Menu
 > レビュワー
 > かっぱ堰 さんの口コミ一覧。34ページ目
かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748
>> カレンダー表示
>> 通常表示
661.  狼少女 《ネタバレ》 
昭和にこだわった映画のようだが、現実の昭和は1926年から1989年まで結構幅が広いわけで、それでも何となく“子ども時代”とか“昔”の意味になるのは世代交代が進んで昭和が遠くなってしまったということか。劇中の事物の属する年代はかなり散らばっていたようで特定できず、これは意図的に幅を持たせたのかも知れないが、さすがに見世物小屋は時代が古すぎるように思われる(自分としてはお化け屋敷の記憶しかない)。 しかし人間の尊厳にかかわるような興行のあり方とか、見るからに汚い子どもの存在といったものは、いつの時代の反映かというよりむしろ子どもにも容赦のない世間の現実を表現していたように見える。その中でも転校生が毎日いい服を着て通学していたのは、親代わりと思っていた連中のせめてもの思いやりだったのか、あるいは皆のこだわりもあったということか。 その上でストーリーしては、感動を呼ぶ話であることは理解できるが、しかし個人的にはそれほど強く心に訴えるものにはならなかった。敗因は何かと考えると、まずは大人の立場として子どもの愚かさとかガキっぽい揉め事から心理的距離を置くようにして見たために、登場人物の心情までをスルーしてしまったということか。あるいは自分としては、前記“世間の現実”から目をそらしたい気持ちもあったと思われる。まともに考えてしまえばこの少女の将来が非常に危ぶまれて痛々しく、これで切ない初恋物語のような感傷に浸る気にはならなかったというのが実情である。 そのほかに、娘の生育状態に合った下着を与えることもしないでプライドだけ立派な母親が愛情深い扱いをされているといった感情的に引っかかる点も結構あり、また全般的に嘘臭さを感じるのは少し困ったことだった。決して悪くない映画とは思うが褒められないのが誠に残念である。子役の皆さんは大変結構だった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-23 23:47:48)
662.  非金属の夜 《ネタバレ》 
予告編で出る曲が面白そうだったので見たが、映画よりも予告編の方が長く聞けるのだった。 内容としては若年者向けなのだろうが、若年でない立場からいえば見事に誰にも共感できない映画である。かろうじて、劇中人物専属の女神さまのように見える連中のうち最も可愛らしいのが言ったことは辛辣で結構だった。 また申し訳ないが劇中人物のほとんどが生きていても仕方ない人間に見える。劇中で最もまともに生きていたように見えたのは怖い兄さんだったが、その怖い兄さんに殺された男などは死んでしまってかえってよかっただろうという気にさえなる。主人公も女神さまにつきまとわれていた男も、他人の目から見れば生きようが死のうがどうでもいいので勝手にしろという感じだった。 結局、人間が生きる意味など本人が決めるものであるから、自分でそれができなければどうしようもない。最後に男が死んだのは本人の意志なら構わないが、一方で主人公の女は、この男と序盤の女が先に行ったことでいわば安心したらしく、それでとりあえずは生きていることにしたようだった。そのうち生きる意味を自分で見出すこともあるだろうし、結果的に生きていてよかった、ということになれば結構なことである(おれには関係ないが)。 そういうことで共感できない映画ではあるが、しかし見ていて意外に退屈しなかったので、エンターテインメントとしては結構うまくできているのかも知れない。それにしても主人公の顔つきは少々作りすぎである。微妙に昭和くさいのは誰の趣味か。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-18 00:44:31)
663.  バルーンリレー 《ネタバレ》 
主人公の中学生女子は冒頭の表情を見ると可愛らしいと一瞬思うが、実は徹底して高圧的で傲慢で暴力的なので呆れてしまう。しかし相手の男子が打たれ強く温和な好人物なのでかなり救われている。主人公は終始無自覚で衝動的に見えるが、それでも一連の出来事を通じて二人の間にも人知れず微妙な変化が生じていたらしい。自分としてはこれの当事者になりたいとは決して思わないが、他人の目で見る限りは微笑ましい関係の二人だった。 そのほか全体としてはかなり笑えるコメディになっている。主人公と男子のやり取りが基礎的に楽しいが、花嫁(演・美波)の真剣な顔も可笑しく、また古舘寛治氏もいい味を出していて飽きることがない。ちなみに序盤に出て来たボスの娘というのが怖いおねえさんかと思ったら、終盤で手下の大男と並べてみると極端に小柄で変に可愛らしい。最初に出た時には身長がわからないようにしていたようで、これはうまく騙された。 なお少し困ったことだと思うのは、題名にかかわらずバルーンのリレーが徹底していないことである。この映画は2010年「シネマプロットコンペティション」の受賞作を原案にしたとのことだが、当初はどうなっていたのか気になるところである。
[DVD(邦画)] 6点(2015-08-18 00:37:00)
664.  チープ・フライト<TVM> 《ネタバレ》 
LCCについての考え方がいろいろ盛り込まれたドラマのようである。 劇中で極端な物言いが多いのは気に障るが、それは普段は言えない生の本音をコメディに紛れ込ませたものと解される。しかし言葉遣いに異常にこだわる割に本質的なところで答えが出せず、その上ふざけたパフォーマンスでごまかそうとするのでは、現実の客ならさらに怒るだろうし、真面目に見ていた視聴者も小馬鹿にされた印象がある。劇中で一つ感心したのは元看護師の態度だったが、これは看護師の世界のことがそのまま航空会社に当てはまるかのように印象操作しただけではないかと取れる。 またストーリーとしては、テーマに関わる重要事項を主人公の成長にあわせて視聴者に提示していく形のようだが、そのせいで放送時間の70%を過ぎるまで主人公がLCCの意義を納得できていなかったというのは本物の馬鹿に見える。ベテランCAであれば、そういうことは初めから全部わかって納得してから来るのが当然なわけだが、このドラマでは鼻糞扱いされるために引っ張り出され、最後は見事に洗脳されて終わったようなのが痛々しい。そのほか最初は嫌な奴だったがほんとはいい人だった、というドラマ作りは幼稚に感じられ、また当面の出費より信用が大事といった普通の判断をさも立派なことのように印象づけようとする展開も姑息に見える。 そのようなことで、主張の一部が理解不能な上に全く共感できない話であった。内部ではこれで受けるのかも知れないが、世の中それほど寛容な人物ばかりでもなく、下手な作り方をすると関係ないところにも敵を作るのではないかという気もする…少なくとも自分としては制作に協力した航空会社の印象が著しく悪化した。 なお正直に書いておくと、個人的に好きな女優が誰も出ていないことも低評価につながる要因である(嫌いなのもいる)。
[DVD(邦画)] 2点(2015-08-08 13:06:54)
665.  東京うんこ 《ネタバレ》 
若手の村松英治監督(1980年生)の初長編映画とのことである。現代日本では「東京…」という映画が多いのが目に余るが、この映画は「…」の方のインパクトで人目を引いており、かつ何で「東京」なのかという理屈も一応ついている。 基本的にはコメディなので主にウンコネタで笑わせようとしているわけだが、それが本格化するのは絵本を出版するあたりからで、それまではとりあえず黙って見ている必要がある。面白くないギャグも多いが、本当に笑うところもある(個人的には「うんこ!」「ブッ!」のあたりなど)ので虚心に見ることが望まれる。 登場人物としては、まずは関西弁の女(演・宮沢マキ)の人柄がほとんど映画全体を支えており、また友人の男女もいい味を出している(寒い男など)。一方で同居の男はキャラクターを作り過ぎで受け入れがたいところがあるが、その辺はまあ我慢のしどころである。 ストーリーの面では、うんこをメインにしてこういう話を作る必然性は特に感じられず、単なるギャグネタに終わっている気もするが、そもそも出版社の社長が語る理屈が無理やりだったりするので、これはこういうものと思うしかない。それより関西弁の女の東京に対する意識が変わってきたというのはなかなかいいオチであり、これはうんこ映画というよりも、大都会東京の持つ一面を描いた映画だったということかも知れない。 なおDVDのチャプターの題名が中身と全く関係ないのは非常にふざけている。これではチャプターメニューの意味をなしていない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-03 23:58:36)
666.  東京ゴミ女 《ネタバレ》 
廣木隆一・三原光尋・行定勲・篠原哲雄・塩田明彦・三池崇史の監督6人が、デジタルビデオを使って700万円以内で純愛映画を撮ったという「ラブシネマコレクション」の1つである。 解説文によるとこの映画は「女の子の日常を繊細かつキュートに描いた珠玉の青春映画」とのことだが、見ると必ずしもその通りとは言い切れないものがある。とりあえず主人公は粗野で無神経でガサツな女であって、その延長上にゴミ漁りもあるのだろうとしか思えなかったが、しかし2/3くらい経過したところで意外にも、このゴミ女がただの女の子に大変身してしまったので驚いた。舞台挨拶で主演女優が「女性ならわかってもらえる」と言っていたので、これでも普通の女子の心情の範囲内で起こりうることだったらしい。 男はその領域に踏み込むことが特に期待されてないかも知れないが、ただし映画全体の作りとしては、終盤で事態の収拾にかかるとともに映像的にも開放感が出て、最後は常識人の世界に一応回帰する形で終わるので、性別関係なしにちゃんと映画を見たという感覚は得られる。結果として女の子の心情をわかってあげられなかったという気はするものの、それなりに悪くない映画という印象は残るのだった。  なお考証的なコメントとして、自分は別映画(「第五福竜丸」「ゴジラ」「美女と液体人間」)の関係でわざわざ江東区夢の島へ行ったことがあるが(JR京葉線新木場駅下車)、公園やマリーナがあり、5月の晴天の日だったこともあって爽やかな感じの場所だった。劇中の船が向かっていたのはここではないだろうが(さらに南の新しい埋立処分場?)、それにしても資源物も可燃ごみも分別せず、中間処理も何もなくただのゴミ袋を持ち込むというのも困ったことである。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-03 23:58:30)
667.  東京原発 《ネタバレ》 
初見は2000年代のうちだったと思うが、自分としては既に20年前に広瀬隆氏の著書を読んでいたのでこの発想自体は珍しくなかった。もともと「東京に原発を!」というのは東京に原発が立地していない事実の裏返しであり、これは原発を作っている側が実はその危険性をどう考えているか、論議を要さず端的に示す言葉だったわけで、いわば非常に優れたキャッチコピーのようなものだった。しかし現実の事例により、日本国内でも深刻な事故が起こりうることが明白になってしまった現在、警告の言葉としてはもはや意義を失ってしまった感があり、これは少し残念なことにも思われる。 映画の内容に関しては、素人目にはおおむね正論を言っている気がする。会議の場面では、ほとんど一方的な説明だけの内容を役者の力で見せており、またトラックの乗っ取りは別の話を無理にくっつけたようでもあるが、システム全体の脆弱性の部分をクローズアップして見せたということだろうからまあいいかと思われる。けっこう笑うところもあり、個人的には米軍の協力申出に爆笑した。改めて見ると結構いい映画だったようではあるが、この映画の公開が世間の大勢に全く影響を及ぼさなかったのは間違いないらしく、それはまあそんなものだろうという気もする。 ちなみに劇中では原子力がクリーンエネルギーという話が出ていたが、2011年の春頃に、代替エネルギーの一つとしてメタンハイドレートは使えないのかと何気なく口にしたところ、深海にあるためコストがかかりすぎて現実性はない、と20歳くらい年下の物知り男に説教されたことがある。
[DVD(邦画)] 6点(2015-08-03 23:58:24)
668.  東京少女 《ネタバレ》 
名前が「未歩」だと明治の人なら「いまだ歩まず」と読むのではないかと思うが、そういうところはあまり突っ込まないことにしておく。 内容としては「時をかける少女」と似たような印象があり、特に2010年実写版との類似点が目立つ(これより後だが)。時を越えて何かものを残すのは感動を呼ぶ定番要素のようでもあるが、ほかにこの映画では5歳/101歳?の人物の絡ませ方がよく、結構うまく作ったお話だったという気分になる。 またデートという発想はなかなか面白い。満月の頃だと昼間は月が地平線上に出ないので無理だろうと思ったが、別に月齢はどうでも構わなかったらしく、その場でヒロインがちゃんと調べて日を決めていたのは賢い。当日までに店を探してあったのも用意周到で、かなり頭の働く人物らしいのが好印象だった。 そのヒロイン役はこの時点でまだ16歳で文句のつけようのない美少女で、「ちゃんと勇気もらったよ」とかいう何でもない台詞も心に響く。デートの場面は声も弾んで楽しげで見る側としても嬉しくなるが、一方で結末を予想すれば(ほとんど最初から見えているが)この時点ですでに切なくもなる。 このヒロインのほかに、明治の少女は立ち居振る舞いが一応それらしく見え、甲斐甲斐しくてお兄様思いで何気に可愛らしい。この女優(福永マリカ)は同じ「東京少女」のBSのシリーズで主演・脚本??を務めていたとのことで、脇役と思って侮ってはならないようである。 以上のほか、本来はヒロインの成長物語といったところも重要なのかも知れないが、まあそれはそれとして、とりあえず泣ける切ない青春物語という点を重く見ることにして、それなりの点をつけておく。いい年してこれで泣けるおれはアホではないかと思うが、こういう話には弱いのでしょうがない。
[DVD(邦画)] 7点(2015-08-03 23:58:17)
669.  東京物語 《ネタバレ》 
見る人によって受取り方が違って来る映画らしいが、個人的感覚でいえば、劇中の長男・長女の対応はごく自然に見える。また次男の元妻は、いわば嫁の立場として極めて誠実に対応していたようでご苦労様だった。 この長男をはじめとした子どもらもいずれは両親と同じ立場になり、最後には老夫婦だけが家に取り残されることになるのかも知れない。現代だけでなく、この映画の時代や前近代においても跡継ぎ以外は全員家を出るのが当然だったわけで(劇中の三男もそういう感じ)、昔と今が違うとすれば跡継ぎさえも残らないことだが、それは人情の問題というより家という観念の希薄化である。老いた親を見守るためなら誰か一人が地元に残るだけでも十分であり、劇中の末娘なら適任だったかも知れない。 老夫婦としても、この境遇をまあ幸せだと納得しようとしていたようだが、ほとんどの人間にとってもこのあたりが納得のしどころではないか。次男は別として、生きている子は既にそれぞれの社会的地位や家庭を築いており、自分らの生きた証はちゃんとこの世に残っていく。決して慰めなどではなく、本当に幸せだったではないですか、と自分としてはこの老夫婦に言ってやりたい気がする。 なお次男の元妻に関しては、いくら昔の人とはいえ作り笑いが過ぎるのではと思いながら見ていたが、最後になって本音を言ってもらえたのはよかった。  ところで末娘は可愛らしく見えるので女学生かと思ったら教員とのことで、道で会った児童は頭を下げて挨拶し、教室での様子を見てもきりっとした立派な先生である。しかし社会的にはそういう立場でありながら、兄から見れば子ども扱いなのか大事な家族会議にも入れてもらえず、また姉からは小間使いのように使われていた。古い家族観が崩壊すればこういう理不尽な扱いもなくなるのかも知れない。
[DVD(邦画)] 8点(2015-08-03 23:58:11)
670.  ハッピーフライト(2008) 《ネタバレ》 
本日、ANAで747型の運航を終了したという報道があったが、狙って投稿したのではなくたまたまである。 まず航空会社のPRとしては、こんな心許ない乗務員が登場するのを許す会社の鷹揚さに感心するが、中身には全部目を通しているはずなので、劇中の出来事は基本的に会社の考え方を反映しているものと考えられる。具体的には勘違いの鳥マニアは明らかな危険要因だが、飛行機オタクは迷惑なことはあってもいい関係を保っておく必要があるらしい。一方で乗客は何を怒鳴ろうがわめこうがあくまでお客様であり、どれだけ理不尽でも誠意をもって接すればかえって上客になってくれる、といったようなクレーマー対策なのだと思われる。航空会社としては緊急事態の場面は容認しても、お客様を悪役扱いすることだけは絶対避ける方針なのがよくわかった。 そのほか実際どうかはわからないが、運航乗務員の心構えとして「こういう時はまず笑え」というのは個人的に好きなタイプの物言いである。  ところで劇中で可笑しかったのは、とぼけた機内放送を聞いて吹石一恵が険悪な顔をしているのに、綾瀬はるかが天真爛漫な笑顔で客と一緒に笑っていた場面である。本来はこういった主演女優の持ち味を楽しむ映画だというのはよくわかる。 ただ個人的にはそれよりも、裏ヒロイン?であるグランドスタッフ(演・田畑智子)の方に注目してしまった。あまりに頑張って疲れてしまって不平を言いながらもなお頑張らなければならなくなって、それで少し貸しを返してもらうつもりでちょっと職場を抜け出したらどうやらしあわせの道が開けてきて、それで元気をもらってまた頑張ってしまって、というような感じだろうか。何か非常に愛しく思える人物だった。 ほかにも同僚のグランドスタッフなど各部署の出演者が多彩で楽しめる映画になっている。平岩紙さんに関してはサイドストーリー「歯医者発、しあわせ便」も必見である。
[DVD(邦画)] 7点(2015-07-24 01:23:29)(良:1票)
671.  恐怖(2009) 《ネタバレ》 
面白くないとはいえないが、面白いと言うにはわけがわからなすぎる。 外部情報によれば、側頭葉を刺激する実験はかつて実際に行われたことがあり、体外離脱とか光が見えるといった臨死体験に似た効果が得られることがわかっているらしい。ただし一般の臨死体験が死への不安を取り除くものであるのに対し、側頭葉への刺激は恐怖心とか幻臭をもたらすことが相違点のようである。またそれとは別に、人間が認識できる範囲外に本当の世界が広がっているという考え方も現に存在し、これと臨死体験を関連づける説もあるようで、この映画もそういったことを下敷きにしていると想像される。  その上でこの映画が何を言っているのかということだが(よくわからないが)、少なくとも自分としては台詞にも出ていた“死んだらどうなる”の問題が大きく扱われていたように思われる。伝統的には地獄に落ちるのを恐れたのだろうが、それは何らかの形で死後の世界があると信じられていた時代のことである。かつての俗信や宗教的認識が否定された現代日本では、死んで無になることをかえって恐れる風潮もあり、それは劇中でも説明されていたように、実はみな「あの世があると思いたがってる」ということだろう。 映画のラストはよくわからなかったが、個人的には変なものに食われるくらいなら人間のままで死んだ方がまだまし、という意味に感じられ、これはこれで救いのある終わり方に思われた。ただ、もし臨死体験が、死への不安を取り除くことで来世への円滑な移行(例えば生まれ変わりのような)を促すためにプログラムされているとすれば、これが正常に作動するよう心がけた方が無難ということはあるかも知れない。現実の報告によれば、自殺未遂者の臨死体験は一般と異なり不快感を伴うものとのことで、死後どこにも行けずに「ただ消えるだけ」にならないで済むためには、まともな臨死体験の過程を踏んでいわば円満に死ぬことが必要なのかと想像したりする。そこまでこの映画では言ってないかも知れないが。  なお劇中の処女受胎の人物は声が妙に愛らしいので和む(「何を見てるんですか?」)が、この役者はこれ以前に少女アニメの声優をやっていた人のようである。
[DVD(邦画)] 5点(2015-07-23 00:26:16)
672.  旅立ちの島唄 ~十五の春~ 《ネタバレ》 
冒頭の空撮を見ると同心円状の樹林帯が目につくが、これは島の地形に対応してこのように形成されたものだろう。人の居住の歴史は浅い島のようで(「島4800万年/人100年」)、八丈島からの移住が最初というのは初めて知った。撮影は4月とのことだが、劇中では夏休み(那覇での公演)、豊年祭(9/22~23)、正月行事、サトウキビの収穫(と黒糖の初物?)といったポイントを押さえて季節の変化を表現していたようである。 登場人物には現地協力者も多いらしく、東京から役者が押しかけて来たような浮ついた感じはないが、主人公だけはひときわ美形で長身のためものすごく見栄えがする。劇中では卒業コンサートの場面のほかに、父親が主人公の昔の写真?と現在の凛々しい姿を見比べて、感無量のままで去っていく姿が印象的だった。  ところで進学を機に若年者が転出していくのは地方共通の問題だが、高校を持たない離島にとってはさらに切実なことだろう。主人公が最後までよりよい道を探りながらも結局実を結ばず、一人残される父親を思う気持ちは切ないものがある(高校の面接官が無神経で苦笑する…受験生を泣かすな!)。 しかし父親にしてみれば、いかに寂しげに見られようとも娘にはまず自分のことを考えろと言うはずだ。距離が遠くなるほど気持ちも離れ、いずれは主人公も島外に居場所を定める日が来るのかも知れないが、それでも父親としては子どもらの心が帰属する場所を維持しておく責任がある。それが去りゆく世代の最後の務めであって、自分はそれでいいのだと考えているに違いない。 ただ兄や姉は別としても、主人公に関してだけは、いつまでも心の一端を島につなぎ止めておこうとする誠実さを持ち続けるのではとも思う。文通だけで終わった(終わりにした)彼氏は忘れてしまってそれまでだが、親子の関係だけは一生切れないのだろう。  なお余談だが、民謡グループの次のリーダーは泣き虫らしいので笑ってしまう。船が島を離れる場面では、みなが笑って手を振っているのにこの人だけは始終涙を拭いていた。来年は自分なのだから頑張れよという話だろうが、逆にいえば主人公はまだしも最初からしっかりしていたということである。たった15歳で生地を離れるのは過酷なようでもあるが、しかし巣立ちの時期としてそれが正しくないともいえず、本島・本土の方が甘やかされているだけなのかも知れない。
[DVD(邦画)] 8点(2015-07-20 12:30:11)(良:1票)
673.  アイランドタイムズ<OV> 《ネタバレ》 
いまや一児の母となった仲里依紗嬢が、可憐で愛らしい少女役をやっている。この少女が最初は内気に見せておきながら、ブチ切れてからは本領発揮してバカ少年を圧倒していくのは小気味いい。台詞の中では「もっと言っちゃえば」という強引なつなぎ方がすごくよかったが、それでもバカ少年が煮え切らないのをちゃんと待っていてくれたのがまた嬉しい。あまり好意的にして母親の代替にされるのはまずいだろうが、そこは賢く立ち回るものと思われる。 一方の少年は、誠実なことは間違いないようだがバカなのも間違いなく、賢ぶって受け売りの台詞を言ったところが鼻で笑われたなどというのは非常に恥ずかしい。「愛とは与え合うもの」という言葉を聞いたことがあるか不明だが、現に自分が相手に与えていることに気づいてないようなのは自分の外に意識が広がってない証拠である。あまりにバカなため最後は完全に少女にリードされてしまっていたが、それだけに男子にとっては著しく都合のいいラブストーリーになっており、そういったところを期待して見ることが望まれる。  ところで、かつて少年の父は島を出て行ったきり帰って来なかったとの話だが、そもそも少ない島内人口の結構な割合が一時的に住んでいるだけの人らしく(教員など)、人はいずれ去るものという諦観のようなものを彼も感じていたらしい。その自分も島を離れる選択肢しかないと思っていたが、思わぬ事件で一時攪乱された後に、改めて当面の正しい道を選択し直したようである(半強制だが)。 出ていくだけでは人が減る一方になるが、出る者に必ず帰れと言える保障があるわけでもなく、その後どうなるかは人によるというしかない。自分の根っこを島に残しながらもとにかく広い世界に出てみようというのは、現に島に住む大人の多くもかつて辿った道かと思われるが(例えば役場職員、あるいは親友も)、記者志望の少年に関しては、これからずっと島から皆が(母親を含め)声援を送り続けるのだろうと想像する。  なお余談だが、自分としてはずっと前から青ヶ島村が日本最小の村だということを知っていて、行きたいが行けない憧れの地のように思っていたため、この映画で島の各地の景観や各種施設・設備が映り、時刻も天気もいろいろな島の姿が見られるのは非常に嬉しい。現地を知っていればありえないと思う場所設定もなくはないかも知れないが、そこはあまり突っ込まない。
[DVD(邦画)] 8点(2015-07-20 12:29:45)
674.  遠い日のゆくえ<TVM> 《ネタバレ》 
2011年3月13日にWOWOWで放送したとのことだが、よくそんな時期に普通にドラマの放送ができたものだと思う(翌日から東電管内で計画停電が始まる)。 特殊清掃の現場が出るのは、ホラー映画では最近ときどき見る(笑)ので個人的感覚としては珍しくないが、「おくりびと」(2008)と同様に、人間の死に近づくことで逆に生を意識するためには好都合な設定である。全ての人間に人生がある(あった)ことの重みを知るのは若年者にとって大事なことだろうし、また単に一人の人生を生きるだけでなく、生命を次代につなぐ話になっていたのは喜ばしいことで、終盤で三世代が出会って交歓する場面は泣けるものがある。そのほか、金沢にいた気のいい女子大生はどういう位置づけかわからなかったが、主人公にとっては頼れる姉ちゃんのような存在だったらしく、この金沢パートも非常に心和むものがあった。  ただし、その生命を次代につなぐ部分が非常に都合のいい話になっていたのは必ずしも納得できない。低年齢での出産は基本的に各種リスクが高いものと思うが、このドラマでは生まれた娘がその後に何の支障もなく幸せな結婚をし、かつ所得面でも非常に恵まれた状況にあるように見える(はっきり言って裕福)。その上で、第二の低年齢出産を認めざるを得ない筋立てを作ってしまい、あらかじめ異論を封じているようなのは卑怯ともいえる。これは特定宗派のPRドラマだろうか。 また、途中で出た悪人顔の依頼者の言葉は間違いなく真実の一面を衝いており、これに続いて社長がこの仕事の意味を語った言葉も的確である(ぼかしたところを含めて)。これを聞くと決して綺麗事だけの話ではないように見えたのだが、しかし終盤でこの社長までがドラマの方針に合わせたように変節するのがまた困ってしまう。何だか主人公の成長話にするため無理にひん曲げてしまった印象があったが、若年者向けのお話とすればまあこれでいいのかも知れない。それにしても母親を死なせてしまった心の傷をどう解消したのかは不明だが。  なおラストでは主人公が説明台詞で長々と独白していたが、ここは視聴者に対する丁寧な説明の意味だけでなく、実はこの主人公も日記をつけ始めたのだと解したい。
[DVD(邦画)] 6点(2015-07-20 12:21:52)
675.  くじけないで 《ネタバレ》 
失礼ながら詩集は読んでいない。映画の趣旨としては、個別の詩を登場人物のエピソードと関連付けながら紹介するとともに、詩の背景にあった詩人の生涯を知ってもらうことだろうと思うが、これがうまくいっているかは何ともいえない。 まず医師と不登校児の父親のエピソードは、そこで紹介される詩の内容と微妙にずれている気がする。また詩人の子息に相当する人物があまりにも出来の悪い息子で今後の更生が期待できるとも思われず、そのため標題の言葉も本当に「できない子への慰め」にしかなっていない気がするが、制作側の意図もその通りということでいいのだろうか。 一方で詩人の生涯に関しては、知らない者としては何も言いようがないわけだが、個人的にはこの映画で「おしん」は見なくていい(正規版を見たため)。奉公前夜の母子の会話などは言わずもがなのことであり、台詞も臭くて聞いていられない。 そのほか全体としても2時間がとにかく長く感じられ、申し訳ないが非常に退屈な映画だった。この監督は製作上の要請に的確に応える賢明な人物というイメージがあり、恐らくこの映画もそのような意味でよくできているのだろうと想像はするが、残念ながら今回も自分は観客としての想定外だったようである。 ただし主演女優は美形で気品がある上に、演じている年齢の幅が広いので素人目にもさすがと見える。この女優に敬意を表して、まことに些少ながら1点を加算しておく。
[DVD(邦画)] 4点(2015-07-18 12:34:42)
676.  GIRL ガール(2012) 《ネタバレ》 
映画の趣旨としては、要は女性としての特性を維持したまま堂々と生きていけばいい、ということかと思われる。 その具体的な中身が何かということについては、まず序盤で母から娘に受け継がれた認識自体を否定するつもりはなく、それが人生を活性化するのであれば自分の裁量の範囲でいくらでもやればいいだろうと思う。ただその際は、自己表現と同時に外部からの視点で自己検証しようとする気持ちだけは持ってもらいたいと切に願うばかりである。 また感性を売りにするのはわかるとしても、感性的に相手を取り込もうとする態度までが常に通用するとは限らない。広告代理店社員とデパート社員のエピソードでは、最後のトラブルの際に理性的な説得を試みたのがかろうじて成功し、その結果として感性面でも共感できた、というのが原作由来のオチだろうが、それがわかるようにできていたかどうか。 そもそもこの映画では女性向けに閉じられた世界を作っているようなので部外者が突っ込むのも野暮だろうが、実際のところ働く女性を現実的に励ますというよりも、観客をいい気分にさせる方が優先のように見えており、特に劇中の男連中がみなストーリーにとって都合のいい人ばかりなのはかなりファンタジックに感じられる。素直にいい話と思うのは一児の母くらいのもので、新任課長についても言いたいことは少し(かなり)ある。また原作との違いを並べ立てるのも野暮だろうが、新人社員の指導係に関してだけは、いい人そうに見えた山本さんがその後どうなったのか聞きたいところである。原作短編集ではこの話が一番笑って泣けるのだが。  そういうことで自分としては全面的に肯定するような内容では全くないが、しかし見た後の印象はそれほど悪くない。娯楽映画として単純に可笑しい場面も結構あり、また主要人物の4人以外にもいろんな女優が登場して映像的にも華やかさがある。さらにラストのナレーションで「おとぎ話は嘘じゃなくて心のギフト」とまで念を押されてしまうと、まああえて騙されるのも仕方ないかと苦笑する気分になるので、これはこれでうまく作ってあるのかも知れない。
[DVD(邦画)] 4点(2015-07-18 12:34:36)
677.  ギャルバサラ -戦国時代は圏外です- 《ネタバレ》 
一応説明しておくと、名古屋テレビの開局50周年記念映画とのことでSKE48のメンバーが合計14人も出演しており、またAKB48関係者も2人が出ている。監督は「マジすか学園」の人だそうだが、当然ながら自分はそういう番組を見たことはない。  内容に関しては、要は女子高生が携帯持って戦国時代へ行く話で(男子もいる)、圏外といいながらも結構多用している。歴史上の著名人と女子高生とのやり取りは少し笑えるが、このままもう少し見ていたいと思っているところで着信音が流れを中断するのはケータイ時代のリアリティということか。ほか「三方ヶ原」という地名に対するバカ男子の反応には失笑した。 また一応まともな映画らしくドラマ性も重視されているが、しかし重要な台詞が変に小難しいのは困ったことである。例えば「未来」というのはもともと現在を基準として未だ到来しない時点の集合だろうが、その基準点をずらして相対的な概念として捉えるまではいいとして、個人が実現すべき将来像という意味も持たせてわざとわかりにくくしているようなのが面倒くさい。また「天下を取る」の意味が「日本一」というならまだ自然としても、これが拡張可能なのは「立身出世」という程度までが限界で、それ以上に一般化しようとしても意味不明でしかなく、これで最後に関係者が納得していたことの方が変である。さらに終盤では説明台詞が続く上、全く別のこと(生命の連続性?)を語る人物も混じっていたりするので、もっとすっきりさせてくれと言いたくなる。 そのため、そういう面倒くさいことはいちいち考えずに、とりあえず劇中の誰々は可愛い、とか言っておしまいにするのが正しい鑑賞方法だろうという気がして来る。個人的感覚としては主人公も可愛いとは思ったが、普通に正統派美少女のため見たあと顔を忘れてしまった。かえって態度の悪い親友の方は、ふてくされた顔のようでもにっこり笑うとかわいいのが印象に残った。そのほかSKE48の主要人物2人(木崎・小木曽)はさすがに個性的で存在感があった。  ところで劇中の女性教員は「日本史の教師」とのことだったが、この年でまだ独身だったようで、それがかつての歴女の末路だとすれば寂しいものがある。もっと歴女が愛される世の中になった方がいいと思うが、とりあえず劇中の歴女は可愛いので、自分がもっと若かったら嫁さんにしたい。話も合うと思う。
[DVD(邦画)] 4点(2015-07-18 12:34:32)
678.  死亡時刻<OV> 《ネタバレ》 
題名は「死亡時刻」だが、DVDの中身は「死角関係」との2本立てになっている。監督の公式サイトでは「密室シリーズ」と称しており、前者は2006年、後者は2005年の制作で、外部情報によると前者は2009年に渋谷・ユーロスペースのミディアムショートフィルムフェスティバル「真夏の夜の万華鏡」で公開されたとのことである。  それでまず「死亡時刻」に関しては、主演の粟田麗さんがとにかく可愛らしい。彼女のファンが全国にどの程度いるかわからないが、見て損はないと一応お知らせしておきたい(こんな所に書いても誰にも届かないだろうが)。内容の方は殺人をテーマにしたサスペンスのように想像するが、実際見てみるとそれだけでもない。短時間に各種要素を詰め込んで退屈せず、ラストもきれいに収拾されて一応しんみりさせる構成になっている。 また「死角関係」は女3人男1人の四角関係で、これもサスペンスフルな展開で先が読めないが、最後はちゃんと丸く収まりラストは爽快である。小粒でキュートだが心の広い主人公を主演女優(つぐみ)が好演していた。 両方とも小気味よさを優先した短編で深みはないが後味は悪くなく、また女優が好印象だったので少しいい点にしておく。  なおこの監督はもともと脚本家として関わった映画が多かったようで、監督としての代表作は上記2009年時点で「ホッタラケの島 遥と魔法の鏡」(2009)だと紹介されていたのは笑ってしまったが、それはそれで自分としても嫌いでないので結構である。
[DVD(邦画)] 6点(2015-07-18 12:32:03)
679.  真木栗ノ穴 《ネタバレ》 
この映画では、まずはヒロインが清楚で色っぽくて可愛らしくて怖くて悲しく複雑で不思議な雰囲気を出しているのが非常にいい。メイクは最小限にして素材のよさを最大限生かしているのも好印象で、この点では誠に期待通りの映画である。 それだけを期待していたにもかかわらず意外にもといっては何だが、見ると窃盗の共犯の女にも妙に惹かれるところがあり、中盤の再会場面などはもう泣けてしょうがない。ヒロインと並ぶ存在感があり、この二人だけで両横綱という印象だった。 しかしさらによく見ると、もう一人の女性である雑誌編集者も決して無視できない存在である。若くて生気があり、基本的に明るい世界の住人で、見ていて眩しいようにも感じられた。最後、この人の声は主人公に届いたのかどうかが心残りである。  ところで、劇中では生きている人とそうでない人が混在していたようだが、そのほか空想が現実に介入しているようにも見えており、何が空想で何が現実だったのか整理がつけにくいため、観客としては画面に出たものをまともに受け取っていいのかどうかわからなくなる。また、さらにこの映画では、見ているわれわれを含めて空想と現実の区別が相対化(階層化)されているらしく、それを意識してしまうと、どうせ全てが空想なのだから観客が本気になって(前記のように)感情移入するのは愚かなこと、と嘲られているような気もして来る。 あるいは、そのようにして鑑賞者の心理を翻弄するのが作家(とか映画を含めた創作者)の力であり、それは劇中の編集長が言っていたように「頭ん中を覗くことなんかできない」ほどの深みを持った穴だというのが、この映画の隠れた主題なのかも知れない。しかし題名の意味はその通りとしても、それが映画制作者自身のことまで含めた主張だとすると自画自賛のメタ作品のように思われて、自分のように特に映画ファンでもない一般の鑑賞者などは疎外感を覚えてしまう。  まあ別に一般人に喧嘩を売っているわけではないのだろうから、ここはひとまず創作者に騙されておくことにして、愛すべき登場人物のいる懐かしい(怖い)空想の世界に浸り、愚かな主人公の哀れなラブストーリーに共感を寄せているのが正解なのだろう。 そういうことで、多少面倒くさいところはあるものの、全体としては非常に印象深い映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2015-07-18 12:31:57)(良:1票)
680.  クローズド・ノート 《ネタバレ》 
日頃から芸能ネタに関心がないので、これが例の問題を起こした映画と気づかないまま、先入観を持たずに見た。 内容としては映像がノスタルジックで美しく、登場人物は暖かくて微笑ましい。伊吹先生のクラスでは問題も起きるが、不登校児は素直ないい子でお母さんも優しい人のようだし、何よりクラスの全員が「太陽の子」で心優しく友だち思いである。…というようなことは現実問題として絶対ありえないと思うわけで、全体の雰囲気からしてまあいいかと思わされそうにはなるものの、さすがに紙飛行機の不自然さは耐えがたい。 また主人公が劇中で成長したところを見せようとするあまり、以前の方のレベルを落として楽器の練習に身が入らないことにしたのは、登場人物の人格に関わることなので見過ごしにできない。そのほか全体のストーリー構成も原作の方がすっきりして素直に受け取れる(泣ける)し、学校がらみの不自然さも感じられず、やはり他の原作付き邦画と同様に、原作さえ読んでいれば映画は見なくても事足りると思わなくもない。  一方キャストについては、伊吹先生の方は申し訳ないが好きになれず(顔が好みでない)、あまりに不自然な役柄と相まってそれほど共感できなかったが、バイト先の童顔の先輩についてはさすがにいい感じを出していた。 また主人公に関しては、これはもう非の打ちどころなく魅力的であり、外見はもちろん人物像にも強く惹かれてしまう。一般的なイメージからこれほどかけ離れた人物になり切れるというのは、やはり演技の力と思うしかないだろう。ただ終盤で負け惜しみを言ったように聞こえるところなどは主演女優の色が出ているようで、原作の方がより素直に愛すべき人物になっていると思わなくもないが、しかしこれほど可愛い沢尻エリカが見られるという点だけは、間違いなくこの映画固有の価値だと思われる。 そういうわけで、評点のうち5点は沢尻エリカに献上する。個人的感覚ではこれが沢尻エリカ映画の最高峰である。
[DVD(邦画)] 6点(2015-07-18 12:31:52)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS