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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2597
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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61.  JFK
2039年にジョン・F・ケネディ暗殺の極秘証拠物件が公開されるという。1963年の事件発生から76年も経過した後での情報公開というあまりに不自然な制限と、それでもそれがまかり通っている現実に、大いなる不穏さと恐ろしさを感じる。  先日、JFK暗殺事件の「陰謀」そのものを生々しく描いた1973年の映画「ダラスの熱い日」を観て、改めてオリバー・ストーンの「JFK」を観直してみようと思った。 都合良く、BS放送を録りためていたHDDの中に今作が録画されていたことに気づき、想定よりも早く再鑑賞することができた。  最初にこの映画を観たのは、もう15年くらい前だったんじゃないかと思う。 中学生か高校生の僕は映画を積極的に見始めたばかりの頃で、この有名な監督の有名な作品を取り敢えず観ておかなければと思い、二巻組のVHSを観たのだったと思う。  そのときの感想としては、JFK暗殺に隠された真相をリアルに描いた骨太な社会派ドラマであるということを感じつつも、やはり圧倒的な尺の長さに退屈を覚えてしまった。 自分自身まだまだ子供だったし、この事件にまつわる事実関係や時代背景をあまりに理解していなかったのだろうと思う。  今でもその詳細を熟知しているわけではなかろうが、それなりに歳を重ね、歴史や社会の“常”をある程度理解出来るようになった分、この映画が相当に作り込まれた凄い映画だと言うことを改めて実感した。  「ダラスの熱い日」を観ても感じたことだが、結局のところ何が「真実」なのかは分からない。 これから更に時間を重ね、この「事件」が「史実」になるにつれ、その核心はさらにぼかされていくのかもしれない。 ただそうだとしても、もっとも重要なことは、ケビン・コスナーが演じた検事が法廷で訴えたように、たとえ時代が移り変わっても「真実」を追い求める姿勢を崩さず、それを受け継いでいくことだと思った。  情報公開の2039年まであと28年。何事も無ければ、自分自身もなんとかその内容を知ることが出来るだろうと思う。 何が正しく、何が間違っていたのか。果たしてその総てが明らかになるかどうかは分からないけれど、心待ちにしたいと思う。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-09-21 17:26:35)
62.  アサルト13 要塞警察
前々から気になってはいたのだけれど、いまひとつ手が伸びなかった今作。結論から言ってしまえば、まあテレビ放映されていたので一応録画しておいて暇な時に観るのに相応しい内容だったと言える。面白くないことも無いが、大したことは無い。  導入部は、主人公のイーサン・ホークは早速登場するものの、別の映画が始まったのか?と疑ってしまう程意外な展開で引き込まれた。 想像以上に画づくりもしっかりしていて期待は膨らんでいった。  主人公と対立(いや共闘?)するローレンス・フィッシュバーンをはじめ、ガブンリエル・バーンやジョン・レグイザモら実力のある俳優が脇を固めていたことも、映画として一定の質を保った要因だったと思う。  設定は強引だが、果たしてどうなるのかというサスペンスフルな要素は終始味わえる。 しかし、最終的なオチや終着点は完成度が高いとは言えず、詰まる所「良くも悪くもない」という印象に行き着いてしまった。 必要最小限のキャラクターたちを生かし切れていなかったことも勿体なかった。もっとそれぞれのキャラクター性と役割を明確に描けば随分と面白くなったと思う。   今作を見終わってから、ジョン・カーペンター版のオリジナル作品のリメイクだったことを知る。 当然だろうが、オリジナル版の評価が高いようなので近いうちに観てみたいと思う。 
[CS・衛星(字幕)] 5点(2011-09-18 14:51:40)(良:1票)
63.  華麗なるアリバイ
ある週末、大邸宅に集ったある親族。何やら訳ありの人間模様の中で、“殺人”が起こる。という設定自体は、アガサ・クリスティーのミステリーのとても「定番」的なものだ。  「名探偵ポワロ」や「ミス・マープル」のように、過去の血塗られた人間模様が浮き彫りになりつつ、真犯人が特定されていくのだろう。と、たかを括って観ていた。 しかし、ストーリーは一向に具体的な展開を見せず、殺された男にまつわる女性達の愛憎の様がドロドロと繰り広げられるばかり。 それがフランス映画ならではの特性によるものなのか、それともそもそも原作がそういうノリなのか、判断がつかぬまま映画はクライマックスに差しかかるであろう時間帯に突入していく。  すると、登場人物の一人の男が心神喪失気味であるというくだりが突如として描かれたり、その男と殺された男の愛人とが関係をもったなどという展開が、ほとんど意味不明に矢継ぎ早に繰り広げられる。  結局ラストは、真犯人が本性を見せ、愛憎劇の中でドタバタとして息絶え、「事件解決」となった。  正直、「何だったんだろう?」という根本的な疑問符が頭から離れない映画だったと思う。 それは、デヴィット・リンチの映画のような魅惑的な「混沌」が描かれているということではまるでなく、ただただ映画として稚拙で、楽しみがいの無い映画であるということでしかない。  まあ唯一見所と言えば、モニカ・ベルッチを7割減くらいしたイタリア女優のエロさくらいか……。 
[DVD(字幕)] 2点(2011-07-03 23:37:16)
64.  ミックマック
この映画のジャン=ピエール・ジュネというフランス人監督の作品は大好きで、映画作品はすべて観ている。 有名なのは、世界的にスマッシュヒットとなった「アメリ」だが、作品の世界観的には、それ以前の「デリカテッセン」や「ロスト・チルドレン」の方が印象深い。(ハリウッドにお呼ばれした「エイリアン4」もかなり好き)  この監督の特徴は、なんと言っても奇妙な禍々しさを持つ独特なファンタジー性だ。 今作では、久しぶりにその特徴が溢れ出て、ジャン=ピエール・ジュネというクリエイターの原点回帰を観られた気がする。  「デリカテッセン」や「ロスト・チルドレン」のようなおどろおどろしさは無く、これまでになくコメディ性の高い映画世界だったが、登場するキャラクターの奇妙ぶりは、彼らの表情を見ているだけて楽しい。 一方で、主人公を始めとする奇天烈なキャラクターたちのそれぞれが、何かしらの悲哀を携えている。 それを作品中で明らかにすることはないけれど、彼らの瞳の奥にはそれぞれの人生の“重さ”みたいなものが見え隠れするようで、印象的だった。 そういうキャラクター造形の巧さも、この監督ならではの創造性だと思う。  奇妙な住民たちが織りなす小規模で大胆なこの“復讐劇”には、一風変わった爽快感と人間の愛らしさが溢れている。
[DVD(字幕)] 8点(2011-06-07 13:40:22)
65.  その男ヴァン・ダム
もはや「落ち目」となって久しいハリウッドのアクションスター、ジャン=クロード・ヴァン・ダム。 スター俳優として下降の一途を辿る自身の境遇を自虐的に描いた映画に、彼自身が主演するという今作の情報を得た時は、興味はかき立てられた反面、「ヴァン・ダムも落ちるところまで落ちてしまったのか……」と昔から彼の映画に親しんだ者として少し寂しく思えた。  しかし、必ずしもそうではなかった。想像以上に良い映画だったと思う。  「自虐的」という言葉はまさにその通り。むしろそんな言葉では足りないくらいに可笑しさを越えた辛辣さがこの映画に溢れていた。 右も左も分からないベルギー人俳優が、文字通り己の体一つでハリウッドの“スター”へとのし上がり、時代の流れとともに忘れ去られていった。それを当の俳優自身が真正面から演じる様には、想像を超えた哀愁が満ちていた。  誰かの言葉か、何かの映画の台詞か忘れたが、「ハリウッドは、人を噛んで吐き捨てる」というような言い回しがあった。まさにそれを地でいくようなヴァン・ダムの人生を、彼自身が独白するような映画だった。  ただし、そこに表れていたのは、落ちぶれたスター俳優の無様さだけではなかったように思う。  ベルギーからハリウッドに渡った時から、無くすものなど端からなく、正真正銘のゼロから歩んだ自らの道に対するアクションスターの意地。 そして、大衆から落ちぶれて見えるのであれば、それすらも自らがパフォーマンスして見せようとする表現者としての意地。 そういう一人の俳優の冷めやらぬ熱情を感じずにはいられなかった。  この映画は、一人のアクションスターのドラマであり、ドキュメンタリーであり、類い稀なエンターテイメントだと思う。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-05-18 15:44:32)
66.  オーケストラ!
「音楽」に造詣が深いわけではなく、指揮者の違いによるオーケストラの善し悪しなんて、正直分からない。 だけれど、「音楽」という表現には、“幸福”と“狂気”がそれぞれ平等に混在し、携わる人間の人生を導き、支配するということを、この映画は意外な程に深く物語る。  落ちぶれた元・天才指揮者が、かつての楽団のメンバーを寄せ集めて、紆余曲折のコメディ展開を繰り広げながら、爽快感溢れるラストに結する映画だろう……と、思っていた。  映画の“表面的”なニュアンスは、概ねそれに相違ないのだけれど、ストーリーの核心と描き出すテーマの本質は、想像以上に深いところまで踏み込んでいく。  旧ソ連の政治的背景の中で抑圧された主人公たちのバックボーン、現在の生活の中の鬱積と矛盾。そして、「音楽」そのものの本質的な光と闇。 ベタなサクセスストーリーと見せて、映し出された物語と人々の言動には、決して一筋縄ではいかない“思い”の混沌が見え隠れする。  ただ、そういった様々な側面の複雑な問題も、すべてひっくるめて吸収してしまうエネルギーが、「音楽」にはあって、それを表現することの素晴らしさを改めて訴えてくる。  そもそもの設定や展開には大いに強引でチープな部分も多いけど、そんなことどうもよく思わせてくれる「魅力」が色々なところに詰まった映画だと思った。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-05 23:00:06)
67.  フィリップ、きみを愛してる!
この映画が実話だとは到底信じられない。大部分において大袈裟な脚色はあるのだろう。 ただよくよく考えれば、“フィクション”を「この話は真実だ」ということは自由だと思うし、この光り輝く映画に対して、それが真実かどうかなんてもう関係ないと思わせる。  何を置いても、2人のハリウッド・スターのその演技者としてのバラエティーの豊富さが凄い。  まずは、ジム・キャリー。“嘘つき”でゲイの天才詐欺師という役どころの時点で、彼以上にふさわしいキャスティングはないだろう。 彼自身が切望してこの役を演じたらしく、そのキャリアで培ってきたパフォーマンスの総てを余すことなくぶつけている。 飄々と嘘をつき続け、脱獄を繰り返し、ひたすらに愛する恋人に「愛」を伝え続ける様は、どうしようもなく滑稽で、だからこそ人間そのものの愛くるしさに溢れている。  そもそも人間というものは愚かで、滑稽である。その悲哀を投影することにおいて、今ジム・キャリーより秀でた俳優は居ないように思う。  そして、そのジム・キャリーの暴走的な愛を一身に受け止める“恋人”を演じたユアン・マクレガーも凄い。 風貌はいつものユマン・マクレガーなのに、その目つきと物腰のみで、一途な愛に振り回される“少女”を体現している。 伝説のジェダイ騎士役を経てもなお、イメージに固執されることなく、主人公から悪役、あらゆる脇役までこなす彼のスター俳優としての立ち位置は、ある意味“斬新”だとすら思えてくる。   ストーリー自体は、真実とフィクションの境界線を突っ走るようなキワドさを伴い、不安定さを感じなくはない。 ただし、その危ういストーリーの道程を2人のスター俳優が、堂々と、飄々と走り抜けていく。  すべてがハッピーな映画では決してないけれど、不思議な爽快感と幸福感に溢れた良い映画だと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2010-11-10 00:17:24)
68.  チャーリー
”チャーリー・チャップリン”、この固有名詞はもはや全世界の映画史に残る一つのアイコンであろう。 「波瀾万丈」という言葉がふさわしい彼の喜劇人、そして映画人としての長い人生を、ひとつの「映画」として表現する試みは、「必然」であったと同時に、物凄く高いハードルだったと思う。 145分間のこの映画で、チャップリンという男の人生の本質をくまなく描き切れているとは思わないし、それは到底無理な話だ。  ただ、想像以上に「面白い」映画だった。深夜0時過ぎに鑑賞を始めたが、まったく眠気を覚えなかったほどに。  その“面白味”の大部分は、ロバート・ダウニー・Jr.のパフォーマンスに尽きる。 チャップリンの人生を映画化するハードルの高さは、即ちチャップリンを演じる俳優に与えられる試練の大きさだろう。まともな俳優であれば、その仕事の困難さに尻込みしてしまうはずだと思う。  が、ロバート・ダウニー・Jr.という俳優は、イロイロな意味で、まともではない。  舞台コメディアンとして仕事を始めた10代から、スイスで晩年を迎えた80代まで、チャーリー・チャップリンという男の人生の様を見事に“体現”していた。  冒頭、白塗りのメイクを落としていくチャップリン、その瞳には吸い込まれるような闇が垣間見える。 そこには、世界一有名な喜劇王が抱え続けた“孤独”と“虚無”が描きつけられている。  伝記映画としてその展開にはやや野暮ったい部分もある。アンソニー・ホプキンスが、珍しくあまり個性の無い編集者役で登場するチャップリンの晩年シーンなどは、何度も挟み込む必要は無かったように思う。 それでも、ダン・エイクロイド、ケヴィン・クライン、ダイアン・レインら実力俳優に加え、若く瑞々しいミラ・ジョヴォヴィッチも脇に配し、キャスティング的にも映画ファンとして非常に楽しめる。  チャーリー・チャップリンの人生を描くということは、即ち往年のハリウッドの舞台裏と、当時のアメリカ社会の“闇”描くということでもあった。そういう意味で、この映画はとても多面的な面白さを備えている。  そして何よりも、この映画を観ると、本物の“チャップリン”が観たくなる。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-11-07 11:28:22)(良:1票)
69.  ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版
確かに、蛇足。その一言。
[DVD(字幕)] 8点(2010-10-20 22:42:43)(良:2票)
70.  イル・ポスティーノ
作品中にも詩が出てくるけど、全体的に詩的でとても美しい映画だった。世の中の物事の真の価値や世界の美しさを教えてくれる。撮影直後に亡くなったマッシモ・トロイージの眼差しがとても深く、美しかった。感動を売りにした映画は多々あるけど、この映画は本当に感動の底が深い。
[ビデオ(字幕)] 8点(2010-10-20 10:30:13)(良:1票)
71.  ベルモンドの怪盗二十面相 《ネタバレ》 
タイトルからもっと軽快な娯楽性を期待していたのだけれど、実際の内容は、“怪盗”というよりも“詐欺師”のジャン=ポール・ベルモンドが、くるくるとキャラクターを変える様をコント調に描いたコメディだった。 ベルモンドのパフォーマンスは愉快で楽しめるけれど、延々とドタバタ劇が続くので、中だるみしてしまうことは否めない。内容の割に尺が長いので、徐々に疲れてきてしまった。 このタイトルは、明らかに映画の内容と相反していると思う。  ただし、ジャン=ポール・ベルモンドをはじめとして役者たちにはそれぞれ魅力を感じる。 ヒロインのジュヌヴィエーヴ・ビジョルドは可愛らしく、その愛らしさがラストの顛末に一層の痛快感を与えていると思う。  NHKのBSで放送がなければ、おそらく一生観ない映画だったろう。面白いということは決してないので、観られたことが幸福だったとは思わないが、数多ある映画の中から、自分が生まれる前のこのフランス映画を観たということを、一つの運命だとは思う。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2010-10-02 15:47:08)
72.  96時間 《ネタバレ》 
元CIAの父親が、人身売買組織にさらわれた愛娘を救出するために、死闘を繰り広げるというストーリー。 ストーリー設定にそれ以上の膨らみはなく、設定だけをみれば何ともチープな映画である。 リーアム・ニーソンが体を張って繰り広げるアクションシーンは、それなりにスタイリッシュに表現されているが、アクション映画として特筆するほどのものではない。  9割以上の要素は、はっきり言って「凡庸」に尽きる。 ただし、残りの1割の要素が、この映画のオリジナリティをある意味”強引”に高めている。  それは即ち、「娘を溺愛する父親の容赦なさ」だ。  娘をさらった悪党に対して、電話口できっぱり「処刑宣告」をしたかと思えば、カリフォルニアから海を越え数時間後には事件が発生したパリへ。 単身で悪の組織本体に乗り込み、暴れまわり、ほぼ壊滅状態に追い込む。 更には、古い友人らしいフランス当局の幹部の自宅に“お邪魔”し、実は悪と通じていたその友人の妻の腕を問答無用に撃ち抜き、情報提供を強制する始末。  とにかく娘の救出に対して「障害」となるものは、何であろうと蹴散らし、悪党は容赦なく残虐なまでに皆殺しにしていく。  映画の冒頭、主人公は別れた妻から、その神経質な性格に対して「異常だ」と苦言を呈される。 その時は主人公に対して同情が生まれたが、映画が展開していくにつれ、「ああ、確かにこの父親は異常だ」と納得させれるほどに、主人公の行動力は常軌を逸している。  主人公のその尋常でない怒りっぷりは、“唖然”を通り越し、感じたことのない爽快感に繋がっていく。 その尋常でなさが、絶体絶命の愛娘のピンチを非常識に救っていく。  決して物語としてクオリティの高い映画ではないが、この“容赦なさ”は評価に値する。劇中何度も「親父怖え~」と呟いてしまった。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-09-22 22:31:39)(良:2票)
73.  アパートメント(1996) 《ネタバレ》 
人間の情愛というものは、必ずしも綺麗ごとで済まされるものではない。愛するという行為はこの世界において最も美しいことだが、その行為は往々にしてすれ違い、報われない想いが時に悲劇を生む。  久しぶりに観たフランス映画は、まさにフランス映画らしいねっとりと絡み付くような情感と、各々の情愛が絡み合う類い稀なサスペンスに溢れた隠れた傑作だった。  映画の冒頭、先ず若かりしヴァンサン・カッセルの風貌と、彼の安い演技に対して思わずきょとんとしてしまう。 「これは駄作を引いてしまったか?」と懸念を大いに抱いた反面、何故だか妙に画面に惹き付けられていた。  何も起こっていない安い演技と演出の中に、何かが起こり得る要素はすでに含まれていて、それは巧みに隠されると同時に、絶妙な塩梅によるほのかな香りとして印象付けられていたのだと思う。  他人との何気ない“すれ違い”の中で、すでに情愛のもつれは始まっていた。目の前に居る人間の言動は、自分が知る由もない思惑を孕んでいる。 真実をすべて知った時、辿り着けるものは、真の愛か幻想か……。  どうも言葉で飾るほど、この映画の本質はぼやけてしまい、よろしくないようだ。 正直、うまく説明することが出来ない。  それは、この映画が、人間の根本的な愚かさを表しているからだと思う。  序盤、安い演技を見せていたヴァンサン・カッセルは、映画の展開と共に雰囲気が一変する。 ラストシーン、婚約者と抱き合いつつ、別の女性を見つめるその眼には、男の艶やかさが満ち溢れている。そこには愚かさを超え、狂気すら感じる。圧巻。   P.S.この作品を経て結ばれたのであろうヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチ。ヨーロッパを代表するこのセクシーな夫婦が、離婚なんて必然的とさえ言えるあの世界において、今尚「夫婦」を保っていることが、物凄く奇跡的なことに思えてならない。世界一格好良い夫婦なんじゃないかとさえ思う。
[DVD(字幕)] 9点(2010-09-18 02:15:21)
74.  バベル
「言葉」をバラバラにされた不器用で愚かな人間の生む「混乱」。それはすなわち、この“世界”自体のそれに直結する。 鬱積する空気の中で、登場人物たちは、ひたすらにもがき苦しむ。一体、その先に見えるものは何なのだろうか。 この作品が顛末で伝えるものは、「光」なのか「闇」なのか。その答えは、きっと誰にも不確定で揺れ動くものだろう。  それにしても、映画として外国人が外国人を描き出すことは、やはり難しいものなのだろうということを、改めて実感した。 日本人なので、どうしても日本のシーンが気になるのは否めない。この監督の独特の毒々しさというものも多分に影響しているのだろうが、「混沌」ぶりがあまりに常軌を逸している印象を受けた。アカデミー賞にノミネートされた菊池凛子は確かにモノスゴイ演技をしていたと思うが、女子高生役というのは無理があった気がする。体を張った演技が必要だっただけに尚更にそう思ってしまった。(まあ外国人には日本人は総じて幼く見えるらしいから問題なかったのだろうが)  グローバルな人間の本質を描き出すテーマ性は、濃厚だったと思う。 が、全体的に毒々しすぎるというか、“おぞましさ”みたいなものを必要以上に感じさせる映画だったとも思う。 それこそこの映画で監督が伝え描きたかった部分なのだろうが、観客にとっての“不快感”に達するかどうかは微妙なラインだろう。
[映画館(字幕)] 5点(2010-08-28 14:39:21)(良:1票)
75.  戦場でワルツを
戦争を描いた映画や小説の評において、「戦争の狂気」なんて言葉は、もはや常套句で、自分自身も何度も使ってきたように思う。 だが、実際問題、自分を含め多くの人々は、その言葉の意味をどれほど理解出来ているのだろうか。甚だ疑問だ。  「パレスチナ問題」は、ほとんどすべての日本人にとって、“対岸の火事”である。 重要なことは、先ずその自分たちの認識の低さを認めることだと思う。知ったかぶりでは、何も生まれない。  そういう「無知」な状態で観た映画であり、そうである以上、その視点からの映画の感想を述べるべきだと思った。  感じたことは、あの遠い国で繰り広げられ、今尚くすぶり続ける戦争において、人々の心を蝕むものは、もはや「狂気」などではないように感じた。 長い歴史の中で、繰り返される憎しみの螺旋、それを断ち切れない人間そのものの「業」だと思う。  だから、敢えて言わせてもらうならば、映画の主人公が抱えていた”心の傷”に対して、今更何を言ってるんだというような不自然さを拭えなかった。 問題は今この瞬間も決して解決していなくて、血を血で洗っている。そんな中で、この映画の表現は、本質的に非常に浅いように感じてならない。  特徴的なアニメーションは、映像表現としては素晴らしかったと思う。 ただし、最終的に「実状」を現実的な映像で見せてしまうのは、メッセージ性は別として、表現方法としてフェアではないと思った。
[DVD(字幕)] 3点(2010-08-28 13:45:34)(良:1票)
76.  マイ・ブルーベリー・ナイツ
「2046」以来、久方ぶりにウォン・カーウァイの映画を観た。この映画監督の味わいを思い出すと共に、自分が彼の作品を大好きだったことを思い出した。  ストーリーに深みがあるわけではないが、映画自体が薄っぺらいわけではない。 それは、登場するキャラクターの息づかいと振る舞いを、独特の映像世界の中で丁寧に映し出しているからだと思う。 何気なくも美しいものを、確実に美しく描き出すことに、この映画監督は長けているのだ。 映画初主演のノラ・ジョーンズを筆頭に、レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマン、この映画に出演するそれぞれの女優は、もちろん確かに美しい。ただ、描き出されるものは、ビジュアルを超えた彼女たちの内に秘められた絶対的な美しさだったと思う。 その言動を見ているだけで、ただ幸福になる感じ。それはイコール、映画を観るという「幸福」の本質的な部分だと思う。  自分の好きな映画が、良い映画。映画に対する価値観とは、本来そういうものであり、それ以上でもそれ以下でもない。 ただ、春の夜に、温もりと甘さに溢れた空気に包まれる。
[映画館(字幕)] 8点(2010-08-28 01:09:12)
77.  ルネッサンス
モノクロームの「白と黒」というよりも、はっきりと「光と影」によって織りなされるスタイリッシュな映像世界に、先ず面食らう。 アニメーションの新たな表現方法としての衝撃性は高く、元来こういうビビットな世界観は嫌いではないので、充分に惹き込まれた。  ただアニメーション映画として、面白かったかというと、「もうひとつ……」という感は拭えない。  「近未来」「巨大企業」「人類存続に関わる陰謀」「謎の美女」……、もうこういうエッセンスは、近年のSF映画では使い回され過ぎていて、少しも新しさを感じない。 その結果、映像世界自体は革新的なものなのだろうけど、終始どこかで観たような感覚から抜け切ることができず、悪く言えば、大味なSF娯楽大作をちょっとセンス良くアニメチックに仕上げたくらいの印象しか残らない。  せっかく、映像的にあれほど冒険したのだから、ストーリー自体にももっと意外性のある新しい感覚を用意してほしかったと思う。
[DVD(字幕)] 5点(2010-08-28 01:02:59)
78.  ナイト・オン・ザ・プラネット
自分自身もすっかり大人になってしまい、深夜のタクシーに乗る機会も度々あるようになった。  大概の場合酔っ払っていて、繁華街から自宅までのせいぜい20分間程度の道のりなので、特に何があるということはないけれど、タクシーの中というものには独特の雰囲気があると思う。  その雰囲気は、全く見ず知らずの運転手と客との間に生じるその場限りの「空気感」によるものだと思う。  地球という惑星のあちこちで、全く同時刻にひっそりと織りなされたタクシー運転手と客らによる5つのショートストーリー。 ジム・ジャームッシュらしい淡々とした語り口で繰り広げられるこのオムニバス作品には、本当に何気ない人間同士の関わり合いにおける素晴らしさが溢れている。  それぞれのストーリーの登場人物たちが、その束の間の出会いによって、何かが変わったということは決してない。 ただそれでも、その一つ一つの出会いが、次の瞬間の人生を築いていくということを、この映画は、深夜の静寂の中でしっとりと伝えてくる。  とても良い映画だと思った。
[DVD(字幕)] 8点(2010-08-13 13:02:33)
79.  TOKYO!
「TOKYO」という都市は、世界から見ても(世界から見ると特に)奇異な場所なんだと思う。 僕自身、あの街に数年間住んでみて、そういうことは常々感じた。 もちろん、日本の首都だし、何でもあるし、決して住みにくいところではない。 ただ、曲がりなりにも世界を代表する「国際都市」というにしては、あまりに完成されていないというか、一つの“スタイル”に定まることがない。  このオムニバス作品で、3人の世界の映画監督が描き出したものは、まさにそういった変化し続けるTOKYOという“モノ”の姿だったと思う。  オムニバス映画というものが、割と好きな方だ。なので、こういう企画を聞く度に、期待は膨らむ。ただ、それに相反して、結果的に一つの「映画」として面白い作品は少ない。  しかし、この「映画」はとてもよく出来ていたと思う。 TOKYOという奇異な都市を、世界が誇る3人の奇異な映画監督に撮らせるという企画自体が、そもそも奇異で面白い。 それぞれが物凄く個性的な世界観を描き出すので、フツーなら各作品を繋ぎ止めることは難しく、オムニバス映画としてまとめることは不可能に近いことだったと思う。  それを繋ぎ止めた要因こそが、TOKYOという都市であった。  ミシェル・ゴンドリーの哲学性に溢れたファンタジーも、レオス・カラックスの文字通り爆発的な変態映画も、ポン・ジュノの情感と根本的な力強さに満ちた精神世界も、すべてを「許容」する。 それこそが、TOKYO。
[DVD(邦画)] 7点(2010-08-11 00:29:52)
80.  ボーン・アルティメイタム
“ジェイソン・ボーン”シリーズ最終作(一応)。昨日、6年越しに第二作目を観て、いてもたってもいられなくなって、今作のレンタルに走った。  このスパイ・アクション映画シリーズの変わった特徴は、“ストーリーに面白味はそれほどない”ということだ。 記憶を無くした主人公が謎に包まれた自らの“アイデンティティ”を取り戻そうとするというのが、このシリーズの根本的なプロットで、この手の映画の場合、出来る限りストーリー展開に凝って、ドンデン返し的なラストを用意するというのが常だ。 が、この映画においては、そういうストーリー的に機知に富んだ工夫はほとんどない。  用意された一つの「謎」。即ち、「ジェイソン・ボーンとは何者なのか?」ということを、主人公自らがひたすらに追い求めるということが、この映画シリーズの揺るがないスタンスで、その中で生じる「逃亡」と「追走」それらのみで構成される。 それは、アクション映画として、非常に潔く、故にとても洗練された作品へと消化した要因だと思う。  仰々しい爆発シーンや、劇的なストーリーテリングに頼らず、生身の人間が体現出来得るリアリティを前提としたアクションシーンを繰り広げることにより、このシリーズは独特の緊迫感と疾走感を併せ持った迫力に溢れたアクション映画として確立することが出来たのだと思う。   ただし、もう続編は必要ない。それはこの三部作を評価するからこそ生まれる大多数の意見だろう。
[DVD(字幕)] 7点(2010-04-09 01:16:25)(良:1票)
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