21. キャットウーマン
“女+猫+ヒーロー=キャットウーマン”この構図は映画の素材として非常にユニークで巧いと思う。 男のヒーロー映画が蔓延している中、「女のヒーロー映画を作ろう!」というのはとても正当な論理であろう。 しかし、そのヒーローをひたすらに正義に没頭させては何の意味もない。 言わせてもらえば、脇目もふらずに正義を貫けるのは、無邪気で幼稚な“男”しかできない発想であろう。 ムカつくヤツは叩きのめし(猫パンチ)、恋もすれば、泣きもする、 そして何よりも“自由”を求める。女がヒーローになるというのはそういうことだ。 この映画はその真理を徹底して表現している。 そして、艶かしいボディを惜し気もなく見せつけるアカデミー賞女優のヒーローっぷり。なんだか大げさだけど、この単純な娯楽映画の中に、荒れ狂う厳しい世の中を己の体ひとつでのし上がっていく強い女の現代像を見た気がする。 [映画館(字幕)] 8点(2010-09-16 23:55:05)(良:3票) |
22. スピード・レーサー
自宅で、ブルーレイディスクが見られるようになって、初めて見る映画を何にするか? それは、映画好き&家電好きにとってかなり重要な問題だったりする。 レンタルショップのブルーレイコーナーに集められた作品群を前に、暫し思案した結果、見る機会を失っていた今作を手に取った。 流石にスゴイ。映像に度肝を抜かれたのは久しぶりだ。しかもそれが自宅のテレビで味わえるのだから、スゴイ時代になったものだと思う。 ウォシャウスキー兄弟が持ち前の“オタク魂”を、良い意味で好き勝手に発揮した快作だと思う。 こういう映画は「中途半端」な部分があった時点で“負け”である。 ただそこは、「マトリックス」で映画自体の常識をひっくり返した同兄弟だけあって、そう文字通りとことん“突っ走っている”。 原作は往年の日本のテレビアニメ「マッハGoGoGo」である。 日本で生まれたアニメや漫画が海を渡り、ハリウッドで映画化されるという構図は、最近続発されているが、その中ではかなりレベルの高い仕上がりを見せているとも思う。 やはりこれくらい問答無用に突っ走れるだけの、原作に対するこだわりと愛着がなければ、映画化は成功しない。 人生初のブルーレイ鑑賞にふさわしい映画だったと思う。 P.S.ただ、真田広之の役どころはもう少しおいしくしてあげて欲しかった……。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2009-11-05 00:58:19)(良:1票) |
23. ミスティック・リバー
実力俳優3人の濃厚な競演、監督クリント・イーストウッドの真摯な映画作りに対する姿勢により、相当に濃密で優れた映画であることは間違いないのだろうが、やはり個人的にはこの映画は好きになれないという結論に終始する。そのあまりに救いの無い顛末には反感を覚えるしかなく、決して良い映画とは思えなかった。致命的だったのは、ラストにきてチグハグなケビン・ベーコン演じるショーンのキャラクターだ。あの描き方では説明不足だし、他の2人とくらべると人間描写に完成度がなかったように思う。ケビン・ベーコンの演技は素晴らしかっただけに残念だ。 [映画館(字幕)] 3点(2009-06-25 16:16:32) |
24. マジェスティック(2001)
「ショーシャンクの空に」「グリーン・マイル」の質の高さを見れば嫌が応にも期待してしまうフランク・ダラボンの新作であったが、完成度が低いとも言えないが、満足できる内容でもなかったと思う。ジム・キャリーのシリアスな演技や映画世界自体の作り込みは秀逸と言えるクオリティの高さだったけど、物語のテンションが中途半端だったと思う。ファンタジー調な雰囲気に乗せた感動作であることは明らかなのだから、そのテンションをもっと貫いてほしかった。下手に複雑な社会問題を本筋に取り込んでしまったことが、逆に説得力に欠け、感動を薄めることにつながってしまったと思う。 [映画館(字幕)] 5点(2009-06-23 23:51:37) |
25. ソードフィッシュ
冒頭の大げさ過ぎるほどの銃撃シーンには圧巻されるが、その後の展開には触れ込みほどの衝撃を受けることはなかった。トラボルタのアクの強いキャラクターや大まかな展開自体は悪くなかったと思うが、肝心のクライマックスで衝撃性がなかった。それがこの映画のテンションを一気に下げてしまったと思う。中盤中だるみするところも頂けない。 [映画館(字幕)] 5点(2009-06-23 23:40:45) |
26. スパイダー パニック!
大作映画監督であると同時にB級映画監督でもあるローランド・エミリッヒならではのB級テイストへのこだわりが存分に味わえるモンスター映画だった。半端のない巨大グモの大量発生&強襲はB級モンスター映画ファンにはたまらないものだったに違いない。 [ビデオ(字幕)] 6点(2009-06-20 17:05:56) |
27. バイオハザードIII
《ネタバレ》 ゲームの「バイオハザード」を知らないので、実際のところこの作品のシリーズ性に整合性があるのかどうかは不明だが、個人的な“結論”としてはやはり「もういいね……」というところだろう。 パート1は、ゲーム的な要素を存分に盛り込んだホラー性とスタイリッシュなアクション性、そしてスーパーヒロインの地位を確立したミラ・ジョヴォヴィッチの魅力が見事に融合した秀作だった。 パート2ではさらに“進化”したヒロインの超絶ぶりに対して、ホラー性は衰退したが、アクション映画としては充分なパワーを含んだ作品に仕上がっていたと思う。 そんなわけで、今回のパート3に対しても、ここ数年の駄作揃いの“スーパーヒロイン映画”の醜態を踏まえても、「期待」の方が大きかったと言える。 しかし、ものの見事に「脱線」してしまったようだ。 まず、「エイリアン」シリーズなどでも戸惑う部分ではあるが、前作で必死に守り抜こうとしたものを、のっけから「消失」させてしまうのはやめてほしい。 あれほどまで地球規模で「滅亡」してしまっていては、一体前作までの苦労はなんだったのだ?そもそも首謀者の思惑自体もはやどこかにいってしまっているのではないか? そういうストーリー自体の不合理性によって、「マトリックス」のネオ並みに益々進化するヒロインと反比例するかのように、映画はどんどん退化していってしまった印象を受ける。 予定調和たっぷりのアクション映画に眠気が耐えられたのは、短い前髪が可愛い主演女優の麗しさという唯一の売りがあったからだろうか。 [映画館(字幕)] 5点(2007-11-04 18:17:24)(良:1票) |
28. スーパーマン リターンズ
おおよそ20年の沈黙を経て、ついに“スーパーヒーロー”の祖とも言える男が還ってきた。 その名は「スーパーマン」。 その工夫も変哲もないストレートすぎるほどのネーミングを堂々と掲げられるヒーローは、やはりこの男しかいなかった。 弾丸よりも早く飛び、大陸さえも持ち上げる、圧倒的な“ザ・パワー”。強引なまでの存在感のみで人々を魅了できるヒーローが“スーパーマン”以外にいるだろうか。 そう問答無用に褒めちぎれるほどに、20年ぶり(劇中では5年ぶりという設定)の帰還を果たした“新”スーパーマンは素晴らしかったと思う。 故クリストファー・リーブは、スーパーマンになるために生まれてきたと言っていい俳優だった。「彼なしにスーパーマンは有り得ない」というのは、とても真っ当な正論だったと思う。 しかし、新スーパーマンを演じきったブランドン・ラウスという新人俳優は、その高すぎるハードルを見事に越えて見せたと思う。 それはクリストファー・リーブのスーパーマンを越えたという意味ではなく、ラウスもリーブと同様、“スーパーマンになるために生まれてきた俳優”だということだ。いや、彼の場合は“スーパーマンを復活させるために”と言い換えるべきかもしれない。 まるで作られたようなスタイルとルックス、コミックヒーローの“根源”であるキャラクターに成るためのその重要な要素を、この新人俳優も見事に兼ね備えている。少しクラシカルな美貌も、新聞記者が仮の姿という原作コミックが生まれた当時の時代背景にふさわしい。 冒頭、早速ピンチに陥ったヒロインを助けるために、沈黙を破ったヒーローがロケットよりも早く飛び立っていく。 途端、言葉にならない高揚感に包まれた。それは“ヒーローの帰還”という圧倒的な希望を無意識レベルに感じた瞬間だった。シンプルだけれどとても大きなその感情を、理屈なしに抱かすそのキャラクターの存在は、もう絶対的ですらある。 近年のアメコミブームは、数多くのスーパーヒーローを登場&復活させてきた。 それは、もしかするとただ一人のヒーローの復活を望むムーヴメントであったのではないかとすら思う。 そしてようやく、最も愛され、最も待ち望まれたスーパーヒーローの帰還に成功したのだと。 [映画館(字幕)] 8点(2006-09-13 00:09:01) |
29. オーシャンズ12
泥棒映画をつくる上で最も大切なのは“お洒落さ”だと思う。その部分で今作におけるソダーバーグの演出と編集は優れていると思う。予想よりもずっと面白いというのが、正直なところで、前作のコメントでも書いたが、何と言ってもこのキャストを揃えるだけでも物凄いことだ(更にゼタ・ジョーンズとカッセルを加えて!)。強引とも言えるストーリー展開を支えたのは、やはりこの豪華キャストとそれを操るソダーバーグのウィットに富んだ演出力だろう。実際(コピー通り)騙されてしまった部分もあるので、大筋のストーリーにも満足はできた。ただ、やっぱり残念なのは、チームの一人一人の個性が発揮されずに終わってしまうことだろう。結局核となるカラクリ自体は主要キャラが繰り広げたに過ぎず、ほとんど何もしていないキャラがいるのは消化不良な部分だ。まあこれで、「11」で盗んだ金を「12」で返済したにすぎない状況なので、更に続編を作ることは必至。この不良感の解消は次作に期待します。 7点(2005-01-23 12:37:13)(良:2票) |
30. ピーター・パン2/ネバーランドの秘密
大々的に劇場公開されたので、近年ビデオ映画として多発されている他のディズニー映画の安易な続編とは一線を画すものを期待していたが、内容はビデオ映画の域を出るものではなかった。拍子抜けさせられるほどの短さはおいといても、あの内容の薄さはなかったと思う。50年前に作られたオリジナルは、ディズニー映画史に残る大傑作であるが、今作はその味わい深さが微塵も反映されていない。「ネバーランドの秘密」という邦題をつけながら、ネバーランドの魅力を映し出す描写はほとんどなく、こけおどしのみに終始したこのタイトルに腹が立つほどである。前作のような小気味いいミュージカルシーンも一切無く、フック船長やスミー君のキャラクター性も極めて薄くなっている。だいたい、フックの敵であった時計ワニが不細工な巨大タコになっているのはどういうわけだ?どうせなら、大人になってしまったウエンディとピーターパンとの交流を描いた方がまだ物語に深みが出るように思う。CGを使った映像的な迫力や空を飛ぶシーンに爽快感はあったが、内容が伴っていないのでそれすらもシラけて見える。ほんとに文句を言い連ねたらキリがない。オリジナルが好きな人ほど、大いにがっかりさせられることは間違いない。 1点(2004-02-06 19:40:04) |
31. ムーラン・ルージュ(2001)
公開当時、自分自身ミュージカルが好きか嫌いか微妙なこともあり劇場で観るか否か非常に迷った。結果劇場では観ることがなかったわけだが、自宅の小さなテレビで観て非常に後悔した。まさに豪華絢爛、シェイクスピアの時代から受け継がれてきた娯楽性とはまさにこのことであり、今作が描くものはまさに娯楽の真髄であると思う。燦然と輝く映画世界、俳優たちの美しい演技、印象的な音楽、まさに映画、まさに総合芸術である。 9点(2004-01-28 16:30:40)(良:1票) |
32. プリシラ(1994)
自分のあるがままに生き、あるがままに悩むゲイ3人の道中をミュージックに乗って爽快に綴っていくロードムービー。とにかく、主役3人の演技が素晴らしい。特に物語の主役であるヒューゴ・ウィーヴィングの存在感が見事だった。 7点(2004-01-08 19:09:30) |
33. 戦場のメリークリスマス
若年層の間では、大島渚というとどうしてもタレント監督という印象を強く持ちがちだが、今作などを観ると彼が物凄い映画監督だということを認識させられる。鮮烈で美しい調にのって織り成される人間の悲哀は、痛いほどに深くその本質をえぐり出している。ビートたけしの怪演も手伝って紛れもない傑作だ。 8点(2003-12-10 17:21:16) |
34. マトリックス レボリューションズ
もはやその誕生と共に伝説的映画となったシリーズ最終作にふさわしく、怒涛の映像的迫力には言葉が出なかった。今シリーズの場合、映像的評価についてはもう何も言う必要のないクオリティーであることは周知の事実であるので、あえて触れる必要はないだろう。まさにあらゆる「圧巻」の連続で繰り広げられてきた三部作であったが、そのラストには正直、解放感がなかった。個人的には今尚、マトリックスに閉じ込められたままの気分である。「リローデッド」によって闇雲に広げられた謎と疑問は解消されることなく、半ば強引に終戦へと持ち込んだ印象さえ否めない。ストーリーが難解で謎が残るというよりも、物語自体の完成度の高さに疑問が残る結果となってしまった。それでも「面白い」と言えるし、劇場に観に行ったことに後悔などは微塵もない。が、それだけに圧巻のままに終わらせてほしかったと思う。単純なヒーロー物でないことは重々承知であるが、やはりラストはネオとトリニティーと共に新たな世界の日の出を見たかった…。 7点(2003-11-12 01:42:02) |
35. ナイス・ガイ
ジャッキー映画に対してストーリーがどうのこうのと言っても仕方なく、むしろ今作くらい無茶苦茶な方がノリ良く楽しめる。近年のジャッキー映画の中では非常に面白い方だと思う。監督が盟友サモ・ハン・キンポーだけにジャッキーの魅力を引き出せている。 7点(2003-11-08 01:49:53) |
36. ロミオ&ジュリエット
個人的には、冒頭の銃撃シーンだけでハマってしまい、全編に渡る独特のノリに引き込まれた。原作の持つヨーロッパ的な雰囲気から一転、独創的な熱っぽい南米の空気感がオリジナリティを高め、インパクトのある映画にしている。 9点(2003-10-28 15:05:54) |
37. ベイブ
数ある動物物の映画の中では際立ってよく出来た作品だった。ベイブをはじめ牧場の動物たちの言動がとても愛嬌があって楽しい。牧場主役のジェームズ・クロムウェルの動物たちとは対称的な物静かな演技も印象的だった。ラストは爽快かつ感動的で後味もとても良かった。 8点(2003-10-22 14:36:39) |
38. フォートレス
こういう限りなく駄作に近い映画を一生懸命作るのもハリウッドの魅力であると思う。なかなか高い評価を受けることは少ないけど、これからもこういった映画を作り続けてほしいと願う。そんな中から傑作が生まれていることも事実なのだから。 5点(2003-10-11 15:34:01) |