201. ノー・マンズ・ランド(2001)
派手な演出を廃したストーリー展開にはいささか退屈な部分もあったが、同時にその淡々とした狂気が妙に生々しくリアルだった。大金をかけた大作戦争映画が氾濫する中、今作は非常に小規模でシンプルであるが相当の説得力があった。ラストシーンの言葉にならない重さは、戦争というものの真理を物語っているようだ。 [ビデオ(字幕)] 6点(2004-01-26 18:09:48) |
202. ゴスフォード・パーク
時代背景に裏づけされた人々の階級模様がそのまま舞台となる屋敷と映画の構図となり、非常に濃密で多面性のある群像劇が展開される。この手の映画は大得意な巨匠ロバート・アルトマンだけにストーリー展開とカメラワークが極めて見事で、多数の登場人物が混合することなくスマートに映画が進展していく。群像劇のみでも充分に見応えはあるが、そこに殺人というエッセンスが加わり映画としての味わい深さがさらに増す。 [映画館(字幕)] 8点(2004-01-26 17:51:02) |
203. ギャング・オブ・ニューヨーク
巨匠マーチン・スコセッシの多大な力の入れようはひしひしと感じたが、それが映画の完全な盛り上がりへとつながったかは微妙なところである。俳優陣の演技も熱演そのものの秀逸さだったと思うが、いまひとつ登場人物の心情に入れ込めない。映画世界の豪華さに圧倒される部分はあるが、冷静に観ると肝心のドラマ性に力がなかったように感じる。主要キャラ3人の人間像がいささか軽薄だったことが致命的だった。 5点(2004-01-21 23:30:37) |
204. トゥームレイダー
ストーリー&内容的にはアクション映画ということを考慮しても陳腐と言わざるを得ないものだったけど、主演を張ったアンジェリーナ・ジョリーの魅力で何とかカバーしていた。個人的にあの唇とスタイルはかなりフェチなのでそれだけでも観た価値はあったと思う。 5点(2004-01-18 02:53:53) |
205. バイオハザード(2001)
最新作“パート4”の劇場公開に合わせるように、テレビ放映されていた今作をチラリとだけ観た。 民放のカットだらけの吹替え版を観るつもりは毛頭無いので、本当に一瞬しか観なかったのだけれど、その一瞬のミラ・ジョヴォヴィッチが、あまりに若く麗しかったので、翌日、ブルーレイディスクをレンタルしに走った。 2001年の公開時に映画館で観てから何度か観直したとは思うが、かなり久しぶりに観た感覚で、やはり主演女優の初々しさが印象的だった。 “バイオハザード”シリーズの一作目である今作が、正味のところどんな映画かと問われれば、ずばりこう言いたい。 麗しいヒロインの”半裸”で始まり、“半裸”で終わる映画である、と。 今作は、世界的な大ヒットテレビゲームをスタイリッシュな映像美と卓越したホラー性で見事に映画化した秀作である。 監督のポール・W・S・アンダーソンのエンターテイメント映画作家としての力量は本物だったと思う。 ただし、この映画の成功における最大の要因は、主演女優の存在に他ならない。 ミラ・ジョヴォヴィッチの類い稀な“セクシーさ”と、アクションの体現との合致が、この映画を人気シリーズに発展させ、アクション映画における“スーパーヒロイン”の価値を確立したと言える。 “人気シリーズ”とは言いつつ、残念ながらこの一作目の満足度の高さに対して、他の作品は遠く及ばない。 その原因は様々あるとは思うが、今回改めて今作を観てみて、最たる原因が分かった。 それは、“エロさ”の圧倒的な欠如だ(大真面目)。 元来、ホラーにエロスは付き物だということは、長い映画史を振り返っても明らかである。 ミラ・ジョヴォヴィッチも子を産み、年齢的には既に“熟女”であるが、彼女が再び一肌脱げば、この“パート1”を越える”パート5”も充分に有り得ると思う(熱望)。 ※追記 “最終作”の「6」を観た直後に再鑑賞。 アリスがカワイイ!ミラ・ジョヴォヴィッチが若い!! 最終作のラストは、再びこの赤いドレスを纏って締めてほしかったな。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2004-01-18 02:38:49) |
206. シャドウ・オブ・ヴァンパイア
個性派を代表するほどの名優である、ジョン・マルコヴィッチとウィレム・デフォーの競演とそれを生かすであろうと感じさせるあらすじに期待せずにはいられなかったのだけれど、内容は極めて散々だった。両名優の顔合わせによるヴィジュアルは流石に目を引くものだっただけに、陳腐すぎるストーリーが恨めしかった。 1点(2004-01-17 04:37:11) |
207. ハリー・ポッターと賢者の石
正真正銘の子供向け娯楽映画だということを割り切れば充分納得できる内容だし、それなりの面白さはあったと思う。フィーバー(死語)したダニエル・ラドクリフの演技には辟易するが、映像的な完成度の高さは流石に高かった。対峙するように公開されている「ロード・オブ・ザ・リング」とは明らかに映画としてのレベルは違うけども。 [ビデオ(字幕)] 5点(2004-01-17 04:30:04) |
208. エントラップメント
予想よりもまとまりのある娯楽映画に仕上がっていたことは評価できるが、やはり完成度が高いとは言いがたいものがある。ショーン・コネリーの渋さや、キャサリン・ゼタ・ジョーンズの艶やかさは華があるが、二人のバランスがいまひとつ悪かったように感じた。 [地上波(吹替)] 3点(2004-01-09 14:09:06) |
209. ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
こういう監督のこういう映画を観ると、映画はまだまだ物凄い可能性を秘めているのだということを痛感し、幸せな気分になる。ストーリー展開の斬新性、繰り広げられる群像アクションの痛快性に没頭せずにはいられない。 8点(2003-12-24 01:39:18)(良:1票) |
210. スパイ・ゲーム(2001)
大雑把なアクション大作とは一線を画した、心理戦に優れたストーリー展開が非常に興味深く見応えも大きかった。ロバート・レッドフォードが挑むゲーム盤上の闘いのような手触りは、タイトルにふさわしく新感覚の緊迫感が楽しめる。映像的にも趣向が凝らされ集中が途切れない。完全に「殴られ役」に徹したブラッド・ピットの頑張りも評価したい。 8点(2003-12-24 01:07:21) |
211. 2001年宇宙の旅
観客に意味が伝わらなければ、どんなに崇高なテーマを持っていたとしてもその映画は駄作であると思う。今作もその類に極めて近いことは確かであろう。しかし、尊大なラストシーン、あの瞬間に私は震えるような、何かが目覚めるようなひらめきを感じた。かたっくるしく難解なストーリーのすべてが一気に脳裏に流れ込むような衝撃を感じたとしか言うほかない。この伝説的映画が真の傑作かどうか、一度しか観ていない私には判断できない。ただ、もしかしたら人間の想像力と創造力の限りない深遠まで近づいた映画なのではないか、そんな気がするのは確かである。 [DVD(字幕)] 10点(2003-12-17 14:21:29) |
212. ショコラ(2000)
ラッセ・ハルストレム監督作品に共通しているものは、実は人間の本質を描く辛辣さだと思う。洗練されたオブラートに包まれているが、描かれるテーマは人間の本性を鋭くえぐってくる。今作もまさにその特色にふさわしく、甘美なチョコレートを全面に押し出し、その甘い香りで映画全体を包み込んでいるが、描き出したものは人間の本質的で抑えきれない欲望である。この一歩間違えば、極めて風味が悪くなりそうなテーマをファンタジー性溢れる温かいドラマに仕上げる。その崇高な世界観がハルストレム監督には長けている。 [映画館(字幕)] 8点(2003-12-17 13:16:06) |
213. イグジステンズ
グロテスクなゲーム世界との行き来を軸に展開される世界観は奥深さを感じたが、それが映画自体にはあまり反映されずに終わってしまった感がある。さらに作りこまれた脚本であれば、相当に濃厚な映画になっていたに違いない。 [ビデオ(字幕)] 4点(2003-12-16 21:14:00) |
214. スターリングラード(2001)
銃口の先の緊迫感。今作ほどその緊張感に包まれる映画はなかなかない。戦争という愚行の上でさらに繰り広げられる愚行。それでも彼らは生きる限り、愛するもののためにその標準に目を合わせ見えざる敵と対峙し続けなければならない。圧巻のリアリティと迫力による冒頭の戦場シーンから一気に一人のスナイパーの英雄伝、強力な敵との張り詰める対決へと昇華させる説得力に溢れたエンターテイメント性に圧倒される。傑作の名にふさわしい重厚なアクション映画だ。 9点(2003-12-16 20:06:32) |
215. ハンニバル(2001)
「羊たちの沈黙」の続編である以上、観客が前作と比較して今作を観るのは仕方ないし、そういう見方をすればやはりマイナス点は多いと言える。だが、もし前作から距離をおいて観ることができれば、今作は非常にクオリティの高いサイコサスペンスと位置づけられるはずである。何と言っても、リドリー・スコットのよる崇高なまでの映像美は流石である。ヨーロッパの街並みを悪魔が暗躍していそうな怪しい美しさで包み上げている。そしてそこをまさに悪魔であるハンニバル・レクターが闊歩するシーンは怖ろしいまでの完成度の高さである。 8点(2003-12-16 19:52:15)(良:1票) |
216. プランケット&マクレーン
もっと爽快感たっぷりのB級時代アクションを期待したのだけれど、チープな展開にテンポの悪さだけが残りまったく楽しめなかった。時代背景の不潔感だけが漂い、爽快感はおろか不快感しか残らない。 2点(2003-12-16 19:41:55) |
217. スナッチ
衝撃性と珍妙さを併せ持つバイオレンスフルな展開による群像劇はとてもツボにくるものがあり楽しかった。軽快でスタイリッシュな映像感覚もクオリティ高く引き込まれる。ガイ・リッチー監督にはこれからも「笑えて、カッコイイ、バイオレンス映画」を作ってほしいと思う。 8点(2003-12-16 19:16:15) |
218. BROTHER
「その男凶暴につき」「ソナチネ」とバイオレンスの秀作を生み出してきた北野武であるが、今作は北野ワールドにおけるバイオレンス性という点でのひとつの頂点となる作品だと思う。世の中にバイオレンス映画と呼ばれるものは数多いが、この映画ほど狂気的な凶暴性と同時に鮮烈な叙情感を描き出している映画は他にないだろう。その「動」と「静」の絶妙な共存こそ北野武の世界観であり秀逸さに他ならない。展開されるすべてのシーンが衝撃的であり、感慨深い。 [映画館(邦画)] 8点(2003-12-16 01:14:45) |
219. マン・オン・ザ・ムーン
実在のコメディアンを演じたジム・キャリーはまさにハマリ役で言い演技を見せていたと思うが、ストーリー展開が散漫で盛り上がりとテンポの良さに欠ける部分があった。主人公のキャラクターには非常に絶妙な可笑しさと悲しさが相対しあっており感慨深さがあっただけに、それを生かせない映画に終始してしまったことは残念だ。 [ビデオ(字幕)] 4点(2003-12-16 00:50:51) |
220. 恋におちたシェイクスピア
観る前のイメージに反して非常にテンポの良いストーリー展開と小気味いいキャラクター陣が大いに楽しめた。主演のグウィネス・パルトロウとジョセフ・ファインズの雰囲気がとても文芸的で映画世界にマッチしていたと思う。演出、映像世界など映画自体の完成度も極めて高く、存分に満足できる娯楽文芸映画だった。 [ビデオ(字幕)] 8点(2003-12-13 19:46:08) |