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プロフィール
コメント数 646
性別 女性
自己紹介 2006年のレビュー本数4本ってあんまりですわね。
2005年には「姑獲鳥の夏」まで見ていたクセに。
ってこういう使い方やっぱ邪道ですよね。来年こそは。

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21.  メリー・ポピンズ
技術が古びても、ストーリーが古い時代の物になっても、古びないものってやっぱりあると思う。時代はどんどん過ぎて行って、もう子供たちは「ジョーズ」を観ても眠れなくなることはないのかも知れないし、次の時代の子供たちは「マトリックス」を観てチャチなSFだと鼻で笑うのかも知れない。でも、やっぱりどんな時代でも、小さな子供たちには空を飛ぶ夢を見てもらいたいし、絵の中に入っちゃう!指先をパチンと鳴らすと部屋があっという間に片付いちゃう!煙突掃除のおじさんたちと、街じゅうの屋根の上を駆け回っちゃう!そんなことが出来たらいいな~、と思っていてもらいたい。空想は、人類だけに許された最大のパワーです。この映画を観るたびに私は、どんな時代がやって来ようと、この映画だけは大人からも子供からも、愛されていて欲しいな、と思います。
10点(2003-12-26 22:57:38)(良:3票)
22.  デイ・アフター・トゥモロー 《ネタバレ》 
いやーおもしろかったー。おもしろかったー。おもしろかったー。もちろん「おもしろい」以外のなーんにもないんだけど、さすがローランド・エメリッヒ、迫力に特化した映像づくりにかけては目下、トップブランドと言えますね。何はなくてもこのテの作品ならローランド・エメリッヒ。もちろんローランド・エメリッヒと言えばこのテの作品。とにかくもうお家芸的なド迫力のドデカスケール、しかも今回は宇宙人が来たとか隕石が来たとかいう言い訳を省いて、「こうなってしまった」でゴリ押ししているところが潔いです。さらにこのテの作品にありがちな「アメリカが世界を救う」パターンが一掃されたというか、完全にそれどころじゃなくなってしまってアメリカが助かるだけでいっぱいいっぱいなところに好感度大です。しかもこの監督、ドイツ人の癖にアメリカでは絶対に爆笑の嵐を生んだであろう相当にキツめなギャグも山ほど盛り込むことを忘れませんでした。笑えます。さりげなく、というレベルじゃなく完全にアメリカの移民対策を嘲笑った国境線ギャグを筆頭に、全編に散りばめられた黒めなギャグにお腹いっぱい笑いました。よくよく考えたらID4で地球を救ってたのはデニス・クエイドの実兄じゃん。というのもひそかにネタなのかと思い感心しました。関係ないけどデニス・クエイドって離婚してから当たりが多いですね。ジェイク・ギレンホールはオイシすぎです。イアン・ホルムは老けました。花を一人で背負って立つエミー・ロッサムも輝いています。何故か犬を連れたホームレスが重要なアイテムなのはエメリッヒ監督のNY像なんでしょうか。迫力以外なーんもない完全無欠の娯楽作品ですが、こういうの大好きな私はうっかり2回観て来て大満足です。観るなら劇場で、が鉄則ですね。 難を言えば音楽が少し暗かったかな。(コメディにしては。)>【放浪紳士チャーリー】様、いかにもアタシは70年代パニックスペクタクル世代でございます。
9点(2004-05-30 03:24:54)(笑:3票)
23.  ストーリー・オブ・ラブ
世の中には、すご~く良い人なのに、たった一つの致命的な欠点があるために周囲から疎んじられてしまう人もあれば、反対に、欠点だらけでどうしようもない人なのに、たった一つの長所のために何故か憎めない人もいたりする。映画も同じである。この映画にはほとんど良いところがなく、ブルース・ウィリスとミシェル・ファイファーの若作りははっきりと滑稽で、ストーリーはベタベタで誰にも容易に先が読め、だから何なんだ、という展開しかしないのに、ミシェル・ファイファーのちょっとあり得ないほどの熱演でうっかりボロ泣きさせられてしまった。だいたい私はミシェル・ファイファーという女優に芝居が出来るなんて20年近く想像したことすらなかったし、「眠れぬ夜のために」で初めて観た時は「すごく可愛い」と思い、「デンジャラス・マインド」で観た時には「いい女になった」とは思ったが、「演技が出来る」と思ったことは唯の一度としてなかったと断言して良い。その彼女が、あれだけの長回しで堂々と演じてくれた名シーンたった一つだけで、箸にも棒にもかからなかった単なる倦怠期を迎えた夫婦の物語が、なんだかとても素晴らしい、忘れ難いものに思えてしまうのである。私のようにココロの冷たい女でさえコレだ。彼女と似たような境遇にある人だったらもう、ボロ泣きどころじゃすまないだろう。だからこの映画、ほとんど良いところも新しいところもないのだけど、なんか憎めない良い映画になってしまった。救いがあるっていうのは、それだけで素晴らしいことなんである。
7点(2003-12-06 00:15:24)(良:3票)
24.  荒野の七人
西部劇を学ぼうと思い立ち、右も左もわからないまま西部劇コーナーの前に立って真っ先にこれを選び出した自分の野生の勘を誉めてあげたい(笑)「七人の侍」を観たのは20年前のことなので正直、比較するほど覚えていなかったりするし、前作への思い入れが強ければ強いほどイメージが下がるのがリメイクの常なので、おぼろげに知っているぐらいの鑑賞姿勢はプラスに働いたように思われる。ジェームス・コバーン、スティーブ・マックイーンといった未来の大スターたちが、駆け出しの初々しさを持ちながらも後の成功を納得させるだけの存在感を醸し出しているのには率直に驚嘆させられる。特に75個しか台詞のなかったマックイーン(笑)、動く動く。とにかくどんな片隅に置かれていてもひっきりなしに何かやっている。このカウボーイハットが、後の「大脱走」で野球のボールに代えられて行くのですね。ユル・ブリンナーは大物の風格で当然圧勝といったところだが、この人の存在感だけに頼りながらも自分の強烈な存在感をはっきり自覚しているところはやはり凡人にはなし得ない一つの才能だろう。もちろん彼のカリスマ性あってのこの作品だと思うけど、これだけのメンバーが一堂に会して一点のブレもなく一本のベクトルにまとまっている訴求力は名作と言われるだけのことはある。西部劇の名にふさわしい、アメリカ大陸西南部独特の地形的なスケール感、低いアングルを多用した空と馬たちの躍動感、暗く湿った東洋の小国で初めてこれを見たおとうさんたちを、打ちのめすには十分だったに違いない。Sweet!
7点(2004-02-22 14:48:29)(良:3票)
25.  ストレイト・ストーリー
実話であることが必要以上に話題を呼んだが、「老い」をテーマとした作品の中では極めて異質なロードムービー。73歳のアルヴィン・ストレイトがはっきりと自分の余生の短さを自覚した時、彼は人生でやり残した最後の仕事を成し遂げることを決意する。それは10年前、仲違いしたままの兄を、誰の力も借りずに自分自身で訪ねること。バスに乗るのでなく、知人に送り届けてもらうのでなく、時速5マイルのトラクターで行くことは、それが他でもない自分自身に残された力で出来る最後の仕事だったからだ。行く先々で出会う人々に、彼は気持ち良くハローと言うが、それ以上のつながりを求めない。それはまぎれもなく、新しい出会いから始まる交流が、おそらく時間切れに終わるであろうことを老人である彼が悟っているからだ。彼はたった一つの目標のために、ひたすら350マイルの道を行く。自閉症の娘は、不自由ではあるが何とか身の回りの世話が出来、一人で生きて行くことができるだろう。兄に謝罪するわけではなく、ただ「会いに来たよ」と言うために、老人は最後の旅をする。それが人生で最後に残された、たった一つの借りだとしたら、自分の力で返すことでその人生に決着をつけたい。私たちは皆、少しずつ周りに借りを作りながら生きている。借金で首が回らなくなる人もあれば、自分の人生に納得し、貸し借りナシで去って行ける人もあるだろう。その時、自分は何を思い、誰に謝りたいと願うのか。この映画を観ながら、私はガラにもなくそんなことを考えていた。
8点(2003-12-03 23:24:55)(良:3票)
26.  ティアーズ・オブ・ザ・サン 《ネタバレ》 
プロの上級軍人の命令違反という設定もあり得なければ、実際にはありもしない内戦を描き、間違いなく国際紛争に発展するはずのラストも含めて全てにおいてあり得ない物語。だからこそウソ八百と割り切ってお気楽に楽しめるモノはある。あちこちで広報活動に励んでいるのだがナイジェリアでこの作品に描かれたような内戦は起きていない。イボ族はこの国の一大勢力の1つではあるが最大勢力ハウサに比べれば人口は半分以下で、国を統治するなんてことはまず考えられない。そういう意味では日本を含めた西側諸国のアフリカに対する認知度の低さを痛感させられるストーリーではある。ラストの空爆だってあんなことしたら戦争になっちゃうでしょう。あり得ない。完全につくり話として観れば、一度戦場で機関銃持って走り回るブルース・ウィリスが観たいゾ。という戦争映画好きの願望をお腹いっぱい満たしてくれる娯楽作品ではある。ドンパチも派手だし、レッドはカッコ良い。よって今年観た映画の中での位置づけは私の中で極めて高い。これもまた、ただ面白いだけの映画。そういう映画は、余計なことを狙わない方が良い。確信犯なのでOK。
8点(2003-11-22 01:24:41)(良:3票)
27.  ライフ・イズ・ビューティフル
人類史上屈指の過ちをファンタジーにしてはいけない。
0点(2003-11-22 20:23:45)(良:3票)
28.  シービスケット
私は感動体質というか比較的映画を観て泣きやすい方だが、この作品には非常に安心して泣くことが出来た。実話であると言われれば、どんなに出来すぎた話であっても受け入れざるを得ないだろう。後で調べたら感動させるためにかなり脚色された部分はあったようだが、2時間21分にまとめるためには細かい部分を相当そぎ落とす必要もあったわけで、ある程度は仕方がないのかな、と思う。登場人物の背景を比較的丁寧に描く前半から、シービスケットが活躍を始める中盤以降とのつながりがやや薄いような気もするし、投げっぱなしの伏線もある。そもそも前半の謳い文句であったはずの、シービスケットが当時の人々にいかに夢と希望を与えたか、という話は途中から関係者3人の夢や希望にすり替えられてしまい、人々はただ競馬場に群がって騒いでいるにすぎない。だからどうした、と普段の私なら当然ツッコむところなのだが、すっかり巻き込まれてしまって観ている最中はさほど気にならなかったので忘れたふりをする。トム・スミスの前半生とか、ハワーズの別れた奥さんとか、レッドの生き別れたままの家族とか、盛り込もうとすればお涙頂戴に幾らでも持って行けたネタが潔く切り捨てられ、シービスケットの活躍のみに特化させた後半は、正しいエピソードの整理の仕方を知らない最近の無駄な長尺映画に比べれば圧倒的に素晴らしいと言える。実際のレッドは重傷を負って入院中に看護婦と恋に落ち、復帰戦直前に結婚したそうだが、ハリウッド感動系に最もふさわしいこういうエピソードが切り取られたことにこそ、この映画の作者達の映画作りに対する良識が伺われるような気さえする。あざとく持って行こうと思えばいくらでも持って行けたところを、涙を呑んでここまで絞り込んだ心意気が伝わって来るといった感じか。ウィリアム・H・メイシーも名バイプレイヤーの面目躍如といったところ。やはり特筆すべきはトビー・マグワイヤのなり切りぶり。自暴自棄の暴れん坊と言うにはちょっと線が細い気もするが、タフなばかりではなく心に傷を負ったナイーブな一面は彼でなければ出せない味になっている。体長150センチ、誰もが見捨てた足の曲がった馬が、どんな馬より凄い走りを見せる、そのレースシーンには競馬とはほとんど縁のない私でさえも叫び声を上げて応援したくなった。アメリカの劇場では、さぞ大変な騒ぎになったことだろう。
9点(2004-01-27 00:47:07)(良:3票)
29.  ラスベガスをやっつけろ
ドラッグ、ロック、ロードムービーというアメリカン・ニューシネマの手法を借りて、この時代を自嘲的に振り返ることを許される最後の世代としてテリー・ギリアムが描いた最後のニューシネマ。アメリカ史上最大の汚点であり、人々が出口の見えない焦燥感の中を彷徨い続けたドラッグ・カルチャーの時代。ジミ・ヘンドリクス、ジム・モリソン、ジャニス・ジョプリンがドラッグに命を散らして行ったこの時代が、アメリカにとっていったい何だったのか。多くの人が目を背けたいと願う、人々が現実から目を背けた時代に、真っ向から「NO」の答えを突きつけることが許されるのは、実際にこの時代を駆け抜けた一人だからこそ。その義務を、今このタイミングできちんと果たしておこうとしたテリー・ギリアムの、これは遺書代わりとも言える渾身の力作。ドラッグ漬けの二人の奇矯な振る舞いにお腹を抱えて笑いながらも、その行動の無意味さと非生産性には呆然とするばかり。「神の試作品」ゴンゾはあっさりアメリカにサヨナラを言い、祭りの後の静けさの中で抜け出し切れなかった過去を書き綴るラウルの姿をカメラは遠く俯瞰で捉える。アメリカの抜け出せなかった長いトンネル、その先には灯りが見えると誰もが信じたがっていた時代。無駄だったよね、で片付けるには人々の支払った代償は余りにも大きい。敢えて美しすぎる粉飾もせず、無駄を無駄として冷徹なまでに描き切ったこの作品のラストシーンに、涙が止まらない。
10点(2003-11-30 17:33:49)(良:3票)
30.  ウインドトーカーズ
どうしてもジョン・ウーの雑な作りに馴染めない私だけど、この作品のベタベタな友情の美しさにはうっかりハマりました。ベタもここまでやると芸になるんですね。部下を死なせたトラウマに悩むニコラス・ケイジが、ナバホ人通信兵を「捕虜に獲られる前に殺せ」という条件つきで護衛するハメになる。このジレンマと戦うニコラス・ケイジの苦悩する姿を楽しむのが本来の鑑賞方法なんでしょうが、私としてはアダム・ビーチのピュアな魅力にメロメロ。さらにお情けでジョン・ウーからお仕事をもらい続けているクリスチャン・スレイターの、あわよくば復活を賭けた大芝居にも目が離せず、個人的には本題と関係ないところでうっかり評価が上がってしまったという感じ。やっぱりニコラス・ケイジは上手いです。特に好きでも嫌いでもないですが、この人のどんな作品でも真剣勝負な力一杯の演技には誠実さを感じます。たまに無駄に熱演しすぎて空回ってますけど、マジメな人なんでしょうね。そういう主役だから比較的安心してわき道に逸れられるというところも確かにあって、アダム・ビーチも新人ながら非常にマジメに一生懸命やっているしクリスチャン・スレイターもそろそろ1作1作が真剣勝負。みんなが真剣に一生懸命やった結果、ベタでクサい映画が誠意あふれるマジメな作品になり得たわけです。アメリカはネイティブ・アメリカンを迫害したのね、その上でここまで利用したのね、ってマイノリティの立場からこういう話をきちんと映画化したのは偉いです。ナバホは中西部の比較的温暖な地域で一大勢力を誇っていましたが、白人によってユタやコロラドの豪雪地帯に追いやられた不幸な民族です。でも暗号にキミたちの言葉が必要なんだ、と言われれば、アメリカ国民として必死に義務をまっとうしようとするマジメな人たちでもあります。必死で頑張るアダム・ビーチの姿に、普段あまり脚光を浴びることのないネイティブ・アメリカンの将来を背負った若者を観てしまうと号泣できます。アメリカが抱えている人種問題の中で、ネイティブ・アメリカンへの差別は見落とされていることが多いです。アダム・ビーチは将来政界入りしてネイティブ・アメリカンのために働きたいそうです。頑張ってもらいたいと思います。
8点(2003-12-07 15:07:35)(良:3票)
31.  スター・ウォーズ
後の世代からあれこれ言われるのはわからなくもないが、少なくとも「スター・ウォーズ」が公開されるまで「スター・ウォーズ」がこの世になかったということを考えるとやっぱりこれって衝撃的だったんだよなぁと改めて思う。今じゃ当たり前のことなんだけど。「レイダース」のところにも書いたけど、やっぱりこれってコロンブスのタマゴ的な存在で、こういう典型的な冒険活劇がほとんど作られてなかったタイミングでぶつけて来たからこそ世界中が目からウロコだったんだと思う。そういう意味では私も熱狂した一人。私は今でも、「スター・ウォーズ」こそアメリカン・ニューシネマを終わらせた映画だと信じている。それはつまり、お金がなくてもスターはいなくてもお客を呼べる映画は出来るぞ、ハッピーエンド以外にも大事なものはあるぞ、と「質」を追求したニューシネマが、究極の娯楽作品の前にあっさり敗退した瞬間でもあった。もちろんニューシネマと平行して走っていたのがハリウッドのオールスターキャストパニックスペクタクル路線だったことを考えると、これ1本で映画界の構造まで変えてしまったジョージ・ルーカスってやっぱりスゴかったんだなあという感動はある。でもね、じゃあこの爆発的なヒットが映画産業を発展させたか?と言われると、決してそうとも言えないような気もするんだよね。瞬発力はあったけど。最近になってハリソン・フォードが、この映画のハン・ソロ役を思いっきりバカにして、「あんな薄っぺらな役はない」とかのたまっていた。この役がなかったら一生兼業大工だったかも知れない人物としては、ずいぶん恥知らずな発言だと思う。
10点(2003-12-18 02:04:25)(良:3票)
32.  マジェスティック(2001)
フランク・ダラボンなのでどうせ泣かせる仕掛けはしっかり出来ているんだろうとナナメに構えていたが、やっぱり巻き込まれてうっかり涙してしまうあたり、さすがはダラボンだなぁと妙に尊敬させられてしまった。「ショーシャンクの空に」や「グリーンマイル」ほど設定に無理なあざとさがないのも良い。ファンタジーとしてありがちなストーリーだとは思うのだが、主演にジム・キャリー、背景に戦争とハリウッドの赤狩りを持って来たところが物語に奥行きを加えることに成功した。平和ボケ日本人にはもう一つピンと来ないのかも知れないが、アメリカ人が常に政治に真剣であらざるを得ないことの背景には、自分の一票が自分自身や家族、友人の誰かが戦場に赴くことに直結しているという重さがある。赤狩り自体を省みるという観点以上に、全く戦闘シーンのない戦争映画として、あるいは国を動かしているのが一人一人の国民であるという基本原則に立ち返らせる呼びかけとして、偶然とは思うが9・11テロ直後のアメリカでこの映画が公開されたことは非常に興味深い。プロバガンダだ、大衆操作だと言われているが、9・11テロでアメリカが戦争に向けて浮き足立っているタイミングでこの映画を公開できるだけの自由がかの国にはある。それだけでも、素晴らしいことだと思う。
9点(2004-01-02 12:24:21)(良:3票)
33.  キャリー(1976) 《ネタバレ》 
「キャリーをいじめないで。彼女が泣くと恐ろしいことが起こる」・・・怪物と呼ばれた一人の少女、キャリーを主人公に、望まぬ妊娠から生まれたわが子を憎悪する母親と、死に物狂いで愛情だけを求める娘の姿を描いたジュヴナイル・ホラーの傑作。キャリー・ホワイトは17歳の時、ハイスクールのシャワー室という最悪な状況で初潮を迎え、しかも女性の生理に関する知識は皆無。母親のマーガレットは狂信的なキリスト教信者であり、セックスを憎悪し、私生児キャリーを徹底的に虐待する。母親の娘に対する仕打ちは、自ら犯した罪の償いそのものであり、彼女を生み落とした罪により母子共々地獄の業火に焼かれると信じている。そしてキャリーが、人知れず恐ろしいテレキネシスの持ち主であることを誰も知らない・・・ アダルト・チルドレンが話題になるのはこの作品から実に20年以上も後のことであるが、愛情に恵まれなかった子供としてのキャリーこそまさにACの先駆けとも言えるだろう。彼女は同級生たちからの執拗な苛めに遭い、異端として仲間はずれにされながらも母親の許しだけを乞い続ける。癒されない心、ひたすらに母親の愛情だけを望んだキャリーの末路に、今なお涙を絞り取られる作品。有名なラストシーンは、この後ホラー映画の一つのパターンとして広く模倣されることになる。ブライアン・デ・パルマの出世作としてあまりにも名高い作品だが、主に雑誌や新聞の記事と当事者の回顧録・インタビューなどをつなぎ合わせるという実験的な形で描かれた原作の、映像化の難しい部分を巧みなエピソードでつないだ辺りは、デ・パルマが単なる「映像の魔術師」にとどまらないことを示していると思う。
10点(2003-11-30 23:45:29)(良:3票)
34.  ツイスター
なんとなく頭の悪い映画が観たくなったので。たぶん竜巻がスゴいんだろうなあ、牛が飛ぶんだとか言ってたな、なんてぼんやり観ていたら牛どころではなくタンクローリーまで飛んでいたのですっかり嬉しくなってしまった。この手の映画を個人的には「大盛り」と呼んでいるのだが、要するに量だけスゴくて奥行きもへったくれもなく、ただもうスケールのデカい天変地異だけを見せるために作られた、あってもなくてもどうでもいいようなストーリーとしては、離婚届にサインするばかりの夫婦とその夫の新しい婚約者という組み合わせは(あくまでも、この手のモノとしては、だけど)なかなかひねりが利いていて良く出来ていたのではないかと思う。わたしはヘレン・ハントが大嫌いだし、ビル・パクストンは大根中の大根だと信じている。にもかかわらずそれなりにおもしろくなったのは、この二人が主役を食おうなんてバカな気を起こすにはあまりにも影が薄いから。だいたい予想通りの映画だったが、この種の作品でこれぐらい期待に応えてくれればまあ合格点と言えるのではないだろうか。ひまつぶしにはもってこいのほどほど感と、見る前からわかっていたような安心感が良い。大画面向き。あくまでも大盛り。
6点(2004-09-23 01:34:07)(笑:3票)
35.  スパイダーマン(2002)
クランクイン前から本国のサイトをチェックしまくり、死ぬほど期待していた作品。本来私は、期待すればするほど自分の期待感の凄さに圧倒されてしまい、実際にフタを開けてみるとガックリさせられることが多いのだが、浮き足立ちやすいこの私が、ここまで期待に期待を重ねてまったく落胆を感じなかったというのはほとんど天変地異にも等しい事態。要するにバカおもしろかった。なんでトビー・マグワイヤなの?あんな地味で繊細で、お世辞にもタフなイメージとは言えず、むしろ文学の香り漂う気品のある役柄が似合う彼が、なんでアメコミのヒーローなの?というものすごい疑問はあっという間に解けた。この物語は、どん臭くてダサくて内気な少年が、ヒーローに育って行く話なのだ。最初から大活躍するのではなく、なんであのトロいヤツが、と思わせてくれるところがおいしいのだ。だからトビー・マグワイヤなのだ。正直なところ、キルスティン・ダンストはピーターが幼い頃から片思いを続ける女優志願の美少女には全然見えないが、あの程度のフツーのコにすら愛を語れないピーターのどん臭さを強調する役には立っている。つまり彼女はちょっとズレたコなんですね、あの器量で女優になりたいって言うんだから。で、ヒーローになってもピーターは彼女にメロメロ。その一途さが可愛いんですね。強くなった途端、美女に囲まれちゃったら女性ファンは総スカンでしょ。結局これは、ヒーロー物であってヒーロー物でない、フツーの男のコがヒーローに成長して行くお話。だからおもしろい。ただ断言してもいいけど、続編は絶対につまらない。だってピーターはもうヒーローの力量を備えてしまったから。成長し切ってしまった元ドン臭いアイドルに、お姉さんはあんまり興味がないのです。まあ、サム・ライミのことだからちゃんと次の手は考えてあると願いたいですが。
9点(2003-12-20 02:21:52)(良:3票)
36.  ミリオンダラー・ベイビー
ごめんなさい。映画として何一つケチのつけようのない素晴らしい出来だと思うのですが、話がどうしてもダメでした。泣かされ損というか、この救いの無さに、たとえようのないあざとさを感じます。これほどまでに欠点の少ない映画は何年に1回見るかどうかというほどのこの出来栄えの中で、どうしてこれほどまでに嫌な話を描かなければならなかったのか、わたしにはとても理解出来ません。シナリオは非常に良く出来ていますし、ヒラリー・スワンクの卑屈な個性もこの役柄に怖いくらいハマりました。モーガン・フリーマン、クリント・イーストウッドも、おそらく当たり役と言って良いでしょう。何箇所か、ありがちな、でも必要なカタルシスはありますし、ラストでは伝えたいものもしっかり伝わって来ます。でもこの映画が、イーストウッド監督作品でありながら都市部を中心とした小規模な公開に終わったのは、この映画が実際にここで描かれている地方の貧しい人々の目に、入れられるものではなかったからでしょう。アメリカで貧しい家に生まれるというのがどういうことか、この作品は徹底的に残酷にそのテーマを取り上げながら、結局絶望しか描けていない。貧困は「ミスティック・リバー」でも強調されたテーマですし、イーストウッドにはそれを描きたいという強い渇望があるように見えますが、こうしたテーマに悲しさだけしか見出せないところが、実はハリウッドスターとしての彼の限界なのではないかと感じました。皿洗いをして、床掃除をして、人生に後悔しながら死んでいく人たちが、この映画を観て素晴らしいと思うでしょうか。映画が本当に夢を与えなければならない人たちに対して、この映画が勇気や力を与えるでしょうか。大変良く出来た映画であるという観点から高い点をつけますが、わたし自身はこの映画を二度と観ないと思います。もしかしたらわたしがイーストウッドの作品を観るのは、これが最後になるかも知れません。それぐらい、嫌な映画でした。
[映画館(字幕)] 9点(2005-05-30 00:02:57)(良:3票)
37.  電車男
そもそもベタでヒネリもへったくれもないストーリーがウケたのがこの作品なんだと思うが、だからこそ主人公を魅力的に演じることの出来る俳優の存在は必須だったし、電車男のいじらしさやカワイさを体現し切った山田孝之の力量にはただもう脱帽するばかり。実際に彼女いない歴37年のアニオタを弟に持つ身としてはっきり言わせてもらうが、山田孝之の見せる怯えた眼差しにはシャレにならないほどのリアリティがあり、その無限の感性には畏怖心すら感じさせられた。この人の存在感だけに支えられる形でこの稀に見る単純素直なストーリーを飽きさせずに展開させて行くわけだが、2ちゃんねるというコミュニティ自体が本来持っているいかがわしさの本質を失うことなく、キレイごと過ぎる物語をキレイにまとめた卒の無さは驚嘆に値する。エルメスを演じた中谷美紀は大画面にはちょっとキツいような気がしたが、半分偶像という難しいポジションをうまく分担出来たと思う。全体にテレビっぽいチャチな作りではあると思うが、ネット文化を映画に置き換えるという作業の中で当然意識されるべきキッチュさとの釣り合いを取るために留まり切れるギリギリの場所に着地出来ている。そういう意味では非常にバランスの取れた作品だと思うし、「電車男」を敢えて映画に置き換える必然性まで立ち返ってしまうと言い訳の苦しいところではあるが、実際にやれるとしたらこれ以外に無いだろうというレベルには達していると思う。ピュアであることに人々が過剰な期待を寄せている時代だからこそこういう作品がウケるんだろうというウンザリ感を凌駕して、何しろ山田孝之の存在感は圧巻。わたしはこの人をこの映画で初めて知ったのだが、日本人の若者でここまで演技というモノを理解出来た人材ってそう多くは出て来ないと思う。どうせこれを見るのは1回だけだし、と決めつけて足を運んだ劇場だったが、まさかこんな映画をもう1度見たくなるなんて、我ながらかなり驚き。公開4週目にして土曜の深夜に邦画がほぼ満席というのも初めてなら、エンドクレジット終了まで、誰一人客席を立とうとしなかったというのも初めて。前半は吹き出すのがコワくてお茶も飲めないほど笑い続け、後半はイヤッてほど泣けました。しかもそれが全部、山田孝之の仕業です。これは凄いことだと思う。
[映画館(字幕)] 9点(2005-07-10 13:40:11)(良:3票)
38.  ジャンヌ・ダルク(1999)
フランスが誇る不滅のヒロイン、ジャンヌ・ダルクを敢えて祈祷性精神病患者の疑惑を漂わせて描いたのがリュック・ベッソンだったというのが面白い。これをフランス人以外の人がやっちゃったら大変ですよ。実際のジャンヌ・ダルクが本当に神のお告げを聞いたのか?それとも単なるイカれた姉ちゃんだったのか?というある種のタブーを取り上げた、非常に興味深い映画だったと思います。ただし私は異常に戦争映画が好きなので、この映画でもジャンヌが「Follow me!」と叫んでダーッと軍隊の先陣を切るところですっかりコーフンしてしまい、必要以上に面白がってしまったという意味では公平な判断が出来ているのかどうかもう一つ自信がありません。女性が軍隊を率いて闘う戦争映画って普通あんまり観られませんので、戦争映画好きの女性という立場からはこれがそこそこ面白いのは当然なのではないかと。ただし後半、妄想なのか神なのかはっきりしないダスティン・ホフマンの執拗なささやきなんかは、あーこれは狂気を扱った映画なんだと気づいてちゃんとそれなりに興味を持続できました。おそらくこの映画では、ジャンヌ・ダルク精神病患者説を主に主張していると思えるのですが、それで勝てちゃうプラシーボ効果みたいなものもまた否定できない事象ではあるので、歴史物としても戦争物としても、ある程度のクォリティは保てていると思います。実は私、公開当時この映画が気に入って3回観ました。後で周りの評判を聞いたらすごく悪かったので驚きましたが、よっぽどウマが合ってしまったのでしょうか。
8点(2003-12-20 03:51:11)(良:2票)
39.  刑事ジョン・ブック/目撃者
刑事モノとしてはよくあるストーリーのはずが、アーミッシュを持って来たところに目新しさが際立つ一篇。時代錯誤な暮らしを続けるアーミッシュの集落を舞台にしたら、普通の話にとびきりのノスタルジックな趣が出た。全体的に時代劇のムードを漂わせ、別世界に暮らす男と女というタイムトラベル物の雰囲気も出た。そういう味つけを一つずつ取り除いていったら単なるフツーの刑事モノにすぎないんだけど、こういう独特な雰囲気を作れたのはピーター・ウィアーならではのセンスでしょう。甘めの映像とハリソン・フォードの無骨な個性がうまく調和したのも目新しかったですね。いろんな意味で女性向けの作品ではあると思うけど、子供を使って泣かせる映画なのかと思ってあまり期待せずに見たらかなり良かったので驚いたのを覚えています。それにしても舞台では非常に高い評価を得ている女優であるはずのケリー・マクギリスがこの映画の次に選んじゃったのが何故「トップガン」だったのか未だに不思議で仕方がないです。この映画ではアーミッシュのシングルマザーという非日常感をかもし出すことに大いに貢献していたと思うんですけど。
9点(2003-12-13 14:09:55)(良:2票)
40.  ロスト・イン・トランスレーション
良かったです。批評家の焼き直しになっちゃうんであんまり言いたくないですが、ここまで笑いとペーソスに溢れたハリウッド映画というのはこれまでわたしが知ってる限りでもごく僅かだと思います。ただし劇場でげらげら笑い続けているのは案の定私だけでした。こわい顔してた通路の向こうの人、ごめんなさい。名刺を差し出しまくる日本人スタッフ、めちゃくちゃな上に異常に語尾を上げまくる日本人独特の英語で自信たっぷりの通訳、こわいディレクター、ニコリともしないウェイトレス、ひたすら動揺・困惑して途方に暮れるビル・マーレイ、これはオスカー獲ってもおかしくなかったと思います。ソフィア・コッポラ32歳、既に親の七光りは通り越して恐ろしい感性を発揮してます。人生の侘び寂び、若さと円熟、異国の地ならではのセンチメンタリズム、スタイリッシュでありながら決して現実を素通りして行かない鋭さは鳶から生まれた鷹かも知れないとさえ思わされます。描かれた東京、日本の風景は厳選されており無駄がなく、登場する日本人達は圧倒的にフツーです。日本ではまずウケないタイプの映画ですが、私は大爆笑し、素直にしんみりし、じーんと感動して劇場を出ました。後味の良い映画でした。これは傑作かも知れないと思います。だからビル・マーレイって凄い。
10点(2004-07-30 01:06:49)(良:2票)

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