Menu
 > レビュワー
 > イニシャルK さんの口コミ一覧。27ページ目
イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1491
性別
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/22718/

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465
>> カレンダー表示
>> 通常表示
521.  弁天小僧
のちに「切られ与三郎」でも歌舞伎を題材にした伊藤大輔監督がそれ以前に同じく歌舞伎の世界を映像化した時代劇で、主演も同じく雷蔵。歌舞伎のワンシーンがそのまま雷蔵らによって演じられる劇中劇のシーンもあって雷蔵の映画俳優としてだけではない歌舞伎俳優としての魅力も伝わってくるし、相変わらずの演技のうまさも感じられる。伊藤監督の演出ぶりや、宮川一夫の作り出す映像美、西岡善信による美術セットも素晴らしくいかにも大映らしい完成度の高い映画で、なかなか楽しめたものの、個人的には「切られ与三郎」のほうが好きだな。あと説明台詞が多いのがちょっとくどく感じてしまったのが残念。遠山の金さんを演じているのはまだ下積み時代を送っていた頃の勝新であるが、やはり勝新はこういう白塗りメイクの二枚目風より座頭市のような濃いアウトロー役のほうがかっこいいと思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-05-14 19:40:24)(良:1票)
522.  座頭市喧嘩旅
シリーズ5作目。今回も勝新演じる座頭市の存在感と殺陣に相変わらず凄さを感じるし、市がヤクザの抗争に用心棒として参加するという展開は新鮮に感じられる。しかし、じゅうぶん楽しめる作品に仕上がっていると思うものの、まだ初々しさの残る藤村志保演じるヒロインがあまりにもお姫様然としていてか弱すぎるし、脚本的にもなにか強引さが感じられるのが残念だった。それでも安田公義監督の演出は手堅く、クライマックスの抗争前に二つのヤクザが対峙しているシーンの緊張感や、市が双方の親分を斬ってしまうシーンなどは見ごたえがあり、脚本が強引なわりに出来としてはそんなに悪くないと思うのでぎりぎり7点。でも、1作目の脚本を書いていた犬塚稔脚本だっただけにもう少しドラマに充実感が欲しかった気もする。ところで安田監督はもう一本、藤村志保をヒロイン役に「座頭市」シリーズを撮っているみたいなんでそっちも見てみようかな。
[DVD(邦画)] 7点(2009-05-12 18:49:30)
523.  太陽を盗んだ男
長谷川和彦監督の第2作。長谷川監督の前作である「青春の殺人者」は前半のインパクトに対して後半がダラダラだったし、本作も賛否両論があるみたいな感じだったので期待せずに見た。主人公の教師がなぜ原爆を作ったのかとか、そういう背景は一切描かれていないし、ストーリーもめちゃくちゃで荒唐無稽としか言い様のないもので、退屈なシーンも少なくないが、単純に娯楽映画として見る分には思ったより面白かった。主演の沢田研二と言えば深作欣二監督の「魔界転生」で演じていた天草四郎役が強烈に印象に残っているが、本作でも「原爆を作ってしまう理科教師」というインパクトのある役を演じていて印象に残る。長谷川監督は胎内被爆者であり、この主人公が自ら作った原爆によって被爆し、原爆症に苦しむシーンもちゃんと入っているあたりに長谷川監督の反核メッセージのようなものも感じられた。対する刑事を演じる菅原文太はまだヤクザ映画の雰囲気が抜けていない感じ。「王選手のホームラン」などは少し時代を感じてしまうものの、製作当時である70年代の雰囲気がなかなか良かった。それから忘れてはいけない、バスジャックする老人を演じる伊藤雄之助。出番は少なく、またこの頃はもうかなり晩年だったと思うけど、やはり本作でも出てくるだけで強烈な個性と存在感を発揮していて印象に残る演技を見せている。
[DVD(邦画)] 7点(2009-05-05 03:21:29)
524.  翔んだカップル オリジナル版 《ネタバレ》 
相米慎二監督のデビュー作で、鶴見辰吾とダブル主演をつとめる薬師丸ひろ子にとっても初主演となる映画だが、アイドル時代の薬師丸ひろ子=角川映画というイメージなので本作が角川映画ではないことにまず驚く。内容としては話はアイドル映画にありがちなラブコメ青春映画なのだけど、力のあるワンシーンワンカット演出が効果的に使われていて、とても映画的な作品になっているし、これによってデビュー作の本作から相米監督の個性が既に確立してしまっているのがすごい。とくに俯瞰映像での長回しシーンが強烈に印象に残る。それだけではなく、鶴見辰吾演じる田代も、薬師丸ひろ子演じる圭も活き活きとしていて、ここにも相米監督の演出のうまさを感じるし、この監督はただ長回しだけではなく、きちんと主演のアイドル(女優)を魅力的に魅せることのできる監督なのだと今更ながらに改めて思う。圭が田代に向かって言う「私、キレイ?」というセリフがとても印象的なのだが、これに圭の田代に対する気持ちがすべて込められているようで見ていて切なさが込み上げてくる。クジラのアドバルーンが何の脈略もなく出てくるシーンのシュールさも好きだが、やはりラストのモグラたたきのシーン、正面から長回しで撮影していることもあってこれもどことなくシュールに感じるものの、既に書かれている方もおられるが、そこに流れるメインの4人の微妙な空気感がよく出ていたのがうまい。出演者のクレジットは鶴見辰吾が薬師丸ひろ子よりも先に出ていて、実際視点は圭よりも田代にあるのだが、たぶん角川でやっていたら逆なんだろうなと考えてしまった。(だからどうこう言うわけではないけど。)本作は2バージョンが存在していて、20年前にも一度見ているが、その時見たのも初公開版ではなくこの「オリジナル版」だったかもしれない。(2022年8月29日更新)
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-05-02 00:15:20)
525.  つみきのいえ
滝田洋二郎監督の「おくりびと」とともにアカデミー賞を受賞したことで話題になった本作。あまり期待せずに見たけど、映像の感じがとてもよく、静かでゆったりとした雰囲気の短編でとても味わい深い良作だと思う。ストーリーはかなり地味ながら、ちょっぴりほろっと来るような感じ。後半の妻とのことを回想するシーンではセリフなど一言もないのにきっと幸せないい夫婦だったんだなあということが想像できてつい感動してしまった。制作のROBOTといえば本広克行監督や山崎貴監督といった監督のいわゆる最初から話題性のある大作映画を作る会社というイメージがあるのだけど、この映画はそういう派手さが全くない小品で少し意外に思うものの、こういう淡々とした作品も作れるのかと新鮮に感じた。それから長澤まさみによるナレーションあり版とサイレント(映像と音楽のみ)版を両方見たけど、サイレント版はナレーションあり版よりもさらに味わい深く、サイレント版の方が断然良かった。
[DVD(邦画)] 7点(2009-04-20 02:24:06)
526.  ゼロ・ファイター 大空戦
のちに「日本沈没」や「八甲田山」などの大作映画を次々と手がけることになる森谷司郎監督のデビュー作。森谷監督の大作映画は「八甲田山」にしろ「海峡」にしろ遺作となった「小説吉田学校」にしろ男くさいイメージが強いが、本作は男しか出てこない戦争映画で、当たり前だが非常に男くさく、前年公開の「赤ひげ」まで黒澤明監督についていた助監督の監督デビュー作らしい映画だと思う。(森谷監督の大作映画の男臭さは黒澤監督の影響がたぶんにあると感じる。)先週見た「戦国野郎」と同じく加山雄三と佐藤允が共演していて脚本も関沢新一。どうしても岡本喜八監督の作品のような雰囲気を期待してしまうのだが、森谷監督の演出はあくまで直球。しかし、喜八監督の作品のような陽気さはないものの、それでも重さをあまり感じることなく娯楽作として単純に楽しめる作品になっているのはやはりこの主演コンビによるところも大きいだろう。それから忘れてはいけない、この映画最大の見所である空中戦シーンは飛行機に思い入れの深い円谷英二監督の手によるものだけあって見ごたえ充分だった。
[DVD(邦画)] 7点(2009-04-09 15:18:40)
527.  銀嶺の果て
黒澤明監督や本多猪四郎監督とともに山本嘉次郎監督の助監督をやっていた谷口千吉監督のデビュー作となる山岳サスペンスアクションで、主役の強盗犯の一人を演じる三船敏郎もこれがデビュー作。戦後2年しか経っていない時代の作品なので娯楽アクションとしては面白いのかどうか不安な面もあったけど、脚本を書いているのが黒澤監督だからか、娯楽性はもちろんだが、人間ドラマとしても見ごたえのある骨太な作品に仕上がっていてなかなか面白かった。三船はこの頃からギラギラした演技で横暴な強盗犯を演じていて、もう既に後のキャラクターが出来つつあるのには驚くし、本作の脚本がのちに黄金コンビとして数々の名作を世に放つ黒澤監督というのも興味深いものがある。志村喬が共演してるので途中から何だか黒澤映画を見てる気分になった。ラストの志村喬と若山セツ子のやりとりと「オールド・ケンタッキー・ホーム」が泣ける。それから音楽といえば忘れてはいけない、伊福部昭にとっても映画音楽デビュー作であるのだが、谷口監督と揉めたというスキーのシーンの音楽をはじめ叙情的な音楽がどれも画面と調和していて素晴らしい。三船もそうだが、伊福部昭もこの後、日本映画の歴史に名を刻んでいくことになるんだなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2009-02-19 11:57:04)(良:1票)
528.  殺陣師段平(1962)
マキノ雅弘監督が月形龍之介と市川右太衛門で1950年に作った同名作品のリメイク映画。あんまり期待していなかったのだが、オリジナルと同じ黒澤明監督による脚本は殺陣に生涯をかけた男のドラマをうまく描き出していてなかなか面白かった。主演は雷蔵ということになってはいるが、本当の主人公は中村鴈治郎扮する市川段平で、この中村鴈治郎が圧倒的な存在感を放つ名演技で、とくにラストの死の床での殺陣シーンは圧巻で、気迫が漂い、この映画は彼の代表作といってもいいくらいの凄さを感じた。献身的な妻を演じる田中絹代も相変わらず素晴らしいし、山茶花究や浪花千栄子はいい味を出している。メガネ姿の雷蔵も新鮮で、高田美和も可愛らしいが、やはり本作では中村鴈治郎にすっかり魅せられてしまった。
[DVD(邦画)] 7点(2009-01-27 17:02:24)
529.  次郎長三国志 第七部 初祝い清水港
第7作。前回と比べてこのシリーズらしい明るさが戻っていて気楽に楽しめるものの、涙なくして見られない展開だった前回の続きの話と考えた場合にあまりにもギャップがありすぎると感じるし、前回ラストに登場した長門裕之演じる喜代三とお仲さんが泣いているシーンは確かに少ししつこい。でも、次郎長一家がお蝶さんの位牌の前で、百か日が過ぎたら久六を討つと誓うシーンや、親分が「お蝶を殺したのは俺だ。」というシーンは良かったと思うし、大政のところへ前回もちらっと出ていた妻 ぬいがやってきたり、佐太郎夫婦も再登場するというのはシリーズをずっと見ているとなんだか嬉しい気持ちになる。最初に書いたように前回とはギャップがありすぎるし、お仲さんと喜代三のシーンはもう少し短くてもいいと思うものの、それでも見る前に思っていたよりは楽しめたので一応満足ということでこの点数。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-01-26 12:42:32)
530.  武士道残酷物語 《ネタバレ》 
ある家系の戦国時代から現代までの歴史を7話のオムニバス形式で描いた今井正監督の映画で、各エピソードに登場する先祖代々七人の主人公を錦之助が一人で演じているのが見所。現代のパートでは錦之助は普通の会社員を演じているのだが、今まで現代劇での錦之助を見たことなかったのでちょっと違和感を感じた。それでも七人を見事に演じ分ける錦之助はやはりうまいと思うし、武家社会に対する忠義をこんな手法で描いた構成は新鮮だった。それぞれのエピソードがとても完成度が高いのだが、とくに第4話はいちばん力の入ったつくりで、内容もかなり重苦しいのだが、この話が個人的にもっとも見応えがあった。第3話の錦之助に言い寄る森雅之演じる殿様や、第5話明治篇の加藤嘉もインパクトのある熱演で印象に残る。第6話の太平洋戦争篇だけはちょっと唐突に感じられるんだけど、一話一話に今井監督のメッセージのようなものが感じられる作品になっていて、予告編を見ると主演俳優一人七役ということが最大のウリになっているみたいだが、それだけではない映画だと思う。でも、僕も敢えて他人にすすめようとはあまり思わないなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2009-01-21 18:47:24)
531.  次郎長三国志 第四部 勢揃い清水港
第4作。今までのシリーズと比べると間延びしていて、やや中だるみと言った感じ。とはいえ、石松、三五郎、お仲さんらが清水に集まってくるのは見ていてワクワクするし、ここでも前回と同じく森繁久弥演じる石松が最高。そして、次郎長一家の仲間に加えてほしいとやってくる加東大介演じる漁師・豚松もなかなかいいキャラクターで、このシリーズらしい(というか、マキノ雅弘監督らしい)お祭り的雰囲気もあって面白かった。でも全体的に見て明らかにつなぎに徹している印象はぬぐえず、楽しめる作品にはなっているのだが、前回までと比べるとやっぱり何か物足りないなあ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-01-07 02:36:56)
532.  青葉繁れる
テレビドラマにもなった井上ひさしの原作を岡本喜八監督が映画化した青春映画。丹波義隆をはじめとする三人が実に田舎臭い演技で本当に田舎の学生のように見え、それに東京からやってきた草刈正雄を加えた四人組が主人公なのだが、これが四人とも実にいいキャラをしていて、やりとりを見ているだけで楽しい。喜八監督の映画としては特に傑作といえる出来ではないが、それでも喜八監督らしい明るい映画になっていてそれでいて少し切ない展開もあり、全体的に見てもとても面白かった。「ロミオとジュリエット」の稽古のシーンで太った中年の女性の先生が「おー、ロミオ!あなたはなぜロミオなの」と有名なジュリエットのセリフをいうシーンには思わず爆笑してしまった。「二女校のマドンナ」ことひろ子を演じる秋吉久美子もかわいくて魅力的だ。そしてなんといっても校長を演じるハナ肇が素晴らしい。最近自分の中でクレージーキャッツの映画でのイメージが強くなりつつあったが、やっぱり一人の役者として見てもとてもいい俳優だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-11-24 18:08:29)
533.  セックス・チェック 第二の性
緒形拳演じるコーチと安田道代演じるヒロインの特訓シーンがひたすら熱く、ここだけ見れば典型的なスポ根映画なのだが、実はヒロインが半陰陽の両性具有だったという設定がいかにも増村保造監督らしい話で、なかなか面白かった。まだ新国劇にいた頃の緒形拳が誰がどう見ても変人・変態の鬼コーチを演じていて、小川真由美をレイプするシーンは怖く安田道代とセックスをするシーンはかなりいやらしく、存在感のある濃い演技を見せていて、若い頃からいい俳優だったんだと感じ、あらためて先日亡くなってしまったことは本当に残念に思う。安田道代も個人的には山本薩夫監督「氷点」の陽子役のイメージが強く、清純派という印象があったが、この映画では増村監督の演出に応えて半陰陽という難しい役どころを清純派イメージとは全く違う体当たりの演技で見事に演じていて素晴らしく、増村監督の相変わらずの女優に対する演出のうまさを感じる。しかし、それにしても本当に変態的な映画だった。今まで見た増村監督の映画の中では自分も特に傑作とは思わないものの、これは増村監督だからこそできる増村監督ならではの映画だと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2008-10-22 21:04:35)
534.  影の車
野村芳太郎監督による松本清張ものの一編。後の同じコンビによる「鬼畜」と同じように子供が話に絡んでいる映画だが、本作では「鬼畜」とは違い、愛人の幼い息子が自分に殺意を抱いているのではと思い込む男の心理が描かれていて「鬼畜」とは全く違う怖さがあってなかなか面白かった。特にガスの充満した家の中に閉じ込められるシーンはかなり怖い。脚本を書いているのが橋本忍で主人公を演じるのが加藤剛(好演。)なこともあってか、破滅していく主人公やタイトルバックとラストの回想の海のシーンはどことなく「砂の器」を思わせている。愛人を演じる岩下志麻は一人の男を愛する情念の女を熱演していてとても大人っぽく、反面普通の母親役だが既に「鬼畜」で演じた緒形拳の妻役の面影があり、少し怖かった。それでもこの映画では子役の無表情な演技がいちばん怖い。そういえば「鬼畜」では岩下志麻と小川真由美が本作と逆の立場の役柄で共演していたが、本作を意識してのキャスティングだったのだろうかとつい考えてしまう。
[DVD(邦画)] 7点(2008-09-29 19:24:39)
535.  竜馬暗殺
坂本竜馬を描いた作品というと、まだ小学生だった15年くらい前にNHKで放送されていたアニメ「おーい!竜馬」の印象が未だに強く、竜馬本人のイメージも爽やかな青年という印象だが、そのイメージを覆すようにこの映画の竜馬はアブラギッシュで汗臭く、濃いキャラクターに描かれていてなおかつ演じる原田芳雄がそのキャラクターに非常にマッチしていて新鮮に感じた。相棒・中岡慎太郎を演じるのが石橋蓮司。この16年後に作られた同じ黒木和雄監督の「浪人街」を先に見ているものだからまたこの二人の濃いキャラクターが黒木監督の映画で見られたのが良かった。(時系列にいくと本作が先なのでこういう書き方は少し変なのだが。)70年代の映画にもかかわらず、それ以前に作られた映画のようなざらついた白黒の映像、そして時代劇にもかかわらず、70年代の時代の雰囲気が伝わってくるような演出も効果的だった。ラストの「ええじゃないか」の踊りの中に消えていく中川梨絵が印象的で見終わったあと余韻が残るのもいいし、テーマ音楽も良かった。しかし、少し時間が長く感じたのがちょっと残念だった。まあ、見ている時の自分が少し疲れていたせいもあったかもしれないが。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-09-20 17:07:41)(良:1票)
536.  裸の島(1960) 《ネタバレ》 
セリフらしいセリフはないが、効果音や風景としての人の声は多少は入っているため、完全なサイレント映画ではなく「沈黙劇」と言ったほうが正しいかもしれない。(どこがどう違うのか、と聞かれれば困ってしまうのだが。)孤島に暮らす一つの家族の生活を淡々と描いた内容なので確かに見様によってはかなり退屈な作品かもしれないが、とても見ごたえのある作品だと思った。この作品は新藤監督以下、スタッフ・キャスト十数人が島に泊まりこんで毎日、毎日この映画で描かれているような農作業を実際に主役二人にさせていたというのを昔聞いた事があるが、やはりそういう演出法がこの作品のリアルさを生んでおり、主人公夫婦を演じる乙羽信子と殿山泰司の演技も俳優の演技というよりは本当の農民という感じですごくリアルだった。ただそうは言っても二人ともほかの映画との掛け持ちもあったであろう中でこのリアルさを出せるのはすごいと思う。ラスト、死んでしまったわが子を思い泣く妻を夫が黙って見ているシーンはそんな二人の演技がもっとも光っていてすごく感動的だった。林光による音楽もとてもよく見終わっていつまでも耳に残る名曲だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-08-29 20:52:04)(良:1票)
537.  あじさいの歌
裕次郎と芦川いづみのコンビ作はかなり久しぶりに見たが、やはり若い頃の裕次郎はアクション作品よりもこういう文芸作品で等身大の青年役のほうが個人的には好きだ。相手役の芦川いづみはこの映画でも抜群に可愛く、美しく、彼女を見ているだけでこちらの顔が自然とほころんできて、これだけでもこの映画を見てああ良かったなと思う。劇中、芦川いづみが裕次郎に自分は世間的に見て美しいのかとたずねるシーンでは思わず見ているこちらがうなずいてしまった。それくらい本当に可愛くて美人で素敵なのだ。そんな可愛くて美しい芦川いづみを何年も自宅の外に出さなかった東野英治郎がはっきり言ってすごく羨ましい。って何書いてんだ俺。脇役陣をみると轟夕起子や殿山泰司、北林谷栄なんか出てて「洲崎パラダイス 赤信号」や「わが町」を見てる身としてはつい川島雄三監督を思い浮かべてしまった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-08-23 11:26:21)(良:1票)
538.  新幹線大爆破
のちにスピードが80キロ以下になると爆発する爆弾が仕掛けられる設定だけキアヌ・リーブス主演の「スピード」にパクられた(?)東映の鉄道パニック映画。「スピード」もけっこう突っ込みどころのある映画だったけど、こちらはそれ以上に突っ込みどころがあり、とくに既に触れられている方もいるかもしれないが、川くだりのシーンで待機していた刑事が偶然通りかかったジョギング中の柔道部員に大声で「捕まえてくれ」と叫ぶシーンとか絶対に有り得んと思うし、ほかにも警察の無能さをさらけ出しているシーンとかけっこう多かった気がする。それに主犯である高倉健が爆弾の図面を残していった喫茶店が唐突に火事になるのは脚本のご都合主義を感じずにはいられない。それに肝心の新幹線が模型でときどきえらくしょぼいのにも唖然。でも、そういうところを突っ込みながらも映画としての勢いはすごく、高倉健の渋さもあって最後まで飽きることはなく楽しめたし、最初に見た映画が「北京原人」だった影響で個人的にブラックリスト監督となっている佐藤純弥監督の作品の今まで見た中ではいちばん退屈しなかった。でもやっぱり「スピード」の方が好き。宇津井健は映画作品ではあまり馴染みなかったが、もう一人の主人公といえる重要な役柄である運転指令長役をとてもうまく演じていてカッコイイし、新幹線に乗り合わせた女医を演じる藤田弓子も若い。そして高倉健の別れた妻・靖子(宇都宮雅代)の苗字が「富田」。藤田弓子に加えて新幹線の運転士役で小林稔待も出ているのでなんか大林宣彦監督の「さびしんぼう」を思い出してしまった。
[DVD(邦画)] 7点(2008-08-11 14:05:59)(良:3票)
539.  無宿
アラン・ドロン主演の「冒険者たち」を焼き直した勝新太郎と高倉健の共演作で監督は勝新が「旅の重さ」に惚れ込んで抜擢したという斎藤耕一。「旅の重さ」が瑞々しい青春映画だったのでちょっと心配だったが、大物スターの共演作で感じがちな大味感や冗長さが感じられず、逆に「冒険者たち」にもひけをとらないなかなか完成度の高い作品になっていると思う。勝新と健さんは二人並ぶとなにか異様な迫力を感じてやっぱり二人とも存在感のあるいい俳優だと思ってしまうが、やはりこの監督は「旅の重さ」でも思ったけど、今回も海や砂浜の映像が美しく、風景描写のうまい監督だとあらためて感じた。ヒロイン役の梶芽衣子は本作で初めて見た。聞くところによると、アクション映画で主役を演じていたり、東映のヤクザ映画に何本か出てるみたいだけど、この映画ではそんな感じは全くなく、全編に渡ってどこか儚げな感じでラストのあのやりきれない悲しげな表情が印象的ですごく良かったと思う。これも「旅の重さ」で高橋洋子の瑞々しさを見事に引き出していた斎藤監督の腕だろう。映画の全体的な雰囲気も「旅の重さ」同様良かった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-08-11 02:39:18)(良:1票)
540.  娘・妻・母
オールスターキャストによる成瀬巳喜男監督のホームドラマ。原節子と高峰秀子の共演が見ものなのだが、原節子は「青い山脈」や「お嬢さん乾杯」に比べて少し老けたという印象があるものの、それでも美しさは感じられる。それに対して高峰秀子は精彩のない役で今作では夫婦役で共演している森雅之との「浮雲」コンビもなんだか見ていて物足りない。また映画全体の出来としてもオールスターということが影響しているのか平凡な印象が残るし、明らかに顔見世程度の出演者がいるなど不満も多いが、ラストの三益愛子と笠智衆の公園でのシーンが不思議な余韻を残していて良かったので甘めに7点。杉村春子がまたも嫌味たらしい姑役で出ているが、その嫌味ぶりがなんだか見ていて笑える。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-06-21 16:12:30)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS