61. イベント・ホライゾン
《ネタバレ》 フィッシュバーンをじっくり見ることができてよかった。リーダーシップ全開の彼ははまっていてよいなあ。「My ship」ですよ。「My」っていうところに力を入れて言うのよね。ジェイソンアイザックスとショーンパートウィーなんて悪人顔を2人も揃えて、おまけにフッシュバーンの濃い顔は言わずもがなで、顔面的には迫力ありすぎ。ところで、幻覚に襲われる人とそうでない人、早めに幻覚を見る人と遅い人と最後まで見ない人。これって面白いですね。私の見たところ、これはそれぞれのキャラの「動物的な生命力の含有率」と比例するのではなかろうか。生き残った黒人の彼とスターク(女性)は最後まで幻覚を見てないらしいし。見てない人が生き残ったのね。反対にウェアー博士なんて到着前から夢に見ちゃってるし。ジャスティンを除けば博士の次は女医さんだし。どうもインテリ度が高い人から感染?していくみたい。インテリになるほど生命力は落ちるのか。 [DVD(字幕)] 7点(2006-01-28 00:12:34)(良:1票) |
62. トレインスポッティング
《ネタバレ》 やっぱ「レクイエムフォードリーム」が出た後ではこの作品の位置は下降気味であろう。 個人的にも「レクイエム」を推す。「トレイン」では、ボイル得意の「アイルランドの愁い」がウザかった。なんとなーく「アイルランド」の「愁い」はわかってきたけれど、「こんなとこに生まれて最悪」っていう「セリフ」で思いっきり表現されちゃうと、しらけてしまうんだよな。そんなもんじゃないですか。「お里」的な「愁い」ってさ。ユアンが部屋に閉じ込められて、ヤク断ちさせられるところに、私のS心がかなり刺激されました。(「28DAYS」とかもそうでした) [DVD(字幕)] 7点(2006-01-03 23:39:21) |
63. シンプル・プラン
《ネタバレ》 あらここにもマクベス夫人が。ビリーボブソーントンの知的障害者がすごくリアルで、演技とかどうでもいいと思ってる私も殿堂入りさせたくなる。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-01-02 21:36:35) |
64. エンゼル・ハート
《ネタバレ》 「悪魔に魂を売った男」てのは映画としてはめずらしくないが。さらに日本人が見ても、心の底から「なんてことをするだー」とは思いづらいが。これは「穢れ」に対して欧米人が「So what」と思うのと同じなんでしょうね。ともあれミッキーロークは総入れ歯で2枚目を演じるとはご苦労なことだ。ヒラヒラパンツでボクシングも。それとデニーロが何個卵をむかされたのかが気になる。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-31 22:42:40) |
65. アバウト・アダム アダムにも秘密がある
《ネタバレ》 いろんなタイプの女の人を、自分ひとりで幸せにしまくる男アダム。普通に考えると、「そんなめんどくさいことよくやるじゃん」なんだが、「アダムさえいれば、男なんてそんなにいっぱいいなくたっていいんじゃん」、という「サンデーサイレンス状態」ともいえる。 「一部の優秀な男」と「その他大勢のどうでもいい男」との差別化である。当然、男子諸君の視聴後感は良くないであろう。なお、アダムがケイトを結婚相手に選んだワケは、「他の女たちと比べて、最も独占欲との折り合いがつけられる女」だったからなのだ。男子にとっては「こーゆー男が実際に現れたなら最悪」の映画であり、女子にとっては、「つまんない男を独占すること以外にも、満足できる形はあるのかも」という思いがよぎってしまう映画であり、見る側の性別を選ぶ作品なのであった。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-29 14:33:22) |
66. ギャザリング
《ネタバレ》 宗教映画。いわば「ドラキュリア」とか「第7の予言」の番外編といえまする。「すべてそっからはじまっとるねん。」キリストを売ったやつは吸血鬼にされて日の光を浴びられず、死ねない体にされ、傍観してたやつは、いちいち悲惨な現場に集まらされ、やっぱり死ねず、ずーっとずーっと罰を受けとる。「自己犠牲」によってのみ神の赦しが得られる、というところ、「コンスタンティン」にも出てきましたね。ここまでして布教に努めていただいているところでありますが、申し訳ないが日本人にはほとんど効果はございません。1%だよ。100人に一人くらいしかいないんだよ。映画を見て入信する日本人なんていないんだな。「無宗教」という宗教をやっているような我々日本人だ。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-23 16:44:57) |
67. 蝿の王
《ネタバレ》 話題になっていたこれ。だいぶ前に見たが。「秩序」を保つために必要なものとはなんなのか。 この子たちに「何」が無いために、秩序がなくなったのか。 たとえば、非常に小規模な集落で、「秩序」が保たれているところがあるとしたら、それはどんな集落なのであろう。我々はきっと、ネイティブアメリカンの長老のいる集落などを思い浮かべてしまいませんか。「知恵」とか「長幼の別」とか「家族」がないと、人間の集落はうまくいかないものなんでしょうか。「ほっとけば人間は悪さをするのが当然」ということを強調しているというより、「じゃあ、あなたはどういう状態なら、人間は殺し合わなくてすむと思う?」っていっているように感じた。個人的には。決して、「子供ですら、こんな邪悪なんだよ人間は」がメインテーマとは思わない。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-10 01:51:35) |
68. クライング・ゲーム
《ネタバレ》 分かってるけど楽しめる。スターゲイトの人ですね。ここまできれいなら切らないんだろうか? ヘドウィグには悪いけど、レベルが違うキレイさだよね。出番ちょっとしかないけど元彼の黒人が絶妙。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-11-23 19:37:26) |
69. ファーゴ
《ネタバレ》 うーん、見る人が見ればきっと違うのであろう。なぜアカデミー賞。 ある評論家が「妊娠小説」という言葉を発明したが、これは「妊娠映画」。 見ている間とにかくずーっと腹が重いのよ。だから息切れしながら見てるような、おかしな感覚なんだって。「はやく産んじまってくれよ、気になるから」だ。狙いといえばあまりな狙い方じゃ。疲れるので再視聴はなし。 [DVD(字幕)] 7点(2005-11-21 23:31:05)(良:1票) |
70. スイミング・プール
《ネタバレ》 頭の中が「???」になったが、いろいろな方のレビューに助けられ、半分くらいは「なるほど」となった。しかし、なおさら「だからなんなんだ?」感が残った。オゾンの不可解さをなんとかしようと、「8人」を見てみたが、とんでもなく合わなかったので、もうオゾンとは手を切ろうと思った。ランプリングは孤独の似合う女優さんだな。 [DVD(字幕)] 7点(2005-11-21 23:23:09)(笑:1票) |
71. バリー・リンドン
《ネタバレ》 長い。そしてしつこい。そして当然ながら説明はいっさいない。見るのに体力が必要。これはつまり、肉食民族向け。自然光で撮られた映像が、アホらしいほど美しい。ヘンかもしれないけど思わず笑ってしまうほど美しい。やっぱりキューブリックは変人だなあ、と思った。あのー、もしかすると、彼は「美しい中世の映像」さえ撮れれば、話はテキトーでもなんでもよかったんじゃないかなあ。疲れるのでこれは二度と見ることはできぬ。 [DVD(字幕)] 7点(2005-11-20 18:23:05) |
72. エリザベス
《ネタバレ》 ケイトブランシェットの地味めの容貌が吉と出ました。これ、可愛い系でもセクシー系でも超美人系でもダメですよね。これはリアルに見える映画だった。「へー。1世てこんな生活しとったんかー」と覗き見感覚もあり。フランス王(王子?)とのやりとりが良かった。大人のあしらい、しびれますねエリザベス。「男を人生の中心に置かない」というのは、ロシアのカテリーナ2世にも通じますね。そこに至るまでには色々あるわけですが。「私は父の娘です」て、すごく重要なセリフなんですよ。母を切ることでしか、自己肯定できない立場にあったんですから。そして「父の娘」(しかも女癖の悪い父)であることが彼女のアイデンティティのすべて。とにかく「本物に見える」こと、「本物の威厳を感じさせる」こと、がんばったと思います。ラスト荘厳。 [DVD(字幕)] 7点(2005-11-20 17:46:11) |
73. 運命を分けたザイル
《ネタバレ》 実話に弱い。これを見終わって思ったことはただひとつ、「遭難した主人公はボンボンで鼻持ちならないイヤーな奴にちがいない。」いやいや、そういう人でないと、生き残れないよ。友達にはなりたくないけど。サイモンと比べてみ。もう全然普通じゃないよ。 [DVD(字幕)] 7点(2005-11-20 14:53:44) |
74. ザ・ビーチ(2000)
《ネタバレ》 ボイルで唯一及第点を出せる一品。これといって美しい俳優さんも出ていないのに、美しく仕上がっているのは、タイのおかげと、もちろんティルダ様のおかげです。レオはフェロモンの出ていない俳優さんであることを再認識。ボイルは俳優選びに問題があるな。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-11-17 20:44:21) |
75. THE 4TH KIND フォース・カインド
《ネタバレ》 なんのことはないオール作り物ということだ。 そうか。 そのわりには、「本当です!」とさんざん女優を使って言わせているのはなんだ? そして、居もしない「アビゲイル・タイラー」を演じた超げっそり女優はいったい誰なのか。 彼女は、「他の作品に出ない」「名乗り出ない」という条件で引き受けたはずだけど、その見返りとしてギャラはどのくらいもらったのかなあ。 さて、真贋を知らずに見始めた私は、「アビゲイル・タイラー」さんにすっごく違和感を感じたわけです。…このヒト、本当に「インテリ女」なのか? 心理学の博士であるはずなのに、その話し方にちょっとも知性が感じられないことがヘンなのだ。 いわゆる学者さんのはずなのに、客観的な視点で語ることが一度もないこともヘンである。 …このヒトは、心理学の学位を持っていて他人のカウンセリングをしていたことが、ほんと~うにあるのか??それにしてはなんか、「バカっぽく」ないのか? それとも、一連の出来事が、インテリであった彼女の人格を破壊した結果であるだけなのか? 私の違和感は当たっていたわけで、この「バカ」ぶりは単に役者による演技だったわけですが、こんな演技をつけた演出者はまったくセンスがありませんね。 結局私はげっそり女優のせいでいまいちノレず、心地よい騙され感を味わえなかった。 意味は全くないけどもしもこの話が事実だったと仮定したならば、私はこういうふうに考える。 催眠中の被験者の状態は「悪魔憑き」にそっくりである。 「悪魔憑き」はキリスト教の影響が無い地域では起こらず、日本なら「狐憑き」などと呼ばれ患者は「コンコン」と鳴いたりする。 …「憑き物」状態は患者の都合によって表象が変わるということになるから、メンタル病の一種だ。 そして、ここでは憑依した宇宙人がなぜか「己は神である」と宣言する! 日本だったら神じゃなくてほかのものになるだろうなあ。 ということでシュメール語を話すとか映像が乱れるとかいう説明不能なことがあったとしても、「憑き物」状態はとにかく病気ということでいいのだ。それが「悪魔」とか「宇宙人」とか「狐」とかいう特定の憑依主を表現している限り。 それにしても、ジョヴォヴィッチを勧誘するために事前に山ほどのフェイク映像を作って彼女に見せたとか、そんなこと許されるのか。ミラはいつまで騙されているのか(信じちゃう時点でやっぱ世間知らず)。 [DVD(字幕)] 6点(2010-12-03 17:06:26) |
76. 恋愛上手になるために
《ネタバレ》 グウィネスの弟が監督して姉も出演した、妙に豪華キャストだけど埋もれた映画。邦題もひどいです。 豪華キャストなんだけどなぜか知名度が低い作品…主演のカレ、問題はこのヒトかも。知らない、こんな男優さん。 と思ったら、イギリス人なのか。どうりで…この系統のイギリス俳優はケネス・ブラナーの後継者ってところですね。 〝ケネス・ブラナー的なるもの〟とはなにかというと、顔が十人並みで多少童顔傾向、身長はけっこう低く、手足が短くぽっちゃり系(非マッチョ)…というような特徴をもち「男は中味で勝負」というおよそ俳優に向かないタイプを指します。私が勝手に決めました。 で、ケネス・ブラナーはイギリスで活動して「中味(知性)で勝負」ということで成功したのですが、ゲリー役のマーティン・フリーマンも同じような感じで勝負してきたんだけどいきなりアメリカ市場に主役で殴りこんでもそれはムリというものなのだった。 …アウェイなんです。アメリカの女優・男優・スタッフの真ん中にケネス・ブラナー的なるものを放り込んでも。ケネス・ブラナー本人ではないわけだから、「キミ誰?」ということで来ているわけだし。 見た目が特に優れず知性で勝負といったら、アメリカには堂々のウッディ・アレンがいるわけですが、それは「面白い(笑える)」から生き残ったわけで、ケネス・ブラナー的な俳優にはそういうものは少しはあるけど強烈には存在しない。「無名のケネス・ブラナー」は「そんなに笑えないウッディ・アレン」と同じようなことなので、マーティン・フリーマンを主役にしたのは大ミスなのだった。 正直、この人をずっと見ているのはキツかったです。「なんでこのヒトが主役なのか?」「なんでこの顔をずっと見ていないといけないのか?」「身長が足りない」「手足が短すぎ」…。 でまあ、内容はまあまあなんですけど、作品の途中では「どこからどこまでが夢なのか」というよくある謎解きはしなくていいように私は思いました。ラストでベッドサイドに佇むドーラのシーンは「絶対に事実」なので、そうするとアンナ登場シーン以外は事実と考えてよいはずです。 なにか結局、ゲリーは常に親友ポールの持ちものを欲しがっている…という解釈もアリなのか? ドーラはポールの元カノだし、アンナはポールの妻と同系統。そのへん、深読みしすぎでしょうか。ラストは気が効いてました。 [地上波(字幕)] 6点(2010-09-03 21:15:55)(笑:2票) |
77. ライフ・イズ・コメディ ! ピーター・セラーズの愛し方
《ネタバレ》 私はストレンジラブ役でしか知らないのですが、とにかく似ていると思いました。 色々と演出の工夫(?)もあり、正統なリスペクト映画の方向を捨ててある意味破綻させることで「人格破綻者」セラーズにふさわしい作品を目指した…のだろうか。 なにしろ、登場人物は「何事も見たいようにしか見ないセラーズの目に映る状態」で現れるわけですから、「子供たちがいつまでも成長しない」とか「元妻が老けていない」とか「母親が一定以上に老けない」とかいうことになります。 …けれど、「チャンス」出演後のセラーズは急激に老人になっています。本人が老いに気がついた、現実を認めた…ということでしょうか。 面白いのは、彼とかかわる女性はみな「母親」のように接するようになっていくところで、おそらく本人にそういった魅力があったのでしょうが…女性と見れば母親のようにしか扱えない、すべてを捨てて甘えることしか知らない〝永遠の少年〟セラーズ、困った男でした。相手が母親役をやってくれなくなると、キレて暴力に走ってしまうわけです。「どうして僕のことをわかってくれないんだ。僕は少年なんだ。かけひきとか包容力とか分別とか最初からあるわけないだろ。自分が子供なのに他の子供に寛容になれるわけはないだろ。僕が少年をやっているのに君がママをやってくれなきゃ反則じゃないか!」よ~くわかります彼の言いたいことは。まあ、母親役をやってくれた女性たちも、結局は途中で投げ出しました。無理ですよ白人女にそんなの。 こういう人こそ、一生独身で子供を作らずベートーベンのように生きるべきなのですが、真逆に行ってしまうところが…人生はままならぬ。 脚本の内容がそれほど厚くないので、セラーズによほど興味のある人でなければ、長いと感じると思います。尺は90分くらいで良かったのではないでしょうか。ともあれセラーズの破綻者ぶりがよくわかる一作。 [地上波(字幕)] 6点(2010-07-07 20:23:33) |
78. ザ・コア
《ネタバレ》 アーロン・エッカートはさあ、悪いけど脇役顔だと思うんですよ。演技が下手とかいう以前に、主役を張ってはいけないと思う。このごろはなにか間違えて主役をやっているけどもさ。 とにかく私は好きじゃないんです。そして、今回に関しては、ヒラリー・スワンクの色気の無さに救われた気がします。これで帰りの艇内でいちゃいちゃされようものなら、最後まで見ませんて。 スワンクは要するに女性兵士とか女性警官とか女性消防士(?)とか、制服職業が向いてることがはっきりしました。もちろんナースとかスッちゃんは除く。 ヨケーな色気が邪魔になるような場面で、スワンクは輝く。なのに、間違えて妖艶な美女とかになってはいけない。 この手のサバイバルパニックを見ているときに、思うことは「誰が生き残るのか」「どういう順番で何人が死ぬのか」ということだけになります。だって、作戦が成功することはやる前から間違いないし(人類絶滅というエンディングは絶対無い。除くキューブリック)、誰か1人は生き残ることも間違いないので、観客の関心事はこの2点しか残っていないのです。 それでですね、エッカートが生き残ったことはどう考えてもおかしいわけです。こいつが一番死んでもいいはずでしょう。船の設計者が運転も可能であるなら、設計者が最後になるはずです。彼だけがいろんな事態に対処できるからです。そうでなければ、運転者が最後、その次が設計者です。クジ引きなんてありえませんぜ。 そんなわけで、エッカートを生かすためにリアリティを無視してクジ引きとかやるわけですけど、もうバカバカしくてやってられないぜ。 それでエッカートが犠牲になってスワンクだけが帰還するなり、二人で心中するなりというラストなら、まだ作り手の常識もなくはないが、ダメだこんなことじゃ。 あとなあ、ブルース・グリーンウッドの船長が必ず死ぬだろうってことが、乗船前からわかってしまうようなのはいけませんぜ。それじゃつまりませんぜ。 黒人を必ず殺すようなのはイカん。あの人こそ最重要人物のはずなのにねえ。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-12-06 18:53:35)(笑:1票) |
79. モーリス
《ネタバレ》 西欧文化圏において同性愛とは常に「神との関係」で語られるものであり、この作品もちゃんとその枠内で語られています。まっ日本人にはいまいちピンと来ないのはそのせいだしある程度仕方のないことですよね。 なんたって人体は「神の宿る神殿」なんですから、なんと美しい表現なのかと感動しますけれども、そういうことがピンとこなければ「モーリス」を見てもなんだかなあ、というふうになります。 私だってそうなんですけど、まー、そんな自分でも「神」との関係でこの二人が散々悩んでいることは知れます。「彼らにとっての神」とは日本人には理解しがたいものですきっと。 さて、最初に火がついたほうのクライヴは「燃えやすく冷めやす」かったわけで始末が良かったのですが、「後から火をつけられた」ほうのモーリスのほうが、「燃えたら最後」冷めない状態になってしまったわけです。皮肉な感じです。 そしてあまりにもわかりやすい展開でもって「身分も性別も越えて」スカダーと結ばれるのですが、私はいつも男性の同性愛関係について思うんですけど「それは〝愛〟なの?」。 男どうしの同性愛って、「性欲」とどう違うのか?セットというより、イコールじゃないのか?中には例外もあるでしょうが、愛=セックスというよりセックス=愛、というふうに私には見えてしまう。そしてモーリスとスカダーもまさにその例ですよね。 彼らはこれからフランスかイタリアにでも行って、しばらくは仲良く暮らすのでしょうが、二人には「社会に対するカップルとしての居場所も責任」もなく「子供の育雛」を共同で行う目的もなく、「共に神に仕える仲間」でもないわけです。そんな中で関係を保ち続けるほど、普通の人間は賢くも強くもなくて、だから頭のいい誰かが用意して推進したキリスト教の神はかの地で「機能」し続けているわけで、クライヴはそのことに気がついたわけです。私は二人の先行きは見えていると思います。 なので、この時点で物語が終わってしまうことはある意味ズル…と私は言いたい。 あと、難を言えばウィルビーのようにまつ毛まで金髪の色素の薄い俳優って、情感に欠けて見えるところがソンですね。お人形感があるので、こういう情感重視の作品の重要な役柄には向かないかも。 ちなみに、この日のシネフィルイマジカチャンネルの予定は「モーリス」の次が「ブロークバックマウンテン」。…。わかりやすいプログラムだよね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-11-14 16:00:31)(良:1票) |
80. 秘密と嘘
《ネタバレ》 ジャン=バプテストって知的で雰囲気があって好きなんです。今はTVドラマでFBI捜査官などをやっていますね~。当然ですが若い頃はもっときれいだったんですね。 私は「人生は時々晴れ」のほうが良かったと思いました。ビンボーなイギリス人を描いて同じような感じですが、「秘密」のほうはきれいにまとめすぎている、「人生」のほうが、ダメさにおいて掘り下げていたと思います。 さて、全体を通して何を感じるかというと、どうしても「人は生まれでなく育ち」ということになってしまいます。 シンシアのような頭の足りない女性と彼女をレイプしたチンピラ黒人の間から、ホーテンスのようなまともな子供ができたわけです。一方、シンシアに育てられたロクサンヌのほうはほぼ同じようなダメ女になっています。 この状況を見ますとどうしても「人は生まれでなく育ち」という感想を持たずにいられないわけです。 また、ホーテンスのような自立した知的な女性が、血縁関係があるとはいえシンシアとロクサンヌのようなダメ親子を大した葛藤もなく家族として受け入れたことも、あまりに安易な展開と思えてしまいます。 まあ私はシンシアのような女性にこれっぽっちもシンパシーを感じられないもので、意地の悪い感想しか出てこないです。身も蓋もない言い方をすると、中出しOKの女性に出会ったならそれはシンシアのように本当に頭が足りないかデキ婚を狙っているのどちらかなので、あなたがまともな男性ならば「ゴムがないなら絶対にしない」という女性を選ぶべきでしょう。今の時代に女性の態度が中出しOKだった場合、それがどういう意味なのか分からないようなら、そんなあなたは「しない」ほうがいいです。 中出しOKの女性にも、その相手となる男性にもこれっぽっちも共感できませんもので、個人的に本作はイマイチ。ただ、明らかにされなかった秘密がもうひとつあったとして、それが私の想像通りであったなら、話はもっと悲惨だし違った演出をするべきでしたね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-09-25 14:30:27)(良:1票) |