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アンドレ・タカシさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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661.  未知との遭遇
すでに30年前の映画になりました。いまさらレビューを書くとなると、なかなか難しいものです。公開時に劇場で観たとき、自分はまだ中学生でした。不思議な映画でした。以降、今日まで自分の中で特異なポジションを維持している映画です。この作品は、数あるスピルバーグ作品の中でも、というか、他の全ての映画を含めても異色だと思います。何が、というと恐らく手法とテーマのミスマッチ。一応、主人公はリチャード・ドレイファスなのでしょうが、複数の登場人物のまわりで起きる事象が誰に感情移入させるでもなく、ドキュメンタリー的なタッチで描かれて行きます。ドキュメンタリー風の映画って、通常は社会問題を扱ったものや個人の伝記などが多いけど、そこに宇宙人とのコンタクトを持ってきた。あくまで架空であるものを、ドキュメンタリー的に描くってどーいうこと…、というのがこの作品特有の匂いになっていると思います。宇宙船に乗るリチャード・ドレイファスを羨ましくも感じるけど、家族のことがあるので共感までは行かず、観客は一歩引いたところから事の成り行きを見守る観察者になる。いや、第三種接近遭遇を体験することになる、と言った方が良いのでしょう。観せる、というよりは、ちょっと距離を置いて体験させる。それがこの映画から匂ってくる特別な魅力だと思います。感動に涙するようなストーリーではありませんが、地球外生命体との接触を叙事的に描いた力作であるというのが自分の評価です。当時、まさしく日の出の勢いがあったスピルバーグ監督ですが、演出力は傑出していたと思いますね。冒頭、メキシコの砂漠に新品同様で現れた戦闘機が二次大戦中に失踪した機体だと知った瞬間の通訳のお兄さんの???の感じとか、航空管制センターで会話とレーダー画面だけで未知の飛行物体が現出した違和感を表現する手腕は凄いと思います。公開当時はまだ民放で「UFOを見た!」的な特番が年に何本か放送されて視聴率を稼いでいた時代だから、この映画は随分と先を行っていたとも思います。
[映画館(字幕)] 9点(2009-01-20 00:23:09)(良:1票)
662.  オーケストラ! 《ネタバレ》 
政治的な理由でオーケストラを取り上げられたロシアの元有名指揮者が昔のメンバーをかき集めてパリで演奏に漕ぎ着けるまでの話。そこに、ブレジネフを批判したためにシベリアへ送られて亡くなった元メンバーの娘のヴァイオリニストが加わって、ストーリーに捻りと華を添える。過去に事情がある人たちが集まって事を成す定番の感動話で良かったはずなんだけど、元メンバーたちのやる気の無さが私にはマイナスポイントでした。パリに来たら前日のリハーサルにも現れず、小銭稼ぎに励んでいる。あれがフランス人から見たロシア人気質なのかも知れないが、笑って流せない。彼らも音楽を取り上げられた人たちなのに、さほどダメージを受けていなかったと解釈できるから。音楽に対する情熱だけは、楽団員全員が等しく持っていて欲しかったです。そんな想いで観ていると、最後のチャイコフスキーが適当な演奏に聞こえました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2011-06-18 23:44:56)(良:1票)
663.  あゝひめゆりの塔 《ネタバレ》 
沖縄戦の映画です。対馬丸の撃沈、沖縄大空襲などをなぞった後、「ひめゆり」と呼ばれる沖縄師範学校女子部と県立第一高等女学校の生徒たちの動員の様子を追いかけます。悲惨な結末を際立たせるため、女生徒たちの健気な側面を過剰に演出しているように見えます。もっと描くべきものがあった気がします。例えば、南風原陸軍病院を撤退する際の青酸入りミルクは、捕虜を許さない軍が動けない重傷者を殺すために飲ませました。重傷者は覚悟して飲んだ訳ではありません。沖縄返還前に製作されたこともあり、資料や証言が現在ほどは充実していなかったのだと思います。 個人的に最も注目していた一点に於いてとんでもない脚色が為されていて、本作は評価できません。それは「解散命令」に関してです。劇中、校長が学徒たちのことを思って軍から「解散を許してもらった」という描写が為されていますが事実は違います。陣地を維持できないと判断した軍が学徒たちを見放したのが「解散命令」です。ほぼ米軍に包囲されている状況で外科壕から放逐された訳で、それは「死ね」と言われたことと同義でした。沖縄県民にとって、災いをもたらしたのは米軍だけは無かったという意味で沖縄戦の悲劇を象徴する出来事ですが、ここは歪めて欲しくなかったです。 余談になりますが、沖縄守備隊の総司令が兵士に降伏を許さなかったこと。ひめゆり学徒に限らずですが、白旗を揚げて投降するような教育を受けていなかったこと。これらが「ひめゆり」の教訓であると思っています。現在、ひめゆりの塔に隣接する平和祈念資料館の展示がこの辺りの実情を分かりやすく見せてくれます。 私はこの作品の舞台となった沖縄本島南部に住んでいます。南国的な解放感に溢れる土地柄ですが、多くの命が散った戦場だった事とのギャップはなかなか整理できません。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-08-21 03:10:28)(良:1票)
664.  バイオハザードIV アフターライフ
前作で超能力まで仕入れてスーパーサイヤ人並みになったアリスは冒頭で普通(?)の女性に戻りました。前作で重々しく描写された彼女のクローンたちも渋谷の地下基地と一緒に全滅してスッキリ。リセット完了、というところか。そうでもしないとストーリーが続かないのなら、そんな刹那的な設定はするべきじゃないだろう。シリーズが安っぽくなります。原作ゲームは緊迫に満ちたサバイバルホラーからスタートして徐々にアクションゲームの様相が強くなったけど、映画の方もアリスの能力に頼りすぎたアクションゲームのようで、それ以外に見どころが無くなって来た。ここに至り原作ゲームの重要キャラであるクリス・レッドフィールドが初登場する。今更の意見ですが、アリスを毎回の飛び道具にするよりもクリス達にじっくりフォーカスした方が見応えのあるシリーズになった気もします。すでにアリスがどんな危機に陥ってもハラハラしないし、感情移入もできないものね…。「ジャンヌ・ダルク」の頃は可憐だったミラも、どこか魅力が摩耗した感じです。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2011-08-12 00:52:57)(良:1票)
665.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 《ネタバレ》 
クレしん映画の中では「戦国大合戦」と並び高評価の今作。やっと観賞しました。着眼は面白いと思いましたが、消化不良という意見です。これは「三丁目の夕日」の世界に住みたいかという問いかけです。ほとんどの大人は昔を懐かしみます。現在と比較し、しがらみや責任に縛られておらず、誰かに守られていた時代の方が良く思えるのは人情でしょう。でも、思い出の世界に住むことを選択したらかなり短絡的で、絶対に喪失するものの方が大きいと思う。なので「現在」を取ったひろしやみさえの判断は特別なことと思わなかった。大人帝国を画策したケンとチャコの動機に興味があったんだけど、そこは描いてくれません。きっと何か理由があるはずなのに、これでは説得力に欠けます。思い出と言えるような記憶を持たない幼稚園児のしんのすけが、未来に生きたいと叫ぶのは当たり前で、家族愛と一緒くたに描いているのは少しズルイ。もう少し懐古の意味を掘り下げて欲しかった。私は宴席などで「あの頃は○○だった~」的な話をするのが好きなタイプなので、この映画はチクリと刺さります。でも、懐古趣味が批判されるとしたら、それは現実逃避と被るから。自分は、現在に生きる意思さえあれば、思い出は人生の厚みであり、懐古は悪でも醜でもないと思っております。それにしても、冒頭の大阪万博の描写はかなりツボでした。当時、あの地元に住んでいて、何度も会場に足を運んだ私は映ったパビリオンの固有名をほとんど覚えていた。子供の頃の記憶ってすごい。数十年後に私が老人という肩書きをもらっても、たぶん覚えているのだろう。その意味で、人は自然と思い出に住む部分が多くなるのかも知れないが、それはあくまで老人になってから。
[DVD(邦画)] 5点(2010-05-03 11:07:49)(良:1票)
666.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
かつてここまでリアルに別世界を堪能させてくれた映画があっただろうか。その別世界は美しく、驚異に満ちた自然の宝庫でした。植物も、動物も、そこにコミュニティを作るナヴィも、生あるものすべてがひとつの世界観のなかに完結していて違和感がない。3Dは「飛び出す」ようなキワモノではなく、大きく豊かなパンドラの自然にナチュラルな奥行と風格を与えていました。ストーリーはシンプルですが、テーマもまたシンプル。それは自然賛歌という言葉以外に思いつかない。巨木が倒された時の悲痛はナヴィたちだけのものではなく、自分も体の一部を失うような喪失感を味わいました。かつて発展の為に躊躇せずネイティブを駆逐した西部開拓時代の反省も入っているようです。共棲という視点に限れば、今作は今の時代を背負った大きな映画とも捉えられます。12年間のブランクはキャメロンにとって、とても意義のある時間であったことを確認した印象です。また、ラストの大佐の頑張りには、キャメロン節が健在であることも確認できて嬉しかった。世界観を構築するうえで彼が「ナウシカ」と「もののけ」のエッセンスを取り入れたことは間違いない。それを実写で実現させたことに脱帽します。3Dに関してひと言。実はときどき3Dメガネを外して確認していましたが、字幕が付けられている場所(奥行の階層)もカットごとに変えてありました。つまり字幕にも3Dの演出がなされている訳です。基本はかなり手前側に字幕を置いていますが、室内などの近景で多階層に渡る奥行を持つシーンでは、少し画面が見づらかった。そこはまだ研究&改良の余地ありだと思います。でも、みなさん仰っていますが、自分もこの映画は絶対に3Dで観るべき作品だと思います。どんな体験が出来るのかとワクワクして劇場に向かい、何ひとつ裏切られずに劇場を後にしましたよ。
[映画館(字幕)] 9点(2009-12-31 12:45:29)(良:1票)
667.  針の眼 《ネタバレ》 
スパイものとしては良く出来ていると思います。スパイってこういう仕事なんだ、と改めて認識させられます。自身の本名を簡単に名乗ってしまう某シリーズなどはスパイものではないと思えるくらい、印象に落差があります。こちらが本来の姿でしょう。連合軍のヨーロッパ進攻の情報を掴んだドイツのスパイが、その情報を本国に送るために四苦八苦する。通信手段が発達していない時代の情報の遣り取りのもどかしさと共に、情報の重要さを感じさせる骨太なドラマです。任務のためには躊躇なく何人もの人を殺した主人公でしたが、あの奥さんだけは殺したくなかったみたいで、それってやっぱり惚れてたってことなんですね。その奥さんに撃ち殺されるラストは、同情はしないけど少し不憫でした。監督のリチャード・マーカンドですが、この映画を観たジョージ・ルーカスがその演出力を買って「ジェダイの復讐」の監督に起用したという話は「ジェダイ」公開時から知ってました。なるほど、サスペンスタッチはしっかり描けていると思うのだけど、「ジェダイ」ってそういう映画だったか? と、言うのが斜めから見た感想です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-01-29 03:24:36)(良:1票)
668.  コドモのコドモ 《ネタバレ》 
もし本当に子供たちが無邪気に遊んでいるうちに妊娠してしまったのなら、それは責められない。言い出せなかった理由も分かる。子供たちだけで無事に出産ができたことは結果論であって、無謀な行為以外の何ものでもない。そう考えると、やはり周囲の大人たちの対応がこの映画のテーマだと思うが、その部分の突っ込みは不十分。妊娠に気付かなかったこと自体は事故性が高いけれど、事前と事後の対応に関して、家族、学校、PTAの誰にも決着を付けていない。でも、そんなことは抜きにしても自分が高得点を付けるのは、麻生久美子が演じる担任の描写に感心したからだ。若い女性教師(ここはあえて女性と言い切ります)に有りがちな見識の狭さや度量の小ささがよく描かれている。典型的な空回りタイプ。小学5年生に対して、SEXはコミュニケーションなどと言って理解されるはずがない。彼女がコミュニケーションの意味を最も理解していない。教員資格を与える段階でもっと資質を精査できないものかと思ってしまう。結局、子供たちだけで妊娠を秘匿したのはあの担任に対する反撥が主な理由で、今件に関する彼女の責任は重い。妊娠云々は別にしても、あの微妙な分からず屋加減を上手く演じた麻生久美子は良かったです。いますよ、ああいう先生。自分の遠い小学校時代を思い出し、劇中の教師批判に思わず熱が入ってしまったが、あの担任と子供たちの距離感は中年の自分にもリアルに映りました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-12-01 01:05:11)(良:1票)
669.  ラブリーボーン 《ネタバレ》 
私はエンドロールを最後まで見ることをポリシーにしています。なんとなく、それが映画に対する礼儀のような気がするから。でも、本作のエンドロールはなんと15分近くあってさすがに嫌気が差しました。エンドロールに難癖を付けることはレビューからは外れますが、15分は非常識でしょう。本編の方は何も伝わって来ないし残らないスカスカな作品でした。最後のキスを除くと、死後に現世にとどまっている意義が見当たりません。あんな手段でキスができるなら、変質者を告発することも容易だったはず。殺された魂が自由を得る条件は、変質者が自由を奪われることのようだったが、その理屈も良く分らない。うじうじと待っているなら、悪霊になって復讐すりゃいいのにと思ってしまう。奴が罰を受けたのは成仏の後だったので、転落死は鑑賞者の溜飲を下げるためだけに挿入されている。何たる安直。彼女が憧れの彼氏とキスするシーンと金庫に入った遺体がゴミ穴に沈んでゆくシーンがカットバックされる構成に、すごくアンバランスな違和感を覚える。遺体が確保されて、それからキスでしょう。遺体が投棄される描写自体も容認したくない。そもそも、彼女が死後にいた世界がすでに天国のように美しく見飽きない。狭間の世界としてはなんとも能天気で、成仏する意義も希薄に感じられる。結局、何を伝えたかったんでしょう? かわいい骨? タイトルも分りません。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2011-04-04 21:43:45)(良:1票)
670.  ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS
ミレニアムシリーズで唯一連作の形態をとっている映画。兵器の整備という裏方に焦点を当てた構成が新しかったが、情の部分が前面に出すぎてストーリーのスピード感を無くし、平成シリーズへ逆戻りしたような印象だった。吉岡美穂はグラビアでは映えるけど、動くと全くダメですね。そのギャップにビックリ。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2008-12-23 03:31:53)(良:1票)
671.  しあわせのかおり
料理を創るシーンをじっくり詳細に見せる。人の手によって創られるものが人を悦ばせることの素晴らしさを、強く印象付けられる。その悦びが創る側と食べる側の双方の人生に意味を持って拡がってゆく。料理を通じて表現される創造の本質です。こういう作品には邦画の良さが滲んでいると思います。派手なテーマはなくとも、身近にある幸せを慈しむ丁寧な映画です。師弟関係という視点で観ても、これはひとつの理想型だと思いました。もちろん、中華が食べたくなりました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-06-19 15:48:29)(良:1票)
672.  現金に体を張れ 《ネタバレ》 
体を張って強奪した現金がプロペラ機が起こす風に舞いあがる。登場人物に感情移入させない乾いた演出のせいか、「残念」では無く「虚しさ」が強調される。キューブリックの映像が捉える登場人物たちと鑑賞側の「距離感」は本作ですでに出来上がっていたんだなと思う。最終カットは主人公を捕えるために拳銃を抜いて歩いてくる二人の刑事。このカットだけが主人公の主観視線。他人事のように客観描写を続けた後の最後のカットが主人公の心情カットという演出で、歯切れ良さも相まって余韻を残します。まさに映像で物語にメリハリを付けている印象です。50年以上も前の作品に、すでに時間軸のモンタージュを演出として取り入れていることに驚きました。キューブリックは最初からキューブリックだったのね、という感想です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-03-19 00:36:22)(良:1票)
673.  踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 《ネタバレ》 
「ファイナル」って印象が無く、「希望」も覚えません。ホントにこれで終わりにするんでしょうか。オープニングよろしく、二人一緒に辞職して唐揚げ屋さんでも開店してくれた方が、まだ納得できます。組織における「現場」と「上」の整合が一貫したテーマだったはずです。そこに決着を付けないまま、小ネタが尽きたから「打ち止め」と受け取れました。大きなムーブメントを起こしたタイトルとしては、残念な中途半端です。それでも、青島を中心にそれぞれのキャラが立っていた前半は楽しく見られたのも事実で、改めて最初のTVシリーズが担保した資産の大きさに感心した次第。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2013-07-23 02:08:13)(良:1票)
674.  ふがいない僕は空を見た 《ネタバレ》 
原作と同様に整理しにくい作品でした。その意味で「映画化」のレベルは悪くないと思いました。 助産婦の助手(元レディース姉ちゃん)が良かったです。態度がハッキリしているからです。乱暴に吐き出す正論が分かり易く心地良い。でも、本作のテーマは分かりにくさにあると思います。登場人物たちの不遇を連ねて世の中の生きにくい側面をあぶり出しますが、スッキリとした解決を与えません。まことに映画らしくないんだけど、現実の世の中ってこんなものだと思います。助手の姉ちゃんのような人は少数派なのです。ただ無為に時間を重ねて痛みの風化を待つこともあれば、身近にいる人の存在が助けになることもある。それらは能動的にアクションしても解決できない問題に対して示される仄かな希望の芽です。マジに辛い時は藁にも縋る想いでそんなきっかけを捜すのだと思いますが、それが本当に希望になるかどうかは本人次第です。地味でデリケートなヒントを与えてくれるような作品という印象でした。 ちなみに、原作のアンズは子なしの有閑主婦・おデブ・やや知能未発達・コスプレ狂いと云う設定で、高校生のタクミ君がヤッちゃったのは純粋に「下半身の動機」だけでした。そのアンズに田畑智子をキャスティグした時点で「おデブ」が無くなり、脚本段階で「知能未発達」も消えたようです。おかげで、後に本当にアンズが好きになるタクミ君の変移の意味性が希薄になったように感じられました。タクミ君がアンズに魅かれた理由が興味深かったもので、原作を読んだ者の愚痴として記しておきます。 もうひとつ。この監督にはオリジナル脚本で映画を創って欲しいです。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-12-09 03:40:44)(良:1票)
675.  スターシップ・トゥルーパーズ3 《ネタバレ》 
原作のエッセンスはある程度「1」で表現したし、すでに「2」で思いっきり萎んでいるし。だから、好き勝手に暴れた感じですね。無責任さが潔く思えるほど。「2」は論外の酷さだったのでこの際忘れるとして、「1」の続編ではあるが半分もお金を使っていないのが良く分かる。その制作費の少なさを、おバカでカバーした。「♪~ it's a good day to die (今日は死に日和)」の軽やかなメロディが頭の中でリフレインする。やっとお出ましのパワードスーツはそれなりの破壊力だったけれど、これも予算の関係なのか出番はラストだけ。しかも描写がしょぼい。やっぱり「1」で大暴れして欲しかったな。ということで、このシリーズは「1」が全てであとは蛇足。今作も真剣に評するような内容じゃないが、おバカは楽しめました。「2」よりは格段にマシな出来です。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2010-05-18 22:04:18)(良:1票)
676.  銀河鉄道999
劇場公開されたのは自分が高校2年生の夏。「宇宙戦艦ヤマト」でブレイクした感があった松本零士氏だけど「男おいどん」あたりからのファンの自分にとっては、この「999」が彼のエッセンスを詰め込んだ初めての映画という印象でした。旅に出て、人に出会い、冒険を経て成長する。わずか2時間の枠の中で、その流れが破綻せずに納得できるストーリーに収まっているのは見事でした。アニメーションの背景の美しさに初めて感動した映画でもあった。ラストシーンは美しい弦の調べと共に、野沢雅子の熱演に涙しました。「いま、万感の想いを込めて汽笛が鳴る…」。城達也のナレーションが深い余韻を残します。若者が持つ未知なるものへの漠然とした憧れと、それを希求するエネルギーが実感できる時期に出会ったことで、自分の奥深いところに何かを刻んでいる映画です。大学入学に際し、故郷を離れる新幹線のシートに座った自分は、メガロポリスで999に乗り込んだ星野鉄郎でした。
[映画館(邦画)] 10点(2008-08-05 16:57:20)(良:1票)
677.  百万円と苦虫女
憲法に移転及び職業選択の自由が定められている。でも、この映画の彼女のように、その自由を最大活用する人は滅多にいない。この映画は、どこへ転居しても同じで逃げないことが大切、なんて説教くさいことを言ってるようで、その反対のことを訴えていると思う。人はもっと、自分が暮らす場所を探求すべきなんだ。家族同居でなければ、ほとんどの人が職場と家賃で住まいを決めるが、彼女の行動は逆。まず、住み始めてから仕事を決め、その土地を住みながら検分する。100万円貯まる頃に面倒なしがらみが生じていたら、あっさり引越し。たぶん、これを繰り返すうちに、100万円貯まっても引っ越したくない土地が現れるという発想だ。暮らしにくければリセット可能。これって、幸せの探求と同義だと思う。だから、他人から苦虫女と思われたって、どんどん引っ越せばいいんだ。人が暮らす場所は、その人にとってどんな必然性を持った場所なのか? そんなことを考えさせてくれる、ちょっと変わったロードムービーでした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-07-04 02:22:43)(良:1票)
678.  東京島 《ネタバレ》 
原作を読んだ者としてレビューさせてもらいますが、これは「おばさん映画」のはずが、そうでは無かったです。根本のところをアレンジしてしまった印象です。最大の失敗は清子のキャスティング。木村多江がきれい過ぎる。清子は本来、地下鉄の僅かに空いた座席の隙間に太った尻をねじ込んでくるようなおばさんです。見苦しいおばさん。そんなおばさんの、無人島での存在の浮き沈みが原作の読みどころだが、本作は沈む部分がない。もし無人島でなければ、くじ引き結婚に誰も立候補しないような女優を選んでくれないと。一般的に嫌われるおばさんの図々しさと、希少価値のバランスが、美人をキャスティングしたことで台無しでした。適当にチヤホヤされて、ゆる~いサバイバルを見せられてもテーマらしきものを感じません。この映画化で感心したのは海亀の甲羅を背負ったワタナベ。あれは確実に言葉の描写を越えていて、ひと目で声を出して笑いました。■ロカホリさんの【余談】は情景が目に浮かびます。とても爽やかな気分にさせていただきました。
[映画館(邦画)] 4点(2010-09-22 13:34:25)(良:1票)
679.  アレクサンドリア 《ネタバレ》 
ローマ帝国が国教を神話的多神教からキリスト教へ変えた時代が舞台。宗教的な教義云々ではなく、統治に都合が良いからキリスト教を選んだように見えました。事実がこの映画の通りなら、あの宗教の布教手段って恫喝と暴力だったのですね。私には横暴な一神教宗教による自然科学への迫害を描いた映画としか映りませんでした。彼の宗教信者にはどのように映るのでしょう? 時おり挿入される宇宙から見た地球。漆黒の闇を背景にした私たちの星はハッとするほど美しい。あれが「神」の視線なら、地上で行われている権力闘争は醜く些末であり、「神」の想いからは逸脱した行為なのでしょう。 あの時代、太陽の視直径を正確に測る手段があったのだろうかと云う点が天文ファン的には気になりました。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-06-09 02:40:17)(良:1票)
680.  9<ナイン> ~9番目の奇妙な人形~
変な人形の一人称視点で世界の変化を見せる序盤はそれなりに引き込まれた。人形の造作からして特異な世界観を醸している。でも、それで終った映画でした。機械ビーストと戦闘を繰り広げること以外にメッセージが無い。ちゃんとオチを付ければ作品の奥行や完成度が高まるような設定を無駄にしてますね。まぁ、元々が世界観だけを見せる映画だったのでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2011-06-09 21:40:00)(良:1票)

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