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381.  八月のクリスマス(1998) 《ネタバレ》 
これは良い。初めて韓国映画で良いと思った。今まで韓国映画を観て良いと思ったことは一度もない。韓国映画ではあるけど、これはどこから見ても韓国映画というよりは昔の日本映画、日本映画全盛期の頃の映画、例えるなら小津監督の映画のような雰囲気、恋愛映画だけど、キスシーンすらない。それでも下手な恋愛ものよりもずっとずっと伝わってくるものがある。この映画が素晴らしいのは何よりも余計な台詞がないこと。全てを語らない。映像に余韻があること。例えば一つだけ例を挙げると自分の人生の終り、死が近づいている主人公が愛する女性が働いている所を喫茶店の窓越しに見て、窓ガラスに手を置いているあの場面、見られている女性の方は相手の青年に見られていることに気づいていない。気づかずに青年の前から去っていく彼女、このシーンには台詞で語らずに映像で語ることの素晴らしさ、映画ならではの映画が持つべき本来の形が見える素晴らしいシーンです。そんな素晴らしい余韻の残し方にこれはどこから見ても正しく映画!ラスト、死んでいった青年の写真館の前で青年に撮ってもらった自分の写真を見ている彼女、何と切なく悲しい映画だ!二人の言葉には出させなくても二人がお互い惹かれあっている様子が全て台詞ではなく、説明も省き、映像だけで見せる。素晴らしい恋愛映画だ!
[DVD(字幕)] 9点(2007-08-16 11:22:58)(良:1票)
382.  ヤング・アインシュタイン 《ネタバレ》 
アインシュタインの映画?何?最初は滅茶苦茶、お堅い映画じゃねえのか?なんて思っていたらとんでもなかった。ここの皆さんのコメントにもあるようにとにかく最初から最後までニコニコしながら観てしまいました。いやあ、本当にこの映画、見た目は単なるお馬鹿な映画だけど、それでも、凄く良い。作品全体にパワー、エネルギーを感じることが出来た。アインシュタイン役の俳優が凄く良い味、出してる。真っ黒になりながらビールを手渡すシーン、銭湯での恋人、マリーと抱き合うシーン、それを観ていた周りのおやじ達も笑える。そして、ギター片手にロック、ロックと歌い上げるシーンで、嘘やろ?おい!おい!そんな、アホな!普通なら真っ黒に焦げて、焼死するぞ!と思わせるものの、真っ黒になりながらも助かるシーンなんて、映画だから許せる。映画ならではのシーンだ!ラストのスピーチ代わりの挨拶とばかりに歌いまくるシーンも大好き!←このシーンで映る九官鳥かな?までもがロックに合わせて踊ってるように見えた。観ていて最後なんて私も踊りたくなった。そして、やたらビールが飲みたくなった。とにかくご機嫌な映画です。これって、DVD発売してるの?絶対に買う。欲しいよ!
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-08-15 21:18:59)(良:1票)
383.  屋根の上のバイオリン弾き
なるほど。確かに長いし、どことなく暗い部分もあるが、それを補うだけのものがあるし、見応えある作品になっている。ユダヤ系家族というものの中にある人種差別的なものの辛さ、それでもここにいる人達は皆が歌を歌うことの楽しさを知っているし、例え、人種差別的なことをされても一生懸命に生きている。誰一人として絶望的なものを表に出すことなく生きている。娘のことを心から思う父親の人間的な温かさ、音楽が生きる力として生まれる家族の絆の素晴らしさ、娘の結婚式での場面での周りの人達も心から祝福している。映像の美しさと素晴らしい音楽もこの映画の見所である。重たいテーマというものが背景に感じさせるのに観ていて嫌な気持ちになど全くならないところが良い。例えばこの映画をスピルバーグやオリバー・ストーン辺りが監督していたらとてもじゃないけど説教臭くて陰気なものになりそうで見れないであろうが、そういう説教臭さが感じさせない所もこの映画の良い所である。
[DVD(字幕)] 8点(2011-04-30 11:49:25)(良:1票)
384.  アナと雪の女王 《ネタバレ》 
映画は夢を見させてくれる素晴らしい物である。ディズニー映画が一番大切にしている事を美しい映像と素晴らしい音楽により、魅了してくれる傑作がまた生まれた。とにかく美しい。何でも触れた物は凍らせてしまう魔力を持ち、妹を危険な目にあわせてしまった事から来る姉エルサの苦しみから伝わる感情、そんな姉が大好きな妹アナの思いが痛い程よく伝わってくる。アナと共にエルサを救おうと協力するクリストフと仲間のトロールたち、更にオラフが素晴らしい。雪だるまなのに夏に憧れてるて不思議感が面白いし、たまらなく好きだ。夏のシーンを想像してる場面の可笑しさ、ディズニー映画らしい笑い所満載!そしてこの映画のテーマでもある真実の愛が何なのか?凍った冷たい世界を救うのは誰よりもお互いを理解している姉妹であり、そんな二人を祝福するかのような氷が解けてくシーンの美しさは映画ならではだし、これは映画館で見なくては損するぐらいです。ディズニー映画が好きなら映画館でこそ見て欲しい映画。最後に見終わって直ぐに近所のCD屋さんに行きサントラ買ってきました。  
[映画館(字幕)] 9点(2014-03-16 09:53:27)(良:1票)
385.  釣りバカ日誌20 ファイナル
松竹映画において、昭和の人気シリーズと言えば「男はつらいよ」であるように平成の人気シリーズと言えばこの「釣りバカ日誌」シリーズである。普段、映画館になど行きそうにもないお歳よりまでもがこの映画を楽しみに映画館に足を運ぶ。それは何故か?「釣りバカ日誌」このシリーズにはこういうご時世だからこそ見て笑って、嫌なことなど全て忘れようではないかというものが見える。だからこそこのシリーズはここまで長きに渡って撮られてきたのではないだろうか!私もこのシリーズ、毎回映画館で見てはいるけれど、寅さんシリーズ同様、初期の頃の方が好きだし、楽しめた。それでも何故だろう?必ず劇場で観ようと決めて映画館で見て来たのは、それはやはりこのシリーズが好きだからである。どんなに出来は良くなくてもどこの誰だかも知らない人達と同じように映画館の中で笑い、みんな、私と同じでこのシリーズが好きなんだなあ!て思うとそれだけでも何だか嬉しくてたまらない。遂にこのシリーズも今回をもって完結か!て思うと見終わった後に寂しさを覚えてならなかった。映画が終わって最後にこの作品に出演したみんなが出てきて握手したり、抱き合っているのを見て、良いなあ!て思った。西田敏行の浜ちゃんと三國連太郎のすーさん、このコンビは最高です。本当に今までありがとう!そして、お疲れ様でした。作品としての面白さや他にも不満も多い。出来ることなら最後ぐらいは石田えりの初代みちこさんや初期の頃に出ていた鈴木建設の社員でもあった戸川純や山瀬まみの姿も見たかったなあ!いずれにせよ、寅さんシリーズが終わり、釣りバカシリーズも終わり、松竹映画のドル箱シリーズが共に完結してしまって、これからの松竹、いや、日本映画界はどうなるのかなあ?これで「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」しか観ない人達が劇場から遠ざかるなんてことのないよう頑張って欲しい。三國連太郎の年齢のことを考えるとこれ以上続けて行くのはしんどいだろうけど、三國連太郎には渥美清、森繁久彌といった昭和を代表する名優二人が居ない今、二人の分まで長生きして欲しい。心からそう思う。いつまでも長生きして下さい。
[映画館(邦画)] 6点(2009-12-30 23:42:48)(良:1票)
386.  めぐり逢い(1957) 《ネタバレ》 
デボラ・カー目当てに借りてきた。彼女の出演している作品を観るのはこれで何本目だろう?今まで観たデボラ・カー出演作品の中でこの作品が一番かもしれない。いや、間違いなくこれが彼女の出ている映画のベストだとまだ他の作品観てないのに思わずにはいられなくなる。それはやはりあの美貌、気品に満ちた美しさ、ただ美しいだけなくきちんとした演技力も持っているのが単なる美人とは違う。単なる美人なら日本にもいるだろうけど、演技力も持っている。それでいて、全くもって嫌味がなく、美人であることを強調しない。とにかく品が良いのである。だからこそこの映画が大人の映画として、また、名作として語られることが多いと思うぐらいデボラ・カーが良い。ケイリー・グラントと二人で食事しようとしている所を大勢の人に見られて恥ずかしがる所の二人と船の上での会話やケイリー・グラントの母の住む島でのあの歌声の見事さ、美しい音楽と美しい歌声、そして、やはりあのラストでの涙、ケガを負ったデボラ・カーに気付きそれを温かく包み込んで抱きしめるケイリー・グラントの男ぷり、優しさとそれとは対照的にケイリー・グラントが出てくるだけで、何だかサスペンス的な香り、何かあるんではないか?というような緊張感、それは私にとってケイリー・グラントという人はヒッチコック映画での印象が強すぎるからかもしれないが、良い人のように見せて実は何かたくらんでるんではいないか?と考えてしまう。ある意味、違った緊張感、面白さがこの映画にはある。話的には余りにもベタな感じ、出来すぎのようにも思えるものの、昨今の恋愛ものみたいに自分さえ良ければ相手は死のうがお構いなしみたいなものが無く、品の良い作品になっているのもこの映画が良い所である。
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-09-12 12:08:31)(良:1票)
387.  豚と軍艦 《ネタバレ》 
今村昌平監督と言うと「黒い雨」や「うなぎ」などで国内でも海外でも評価され、幾つもの賞を獲得しているけど私からしたら今村昌平監督の持ち味は喜劇でこそ発揮されると思っている。師匠である川島雄三監督の影響を強く感じる凄まじき欲に埋もれる人達の模様を何とブラックな笑いで描き切るこの今村昌平監督の演出の凄さにただただ圧倒させられた。アメリカ軍が支配する世の中の中で日本人がいかにして生きることの大変さ、厳しさというものがとにかく凄まじいほどの描写によって描かれている。よく醜い人のことを豚みたいな奴だと言ったりするけど、正にこの映画を見ているとその通りであると感じる。あの横須賀の町のギラギラした雰囲気の中、豚に埋もれる人間こそ、豚そのもの!あの何とも醜い姿、タイトルにもなっている豚を本物の豚を使ってまで見せつける人間の持っている醜い部分、容赦なしのこの徹底した演出、今村昌平監督が川島雄三監督へのオマージュを感じるあのラストシーン、便所に頭を突っ込んだまま死んでいく長門裕之のチンピラ、川島雄三監督の映画によく出てくる便所のシーンをここで見せる所なんて今村昌平監督がいかに川島雄三監督を尊敬しているかよく解るシーンだし、吉村実子が一人、去っていく時の流れる軍艦マーチ、あの陽気な音楽など川島雄三監督の「洲崎パラダイス赤信号」のラストとダブって見える。これは人間の欲望を豚に例えて描いて見せた何ともブラックな笑いの重喜劇の傑作だ! これこそ今村昌平監督の最高傑作!この映画を見ずして今村昌平監督を語るこなど私には出来ません。
[DVD(邦画)] 9点(2007-06-17 15:09:02)(良:1票)
388.  幌馬車(1950) 《ネタバレ》 
指名手配の男達が現れて、銃を放つファーストシーンから画面が切り替わり、川を渡る馬車への流れがジョン・フォード監督の西部劇だなあって感じることができる。モノクロの映像美、写し出される空の色、景色、街並みとどれを取っても西部劇ぽさを感じられるのが良い。駅馬車や荒野の決闘に比べると地味ではあるが、ジョン・フォード監督らしい作られた様な景色ではなく、そこにある景色を美しく見せてくれる映画として、こんな西部劇も有りだと感じる事ができる。この監督が撮る西部劇には全くと言ってよい程、外れが無い。馬車を見送る二人の男の表情の素晴らしさ、ちょっとした場面でさえも印象に残る映像を見せる上手さ、川を渡る沢山の馬車、ハワード・ホークス監督の赤い河を彷彿させるシーンもあったり、ジョン・フォード監督が西部劇の神様と言われたり、色んな監督に尊敬されてるのも解ります。
[DVD(字幕)] 8点(2017-04-10 19:15:58)(良:1票)
389.  愛と追憶の日々 《ネタバレ》 
最初のうちは何だか退屈な映画だなあ!ぐらいにしか感じなかったのに、見ているうちに段々と面白くなっていく。シャーリー・マクレーンとジャック・ニコルソンの演技が素晴らしい。自分に対してちょっかいばかり出す嫌な男なのに何故だか惹かれていくシャーリー・マクレーン、そこには女である以上、年齢なんて関係ないと言っているようであり、またその一方では娘を思う優しい母親の姿に良い母であるなあ!あの娘の為に注射をお願いする場面は辛い。辛すぎるし、泣かずにはいられない。人間の愛の深さ、母と娘の人間ドラマとして完成度の高い映画だと思うし、アカデミー賞が本当に良かった頃の作品という気がするし、アカデミー賞受賞も納得です。
[DVD(字幕)] 8点(2012-01-07 20:20:30)(良:1票)
390.  神阪四郎の犯罪 《ネタバレ》 
森繁久彌に左幸子と日本映画の歴史において、演技の上手さにおいてはトップスリーに間違いなく入るであろうこの二人、更には新珠三千代に轟夕起子って、このキャストを見て私は真っ先に川島雄三監督の顔が浮かぶ。この四人の共通点は全員が川島雄三作品に出演しているということ!それだけで興味深い上にサスペンスもの、裁判ものであるというだけでも観たい。どうしても観たいという思いが強く、どこの店にもレンタルされてない。偶々昨日、この映画のDVDを売ってるのを見つけて迷わず買ってきた。これは本当に人間誰しも持っているエゴイズム、他人から見たら解らない真実、真相とは何か?という問いに応えた力作です。これだけの作品に出来たのは何と言っても森繁久彌と左幸子のこの二人の名演技、演技力があればこそ成り立つ作品だと観ていて感じずにはいられない。森繁久彌に対し心中を迫る左幸子の狂気、凄い演技はまるで有名な落語「品川心中」のお染めを想像せずにはいられないし、男に弄ばれながら殺されしまう女を演じると余計、凄み、上手さというものを発揮する凄い女優さんだ!これを観て改めて日本一、演技の上手い女優は左幸子であるという思いにさせられた。そんな左幸子に心中と聞いて川島雄三ファンなら誰もが「幕末太陽傅」を思い浮かべるだろう!左幸子に心中を迫られ、もがき苦しむ森繁久彌もこれまた流石の名演技ぶり!裁判のシーンでの最後に真相とは何かを語るシーンの息詰る演技力、裁判を終えて輸送車に乗り、去っていく神阪四郎(森繁久彌)を遠くから見つめる妻、新珠三千代もこういう女、駄目な男を愛して病まない哀しい女を演じると本当に上手い。いや、上手いというよりはそういう女が何故かよく似合う。いずれにしてもこの作品は人間とは何か?やはり自分が一番、可愛いんだというようなものを感じせずにはいられなくなるそんな作品です。
[DVD(邦画)] 8点(2008-05-11 10:22:20)(良:1票)
391.  サイドカーに犬 《ネタバレ》 
何となくだけど相米監督のお引越しを思わせるような作品で、子役の自然な演技と竹内結子の自由奔放な感じが良い感じで見ることができた。2人が楽しそうしている場面、竹内結子の楽しそうな表情を見る度に竹内結子の死が何だか今でも信じられないぐらいに輝いている。この映画のヨーコの様に自由奔放でいられたらと思うと、本当に亡くなった事が悔やまれる。私自身、竹内結子と言えば朝ドラのあすかの印象が強くて、彼女の出ている映画はあまり見てないけど、きっとこの映画のヨーコの姿こそが竹内結子という女優像ではないだろうか?脇を固める俳優の中では古田新太が良いし、面白い。50円しか無かったら何をする?という答えが面白い。私もきっと同じでパックマンを選ぶかもしれない。何かこの映画、パックマンに麦チョコだのと昭和を生きて来た者としては分かるぐらい懐かしい。久しぶりにパックマンしたくなりました。テレビの中での犯人の真似して逃げる古田新太が面白すぎて笑える。そんな男の実の奥さんと竹内結子の喧嘩も見応え有り、竹内結子演じるヨーコが薫の本当の母親を頭突きでやっつけた瞬間の気持ち良さ、竹内結子がとにかく良い。竹内結子という女優の本来の女としての魅力ある姿がとにかく印象的です。何度も言いますが、竹内結子、竹内結子、竹内結子のヨーコの様に竹内結子自身が自由奔放に生きて行けたら今回の様な死は無かったんじゃないかと思うと本当に残念です。自由でいる事の難しさを改めて知らされた気がします。ヨーコと薫が本当に楽しそうにしてるだけで何だかホッとするそんな作品です。
[DVD(邦画)] 8点(2020-10-01 21:51:43)(良:1票)
392.  その木戸を通って 《ネタバレ》 
昨年亡くなった日本を代表する名監督の一人である市川崑監督がまだまだ元気であった時代、今から16年も前の1993年に撮られていながら劇場公開されることないまま市川崑監督はこの世を去ってしまった。幻の名作と言われるこの作品、ようやく観ることが出来ました。噂通り、市川崑監督らしい美しい映像の世界、多くを語らず、観る者に想像させる力を与えてくれる。これが映画本来の持つべき形であることを市川崑監督はよく解っている。映像の力、映画ならではの光と影、この使い方、コントラストのバランスの上手さこそが市川崑監督の上手さであるものがここでも見られる。冒頭のあの闇の中、緑の竹林の現れる瞬間の美しさ、そして、主人公の姿が現れる時のこの場面の美しいことといったらない。最近の映画ではなかなか見られないぐらいの美しい映像美、あとはただただ物語りに集中するのみである。中井貴一演じる主人公の演技がややぎこちなく感じられるものの、それをカバーするだけの脇を固める俳優陣の中でまるで「かぐや姫」の物語に出てくるような女性、何ともミステリアスなふさを演じている浅野ゆう子の初々しさ、テレビドラマでしか知らない浅野ゆう子とは違う女としての色気と可愛さをここまで表現して見せているとはびっくりさせられた。この浅野ゆう子を観ると女優を生かすも殺すも監督の腕次第であることがよく解る。作品全体の何とも不思議な怪しさ、それは言葉では表現するのではなく、映像によって見せる市川崑監督の上手さ、ラストの余韻、見終わった後の余韻の残し方などは映画でしか観ることの出来ない余韻です。そうそう、市川崑監督作品にフランキー堺というこの大変珍しいキャスティングもこの作品を興味深いものにしている。大掛かりなチャンバラ時代劇を期待する人には向かないと思うけど、日本的な香り、映像を楽しもうという人にはお薦めの作品です。そして、やはりこの作品の雰囲気は「かぐや姫」を思わずにはいられない。
[DVD(邦画)] 8点(2009-09-22 23:02:01)(良:1票)
393.  長い灰色の線 《ネタバレ》 
ジョン・フォード監督と言えば西部劇というのが一般的な意見かもしれないが、こういうヒューマニズム溢れる優しさいっぱいの人間ドラマを撮っても上手い監督である。これはその上手さを見せてくれている素晴らしき映画である。タイロン・パワーが隊長に殴られるシーンをその後、後輩に対して真似しようとして、殴られる下りの可笑しさ、モーリン・オハラとの喧嘩も何故か楽しい。一方で二人が結婚し、子供にも恵まれる。一見、どこにでもあるような普通の生活をと思わせるものの、そうはいかない。戦争により身近な人達も死ぬ。波乱に満ちた一人の男の人生の中に見える優しさ、希望に満ちたラストの大行進、最後に亡くなった人達が現れて一緒に挨拶するシーンには目頭が熱くなり、ジョン・フォード監督らしい人間的な演出で見せてくれる。これほどの傑作なのに、見た人が少ないのかな?たった三人って?もっと多くの人にこの映画の素晴らしさを私は訴えたく書かせてもらうことにした。ジョン・フォード監督の西部劇の中に埋もれてしまっているような気がして何とも残念である。とにかく声に出して言いたい。ジョン・フォード監督が何故、多くの監督に尊敬されるか?映画ファンの間にもファンが多いのか?これを見れば納得するはずである。ジョン・フォード監督だからこそ描ける人間ドラマの傑作!であると共にジョン・フォード監督にしか描けないそんな映画でもある。
[DVD(吹替)] 9点(2009-11-25 21:41:17)(良:1票)
394.  清水の暴れん坊
芦川いづみ大好きな放浪紳士チャーリー様!お先に失礼します。石原裕次郎と北原三枝、同じく石原裕次郎と芦川いづみ、この共演作は沢山、あるし、結構、観てはいる。浅丘ルリ子とも結構、共演してますよね。ところがこれがまた石原裕次郎と北原三枝に芦川いづみの三人が一つの映画で共演しているものとなると沢山、あるようで意外と少ない気がします。この三人の共演と言って真っ先に思いつくのはおそらく放浪紳士チャーリーさん、そして、私も他の芦川いづみファン、石原裕次郎ファンも「陽のあたる坂道」ではないかと思います。少なくとも私にとっての石原裕次郎、北原三枝、芦川いづみ三人共演作と言えば「陽のあたる坂道」である。で今作は、タイトルを見た時はマキノ映画を思い出しました。清水の暴れん坊って正にマキノ映画風な時代劇かと思った。しかし、やはりこの三人でそうはならない。石原裕次郎はスーツ姿を決め、ここでもいつもの裕次郎らしく好青年ぶりを発揮している。どことなく子供ぽさを残したまま大人になりきれてない若者を演じるとこれほど見事にハマる俳優はいないと思うぐらいである。北原三枝に対する態度と芦川いづみに対する態度の違いはいつも思うがその違いにしても単なる女たらしじゃないものをこの石原裕次郎という俳優から感じられるのはこれはもう演技を超えていると思わずにはいられない。まるで石原裕次郎そのまんまのような感じがここでも見られる。北原三枝と芦川いづみについて言えば、常に気の強そうな女、北原三枝に対して気は強そうだけど本当は弱そうな、芦川いづみ、作品としての完成度、面白さでは「陽のあたる坂道」には及ばないし、北原三枝にしても芦川いづみにしても確かに守ってあけたくなるような女ではあるけど、この二人にしても他の裕次郎映画の女性に比べると魅力という意味で劣る。欠点もかなり多い。それでもなかなか見れない三人の共演作を見ることが出来るという意味で観て良かった。損はない。これがこの映画に対する私の感想です。
[ビデオ(邦画)] 6点(2008-11-19 21:34:31)(良:1票)
395.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦 《ネタバレ》 
まず最初に言っておきたいことがある。どうせこの後、色んな所で批判的な意見が出てくること間違いないと思うけど、だからこそ敢えて声に出して言いたいし、言わせて貰う。そもそも「クレヨンしんちゃん」って何?大人向けのアニメ?いや、違うだろう!どう考えても子供向けのアニメである。だからこそ子供達がこの「クレヨンしんちゃん」という今では「ドラえもん」映画に匹敵する。いや、もしかしたら「ドラえもん」映画よりも「クレヨンしんちゃん」を支持し、楽しみにしている人が沢山、いるだろうし、大人の中にも多いと思うのである。私もそんな映画を毎度ながら楽しみにしている一人である。色々な点で不満もある。例えば春日部防衛隊の活躍がほとんど無い。出番も少ない。ひろしとみさえの活躍もいま一つである。それでもやはり下らな過ぎる笑いについつい私も乗せられて大笑いしてしまったし、素直に楽しめた。誰が見ても絶対に「モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「アッパレ!戦国大合戦」の強力な名作2本に敵う筈がない。あの二つは子供よりもむしろ大人達が感動し、このシリーズそれまで見てない人もはまったと思うのである。私がそうである。しんちゃんのもたらす行動、今回はテーマなんて無いようなものである。もう、ほとんがオナラ、オナラとオナラ一色である。はっきり言えば下品な笑い。だけどしんちゃんだから許せる笑いで大勢の子供、大人までもが釣られて笑ってる。大勢の子供に楽しんで貰いたい。喜んで貰いたいという製作者サイドの思いが伝わってきます。世の中、嫌なこと、辛いことの方が多いけど映画ぐらいは笑っていたい。私はしんちゃんを見ていると嫌なこと全て洗い流してくれる。そんなしんちゃん映画が好きでたまらない。だから毎回劇場で観る事を楽しみにしている。オナラの力が救うレモンちゃん(今作でのしんちゃんとのコンビ)と両親との絆、しんちゃんとの友情、絶対に仲間を裏切らないこと。やってることは馬鹿だけどしんちゃん映画が語っている生きる意味、映画は生きる為の大きな力になる。野原一家の決断力の強さ、絆の大切さこそ今の日本に必要だという事を笑わせながら教えてくれている。一人でも多くの方がこの映画を見て嫌なことを映画という力を持って洗い流してくれたら良いと思う。
[映画館(邦画)] 8点(2011-04-16 21:43:40)(良:1票)
396.  弁天小僧 《ネタバレ》 
市川雷蔵の前に弁天なし、雷蔵なくして弁天なし!とにかく市川雷蔵の美しさとかっこ良さ、その両方が遺憾なく発揮されている。歌舞伎役者としての市川雷蔵もこれもまた良し!女方を演じても、違和感なく見せれる貴重な俳優の存在、それがこの市川雷蔵という俳優の持ち味でもあり、それでいて、勿論、男らしい活きの良さ、粋という意味でも見せてくれる。男が男に惚れる俳優の一人である。市川雷蔵演じる弁天小僧菊之助が青山京子のお半さんに対して襲おうとする場面なんてどこか同じ市川雷蔵主演による人気シリーズ、代表的シリーズの眠狂四郎みたいです。宮川一夫のカメラは相変わらず美しく、市川雷蔵が屋根を登るシーンや部屋を出入りする時の外からの風景や川の水の美しさなども印象に残る。とにかく全てにおいて美しい。ところで、最初、あの遠山の金さん、勝新だとは解らなかった。しばらくして、ようやく勝新であることが解ったけど、なんだろう?遠山の金さんと勝新ねえ!何だかイメージ的に違う気がする。あまりにも良い人過ぎて物足りない。勝新にはやはり「座頭市」の市や「悪名」の朝吉のようなアウトローな役こそ似合う気がする。
[ビデオ(邦画)] 7点(2009-12-05 16:46:31)(良:1票)
397.  ズートピア
うさぎとキツネという可愛い動物を使ってここまでの世の中に対する矛盾、差別化した世界というものをストレートに描き切った事が素晴らしい。単なるアニメとは言えない凄いメッセージを感じずにはいられない程、本当に良く出来た作品です。同じ世界に産まれ、同じ生き物なのに、草食動物と肉食動物ではまるで扱いが違う事に対する怒りの様な物を誰もが親しみを感じる事の出来る動物達を使ってここまで解りやすく描くディズニーの凄さには感心させられずにはいられません。勿論、ディズニー映画らしい美しい映像も見ていて素晴らしいと思うし、そんな美しい映像の中で語られる夢を持つことの大切さ、素晴らしさと諦めない気持ちを持つことの大切さをきちんと描いていて、そういう意味でもこの作品からは色んなメッセージを感じる事が出来る。ディズニーの凄さが沢山、詰まった傑作!
[映画館(吹替)] 9点(2016-04-28 23:10:09)(良:1票)
398.  トラック野郎 御意見無用
これはまたとにかく熱い映画だなあ!という印象で、とにかく熱いのである。菅原文太の星桃次郎の馬鹿だけど凄く正直で思っていることは何でも口にしないと気が済まない。その結果、早とちりしたり、挙句の果ては親友であるやもめのジョナサンとすぐに喧嘩になる。だけどもやはり親友らしく直ぐに仲直りする。いつまでも尾を引かないのだ。そんな桃次郎に男達は惚れる。この映画は男が男に対して惚れる映画ではないかと思う。桃さんがトイレを我慢する場面での面白さ、また惚れた女が別の男と付き合っていたと知って最後はその女の為にとトラックで男に会わせてやろうとする桃さん、自分のことよりも愛する女のことを第一に考えて行動する桃さん、作品全体としては何か滅茶苦茶でけして誉められるような内容じゃないけれど、その滅茶苦茶さが星桃次郎の魅力であるとこの作品を観て改めて思いました。
[DVD(邦画)] 7点(2006-12-31 23:06:27)(良:1票)
399.  アルカトラズからの脱出 《ネタバレ》 
監督、ドン・シーゲル、主演にクリント・イーストウッドの「ダーティ・ハリー」コンビによる脱出劇!しかも、作り物ではなくて、実話を元に描かれている。その画き方が何とも丁寧にじっくりと描かれているから凄い。絶対に脱走不可能と言われている刑務所の中でのドラマにじわりじわりと張り詰めた緊迫感、緊張感漂う作品になってます。クリント・イーストウッド演じる主人公と親しくなった絵を書くことの好きな囚人が冷酷な所長の手によって、書いた絵を取られておかしくなる姿が何とも痛ましい。刑務所の中でたった一つの楽しみであるはずの絵を書くことへの自由を奪われた彼のあの変貌振りは人間の狂気、やるせなさを描いているし、また人の自由を奪う冷酷な人間の姿がじっくりと描かれていて感心させられる。物凄いアクションや凄いCGなどを駆使して、驚かせようとする近年のハリウッド映画のようなものなど一切、無い。しかし、だからと言ってつまらなくはないし、むしろ、そういう凄い映像だらけの大作よりもずっとずっと見ていて楽しめるし、緊張感も持続しつづけている。冷酷極まりない所長への警告のようなあの囚人達の脱走への計画、それを夜中に張り詰めた空気の中で実行に移す彼ら、その模様がじっくりと描かれていて面白い。クリント・イーストウッド演じる主人公が脱走しようとしている所をバレタのかと思わせておいて、一旦は何もなかったかのように見せる演出、上手い演出だ!そして、再び行なわれる真夜中の脱走劇、脱走に成功し、海の中、島から去っていく男達、脱走後、ここであの例の人形を見回りに来た所長に見せて、あっと言わせる。上手い。上手すぎる。クリント・イーストウッドが悪人にしては、やはり正義の男ぽく見えてしまうのはマイナスだが、それでも十分、面白い。下手なアクションものなんか観るよりは絶対にこの映画の方が良い。
[DVD(字幕)] 8点(2007-12-30 18:08:58)(良:1票)
400.  友情(1975)
渥美清という俳優、私は疲れている時に観るとホットする。ホット出来て、同じ日本人に生まれて良かったと思えるので、とにかく渥美清を見ているだけで幸せな気持ちになることが出来る。どこから見ても寅さんを思わせる背中での演技、放浪がよく似合い、この人ほど旅の姿が似合う男は私は知らない。そんな中でのこの映画、タイトルにある「友情」の意味においてもここでは非常に惨酷で厳しい世界が待っている。美しい友情もあれば、惨酷な友情も存在する。それもある意味、友情であるかもしれないというものが丁寧に描かれています。寅さんのようなフーテンとは違いここでの渥美清演じる男はきんとした仕事を持っている。その点が寅さんとは大きく違うものの、背中で演技する渥美清、男は顔で笑って、心で泣くんだとこの作品の中でも演技で見せてくれている。やはり渥美清は背中で全てを語り、表情と言葉で泣かせることの出来る数少ない名優であることが改めて解る。渥美清以外では寅さんで共演している松坂慶子の美しさと同じく寅さんに何度も出てきて笑いを提供してくれている米倉斉加年や午前様こと、笠智衆の姿なども見れたりと、寅さんファンとしてそれでけでも嬉しくてたまらない。寅さん映画程の笑って、泣けるという映画ではないけれど、寅さん映画に出てくる人達を別の映画の中でもまた見れて、そういう色んな意味での楽しみ、この映画は監督と出演者も寅さん映画と関わりのある人達ばかりである。寅さんファンの為の映画かもしれない。これまた私には渥美清、何度も言うように渥美清が色んな顔を見せてくれている。寅さんも渥美清ももうこの世にはいない。でも私の心の中では今もずっと生きている。これから先も一生、生き続けていくであろう!
[DVD(邦画)] 8点(2010-05-30 22:26:04)(良:1票)

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