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1.  黒いオルフェ
真の愛とは一種の災難である、って話だ。だからここでは死神も愛の一部分なの。オルフェは災難のようにユリディウスに出会ってしまう。それがなければ彼も婚約者とそこそこの幸福な家庭を築いたはず。でも真の愛に出会ってしまう。最初観たときは死神を“宿命”って感じで捉えてみたが、ユリディウスとセットになってるんだよな。愛の二面性の片割れと捉えたほうがいい。サンバという音楽にそもそも二面性が感じられる。溢れかえる生命力があるのだが、そのなかにやがてボサノバへと変質していくなにかヒヤッとする神経細胞のようなものも潜んでいる。ユリディウスを探す死神が身を乗り出すところのヒヤッとした感じね。もちろん仮面をはずしながらむこうを向くシーンが最高。役所の建物が地獄堕ちのイメージに重なっていた。南米文化ってのがもともと日常と神話が隣り合わせになってる文化だから、全然展開に無理が感じられない。ラスト、少女のユリディウスが踊り出すときは涙ぐんでしまう。
[映画館(字幕)] 8点(2009-09-23 11:58:43)
2.  黒い神と白い悪魔
題名からは単純な二元的世界を想像してしまうのだが、とんでもない、ややこしい状況。たしかに何かと何かが対立しているのだけど、それがよく分からんのだ。話の軸になるのは、アントニオと彼が狙う相手との対立。神から離れた位置にある者に対して、後者は二つとも宗教団体のよう。しかしそのアントニオを雇ったのが教会だからまたややこしい。さらにその二つの宗教団体も、熱狂的な狂信家とほとんど泥棒集団のような違いがある。どちらも無垢な者への殺戮という点で共通しているけど。そしてこのややこしい世界をマヌエロが、あちこちへつまずき引っかかりながら駆け抜けていくわけだが、彼とアントニオがひたすら個人であるのに対して、あとの者たちが集団であることにも対立がある。これら傷つけ合っている人々に対して、作者は積極的な批判を加えていない。地主や白人神父に対してははっきり憎悪が感じられるのに。これら傷つけ合っているものたちに分裂するなと呼びかけている映画なのだろうか、憎悪の対象をはっきり見定めよと。マヌエロのように、もう一度「個」から出発せよと。この対立をこそ言いたかったのかも知れない。ブラジルの状況に疎いものには、乗り切れないところもあるが、前半はかなり興奮した。よく風が吹くのがいい。
[映画館(字幕)] 7点(2011-06-28 10:20:01)
3.  アントニオ・ダス・モルテス 《ネタバレ》 
教師・牧師らが途中までよく分からなかったし、状況も十分把握していたとは言えないので、つまり「良くわかんなかった映画」の部類に入るのだが、しかし不思議な面白さのある作品だったなあ。こういう作品がすでにあったとすると、アンゲロプロスの評価は少し割り引いといたほうがいいのかもしれない。伝説と現実の混交、幻想とリアリズムの隣り合わせ、といった南米文学でも見られる特徴に加え、心理の排除、技法的には音楽効果(儀式のスタイル)の重視、長回し、などなど。ギリシャとブラジルというかけ離れた土地で似たような世界が作られている。ブラジルにもギリシャに劣らぬ古い南米文化の蓄積があるわけだ。ストーリーだけを取り出してしまうと単純で、政府のイヌだった殺し屋が民衆の一員としての己れを自覚し、雇い主を殺すというもの。ちょっと設定を変えれば、そのまま日本の任侠映画にもなる。ここに伝説的な要素を加味し、逆に現実の政治状況を重ね合わせている。これどうも現代の話らしいんだ。アントニオのセリフに「神が世界を作り、悪魔が柵を作った」ってのがあった。
[映画館(字幕)] 7点(2009-08-26 12:03:47)
4.  セントラル・ステーション 《ネタバレ》 
前半で、薄情なせちがらい世を一人で生き抜いてきたドーラをしっかり描いているから、後半も甘さに溶けてしまわない。他人の街、他人の言葉を預かる代書屋、言葉なんて他人にまでちゃんと届かなくってもいいと思うまで、うんざりと他人に満ちている。かっぱらいもあれば臓器密売業者もいる。優しいお姉さんみたいのが罵り声をあげる。そういった混濁からしだいにブラジルの風景によって浄化されていき、カトリックの祭りのロウソクの波もあったなあ、この変化がロードムービーの味わい。ラスト、夜明けにドーラが旅立つ。兄弟の間で寝ていた少年が気配を察しても大声で叫ばないところ、普通の声でつぶやくようにドーラと言うところが泣ける。彼女自身の手紙、祭りのときの写真、泣ける泣ける。
[映画館(字幕)] 7点(2008-10-25 12:12:29)(良:1票)
5.  蜘蛛女のキス
話の本筋よりも、中に出てくるナチ映画の印象が強く残っている。善玉としてのナチ、悪玉としてのレジスタンス。そういう設定ってのは観たことがなかったんで、ああそうか、ナチの側からすれば、こういうのいっぱい作ってたんだなあ、と実に新鮮な驚きの面白さを味わった。といって「歴史は相対的なものでなんでもアリなのだ」と思ったわけでもなく、「ナチが正しかったかもしれない」と説得されたわけでもない。ただけっこう深いところで自在感を味わえ、私の中で貴重な体験となった。でも映画でそういう体験をすることはときどきあり、『国民の創生』には善玉としてのKKK団が出てきた(実は映画ではぼやかしているが「風と共に去りぬ」の原作にも出てくる。主要登場人物の某が後半善玉のKKKとなって、読んだときはビックリした)。その点日本の国策映画はあんまり「敵」に興味がなく、いかに日本の兵隊さんが苦労をしてるかってところがポイントなんで、そういう驚きはあんまりない。『支那の夜』には怪しげな抗日運動家が出てきたなあ。おっと脱線。で、このことと映画『蜘蛛女…』のモチーフの「裏切ること」ってのとどう関係があるのか、私には分からなかったけど、「思想」というものの不確かさってとこで何か通底していそう。スパイとスパイダーって、語源的になんか共通してるのか。
[映画館(字幕)] 6点(2010-05-30 12:06:28)
6.  クアトロ・ディアス 《ネタバレ》 
いかにも中産階級の坊っちゃんたちの革命ごっこのように始まる。射撃訓練など、部活のノリ。しかし抽象的だった“敵”がしだいに具体的となっていくにつれ、彼らも闘士の顔になっていく。一番ヤワそうなのが、筋金入りの革命家に憧れていくのもいい、話としてはさして発展してないが。周囲も描けていて、拷問者も単なるサディストではなく、そのことによって心にうつろを抱えていたりする。大使も、恐怖で失禁しトイレでさめざめと泣くシーンなどいい。どれも人間らしい人間なのに、政治がからむことで非情になっていく世界。「けっきょく君たちは軍事政権の対極のようでいて、よく似ている」って言葉が重い。
[映画館(字幕)] 6点(2008-10-27 12:05:21)
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