321. 下宿人(1926)
観ていて、ほとんど映画史のお勉強という心持ちになってくる。頑張って観ているという感じだ。幸いストーリーがビフォー・ヒッチコック的なサスペンスなのでなんとか寝ずに観られたけれども。 びっしり抑揚無く背後に流れ続けるサロン音楽がぽろぽろぽろぽろ・・、これ結構苦痛。映画音楽というジャンルが確立されている現代に感謝だ。 心理描写はこなれていないし真実は取ってつけたみたいで脚本も粗い。同年代にはキートンやチャップリンといった傑作もすでに世に出ているのだから、この映画が退屈なのは「昔のだから」という訳ではなく、単に作り手の技量の問題か。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2017-04-30 23:24:01) |
322. ブリングリング
《ネタバレ》 窃盗はもちろん犯罪であります。が このケースは盗られる方も所持品が多すぎて被害に気付かない、という傍から見れば「馬鹿vs馬鹿」の構図になってて新しい。 盗みに走る若者らの青春ならではのイキオイというか、若さの傲慢が放つ一瞬の輝きを描くしか映画にならないと思うんだけどどうもS・コッポラはその辺失敗したみたいだ。お得意のゴージャスショット、例えばブランドのバッグやアクセサリーや靴などがずらっと並ぶパリスヒルトンの家の中を撮りたかっただけなんじゃないの。 盗られても気づきもしないセレブたちに同情は一片も湧かないし、かといってアーダルイーパリスん家に盗みに行こ?とドラッグとパーティに明け暮れる高校生らを眺めていても予想通り不快の感情しか起こらない。ボニー&クライドに自分らを例えるなふざけてんのか。 そして常々思うんだけど、議論スキルを植え付けられている向こうの人って十代でも口が減らないのね。自己弁護が闊達なこと、ラストのエマ・ワトソンなんて観る者全員の神経を逆撫でするような図々しさであります。もっとも、これでハーマイオニーイメージも女優として払拭できているわけで、1点はそんな彼女に献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-10-21 16:52:59) |
323. ことの終わり
《ネタバレ》 参った 合わなかった 昼ドラなんだもの。 男女間の好いた惚れたに神様持ち込まれると非キリスト教徒のワタシには全く理解が追いつかないよ。「神への誓い」だからファインズと別れる、って妙に神様に律儀なサラですけど、でも現夫との結婚に際しても神に誓ったんじゃないんですか?死が二人を分かつまで、って。そちらの方は反故にしてもへっちゃらなわけですか。いや別に不倫はイカンと言いたいわけではないけども。 小説家は脳振とうで倒れてただけで(多分)、それを早とちりして神の起こした奇跡だわ、っていやアンタ落ち着け。 野暮天な私にはちょっとtoo muchなどろくさい恋愛話。J・ムーアとR・ファインズのクラシカルな風貌は時代の雰囲気にぴったりだったけど。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-06-27 00:34:10)(良:1票) |
324. 世界殺人公社
良かったこと・オープニングがおしゃれ。画に重厚感あり。 でもよくわかんなかったこと・結局007もどきなコメディ?にしたかったのかな。あんまり面白いとは思わなかったなあ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-05-28 00:57:10) |
325. バーバリアン怪奇映画特殊音響効果製作所
なんつうか、”けったいな”という表現しか思いつかない作品。よくこんな題材思いつくよなあ。 ホラーな音響を作ってるうちに擬似殺人を犯している気分になり、メンタルをやられる技師トビー・ジョーンズがそもそも”何かを抱えている”風貌なので、はまり役である。はまり過ぎだ。彼以外の役者だったら単なるノイローゼ患者の人物描写になっただろう。事務仕事がずさんなイタリア人気質までが彼を苛むのだった。(笑) ”何かが起こってすとんと落ちる”話では一切無い。ぽかーんとしているうちに終わっちゃうのだけど、まあー奇妙奇天烈、じわあーと不快な気分にさせられる強烈な印象は残します。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-01-30 23:42:59) |
326. クローズド・サーキット
《ネタバレ》 国家謀略に個人が巻き込まれるサスペンス。パターンが従来のものと変わりばえしなくて(証人や弁護士が狙われる・怪しげな上級役人が絡んでくる等)、なんかいまいち。英国の司法制度のなじみの無さもとっつきにくくしている。エリックの抱える個人的な家庭事情もほとんど筋に絡んでこないし、だからどうなのと思うような雑な描き方。防犯カメラの映像がちょくちょく使われるけど、緊迫感を煽るどころか逆に観づらいな。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-06-03 00:09:01)(良:1票) |
327. モンティ・パイソン/人生狂騒曲
《ネタバレ》 コメディってセンスが合うか合わないか、なので駄作か否かという議論が成立しないジャンルではあります。私が笑えたのは最初の短編のみ。ビルごと他社に突撃、キャビネットで応酬、防戦するビジネスマンたちと襲い掛かるじーさん達。あとの話はゲロやグロだったりで、笑うツボから見事に逸れてしまったなあ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2014-09-22 00:00:10) |
328. マリリン 7日間の恋
俺さあ、マリリン・モンローとちょっと付き合いあってさ、いや仕事でだけどね、というスタッフの自慢話だった。邦題といい、マリリンがこの主人公と恋に落ちました的なストーリーといい、どこまで盛ってんだか。彼女の遅刻癖とか夫との不仲とかはとっくにゴシップネタとして世間に知れ渡っていることで、この映画からはマリリンの実像なんてさっぱり見えてこない。そしてこれは創作を観ているワタシの責任ではあるんだけど、M・ウィリアムズがマリリンじゃないんだ。精一杯演じているのはわかるんだけど。メイクや仕草を真似ても、スクリーンのマリリンをなぞっても、天然マリリンの自家発光とは決定的に何かが違ってる。私はマリリン・モンローに恋焦がれたこともあるので、ミシェルに想像力を効かせることができなかった。主人公の貴族の坊ちゃんはへらへらしてるだけだし、マリリン・モンローを観てた時のトキメキももらえないし、なんだかなあな映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2013-11-08 01:12:22) |
329. レズビアン・ヴァンパイア・キラーズ
レズビアンのヴァンパイアだからね。何をかいわんやのB級映画だろうことは百も承知で観たんだけれど、いやーもっとばかばかしくてもいいのに、と思ってしまった。この手の映画にしては美術もしっかりしちゃって、お姉ちゃんたちもそこそこ美形でその上期待されるようなエロさもありませんし。B1/2級映画といったとこでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2013-06-27 00:07:33) |
330. クライング・ゲーム
《ネタバレ》 主演の2人がねえ、ちょっと私にはピンと来ないんです。映画ですからね、主役を張るからには雰囲気なりオーラなり持っててほしい。どうしても隣近所のおじさんやおねーちゃんがスクリーンにいるつまんなさが振り払えない。吉本新喜劇座長の小藪くんに似てる、と一度思ったらもうシリアスな話に乗れなくなっちゃった。あーそして不幸なことに彼女をひと目見たときに「なんかごつくてオカマみたい」と思ってしまって自分でストーリーを粉砕してしまったし。あくまで評価は私のせいです。 [ビデオ(字幕)] 4点(2012-12-06 11:34:23) |
331. Emma/エマ(1996)
《ネタバレ》 美しい19世紀イギリスの風俗に心惹かれるままに入っていったら、上流階級の井戸端話に放り込まれた気分。ヒロイン、エマのやってることったら完全にとんちんかんなのに、コメディの愛嬌も無く常に上から目線なんですわ。この高慢ぶり、観客を味方につけようって気はないんだな。美術さんたちの健闘ぶりは素晴らしいです。往時の風景、家屋、衣装何もかも。こんな話になっちゃうなんて勿体無い。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-11-27 16:35:52) |
332. 裸のランチ
そもそも、ラリッた奴の頭の中が整合性が取れてるわけがないので、ストーリーを理解しようとするのはハナから意味が無い。もっと、てんで破綻しちゃってんのかなと思ったら、監督けっこう一生懸命話つなげて物語を作ってる。エライなあ。面白くはなかったけど。ジュディ・デイビスがこの作品から声がかかったことに当初軽い怒りを感じた、ってエピソードに笑った。なんで私がムカデなのよってムカついたのですね。もっともだ~。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-02-04 02:27:38) |
333. ヘアスプレー(2007)
こんな脳天気なテイストで人種差別問題を語るなんて人種差別問題に失礼じゃないのか。せっかくのトラボルタなのにダンスの見せ場もなし。クリストファー・ウォーケンの修羅顔で雑貨屋の親父役は無理。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2011-07-10 18:25:18) |
334. アドレナリン(2006)
《ネタバレ》 スピード感のあるバカ映画。バカといっても微笑ましい奴なら生暖かく見守ろうという気持ちも湧くけど、この映画はセンスが悪すぎる。ステイサムも仕事を選ぶべき。 ショッピングモールを車で破壊しながら突っ切る、というのは‶ブルース・ブラザーズ(80`s)”の時代なら演出としてアリだったし笑えたけど、テロが頻発している今はなんか違う。 中東系の運転手を衆人の前でアルカイダ呼ばわりして暴行を受けさせるのも引くし、ましてや街中の人ごみの中での性行為ってAVじゃあるまいし。 ちょっと思ったんだけど中華街でのこのシーンて、設定がマンハッタンとか西ヨーロッパの都市だったら撮らなかったんじゃないですかね。アジア人の前でなら白人の行為の下品さや非常識が薄まるとでも思ってないだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2023-10-09 00:14:48) |
335. 007/ダイヤモンドは永遠に
《ネタバレ》 007にS・コネリーが戻ってきた!という看板だけで商売しやがってますね。あんまり面白くないですもん。 序盤まではテンポよくまだ観られましたが、葬儀屋で強運すぎる生還をしてからは一気に脚本力が低下していきます。 ネタ切れとか水増しとか皆さんの感想どおり原因はいろいろあるんでしょうが、ボンドが何故ここに来て何を目的に動いているんだろうと度々話を見失うのには我ながら疲れました。飽きながら観てたからでしょうな。 そうだ、ゲイの暗殺者ペアのみシリーズに新風を吹き込んでおりました。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2022-03-14 23:49:30) |
336. 007は二度死ぬ
《ネタバレ》 うわー、これは一体。ショーン・コネリーのキャリアに燦然と傷跡を残すすっとこどっこいな怪作ですね。あーあ日本が絡んでるなんて(泣) 冒頭からアヤシイもんな。エド・ウッドに毛が生えたレベルの宇宙船があろうことか敵艦(?)をぱくっと食べちゃう。自分でも何を言ってるんだか。 あとはもう、ボンドを女とイチャつかせるために話が展開していくみたい。太ったコネリーは数少ないアクションシーンもキレが無く老け込んだ感が強くて魅力的じゃありませんでした。誰ですかボンドの首に手ぬぐい巻くよう指示したのは。 日本の描写についてはもう何をかいわんや。「日本の女は胸毛が好きだ」って丹波さん何言ってるんすか。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2022-01-31 22:48:37) |
337. シンプルメン
《ネタバレ》 私は映画雑食なので、インディーズにアレルギーは無いです。ジャームッシュやソダーバーグらのおっそろしく地味な卒業作品も、面白いと思いました。 でもハル・ハートリーの本作、これは相性が合わなかったみたいだ。インディーズってそもそも自分のセンス全開で「わかる奴にだけわかってもらえば良い」というスタンスだから、つまりハートリー氏とは感性が合わないんだろうな。 途中で出会う鼻ピアス女子高生の存在、意味がわからない。何人かの登場人物がぶつぶつと単語を繰り返すその意味も。 へんてこなダンスシーンは奇妙ではありますけど、いかにも非営利、アート感、ザ・インディーズな作り手の過剰な自意識がすごくうるさい。 すぐ手を上げる女性らが、やたらと乱暴なのも嫌です。 当初の目的の父親探しが達成されてもびっくりするくらいアクションが何も無いんですね。人物らのちょっとした「間」を読ませるといったジャームッシュ的な技巧もないですし、もうどうにも退屈してしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2018-08-05 16:35:22) |
338. ラブリーボーン
《ネタバレ》 いろいろと釈然としない映画。不運によって命を奪われた死者に語らせること(しかも生者の想像で)は、死に対して不敬な感じがする。ましてやこの話は女の子に「私は14才で殺された」と言わせる。こんな胸糞悪い思いをさせる以上、この娘の魂が安寧に休まる軌跡を描くべく、制作は全力を注入すべきなのだ。 しかしね、これが「全力で」女の子の死を扱った出来栄えだろうか。そもそも何故成仏(という言葉を使わせてください)しないのか。どんな想いを置き残してきたのか。パパが心配なのか、初デートが果たせなかったことが心残りなのか、少女の想いはどれもうっすらぼんやりと描かれるのはどうして。ここ肝でしょ。 しかもこの子の死後の想いだけでなく、崩壊した家族とその再生ドラマ、さらに殺人犯をいかに挙げるかというサスペンス要素まで盛り込んであるので当然尺が足りない。結果描写は浅くなる。お陰でS・サランドンは奮闘虚しく話から浮いているし、R・ワイズは自分の悲しみを優先して家族を放擲する自己中母さんになっている。ついでながら「天国」の画もありがちなテカテカにキレイなCGで好きではない。 こうも不満が溜まった折りも折、犯人は天罰が当たったようで。これもまあ、あんなぬるいことを、とやんなっちゃった。 あいつはね、レクター博士にでもとっつかまって、ゆっくり食われてゆくぐらいの「天罰」じゃないととてもやり切れないよ私は。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-07-10 00:03:57) |
339. リボルバー(2005)
ガイ・リッチー 大好きだけど、これはダメじゃないかな。何を考えすぎたのか彼は。意味不明映画は数あれど、評価されてるのは仕掛けの上手いD・リンチとかクローネンバーグとかアート度数の高いヤツでして、あなたとは住むジャンルが違いすぎる。 特にJ・ステイサムの訳わかんない独り台詞の長いのには泣かされた。自分探しの真っ最中ということ? この当時のヨメと離婚したのちの「シャーロック・ホームズ」とかは実にストレートなエンターテイメントに仕上がっているので、やはりこの頃の彼は若干神経症を患っていたのではと思われる。 相変わらず卑屈演技やらせたら超一流のレイ・リオッタに免じての点数です。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2016-12-28 19:08:40) |
340. ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館
《ネタバレ》 ネットにごまんとある心霊動画レベルの虚仮おどしの連続。プロットの練られ不足といい、画づらで脅かそうという意図が丸出しです。 話が一向に進まないなあと思っていたら突然主人公が解決法を提案。そんな稚拙な方法で?と見守るも、効果が無かったらしい。あのラストはないわ。大体、19世紀に探し物をするのになんで昼間からやらんの。わざわざ夜中にローソク立てて、で朝になったら館を出る、ってどういうこと。○○を見たら呪われるぞ、というセオリーが例のビデオとか花子さんの類の発想なんですな。21世紀なのにまだやってるのか、と思わずにいられません。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-09-07 00:26:46) |