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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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121.  木枯し紋次郎 《ネタバレ》 
「木枯し紋次郎」といえばテレビシリーズをちゃんと見たことがない(「帰って来た木枯し紋次郎」は鑑賞済。)自分でも中村敦夫(それに上條恒彦の主題歌。)というイメージがあるのだが、テレビシリーズがヒットしていた最中に東映で作られた本作は、テレビシリーズとは無関係の作品のようで、菅原文太主演の中島貞夫監督作。このころの東映には珍しい時代劇だが、もうこのころには任侠映画に陰りが見えていろいろ模索してた時期なのかなと思って見たりした。内容はテレビシリーズに配慮して原作の中でテレビシリーズで映像化されていないエピソードを映画化しているとのことだが、スケールの大きな噴火シーンや、カメラワークなどに映画らしさを感じるものの、ストーリーとしてはなんかありがちな時代劇という感じで正直それほどでもない感じで、どこかテレビ時代劇のような感じもしてしまうのが事実。菅原文太演じる紋次郎はニヒルな存在感が漂っていて、それほど悪くはないと思う。でもこれはさっきも書いたように中村敦夫のテレビシリーズをちゃんと見たことがないというのも影響しているのかもしれない。(いつかちゃんと見てみよう。)その紋次郎と盃を交わす男を演じるのが小池朝雄というのがいかにも分かりやすいが、やはりこの人の時代劇における悪役はいつもハマっている。ヒロイン役の江波杏子が二役を演じているが、そのことをオープニングのクレジットで明記しないほうが良かったのでは。文太紋次郎はもう一本あるようなので、そちらも見てみよう。
[DVD(邦画)] 6点(2019-08-31 22:47:55)
122.  未来のミライ 《ネタバレ》 
アカデミー賞ノミネートで話題になった細田守監督の新作。まず、既に指摘されてる方もおられるが、主人公の4歳児の声が不自然で違和感を感じてしまうのが残念で、しゃべり方もなんか子供らしくない。この4歳児 くんちゃんが妹 未来が生まれたことにより、赤ちゃん返りで駄々をこねるシーンが多いのだが、それがちょっと不快に感じる。そんな彼が未来を受け入れるまでが主題のようで、それが主題なら「クレヨンしんちゃん」のひまわり誕生直後のしんのすけが赤ちゃん返りするエピソードのほうが良かったと思えてしまう。(実際、そのエピソードはすごく感動した覚えがある。)また、「未来のミライ」というタイトルでありながら、未来からやってきた未来の存在感が薄く、このタイトルにも違和感を感じずにはおれない。「おおかみこどもの雨と雪」や「バケモノの子」のように話を詰め込みすぎていない分は良かったが、いまいち何が言いたいのかよく分からない映画で、結局今回も面白くなかった。本作は細田監督に子供が生まれたことをきっかけに作った映画だそうだが、ひょっとして細田監督は自分の子供の可愛さを本作を見る人にも分かってもらおうという意図だけで作ったのかもしれない。だとしたら非常に押しつけがましい映画だと感じる。見る前は自分にも4歳と生後4か月の甥っ子がいるので、少しは身近に感じられるかと思ったが、ダメだった。
[DVD(邦画)] 4点(2019-08-24 22:56:19)
123.  飢餓海峡 《ネタバレ》 
内田吐夢監督の晩年の代表作となるサスペンス映画。昔から見たいと思っていた映画だったがやっと見ることができた。三時間長という大作ではあるが、内田監督らしい重厚な演出も相まって、その長さを感じることなく、すぐに引き込まれたし、見終わった後には映画二本分を一気に見たような満足感となんとも言えない余韻が残る見ごたえのある映画だった。台風の中で起こった強盗放火殺人事件の犯人の一人であった男・犬飼多吉(三國連太郎)と娼婦である杉戸八重(左幸子)が出会うところからドラマが始まっているが、この二人が最初に出会うシーンでのおにぎりを食べている八重を見つめる多吉の表情、そしてその八重から手渡されたおにぎりをむさぼるように食べる多吉の姿が本当にリアルで、これだけで人間の本能というものを感じることができるし、これだけで終戦間もない頃という描かれている時代性も見て取れる。そんな多吉が八重と一夜を共にし、強盗で得た大金の一部を苦しい生活を送っているという八重に渡して去るが、これがのちのち本作のテーマである人間の善意とはなにかということにつながっていく構成がうまい。ここから先は八重の人生を追うというのが見ていて意外に感じたのは事実だが、多吉にいつか再会してお礼が言いたいという思いを抱えて生きていく八重の強さや、彼女の多吉への思いがじゅうぶんに伝わってきて、この部分も見ごたえがあった。そしてそんな思いを10年間抱き続けて生きてきた八重の運命はあまりにも悲しい。そして、そんな八重を演じる左幸子の演技のすごさ。とくに、多吉の爪を体にあてているシーンなどは、本当に気持ちが入っているのが見ていて分かるほどで、役を演じるとはどういうことなのかを考えさせられるし、八重が成功した多吉(樽見京一郎)と再会するシーンの緊迫感は内田監督の演出もそうだが、やはり演じる三國連太郎と左幸子の演技力あってのものだと思うし、なかでもこのシーンでは「やっぱり、犬飼さんだ!」と叫ぶ八重が忘れられない。そしてもう一人、本作でシリアスな役柄に初めて挑んだという強盗放火殺人事件を追う刑事を演じた伴淳は撮影中内田監督からいろいろ厳しく言われたようなのだが、見事にそれに応えて枯れた演技を見せていてこちらも素晴らしかった。八重が殺されて以降も面白く、とくに高倉健演じる刑事に樽見が取り調べを受けるシーンは演じる同じ二人が対決する役柄で共演していた同じ内田監督の「森と湖のまつり」を2か月ほど前に見ていたこともあって、なかなか興味深かった。そして、多吉が船の上から身を投げるラストの衝撃・・・。多吉は何を思いながら海に飛び込んだのかと考えると非常に切なく、そこにかかる冨田勲の独特な音楽が最初に書いたようになんとも言えない余韻を残す。まさに傑作・名作とはこういう映画を言うのだと思う。最後にもう一度、本作の杉戸八重を演じる左幸子は本当に素晴らしかった。本作はやっぱり左幸子の映画でもある。
[DVD(邦画)] 9点(2019-08-18 17:53:42)(良:2票)
124.  探偵はBARにいる3 《ネタバレ》 
前作から4年後に作られたシリーズ第3作。前2作を手掛けていた橋本一監督が「相棒」のメイン監督になった影響からか、今回の監督はNHKで「あまちゃん」や「サラリーマンNEO」を手掛けていた吉田照幸監督に代わっているが、多少軽さが増したとは思うものの、基本的な雰囲気は前2作と変わらず、今回も安心して楽しめた。相変わらず探偵(大泉洋)と高田(松田龍平)のやりとりは楽しいし、昔の探偵ものドラマのような少し古臭い感じなども監督が代わってもちゃんと出てるのが嬉しい。それでいて、軽さが増したことにより、笑えるシーンも前2作よりも増えているのは良かった。今回のヒロインは北川景子が演じているが、前2作のヒロインが探偵や高田と初対面だったのに対し、以前にも探偵と会っていて、その時、酔った探偵に言われた一言が今回の事件の鍵になるところなどはうまく設定しているし、今回も前作までとはいかないものの、少しウルっとくるものはあった。それに、北川景子ってなんか苦手な女優なのだが、この役は存在感があって、なかなかのはまり役だったと思う。高田を超える強さを持つ波留(志尊淳)はまさにアクション映画での主人公のライバル登場という感じで、高田と波留の対決シーンは本作のアクションシーンの中でいちばんのみどころで、ちょっと子供じみた感想になってしまうかもしれないが、やはり強い敵が出てくると本当に盛り上がるし、それがアクション映画の醍醐味だとあらためて感じる。探偵と高田の別れを匂わす部分もあるのだが、エンドロール後のおまけ映像(これが笑える。)を見て、このシリーズはこれからも続けてもらいたいと思った。同じキャストでドラマ化でもいいのでぜひ続けてほしい。
[DVD(邦画)] 6点(2019-08-10 18:56:24)(良:1票)
125.  炎の城 《ネタバレ》 
「ハムレット」を題材にした加藤泰監督の時代劇。シェイクスピア作品を翻案とする邦画では黒澤明監督の「蜘蛛巣城」と「乱」があり、加藤監督も黒澤監督の「羅生門」で助監督だったということもあり、変な期待もしてしまうのだが、加藤監督の仕事ぶりをただ確認しただけという感じで、作品としては正直凡作といったところで、あまり面白くない。「ハムレット」のストーリーはよく知らないのだが、それでも、時代劇としてはそれらしくない部分が多く、できるだけ忠実に作ろうという意図は伝わってくる。しかし、それが時代劇としては違和感を感じるものになってしまっているのは残念。「蜘蛛巣城」が本作の三年前とのことで、加藤監督はそれも頭にあったのかも知れず、自分もシェイクスピアに挑戦してみようという思いがあったのだろうとも思うが、もう少しうまく脚色すればなんとかなったのではと思ってしまう。音楽は伊福部昭が担当しているが、クライマックスでゴジラのテーマらしきものが早回しで流れたのはちょっとビックリ。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2019-08-03 22:58:57)
126.  探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点 《ネタバレ》 
シリーズ第2作。今回は探偵(大泉洋)の殺された友人であるマサコちゃん(ゴリ)の死の真相を追うストーリーになっているが、やはり今回も探偵と高田(松田龍平)のやりとりが楽しく、雰囲気的にも前作と変わらずまさに安心して見られるプログラムピクチャーという感じで、どこか古めかしい感じなのも前作同様なのだが、やはりこのシリーズはそこがいい。それにストーリー的にもミスリードが利いていて前作よりも面白かった。今回のヒロインは尾野真千子が演じているが、関西弁がどうにいっていて(調べたらこの人奈良出身なんだね。)大げさかもしれないが、極妻のようなヤクザ役もいけるのではと思った。バイオリニストであるヒロインと彼女の大ファンだったという殺されたマサコちゃんの関係が明かされるところはあり得ないと思いながらも思わず少しウルっとさせられた。事件の被害者であるマサコちゃんを演じるゴリが確かに可愛らしく、短い出番ながらもはまり役で印象に残る。ジャンプ場のシーンや路面電車で乗ってきた客たちに襲われるシーンなどはコントを見ているようでつい笑ってしまった。ここらへんもなんか懐かしい感じがする。もちろん、アクションも今回もがんばっていて、なかでもカーチェイスのシーンで追手の男がフロントガラスに張り付いて離れないのは見ていてジャッキー・チェンの映画を思い出してしまった。
[DVD(邦画)] 6点(2019-07-30 23:09:51)
127.  探偵はBARにいる 《ネタバレ》 
大泉洋が主演の北海道が舞台の映画というだけでなにやらご当地映画という感じがするのだが、実際に地域興し映画の側面もあるよう。もちろん、それだけではなく、全体的に70年代の黒澤満プロデュース作品のような雰囲気があり、その古めかしさがなにかいい。松田龍平のキャスティングは「探偵物語」の松田優作を意識した部分もあるのだろう。でも、「探偵物語」の工藤俊作的な役回りを演じているのは大泉洋のほうというのが面白い。ストーリーそのものは2時間ドラマにもありそうな筋書きで、先の読める話ではあるが、探偵(大泉洋)と高田(松田龍平)のやりとりの面白さや、アクションシーンなどもがんばっていて、映画全体としてはそこそこだと思うものの、この部分だけでもじゅうぶんに楽しめた。主人公の探偵が依頼人の女性に惚れる展開は「男はつらいよ」的でもあり、見ていて安心感があるし、シリーズ化されるのも納得。結婚披露宴で新婦が拳銃取り出して撃ち始めるシーンは見ていてさすがにおいおいと思ってしまったが、同時に「仁義なき戦い」1作目のラストシーンを思い出して、ひょっとして対になるように意識してるのかなとつい思った。まあ、それはないと思うけど。
[DVD(邦画)] 6点(2019-07-20 18:53:55)
128.  人生劇場 飛車角と吉良常 《ネタバレ》 
内田吐夢監督が唯一手掛けた任侠映画で、東映任侠映画としては初めてキネマ旬報ベストテンにランクインした作品。内容は「人生劇場 飛車角」をリメイクした感じになっていて、飛車角を鶴田浩二、宮川を高倉健が再び演じている。「人生劇場 飛車角」を二週間ほど前に見たばかりだったので、ちょっと不安な面がなかったといえばウソになるのだが、内田監督の演出はさすがに格調高く、重厚さや美しさといったものもあり、鶴田浩二、高倉健をはじめとしたオールスターものなのだが、登場人物それぞれの義理と人情の人間ドラマもしっかりと描かれ、今まで見た任侠映画の中でもとくに見ごたえのあるものになっていて、そういう不安は一気に消し飛んだ。鶴田浩二の飛車角のなんという男らしさは言うまでもなくカッコいいし、高倉健の宮川は「人生劇場 飛車角」と比べるといかにも高倉健らしいストイックな感じで、やはり高倉健のイメージにはこちらの宮川のほうが合っている。そして、なんといっても辰巳柳太郎の吉良常。月形龍之助の吉良常も良かったのだが、この辰巳柳太郎の吉良常は非常に味わい深く、とくに病に倒れてからの亡くなるまでのシーンでの演技は見ていて思わず涙が出るほど感動してしまった。その後の飛車角が殺された宮川の仇討に向かうシーンで止めに入るおとよ(藤純子)とのやりとりも印象的だ。それにクライマックスの殴り込みのシーンで画面がカラーから白黒に切り替わるのは同じ内田監督の「宮本武蔵 一乗寺の決斗」を思い出すが、やはり本作でも効果的に使われ、凄まじい殺陣シーンの中に美しさを感じることができる。そしていちばん最後のシーン、やってきた泣き崩れるおとよに宮川を託したあと、去っていく飛車角の後ろ姿。背中が飛車角の悲しみを代弁しているようで、なんともやるせなさの残るこのラストシーンが強烈な印象を残していて、この殴り込みシーンからラストシーンまでの演出が本作をさらに格調高い傑作へと押し上げている。これが内田監督にとって最後の東映映画で、かつ遺作の前という映画なのだが、それを全く感じさせずにこんな傑作に仕上げてしまうのは素晴らしいと思うし、それに応えた出演している俳優陣ももちろん素晴らしい。任侠映画に興味はあるけどなかなか手が出せないという人には真っ先に本作と山下耕作監督の「博奕打ち 総長賭博」の二本を薦めたいと思う。そういえばこの二本とも同じ年の鶴田浩二主演作だ。
[DVD(邦画)] 8点(2019-07-14 01:03:30)
129.  人生劇場 続・飛車角 《ネタバレ》 
シリーズ第2作。飛車角(鶴田浩二)が刑期を終えて出所するところから始まっていて、前作のラストが素晴らしかっただけに抵抗を感じるものの、決してつまらない続編というわけではなく、前作には及ばないものの、そこそこ面白かった。今回新たに長門裕之が登場しているが、彼が出るだけでマキノ雅弘監督の映画のような感じを受けてしまうのは気のせいか。(前作に続いて沢島忠監督が手掛けているのだが。)今回も前作と同じくメロドラマ色が強く、飛車角がおとよ(佐久間良子)を追って満州へ行く展開などにそれは表れているように思う。しかし、今回は佐久間良子がおとよに加えてもう一人、東野英治郎演じる親分の娘 お澄を演じていて、おとよが病死したあと、飛車角がその親分から縁談を薦められていたお澄と結婚するという展開は分からなくはないものの、見ていてなにか飛車角におとよへの未練がましさを少し感じてしまった。前作で宮川を演じていた高倉健が別の役で再登場とかはなかったのは良かったと思う。飛車角は周囲から「角さん」と呼ばれていて、東野英治郎演じる親分からもそう呼ばれているのだが、やはり、西村晃が出演していた永島敏行版同様につい「水戸黄門」を思い浮べてしまう。飛車角が裏切った仲間に殺されるラストシーンはヤクザ社会の非情さを物語っていてもの悲しかった。でも、面白いのは確かだが、やはり、前作が良すぎたせいか、蛇足とまではいかないものの、物足りなさも残って、前作のほうが良かったという感想をどうしても持ってしまう。
[DVD(邦画)] 6点(2019-07-06 21:39:06)(良:1票)
130.  人生劇場 飛車角 《ネタバレ》 
以前に永島敏行主演の同じ原作の映画は見ているが、やはり飛車角を主人公にしている本作のほうが面白いし、東映がその後、任侠映画で一世を風靡することになるその原点の映画であることにも感慨深さを感じる。沢島忠監督は錦之助や美空ひばり主演の明るい時代劇の印象が強いので、見る前はどうかなと思う部分もあったが、こういう題材でもそつなくこなしていて安心して見ていられる。本作から既にのちのパターンは出来上がっている感じだが、東映最初の任侠映画であることもあってか、まだその色は全面には出ず、どちらかと言えば文芸メロドラマのような感じ(沢島監督もメロドラマのつもりでやっていたと語っている。)で、東映任侠映画を見慣れていると、物足りなさも多少あるかもしれないが、その分、見やすさもあり、また格調の高い作品に仕上がっている。飛車角を演じる鶴田浩二はもちろんカッコイイのだが、月形龍之助演じる吉良常がそれを上回る存在感を放っており、カッコよさも飛車角以上で、この前見た「組織暴力」での悪役も印象的だったが、一線を退いた老客という設定が晩年の月形龍之助本人と被るところもあるのか、この映画の吉良常に月形龍之助というのはピッタリな気がした。宮川(高倉健)がおとよ(佐久間良子)に無理やり抱き着くシーンでは宮川を演じるのが、まだ本格的にブレイクする前の高倉健というので、その後の高倉健のイメージからすると少し違和感を感じてしまうのは仕方のないところ。その宮川が単身殴り込んで殺されるという展開だが、高倉健が任侠映画でこういう役回りなのは逆に新鮮だった。で、この映画の一番の見どころは既に書かれている方もおられる通り、ラストシーン、思わず、ええ、ここで終わり・・・と思ってしまったが、止めるおとよを振り切って宮川の仇討に向かう飛車角をラストシーンにすることで、余韻がすごく残るし、沢島監督の言葉どおりに、ああ、なるほど、これはメロドラマだなと改めて感じることができる。一応、続編も見るつもりだが、あまりに素晴らしいラストだっただけに、果たしてどうか。いずれにせよ本作はこれから始まる東映の新しい時代の到来を告げるのにふさわしい傑作と言える一本だったことは間違いない。
[DVD(邦画)] 7点(2019-06-28 00:54:22)(良:1票)
131.  森と湖のまつり 《ネタバレ》 
かなり久しぶりに見る内田吐夢監督の映画で、しかも現代劇は初めてだったのだが、アイヌ民族の理想と現実、そして運命というものを真っ向から描いた社会派映画の力作になっていて、かなり見ごたえのある映画だった。自分が純血のアイヌであることに誇りを持っている主人公の青年 一太郎(高倉健)と、アイヌであることを隠して生きてきた家の息子 猛(三国連太郎)という二人の男が登場するが、それぞれの立場や考え方もよく分かり、見ていてつらいものがあるし、テーマとしてはやっぱり重みがあるのだが、同時にやはり考えさせられるものがある。東京からやってきた女流画家(香川京子)に一太郎の姉(藤里まゆみ)が過去を打ち明ける回想シーンも、アイヌの人々の宿命や悲しみといったものが丁寧に描かれていて、ここにも内田監督の本作に込めたメッセージ性の高さを感じることができた。純血のアイヌと信じていた一太郎が先生(加藤嘉)から実は混血だと聞かされるのは衝撃的だし、その時の先生がアイヌは滅びゆく運命だと言うのもアイヌの宿命の重さを感じずにはいられなかった。クライマックスは一太郎と猛の対決が描かれているが、祭りの歌と踊りをカットバックに描いたこのクライマックスの対決はアイヌの誇りや葛藤といった本作で描かれたドラマが集約されていると感じると同時にどこかもの悲しく映った。先生に真実を告げられても信じようとしなかった一太郎が猛にも同じことを言われ、すべてを悟ったように舟を漕ぎ出すラストシーンの余韻がものすごく、思わず一太郎はこのあとどうなってしまったのだろうと考えてしまった。一太郎を演じる高倉健はまだデビュー間もない頃で、見ていてすごく若々しく、初々しく見えるのがちょっと新鮮だった。また、高倉健といえば北海道など北国を舞台にした映画に出ているイメージが世間一般にも強いと思うのだが、ひょっとしたら本作が高倉健が出演した最初の北海道が舞台の映画なのかもしれない。
[DVD(邦画)] 7点(2019-06-22 17:55:48)
132.  組織暴力 兄弟盃 《ネタバレ》 
タイトルに「組織暴力」と入っている佐藤純彌監督の映画で、シリーズ第3作目を思わせているが、実際は別物なのか、前2作とは趣を変え、戦後に出会った二人の男(安藤昇、菅原文太)が私設警察を結成し、のし上がっていくさまが描かれている。ヤクザ映画らしい作風になっていて、面白くないことはないのだが、「組織暴力」シリーズにあった社会派的な視点はなりを潜めていて、それが少し物足りない気もしないでもない。それに、舞台となる時代背景を実際の映像で出したりしているが、なにか中途半端に大作感を出そうとしているようで、ダイジェスト感も強くなり、これはいらなかった気がする。安藤昇も菅原文太も存在感がある演技を見せていて、とくに菅原文太は東映で頭角を現し始めたころで、このころから既に菅原文太らしい演技を見せているのが印象的。その菅原文太の相手役を演じているのが野添ひとみだったのは少し意外に感じたが、やはり彼女はこういうヤクザ映画よりはやっぱり大映、増村保造監督の映画でのほうが好きだな。後半の私設警察が結成されてからは暴力描写も凄まじく、見ごたえがあり、ラストもやるせなさが残るのだが、やはり個人的には「組織暴力」シリーズ2本のほうが好みだ。
[DVD(邦画)] 6点(2019-06-15 22:24:53)
133.  続・組織暴力 《ネタバレ》 
シリーズ第2作。主演は前作同様に刑事を演じる丹波哲郎なのだが、実際見てみると渡辺文雄演じる裏とつながった氷屋の社長が主人公のように見え、彼がヤクザと手を結び、のし上がっていく物語になっていて、丹波哲郎の出番は比較的少なめな感じだった。渡辺文雄は前作でも悪役で出演していたが、今回もはまり役で、丹波哲郎の追及をのらりくらりとかわしていくふてぶてしさが素晴らしい。一方でさっき書いたように丹波哲郎の出番が少なめなためか、刑事たちの捜査に対する執念というものが前作より弱かった気がする。それでも本作は前作同様にヤクザを美化した内容にはなっていないのがこの時代の東映ヤクザ映画とは一線を画すところ。逮捕された直後の渡辺文雄をバックについていた柳永二郎演じる大物の命を受けた部下たちがあっさりと殺してしまうラストシーンにヤクザ社会の非情さというものがしっかりと描かれていて、のちの実録路線のヤクザ映画にも通じるところのある映画になっているのが良い。このラストシーンは前作のラストシーンよりも救いがなく、やるせない気持ちになり、茫然と立ち尽くしている丹波哲郎と同じく、見ている側も茫然とするしかないのだが、これは佐藤純彌監督をはじめとするスタッフの狙いなのだろう。そして、トカゲの尻尾切りのように悪人を捕まえても結局、まだその上がいて、悪は無くならないという社会的メッセージを感じとることができる。これがこの当時の佐藤監督の作風によるものなのかはわからないが、このシリーズは2作とも単なる東映のヤクザ映画ではなく、とても見ごたえのある社会派映画の傑作だったことは確か。
[DVD(邦画)] 8点(2019-06-07 00:09:49)
134.  ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 《ネタバレ》 
モンスターバースシリーズ3作目で、レジェンダリーゴジラシリーズとしては2作目。前作(2014「ゴジラ」)がイマイチだったのであまり期待をせずに映画館に行ったが、監督が変わったのが良かったのか、冒頭から出し惜しみをすることなくゴジラやモスラ、キングギドラが出てきて、怪獣同士の戦いも前作ほど画面の暗さを感じることなく、素直に楽しめたし、もちろん前作より面白かった。キングギドラの劇中での呼称が「モンスターゼロ」であるなど、オリジナルシリーズへのオマージュ(小ネタ?)もこれでもかというほど多い。登場する怪獣がゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラという「三大怪獣地球最大の決戦」と同じメンツなのだが、モスラは「三大怪獣地球最大の決戦」では見ることのなかった幼虫~繭~成虫という三段変化を見せてくれるのは嬉しかった(でも、チャン・ツィイーの双子設定はやりすぎだったかも。一人二役の小美人見てみたい気はするけど。)し、ラドンのソニックブームもしっかり描写されてるのも良い。それになんといってもアレンジされているとはいえ、伊福部昭と古関裕而の曲がハリウッド映画である本作にしっかり使われているのは、本当に東宝怪獣映画を好きなスタッフが作っているということをここにいちばん感じられる。ただ、人間ドラマに関しては前作と同じく家族の話を軸にしているが、やはり今回もこの部分がちょっと退屈に感じたし、ゴジラ単独ならまだしも、複数の怪獣が登場する作品では、よけいな人間ドラマを描かないほうが良いように感じた。前作ではムートーの設定に平成ギャオスの影響を感じたが、今回はメインとなる家族が息子をゴジラに殺された設定だったり、ゴジラをいったん倒したあとに、キングギドラを倒せるのがゴジラだけと分かったあとのやりとりが平成ガメラを思わせていて、やっぱりこのシリーズはガメラからも影響を受けていると改めて思った。まさかのオキシジェンデストロイヤーが登場し、前作から登場している芹沢(渡辺謙)という博士の存在から、だいたいこの芹沢博士の末路は想像がついたが、オリジナル1作目とは逆に核爆弾を使って自らの命と引き換えにゴジラを目覚めさせるという展開にそう来るかとビックリ。そのオキシジェンデストロイヤーや核爆弾の扱いも軽く、前作と同じくもう少しここらへんを慎重にやってほしかった。それに、広島原爆で父を失っていることが前作で語られていた芹沢が自らこういう行動をすることに対して少し違和感を感じる。怪獣が暴れまわるだけの映画としては満足できるレベルだけに7点をつけたいが、ここらへんがどうしても気になって1点マイナス。純粋な怪獣映画としてはモンスターバースとしての前作である「キングコング 髑髏島の巨神」のほうが潔さを感じるのだが、この差は何なんだろうか。次回作ではそのキングコングとゴジラの対決が描かれるとのことだが、日本の「キングコング対ゴジラ」が好きなだけに、果たしてどうなることやら。最後にもう少し、渡辺謙、離婚しなければ夫婦揃ってゴジラ、モスラ、キングギドラが一堂に会する映画に出演する俳優になれたのに。
[映画館(字幕)] 6点(2019-06-03 23:53:46)(良:1票)
135.  組織暴力(1967) 《ネタバレ》 
佐藤純彌監督の手掛けたヤクザ映画を見るのが初めてだったのだが、面白かった。東映のヤクザ映画というと、ヤクザ同士の争いを描いた作品が多いが、この映画は丹波哲郎演じる刑事を主人公にすることで、決してヤクザを美化するような映画になっていないし、視点もあくまで第三者的でクールに描いていて、70年代後半以降の佐藤監督の大作映画の数々を見慣れていると、本当にこれがあの佐藤監督の映画なのかと思うほどだ。作劇としても見ごたえがあり、ヤクザの描き方もそうだが、中でもラスト近くの空港のシーン、目の前に拳銃密輸事件の黒幕(月形龍之介)がいるのに法が壁となって逮捕できないというのが非常にリアルで、今までヤクザ一掃と拳銃押収に執念を燃やしていた主人公同様、見ているこちら側にももどかしさを感じさせる脚本はすごいの一言。ほかにもヤクザの抗争に巻き込まれてなんの関係もない若い女性が両目を失明してしまうエピソードなどをきちんと描いているところが良い。また、最後の最後に兄の仇討に躍起になっていた千葉真一扮するチンピラの若者(千葉真一、このころから既にギラギラしていて熱い。)が黒幕たちの前に飛び出していく展開は、なかなかに来るものがあり、感動的だったし、それまで抑えられていた見ている側の感情もここで一気に爆発するかのようにカタルシスもものすごく感じられる。さらに、彼の最後の行動によって、本作はヤクザばかりではなく、警察にも批判的な目を向けていたのではないかと考えることができるようになっているのはやはり一筋縄ではいかないものがあり、紛れもなく本作は社会派映画の傑作だったと思う。佐藤監督と言えば大作映画(あるいは「北京原人」)の監督というイメージがどうしてもあるが、それとは違う一面を見るにはじゅうぶんだった。
[DVD(邦画)] 8点(2019-06-01 17:53:26)
136.  多羅尾伴内 《ネタバレ》 
片岡千恵蔵のあたり役を小林旭主演でリメイクした鈴木則文監督の映画。「ある時は片目の運転手、またある時は・・・」、「しかしてその実体は・・・」というセリフは知っていても、元ネタは知らなかったのだが、これで知ることができた。映画としては荒唐無稽な感じで、そこが鈴木監督の映画らしいといえばそうなのだが、「トラック野郎」シリーズを見すぎのせいか、さすがにあんな熱気を帯びた作風ではなく、普通に小林旭のミステリーアクション映画といったふうなのがちょっと物足りない気もしないでもない。でも、江木俊夫扮するボンボン息子の乗ったスポーツカーと白バイ警官に扮した主人公との追跡劇は思わず「トラック野郎」のクライマックスの激走シーンを思い浮べた。そんな本作の見どころはやはり主人公の数々の変装で、小林旭の演技もそれぞれ違うので、彼のファンにはうれしい映画だろう。(実際、小林旭の主演映画を見るのが二本目な自分でもその演じ分けがけっこう楽しく、とくに違和感もなかった。)池部良演じる事件の依頼人の周辺人物を演じるのが天津敏や安部徹という東映作品ではおなじみの悪役俳優なのがいかにも怪しげに感じる。ロッカーの中の生首の石膏に驚くシーンはやっぱり金田一シリーズを意識してるんだろうなぁ。ステージで歌っていた女性歌手がワイヤが切れて体を真っ二つにされるシーンはなかなかショッキングだったが、本作の20年ほど前に実際にも宝塚歌劇でそういう事故があったということにも驚かされた。歌手に扮した主人公が「昔の名前で出ています」を歌うシーンをはじめ、ゲスト出演的な歌手(アン・ルイス、キャッツアイなど。)が歌うシーンも多く、歌謡映画としての側面もあるようで、そういう方面から見ても別の楽しさがある。
[DVD(邦画)] 6点(2019-05-25 16:34:21)
137.  クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん 《ネタバレ》 
ぎっくり腰の治療に行ったひろしがロボットになって帰ってくるというのが面白い設定だが、実はそのロボットはひろしの記憶と人格をコピーしただけの存在というのは賛否ありそうに感じるも、これにより本人をそのままコピーしたロボットは本人と言えるのかというSFによくあるテーマを扱った作品としての面白さもあり、素直に楽しむことができた。前半はロボットになったひろしが家族に受け入れられるまでを描いているが、しんのすけがすんなりと受け入れたのに対し、それをなかなか受け入れられずにいるみさえがドデカシティーでのしんのすけたちの事故をきっかけにロボひろしを受け入れられるようになるというのが良かった。しかし、後半の生身のひろしが復活したあとに、みさえがロボひろしの前を横切り、生身のひろしに駆け寄っていくシーンはロボひろしの切なさがなんとも言えず悲しかった。そんなロボひろしもしんのすけにとってはひろし同様とーちゃんに変わりなく、だからこそ、最後のひろしとロボひろしの腕相撲のシーンで「どっちのとーちゃんもがんばれ!」と両方を応援する姿にぐっとくるものがあるし、泣ける。その後のロボひろしが家族をひろしに託して消えていくシーンも泣けて仕方なかった。(このシーンはロボひろしの視点のみで描かれているが、最初にロボひろしが家に帰るシーンも視点のみのワンカットで描かれていて、対になっているのが良い。)シーンが前後するが、しんのすけが正気を失ったロボひろしに拷問と称して嫌いなピーマンを大量に食べさせられるシーンも、しんのすけが家族を助けるために勇気を振り絞ってピーマンを全部食べる姿には思わず感動してしまった。もちろん、泣けるシーンばかりではなく、「クレヨンしんちゃん」らしいバカバカしさも健在で、中でもクライマックスの最終決戦で五木ひろしロボが登場して、コロッケの声で「契り」を歌い始めるシーンはついこの間の連休に五木ひろしの「契り」が主題歌になっている「大日本帝国」を見たばかりだったこともあって、かなり笑ってしまった。父ゆれ同盟というのもバカバカしいネーミングだが、それが、「父よ、勇気で立ち上がれ」の略称なのは何か世の父親たちに対するメッセージとも解釈できて、そういう父親たちへのエールとも取れるネーミングで、そう考えると奥の深いネーミングだと思えてくる。こういうバカバカしさの中にも深さが感じられるのも「クレヨンしんちゃん」の良いところだ。
[DVD(邦画)] 8点(2019-05-11 23:46:41)
138.  大日本帝国 《ネタバレ》 
「二百三高地」に続く東映の大作戦争映画で、本作では太平洋戦争の開戦から戦後の東京裁判までを描いている。舛田利雄監督と脚本の笠原和夫、音楽の山本直純をはじめ、「二百三高地」と同じスタッフが手掛けていて、出演者も丹波哲郎、あおい輝彦、夏目雅子など「二百三高地」にも出演していた人が多く、二番煎じ感も強いのだが、「二百三高地」が旅順での戦いを通して日露戦争を分かりやすく描いていたのに対し、本作は3時間だれることなく見れるものの、焦点が定まらずに散漫とした印象が残り、映画としてはかなり大味な出来のように思う。しかし、本作は「大日本帝国」というインパクトのあるタイトルもさることながら、天皇(本作が俳優が演じる今上天皇が本格的に登場した初めての映画だそう。)の戦争責任に言及した部分が多く、こんな映画、よく作れたなと思うほどで、それにいちばん驚かされる。中でもあおい輝彦演じる床屋の妻(関根恵子)のセリフである「天皇は戦争に行くの?」とか玉音放送を聞いた住民が「天皇が話をするだけで戦争が終わるのなら、もっと早くしてほしかった。」とつぶやくのは今まで見た日本の戦争映画でも聞いたことがないような言葉でちょっと衝撃を受けてしまった。恋人(夏目雅子)の助命嘆願を拒否した江上(篠田三郎)が銃殺されるシーンの最後の言葉は天皇賛美とも天皇批判ともとれるようになっているが、笠原和夫の著書などを読むと批判の意を込めているようで、その徹底した天皇批判ぶりはすごい。東映はこの後、天皇を描く映画を企画して、宮内庁からクレームがついてぽしゃったというエピソードがあるのだが、それも本作を見ればうなずける話。最初に書いたように「二百三高地」と同じ出演者が多いのだが、あおい輝彦の相手役が夏目雅子ではなく関根恵子で、夏目雅子は篠田三郎の相手役と、それぞれ「二百三高地」に出演していなかった役者の相手役になっているのはよく考えられた配役。でも、江上が戦地で出会う恋人そっくりの現地の女性に恋人の面影を見て抱いてしまうという展開は分からなくはないけど、不倫のように映ってしまうし、この役を夏目雅子が二役で演じているのもなにか違和感を感じる。一方の関根恵子は戦時下をおさな子を抱えて何があっても生き抜くという強い決意を秘めた女性を演じていて、それがすごくハマっていて素直に良い女優だなあと思った。東条役の丹波哲郎も良かったんだけど、ちょっと彼に丸刈りは似合わないかな。でもやっぱり本作を見終わって印象に残るのはさっきも書いた天皇の戦争責任に関する言及の多さで、果たしてこの映画を平成から令和への改元をまたいで見てしまったのは良かったのかどうかと思ってしまう。
[DVD(邦画)] 6点(2019-05-01 23:50:08)
139.  ルパン三世 グッバイ・パートナー〈TVM〉 《ネタバレ》 
6年ぶりのオリジナル新作によるテレビスペシャル(前作の「イタリアン・ゲーム」はやっぱり第4シリーズの宣伝目的が主だったのね。)で、ルパンの相棒である次元がルパンを裏切って敵に回るということが大きくフィーチャーされ、タイトルもわざわざ「グッバイ・パートナー」となっているが、どうせ完全に裏切るわきゃーないと冷めて見ていたら案の定で、しかも次元の裏切り行為の理由が早い段階であっさり明かされてしまい、後半はタイトルと内容が合っていないのはなんとかしてほしかった。全体的な印象もいつものようなまあこんなもんだろうという感じでとくに何も期待をしてなかったのでそれ以外は気にならないが、このタイトルにした以上、せめて次元を終盤近くまで敵として描く必要はあったと思う。旧声優陣での最後の作品が「LAST JOB」というタイトルだったので、ひょっとしたら本作で小林清志の次元は最後という意味でのタイトルかと深読みしてみたが、そうでもなさそうなので、何を考えてこのタイトルにしたのかよく分からない。ショパンの曲が絡んでいるので「ショパン 別れの調べ」とかいくらでもほかにタイトルのつけようはあったと思う。先日亡くなられたシリーズの原作者 モンキー・パンチさんのご冥福を。
[地上波(邦画)] 5点(2019-04-23 00:06:08)
140.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ 《ネタバレ》 
劇場版シリーズ第12作。「雲黒斎の野望」と「アッパレ!戦国大合戦」の2本で時代劇をやっている劇場版シリーズだが、それに対して今回は西部劇になっているのは理にかなっていて、前2作のようなタイムスリップという要素を使わず、さびれた映画館で上映中の映画の中に入り込むという「カイロの紫のバラ」や「ラスト・アクション・ヒーロー」で用いられた手法を使うことで違いを出している。なので、作中の西部劇の世界はあくまで映画の中の世界ということで、「アッパレ!戦国大合戦」のようなリアル路線でなくてもそんなに気にならないし、逆に映画の中だから何でもありという荒唐無稽さが楽しく、とくに終盤のたたみかけるようなアクションはいかにも劇場版「クレヨンしんちゃん」らしい躍動感があって圧巻だった。そんな終盤とは違って前半は舞台となる西部劇映画の世界での日常を淡々と描いていて、この部分が冗長という意見もあるのだが、とくにそうは感じずに見れた。映画の世界でしんのすけ以外のカスカベ防衛隊の面々が現実世界の記憶を失って映画の世界の住人として生活している中、ボーちゃんだけは完全に映画の世界に染まらずにいるというのがなんかボーちゃんらしくていい。馬で引きずられる老人や、しんのすけとみさえが気絶するまで暴行されるなどバイオレンス度が高めなのは子供も見る映画としてはどうかと思うものの、このシリーズは監督の作風や趣味・嗜好がもろに出るので、水島努監督のそれが出た結果なのだと思えば一応理解はできる。今回登場する悪役である知事の名前がジャスティス・ラブというのがなかなかだし、声を演じているのが小林清志というのもなにかこだわりを感じる。声と言えばチョイ役で登場する荒野の七人。セリフのある三人は実際に「荒野の七人」の吹き替え版で同じ役を演じていた小林修、内海賢二、大塚周夫の三人を起用しているのも「クレヨンしんちゃん」らしいところだが、ジャスティスの部下である保安隊隊長と副隊長の声を演じているのが二人とも「ターミネーター」1作目のDVDと最初のテレビ放送版でそれぞれT800の吹き替えを演じていた声優(玄田哲章と大友龍三郎。)というのもツボだった。今回のしんのすけは中学生くらいのヒロイン・つばきに恋をするというのが新鮮なのだが、ここはもうちょっと突っ込んでほしかったかな。それでも、映画が終わって消えてしまったつばきを必死にさがすラストのしんのすけの姿には思わずうるっとさせられた。このラストを見てそれこそ「カイロの紫のバラ」のラストを思い出したのだが、このラストを見てやはり本作は西部劇よりも映画そのものを題材にしているのだとあらためて感じることができた。「オトナ帝国の逆襲」と「戦国大合戦」がすごすぎて逆に本作以降の劇場版シリーズに興味が持てなかった(「栄光のヤキニクロード」はこの二つの間で鑑賞済。)のだが、本作を見てやっぱり劇場版「クレヨンしんちゃん」は面白いと思った。また劇場版シリーズを少しづつ見ていきたい。
[DVD(邦画)] 8点(2019-04-19 00:29:37)
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