41. おとうと(2009)
鶴瓶のヨレヨレ演技があまりにも自然で逆に見入ってしまったが、身内にああいう人間がいるかいないかで、だいぶ鑑賞後の感想が違ってくる映画ではないだろうか。甲斐性無しのダメ親父と、そんな男に尽くすのが生き甲斐の優しくしっかりものの妻…それが結局夫婦双方を不幸にする様を身近で見て育ったせいか、この作品の「姉弟愛」にはかなり冷ややかな感想を持たざるを得なかった。それでも、健気な小春の姿が思春期に差し掛かった自分の娘と重なり、母として胸が締め付けられるような思いがした。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-02-03 13:57:31)(良:1票) |
42. ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~
松たか子はあんまり好きじゃなかったが、この作品で見直した。文才あれど人格劣等感の塊のような男をひたすら圧倒する、無学な女の眩しいほどの精神の健全さを好演していた。20年ぐらい歳を取ってからもう一度観たい。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-10-29 22:05:09) |
43. メゾン・ド・ヒミコ
昔、何かの映画で若かりしデビッド・ボウイが老け役をやっていて、美しい男は年取っても美しいもんなんだなーと感心した覚えが。田中泯は老いたゲイという一歩間違えたらかなりきつい絵になるであろう役を品良く演じていて良かった。「ホテルビーナス」での市村正親の役とも若干かぶるけれど、美しくありたいという意志がおそらく通常の女性よりも強いであろうゲイの皆さんにとっては、老いてなお誇り高い彼らの姿は永遠の憧れなのではあるまいか。彼(女)の最後のセリフは良かった。あと、オダギリジョーは本当に美しく撮れてる。キスシーンも上手すぎてヤバイ(笑)腐女子の皆さんの「萌え」がちょっとだけ分かったような。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-03-12 16:34:10) |
44. 間宮兄弟
婚活ブームで結婚こそが幸せな人生に不可欠な要素のように思われているが、不確定要素の多すぎる赤の他人との生活が必ずしも成功するとは限らない。むしろ、人生を共に生きる相手を得るという意味では、この二人は既に最高の相手を見つけてしまっているわけで、結婚の必要が無い。親も困ってないし、誰にも迷惑かけてないし、きっと、二人がおじいちゃんになるころには名物兄弟としてたくさんの人に愛されていそう。こういうキャラなのに二人とも清潔感だけはばっちりクリアしているところが非常に映画的なのだが、途中でキモ過ぎると観客にギブアップされないためには欠かせない演出であろう。オタク趣味を自覚する男子諸君には是非見習ってほしいものだ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-03-02 13:33:37) |
45. めがね
この映画が好きと言える今の自分は、割と精神的に健全なんじゃないかと思った。イライラしてる時にこういう作品を見たら癒されるかというと多分逆で、余計イライラするはず。観るだけで自分の潜在ストレス値を測れる映画。そもそも「ほっこり」等の語感に違和感がある人にはダメだろうし、映画になんらかのカタルシスを求めている人には退屈すぎるかも知れないが・・・。さくらさんの氷小豆うまそうだったなぁ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-02-19 14:46:40) |
46. 崖の上のポニョ
5歳の男の子が朝起きてきて「おかーさん!今日すんごくおもしろい夢みたんだよ!あのね、海に金魚がいてね、ポニョって名前なの。そんでね、その子が人間になってぼくとお船に乗るの。そんでね・・・」てな感じの子どもの奇想天外な夢物語をそのまま映像化した感じ。展開は支離滅裂だしキャラは破綻してるしエンディングも唐突だしとにかく無茶苦茶なストーリーなんだけど、そんなことお構いなしに子どもは目を輝かせ、どんなにスゴクてキレイで楽しかったか夢中になって話してて、嬉しくて仕方ない様子。そんな幼い子どもの無邪気な興奮状態に共感できる人だけが素直に楽しめる、という意外とハードルの高い作品。ちなみに、ああこれは子どもの夢なんだな、というのがよく分かるのが母親の描かれ方。リサは小さな男の子が夢見る「こんなお母さんだったらいいのに」を100%体現していて、だからこそ普通の母親だったら絶対やらない無茶をするし、息子の無茶も絶対叱らない。普通の母親の私から見ると、「んなわけねーだろ!」と突っ込みどころ満載で笑える。 [地上波(邦画)] 7点(2010-02-15 22:11:02)(良:3票) |
47. ハチミツとクローバー
原作未読。この手の甘酸っぱい純愛学園もの(?)に感情移入できるような歳ではないが、んなこたぁどーでもいい。女でも「惚れてまうやろ!」な蒼井優のキラースマイル!!もうそれだけでこの映画はOK。見るだけで癒される貴重画像。小5女子と一緒に観ましたが彼女も「か、可愛い~」と目がハートになっておりました。ただし、蒼井優も関めぐみも好みじゃない人にははっきり言って観る価値のない作品かも。ちなみにはぐみの作品を実際に製作したMAYA MAXX氏のインタビューがネットで読める。結構面白い。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-12-21 09:01:20) |
48. ホテル ビーナス
モノクロと抑えめのBGMで描かれる世界観は結構好き。全編韓国語、というのはそれなりに面白いけど、ああ、あの人もこの人も韓国語しゃべってる、という隠し芸披露的な面白さは別にいらなかったように思う。そもそも、韓国語ネイティブの人が聞いたら違和感あるのだろうし・・。(私は金城武が好きだが彼が役の上でしゃべる日本語はとてつもなく違和感がある。全員があんな調子の映画なんて観たくない)慎吾ちゃんは存在自体がこの作品からものすごく浮いてるので出さない方が良かった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-10-07 11:51:31) |
49. ゆれる
《ネタバレ》 決してテンポ良く展開する話でもなく、むしろ序盤はじれったいほど展開が遅いうえ、全編を通し何とも言えない重い空気感が漂っている。なのに全然眠くならず最後まで一気に見た。いい人なんだろうけどどうしようもなく女の生理的不快感を煽る痛い男、を香川照之が演じているが上手すぎて本気でキモかった。肉親をキモいとかウザイとか思い出すと、その根拠を赤裸々に知りうる身内だからこそ、また切りたくても切れない血縁があるからこそ、どうしようもない嫌悪感を死ぬまでもてあますことになる。猛が証言台で兄を切り捨てたのは、今までそうやって鬱積してきた気持ちが爆発してしまったのではないだろうか。そして兄はいつかそんな日が来ることを予期していて、自分を馬鹿にしてきた弟をあえて暴走させて自己嫌悪に追い込んだのだろうか。いずれにせよ、そこにあるのは無邪気な兄弟愛なんかじゃなく、シビアな近親憎悪だ。幼い頃はあんなに純粋に心を許しあった仲だったのに、どうしてこうなってしまったのか。幼い弟に手をさしのべる兄、屈託無くその手を握り楽しそうに遊ぶ弟。無邪気に仲良く遊ぶ兄弟の映像に、ついもらい泣きしそうになった。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-10-06 20:34:05) |
50. スピード・レーサー
とにかく全編極彩色ベースなので見ていてかなり疲れる画像ではある。映画館で見たら確実に頭痛がするんじゃないかと思うが、自宅の42インチモニターで鑑賞していると、もっと大きい画面で見たいような気もしてきた。映像は派手だがストーリーは適当に追ってレースシーンだけを観ても楽しめるし、小ネタアクションも豊富にちりばめられ、さらにオトナシーンはなぜかきっちり配慮されている(笑)ので、超贅沢な子供向け映画として傑作かと。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2009-07-30 22:27:33) |
51. 純喫茶磯辺
ダッサダサのインテリア&セクハラ誘因そのものみたいな制服を店員に着せておいて純喫茶と気取って悦に入る親父の馬鹿さ加減がもう、自分の父親を見ているようで情けなくて涙が出たww 人間って本当にどうしようもなく馬鹿で愛おしい。それが他人だったら笑って見ていられるけど、肉親だと心底うんざり、まして年頃の女子にはキツイ。そういう男親に限って娘の気持ちにやたら鈍感。悪気はなくても破壊力ばっちりな鈍感さ。でも、そういう父親を見て育つと自然と娘にだめんず免疫ができるので、長い目で見ると教育的には◎だったりする(笑) [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-07-28 14:40:29)(笑:1票) |
52. 家族(1970)
高度成長期の陰で必死に生きていたであろう人々の生活感が赤裸々に現れていて、何だか自分が生まれた頃の親の苦労を追想するようで切なかった。そりゃ悲惨すぎてありえないだろう、と思うようなことが実際に起こりえた時代だったのだろう。全編を通じてひたすら地味で暗くて心休まらないエピソードばかりで、だんだん見ている方も辛くなってくるのだが、こういう時代に必死に生きた世代のおかげで今の豊かな日本があるのだろうとか、彼らの憧れた豊かな生活を当然のように享受して漫然と生きている私たちは豊かさと引き替えに失った物もあるのではないかとか、色々と考えさせられた。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-07-24 23:32:13) |
53. 全然大丈夫
自分の不器用さに落ち込んだ挙げ句、ああ、憩いまくりたい!と心の底で叫んだ夜に一人で観るが吉。実際世の中にはあかり並みに不器用な女や、照男並みに幼稚な男もいっぱいいて、それぞれに精一杯生きているのかも知れない。と思うと、今の自分の立ち位置も案外面白く思えてくる。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-06-03 16:55:26)(良:1票) |
54. かもめ食堂
《ネタバレ》 北欧系雑貨の清潔感と手作り感が漂う作品。いかにもカフェ好き・雑貨好きの女子に喜ばれそうな、大きい女の子向けの絵本のような映画。絵本なので、フィンランド語ってそんなにハードル低いの?とか、移住間もない外国人がそんな簡単に開業できるの?とか、とりあえずそういう大人のリアル事情は忘れて、おいしいお茶でも飲みながらまったり鑑賞しましょう。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-05-29 13:56:43)(良:1票) |
55. 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
《ネタバレ》 痛い人間ばっかり出てくるが、登場人物それぞれの痛さが突き抜けているのが妙に爽快な映画。姉が陽の強烈さなら妹は陰を極めていて、より凄惨。肉親のバラバラ死体を見たトラウマをバネにホラー漫画家デビューするだけあって、壊れている姉に翻弄されつつも、冷徹にその姉のキャラとしての価値を見定めているプロ根性がすごい。面白かった。キャスティング大成功のようだが、澄伽が「素?」と思えるほどハマリ役の佐藤江梨子の今後が楽しみ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-05-06 14:35:37) |
56. 鬼龍院花子の生涯
《ネタバレ》 壮絶な愛を体現する男と女が描かれた映画。愛しの娘に拒絶されて(当たり前じゃ)激昂の後に悄然とする不器用すぎる男、愛する人の潔白を証明する為に指を差し出す男、死に際に愛する男を思い姿見にとりすがって化粧をする女。愛する男の遺灰を手に入れるため、単身で敵陣に乗り込んで啖呵を切る女。ごくせんの元ネタがこれだと思うと、仲間由紀恵にはもうちょっと頑張って欲しい。「鬼龍院松恵の生涯」にしなかったのはそれなりの理由があるのだろうが、それにしても花子は松恵に比べて華がなさすぎ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-05-04 13:08:51) |
57. さくらん
大人の女同士のパジャマパーティでのにぎやかしBGVに最適。内容云々するよりも、極彩色の綺麗な映像と刺激的な音楽と美女とイケメン(またはジジイ)の濡れ場にキャーキャー騒ぎながら観るのにもってこい。ストーリーに目新しさが無いぶん、気負い無く流し見できます。 そういう映画の愉しみ方もありだと思えば、まさにうってつけの作品。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-04-25 16:18:26) |
58. 居酒屋ゆうれい
主要キャストの3人が非常に魅力的。みなそれぞれにワガママ勝手だけれど、人間らしく憎めない。室井滋と山口智子はタイプ全然違うけど、どちらも恋女房としてはかなりいい女だと思う。女の魅力は深いね。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-06-30 11:13:21) |
59. 耳をすませば(1995)
《ネタバレ》 ジブリ作品の中で数少ない未視聴作品だった。予想通りのひたすら青くて甘酸っぱい青春ラブストーリーだったが、ひねたマセガキだった自分はどうしても中学生当時の自分に雫を重ねることができず、なんとなくモヤモヤしてしまった。もし当時同級生にプロポーズされても心ときめいたとは思えず・・。それでも、実年齢が近い頃に観ていたら違った感想を持てたかもしれないと思うとちょっと残念。ジブリ作品の楽しみどころの一つは見事に描き込まれた背景だと思うのだが、この作品の場合、舞台となった街が自分の実家の近所ということもあり、個人的にはそれが一番の見所だった。あと、すごくひっかかったのがお父さん役の声優さんのしゃべり。なんとも不自然な日本語で、出てくる度に「あんた何人なのよー!」とツッコミを入れてしまい、話に集中できなかった。 [ブルーレイ(邦画)] 6点(2015-05-05 00:50:25) |
60. 雷桜
あらま、点数低いこと低いこと。確かに色々無茶を押し通しまくりで外国人が「日本の時代劇ってこんな感じ」という適当な妄想をもとに作った日本映画、ってな感じは否めませんが、そもそもがファンタジーなんだしやれ時代考証だの何だのとリアリティを求めても仕方なくね?と思った次第。例によって蒼井優目当てで観たのだが、思いがけず小出恵介が良かった。優ちゃんは、怒鳴るわ暴れるわ化粧っ気ないを通り越して小汚いわ・・と、およそ綺麗どころ感ゼロの熱演に女優魂を感じました。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-10-23 18:01:28) |