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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 
「セッション」も素晴らしい映画だったが、今回は圧倒的な愉快さに惹きこまれた。  初っ端から大渋滞のハイウェイ、様々な音楽とクラクションが道路中に響き渡る中をキャメラが通り過ぎる。誰かが歌い出せば扉を開けまくり、外に飛び出すダンス・ダンス・ダンスの大スペクタクル! 女たちは髪をなびかせスカートと脚を舞わせ、野郎どもはボンネットの上を軽快に駆け回り、トラックの荷台を開けばバンドマンたちの怒涛の演奏が熱狂の渦を最高潮に盛り上げる!! それが嵐でも過ぎ去り、夢でも見ていたように、我に返り静かに元いた場所に戻っていく。冬、春、夏、秋…四季がすべて熱気に包まれているかのような映画だ。  挨拶代わりのクラクション、中指を突き立て、“音”から“音”へ飛び、黒いシルエットが揺らめき、瞳と瞳が合う出会いと別れを繰り返す男女二人。 カフェで地道に働く女優志願は店に毎回来る「憧れ」になるため夢を目指し続け、夢を諦めきれないピアニストは己を偽り自分を抑え込みひたすら“音”を弾き続ける。ちょっとでもアピールしようとすればすぐにつまづいてしまう日々を送っている。  「セッション(ウィプラッシュ)」を知る人はもれなくフレッチャー先生の幻聴が聞こえてきます。 「違うクソッタレ!!!!!」  プールに飛び込む狂喜乱舞に混ざりきれない女(カメラまで猛烈に回転してぶっ飛びそう)、音楽性の違いで職場やかつての仲間を受け入れきれない男。 夜空に飛び散る花火、街を照らすネオン、車の灯も河のように連なり流れ続ける。その流れに取り残された孤独な者どうしが視線を交え、肩をぶつけ、リクエストで“お返し”し、願いを聞き入れ、街灯が照らす夜道を歩き、踊って踊って踊る内に惹かれ合っていく。  役者として、音楽家として、一度恋の炎が灯れば思わず踊り出してしまう。 ジャック・ドゥミ「シェルブールの雨傘」やスタンリー・ドーネン「雨に唄えば」といったミュージカルの傑作群を思い出さずにはいられないくらい楽しそうに踊りあかす。  いやそれだけじゃない。 部屋に貼られたイングリット・バーグマンやロバート・シオドマク「殺人者」のポスター、路地の壁面で微笑むルイーズ・ブルックスやマリリン・モンロー、映画館で燃えるニコラス・レイ「理由なき反抗」、ヒロインの心の中に焼き付くヒッチコック「汚名」、ハワード・ホークス「赤ちゃん教育」、マイケル・カーティス&ドン・シーゲル「カサブランカ」といったエネルギーの源。  映画中に散りばめられた「思い出」が今のセブを、ミアを、監督デミアン・チャゼルの“今”となって活き続ける。先人に学び、未来を切り開こうと努力し続ける人間の強さがギラギラ輝いているんだ。  フィルムが焼けてしまったら、“本物”を見に行こう。満点の星空の中に躍り出て、雲を抜け、星の海を二人っきりで舞い続ける夢の時間。音色も心も弾ませて。 前作「セッション」は打ち込みすぎるあまり大事なものを捨て続け、失う作品だったかも知れない。この映画は心から楽しみ、大事なものを優先した先にある答えを描こうとしているのではないだろうか。  好きになってしまったからこそ追い続け、謝り、食い下がり、勇気づけ、違う道を歩んでいく。一人は表舞台へ駆け上がり、もう一人はそれを送り出すように裏方に徹する。  素敵な音色で再会の挨拶を贈り、口づけを交わす“叶わぬ思い”を伝え、潔く身を引いていく。二人の間に言葉はいらないのかも知れない。ありったけの想いを込めた音色だけがそれを語り掛ける。  あれほど無我夢中に熱を帯びていた「冬」は、何処か寂しく切ない「冬」になって幕を閉じる。
[映画館(字幕)] 9点(2017-02-25 07:29:47)(良:3票)
2.  燃えよドラゴン 《ネタバレ》 
イップ・マンに師事し、キン・フーといった武侠映画にも親しんだブルース・リーの武術を活かすため、極限までシンプルにまとめられたアクション映画。  一見すれば荒唐無稽で無茶苦茶な世界観を、ブルース・リーの足運びの静けさ、気を一気に放出する動の空気が包み込む。 映像で魅せる映画にはもってこいのアクションの連続。 そこに貫かれるのは、道を外した者への「復讐」。 彼らにとって武術は「殺し合いの手段」である以前に「己を高める道」の武道。 アクション・スターとしてその武を極限まで高めたブルース・リーは後者であろう。 他人を守るための武術。己を制してこその武術。 その道を逸れ、人を殺すためだけの道具として武を使う者には破滅が待っている・・・そんな所も込みで楽しめる映画。  サモ・ハン・キンポーとのスパーリング(後の総合格闘技)、訓練、船の上での騒動、要塞での大会、潜入捜査、殺し合い、大乱闘!  クライマックスの「上海から来た女」を思い出す鏡の中での死闘!
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 19:41:33)(良:1票)
3.  紅夢 《ネタバレ》 
チャン・イーモウとホウ・シャオシェンが組んだ女性映画の傑作。 イーモウとしては「活きる」に並ぶ最高傑作だと思う。 少女が林の中を一人歩いてくるファースト・シーン、たどり着く先には巨大な提灯が赤々と、熟れた果物のように灯をともす。 貧しい生活と、その生活を愚痴る母親に嫌気がさし頌蓮は家を出て嫁いできた。 だが、嫁ぎ先はもっと息苦しい思いを強いられる場所でしかなかった。 春夏秋冬の一年ではなく、女達が真の幸せを得る“春”は永遠に来ないのかも知れない。 男には3人の夫人が既におり、彼女は4番目の女として迎えられた。 見かけこそ寵愛を注ぐという赤い提灯が掛けられているが、実際は4人目の女に注がれる愛情など少ない。頌蓮にとっても、顔が遠くからぼやけて映る程度の“記憶”しかない男なのだ。 劇中では何度となく響き渡る小羅が印象的。 第一夫人の大太太、第二夫人の卓雲は同情を寄せるが何処か影がある、第三夫人の梅珊は元舞台女優としてのプライドからか彼女に対抗意識を向ける。朝方響く彼女の歌声は、大旦那や他の夫人たちに対するアピール。召使の雁兒も大旦那に可愛がられる女の一人だ。人に見えない場所で頌蓮の洗濯物にツバを吐くほど敵意を見せ、夫人の一人になるべく彼女の部屋は赤い提灯だらけで禍々しく光る。邸宅の閉塞感や抑圧が、一層彼女の心を圧迫する。 形見の笛を探した先で見る頌蓮を“呪った”人形、 意外な人物の敵意を知るショック。彼女もまた女たちの潰し合いに嫌がおうにも巻き込まれていく。 梅珊もまた頌蓮に味方をする傍ら、卓雲を潰すために一時手を組んでいるだけに過ぎないのかも知れない。 とうとう頌蓮も“牙”を向いてしまう。 例え本心からじゃなかったとしても、心の何処かで「邪魔者は死んでしまえばいい」と思ってしまったのかも知れない。 召使の部屋から提灯を全部出させて焼き尽くすシーンは、抑圧されたものが弾けるようなシーンでもある。心を“破壊”するのだ。 人間の命のなんと儚い事か。 あんなに赤々と灯された火が竹筒の一吹きで消えてしまうように、人間の命も簡単に消えていく。 ロングショットで一人の人間の“灯”が消えていくのを見つめる場面。 新しくやってくる第五夫人はかつての“大太太”であり、“頌蓮”でもあるのだろう。 赤く燃えるような提灯は何を語るのだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 01:30:45)
4.  天使の涙 《ネタバレ》 
ウォン・カーウァイの「花様年華」に並ぶ最高傑作の1本。 「恋する惑星」よりコッチの方が解り易いし、面白さはこの作品だろうね。 「恋する惑星」の続編というか、一部になる予定がそのまま独立した作品になったそうだ。 「恋する惑星」では一瞬だけだった銃撃が、今回は派手な銃撃戦も楽しめる。 しかし物騒な町だなオイ。 一人ずつエピソードを紹介し、交錯して行く話だが深入りはしない。 冒頭からして引き込まれるではないか。 男女の会話から回想、一つの家にまったく違う住人が住む。 女はベッドメイキングしてまで痕跡を残さない。女の手の震えが気になる。 そこに男が入ってくる。 どうやらここは男の家のようだ。 女は男に協力する傍ら情報を流し、男はその情報を頼りに標的たちを血祭りに上げる。 夜のトンネルを駆け抜けるシーンは早回しで撮られ独特の雰囲気を醸し出す。 二挺拳銃が一瞬で炸裂するシーンは強烈だ。 殺し屋に保険はない。 友人は悪い奴じゃないし、巻き込まないためにも過去は断ち切るしかない。 殺し屋がいない間に女は過ごす。 酒場の電子音と共に女の肉体が艶かしく揺れるシーンはエロい。脚! 咳き込むくらいなら密室で煙草を吸うな。 後半登場するモウの行動でイチイチ笑う。 金城武は俺を笑い殺す気か。 不法侵入して豚のマッサージから野菜の叩き売り&寝た人間の叩き起こし、無理矢理散髪に腹がくだるまでアイスを食わせるなど迷惑甚だしい。 愛すべき馬鹿。 アイスのくだりから父親のエピソードが出てくるのが面白い。 アイスに火を付けるのって美味いのか? 「恋する惑星」にも出て来たよく似た店とスチュワーデス(死語)の女が、続編というか前作とのリンクを物語る。 一方の殺し屋も取立てが命の取り合いに。 家を直接狙われない不思議。 スタイリッシュなマクドナルドのCM。 金髪女との出会いと別れ。 一方、“相棒”はフラれたショックか一人で喘ぐ。 黒のガーターがエロいっす。 モウは1回死なないくらいじゃないとアカンとちゃうか? ネタが多すぎてツッコミきれねえよ。 殺し屋とのギャップが酷すぎる(褒め言葉)。 怖ええよ金髪アレン。 モウが父親に“誕生日プレゼント”を送るシーンは微笑ましい。  「無断で人の店を開けてはいけないんだ」 当wwたwwりww前wwだwww あのモウがちゃんと働いている姿を見るだけでも思わず感動。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-01 00:50:07)
5.  イップ・マン 葉問 《ネタバレ》 
「序章」も好きだけど特に「葉門」が一番好きだ。前作を見なくても存分に楽しめるぜ。   異種格闘技! 武術vs現代格闘技!! 鉄も砕く拳vs鉄以上に鍛え上げられた肉体!!! 中国4000年vsアメリカ200年!!!! 200年といってもヨーロッパ、アジア、アフリカといった様々な国のハイブリットだ。コイツは手強いぜ。 特にボクシングは中国武術同様に「大地を蹴る」スポーツ。タフネスとスピードなら負けない。 悪態ついて挑発するのは最早常識、それが火に油を注ぐこともまた常識ですねハイ。  異国に蹂躙され続けてきた中国だが、太古から受け継がれてきた武術を犯す事は何人にも出来なかった。  戦争も終わり、平穏を得てもまだまだ貧乏との戦いは続く。 最初のこの何処かほのぼのとした感じが好きだ。 道場や工場時代の同志が真っ先に駆けつけそうだけど、そんな甘くは無いか。  拳を通じて弟子や仲間が増えていく感じが良い。 脳撃たれようとも魂までは死なず。“蘇る”シーンには不覚にも涙が。  道場同士の争い再び、 包丁の峰打ち、 不安定なテーブルの上での激しい舞闘、 髪もフサフサ&リア充で幸せ者のカム、 そして動けるデブことサモハン・キンポーが老練な武術家として命を燃やすシーンには震える!  意地の張り合い、誇りを汚す奴は死んでも許さねえ。 蹴るな=ハンデですねハイ。 何度殴られダウンさせられようとも立ち上がる葉問。仲間のため、新しい命と共に待つ家族のために。鋼の肉体を打ち破る鉄の意思、鋼の精神。 「これはホン師匠の分!」とばかりに憤怒と哀しみ混じる撃拳、撃拳、撃拳連打!!  話の解るアメリカ軍は全アメリカ人の誇りです。  ラストにブルース・リー少年を出す憎い演出が良い。  欲を言えばキン・フーの映画みたいに女性武術家が大暴れするシーンも見たかったけど(「序章」で工場の女性従業員が戦ってはいたが)、それ以外は大満足です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 17:59:28)(良:1票)
6.  イップ・マン 序章 《ネタバレ》 
キン・フー、ジャッキー・チェンと数々のカンフー映画の傑作群に武術指導をしてきたサモハン・キンポー。  ウィルソン・イップやドニー・イェンたちと組んだこの「イップ・マン」は、カンフー映画の最高傑作として長く語られ続ける事だろう。ブルース・リーも師事した伝説の拳法家・葉問(イップ・マン)の名と共に。  原点にして頂点、それが葉問だ。  戦争や権力者の圧力に屈しない武術を綿々と受け継いできた中国。 カンフー映画の肉が裂ける、骨が砕ける音、汗の匂いも同時に。  木人形を使った鍛錬から始まるファースト・シーン。 美味そうに飯を食べる葉問は、無用な争いは避ける男だ。 手合わせで技は教えても、殺してしまっては教えるものも教えられないし成長もできない。  だが、いざとなればリボルバーからシリンダーだけ外す事も、道場破りにきた野党をホウキでブチのめす事も朝飯前。 ホウキ買おうかな・・・。 頼まれれば武術指導も快く引き受ける。 「良い拳法は老若男女を問わない」 どんな敵でも怖くなんざねえ、仲間に手を出すやつぁ許さねえ、怖いのは嫁さんだけだ! 奥さん「物を壊さないで!(意訳:あとは勝手にしやがれ)」  殴り合いから斬り合いまでやるカム・サンチャウが良いキャラすぎて微笑ましい。殺しはやらないこだわりも憎めない悪党だ。 どちらにも付かず第三勢力として度々葉問たちに絡むのが面白い。  どんなに家が無くなろうが、食に困ろうとも、鍛錬を続ける拳と魂が腐る事はない。それが葉問。 戦争の無力感に苛まれようとも、彼は耐えて耐えて耐え、殴って殴って殴りまくる。  誇りを捨ててまで家族のため拳を振るうリュウ師匠もカッコイイ。彼も魂までは腐っちゃいない。  プライドまで捨てた武術家を侮辱する事は許さない。葉問の撃拳連打が十人の空手家をブッ倒すシーンはスゲエぜ。 どんな傷を負おうとも、その志は人々の中に生き続ける。  斉藤閣下も太っ腹です!形はどうあれ正々堂々と立ち会った閣下は偉い。  だが三浦のクソ野郎と階段で顔面砕かれた男はザマあかんかん。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 17:58:24)
7.  プロジェクトA 《ネタバレ》 
死神を殴り飛ばせる男ことジャッキー・チェンの代表作。 時計台から落ちて生きている事が奇跡すぎる。 中国パネェー。 中国拳法の厳しい修行で鍛え上げられた肉体だからこそ出来るパフォーマンス。 役者魂ここに在り。 内容は「気にしてはいけない」が、 敵味方入り乱れた殴り合い、 体を張ったぶつかり合い、 ハロルド・ロイドやバスター・キートンといった往年のサイレント映画を連想させるシーンの数々、 自転車での路地裏チェイスなど、アクション映画好きは絶対に押さえておきたい面白いシーンばかり。 ジャッキー、サモハン・キンポー、ユン・ピョウの共演も中々見られない。 特にサモハンはキン・フーの傑作群や後に「イップマン」をはじめとする数多くのカンフー映画の武術指導を担う事になる男だ。 この映画はカンフーというより単に体を張る事を強要する馬鹿(ry ジャッキーの命懸けのスタントが凄すぎて笑えねえよ。肝が冷えるわ。バスター・キートンも首の骨を折った事に気付かず演技を続けた(「探偵学入門」)が、3回も時計塔から落ちようなんて発想よく思いつくよこの人は。馬鹿だ。どんだけ役者馬鹿なんだ。どんだけ死神に嫌われてんだアンタは。(大絶賛) これからも長生きしてくれよっ! ※ジャッキーは特殊な訓練を受けております。絶対にマネしないで下さい。    これを「アクション映画」か「ギャグ映画」として見るかは視聴者に任せます。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-15 16:22:55)(良:1票)
8.  恋する惑星 《ネタバレ》 
再見。 激しい銃撃戦といったアクションで魅せる「天使の涙」、本作は恋愛がメイン。  本当に意味あり気なようでけっこうテキトー、意味不明でのんびりした映画だが何故か嫌いじゃない。 ゴダールやトリュフォーにも通じる「いい加減さ」がこの映画にもある。 ある者はその意味のない映像に文句を付け、ある者はインテリや絵画、あるいわ心地良い音楽を聞き流すように受け入れる。俺の場合は後者に近い。  冒頭からいきなり追いかけっこ、手ブレと思いきや一瞬一瞬止めるコマ撮りの演出。 この様子は回想形式で語られ、まるで過去の幻想を見せられるような気持ちになる。  唐突な誘拐事件も、標的も何故彼女がそうするのか理由は語られない。 男と女による交互の回想、終止符を打つ復讐?の弾丸。  国際電話で英語や日本語が混ざり合うカオス。混沌とした文化が拡がる町に生きる主人公の警官。 香港は昔から日本人やらイギリス人やら様々な国の人間が混ざり交流してきた港町だ。三ヶ国語を流暢に喋る人間がザラにいても何も不思議じゃない。94年に公開された時、香港はまだ“外国”だった。 というより、仕事で故郷から離れて生活しているという人間も多い。「心の故郷」であって「生まれ故郷」って奴は少ないだろうな。少なくとも、悪人を追って国境すら越える警官や復讐のために旅をするような人間にとってはその場のしのぎの宿にすぎない。  主人公の警官はどうだろうか。 任務を果たしたはいいが、生きがいとしてきた仕事がなくなり、かったるい日々を送る。そんな彼の心を満たすのが複数の女たちだ。  追ってから逃げる謎の女、売店の少女、客室乗務員(当時は「スチュワーデス」?)といった女たち。  「フィルム・ノワールみたいになるのかな?」と思いきや、序盤のサスペンスは何処吹く風。  終盤はそんな彼の淡い恋模様を延々と見せられる。 だが、不思議と退屈はしない。やたら生活観のある空間に居心地の良さを見出してしまうのだろう。 ゴダールで言えば「はなればなれ」のような・・・とにかく愛らしい、愛すべき映画である。  あの寅のヌイグルミはホワイトタイガーだったのだろうか?  「隠れてないで現実に立ち向かえ」 じゃあおまえも前の彼女は忘れろよ・・・。  思わぬ再会、パスポート、エンドロールが白一色というのも面白い。  あのパスポートで男と女は何処かに旅立つのか、それとも任された店を「第二の故郷」にして永住するのか。それは男と女たちだけの知るところなのです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 21:58:25)
9.  インファナル・アフェア 《ネタバレ》 
警察とマフィア、それぞれスパイを長期潜入させて物語が展開されるスパイサスペンス。 ラオール・ウォルシュの「白熱」やボリス・バルネットの「諜報員」を思い出す傑作だ。 “無間地獄”の中を泳ぎ続ける二人の男たち。 進んで地獄を選んだ者、選べなかった者の差。内通者vs内通者、二匹の“犬”による心理戦。一方はモールス信号で情報を送り続ける。 本物の自分はどっちなのか、スパイを探すスパイ。場面の切り替え方が秀逸だ。 生き残るために手段を選ぶ余裕は無い。 “自分の道は自分で選ぶ”。 警察となったアンディー・ラウは、マフィアでありながら仲間から寄せられる信頼に戸惑いを見せる。 「俺は本当はおまえらを殺す側なんだよ」と。 だが、ラウはまだ仲間がいるだけいい。 一方、マフィアとなってしまったトニー・レオンは常に孤独な存在だ。誰も頼れない、誰も信じられない。 だがレオンは知らない。彼が唯一すがる蜘蛛の糸である警察に、マフィアのスパイがいる事を。 ラウは半ば充足感を得ているが、レオンはいつ死ぬか解らない恐怖と戦い続ける毎日だ。 それでも、レオンは自分の責務を果たそうと最後まで諦めない。 世渡り上手と、すぐ壊れてしまいそうな男。 それが徐々に逆の立場へと追いやられるスリル。 最後の最後まで愉しませてくれる屈指の映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-21 14:32:56)
10.  奪命金
ジョニー・トーによる傑作。 3つの物語が一つに繋がっていく展開が面白い。銀行員もヤクザも刑事もみんな金が絡んだ問題を抱える。 人間の存在そのものを頼りなく描く視点が良い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-18 17:05:33)
11.  片腕ドラゴン
カンフー馬鹿映画の傑作。 キン・フーの武侠映画に並ぶ人間はジミー・ウォングの兄ぃだけだぜ。 ブルース・リーもジャッキー・チェンも好きだが、やっぱこの人が一番好きだ。 アクション馬鹿ジミー兄貴最高!!
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-12 16:02:35)
12.  大酔侠
キン・フーは大好きな監督だ。 メチャクチャ面白いし飛び抜けてる(俳優のブッ飛び具合が)。  「大酔侠」はそんなキン・フーの最初の傑作だと思うし、俺が一番好きな作品だ。 後年の「迎春閣之風波」や「忠烈図」「侠女」に比べるとまだまだ完成されていない部分も多いが、それでも個性豊かで魅力的な登場人物、ユーモア&ヴァイオレンス、迫力満点の大立ち回りと既にキン・フー映画の醍醐味が詰め込まれているぜ。 まあ、俺が一番好きだと言う理由はやはり“女剣士”の一言に限るね。 冒頭のド派手なスタートダッシュから一転、雷鳴と共に登場する旅の剣士。“最初”の主人公だ。 この後「取って置き」のキャラクターが出てくるが、ソイツのやり取りはもう最高。 寡黙で男勝り、気丈に振舞うもピンチの時は女らしい一面も覗かせる・・・強い女性は万国共通で美しい。 一見すると普通の顔立ちなんだが、女の一面を覗かせる時、そして戦っている時の彼女はカッコイイし美しい。 傷を負った時は不覚にもドキッとしてしまった(キン・フーなのに)。 キン・フー映画の女って愛嬌より度胸・華より青龍刀・色気皆無(褒め言葉)の女傑キャラしかいないのかと思っていたが、そういう意味でも彼女は大変貴重なキャラだ。  ペイペイに魅せられた野郎共は「侠女」も必見だ。あの作品の彼女はとにかく素晴らしい。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-07 02:31:24)(良:2票)
13.  迎春閣之風波 《ネタバレ》 
香港映画界の巨匠キン・フー(胡金銓)が手掛けた究極の武侠映画。 ブルース・リーの師匠みたいなもんだし、何よりサモハン・キンポーが武術指導。そこにキン・フーの静と動の演出を撮り抜く演出。 それは日本で言えば伊藤大輔や黒澤明のような重厚さがあり、尚且つマキノ雅弘や山中貞雄のような肩の力を抜いて楽しめるシャープでスピーディーな・・・まあ理屈をこねても仕方ない。とにかく面白れえ。 モチロン、アクションだけ関して言えばブルース・リーやジャッキー・チェンといった後続の方が洗練されているだろう(キン・フーの場合はブッ飛びすぎ)。 ただ、個性豊かな登場人物やドラマの面白さは今の中国映画なんぞより遥かに面白い。 冒頭15分はそんな丁寧でコミカルなドラマで楽しませてくれる。 「迎春閣之風波」は中国は明の時代が舞台。 お上の殿下率いる田豐たちと朝廷に反旗を翻す朱元璋一門の戦いを描く。 舞台は朱元璋一門の門派が密かに開設した料理屋「迎春閣」で繰り広げられる。 「迎春閣」に訪れる奇妙な客たち、それを迎える武闘派姉ちゃん・姉さんたち。 博打をやる者、飯を食う者大歓迎、ただし強盗連中は容赦なく滅多打ち。 序盤のドタバタした楽しいやり取りを見ていれば解るだろう。機密文章だとか、敵味方が誰か解らないとか、怪しげな美女とか、キン・フー映画に其の辺のスリルは皆無です(褒めてます)。 いや、いつ誰が刃を抜き放ってもおかしくないという肌を刺すような緊迫感は「龍門客棧」の方が圧倒的だ。だが楽しさは断然コッチだろう。 そこから中盤はシリアス一色になってくる。緊迫したやり取りや次々と血に染まる「迎春閣」、そしてラストのダイナミックなバトル、バトル、バトル!ラストバトルの壮絶さ、華やかより男勝り・女傑振り!愛嬌より度胸!それがキン・フーの女たちだ。 しかしコレで驚いていてはいけない。 「大酔侠」や「忠烈図」はもっとブッ飛んでるから(スタントマンじゃなくて猿が飛んでんじゃないかってくらい)。 個人的にキン・フーの最高傑作は「忠烈図」と「侠女」だが、一番好きなのはやはり「大酔侠」と本作だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-06 03:45:01)(良:1票)
14.  wkw/tk/1996@7'55''hk.net 《ネタバレ》 
ウォン・カーウァイの短編。  回想、部屋の一室、男がベッドの上で煙草を吹かせる、レコード、西瓜を食う男たち、袋叩きにされた男、パンツ一丁の男、ハイヒール、飯を食らう、サングラスをかけた女、部屋の中を動き回り銃撃戦に興じるごっこ遊び。  子供のように一緒に横たわりりんごを食べる、辞書、挨拶を繰り返し勉強する意味、麺を食べようとしたら爆竹?爆撃?  倒れこむ、松明を振り回す、火災で消火器、ターザン、とにかくキチ女に文句を言いたい、アフロ女の銃撃、着替え、銃、電球、一撃を浴びせたり浴びたり、不死身、降伏。
[DVD(字幕)] 8点(2016-08-26 06:23:42)
15.  ブレードランナー 《ネタバレ》 
「ブレードランナー」そのものについてのレビューは「ファイナル・カット」でさせてもらった。 今回は、「インターナショナル版」のクライマックスについてコチラで語らせていただきたい。  オリジナルやファイナル・カットのラストシーンは好きではある。 生死を賭けた戦いから戻り、大切な人と生きる喜びを分かち合う。 そして二人は生きるために家を去っていく。エレベーターの扉が「ガシャン」と閉まり、物語は不安を残したまま黒をバックにした背景のエンディングに突入して終わる! これはこれで好き。 ただ、二人の行く末を明るく照らす「インターナショナル版」。 これが何故か一番心に響く。 それはデッカードの心理描写があるからでは無い。 上記の不安な様相から一変して、美しい森を二人で走り去る場面。 今までの不安に満ちた生活から解き放たれたように明るい表情をしてるんだ。 こっちも解放されるよ。ロイが放った白い鳩のように。   
[DVD(字幕)] 8点(2014-11-30 00:08:55)
16.  さらば、わが愛/覇王別姫 《ネタバレ》 
チャン・イーモウと組んだ「大閲兵」の鬼気迫る訓練と行進に比べると、この作品は恐ろしく退屈に感じてしまったのです。  いや、この映画は駆け足なんだけどさ、何か大きな変化に思えないんだよね。  「ラストエンペラー」で俳優として素晴らしい演技を残したチェン・カイコーだが、この映画はあの時ほどの凄味を感じられなかった。  コン・リーもチャン・イーモウ映画ほどの魅力があっただろうか? 確かに劇中に色を添える貴重は華ではあったが・・・。  男でありながら心はどんな女よりも“女”の主人公。男としてではなく、女として男を愛してしまう悲しみ。その変は胸に迫る。 が、一体何が嬉しくて50年に渡って延々とイジケた話を聞かされなきゃならんのだ。 上記の“女”として男に惚れる件も、人によっては単なるホモ扱いでさようなら。  それに加えてグロい演出も多すぎてげんなり。胸糞が悪いったらありゃしない。6本指を“詰める”シーンは強烈すぎ。  しかし中国映画は日本軍の描き方がいっつもボロクソで、ここまでくると笑ってしまう。 「イップ・マン」みたいにボコボコにしてスッキリさせてくれる作品も少ないからなー(山中貞雄を死に追いやりやがったクソ日本軍の肩なんて絶対持ちたくありません)。  京劇の描き方も、華やかで美しいが退屈さを吹き払うような派手さがなく眠りそうになった。
[DVD(字幕)] 8点(2014-11-26 21:41:32)
17.  少林サッカー
「小林」じゃなくて 「少林」だった事に初めて気付いた今年。 子供の頃は真面目に面白がって見ていましたが・・・今見ると、ね。最高のギャグ映画ですよ。ええ。 恐らく「コマンドー」や「イレイザー」に匹敵する素晴らしくアホな映画の一つでしょう。  派手なCG演出で余計に笑ってしまいます。 チャウ・シンチーがユースケ・サンタマリアにしか見えない。  でも、キーパーの鉄の手を持った鬼影擒拿手(魔の手)の兄貴がカッコイイです。ブルース・リーコスチュームで無駄にキメてる辺りとか、失業中だったりとか。最高の天職ですね。 二度と手が使えなくなってもかまわないという勢いで敵のボールに喰らい付く姿がカッコイイ。  まあ、本編はツッコミどころ満載で楽しいです。ラストシュートなんか何処の「キャプテン翼」だよと。 芝生もゴールもドッカーンですかそうですか。いくら体が覚えているとはいえ、流石にブランクあるでしょうよ。少林寺とはいえ。  しかしアレですね・・・すっぴん美人て良いですよね。 ケバい化粧している時よりも、坊主頭のノーメイクの方がキレいな顔してます。美しいです。  是非ともジョン・ヒューストンの「勝利への脱出」とセットで御覧下さい。
[DVD(字幕)] 8点(2014-03-29 20:45:52)
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