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プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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261.  パラサイト・バイティング 食人草 《ネタバレ》 
 面白いんだけど、それ以上に「痛い」映画。   特殊な植物の蔦が体内に侵入し、それを取り出そうと自らの身体を切り刻む女性のシーンなんて、もう画面から目を背けたくなるし、仮に背けたとしても嫌ぁ~な声と音がして容赦なく「痛み」を連想させてくるしで「そんなに丁寧に描写しなくても良いよ! 観客に痛みを伝えたりしないでよ!」と訴えたくなります。  そんな具合に、ともすれば不快感だけを味わう事になりそうな内容なのですが……  これが案外、しっかり楽しむ事が出来たのですよね。   まず、冒頭「災難に見舞われる前の、楽しい旅行風景」がキチンと描かれているのが好印象。  そして舞台となる遺跡を訪ねる際に、現地人から「あそこだけは止めておけ」という類の、お約束の台詞が飛び出す辺りが、何だかニヤリとさせられるのです。  作り手に対し「おっ、分かってるね」と拍手を送りたくなるような演出。    麻酔無しで脚を切り、これで何とか助かったかと思われたのに、その後に口から蔦が入り込んだ時の絶望感なんかも良かったですね。  じわじわと追い詰められていく描写が丁寧なので(あっ、これハッピーエンドは無理だな……)と、観客にも自然と受け入れさせてくれます。   そうして全滅も覚悟したところで、ヒロインだけは何とか遺跡からの脱出に成功するという結末は意外性がありましたし、途中(プレッシャーに押し潰されて、嫌な奴と化してしまうのでは?)と不安になったりもした一同のリーダー格、医学生のジェフが最後まで良い奴のまま、自ら囮になってヒロインを逃がしてみせるという展開も好みでした。  とにかく観ていて「痛い」と感じる場面が強烈なので、再見したくなる映画とは言い難いのですが(観て良かったな……)と、素直に思えましたね。   なお、DVD収録の別エンドでは、ヒロインも結局は死んでしまうという救いの無い結末なのですが、自分としては「何とか一人だけは助かった」という、本編の終わり方を支持したいところです。
[DVD(吹替)] 6点(2016-12-22 06:52:49)(良:1票)
262.  アリゲーター(1980) 《ネタバレ》 
 「元祖ワニ映画」というよりも「ジョーズの便乗映画」という印象の方が強い一本ですね。  襲い掛かる時のBGMまで似ているし「怪物に襲われたと思ったら、人間による悪戯だった」と判明する場面なども踏襲している形。   これだけ書くと、如何にも粗悪な劣化コピーのようにも思えちゃうのですが、然にあらず。  中々面白く、しかも「JAWS/ジョーズ」には無い本作独自の魅力まで感じられたのだから、嬉しかったです。   主人公が頭髪の薄さをネタにされる件なんて、最初はクスリともしなかったのに、その後も繰り返しネタにしてくるもんだから、つい笑っちゃう。  とうとうワニを倒した後のハッピーエンドの場面でさえ「ママもハゲが好きなのよ。家系らしいわ」とヒロインに言わせて終わるんだから、本当に徹底していましたね。  この主人公のキャラ造形って「真面目な刑事」「過去に相棒を死なせたトラウマがある」「動物好きで優しい」といった具合に、かなり王道なもんだから、ともすれば印象が薄くなりそうなものなのに、この「ハゲ」弄り効果によって、色濃く記憶に残ってくれました。   特撮も現代基準だと結構拙いんですが、頑張って巨大に見せようと撮っているのが伝わってくる為、憎めなかったですね。  小さな車や街の模型を作り、そこを普通のワニに歩かせるシーンなんて(あぁ、こういうの好きだなぁ……)と、しみじみ感じちゃったくらい。  ワニの巨大な眼も不気味に描かれていたと思いますし、子供相手でも容赦無く殺す残忍さも良い。  マンホールの下からワニが飛び出し、咆哮するシーンなんかも「怪獣映画かよ!」とツッコませてくれて楽しかったです。   昔の映画らしく、全体的にノンビリした展開なのですが、そんな中「新しい相棒になるかと思われた若い警官」「鳴り物入りで登場したワニ退治の専門家」などの重要キャラが、あっさり殺されるサプライズも用意しており、観客を飽きさせない作りになっているのですよね。  特に後者は、ワニの糞を見つけ「これはでかい」と大喜びするシーンがコミカルで印象深かっただけに(こりゃあ最後まで殺されないで生き残る立ち位置だな)と予想していたところを、裏切られた形。   あえて欠点を挙げるなら、冒頭にて赤ん坊時代の「ラモン」を飼っていた子が成長してヒロインになった訳だから、人を殺しまくっている巨大ワニが「ラモン」であると、彼女が覚るシーンがあっても良かったかも知れませんが、気になったのはそれくらいでした。   クライマックスにて「爆弾のカウントダウン」と「マンホールから脱出する主人公の姿」を一秒毎に交差させつつ描くシーンなんかは、特に素晴らしかったですね。  ここで気分を最高潮に盛り上げてもらい、そのまま爆発によってワニ退治成功→「悲劇は再び繰り返す」な下水道のワニの赤ちゃんを映してエンドロール突入という、実に綺麗な終わり方。  ラスト五分ほどで、一気に作品の印象を良くしてくれた気がします。   正直あまり期待していなかっただけに、意外な掘り出し物でした。
[DVD(字幕)] 7点(2017-11-07 12:25:47)(良:1票)
263.  星に想いを 《ネタバレ》 
 数学というテーマを扱ってはいるけれど、作りとしては王道なラブコメ映画ですね。  「相手のハートを射止める為に嘘をつく」→「嘘がバレそうになるけど何とか頑張って誤魔化す」→「相思相愛になる」→「でも嘘がバレる」→「相手が怒って喧嘩になる」→「仲直りしてハッピーエンド」というパターン。   そんな本作の個性としては、やはり作中にアインシュタインという大物を登場させている事に尽きるでしょう。  ウォルター・マッソーが飄々とした演技を披露しており、お茶目で憎めないお爺ちゃんっぷりを見せてくれています。  映画の中盤辺りで気が付いた事なのですが、ティム・ロビンス演じる主人公のエドよりも、むしろ彼の方に感情移入する場面が多いのですよね。  シンポジウムで演説する彼を見守る件、知能テストで答えをジェスチャーしてみせる件、そしてクライマックスで二人が結ばれるかどうかを望遠鏡で見守る件など、監督さんも意図的に彼を観客と同じ立場に置かれているのではないかな、と思えました。  最後にキスする二人を覗き見して、嬉しそうに微笑む姿は、正に観客の心情そのものかと。   ただ、それは裏を返せばエドに感情移入出来ないという事でもあり、映画はアインシュタインが主導する形となっていて、本来の主人公が状況に流されるままの人物としか思えなかった点は残念。  ヒロインのキャサリンが「天才の子供を産みたい」と考えている人物ゆえか、恋敵となるジェームズも知性以外の長所が窺えない人物として描かれており、ちょっと興醒めでしたね。  こういった場合、容姿も頭脳も完璧だけど性格に難ありとか、そういった設定の恋敵の方が「大切なのは互いのハートである」という結論に、自然に繋がったのではないかなと思う次第です。   ヒロインのキャサリンを演じるメグ・ライアンに関しては、流石の貫録というか、流石の可愛らしさ。  エドが一目惚れする展開にも、全く違和感が有りません。  そんな彼女と、星空の下で無事に結ばれるエンディングを目にすれば、多少の不満点などは吹き飛んでしまうのだから、これは凄い事だと思います。  やっぱり、こういった「安心して楽しめる映画」というのは必要なのだな、としみじみ感じました。
[DVD(吹替)] 6点(2016-06-05 20:01:20)(良:1票)
264.  ラスト・ターゲット(2010) 《ネタバレ》 
 まさかの恋愛映画でしたね。  冒頭、主人公が恋人と思しき女性を射殺するシーンが描かれており、色恋沙汰を排したハードボイルドな作風かと思いながら観賞していただけに、意外な印象を受けました。   作中に映し出される風景は美しく、それらを眺めているだけで癒されましたし、観賞中「大人」の雰囲気に浸る事が出来る映画というのは、決して嫌いではないです。  ただ、上述のように予想以上に恋愛要素が色濃くて、戸惑う面も大きかったですね。   何と言っても、冒頭のプロフェッショナルとしての主人公の姿と、イタリアの町を訪れてからの主人公の姿が、どうにも一致していない印象を受けてしまいました。  途中、ヒロインの事を疑って殺そうとする展開になるも、結局は悩んでいる内に「彼女は無実だった」と気が付くオチになったりして、何だか肩透かし。  じゃあ最初のスピーディーな射殺っぷりは何だったのか、とついつい思ってしまいます。  冒頭の彼女は恋人ではなく、自分が勝手に勘違いしていただけかも知れませんが「何で今回は対応が違うの?」と思ってしまい、最後までその違和感が拭えませんでした。  それだけ彼女の事を愛していたんだろう、と納得さえ出来たら楽しめたと思われるだけに、非常に残念。  せめて、もっと年数を経過させて、冒頭のシーンを遠い過去の出来事として描いてくれたのならば、印象も違ったかも知れません。   主人公が黙々と腕立て伏せを行ったり、銃を組み立てたりする場面などは、とても良かったですね。  クライマックスの、小銃に仕掛けを施しておいた事が分かるシーン。  そして、無事に助かったかと思われた主人公が、実は撃たれていたと分かるシーンなども、衝撃的でした。   熟成された苦味と同時に、どこか煮え切っていない甘味のようなものを残している。  そんな一品だったと思います
[DVD(吹替)] 6点(2016-05-29 18:01:59)(良:1票)
265.  オースティンランド 恋するテーマパーク 《ネタバレ》 
 ちょっと評価が難しい一品。   それというのも、この映画って観客が「女性である事」「作家ジェーン・オースティンのファンである事」を想定して作られている感じなんですよね。  なのに自分と来たら「男性」「オースティン作品は映画やドラマでしか知らない」という立場な訳だから、流石に門外漢過ぎる気がします。  ……でも、そんな自分の価値観からしても、面白い映画であった事は間違い無いです。   監督はジャレッド・ヘス(代表作「ナポレオン・ダイナマイト」)の妻である、ジェルーシャ・ヘス。  元々、夫の作品で共同脚本を務めていた為か、これがデビュー作とは思えないほど自然な仕上がりとなっており、落ち着いて観賞する事が出来ましたね。  低予算な作りであり、イギリス摂政時代を完全に再現しているとは言い難いのですが、それが却って劇中の「オースティンランド」の小規模さとシンクロし、リアルな箱庭感を生み出していたと思います。   主人公のジェーンが(何か、思っていたのと違うなぁ……)と失望しちゃう気持ちも分かるし(でも、せっかく全財産を注ぎ込んで訪れたんだから、楽しまなきゃ!)と自らに言い聞かせるようにする辺りなんかも、凄く小市民的で、好感が持てました。   ストーリーの流れとしては、所謂「幻想の世界に浸っていた主人公が、現実と向き合う話」「オタク趣味から卒業する話」な訳だけど、主演にケリー・ラッセルという美女を配する事によって、あまり痛々しい印象を与えない作りになっているのも、ありがたい。  短い出番ながら、元カレが最低な奴だとハッキリ伝わってくるのも良かったですね。  主人公が現実に失望して、何時までも幻想の世界に閉じ籠っていたくなる事に、説得力が増す感じ。   映画の途中から「貴族であるノーブリー様との幻想の恋」「使用人であるマーティンとの現実の恋」が逆転していく流れも、鮮やかでしたね。  劇中のジェーン同様「マーティンも役者であり、最初から彼と結ばれるよう計画されていた」「実はノーブリーとの交流こそが、演技ではない本当の恋だった」という二段仕掛けの真実には、見事に驚かされました。   まず、最初に映画に登場するのはマーティンの方であり、観客としても自然と彼の方がメインかと思うよう誘導しているのが上手い。  そして、園内の役者達が休憩中に交わす会話に違和感があって、その違和感が伏線となっている辺りなんて、本当に感心しちゃいました。   マーティンは役者ではなく、本当にジェーンを好きになった純真な男であるはずなのに、彼女の名字を憶えていなかったりする。  その一方で、彼女に興味無いかと思われたノーブリーは、しっかり憶えている。  そういった伏線が効果的に盛り込まれているからこそ「裏切られた」という不快感ではなく「そう来たかぁ!」という快感に繋がってくれる形です。   素顔のマーティンは女に困らない陽気なプレイボーイ、素顔のノーブリーは親友と婚約者に裏切られて傷心中の真面目な男、という設定なのも、これまた絶妙。  あんまりノーブリーを「王子様キャラ」として描かれちゃうと、同性の自分としては鼻白むものがあるし、何より「現実と向き合って幸せを手に入れた」という映画の結論も、嘘臭くなっちゃいますからね。   そもそも、反発し合っていたはずの男女が惹かれ合うのも「高慢と偏見」のダーシーとリジーそのままだし「貴方は、このお屋敷のダーシー様」という台詞もあるしで、本作品って「オースティン作品の幻想から抜け出したと思ったら、ダーシー様のような素敵な男性と結ばれた」という、都合が良過ぎる結末なんです。  だからこそ、その現実世界における「素敵な男性」を、なるべく嘘っぽくせず、リアルに感じさせる必要がある。  彼は美男子だけど、不器用で、不幸な女性経験があって、歴史の教授だから金持ちでもない、という辺りが、程好い「身近な存在」っぷりで、良い落としどころだなと思えました。   あえて気になった点を挙げるとしたら「妊娠中の友達が、あんまりストーリーに絡んでこない事」「エリザベスとアンドリュー大佐の仲がどうなったのか、曖昧なまま終わる事」などが該当しそうですが、欠点とも言えないレベルでしたね。  それよりも、気に入った部分の方が、ずっと多い。   主人公カップルを祝福したくなるような、良い映画でした。
[DVD(吹替)] 8点(2017-11-08 08:40:11)(良:1票)
266.  SAFE/セイフ 《ネタバレ》 
 「パソコンは何を記憶させても探り出されてしまう」という台詞が印象的。  ハッキングやら何やらを警戒する余り「大切な情報は、記憶力の良い人間に憶えさせておくのが一番安心」という時代錯誤な結論に行き着くのが、実に皮肉が効いていましたね。   そんな「記憶力の良い人間」が幼い少女というのは非常に漫画的だけど、あんまり美少女過ぎない子役を起用しているのが、適度なリアリティを生み出していたと思います。  ちょっと目が細過ぎて、典型的な「欧米人から見たアジア人」ってルックスの子なんですけど、笑うと愛嬌があって可愛らしいし、映画を観終わる頃にはかなり好きになっていました。  こういったストーリーの映画である以上、子供の事を「守ってあげたくなるような存在」として描くのは大切だと思うし、それは成功していたんじゃないかと。   それと、本作は彼女の養父となるチャンを演じるレジー・リーも、凄く良い味を出していましたね。  悪人だし、ボスの命令には逆らえないんだけど、養女のメイの事は彼なりに大切に思っているというバランスが、実に魅力的。  彼がメイに対し「きっといい父親になってみせる」と語り掛け、笑ってみせる場面は、本作の白眉であったように思えます。  不器用ながらも愛情を示して、彼女の為に少しでも「良い人間」になろうとした事が伝わって来て、好きな場面です。   それだけに、その後すぐ彼が殺されてしまう展開になるのがもう、残念で仕方ないんですが……  やはり、この辺りは「一度でも娘を殺そうとした奴が、本当の父親になんかなれる訳が無い」って事なんでしょうか。  「怖いものから、目を背けたりするな」という彼の教えを、メイが守ってみせて「彼とメイが過ごした時間は、無駄じゃなかった」という落としどころになっただけでも、良しとすべきなのかも。   その一方で、ジェイソン・ステイサム演じるルークに関しては「タフガイ」「アウトロー」の王道を行く主人公となっており、安心して観賞する事が出来ましたね。  浮浪者として生活しなければいけない悲壮感、靴を譲った相手すらも「ルークと関わったから」という理由で悪人達に殺されてしまうという「誰とも親しくなれない」という孤独感が、ひしひし伝わって来て(やっぱりステイサムって良い役者さんだなぁ……)と、惚れ惚れさせられました。   ただ、そんなルークがメイを必死に守ろうとする動機が弱いようにも思えて、そこはもっと説得力が欲しかったですね。  自殺を止めるキッカケになってくれた恩返しというなら「たまたま目が合ったお蔭で、思い止まれた」という展開ではなく、もっと積極的にメイが彼の命を救ってみせた展開にしても良かったんじゃないでしょうか。  あるいは、冒頭にて殺されたのが「ルークの妻」ではなく娘だったという事にして、娘と同じ年頃の子だから助けずにはいられなかったとか、そんな形にしても良かった気がします。   一番悪どい存在に思えた中国マフィアのハンおじさんが、結局大したダメージを受けず「尻尾を巻いて中国に帰る」くらいで終わっちゃう事。  そして、黒幕のアレックス刑事とルークとの素手のタイマンが始まるかというところで、メイが銃でアレックスを撃ち、決着を付けちゃう事なんかも、欠点と言えそうですね。  そこは、もっとスッキリする形で〆て欲しかったです。   観賞前に期待していた「ジェイソン・ステイサムの骨太なアクション」は充分に堪能出来たし、ルークとメイが「父娘」ではない「友達」になるハッピーエンドは良かったしで、決して嫌いな映画じゃないんですけどね。  気になる点も多くて「そこそこ満足」くらいの感じで観終わってしまった……  そんな一品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2018-07-04 11:02:09)(良:1票)
267.  ゾンビランド:ダブルタップ 《ネタバレ》 
 大好きな「ゾンビランド」の主人公四人組が、十年後も家族であり続けたという、それだけでも嬉しくなっちゃう映画。   家族ともなれば当然、意見が合わなくて喧嘩別れしちゃう事もあるんだけど、最後は元の鞘に収まり仲直りっていうのも気持ち良かったですね。  誰か一人くらいは死んじゃう可能性もあるかもって警戒していただけに、そんな懸念を吹き飛ばして全員生存エンドを迎えてくれたのも嬉しかったです。   監督も主要メンバーも同じ顔触れが揃っており、前作が好きな人なら安心して楽しめる内容となっているんですが……  「終盤の展開が雑」っていう欠点まで前作と同じだったりして、ちょっと困っちゃいましたね。  「ゾンビも進化して、更に厄介な敵となった」という伏線があったのに、それに殆ど意味が無かったという肩透かし感も寂しい。  「高さ」を利用してゾンビ達を一斉に退治するクライマックスも、中々痛快ではあったんだけど、上述の設定があるせいで (これなら敵は普通のゾンビのままで良かったな……)  って考えがチラついてノリ切れなかったし、典型的な設定倒れに思えちゃいました。  「二度撃ち」でも倒せない新型ゾンビって印象は強烈だっただけに、もっと上手く活用して欲しかったですね。   勿論、長所も色々あるというか、どちらかといえばそちらの方が多かったくらいだと思います。  ホワイトハウスを「我が家」にして四人で生活する様も楽し気で良かったし、人気漫画「ウォーキング・デッド」を読んで「全然リアルじゃない」と感想を漏らすのも、実際にゾンビ世界に住んでいる主人公達ならではって感じがして、面白かったですね。  すっかり豊満な女性に成長したリトルロックが、反抗期を迎えてしまい、それに他の三人が振り回される展開になるのも、ファミリー映画らしい魅力があって良かったです。  新キャラのマディソンを殺す場面をハッキリ描かなかったから (実は彼女は生きていて、ゾンビ化した彼女と再会する事になるんだろうな)  とばかり思っていたのに (……生きてるだけじゃなくて、ゾンビ化すらしてなかったよ!)  ってツッコまされた辺りも、程好いサプライズ感があって好き。   他にも、リトルロックの彼氏を「胡散臭い」と観客に感じさせる流れも自然で (なんだ、この彼氏って良い奴かと思ってたのに、実は嫌な奴だったのか)  と失望させたりしないバランスに仕上げてあるんですよね。  かなり早い段階で、有名なボブ・ディランの曲を「自分の曲」と言ってリトルロックに聴かせる場面が挟まれており「こいつは信用出来ない」と印象付ける事に成功している。  こういった形の、さり気無い人物描写が上手い監督さんなのだなと、改めて感心させられました。  モンスタートラックや「誕生日プレゼントの銃」の使い方も巧みだし、人間をゾンビと勘違いして殺す事を「マーレイしちゃう」なんて表現するセンスにも、クスっとさせられましたね。   終わり方に関しては、前作と同じ「家族エンド」であり、予定調和な心地良さがある一方で、ちょっと物足りないとも感じていたのですが……  エンドロールの後、ビル・マーレイの大暴れを描いてくれた事には、もう大満足!  もし「ガーフィールド3」ならぬ「ゾンビランド3」があったら、再びエンドロール後には「ビル・マーレイが生きていた頃の話」を流して欲しいな、と思えたくらいでしたね。  完全なコメディパートかと思わせ、観客を油断させておき、意表を突いて格好良いゾンビ退治に突入する流れが、本当に面白かったです。   「ゾンビ世界を生き抜く為のルール」ならぬ「ゾンビランドを楽しむ為のルール」を作るとしたら、そこには是非「エンドロール中に席を立ったり、停止ボタンを押したりしてはいけない」って一文を付け加えたいな……と、そんな風に思えました。
[DVD(吹替)] 7点(2020-03-04 23:41:12)(良:1票)
268.  コヨーテ・アグリー 《ネタバレ》 
 若者が夢を叶えるまでを描いた、シンプルで気持ちの良い映画。   実在の店をモデルにしているようですが、特に柵のようなものも感じさせず、自然に仕上がっていたと思いますね。  アパートの屋上で歌う場面からは「都会で一人ぼっちの田舎娘」という切なさが伝わってきたし、ニューヨークを舞台にした意味も、しっかり有ったんじゃないかと。   一応、部屋に泥棒が入る場面などで「都会の恐ろしさ」も描いていますが「ニューヨークの人達も、良い人ばかり」という、牧歌的な世界観である辺りも嬉しい。  困窮してる主人公を見かねて、見ず知らずのオジサンが食事を奢ってくれる場面とか(良いなぁ……)って、しみじみ思っちゃいましたね。  冷たいイメージのある都会だからこそ、人の好意が身に沁みるという訳で、凄く印象深い。  「夢を叶える為にニューヨークに来たけど、妥協して別の仕事してる人なんて沢山いる」という事が丁寧に描かれているのも、本作に深みを与えていた気がします。    そんな「妥協した大人」の代表であるコヨーテ・アグリーの店長といい、主人公ヴァイオレットの父親といい、魅力的な脇役が揃っている点も良い。  自分としては、ケヴィン・オドネルというキャラクターが、特にお気に入りでしたね。  女性主人公なラブコメの相手役って、高嶺の花である「王子様」と身近で親しみやすい「彼氏くん」に分かれる訳ですが、本作のケヴィンは後者のタイプ。  幾つもの仕事を掛け持ちして、頑張って生きてる姿が眩しいくらいだったし、マッチョな二枚目なのに、意外とアメコミオタクだったりするのも憎めない。  一歩間違えれば「胡散臭い、女性に都合が良いだけのイケメンキャラ」になりそうなもんなのに、同性の自分から見ても好ましいバランスに仕上がってたんだから、お見事でした。   「アメイジング・スパイダーマン」や「最初のサイン」といったアイテムの使い方も上手いし、練習して瓶捌きが上手くなる場面など「働く楽しさ」が伝わってくる内容なのも良い。  そして何と言っても、ヴァイオレットがステージ恐怖症を克服し、唄い出す場面が素晴らしかったです。  これまで彼女を支えてきた人々が、歌声を聴いた途端に、嬉しそうな笑顔になる。  「夢を叶える事」だけでなく「夢見る人を支え、応援する事」も素晴らしいと伝えてくれる、文句無しの名場面だったと思います。   ヴァイオレットに対し、何かと嫌味な態度で接してたレイチェルが、野次を飛ばす客を黙らせる場面も痛快だったし、そういう「ツンデレな魅力」を感じさせるキャラクターが多かった気がしますね。  個人的には嬉しい事なんだけど、誰も彼もが「嫌な人かと思ったけど、実は良い人」ってオチになっちゃうので、その辺は好みが分かれてしまう部分かも。  後は主人公のステージ恐怖症について、描写が曖昧なのも(冒頭、友達と一緒にステージで唄ってるので後の展開と少々矛盾してる)欠点となりそうです。   こういう明るく楽しいノリで、若者向けの映画って、何だかそれだけで「傑作」とか「名作」とかいう言葉が似合わない気がしちゃうけど……  この映画には、そんな言葉より「好きな映画」って言葉の方が似合っちゃうんだから、仕方無いですね。  たとえ映画史に残る名作であっても、一度観れば充分だって感じる品も多いのですが、本作は定期的に観返したくなる。  オススメの一本です。
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2022-06-30 15:14:53)(良:1票)
269.  25年目のキス 《ネタバレ》 
 この手の「年齢を偽り学校に潜入する」ネタ、好きですね。  もう一度学生時代に戻ってみたい、青春の日々を味わいたいって願いを叶えてくれる形になっており、観ていて心地良い気分に浸れました。   本作は「恋のからさわぎ」(1999年)「O」(2001年)「アメリカン・ピーチパイ」(2006年)など、2000年前後に流行った「シェイクスピアを現代の学園物に置き換えた品々」の一種であり、1999年公開という事を考えれば、先駆的な作品と評価する事も出来そうなんですが……  とかくラブコメの「王道」「お約束」を重視した作りでもある為、あんまり「斬新な内容」とは感じられないのが、ちょっと勿体無い。  最後も観客の期待通りのハッピーエンドを迎えるんだけど、それも「ラブコメの終わり方といえば、ハッピーエンドに決まってるから」という予定調和に頼った感じで、なんか完成度が低いんですよね。  起承転結の「転」までは丁寧に作ってあるんだけど、肝心の「結」が締まらない感じであり (……で、どうして国語教師のサムは彼女を許し、キスしてくれたの?)  って思えちゃって、スッキリしないんです。  ここをもっと綺麗に仕上げてくれていたら、胸を張って傑作と呼べたかも。   そんな具合にラストで失速した感はありますが、全体的には楽しめたし、好きな映画でしたね。  この手の映画の場合「主人公は皆に馬鹿にされる負け犬」であり、ともすれば極端な「負け犬賛歌」に終始してしまいがちなのですが、そこから一歩踏み込んで「学園の人気者達」も肯定する内容になっているのは、文句無しで長所だと思います。  これは主人公が「最初は冴えない子達と仲良くなるけど、取材の為に人気者グループに接近するのを強要される」という展開だからこそ生み出せた流れだと思うし、ちゃんと「取材の為に潜入した」って設定を活かす形にもなってますからね。  「負け犬を差別してはいけない、彼らだって素晴らしい人間だ」というのであれば、この手の学園物で悪役にされがちな「人気者」にだって、当然その言葉は当てはまる訳で、ラブコメ映画において不遇極まる彼らに救いの手を差し伸べた事には、素直に拍手を送りたいです。   「ミセス・ロビンソン」って単語が「未成年に手を出す大人の女性」の代名詞になってるとか、主人公の弟のロブが「卒業白書」(1983年)のコスプレをしたりとか、映画好きなら嬉しくなっちゃう小ネタが散りばめられてる辺りも、良いですね。  本作は主演のドリュー・バリモアが製作総指揮を務めた作品であり「完成度は高くないけど、何だか愛嬌がある」って辺りは「美人じゃないけど可愛い」っていう彼女らしさが反映されているようにも思えました。   数ある主演作の中でも、非常にドリュー・バルモアらしい映画の一つとして……  そして何より、可愛い映画の一つとして、記憶に残る事になりそうです。
[DVD(吹替)] 6点(2022-03-23 22:31:59)(良:1票)
270.  俺たちステップ・ブラザース -義兄弟- 《ネタバレ》 
 主役の二人が十歳と九歳であったなら、微笑ましいファミリームービーだったのだろうなと思います。  それぞれの父と母が再婚する事になり、義兄弟となった幼い二人が喧嘩しながらも絆を育んでいくという形。  新しい母親が自分をどれだけ甘やかしてくれるか確かめたり、二段ベッドを作っても良いかと両親に提案したりするシーンなんて、きっと可愛らしかったでしょうね。   それを四十歳と三十九歳の中年男にやらせているというギャップが本作の面白さなのでしょうが、自分としては少々観ていてキツいものがありました。  どちらかというと、主役の二人よりも二人の両親の方に感情移入させられましたね。  この「真っ当な社会人である両親」と「社会不適合者の息子達」の二つの視線を作中に用意している辺りのバランスは、作り手の巧みさを感じます。   そんな訳で、善良な両親が離婚する事になる終盤の展開はショッキングだったし、そこから二人の息子も奮起して社会復帰を果たしてくれる流れだった事には、心底ホッとさせられましたね。  就職すれば嫌味な上司に敬語を使い、苦しい思いもしなければいけないという部分を、キチッと描いている事には感心。  その一方で「働く喜び」のようなプラス面がオミットされていたのは気になりましたが、それに関してはラストの「二人が会社を辞めて起業家として成功する」オチに繋がるのだから、仕方のないところでしょうか。   クライマックスにて、二人がコンビを組んで演奏してみせる場面にはテンションが上がりましたし、それによって周囲の人々が主人公達を認める事になる流れも、王道の魅力がありましたね。  特に好きなのは、ウィル・フェレル演じる兄と、アダム・スコット演じる実の弟が、互いに不器用なハグを交わすシーン。  今では不仲となってしまっていたけれど、幼少期には仲の良い兄弟であった事が回想シーンで描かれていただけに、笑いの中にも微かな感動を覚えたりもしました。   ただ、最後の最後で意地悪な子供達に復讐する主人公コンビに関しては「なんて大人げない……」と感じてしまい、今一つカタルシスを得る事が出来ず、残念。  それでも、両親も無事に復縁し、主人公達も再び「兄弟」に戻れたハッピーエンドという形だった事は、良かったなぁと思えました。
[DVD(吹替)] 6点(2016-06-06 19:13:09)(良:1票)
271.  お父さんのバックドロップ 《ネタバレ》 
 主題歌がスネオヘアーで、主演が神木隆之介という、自分好みな布陣だったので観賞。   個人的には「声優」という印象が強い神木隆之介なのですが「子役」としても、そして「美少年」としても卓越した存在なのだと、本作によって思い知らされましたね。  時代設定が1980年という事もあり、作中では半ズボンばかり穿いているのですが、そのフトモモが眩しくて、妖しい色気すら感じちゃったくらい。  小説などで出てくる「絶世の美少年」「天使のように愛らしい子」って、現実にも存在するんだと、彼に教えてもらったような気がします。  スネオヘアーに関しても、本来は「男女の恋愛映画」に似合いそうな曲が多いのに、父子愛を描いた本作に寄り添った曲として「ストライク」を完成させているのが、お見事でした。   で、肝心の映画本編はというと……  良くも悪くも王道な作りであり、優等生的な一品。  際立った短所も無いんだけど、その分だけ面白みに欠けるというか……結局(神木くんが可愛い)って印象が、一番色濃く残る作品になってる気がします。   まぁ「ロッキー」(1976年)を観れば(スタローン恰好良いな)と思うし「レスラー」(2008年)を観れば(ミッキー・ロークも恰好良いな)と思う。  でもって「チャンプ」(1931年&1979年)の二作を観れば(どっちの子役も可愛いな)って思う訳だから、本作も「神木くんの可愛さを満喫する映画」と定義しても、全然悪くないんですけどね。  それでも(物足りない)(惜しい)と考えてしまうのは、それだけ観賞中に期待しちゃったというか……  上述の傑作に並べたかも知れない可能性を、本作に感じたゆえなのかも。   そんな「可能性」の一つとして、特に着目したいのが、母親のビデオテープの件。  普通なら、こういう物語開始時点で亡くなってる母親って「完璧な存在」として扱っても、全く問題無いと思うんですよね。  でも本作に関しては、そうじゃない。  主人公の一雄から見ても、母は「いつも優しかった訳じゃない」「時々、ボクの事を打ったりした」という存在。  だからこそ一雄は、そんな母が優しい笑顔を見せた運動会のテープを、何かに縋るように大切にしていたんだって分かる形になっており、その事に凄くグッと来ちゃったんです。   口は悪いけど、実は善人というマネージャーも良い味を出しており、自分としては彼に助演男優賞を進呈したくなったくらい。  空手チャンピオンと戦う事になった一雄の父、下田牛之助(恐らく上田馬之助がモデル)を心配し「試合の当日になったら、病院に駆け込め。後のトラブルは、儂が処理する」と言ってくれる場面なんかは、特に好き。  それでいて、いざ試合当日になったら「儂は信じとるぞ」「お前が最強やて」という熱い台詞を吐き、試合後には誰より勝利を喜んでくれるんだから、たまんなかったです。   その他「煙草のようにガムを渡す場面が印象的」とか「廃バスを秘密基地にしてる少年達って設定に、ワクワクさせられる」とか、良い部分も多いんだけど……  全体的に見ると「不満点」「気になる箇所」も目に付いたりするのが、実にもどかしい。   一番目立つのが、劇中でレスラーを辞めてしまう松山の描き方であり、これは如何にも拙くて、映画全体の完成度を下げていたように思えます。  酔って泣きながら「お前にプロレスの何が分かるんだ!」と訴え、それが感動的な場面として描かれてるんだけど、そうは言われても劇中にて「松山が如何にプロレスを愛しているか、人生を捧げてきたか」が描かれてないんだから、説得力が無いんですよね。  典型的な「唐突に出てくる泣かし所」って感じであり、こういう場面を挟みたいのであれば、ちゃんと事前に布石を打っておくべきかと。  それはタイトルになってる「バックドロップ」に関しても、また然り。  最後の試合にて、一発逆転の決着に繋げたいのであれば、事前に「牛之助の得意技」として、入念に描いておくべきだったと思います。   本当、こういう映画を観た後だと(映画を評価するって、難しいな……)と、しみじみ感じちゃいますね。  そもそも「主題歌がスネオヘアー」「主演が神木隆之介」って時点で、もう「好きな映画」になっちゃう訳だから、惚れた弱みというか、まともな判断なんか出来っこないんです。   そんな訳で、もしもスネオヘアーに興味が無く、神木くんを可愛いとも思わない人が観たら、結構厳しい出来かも知れません。  でも、自分と同じように(スネオヘアーの曲が好き)(神木くんって可愛いよね)と感じる人には、映画の後日談となる「ストライク」のPVとセットでオススメしたくなる……  そんな一品でありました。
[DVD(邦画)] 7点(2023-02-09 22:20:02)(良:1票)
272.  アフリカン・ダンク 《ネタバレ》 
 「才能」を発掘する喜びを味わえる映画ですね。   冒頭、生意気な新人選手と対決する件では主人公を応援したくなるし、舞台をアフリカに移してからの敵となる「町の顔役」も憎たらしいので、勝利の瞬間には大いにカタルシスを得られるという形。  「ディフェンスは息するより大事」などの台詞も印象深く「身体能力は高いが、粗削りなメンバーを磨き上げる」楽しさが、しっかり描かれていたと思います。   第二の主人公と言えるサーレが一度わざと下手な振りをして、落胆させた後に本気のプレイを披露し「やっぱり駄目かと思ったのに、本当に凄かった!」と歓喜させてくれる流れも上手いですね。  観ている側としても(アフリカの奥地に物凄い才能を持ったバスケットプレイヤーがいるだなんて、そんなに上手い話があるのか?)という疑いの念を抱いてしまうのは避けられない訳で、それを逆手に取っている。  「嘘みたいなストーリー」だからこそ出来る、気持ち良い展開でありました。   実はサーレーの兄もバスケが上手いという点に関しては、もうちょっと伏線が欲しかった所ですが……気難しい父と和解し「ウィナビに戻す」と宣告される場面が凄く良かったので、あんまり気にならなかったですね。  アメリカ人の主人公と、現地の部族が交流し「水道を作ろう」「それじゃあ、皆で一緒に水を運ぶ事が出来なくなる」という会話を交わす件も、現代人の価値観に違う方向から光を当てる効果があり、良かったと思います。   部族の仲間入りを果たす為、チャンピオンリングを空に捧げる場面も、雄大な自然を感じられて心地良いし「振り回し」のテクニックが、主人公からサーレーに受け継がれた事を証明して、試合に勝利する流れも素敵。  展開が王道、お約束に沿っている為、意外性や斬新さには乏しいかも知れませんが、その分だけ安心して楽しめる一品でありました。
[DVD(吹替)] 8点(2018-04-04 05:18:53)(良:1票)
273.  ツーリスト 《ネタバレ》 
 こういった旅行気分を味わえる映画って好きですね。  列車に、船に、豪華なホテルと、観ているだけで楽しくなっちゃいます。   男性ならアンジェリーナ・ジョリーと、女性ならジョニー・デップとのロマンスを疑似体験出来るようにも作られており「恋」と「旅」とを求めて観賞するなら、まず満足出来る一品かと。  その一方で、サスペンスとしての魅力は薄めであり、あんまりハラハラドキドキはしなかったのですが、本作の場合、このくらい緩めの緊迫感が丁度良かったように思えますね。  なまじ血が飛び出したり、身の毛もよだつような恐ろしいシーンがあったりしたら、せっかくの「程好いバランス」が崩れてしまっていた気がします。   主人公カップルが出会った際に、ジョニー・デップ側が「ごめんなさい」と謝っており、それが後の伏線になっていたりする辺りも上手い。  所謂「主人公こそが犯人だった」オチな訳ですが、犯人といっても悪党から金を盗んだ義賊に近い立場である為、受け入れ易い形になっているのですよね。  また、アンジェリーナ・ジョリー側も「実は警官だった」という事が中盤にて明らかになる為「一方的に彼女を騙して、酷い男だ」という印象には繋がらず、自然な仕上がりになっていたと思います。   目立った難点としては、数学教師という設定が活かされていない事。  そして、金庫を開けて正体をバラすシーンにて、周りに警官が一人も残っていなかったのが、都合良過ぎるように思えた事でしょうか。  前者に関しては、金庫の暗証番号を数学の知識を駆使して解き明かす(つまりは、ヒロインと警察に最初から暗証番号を知っていた訳ではないと思わせる為に演技する)展開にしても良かったんじゃないか……なんて思いましたね。   この手の騙し騙されモノとしては珍しく、後味爽やかなハッピーエンドであった点については、凄く好み。  緩くて温めなロマンス旅行映画として、しっかり楽しめた一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2017-04-19 18:55:08)(良:1票)
274.  恋愛だけじゃダメかしら? 《ネタバレ》 
 妊娠を主題としている為か、序盤にて嘔吐ネタが繰り返される事には、少々ゲンナリ。  演出も冴えていないというか、正直ちょっと好みじゃないなと感じる部分もあったりしましたね。  でも、総合的には良い映画だったと思います。   養子を迎えようとする夫婦、流産を経験するカップルなど、群像劇ならではの個性が感じられましたし、それによって様々なエピソード、様々なメッセージを描く事に成功しているのですよね。  妊娠による体調不良を「体内で奇跡が起きてる証拠」と美化する一方で「妊娠は最悪」「ニキビも出来る。歩けばアソコが痛む。オナラも出ちゃう」と、生々しく表現したりもしている。  基本的には「子を産むことの素晴らしさ」を声高に主張している映画なのだけど、そういう現実的な側面もキチンと描いている為、あまり偏った印象は受けず、素直に楽しむ事が出来たように思えます。   くしゃみと同時に軽く出産しちゃう女性もいれば、激痛に叫びながら出産する女性もいるという対比も面白かったし「血の繋がらぬ子を養子として迎え入れる場面」を、出産に負けず劣らず感動的に描いていたのも、何だか嬉しかったです。  劇中の人物同様に、世の中には子供を産みたくても産めない女性が存在する訳で、そういった人々への優しさというか「出産を経ずとも人は母親になれる、父親になれる」というメッセージが伝わって来て、とても温かい気持ちに浸れました。   ラストにて、子育てパパ軍団が、冷たい缶ビールをベビーベッドの下から取り出し、仲間にパスするシーンなんかも、妙にお気に入り。  筋トレマニアで、常に公園を走って身体を鍛え上げ、派手に女遊びしていた独身男がパパになると同時に「もう走るな、歩くんだ」と男友達から諭される件も、色々と象徴的に思えて良かったです。  そんな彼が、当初はタッチを拒んでいた相手と、仲良くタッチを交わして「パパ」の仲間入りを果たして映画が終わるという構成も、凄く後味爽やか。   大人達が主役であり、子供にスポットが当てられていない為、肝心の「子供を持つ喜び」が伝わってこない点など、色々と気になる部分もあるのですが「あぁ、良いなぁ……」と思える場面の方が多くて、帳消しにしてくれたという感じですね。  こういう映画、嫌いじゃないです。
[DVD(字幕)] 6点(2017-07-04 13:52:03)(良:1票)
275.  借りぐらしのアリエッティ 《ネタバレ》 
 こういった設定の映画である以上「小人から見た世界」が面白く描かれていれば問題無いと考えながら視聴した為、まず満足。   部屋に飾られている大きな時計が人間の腕時計だったり、お茶を淹れる際にも水滴が大きかったり、猫や狸が巨大な獣だったりと、色々楽しかったですね。  逆さに伏せられた硝子のコップを、物珍しい美術品のように眺めるアリエッティというシーンも印象深い。  ……ただ、虫が巨大なサイズで気持ち悪かったのは難点かも。  ダンゴムシをボール代わりにして弄んだりする描写なんかは、ちょっと引いちゃうものがありました。   タイトルになっている「借りぐらし」に関しては、いくら作中で「人間から借りているだけ」と主張されても、明らかに泥棒だよなぁ……と思えてしまい、ノリ切れず。  もうちょっと小人なりに人間の生活に貢献しているとか、借りた分を些細なお手伝いなどで返してみせる描写があれば納得出来たのでしょうが、小人はひたすら人間を恐れて隠れつつ盗みを働いているだけですからね。  ただ単に「借り」と「狩り」のダブルミーニングにしたかっただけでは? と感じられました。   ドールハウスと小人の寸法がピッタリ同じというのは、ご都合主義だとばかり思っていたのに「実は小人の為に作らせた代物」だったと判明する辺りなんかは、上手い脚本だなと感心。  アリエッティの母親救出の件で、さながらスパイ物めいた音楽と演出になったり、窓を開ける際に「人間には出来ない事でも小人なら出来る」と示す流れになったりするのも良かったですね。  原作の元ネタと思しき「秘密の花園」を読んでいるシーンなんかも、思わずニヤリ。  「秘密の花園」→「床下の小人たち」→「借りぐらしのアリエッティ」の三作品には、それぞれ四十年以上の間隔が空いている事を思うと、魅力的なストーリーラインは時を越えて受け継がれるのだと、しみじみ実感させられます。   そして、事前に調べなくても「ヒロインの描き方が全然ロリコンっぽくない」という時点で宮崎監督作じゃないと気付いた本作なのですが、これも結果的には良い作用を齎したんじゃないかと思えます。  小人の美少女なんて、如何にもフェチ心をくすぐる題材だし、やりようによっては幾らでもエロティックに出来たのでしょうけど、そちらは極めて薄味な作り。  それが物足りない人もいるのでしょうが、自分としては好みなバランスでした。   むしろ脚本と監督の溝というか、作中の台詞と全体の流れが噛み合っていないのでは? という点が気になりましたね。  脚本を書いた人がビッグネームな時に起こりやすい現象なのですが、監督さんが脚本に気を使って、書かれていた台詞をそのまま採用してしまったがゆえに生じる違和感のようなものがありました。  その最たるものが「君は僕の心臓の一部だ」というクライマックスの台詞であり、確かに感動的なのですが、それまでの流れを考えると、どうしても(そこまで言う程の深い交流があったかな?)なんて思っちゃうのですよね。  死にゆく病人と滅びゆく種族とで、シンパシーを感じたのだろうけど、長年連れ添った恋人同士じゃあるまいし……なんて、ついつい意地悪く考えてしまいました。  別れのシーンは、台詞だけでなく、音楽や演出も悪くなくて、グッと来るものがあっただけに、そこが凄く残念。   それと、中盤に母娘で針仕事をしながら「この大きな袋は何なの?」と娘が尋ねるも、母親は答えないというシーンがあるんですよね。  ここ、てっきり気球かヨットの帆を作っていて、それが引っ越しの際に役立つのではと予想していたのですが、見事に外れました。  こちらは、ちょびっとだけ残念。   でも、本作には「薬缶に乗って河を移動する、静かなエンディング」の方が似合っていたようにも思えますね。  希望の象徴と言うべき海のポスターを効果的に活用し、単なる悲劇では終わらせず、より良い明日に向けての「旅立ち」を感じさせる終わり方であった点も含め、中々に心地良い映画でありました。
[DVD(邦画)] 6点(2017-05-10 10:18:04)(良:1票)
276.  天井桟敷の人々 《ネタバレ》 
 「映画に恋をする」という言葉が、喩えでも何でもなく実際に起こり得る現象なのだと教えてくれた、記念すべき一本。   とにかくもう、主人公バティストがパントマイムを駆使してヒロインの無実を証明する場面にて、一気に心を奪われてしまい、そこからは夢心地で最後まで観賞する事が出来ました。   ラスネールがモントレー伯爵を殺害する場面にて、直接その姿をカメラには映し出さず、第三者の反応を映す事によって表現する件なんかも、凄く良かったですね。  長尺の中にも、要所要所でハッとさせられる演出が散りばめられており、全く飽きる事がありません。   観客としての自分は、ガランスよりもナタリーの方に惹かれるものがあり、主人公の行動に全面的に賛成出来た訳ではないのですが、それだけに「人を愛する事」の業の深さについて考えさせられましたね。  あんなに想ってくれる奥さんがいながら、可愛い子供がありながら、それでも不貞を働いてしまうなんて、情けない男だなと思う一方、どうしても「その恋は間違っている」と否定する事が出来ないという。   全編に渡って台詞が洗練されており、何でもない会話シーンだけでも楽しかったりする為、観ているだけで幸せな気持ちに浸れたのですけど……  それだけにラストシーンの訪れには、とうとうこの映画が終わってしまうのか、という寂しさが伴いましたね。  最後の一幕、去りゆくガランスを追いかけるも、決してその声が届かない主人公の姿は、映画が終わる事を否定しようとしても叶わない自分の姿にも重なり合い、とても切ない気持ちになった事を、良く憶えています。   今でも時々、昔の恋を思い出す時のような気持ちで鑑賞し、その度に再び恋してしまう。  そんな映画です。
[DVD(字幕)] 10点(2016-04-05 08:34:32)(良:1票)
277.  ミクロキッズ 《ネタバレ》 
 漫画「刑務所の中」にて、囚人が所内で観賞させてもらったビデオ映画として本作の名前が挙げられており、驚いた記憶がありますね。  これを観たら、さぞかし家族が恋しくなってしまうのでは……と思わされました。   作品そのものに関しては、これぞ安心して観られるファミリー映画といった印象。  ミクロ化してしまったら、散らばる機械の破片だけでなく、降り注ぐ水滴さえも兵器のような威力に感じられるという内容が、とても面白いですよね。  こういった設定であれば、間違いなく期待してしまうであろう「食べ物」「昆虫」などの要素を忘れず押さえてくれているのも嬉しい。  色々と知的好奇心をくすぐるものがあり、ちょっと穿った見方をするならば「教育ママが幼い我が子に観せたくなるような映画」という評価を下す事も出来そうです。   何よりもこの映画の優れた点というか、バランスの良さは、全編にわたって心地良いユーモアが散りばめられており 「たとえ子供がミクロ化しなかったとしても、この家族達のドラマなら面白そう」  と感じさせてくれる事にあると思います。  実際、自分なんかは冒頭部分の「宗教上の理由で別れたカップル」「小柄な息子と大柄な父親」などの件でも、充分に楽しめましたからね。  さながら連続ドラマの中の一話として「今度は子供達が小さくなる話」というのを観せてもらったかのような感覚。   大きなサプライズ展開も無く、強烈な感動を味わう事は難しいかも知れませんが、安心して心地良い作中世界に浸る事が出来る。  そんな映画です。
[DVD(吹替)] 7点(2016-05-08 04:31:04)(良:1票)
278.  ルビー・スパークス 《ネタバレ》 
 理想の恋人を現実世界に召喚してみせるも、結局は彼女も思い通りになってくれない……というお話なのかと思いきや「主人公が本気で彼女を操ろうとすれば、簡単に操れてしまう」と証明されるシーンが衝撃的。  ホラー映画テイストな演出も相まって、大いに恐怖を抱かせてくれましたね。  劇中で二人が観賞し、楽しそうに笑い合っていたゾンビ映画「ブレインデッド」よりも怖かった気がします。   「ありのままの自分を愛してくれる人」を作り出したはずの主人公が求めていたのは、結局「貴方は天才!」と絶賛してくれるだけの操り人形に過ぎなかったというオチも、何とも哀れ。  最後には「誰にも操られない、自由になった彼女」と再会する事となる訳ですが、これはココから本当の恋が始まるというハッピーエンドなのか、あるいは主人公が彼女の存在に囚われたまま離れられないバッドエンドなのか、解釈が分かれそうなところです。  自分としては、前者であると信じたいのですが、どうも後者であるようにも思えてしまい、今一つスッキリしない感じが残りました。   以下、映画の内容とは直接関係無い事なのですが、この脚本を書いたのはヒロイン役のゾーイ・カザンであり、プライベートでも恋人であるポール・ダノに主人公を演じてもらったというのが、とても興味深かったですね。  一見すると、本作は「女性に幻想を抱く男性」を揶揄した代物であるかのように思えます。  けれど実際は「理想の彼氏」を求める女性によって作りだされたものであり、ルビーではなく「悩める天才小説家の青年」であるカルヴィンこそが「(脚本家にとっての)都合の良い妄想の産物」ではないか、とも思えました。  キャスティングからしても、それを隠そうとする意図は無く、確信犯的に二重構造を楽しみながら、この映画を作ったのではないかな……と感じられて、何だか微笑ましかったです。
[DVD(吹替)] 5点(2016-06-02 17:35:23)(良:1票)
279.  ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える 《ネタバレ》 
 三部作の真ん中に位置する品なのですが、初代の焼き直し感の強い内容なのが残念でしたね。   逆に考えると「1を好きだった人なら問題無く楽しめる続編」なのですが、どうもマンネリっぷりを強く感じてしまいました。  理由の一端としては、主人公グループが「フィル、スチュ、アラン」の三人組で、前作と全く同じ顔触れだったのが痛いんじゃないかと。  ここは三人の中の誰かが行方不明になって、新キャラの天才少年テディが捜索側に回るか、あるいはダグも一緒に行動する形にしても良かったんじゃないかと思いますね。  作り手側としては「イケメン主人公のフィル」「頼りないけど知性派で、真相を解く探偵役のスチュ」「トラブルメーカーのアラン」の三人組が、バランスとして完璧という自負ゆえに、前作と全く同じ布陣にしたのでしょうが、流石に変化が無さ過ぎた気がします。   そもそも、スチュが結婚する相手がジェイドじゃなく、新顔のローレンって時点で(えっ、何で?)と思えてしまって、物語に入りきれなかったんですよね。  舞台をタイにする以上、仕方無かったのかも知れませんが、自分としては「タイが舞台である事」に必然性を感じなかったし、アメリカの田舎町かどこかでも良かったんじゃないかと思えたくらい。  スチュとローレンパパとの和解も無理矢理感があったので、もう少し自然な感じに仕上げて欲しかったです。   あとは、アランの嫌な奴っぷりが明らかにアップしている点もキツい。  両親に対して嫌味な態度を取る場面とか「俺は専業ニートなんだ」と偉そうにしている場面とか、本当ゲンナリしちゃったんですよね。  そんな描写が序盤にあった以上、改心して「これからは両親を大事にする」「ちゃんと働き出す」って結末になるんだろうなと思ったのに、それも無し。  前作の時点では、ここまで酷い奴じゃなかったと思いますし、アランが好きだった自分としては、かなり寂しかったです。   何だか欠点ばかりを書いちゃいましたが、それというのも、本作の良い部分って「答え合わせが、盲点を突かれた感じで気持ち良い」とか「エンドロールで明かされるパーティーの光景が楽しそう」とか、前作にあったのと同じ良さだったりするので、改めて本作の感想として書くのが、ちょっと難しいんですよね。  それでも、あえて本作独自の長所を挙げるなら……  「マイク・タイソンやチャウの再登場が嬉しい」「テディが指を失ったのは可哀想だけど、実は自業自得だったと分かり、思わず笑っちゃった」とか、そのくらいになりそう。   総合すると「それなりに楽しめた」「続編としては、そこまで悪くない」って感じになりますし、点数を付けるなら、決して低くはならないんですが……  自分としては、物足りない印象が残る一本でした。
[DVD(吹替)] 6点(2020-04-16 17:48:41)(良:1票)
280.  スパイダー パニック! 《ネタバレ》 
 これは好きな映画ですね。  手に汗握る緊迫感とか、物凄いセンスの良さがあるとか、そういう訳じゃないんだけど、定期的に観返したくなるような魅力がある。   分析してみるに、やはりモンスターである蜘蛛の描き方が良かったんじゃないでしょうか。  見た目も怖過ぎず、気持ち悪過ぎずで、そこはかとなく愛嬌があるし、殺し方もそこまで残酷じゃない。  銃を持った人間と一対一なら負けちゃうけど、数の力を活かせば圧倒出来る。  移動速度も素早く、徒歩の相手なら楽勝で追い付き、バイク相手なら逃がしてしまう事もある。  知能は道具を扱える程ではないが、原始的な狩りの術は習得済み。  そしてオスの三倍も大きいメスという、視覚的にも分かり易いボス格の存在……  様々な点でバランスの良い、名敵役といった感じでした。   主人公側の戦力も程好いバランスでまとまっているし、何と言っても主武装がショットガンというのが自分好み。  モールに立て籠り、襲い来る蜘蛛の大群をショットガンで迎え撃つ場面とか、もう本当に大好きなんですよね~  こういうゲームがあったらプレイしてみたいなぁ、なんて思っちゃいます。   人物設定も良くって、男性主人公と、子持ちのヒロイン、幼い息子、年頃の娘と、もう完璧な布陣。  何でなのか分からないけど、こういう組み合わせって琴線に触れるものがあるんですよね。  「君も子供達も、纏めて幸せにしてみせるよ」という、男としての自尊心みたいな物が満たされるからかな?  息子くんの背伸びしている感じや、娘ちゃんの思春期な感じも、実に好ましかったです。  ・バイクに乗ったままジャンプし、空中で蜘蛛に蹴りを食らわせる。 ・金網越しに突き出た蜘蛛の足を、チェーンソーで一気に斬り落とす。 ・武装しろと言われた男が、ホッケーマスクにチェーンソーという「ジェイソンのようでいて、実は武器のチョイスがジェイソンじゃない」恰好をしてみせる。   等々、印象的な場面が色々と配されていて、観ている間ずっと飽きさせないのも良い。  客が少ないモールに、蜘蛛から逃げてきた人々が大挙して押し寄せるのを見て(ようやくモールに客が来たか)と喜ぶ町長のシーンなんかも、惚けたBGMと併せて、味わい深いものがありました。   誰も本気にしていないと思っていた「エイリアン襲来を警告するラジオ」のリスナー達が、終盤に駆け付けてくれるのも良いし「巨大蜘蛛に立ち向かうよりも勇気が必要な告白」をヒロインに対して行ったら、アッサリ受け入れてもらえて拍子抜けしつつ死地に赴く主人公って展開も、これまた素晴らしい。   無事に敵を一掃し、お約束のハッピーエンドを迎える結末まで、とても楽しい時間を過ごせました。
[DVD(吹替)] 8点(2017-05-03 07:40:53)(良:1票)

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