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プロフィール
コメント数 2398
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  クレオパトラ(1963) 《ネタバレ》 
“映画史上空前の失敗作“としてその名も高い本作、でも意外なことに世界中で大ヒットしてその年のNo.1の興行収入をあげていますが、20世紀フォックスは製作費の半分も回収できなくて社運が傾いて撮影所を売却する羽目にまで陥ります。当時の日本円で143億も製作費が掛かってたら(現在の貨幣価値では幾らになるんだろう…)、そりゃあ利益が出るわけないですよ、ここまで来ると不条理の世界です。金が掛かった原因は監督の交代から始まってエリザベス・テイラーとリチャード・バートンの不倫スキャンダル諸々で撮影期間が四年近くになったこと、ゴタゴタが続いて苦労して完成させた映画は報われない、というジンクス通りになっちゃったわけです。やはりこの映画で「カネかかってるなー」と唸らせてくれるのは、クレオパトラのローマ入城とクレオパトラが船でアントニウスを訪ねて来るシークエンスでしょうな。入城シーンはあまりの壮大さにバカバカしくなってしまうほど、船なんて巨大なガレー船を建造して撮影しているぐらい、もっとも遠景に映るのはどう見ても撮影当時の地中海沿岸の街並みでしたけどね(笑)。クレオパトラの衣装も豪華絢爛の極み、でもなんか現代風のオスカー受賞式で観られるようなドレスが多かった気がします。そう言えば宮殿内の机やソファーなどのインテリアも妙にモダンな感じだったのも違和感があり、考証的には他にも首を傾げるところがありました。 四時間の長尺ですけど、開幕から一時間余りがカエサルとクレオパトラ編、残りがアントニウスとクレオパトラのストーリーという感じで、リチャード・バートンは前半にはまったく登場しません。そういう面ではカエサル編とアントニウス編ではまったく違う映画の様な印象さえ与えかねないところですが、当初の構想ではカエサル編とアントニウス編は別々の映画として合わせて六時間という企画だったのを一本に纏めたそうです。正直なところカエサル=レックス・ハリソンの実に堂々とした演技が光り、肝心のアントニウス編になると単なるメロドラマというテンションになってしまいます。あとクレオパトラの子供がカエサリオンだけでアントニウスとの間に設けた子供が存在しないかのような描き方は、史実とは大幅に相違しています。バートンはアレキサンダー大王を演じているのを観たときも感じましたが、史劇になると妙に大芝居をするようになって持ち味を殺してしまうんじゃないかな。 とは言え歴代クレオパトラ女優の中でもやはりエリザベス・テイラーは別格、まさにクレオパトラのアイコンに相応しいと思います。当時彼女は31歳の女盛り、脱ぐわけじゃないですがあの豊満な乳には視線が釘付けにされてしまいます。パスカルには「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら…」という有名な言葉がありますが、テイラー=クレオパトラを観ていると「クレオパトラがもし貧乳だったら、歴史が変わっていただろう」と言いたくなりました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-01-04 22:24:39)
2.  クラッシュ(1996)
私の中では「変態と言えばこの人!」という位置づけなのがジェームズ・スペイダー、その本領を遺憾なく発揮しているのが本作と『セクレタリー』と言えるでしょう。でも本作はスペイダーだけでなく出てくるキャラが全員変態というところが『セクレタリー』とは大きな違いです。だいたいからして、J・G・バラードの原作自体が原稿を持ち込んだ出版社から出版拒否を喰らったぐらいの代物で、それを映画化してカンヌ映画祭で上映したら賛否両論が巻き起こり物議をかもしたというのはある意味当然の成り行き、それにしてもこの映画に“賛”を与えた人がいたってのが信じられない。 ほとんどポルノ映画と間違われそうなほど露骨な描写に加えてさっぱり理解不能な登場人物たちの行動、これはもうどこを褒めたらいいんでしょうかね。バラードはニューウェーブSFの旗手として評価されていますが、このストーリーのどこにSF要素があるというんでしょうかね?車社会の現代を機械文明の行き着いた荒野として呪詛したいのは感じ取れますが、自動車の事故(クラッシュ)がどうやったら性行為と結びついてゆくのかは凡人の理解を超越しています。これはもう、ハッパできまった脳内妄想を映像化しただけの代物、としか言いようがないストーリーでした。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2023-09-02 23:15:39)
3.  グラディエーター 《ネタバレ》 
映像の素晴らしさは、さすがリドリー・スコット。とくにコロッセウムの再現はそれだけでスペクタクル、劇中の初めてコロッセウムを観て驚愕するグラディエーターたちと同じくして観てる私たちも息を吞まされます。コロッセウムの遺跡の真ん中のゴチャゴチャした部分、当たり前ですけどその上にはグラウンドみたいな平面があったんだということがこの映画を観て初めて実感できました。ストーリー自体は『スパルタカス』と『ローマ帝国の滅亡』を融合させたような展開、正統的というか遊びのない語り口は少々重すぎる感は否めません。感動的なラストも、音楽の使い方も含めてまるで出来の良いマイケル・ベイ映画みたいな印象すらあります。マルクス・アウレリウス帝の暗殺やコンモドゥス帝の死はもちろんフィクション、というかこのあたりは『ローマ帝国の滅亡』のパクりと言っても過言じゃないでしょう。でもサイコパス皇帝を演じたホアキン・フェニックスの演技は鬼気迫るものがあり、やはり後年にジョーカーを演じて世界を震撼させる人です。そして自分がもっとも感銘を受けたのは、撮影中に急死したオリヴァー・リードの存在感です。この人は容貌魁偉な風貌で60年代以降の英国映画界を代表する怪優ですが、演じたプロキシモは『スパルタカス』でのピーター・ユスティノフに該当する役柄になるでしょう。最後はラッセル・クロウを助けて堂々と死んでゆくのですが、この殺害シーンは代役が後ろ姿だけを見せて撮影されたそうです。あと十年長生きしてくれたらオスカー受賞するような演技を残せたかもしれないと思うと、残念です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-01-10 22:01:01)
4.  クィーン 《ネタバレ》 
英国王室を揺るがした世紀の大騒動を赤裸々に映画化ってとこでしょうか、いずれにしても日本では皇室をテーマにした映画自体が想像すらできないのは確かです。 改めて観ての感想は、英国王室は「家」としての要素があまりに濃厚だということです。そこは憲法で「象徴」と定義されて国家システムの一部という感もある天皇家と対比すると、興味深いところです。歴史的に英国は王家の血筋が切れると、薄い血縁関係がある欧州大陸の親戚が家ごと王位を継ぐというシステムでやってきたわけで、ここら辺は複雑な婚姻関係でつながっている欧州王族の強みですね。この映画で描かれるダイアナと英王室の関係も、婚家と嫁の不仲という下々の家庭でも当たり前のように見られることと本質は一緒です。離婚した妻が死んだら葬儀は元妻の実家が取り仕切り、元夫は個人としてはともかくとして婚家が関わらないというのは当然のこと、でもそれでは通らない立場だってことに考えが及ばなかったのがこの時の女王の失敗だったんでしょうね。 ヘレン・ミレンの素晴らしい女王演技もさることながら、感心するのは脚本の出来の良さです。チャールズ皇太子を始めとする王室メンバーの言動は、ここまで赤裸々に描いちゃって大丈夫なの?と心配になるぐらいです。とくに皇太后エリザベスの毒舌にはもう笑うしかないです。チャールズ皇太子も自分に世間の非難が向かないようにすることだけに汲々なずるい感じが良く出ていて、本人からクレームがつけられなかったのかな。中でも、「ダイアナは生きてても死んでも面倒を起こす」というマーガレット王女の言葉はあまりにも辛辣でした。鹿狩りに夢中な自分以外の王族に内心は辟易としている女王の心理はとても共感できますし、あの鹿はダイアナの暗喩に違いないと私には感じます。女王と鹿が出会うシーンはこの映画のクライマックスだと思いますし、「早く逃げなさい」とはまるで死の直前のダイアナに語り掛けているような感じです。けっきょく鹿は隣の民間人住人の客に仕留められてしまうのですが、これはパパラッチに追いかけられて事故死した経緯を戯画化していると思います。これが女王の心境の変化を促すきっかけとなったわけですが、他の王族と較べてあまりに女王のことを良く描きすぎというきらいもあるけど、ヘレン・ミレンの名演に免じて許しましょう。 そう言えば最近ヘンリー王子が揉め事を起こしてまたまた英国王室が揉めていますが、やはりダイアナの血筋は争えないということでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-01-30 22:38:19)
5.  グランド・ブダペスト・ホテル
造りこまれた画面と箱庭のようなセット、そしてまるで人形劇の様なストーリーテリングはいつも通りのウエス・アンダーソン節ですが、たぶん本作が彼の映画スタイルの完成形なんでしょうね。けっこう単純なストーリー展開と思いきやセリフや引用される詩は凝りまくっていて、もうテイストはヨーロッパ映画です。アンダーソン映画と言えば主演はビル・マーレイというのが今までの相場でしたが、こうやって観るとレイフ・ファインズも彼の独特の作風にはピッタリな役者ですねえ。 まあこの映画は細かいことは言わずに豪華出演俳優たちのアンサンブルを愉しむのが正解でしょう。ジェフ・ゴールドブラムやハーヴェイ・カイテルなんて観ている間は彼らとは全然気がつきませんでした。そして女優陣、間違いなくアンダーソンはハリウッドいちの鳥ガラ女優マニアだと確信いたしました(笑)
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-17 23:39:30)
6.  蜘蛛女(1993) 《ネタバレ》 
ファミリー・ネームやキリル文字の警察書類からするとロシア人みたいだし、マフィアのドンとは昔は一緒に暮らしてたみたいだし、政治家と不倫してその男に「モナ男」という恥ずかしいあだ名を定着させた日本のタレントとはもちろん関係なさそうだし、モナよお前はいったい何者なんだ。初体験の甘酸っぱい想い出を回想してると思ったらそれは初殺人のことだったり、パンティ丸出しでゲラゲラ笑いながら太ももばさみで男を絞め殺そうとしたり、この女こそ生身のターミネーター、いや“完全なる有機体”と呼ぶに相応しい化け物です。このレナ・オリンの怪演があまりに凄いので目立ちませんけど、ストーリー自体はなんか穴だらけですよね。でもモナの存在感だけでなく救いようのないほどダメな男のゲイリー・オールドマンが上手い演技なので、最後まで観客を引っ張ってゆく勢いだけは認めてあげましょう。ラストで約束の店に現れない妻を待つオールドマンの姿は哀れを誘いますけど、モナは本当に妻を殺したんでしょうか?実はそれはモナのはったりで、妻はオールドマンに愛想を尽かして35万ドルを元手に優雅に暮らしているという解釈はいかがでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-07-05 00:53:00)
7.  狂えるメサイア 《ネタバレ》 
故双葉十三郎氏の『外国映画ぼくのベストテン50年』という500本の映画を紹介している本の中で、唯一リストアップされているケン・ラッセル映画が本作です。ケンちゃん映画から一本となって、『Tommy/トミー』や『恋人たちの曲/悲愴』ではなくて本作を選ぶという双葉さんのセンスにはびっくりです、この映画のどこが気に入ったんでしょうかね? 音楽家の伝記映画には拘りを持っているケンちゃんですがこの映画ではアンリ・ゴーティエというフランス人の彫刻家を取り上げています。作品が評価される直前に若くして第一次世界大戦で戦死してしまった彼の、20歳も年上のポーランド人女性との破天荒な恋愛生活と創作活動を描いています。この女性を演じるのがドロシー・テューティンで、たしか『クロムウエル』でヘンリエッタ王妃だった人ですが、そこそこ美形だったはずなのに醜女好きのケンちゃんに徹底的にブスにメイクをされてちょっと可哀想でした。ケン・ラッセル映画のヒロインにしては珍しいことに彼女は脱ぎません、その代わりにチョイ役出演のヘレン・ミレンが全裸演技で気を吐いています。当時20代半ばなのに、17年も後で撮られた『コックと泥棒、その妻と愛人』で見せたヌードとほぼ一緒の体型と言うのが、また凄い。若いころからムチムチ豊満だったんですね。はっきり言って本作では必然性の全くないシーンでヌードになっておりもうムダ脱ぎとしか言いようがないんですが、けっこう本人も脱ぐのが好きなんじゃないでしょうか。 デレク・ジャーマンが手掛けたナイト・クラブの頽廃的なセットと踊りなんかはケンちゃんらしさが良く出ていました。ふつうの感覚ではちょっと(大いに?)変ですが、まあこれは彼なりの純愛物語なんだと思いました。
[ビデオ(字幕)] 6点(2013-12-20 20:45:07)
8.  唇からナイフ 《ネタバレ》 
ヘンな映画だとは聞いていましたが、確かに噂に違わぬ珍作でした。もしなんの事前情報も持たずに本作を観せられて監督は誰だと思うか聞かれたら、ジョセフ・ロージーが監督だと答えられる人は皆無でしょう。社会派で硬派なロージーがなんでこの映画を撮ったのかは大いなる謎ですけど、きっと生活のためだったんでしょうね。 だけど峰不二子チックなヒロインであるモニカ・ヴィッティの奇抜なファッションと色っぽさはもう絶品で、あの太もものサソリ・タトゥーはイイ目の保養になりました。敵ボスのダーク・ボカードは銀髪なこと以外はいつものボガードなんですが、この人のホモチックなキャラは訳のイマイチ判らない悪の組織の首領には良く合っていたと思います。 と、ここまでは一応褒めましたが、突っ込みだしたらキリがありません(笑)。①モニカ・ヴィッティ、テレンス・スタンプの脇が甘過ぎ、行動がバカ過ぎ②ボガードの悪の組織も運営方針が判らな過ぎ(側近が帳簿係で経費をかけずに悪事を働くことに腐心しているのは理解できました)③ラスト、モニカとアラブの王様にダイヤを横取りされたのに、なぜ「作戦成功」と英国情報部はご満悦なの? でもこの映画のカラフル&サイケデリックな美術は観てお得感満点で、明らかにピーター・セラーズの『カジノロワイヤル』に影響を与えているし、『オースティン・パワーズ』のセットも本作をパロってます。 ひょっとして、ただのおバカ映画ではないのかも…
[DVD(字幕)] 5点(2013-12-05 21:56:49)
9.  黒い狼 《ネタバレ》 
フェリーニの『悪魔の首飾り』の主人公テレンス・スタンプは“世界初のカトリック西部劇”に主演するためにローマに来ます。“カトリック西部劇”なんて奇妙な代物が実は本当にあったんですね、驚きました。主演がジョン・ミルズとダーク・ボガードという二大英国名優、舞台がメキシコ、しかも時代が現代(1950年代?)、とまあここまでくせ球を投げてくるとはさすが英国映画です。“無法者が支配する町に新任保安官が赴任してくる”という西部劇では一般的なプロットで、保安官が神父であるところが違いだと言うことです。本作のボガードは、『荒野の七人』のユル・ブリンナーみたいな黒づくめコスチュームで登場してきて実にカッコ良い。当然、“善”のミルズ神父と“悪”のボガードの対決という図式で物語は進むわけですが、ボガードを単純な悪ではなく権力や教会に不信感を持った屈折した男なのがなかなか良い。そこに地主の娘ミレーヌ・ドモンジョ(当たり前だけど、若い!)が絡んでくるのですが、神父に恋してしまい三人の三角関係がラストの悲劇に繋がってゆくところは思ったより重厚な展開です。また、どうもボガードも神父にホモ的な愛情を持っているみたいな雰囲気もあり、そういう類の演技をさせたらボガードはピカ一ですね。この映画の最大の問題は、別に西部劇みたいな設定にする必然がないということでしょう。 原題は「歌手が大事なんだ、歌じゃない」という意味ですが、これはカトリック教会に対するけっこうきつい批判でもあります。余談ですが、字幕が「神父」と「牧師」を混同しているのが気になりました。「牧師」はプロテスタントですよ。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2011-02-02 23:58:30)
10.  クライング・ゲーム 《ネタバレ》 
まるで出来の良い短編小説を彷彿させる語り口は見事です。この映画はスティーブン・レイとフォレスト・ウィテカーやその他の“男の友情”がテーマなのですが、その分ミランダ・リチャードソンが演じるIRA女テロリストの凶暴振りが強調されているのが上手い脚本だと思います。事件の発端だって、リチャードソンが“男の友情”に割り込んできたのが始まりですからね。そういう意味では“アンチ・フェミニズム”映画と言えるかも。
[DVD(字幕)] 8点(2011-01-23 18:45:36)
11.  クロスボー作戦 《ネタバレ》 
第二次世界大戦でドイツが実戦に投入した秘密兵器V1号(飛行爆弾)V2号(弾道ミサイル)をめぐって繰り広げられる攻防戦を描いたアクション映画。物語は史実を巧みに取り入れて、前半三十分はドイツ側の視点で秘密兵器開発の過程を詳細に描いています。新兵器に勘付いた英国はジョージ・ペパードら三人のスパイをV2号開発工場に潜入させます。この辺りから創作されたスパイストーリーになるのですが、その工作員たちや周辺の人物が無慈悲な運命に陥るところは、いかに英国製アクションものらしさが出ています。製作はイタリアの大プロデューサーのカルロ・ポンティなのですが、こいつが実はとんでもないはったりをこの映画でかましてくれるのです。タイトル・ロールは彼の奥さんであるソフィア・ローレンなのですが、本編が始まってもなかなか登場しません。40分たってやっと画面に現れるのですが、わずか15分であの世に召されてしまい、ハイ、お疲れ様でした。この映画のS・ローレンは、映画史上で出演時間が最も短いタイトル・ロール俳優としてギネス・ブックに申請したいぐらいです。J・ペパードはいまいち影の薄い俳優ですが、S・ローレンの後にタイトルされてはさすがの彼も怒ったのでは。というわけで、この映画は下手な脚本のせいか登場人物やエピソードのつながりが悪くて、なんか奇妙な印象が残ります。ラストは『ナバロンの要塞』を彷彿させる秘密基地大爆破シーンで、ミニチュア・ワークを駆使した特撮は結構迫力ありますが、なぜか合成シーンがお粗末なのが残念でした。
[ビデオ(字幕)] 4点(2010-03-16 00:30:42)
12.  駆逐艦ベッドフォード作戦 《ネタバレ》 
このフィンランダー艦長は、会社にも良くいるパワハラ上司タイプの軍人ですが、異常性格な人間ではないと思います。その点がこの映画の弱点で、緊張感が限界を超えたことは確かですが、部下たちが艦長の要求について行けなくなったのがラストに起こる悲劇の原因みたいな印象になってしまいました。若い少尉がとんでもないミスを犯してしまうシーンは、不仲な両親の喧嘩におびえる子供みたいで面白かったですが。本作は『米ソ一触即発の危険を描くポリティカル・フィクション』的な映画ではなく、『眼下の敵』の様な潜水艦映画のパターンを踏襲しているので、製作者が訴えたかった『冷戦の恐怖』というテーマが散漫になってしまいました。また、なぜ艦長が執拗にソ連潜水艦を追いかけるのかは、ちょっと理解しがたいですね。そこら辺が『白鯨』的なところだと言われる所以でしょうか。元ドイツUボートの艦長で現在は西ドイツ海軍の准将という設定の人物が登場しているのは効果的でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-12-12 11:23:27)
13.  クロムウェル 《ネタバレ》 
クロムウェルは英国でも歴史的評価が分かれる人物で、彼が主人公の映画は珍しい(本作の他に“To Kill a King”というティム・ロスがクロムウェルを演じた作品があるそうです)。彼は護国卿在任中に病死していますが、王政復古後に墓を暴かれて斬首されその首は25年(!) もさらしものにされたというのだから凄い話です。本作では清教徒革命の細かい部分はオミットされて、クロムウェルとチャールズ一世の確執に焦点を合わせたストーリーになっています。クロムウェルはやたら宗教がかった人で、彼の火の出るような演説はリチャード・ハリスの熱演でだんだん暑苦しく感じてくるほどです。対するチャールズ一世もアレック・ギネスが威厳に満ちた堂々たる演技で、どうしても王の方に感情移入させられてしまいます。クロムウェルが護国卿になるところでお話が終わっちゃうというのが中途半端な印象ですが、『ネーズビーの戦い』などの合戦シーンでは両軍のきらびやかなコスチュームに魅了されました。それにしても、虐殺を伴う大弾圧をアイルランドに加えたクロムウェルをアイルランド人のリチャード・ハリスが演じるとは皮肉です。
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-11-27 23:35:14)
14.  空軍大戦略 《ネタバレ》 
間違いなく空中戦を描いた戦争映画の最高峰です。この映画の主役は、英国のスピットファイア・ハリケーン、ドイツのメッサーシュミット・ハインケル(エンジンだけはオリジナルでは無い戦後型ですが)4機種の航空機であると言っても過言ではないでしょう。それぞれの機体は塗装や機番などの考証も行き届いていて、この手のマニアからも高い評価を得ています。英独のパイロットが命をかけた死闘を再現しているのですが、空中戦シーンは壮絶さを通り越して、まるで華麗なバレエダンスを観ているような感覚になります。また英独のオールスター俳優陣がとっかえひっかえ登場してきますが、当時のアメリカ人ハリウッドスターを一人も使っていないところに、この映画の製作スタッフの意気込みを感じます。劇中ヒトラーとチャーチルがそれぞれ1シーンだけ登場しますが、ヒトラーは演説する後姿、チャーチルに至っては遠景でセリフもなしというところが面白いですね。歴史を作ったのは政治家ではなく、名もない飛行士や兵士だったのだということを訴えている気がします。「空軍大戦略」という邦題がこの映画の最大の欠点だと私は思っているのですが、これは今はなき水野晴郎氏がユナイト映画宣伝部時代に命名したそうです。
[映画館(字幕)] 9点(2009-06-11 23:45:06)
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