1241. 鬼畜
なんといっても子供を虐待する岩下志麻が演技とは思えぬほどに狂気に満ちていて恐ろしい。「愛を乞うひと」の原田美枝子もすごかったが、ここまでではなかったと思う。緒形拳はそんな岩下志麻の尻に敷かれたダメ亭主という感じなのだが、東京タワーで娘に「自分の名前言えるか。」とか質問する姿に気持ちがすごく伝わってきてやりきれない気分になった。ラストシーンの解釈はいろいろあるみたいだが、どっちにしても悲しすぎるラストシーンだ。見終わってこんな凹んだ映画も久しぶりだが、映画製作当時よりも児童虐待が社会問題化している現代においてもう一度、再評価されるべき映画だと思う。 [DVD(邦画)] 8点(2007-04-26 15:36:30) |
1242. 十九歳の地図
ひたすら暗く、重苦しい映画で見た後かなりブルーな気分になるのだが、主人公の気持ちがなんとなく分かる気がして切なかった。とくにラストの電話ボックスで涙を浮かべながら脅迫電話をかけるシーンは胸がはりさける思いがした。蟹江敬三と沖山秀子(この二人の演技がすごくいい。)の関係をはじめとした主人公の周囲の人物たちの描き方も生々しくて妙にリアルに感じる。70年代のアート系邦画をひさしぶりに見たが、やっぱりこの頃のこういう映画は独特な雰囲気があってなかなかいいなあ。 [ビデオ(邦画)] 8点(2007-04-09 17:56:12) |
1243. 座頭市の歌が聞える
1作目の平手造酒役が印象的だった天知茂が再び座頭市の敵役として登場するシリーズ13作目。でも、思ったより出番が少なく、脚本の書き込みが足らないのか女郎屋から妻を出す金を手に入れるために市に挑むという悲壮感が1作目に比べてあまり伝わってこないのが残念だった。でも、市に憧れる少年や、盲目の琵琶法師とのエピソードは良かった。とくにこの琵琶法師を飄々と演じる浜村純がすごく印象的だった。 [ビデオ(邦画)] 6点(2007-03-24 13:47:12) |
1244. 座頭市血煙り街道
サイレント時代からの時代劇スター近衛十四郎との対決が見所のシリーズ第17作。脚本は東宝の「社長シリーズ」で知られる笠原良三。一番の見所はやはり、座頭市と赤塚の対決シーンだろう。まさにすごいとしかいいようの無い迫力である。 [ビデオ(邦画)] 9点(2007-03-24 13:29:07) |
1245. 誇り高き挑戦
デビュー2年目の深作欣二監督の映画。「仁義なき戦い」など70年代の絶頂期の頃の深作監督の映画をほとんど見ていないのでいきなりこんな初期の作品を見るのはどうかと思ったが、地味ながらもそこそこ面白い映画だった。出演者がみな若く、梅宮辰夫が面影がないのにも驚くが、八名信夫は出てるの気がつかなかった。ニュー東映のマークを初めて見たんだけど、バックの映像が東映の大海原に対して活火山というのが面白い。 [ビデオ(邦画)] 6点(2007-03-05 19:50:22) |
1246. キングコング対ゴジラ
1作目をぬきにしてこの評価。前半は高島忠夫&藤木悠の珍道中が見所で後半は日米2大怪獣の世紀の対決が見所。しかし、有島一郎の存在も見所と言っていい。彼がいなければこの映画の「喜劇」としての魅力は半減しただろう。タコ部長は最高の傑作キャラだ。 [ビデオ(邦画)] 10点(2007-02-05 23:03:20)(良:2票) |
1247. かあちゃん
市川崑が奥さんの遺した脚本を映画化した作品。終始ほのぼのとしていて、見た後とても幸福感を味わうことが出来る傑作。 [ビデオ(邦画)] 8点(2007-01-31 01:19:48)(良:1票) |
1248. 地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン
ガイガンのデザインは個人的に好きなのだが、タイトルに名前のないキングギドラに完全に食われて存在感が薄かった。 [ビデオ(邦画)] 5点(2006-12-29 11:20:20) |
1249. 二階の他人
山田洋次監督のデビュー作。同時期に松竹に所属していた新人監督だった大島渚監督や吉田喜重監督のデビュー作のような衝撃的な映画ではなく、新居のローン返済の為にその二階を貸間にしている若夫婦の話という庶民的なテーマなのが山田監督らしい。デビュー作ということもあってか山田監督らしさはそれ以外あまり感じられないが、上京した母親のことで兄弟が口論を始めるシーンは「男はつらいよ」シリーズでの諏訪三兄弟の口論シーンを彷彿とさせていた。その母親を演じる高橋とよがいい味を出している。 [DVD(邦画)] 6点(2006-12-07 00:20:16) |
1250. 北の国から '95秘密<TVM>
ハイビジョン撮影となった本作から宮沢りえ扮する小沼シュウが登場する。しかし、そのことも含めてシリーズ中やたら違和感の漂う内容になっている。五郎の前作以上にコミカルなキャラクターにちょっと戸惑うし、蛍の不倫もなんか違う。そんなんだから、見た後印象に残らないし、視聴率を稼ぐために作られた話題性だけのドラマのように思える。 好きなシリーズだけに非常に残念だ。 [ビデオ(邦画)] 3点(2006-12-03 00:31:15)(良:2票) |
1251. 北の国から '84夏<TVM>
「北の国から」スペシャル版で一番好きな作品。ビデオも再放送で録画したものを持っている。そんなに何回も見るわけではないのだが、純と正吉の友情に感動したし、ラーメン屋での五郎と純の親子の会話も良かった。閉店時間だからとラーメンを下げようとする女店員(伊佐山ひろ子)に対して五郎が怒鳴るシーンに親の愛情を感じた。シリーズでも名作中の名作だろう。 [ビデオ(邦画)] 10点(2006-11-30 14:32:05)(良:2票) |
1252. 北の国から '92巣立ち 前編・後編<TVM>
本作から前後編の二部構成になり、物語がやや間延びするようになった感がある。菅原文太の「誠意って、何かね?」のセリフは文太の演技も良くて泣けるのだが、ラストで丸太小屋の屋根から落ちた五郎が見る令子の幻のシーンはちょっとあざとく感じた。 [ビデオ(邦画)] 5点(2006-11-30 14:04:35) |
1253. 釣りバカ日誌10
社長をやめてビルのメンテナンス会社に再就職したスーさんが鈴木建設に派遣される前半がとくに面白く、金子賢と宝生舞の恋のエピソードになる後半はやや失速してしまった感あり。屋上での浜ちゃんとスーさんの無声映画風会話シーンはなかなか楽しめた。ラストの唐突な高木ブーの登場にはちょっと唖然。 [ビデオ(邦画)] 5点(2006-11-21 02:49:52) |
1254. 事件
野村芳太郎監督の法廷ものとしては「疑惑」ほどのインパクトはなかったけど、それでも主役三人のドロドロした愛憎劇と法廷での緊迫したやりとりで充分楽しめた。ラストの大竹しのぶと渡瀬恒彦の会話シーンはなんか意味深。大作らしくキャストも豪華なんだが、あまりに周りが豪華なので被告役の永島敏行がかなり地味に見えてしまうのがちょっと痛いかな。弁護士役の丹波哲郎が最近亡くなってしまったのが残念。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-09-29 02:49:01) |
1255. 噂の女
田中絹代が溝口作品に出演した最後の映画で、溝口の遺作「赤線地帯」と同じような世界を描いている。溝口作品としては「山椒大夫」と「近松物語」の間に作られていて、両作品ほどの完成度の高さはないけど「赤線地帯」よりは面白かった。でも、田中絹代と久我美子演じる親子が一人の男を同時に愛してしまうドロドロした展開にもう少し深いドラマがほしかった気もする。黛敏郎の音楽が「赤線地帯」同様不気味で印象的。大谷友右衛門を初めて見たけど、最初は木村功かと思った。雰囲気が似てる気がする。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-09-17 11:29:32) |
1256. 待ち伏せ
三船、裕次郎、勝新、錦之助に日活で裕次郎とコンビを組んでいた浅丘ルリ子というキャストが豪華な稲垣浩監督の遺作となった時代劇。こういうキャスティングだと映画のスケールも壮大になりがちなのだが、舞台がほとんど一箇所に集中しているため、逆にシンプルなつくりになっていたのが良かった。三船と勝新の共演作を初めて見たけど、二人ともやっぱカッコイイ。股旅スタイルで登場した裕次郎にかなり違和感がある。この映画で役人を演じている錦之助なら旅鴉役はバッチリなので、役を取り替えたほうが良かったのではないかと思った。その錦之助は出番が少ないのが残念だが、さすがに存在感のある演技を見せている。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2006-09-06 18:29:24)(良:1票) |
1257. 男はつらいよ 幸福の青い鳥
長渕剛が寅さんの恋敵を演じる。そしてマドンナはこの後、実際に長渕と結婚し、女優を引退したJACの志穂美悦子。彼女がチンピラに絡まれているところを長淵が助けるシーンがあるのだが、見ていてつい逆のパターンを想像してしまった。 [地上波(邦画)] 5点(2006-08-19 13:12:55)(笑:3票) |
1258. この首一万石
大川橋蔵と江利チエミという2大スター共演の時代劇。この組み合わせだと単純明快なものを想像しそうだけど、悲劇性の高いシリアス時代劇というのがけっこう意外だった。伊藤大輔監督の格調高い演出もあいまってなかなかの傑作に仕上がっている。ラストの立ち回りのシーンは真っ赤な血が吹き出たりしてこの頃の東映時代劇にしては描写が残酷なのには驚いた。「椿三十郎」の影響がちょっとあるのかもしれない。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-08-18 22:47:20) |
1259. 遥かなる山の呼び声
《ネタバレ》 「幸福の黄色いハンカチ」に続いて高倉健と倍賞千恵子を起用した山田洋次監督作品で、今回も北海道が舞台。ということでよもや「幸福の黄色いハンカチ」の2番煎じ的な映画なのかと思っていたが、見始めると全くそうは思わず、むしろ「幸福の黄色いハンカチ」よりも名作だと思う。とくにラストの列車の中でのハナ肇と倍賞千恵子のやりとりが泣ける。(みなさんすでに書かれてるけど、このシーンのハナ肇の演技が最高に良い。)その直後に健さんに倍賞千恵子が渡したハンカチの色を見て思わずまた「幸福の黄色いハンカチ」が見たくなってしまった。文句なし(というかほかに考えられない。)の10点。 [CS・衛星(邦画)] 10点(2006-08-17 15:22:42)(良:1票) |
1260. お引越し
相米慎二監督といえば「跳んだカップル」、「セーラー服と機関銃」などのアイドル映画がすぐに思い浮かんでしまい、あまり見て来なかったが、これはそんなイメージを見事に忘れさせてくれた秀作だった。中井貴一と桜田淳子の演技はもちろんうまいが、子役の田畑智子がすごく良かった。子役は大成しないとよく言われるが、今の彼女の活躍ぶりを見るとこの言葉は当てはまらなかったみたいだ。同級生役の茂山逸平もいい味を出していた。エンドロールのバックの映像も印象的だ。見て良かったと久しぶりに思える映画だった。 そして、相米監督にすこし興味を持てた。 [ビデオ(邦画)] 9点(2006-08-13 18:56:35)(良:2票) |