忠臣蔵といえばクライマックスは討ち入りと決まっているのだが、本作はあくまで赤穂浪士の予算のやり繰りを描くということを徹底していて、討ち入りが予算内に収まるか否かの会議をクライマックスに据えていて、討ち入り場面はシミュレーションだけという形をとっており、それも本作らしいところだが、本作は忠臣蔵でありながら吉良上野介(およびその周辺)が一切登場しないという異色さになっていて、これがかなり新鮮に感じた。大石の妻であるりくを中村監督作品では常連の竹内結子が演じているのだが、山科の別れのシーンでりくが大石に言う最後のセリフが今となっては何だかさびしく感じてしまう。
[DVD(邦画)] 7点(2024-03-18 00:21:46)(良:1票)
327.  幕末残酷物語 《ネタバレ》 
新撰組を描いた加藤泰監督の映画だが、その歴史を華々しくカッコよく描くものではなく、屯所のみを舞台に新撰組の暗部や非人間性、非情さといったものを描いている。これまでも新撰組ものは何本か見ていて、そのメンバーの確執や非情さにも触れられている作品もあったのだけど、いざそこをメインに描かれると本当に新撰組という組織がただの非道な集団にしか見えず、多くの作品で描かれてきた英雄然とした新撰組のイメージは打ち砕かれそうになる(イメージとしては大島渚監督の「御法度」が近いかなと思うのだが、やはり少し違うか。)のだが、同時にここまで新撰組の闇の部分を徹底して描いた作品も初めて見た感じで、興味深くて面白かった。その非道さを田舎から出てきた架空の新人隊士である主人公 江波(大川橋蔵)という第三者の目を通して描かれている分、より一層その非道さが際立っていてリアルで見ごたえのあるものになっているし、最初は言われるがまま怯えながら仲間の隊士の切腹の介錯をやっていた江波が三度目には自分からその役を買って出るあたりは江波の人間性の崩壊もちゃんと描かれていて、そういうところにもリアリティを感じさせるあたりは想像はつくものの、やはりドラマとしてよく出来ている。と、ここまではじゅうぶん傑作の域なのだが、江波の正体が判明するクライマックスがなんか唐突で、せめてそれまでに伏線が欲しかった。(一応、沖田(河原崎長一郎)が芹沢鴨暗殺について江波に語るシーンが伏線といえばそうなのだが。)別にこういうふうでなく普通に江波が規律違反を犯して粛清されるという結末のほうがこの映画にとっては良かった気がしてこのラストはなんかもったいなく感じたのがけっこう残念で、ここだけが不満。でも、見終わって満足できる時代劇映画だったのは間違いない。
[DVD(邦画)] 7点(2023-08-27 23:49:35)
328.  来る 《ネタバレ》 
久しぶりに見る中島哲也監督の映画、あまり期待してなかったけど、中島監督らしい映画になっていてけっこう楽しめた。ホラー映画でタイトルからして化け物系っぽいのだが、前半は子供を授かった夫婦(妻夫木聡、黒木華)の本性がだんだんと露わになっていくくだりがひたすら胸糞悪く描かれ、(周囲に対して良きイクメンパパを演じながら実は自己中でしかなく、自分が注目されたいために子育てブログの更新に夢中になり、実際は妻に子供の面倒を任せきりの夫、イライラを子供にぶつけるだけならまだしも、夫の死後に育児放棄して遊び呆ける妻。)実際にもこういう夫婦はいそうで、こうやって最初はなんでもない夫婦が徐々に我が子虐待に走るのねと思わず納得してしまう怖さがあり、もうこれだけでじゅうぶんな気さえしてくる。(特に下の方も書かれているが妻が夕食の支度をしているそばから夫が電話をかけてきて外食に誘い、オムライスが食べたいと言い出した子供に妻がキレてしまうシーンは本当に見るに堪えない。)一応、「アレ」と呼ばれる何か(原作小説(未読)にははっきりと名前が書かれている。)が文字通り「来る」のだが姿は見せないのでこの夫婦の心理的な幻覚か何かだと思ってしまえるほど「化け物よりも怖い人間」というものがよく描けていて非常に面白かった。だから妻が死んだ後、本当に「アレ」を除霊する展開になったのはこれはこれで退屈せずに見れたけど、この終盤はホラー映画らしいといえばそうなのだが、なにかこれまでの話とうまくつながっていないし、はっきり言って余分だったような気がしてならず、すごく惜しい。見た後で調べると原作にある「アレ」に関する部分は大幅にカットされたとか。だったらなおのことこの部分はない方が良かっただろうと思えてくる。でも、やっぱり前半部分が本当に面白かったので甘めに7点。(本当にここだけでも良かったような気もする。)最後の子供の見ているオムライスの国の夢のシーンがカラフルに描かれているのも中島監督らしく、つい「下妻物語」や「嫌われ松子の一生」を思い出した。
[DVD(邦画)] 7点(2023-08-16 01:05:39)
329.  どうぶつ宝島 《ネタバレ》 
「宝島」をタイトルの如く登場人物の大半を動物に置き換えて子供向けに脚色した東映動画のアニメ映画。ストーリー自体はシンプルだが、全体的にコミカルでキャラクターもよく動き、とても楽しく素直に面白かった。若き宮崎駿がアニメーターとして参加しているだけでなく、アイデア構成も担当しており、そのためか実際は違う監督の作品にも関わらず冒頭から宮崎駿が監督した作品かのような雰囲気があり、ヒロインのキャシーがナウシカ、ブタのシルバー船長はポルコをそれぞれ思わせる風貌だったり、そのシルバー船長が率いる海賊の雰囲気はドーラ一味やマンマユートの雰囲気によく似ていて、それだけでなく登場人物たちがみんな憎めなく魅力的に描かれていて見ていてとても気持ちがいいのもいかにも宮崎アニメといった感じで、この時点で既に宮崎駿の才気を感じることができ、まさに宮崎駿、ジブリの原点を見ているようで、その意味で貴重な作品と言え、また本作が宮崎駿の処女作といっても過言ではないだろう。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-05-15 22:34:26)
330.  ガリレオ 禁断の魔術<TVM> 《ネタバレ》 
今回は湯川(福山雅治)の元教え子(村上虹郎)が湯川から教わったレールガンで復讐殺人を企てるという内容で、サスペンスものにはありがちの展開だとは思うが、それによって普段は個人としての人間性をあまり見せることがない湯川の人間性が今までよりもよく描かれていて面白いし、草薙(北村一輝)との関係の描き方もこれまでよりも深く描かれていてこのへんのドラマにしっかり見ごたえがあるのが良い。湯川がレールガンのプログラムを書き換えたうえであえて犯行を止めず逆に協力を申し出るクライマックスはなかなか緊張感があり、ここだけでも本作はテレビドラマよりも映画でやったほうが良かったのではと思えるくらいだった。(大げさかもしれないが。)久しぶりの新作ということで、少し不安な面もあったが、湯川が数式を書いて推理するシーンも懐かしく、最後まで安心して楽しめたのは素直に良かったと思う。しかし、難を言えば今回またヒロインとなる女性刑事が変わっている(新木優子)が、連続ドラマのレギュラーとしてならいざ知らず、単発のスペシャルドラマで今回だけのために新キャラを出すのは果たしてどうだったのだろうという気がしてしまい、湯川と草薙が中心という話の構成もあって、普通に岸谷(吉高由里子)あたりでも別に良かったのではと思ってしまった。
[地上波(邦画)] 7点(2023-03-26 17:03:22)
331.  21エモン 宇宙いけ!裸足のプリンセス 《ネタバレ》 
「21エモン」のテレビアニメシリーズの劇場版。数年前に初アニメ化作品である「宇宙へいらっしゃい」を見ているが、やはり自分にとっての「21エモン」はリアルタイムで見ていたこのテレビシリーズなので非常に懐かしく見た。「ローマの休日」を下敷きにしたストーリーとのことだったが、特にファナが迎賓館を抜け出してエモンたちと出会うまでの序盤部分はほぼそのまま。ファナが街を歩くシーンも彼女のお転婆ぶりや世間知らずぶりがコミカルに描かれているが、同時に魅力もしっかり出ているのが良かった。一転して後半はファナとともに宇宙に出たエモンたちがある事情から銀河ラリーに出場するという展開が「21エモン」らしいところかもしれない。ラストのファナとの別れが宇宙船の窓ガラス越しの会話というのがロマンチックでとても良かった。本作はテレビシリーズの最終回直前に「ドラえもん のび太と雲の王国」の同時上映作として公開されており、(当時毎年ドラえもんを映画館で見ていた故に本作も映画館で見てるハズだが、本作の記憶が完全に消えていた。でも今回見る上でそれは逆に良かったのかもしれない。)本作が全体的にも最後のエピソードになるわけだが、それを考えて今見るとこのラストシーンでファナがエモンたちに言う「また会いましょう」というセリフはアニメの視聴者である子供たちにも向けた言葉のように思えてくる。
[DVD(邦画)] 7点(2023-03-11 23:23:26)
332.  男はつらいよ お帰り 寅さん 《ネタバレ》 
「男はつらいよ」シリーズの50周年の50作目。山田洋次監督の映画は「幸福の黄色いハンカチ」を初めて見た時から好きで、もちろんこのシリーズも好きなのだが、シリーズ全作を通しては一回通りしか見ていなかったので、ちょっと今まで見るのを迷っていたが、ようやく見た。満男(吉岡秀隆)と泉(後藤久美子)の再会物語に回想としてシリーズこれまでの名シーンを絡めた同窓会的な作品という感じだが、ツギハギ感を感じることなく見れたのは良かったし、過去作の名シーンだけではなく、とらや(くるまや)の周辺やさくら(倍賞千恵子)をはじめとしたレギュラー陣も雰囲気はそのままなので新しく撮影された部分も懐かしく感じて実家に戻ってきたような安心感を持って見ることができた。さくらはどことなくおばちゃん(三崎千恵子)を思わせる風貌になっているように感じたのには驚いたが、やっぱりいちばん懐かしかったのはあけみ(美保純)が登場したことだった。とはいえ、満男と泉の部分だけ見ると何か薄みで付け足し感があり、合間のおまけのように見えてしまうし、ゴクミの風貌や喋り方がすっかり外国人のようになっていて、回想シーンで登場するときとの落差が激しい。それに、満男が作家になっているという設定はたぶん「三丁目の夕日」シリーズの影響なんだろうなぁとつい思ってしまう。それでもラストの走馬灯のように出てくる歴代マドンナの映像にやっぱり感慨深いものがあり、最後まで見て本作は山田監督が渥美清が亡くなって突然終わったこのシリーズをちゃんと完結させておきたくて作った映画なのだと素直に感じることができた。本作は結局いちばんそれに尽きる映画で、そしてそれはじゅうぶんに果たされていると思う。少し甘めに7点を。
[DVD(邦画)] 7点(2022-07-10 18:54:18)(良:1票)
333.  カツベン! 《ネタバレ》 
周防正行監督が自ら脚本を担当していない初の映画だが、サイレント映画の活弁がテーマというのはいかにも周防監督らしい着眼点で、先人たちへの敬意や愛情も感じられて、周防監督の映画愛に溢れた作品になっていて面白かった。また、全体的にもサイレント映画を意識している部分が多く、タンスの押し引きや床を踏み破るギャグ、そして捕らわれた梅子(黒島結菜)を俊太郎(成田陵)が救いに来たシーンやクライマックスのドタバタ劇にそれが感じられ、微笑ましい。それにストーリー面でもどことなくチャップリンの映画を思わせるものがあるなど、なかなか徹底している。周防監督は本作を通して弁士という存在と魅力を伝えたかったようだが、俊太郎の弁士としての成長を通してそれはじゅうぶんに伝わってくるし、活弁付きのサイレント映画はBS放送のテレビでいくつか見た事があるものの、改めて生の活弁を体験してみたいなと思った。それに、舞台となる大正時代の映画館のレトロさにも惹かれるものがあった。弁士という職業はトーキー映画の登場によって急速に衰退していくわけだが、その事について山岡(永瀬正敏)が屋台で酒を飲みながら語るシーンはスター弁士だった彼がなぜ落ちぶれてしまったかを想像できるし、トーキー映画の登場によって失業した弁士たちのその後の人生にも思いを馳せることができ、とても印象に残る。俊太郎ら弁士役の喋りは見ていて違和感がなく、普通に上手いと感じられるものだった。劇中に流れるサイレント映画は既存のものではなく、オリジナルのものも含めて全て撮りおろしというのもこだわりを感じる。そのうえでラストにバンツマの「雄呂血」を絡ませてエンドロールのバックでは実際の「雄呂血」の映像を流すというのも粋だった。配役に関しては以前も別作品で書いたかもしれないが周防作品に竹中直人や渡辺えりなどいつもの面々が出ていると安心感があるし、井上真央が悪役的存在を演じているのも新鮮。現在の朝ドラを見ているのでサイレント映画の登場人物役として上白石萌音と城田優が出ているのに思わずニヤリとしてしまった。(黒島結菜は次の朝ドラの主演だし、井上真央と一緒のシーンは新旧朝ドラヒロインの共演になってるなぁ。)それにしても、時代劇の撮影シーンや、登場するサイレント映画に時代劇もあるのを見ると、周防監督にはいつか時代劇映画を作ってほしいという思わずにはいられない。
[DVD(邦画)] 7点(2022-01-30 19:39:52)(良:1票)
334.  明治侠客伝 三代目襲名 《ネタバレ》 
久しぶりに見る東映任侠映画。加藤泰監督が初めて手がけた本格的な任侠映画とのことだが、それを少しも感じさせることがない手堅さで、それでいていかにも加藤監督らしい映画になっていて、冒頭のクレジットタイトルのバックの俯瞰映像から既に魅せてくれているし、何といっても浅次郎(鶴田浩二)に買われた初栄(藤純子)が、そのおかげで父親の死に目に会いに帰ることができたことで浅次郎に礼を言いにくる川べりのシーンもとても美しく、このシーンだけでもこれぞ映画と感じさせていてここだけでも見る価値はあると思う。本筋としてはよくある任侠映画のフォーマットに収まった作品と思うものの、この浅次郎と初栄のラブロマンスを絡めたことで映画に奥行きが出ていて、よりドラマチックな内容になっていると感じる。この二人のお互いに秘めた想いや情念というものをうまく描いていて、ただの任侠映画に終わらないドラマとしての深みを出そうという加藤監督の意気込みのようなものが伝わってきて、名作と呼ばれている理由も分かり、じゅうぶんに楽しめたことは確か。でも、浅次郎が三代目を継ぐことに反対していた二代目の息子である春夫(津川雅彦)が家業を譲ると言われた途端にコロッと態度を変えるところなどもう少しじっくり描いてほしかった部分もあり、その点で少し物足りなさも感じたのも事実。ラストの鉄道の上を連行される浅次郎とそれを見送る初栄のやりとりも良く、印象的だった。それにいちばん最後、汽車の映像で終わっているのがなんとも加藤監督らしい。
[DVD(邦画)] 7点(2021-12-19 15:56:57)
335.  ゲゲゲの鬼太郎 激突!!異次元妖怪の大反乱 《ネタバレ》 
第3シリーズ劇場版第4作で、第3シリーズの劇場版ではこれが最終作となる。そんな本作は原作者である水木しげるがアニメキャラクターとして妻とともにゲスト登場(声は本人ではなく、あずさ欣平と川浪葉子。)するなどしていて盛り上げているが、ストーリーは国会議事堂が敵の妖怪に占拠されたり、発生した怪気象に対し、総理大臣の命のもと自衛隊がミサイルで迎え撃とうとするなどけっこうシリアス。でも今回はなんといっても地下鉄で知り合ったカロリーヌちゃんを必死で守ろうとするねずみ男のカッコよさが際立って描かれ、普段のイメージとは違う熱い男としての魅力が出ていて、今回の主役は間違いなく彼だろうと思わずにはいられない。中でもやはり、カロリーヌちゃんが朧車に突き飛ばされて来世でのねずみ男との結婚を約束して消滅するシーンは来るものがあるし、その後のカロリーヌちゃんの父親であるぐわごぜをなんとか改心させようとするねずみ男には思わず泣かされた。そして、カロリーヌちゃんとぐわごぜの墓に餅を供えるラストシーンにねずみ男の気持ちが表れているような気がした。今月ずっと鬼太郎映画を見ているわけだが、間違いなく最高傑作は本作だと確信できる。ただ、惜しむらくは中編でなく、ちゃんとした長編映画として見たかった。
[DVD(邦画)] 7点(2021-09-26 00:11:26)
336.  兵隊やくざ 強奪 《ネタバレ》 
大映のシリーズでは最終作となるシリーズ第8作。前作ラストで終戦を迎え、あと一作どうするのだろうと思っていたが、敗残兵となった大宮(勝新太郎)と有田(田村高廣)が描かれていて、シリーズとしては完全に後日談という感じで、二人がどこの部隊にも所属していないこともあってか、これまでと違う印象もあるが、やはり今回も面白かった。今回、大宮と有田がひょんなことから赤ん坊を拾って子連れで行動することになるのだが、こんな展開は座頭市にもあったなあと思いながらも赤ん坊の世話をする大宮と有田が本当に微笑ましい。それに冒頭に登場する終戦を信じずにいる部隊は現実にもこんなことはあったのだろうと思わずにはいられない。後半、有田が敵に拉致されるという展開も前作にもあった二人を引き離すという部分と同じなのだが、この後半以降、有田の出番が少なくなって、最後まで子連れの大宮ひとりが活躍してるような風になってしまい、コンビものとしての魅力があまり感じられなくなっているのが少々残念だったかも。ヒロインを演じるのが佐藤友美で、悪役が夏八木勲と、ともに他社所属の俳優なのが、このころの日本映画の状況、というか大映の状況があまり良くなかったのではと感じられてちょっと興味深かった。ラストシーンは再会した大宮と有田の日本へ帰った後の幸せな暮らしを想像させるもので、これでこのシリーズは本当に完結という終わり方をしていて、すごく気持ちが良い。1作目から連続でこの8作目まで見たわけだが、それだけにやはり感慨深いものがある。
[DVD(邦画)] 7点(2021-07-03 23:13:49)
337.  兵隊やくざ 大脱走 《ネタバレ》 
シリーズ第5作。冒頭で大宮(勝新太郎)と有田(田村高廣)が所属した部隊が既に玉砕を覚悟しているのから見て背景的にはやはり前回の終盤で感じた通り敗戦(終戦)間近という感じがするのだが、それでも暗い重い雰囲気がないのがこのシリーズらしいし、玉砕を前に手紙を書くよう言われた大宮が代筆する有田にこれまでのヒロインの名を挙げるところなどはつい笑ってしまうのだが、前にも書いたようにシリーズのつながりをちゃんと感じられる部分になっているのが嬉しい。そんな今回は慰問団をめぐる前半と、全滅した部隊で二人だけ生き残った大宮と有田が階級を偽って次の部隊に編入する後半とでキレイに分かれていて、二本分のストーリーを一本でやっている感じだが、ヒロインの登場が後半からだった前作に対して、今回のヒロインである慰問団の娘である弥生(安田道代)は前半にしか登場しないという対比的な構成が面白い。ただ、こうしたことによって少し話が駆け足気味になってしまった印象もあり、とくに後半登場する因縁の相手でもある青柳(成田三樹夫)との和解と別れはもっとじっくり見たかった気がしないでもない。以前の回で軍曹を演じていた芦屋雁之助と芦屋小雁が当番兵役として再登場しているが、階級を偽っている大宮と風呂に入っているシーンの会話で、飯岡助五郎や八尾の朝吉など、勝新のほかのシリーズである「座頭市」や「悪名」に関する人物の名前が出ていて、楽屋落ち的で楽しい。
[DVD(邦画)] 7点(2021-06-13 18:07:13)
338.  兵隊やくざ 脱獄 《ネタバレ》 
シリーズ第4作。1作目では軍隊を刑務所に見立てていたが、今回は大宮(勝新太郎)と有田(田村高廣)が逮捕され軍事刑務所に入れられるところから始まっていて、その刑務所で二人と知り合う受刑者である沢村を演じているのが田中邦衛で、それだけで思わずまた「網走番外地」を思い起こしてしまうが、果たして偶然のキャスティングなのだろうか。それはさておき、大宮と有田がこの刑務所を文字通り脱獄するまでを描いているストーリーかと思って見ていると後半は刑務所を出た後の話になるという二部構成的な脚本になっているのが面白い。この後半になって登場する今回のヒロインである珠子を小川真由美が演じているが、一か月ほど前に「八つ墓村」を見返したばかりというのもあってか、思わずそのギャップには驚かされた。珠子が働く店でヘソ酒や音丸(淡路恵子)の話題が出ているのはこのシリーズが1作目からずっと地続きの物語であることをあらためて実感できるシーンになっていて、1作目から順に連続でこのシリーズを見ている身としては素直に嬉しかった。いつも通り悪役となる上官との対決がクライマックスで描かれているのだが、その決着の前に今までと違ってソ連軍の奇襲も描かれていて、いよいよ終戦も間近かと感じさせる部分もあるのが印象的。ラストで珠子と内地へ向かうトラックに乗った大宮がやっぱり有田を一人に出来ないとトラックを降りるシーンで珠子が大宮にかける言葉に思わず笑ってしまった。今回は2作目以降を手掛けている田中徳三監督ではなく、森一生監督が手掛けていて、そのせいではないと思うが、いつものように二人の脱走シーンで終わらないというのも新鮮だった。
[DVD(邦画)] 7点(2021-06-05 21:51:54)
339.  新・兵隊やくざ 《ネタバレ》 
シリーズ第3作。3作目ともなると大宮(勝新太郎)と有田(田村高廣)のコンビも板についてきた感じで、見ていて安心感があるし、シリーズとしてもここからいよいよ軌道に乗った感じがする。そんな今回も見どころは盛りだくさんなのだが、竜宮でどんちゃん騒ぎをしている大宮の横で有田が深刻な顔をしていたり、足抜けさせた女たちと女郎屋を開こうという大宮の提案に有田が一度は反対したりするなど、奔放な大宮に対しての有田の真面目さが特に際立って印象に残る。そして、大宮が今回のヒロインである桃子(嵯峨三智子)と結婚してしまうという展開にも驚かされた。1作目で憲兵役で少しだけ登場した成田三樹夫が大宮と有田に敵対する憲兵を演じているが、同じ役なのだろうか。いつも殴られても平気な大宮がリンチを受けてボコボコにされるのはちょっと見ていて痛々しいものの、それがあるから、ラストの悪役である上官をぶっ飛ばすシーンにカタルシスが生まれ、爽快感が得られるのは娯楽活劇映画のポリシー。大宮と有田と親しくなる関西弁の一等兵を藤岡琢也が演じているが、なんだか後年「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」で彼が演じていた夢邪鬼をほうふつとさせていた。この人の関西弁、味があって好きだな。
[DVD(邦画)] 7点(2021-05-29 17:28:17)
340.  続・兵隊やくざ 《ネタバレ》 
シリーズ第2作。前作のラストシーンから始まっているのが本当に続編であることを感じさせてくれていて良いし、切り離した軍用列車が爆弾で吹き飛ばされ、軍隊に逆戻りする大宮(勝新太郎)と有田(田村高廣)という冒頭の展開も脚本的にあまり無理を感じないのも良かった。前作は有田の視点で語られていて、どちらかと言えば大宮よりも有田が主人公という感じだったのだが、今回は最初は有田の視点(ナレーション)で語られていたのが、大宮が当番兵になったシーンから視点(ナレーション)が大宮にかわるところが細かく、(「声が違う」と映画を見ている人の立場にたった突っ込みを自らしているのが笑える。)中盤あたりは大宮ひとりのシーンが続くなど、ここから大宮も主人公らしくなっている。個人的にはあくまで有田の視点から描いていた前作の構成が良かった分、ちょっと残念に思わないでもないが、シリーズ化ともなればいたしかたないのだろうと割り切ればそんなに気にはならない。大宮と一緒に風呂に入った二人の軍曹(芦屋雁之助、芦屋小雁)が大宮が自分たちよりも階級が下だと分かると態度が豹変するなど、今回も軍隊の理不尽さや腐敗がしっかりと描かれているが、それを決して重くならずに痛快な娯楽映画としてしっかり消化しているところもこのシリーズの魅力なのだろうと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2021-05-22 23:33:23)
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