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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 575
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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61.  誰も知らない(2004) 《ネタバレ》 
モデルとなった事件とは細部が異なっていると言った意見が多くあるが、私は実際の事件との整合の粗は特に気になりませんでした。是枝監督ご自身も、過去に起きた事件の詳細を伝えることは念頭になく、観た人がこれを教訓としてどうするのか、未来に向けた建設的な視点で本作を撮っているように思います。こういった事件の根絶は難しい。だが、それを目指して先ずは何かできること一つ、である。これを観た人が一人でも多くこのような母親にはなるまいと心に誓ってほしいし、親であるなら子供を今まで以上に大切にしてほしい。前を向いて歩きだすラストから監督のその思いは充分に伝わり、救いのない話の中に一筋の光明を見た気がします。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-05 21:06:02)(良:1票)
62.  舟を編む 《ネタバレ》 
原作は未読です。松田龍平さんの演技が作りすぎ、といった意見もあるが、私は彼が役者として新境地に挑戦したとしてここは好意的に受け取りたい。95年頃と言えば、パソコンが飛躍的に普及する直前の時代。まだ多くの人が辞書を手に取って言葉を探したあの時代です。今となっては、言葉を検索するならパソコンの方が圧倒的に早くて便利なのだが、辞書には確かに存在した手作りの温かみはそこには一つも感じられません。利便性を最優先して何から何まで機械化、自動化も結構ですが、手作業で辞書を作るような、それこそ大海原に舟を編むような気の遠くなる作業に誠心誠意励む、こういった日本人が誇れる文化を後世に残していくことも大切なことではないか、と思います。今回、"大渡海"作成に携わった人たちを見ているうちに、なぜだか自分が日本人であることが心から嬉しくなりました。鑑賞後に、本棚にある辞書を改めて手に取ってみました。ずしり、と重たい。一冊の辞書が完成に至るまでの時間や労力を知った今では、それが歴史の重みのようにも感じられてひときわ感慨深いものがありました。
[ブルーレイ(邦画)] 8点(2014-05-24 19:45:40)(良:5票)
63.  運命じゃない人 《ネタバレ》 
よくこんな面白い話を考えつくもんだ。本当に感心します。とにかく脚本が秀逸。話の大筋と役者のキャラ設定だけで既に成功したようなものだが、抜群のセンスで時間軸をいじくり回してさらに面白くしてる。同じ場面をもう一度映せば、実はあんなトコにもこんなトコにも・・。うまいな、と唸らされる展開の連続でした。台詞も楽しい。「お前、携帯電話をナメるなよ」(笑)「30過ぎたらクラス替えも文化祭もないの」(笑)。探偵役の山中聡さん、主演級で映画出演しているのは初めて観たが、この人すごく楽しいね!それにしても、この二人っていいコンビだと思う。続編やったらかなりうけると思うのだが・・。お金をかけなくても優れた脚本があれば面白い映画は作れる。そのお手本のような映画でした。
[DVD(邦画)] 8点(2014-04-21 21:46:37)
64.  横道世之介 《ネタバレ》 
87年といえば私は中学生。あの頃自分の頭の中は、期末テストの順位、部活でレギュラーを取ること、同じクラスの気になるあの娘のこと、そしてドラクエのレベルを上げることくらいであったか。あ、ジャンプの発売日っていうのもあったな。視野が本当にせまくて、世間はバブルで浮かれていたなどと当時は気が付きもしなかった。(というか、自分のことで精一杯で世間に目を向ける余裕などなかった、というべきか) 前置きが長くてスミマセン。この映画で秀逸だったのは、当時の雰囲気を完璧に再現していることは言うまでもありませんが、やはり、横道さんは誰なのか? を視聴者にアナウンスするタイミングでしょう。あえて冒頭でもエンディングでもない部分に持ってきたところに監督のセンスを感じます。ここを分岐点に以降は映画自体がセピア色した全く別の姿に変貌します。時折映し出される現在の光景もお見事で、彼のいない虚無感が恐ろしいほど蔓延していました。前2作も良作だった沖田修一監督、私の中ではこの監督の作品は品質保証マークが付きました。まだお若いし、この先が本当に楽しみな監督であります。
[DVD(邦画)] 8点(2013-12-09 14:32:55)(良:2票)
65.  タイヨウのうた 《ネタバレ》 
YUIはもちろんですが、この映画は思いのほか、塚本高史君がよかったです。一見チャラいが、実は誠実で友達思いのよいヤツ、を好演しています。(同じクラスにいたらぜひ友達になりたいもんだ) YUIが歌い始めると周りに次から次へと集まって来る場面、一歩間違うとあざといシーンになりがちですが、YUIの存在感と歌によって見事に本作のハイライトとなりました。 何度も使い古された感のある難病モノですが、出演者たちの熱演によって一際心に残る映画となっています。 →2021/7/1追記。インターネットにて再鑑賞。 最後の最後まで、彼女自身が、「死」を覚悟していたのか、それはわからない。(映画としても、そこは濁しています) ただ彼女は、歌うこと、恋することによって、今を生きる幸せを必死に見い出そうとしました。だから難病モノではなく、これは人生讃歌として素晴らしい映画である、と改めて評価したい。冒頭と最後に写し出された美しい湘南の海、彼女が力の限り振り絞った歌声、 そして、彼女の思い出を胸に、力強く前向きに生きていこうとする家族、親友、彼氏の姿までも、まるで彼女の願いのようにいつまでも心に残ります。(今回、7点→8点に変更)
[DVD(邦画)] 8点(2013-07-25 15:54:21)(良:1票)
66.  ちょき 《ネタバレ》 
まず、導入部から波多野青年 (吉沢悠) の日常を丁寧に描いており、とても好感が持てる。続いて、美容室にて常連客たちとの軽口があり、彼の人柄や人間関係もわかりやすく、実に手際が良い。 やがて、満を持してサキ (増田璃子) が登場すると、まるで「そよ風」が吹いたように、映画全体が爽やかな空気に包まれた。 その彼女が青年と二人、バイクに乗って海岸線沿いを颯爽と走り、マリーナシティを楽しみ、砂浜を歩く。それだけで視覚的には十分に楽しめるものだが、、しかし、彼女は盲目だ。バイクの疾走感と彼の背中、海のかおりと潮風とつないだ手の感触、、我々も一度は目をとじてみて、彼女の「体感」を想像してみるのもいいだろう。 神社の「絵馬」のメッセージが感動的なのは、その前段において、サキが見えない目で書道に取り組んだからである。それはつまり、伝えたい言葉を (つたなくても) 自分で書きたい、、そう思わせる下地があったからこそ。 全体的には、透明感ある青と白を基調とした、色合いのキレイな映画だったと思う。 また個人的には、なぜだか「ジョゼと虎と魚たち」を思い出す映画だった。 最後に余談だが、和歌山県産の映画に好作多し。大げさではなく、有田みかん、紀州梅干、と併せて、もはや "和歌山三大特産物" に認定したいほどだ。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-04-12 21:26:43)(良:1票)
67.  川っぺりムコリッタ 《ネタバレ》 
本作はご存知、荻上直子監督。 ご飯のうまそうな映画、、そこはブレることなく継承しながらも、人の描き方は過去作品からかなり変化が見られます。例えば、「かもめ食堂」「めがね」では、登場人物たちの過去を明かさず、あえて素性をぼやかすような作りでしたが、本作の彼ら (山ちゃん、島田さん) は過去の苦悩をみなに吐露していて、実に人間味のある描き方をしています。 そして、テーマである「再生」を意識したのか、出演俳優も (常連組から) 一新されているし、「川っぺり」は監督ご自身の新たなスタートでもある、、そういう意気込みを感じさせる映画でありました。 特筆としては、「死」にまつわるエピソードの数々、、そのインパクトが大きい本作ですが、死を感じてさらに生きる意欲、つまり食欲が湧くという、紛うことなき「食」の映画であることは間違いありません。 しかし、うれしいことに監督の売りでもある "ほのぼの感" はまだ健在であり、これは鑑賞直後よりは、後からジワジワと評価が上がってきそうな予感がしてます。 さてと、、イカの塩辛、買いに行こっと (笑)
[インターネット(邦画)] 7点(2024-03-11 22:34:17)
68.  長い散歩 《ネタバレ》 
主演は名優の緒形拳さん。 年老いても凜とした存在感は健在であり、孫のように幼い娘と歩くその姿だけでも、充分に惹きつけられるものでした。本作公開からまもなく亡くなられたので、まるで羽をつけた天使に天国へとエスコートされているように、見えなくもなかった。 親の虐待と育児放棄から子を救うために、赤の他人が連れ去ってしまう・・。犯罪的行為を犯罪的行為で阻止するわけですが、目の前で困っている子を見過ごしておけない、、こういう人徳は尊重されるべきものだと思うし、老人はうまいやり方を知らない「不器用男」そのもので、自作の覆面と竹の棒で懲らしめるお姿はなぜか笑えてしまうような部分もあった。 二人の刑事 (デカ) が登場するけど、やる気も空回りして、ちょっとドジなところ、、昔のバディもの刑事ドラマのような味わいがあってよかった。こういった事案では、警察は初動も遅く肝心な時に頼りになりません。でもそれは組織やルールとしてのことであり、彼らも、それぞれ情熱や正義感はある。そういう意図があったとは思う。 なお、今や名女優の安藤サクラさんがウェイトレスの端役にて長編映画デビュー。彼女の父であり、本作の監督でもある奥田瑛二さんによる推しの抜擢、と察します。本作のテーマである、親の「育児放棄」とは裏腹に、ここでは親の過保護をまざまざと見た気がいたします。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-03-10 13:18:48)
69.  島にて 《ネタバレ》 
山形県唯一の有人離島「飛島」と、島に住む人々の暮らしに密着したドキュメンタリー映画。 まず、上映開始直後の巨大なタコに思わずニヤリ。ちょうど、今日の晩酌のつまみにタコの唐揚げを考えていたからだ。私がスーパーで購入した真だこは130gで550円、いったいこの巨大な真だこはその何食分になるだろうか (笑) さて、本作は島民の方たちの素朴な暮らしぶりがよく伝わる内容となっていた。 映画的な出来映えとしては、場面が変わるところの挿入画に監督の光るセンスを感じさせた。 島の緊急ヘリポート。 放し飼いになった山羊。 寂れながらも生活感のにじみ出る古民家の数々。 はるか海の向こう (の本土) にそびえ立つ雄大な鳥海山・・・。それぞれ、この島ならではの風景を厳選しており、いつの間にか私は次の挿入画を心待ちするようになっていた。 本作は、島の過疎化問題への取り組み (島おこし) が大きなテーマとなっている。その事例として、UターンやIターンによる新規サービス業や、バーベキューイベントなど催しの様子も紹介されていた。しかし、とても良い取り組みであると素直に思う反面で、島おこしが大当たりして多くの人と喧騒で賑わい、まるでリゾート地のように開発される島 (の姿) もあまり想像したくない自分がいた。 手付かずの大自然。 140人が暮らす島。窓から海が一望できる教室で、たった一人の生徒にたった一人の先生。 それはそれで、この島ならではの贅沢だろうし、誇りたい文化でもあるように思えたからだ。「飛島」自身は、どう考えているのだろうか? 少し身勝手な意見になったが、、この島の古き良き文化を残しながらの、飛島と島民みなさまの繁栄を願いたい。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-01-29 23:08:08)
70.  お父さんと伊藤さん
お父さんと伊藤さん、そして語呂悪く題名から除外された娘さん。(山中彩34歳) 同居しながらも、心のうちを見せず、心のうちに踏み込まず、ほどよい距離感・緊張感が持続する心地よい120分。部外者であるはずの伊藤さんによる機転・気配り・先回りによって、何とか成立していた父娘の関係性。きっと、彼は人生を2周目なんだろう。だから、何でも知ってるんだろう。もちろん、2周目の余裕からもう仕事にこだわるようなことなどしないし、欲もない。うん、そういうことにしておこう。(ファンタジーだし) お父さん74歳、伊藤さん54歳、山中彩34歳。 どうりで、父娘の間にピッタリおさまる伊藤さん。でもこう並べると、(彼に) 14歳の隠し子がいそうな予感の今日この頃。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-01-15 19:24:05)(良:1票)
71.  マイスモールランド 《ネタバレ》 
本作は監督をノーチェックで鑑賞したのですが、サーリャ (嵐莉菜) の撮り方が優しく繊細だし、観終えた後にこれは女性の監督だろうな、、と予想した。当たっていた。抑制の効いた演出は、是枝裕和氏の制作によるものも大きいのだろうが、川和田監督としては、これが初めての商業長編映画のようで、これからがとても楽しみな監督が登場したように思う。 本作は「クルド難民」であり在日クルド人たちの物語ですが、サーリャ目線の青春映画に仕立ているので、重たいテーマでありながら、映画自体の間口はとても広くて、観せ方がうまかったように思えます。あのお父さんを主人公にしていたら、きっとゴリゴリのクルド難民映画になっていた気がしますよ (笑) そのお父さんですが、娘が男友達を家に連れてきたときに、一緒にご飯食べて行きなさい、と歓迎した。これは、クルド人は、日本人を差別しない、ということ。でもそのお父さんですが、娘が口紅をして出かけるようになったときに、彼にはもう会うな、と言った。クルド人だろうが、日本人だろうが、やはり "お父さん" は万国共通だ。もちろん、女の子が恋したらキレイになりたいのも、万国共通だ。 この映画を観ても、クルド難民の問題は何一つ解決されない、でも、彼らも本質的には、我々と何一つ変わらない普通の人たちじゃん、、ということを、私という一人の日本人が理解した。 しかし、私があのコンビニの店長だったら、やはり同じようにすると思う。だって、いくら彼らがよい人たちだとしても、不法滞在は「違法」だから。今度は私が捕まっちゃうから。 つまり、人間の問題よりは、その法律ってやつこそ、頭でっかちで変わることを知らない最も厄介たるものだ。 ・・と言いつつも、法律でコントロールしないと、この国は不法滞在者で溢れてしまって、本当に "無法地帯" になってしまうのだろうし、国と人と法律ったら、何でこんなにややこしいのか。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-12-18 23:28:58)
72.  アンダーカレント 《ネタバレ》 
原作未読です。 表題「アンダーカレント」とは、潜流という、表層部の海流と独立して海面下を流れる海流を指す。本作で言うなら、人間の心のうち、のことだろう。自分でも理解できないものを、それが他人だろうが、夫だろうが、なおさらわかるはずもないお話。だから、結論を求めずに、その展開を楽しむつもりでご鑑賞。 映画としては、メタファーに富んだ恋愛サスペンス映画、というところでしょうか。回想場面の多様がやや気になりますが、それはストーリー進行上、かなえ (真木よう子) の脳裏に一瞬だけ浮かんだ光景であり、凡庸な映画にありがちな説明不足を補うものとは異なるものでした。 その彼女が水の中に沈んでいく光景が本作を象徴します。その姿は洋服が膨張してお腹が膨らんでいるように見えて、まるで胎児を宿っているようにも見えました。これは、彼女の深層心理的な願望の現れなのかもしれませんね。 悟 (瑛太) は、彼女の元を去りました。本作中、嘘、という言葉が飛び交いますが、愛情を失ったのに、妥協や慰めで共にいること、いようとすること、それは偽りの愛だし、それこそが本当の「嘘」ではないだろうか。 ストーリーから話逸れますが、真木よう子さんの代表作は、「ゆれる」だと思ってます。本作は、消えた夫、現れた (謎の) 男、怪しげな探偵、、そんな三者三様の男にゆれる女の恋心、、といった様相で、彼女にとって久しぶりの代表作になりそうな気がしてます。 江口のりこさんとは「パッチギ!」の名コンビですね。あのお二人が (丸くなって) 十何年ぶりに再会したようにも見えて、私は密かに笑っておりました。 なお、本作にアクセントを加えていたのは、間違いなくリリーさん。その得体の知れない感じが、まさにお家芸であり、あそこでまさかのカラオケ熱唱には笑わせてもらった。歌は「裏切り者の旅」(笑) ちなみに、喫茶店 → カラオケBOX → 遊園地 → 海辺のドライブ、、って、サイレントで観たら、二人の不倫ドラマに見えるよね、これは。 その探偵に会う時は、なぜか美しく化粧していたかなえさん。女ごころは複雑ですかね。 そうそう、本作はご存じ今泉力哉監督ですが、澤井氏と脚本を共同執筆するようになってから、作風がシリアス路線に変わった気がいたします。近年では「mellow」「街の上で」が今泉監督個人による脚本ですが、この二作は笑いもあるし、個人的にはこちらの方がいいかな・・。例外的に本作で監督のこだわりが最も感じられるのが、銭湯。 靴屋、花屋、パン屋、古着屋、そして、風呂屋。 原作ありきとは言え、ロケーション設定については、「らしさ」を貫いていてうれしいところ。 会社、オフィス、、(つまり、サラリーマン、OL、社長さん、ね) こういう堅苦しいのは監督の映画では見たくないので、そこだけは、これからもよろしくお願いいたします。
[映画館(邦画)] 7点(2023-10-09 11:34:28)
73.  君たちはどう生きるか(2023) 《ネタバレ》 
まるで「千と千尋の神隠し」のように隠喩を散りばめた、「ラピュタ」のような冒険活劇、といった作風ですが、そこに戦火の混乱期という時代設定があり、まさに監督宮崎駿、人間宮崎駿の集大成、、と言えそうです。 その内容については、観終えたばかりの浅い解釈を書き並べても安っぽいし、それこそラピュタの方が、千と千尋の方が、、それを延々と書き並べても仕方がない。よって、本作を通して直感的に感じたことを一つだけ。 近年のジブリ映画は、宮崎駿監督 (個人) の哲学的思想が色濃く出ていて、あまり好きになれないところがありました。そこは、まさにラピュタを夢観たクリエイターたちの、歯がゆくも、手出しできない聖域であったと思います。しかし、最後と銘打つ本作を観るかぎりでは、ジブリはまた、ラピュタや千と千尋をやってもいいんだよ、、という、御大の置き土産であり、ありがたい「お言葉」のようにも思えます。 堂々と言うが、エンディングの歌は私の心には全く刺さりませんでした。最近の若いアーティストの歌全般、ほとんど心に響かないし、本作こそ、ユーミンでいいやん? って、心底から思った私は、はるか昔にその感性は取り残されているのかも。しかし、思うに宮崎駿が最後にこの「歌」だから、若い後進たちは、ユーミンに縛られることなく、誰に気兼ねすることなく、これからは好きな歌を自由に歌っていけるはず。 後進たち、クリエイターたち、、ジブリの栄枯盛衰を共に生き抜いた君たちへ。 そして、君たちはどう生きるか。 これは、"監督" 宮崎駿 、からの言葉です。
[映画館(邦画)] 7点(2023-10-03 23:21:46)(良:1票)
74.  それでもボクはやってない 《ネタバレ》 
不運がこれほど恐ろしいとは。これは、ショーシャンクの有名な台詞です。 いくつか、感じたことを書きます。ネガティブな内容ばかりになります。 まず、ギュウギュウ詰めで検察に移送される被疑者たちの絶対数に対して、圧倒的に警察・司法側が要員不足だと感じた。金子 (加瀬亮) の対処にあたった者たちだけを見ても、警察官 (大森南朋) → 当番弁護士 (田中哲司) → 検事 (北見敏之) 、この一連の流れは、さっさと自分の仕事を終わらせたい感がアリアリで、まるで膨大な量の物を取り扱う工場の「流れ作業」のような印象だ。 痴漢被害者の女性は、心の傷が癒えぬまま法廷に駆り出されて、好奇の目にさらされています。思い出したくもないことを、大勢の前で発言させられます。この扱いは痴漢にあうのと同等なくらい屈辱的ではありませんか。 肝心の裁判では、リリーフの裁判官が思い描いた出来レース通りに終了 (閉廷) 。誰も、裁判官にはものを言えない。 もちろん、この誤認逮捕から判決に至るまで、関係者たちのお給料を含めてたくさんの税金がここに使われ、そして最終的に、当の真犯人は今だ野放しという、とても素晴らしい茶番劇でございました。 金子は誠実な男でした。だから、親や親友、証言のために戻ってきたOL風の女性など、多くが彼を助けようとした。こうして、人が窮地に陥った時こそ "人間性" がものを言うはずですが、そんなものは国家という巨大権力の前では無力である、、それがこの映画の答えになります。 国家権力、万歳!! である。ついでに、満員電車でもバンザイだ。痴漢にされたくなかったら、両手をいつも上げておけ。 以上。
[DVD(邦画)] 7点(2023-09-12 21:32:57)
75.  さんかく 《ネタバレ》 
百瀬、佳代、桃、という、主要な三人については、みなさんのレビューで大いに笑わせていただいたし、その人物評については出尽くしておりますので (笑) 、あえて別の切り口から一つコメントを。 本作、と言うよりは、この監督のほとんど全ての作品で言えることですが、年頃の少女が主演のごとく登場するにもかかわらず、「親」が全く登場しません。(壊れた父親、がいることはある) 三人の会話の断片にちらっと登場しても良さそうですが、それすらない。 かつての相米慎二監督は、その作中において、子になおざりな親たち、離婚寸前の親たち、、といった、大人の不在 (喪失) を通して子供たちの成長、を描いていましたが、吉田恵輔監督の支柱はそこに近いように感じています。(そもそも、田畑智子、一夏の物語、お引越し、親の不在、といった本作のキーワードから、相米慎二監督「お引越し」へのリスペクトは隠せません) もちろん、本作を恋愛劇として観るなら「さんかく」ですが、桃という子供、に対して、百瀬、佳代の二人は未成熟な大人、、その視点で観ると、大人たちが不甲斐ない歪な家族ドラマのようにも見えるのが本作の面白いところ。 しかし、二人の監督それぞれ個性があり、相米監督はあくまで "家族" がテーマですが、吉田監督は "恋愛群像劇" にこだわっているようです。それも、いじわるで挑発的な (笑) 実は、優しくて愛がある、というところは同じかな。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-08-17 12:01:05)
76.  川の底からこんにちは 《ネタバレ》 
佐和子 (満島ひかり) は、それなりにかわいい娘だと思うし、フラれ続けて連敗中とは言え、ある意味では男性にモテる、ということ。そして、零細企業とは言え、社長令嬢 (笑) でもある。私からすれば、"中の下" どころか、十分に "上の下" あたりだ。 ところで、本作で特に注目したいのは、登場人物たちによる彼女の評価 (コメント) が多いこと。例えば、冒頭の庶務課のお局さんお二人。世情や、佐和子の人生にはやたらとコメントするが、自らの残念な平凡人生には目を向けない。うだつが上がらない、バツイチ子持ちの彼氏もそう。飲んだくれの岩松オジサンもそう。稲川オバサンもそう。自己評価をしない、自分に目を向けない、他人を批判 (否定) することで自己満足、、佐和子ではなくて、彼女を取り巻くこういう人たちこそ、いつまでたっても "中の下" ではありませんか。しかし、その描き方には笑いとユーモアがあり、風刺の効いた喜劇調に仕上げるあたり、さすがは石井裕也監督。 一つだけ納得がいかないのが、シジミ工場のオバサン軍団、あの描写はいただけない。日本人は、組織とか集団に収まると、心情はともかく表面上はニコニコと友好的なフリをするもんです。いじめるにしても、ああいう、あからさま、ではなくて、嫌がらせしたり、もっとねちっこくやりそうな気がします。(女性ならとくに)
[DVD(邦画)] 7点(2023-08-15 12:09:58)
77.  福耳 《ネタバレ》 
これは掘り出し物。 山田洋次監督作品の常連組が多いからだろうか、平成の真っ只中に製作された映画でありながら、まるで昭和の映画を観ているような、よい意味での懐かしい空気がありました。ドタバタコントのような演出の数々も、いかにも「昭和」って感じ。 しかし、本作を平成の映画としてハッキリと認識させてくれるのが、やはりクドカンさんの存在。名脚本家として名を馳せる以前に、こんなハートウォーミングな映画に出ていたのですねえ、、。 そして偉大なる名脇役、田中邦衛さん。かつてない幽霊役に果敢に挑み、慣れないパソコンで株を注視しつつ、あの世から愛する人をストーカーするお姿は、実にあなたらしくなかったけど (笑) 、その数多い出演作の中でも、私にとって一際心に残る役どころでございました。 思えば、北海道は羅臼の海で彼の遺灰を撒くという脚本は、「北の国から」の名優に対する制作者たちの心遣いを感じさせるものでした。 その名優もお亡くなりになって早や二年、、きっと今頃、相棒の高倉健さんと天国で酒でも飲んでおることでしょう。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-02-25 22:44:55)
78.  漁港の肉子ちゃん 《ネタバレ》 
さんまさんがプロデュースって、どこまで制作に携わってるかわかりませんけど、映画の内容だけで評価するなら、私はよかったと思いますよ。 肉子ちゃんのビジュアルと関西弁はアニメ映えするし、STUDIO 4℃による北陸の港町のキレイな風景に、美味しそうなご飯の数々も素晴らしい。 そして肉子ちゃんのキャラによるものだろう、親子ものの切ない話でありながら、ウェットなシーンでもなぜか賑やかで温かくて。でも、キクコちゃんが (肉子ちゃんの) 実の子ではない、というのは、誰がどこから見てもわかるので (笑) 、驚いた人いるのかなあ。 あと個人的には、最後に逃げられた (読書家の) だんなさん、どこかで再登場したら面白かったと思うけど。 トトロのオマージュは遊び心があって良し。しかし言っちゃあなんだが、肉子ちゃんのビジュアルとシルエットなら、トトロってよりはむしろ 魔人ブウ だよね (`O´)
[インターネット(邦画)] 7点(2023-02-02 21:49:50)
79.  前科者 《ネタバレ》 
※ネタバレございます※ まず映画が始まると、登場人物たちの名前や職業がいちいち字幕入りで紹介されることに戸惑います。(親切だけど、ちょっとわずらわしい) 続いて、登場人物たちを説明するための回想シーンが頻繁に登場し、早々に嫌気がさす。(できるだけ時系列で語るのが映画やろ) しかし、この親切丁寧な作りって、誰が観てもわかりやすく、例えば、受刑者の更生を目的として刑務所で上映することも想定しているかも、、そう考えることにして、自分を納得させることにしました。 ちなみに私ですが、保護観察官の存在は知っていました。しかし恥ずかしながら、「保護司」という職業を本作で初めて知りました。無報酬 (!) なので、職業という言い方は相応しくないかもしれないけど、本作を観たかぎりでは、その苦労や献身には本当に頭が下がる思いです。 映画としては、保護観察官との違い、保護司という民間ボランティアが抱えている問題、、そのあたりにはあまり触れることなく、犯罪関係者たちが織りなす (ありがちな) 感動系ドラマに終始してしまった気がします。まあ、そもそも題名が前科者、ですからね、、私が保護司 (というテーマ) にこだわり過ぎたのかもしれません。 あと、保護司 (阿川佳代) が任務中に元殺人犯 (工藤誠) と一つ屋根の下で牛丼食べたりする場面があったけど、ここはかなりハラハラして見てました。実際にここまでするものでしょうか。かりにも相手は人殺したことのある人だし、もし相手が元性犯罪者のケースなら、これはかなり危険なシチュエーションですよね・・。相手の信頼を得るためとは言え、自分の身を守るためにある程度の距離感は必要だろうな、と、個人的には感じた次第です。 出演者については、有村架純が見事な新境地で魅せたし、石橋静河の役も面白い。(最後まで誰かわからんかった笑) そして、、特筆すべきは、森田剛のキャスティングだろう。吉田恵輔監督の「ヒメアノ~ル」をまだ未見の方は、必ず先にそちらを観ることを強くオススメいたします。なぜなら、全く関連性のない2作ですが、(ヒメアノ~ルの) 彼には本作のように正しい人生をやり直して欲しかった、、と強く思えるような設定になっているからです。 「八日目の蝉」から「朝が来る」の永作博美さんも然り。 時に映画は、他作で罪を犯した "前科者" に対して、その報われなかった魂を救済することもあって、少しだけ幸せな気分にさせてくれます。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-01-24 00:16:49)
80.  さよならみどりちゃん 《ネタバレ》 
予想した通り、ユタカ (西島秀俊) ばかりに非難が集中してるけど、、 ゆうこ (星野真里) は、ユタカが人間性が破綻したクズ男であることを承知して、それ全て含めて彼が好きだ、、と向き合っているわけだから、言うなれば自己責任であり「連帯責任」だ。だから、どちらが良いも悪いもないし、また、それを言うべき映画ではない、と思う。それよりは、この映画はいったい何がテーマなのか、をよく考えるべきだ。 私が感じたのは、この二人は根本的にはよく似た者同士だと思う。 まず、誰彼かまわずにセックス依存症なところなどそっくりだ。 そして、最後の「14番目の月」を聴けば、二人とも、壮絶な音痴だということに気づくはずです。(ユタカは、ルパンザサード、あれね) ここで面白いのは、ユタカは、まともな歌を知らないし、選ぶことすら、できない。そして、自分が壮絶な音痴であることに全く気づいていない。 ゆうこには、自分の歌がある。しかし、自分が壮絶な音痴であることを知っていて、歌うことをためらっていた。 つまりこの映画は、二人の "恋" の感性を、それぞれの "歌" によって表現しているのです。そして、もう一つ、全力で歌うことに大きなメッセージを込めている。うまいへたなんてどうでもいい、自分が好きな歌を好きなように歌え、他人の評価など気にするな。歌うこと (恋することも) 、、それはあくまで "主観的" なものだから。だから、例え不器用で下手くそでも、自分らしく歌おう (恋をしよう) 。 それで傷ついた痛みも含めて、歌うこと (恋すること) が素晴らしい、、と、この映画は言っている。
[DVD(邦画)] 7点(2023-01-19 00:02:02)
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