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プロフィール
コメント数 2001
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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101.  リトルマン・テイト
子供にとって一番大切なことは何なのか、監督ジョディの主張は明確だ。ちょっぴり教養のたりない母親も、学者の先生も愛の形こそ違えど、この子を想っている。ジョディ・フォスターの、全人物への視線が優しい。最後のパーティーのシーンは、全てを包み込むように融和して、和やかで美しい。出来の悪いジェーンのケーキの方を選ぶなんてねえ。鼻の奥がつーん。
[映画館(字幕)] 8点(2011-12-12 00:07:15)(良:1票)
102.  舞踏会の手帖 《ネタバレ》 
同窓会になんか行きたくない人ってけっこういると思うんですよ。ところが同窓の方からいきなり来られる、という考え方によってははた迷惑なお話。ヒロインが皆のアイドルだったから許されたでしょうか? 「思い出は美化される」とは執事氏の言。まさにこの台詞が物語の全てで、どの再会もクリスティーヌの抱いていたノスタルジーの甘やかさとは程遠い。30過ぎて見る「舞踏会」の現実に幻滅するクリスティーヌとは対照的に16歳の女の子は目をキラキラさせて「舞踏会ってなんて素敵」とはしゃぐ。彼女はかつてのクリスティーヌ。きっと16の夜の思い出は彼女の心にもずっと美しいまま保存されるのでしょう。 美しい思い出は美しいままに留めておきましょう。過去を掘り返したとて、前に進む糧とはならないのです。・・というテーマの話だと思っていたのだけど。なんとクリスティーヌは過去の続きから生き甲斐をゲットするというオチでした。いや、なんかずいぶんヒロインに甘い戦前の映画だなあとびっくりです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-05 17:17:04)(良:1票)
103.  レディ・プレイヤー1 《ネタバレ》 
世界の大監督と「イヤー、ソレ分かります!」と意気投合するとは思わなんだ。80’sが身体に入っている世代はあの頃のmy favoriteを見つける楽しさがてんこ盛りです。 冒頭からデロリアンの雄姿に息をのみ、デュラン・デュランと聞けば芋づる式にカルチャークラブやデビッド・ボウイも思い出されて懐古趣味が止まりません。 シャイニングに大きく時間を取ってくれてたのにはテンション上がりました。「ああ、ほらエレベーターの前にいては洪水に飲まれるよ!」とか「237号室には絶対入っちゃいけないし」と、こちらの突っ込み待ちのような展開を見せてくれます。 メカゴジラにガンダムに、とジャパニーズ・カルチャーの存在意義の大きさが誇らしかったりと楽しいことは楽しかったのですが、でもこの楽しみ方って映画を見る姿勢としてはどうなの、とも思います。肝心のストーリーは予定調和に収まって驚きもないですしネタの数々を知らない世代が見たらあまり面白くないのかも。なんかやっぱり子供らと観て一緒に盛り上がりたいのですこういう映画は。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-06-02 23:41:29)(良:1票)
104.  ルーム 《ネタバレ》 
子を思う母と、母を思う子の互いの愛の形が、異常な環境下に置かれていても尚 普遍的で美しくてもう、館内で滂沱の涙に溺れそうになった。狂った状況下でも子供の魂を傷つけまいと作り話で日々をしのぐ若い母親。ブリー・ラーソンがどこにでもいる”普通の”容貌であることで、観客にとっても気持ちが入りやすいのではと思った。 元の日常に戻ってからの困難についての描写が監禁時より長く割かれており、彼女らの人生の現実にしっかり踏み込んだ。戻ってみれば母は17才のままで、でも失った時間は想像よりはるかに重くのしかかる。そりゃ甘えられる存在がそばにいれば、子供帰りもするよなあ。彼女もその母も本当に可哀想だったけど、だけど以前と確実に違うのは息子の存在である。この子がいることで皆の心が救われる。愛の塊である幼い存在、無垢というのはなんと尊いのだろう。髪を切って母に送るその姿にまた号泣し、エラい顔になって映画館を後にすることになった。 祖母とそのパートナーが理想的な存在として描かれたのも良かった。W・H・メイシー演じる祖父もあれはあれでまたリアルなのかもしれないな。 子役が凄まじい演技をしています。台本があるのだよ、とはちょっと信じられないほど。圧倒的にこの子が凄かったのでプラス1点で。
[映画館(字幕)] 8点(2016-06-02 00:52:23)(良:1票)
105.  切腹 《ネタバレ》 
邦画史上まれに見る陰惨な話でなかろうか。おまけにグロテスクだ。 突如井伊家にやって来た(ように見える)津雲半四郎、彼の語りによって徐々に来訪の真相が明らかにされてゆく展開はスリリングで、のどが渇いてくるようで、近年のサスペンス・ホラーでも滅多にお目にかかれないほどの緊迫感だ。 語りのクライマックスに彼の目的が復讐であることが明かされ、さらに介錯人として指名した三人の現状が露わになった時の、老獪な家老 三国連太郎の顔色の変わるさまといい、激情を押し殺した無骨な浪人仲代の一本気の迫力といい、凄い芝居を観た。特に仲代の発声、動と静の表現を声だけでよくもあんなに。近頃の俳優さんで真似できる人がいるだろうか。 脚本も演技も演出も凄いのだが、話がどうしても好きではない。こうも非道にしなくても、と思う。 武士道の鑑を謳う井伊家、実のところは不祥事隠蔽体質の巨大組織でマズイ物件はさっさと片付けるべく、一人の浪人に鉄砲を向けるんだ。しかもラストに跡取りが幕府から褒められるというしつこき後味の悪さだ。なんて話だ。 こら井伊家、あんたんとこだってな、後年には安泰でいられないんだぞ、いばってんじゃねえと後世から遠吠えする小市民のワタシであった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-06-20 00:48:20)(良:1票)
106.  キングスマン: ゴールデン・サークル 《ネタバレ》 
キングスマン、大好きです。楽しみにしながら映画館に出向いて、楽しかったー、と帰ることができました。今作もキレキレの音楽と、趣向を凝らしたブリティッシュな武器の数々にはうっとりしました。 ただ、やっぱり続編は風呂敷を広げがち。舞台は広範囲、人も格段に増えました。私は”英国風”センスが好みなので、アメリカ側にやたらと人物が出てくるのはちょっとうるさかった。チャニング・テイタムなんて、わりとすぐ冷凍になっちゃうしと思ったら、ウイスキーなんて代わりの駒が出てくる。んん?テイタム一人で押しても良かったんじゃないかい? 再会できると思ってなかったハリー、まあその無茶蘇生ぶりは置いとくとして、やっぱり嬉しいし、ジュリアン・ムーアも超絶怪演。死に際もコワイ。エルトン・ジョンの仕事っぷりには脱帽だ。どこまでが素なのやら、すごいおっさんだ。笑わしてもらったー。 主人公とその彼女のキャスティングが、個人的にぴったりこないのが前作からの難点なのですが、なんたって脇が磐石ですから。コリン・ファースにマーク・ストロング、お二方の英国紳士なスーツ姿が美麗なことに変わりなく、脚本の疾走感(と悪趣味センス)も衰えてはおりません。
[映画館(字幕)] 8点(2018-01-12 00:39:08)(良:1票)
107.  ドライヴ(2011) 《ネタバレ》 
一言で言うと任侠ですなあ。惚れた女のために一度は抜けた裏社会に、今回だけと舞い戻る。銃撃戦の血生臭さや陽の光の当て方等はけれんみ溢れてて、洋画お得意のハードボイルドというよりは往年の東映ヤクザ映画のテイストに近い。人妻のキャリー・マリガンが幼顔のせいで浮いてるけど。 冒頭の逃がし屋ドライバーの力量発揮の場面は印象的だったし、なんせタイトルがドライヴなので、クライマックスは当然運転技術の卓抜さで敵を出し抜くのだろうと思ってしまった。素手で殴ったり刺したりとは意外すぎた。うそぉ、と落胆したのは私だけかい?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-02-10 00:06:57)(良:1票)
108.  ディアボロス/悪魔の扉 《ネタバレ》 
なるほど20世紀に人間がこんなに堕落したのは悪魔の仕事がはかどったからなのか。大きい目をさらに見開いてすごい笑顔を見せるアル・パチーノ悪魔がとても恐いです。人間が敵うわけないよな。キアヌが自死して一矢報いたかと思えばそれすら悪魔の掌の上のこと。この終わり方って二転返しで、あまり好まないんだけど今作では効きました。 なんでもこなすアル・パチーノは悪魔にドはまり。キアヌは相変わらずキアヌ・リーヴスだ。セロンも平凡な奥様役ではちょっと役不足。と思うのはその後の彼女の仕事ぶりを見ているからで、この当時のこのレベルの仕事で納得しなかった彼女はあっぱれ。これで終わっていたら誰の記憶にも残らない女優だったかも。
[DVD(字幕)] 6点(2019-05-02 23:30:22)(良:1票)
109.  ゲット・アウト 《ネタバレ》 
ネタばれありです。未見の人は読まないで。。 今まで観た中では新しい感性のホラーだと思いました。普通に見える人たちが怖いです。 「得体の知れない雰囲気」の不気味さが、後半ネタ割れと同時に伏線が次々明らかになる衝撃へと変わります。どこか不自然な黒人らの挙動、それビンゴゲームじゃなくない?、そして「我を失った」ように見えたスーツ黒人の叫んだ「get out」の本当の意味。 年寄り白人らの集いにおいて、主人公は商品として値踏みされていたのですね。にこにこと頷きながらクリスを見ていた車いすのじいさんの意図に気付いた時はぞーっとしましたよほんと。 人種差別が根底にあることは各メディアで指摘されているところ。ちょっと一ひねりあるように感じた点は、KKKのような大方の差別主義者や黒人を毛嫌いする人たちって、自らの肌が黒くなることなど断固拒否すると思うんですよ。ところがこの映画の白人らはちょっと違って、黒人の肉体の遺伝子レベルの高いことを認めている。そしてそのうえで、自分たちがその容れ物を強奪しても構わんのだと考えている。これはかつての植民地思想みたいなもんですね。彼らの土地を略奪し資源を横取りした白人優越思想の応用版。良いものは白人のもの。ジャイアンか。 表立って敵意をむき出しにする差別意識より、外面を覆い隠している分、タチが悪くヤバさは上です。 タチが悪い代表がローズですわね。あの、パッと本性を現した場面には嘔吐しそうになりました。なんたる性悪。いやああー怖い。 演者である黒人俳優の面々も巧い。なんというか「白人のしそうな振る舞いや表情」ってきっとあるんですね。皆みごとに「妙な黒人」でした。特に使用人役の彼女!黒人である自我が涙を流しながら、白人スマイルをなんとかキープしようとする長いカットがひたすら不気味で、あの演技力は凄いです。 ラストはバッドエンドの試写版から改変したのだとか。ほんとこのエンディングで良かった。救い無く終わっていたらメンタル立ち直れないところです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-05-02 18:25:32)(良:1票)
110.  羅生門(1950) 《ネタバレ》 
ん?と思ったのち ぞくぞくして、戦慄して、凄い!と唸った映画。役者と台詞だけでこんなに切り口が変わるんだ。圧巻なのは湿度の高いべったりした雨と黒々した不吉な門。志村喬の朴訥さにはほっとした。 2014/1 原作読了。わあ、この脚本凄いんだなあ。人間が嘘をつく行為はすなわち何を大事にしているかがつぶさに分かって面白さが倍増。多襄丸はその“悪名高き大悪党”のカッコ良いイメージを落としたくない。まさかあの多襄丸が女にどやされて、へっぴり腰でどたばた乱闘劇をやらかしただなんて絶対知られたくなかったのね。プライド高い侍の男は妻に裏切られ、自害をとげた悲劇の主人公像に死んでもこだわり、女は哀れな純被害者を言い通してか弱き高潔さを世間に示したい。いやはや。三者の言い分をすべてひっくり返す樵の目撃談を考えつくって、いや天才か、と驚いた次第であります。当時の時代考証の精密さといい、山中の木々の濃い影や土の匂い、玉の汗に見る蒸し暑さ。女どもの妖しさ。いろんな要素が心に刻み込まれるこの堂々たる日本映画、やっぱり10点にしますね。
[ビデオ(邦画)] 10点(2012-02-15 23:22:23)(良:1票)
111.  ストリート・オブ・ファイヤー
時代の空気を色濃く纏って見事にハマる映画がある。これはまさに80'sの映画。当時だからこそ打ち上がる一発花火。残念ながらリアルタイムでは見逃してしまった。当時一緒に盛り上がりたかったなあー。ダイアン・レインもの凄い人気だったもんなあ。 30年という時に洗われると、お話のクサさ、ベタさ加減はもとより、D・レインの横顔があまり良くないなあとかM・パレの髪型が看過できないとか気付いてしまうのだ。無法のアウトローキャラなのに当時大流行のbratpackな髪型かあ。無骨な男のチョイスじゃないでしょ。おしゃれカットだもん。 音楽は、まだ生きている。華があってストレートなロック、聴いててわくわくする。 一本気な男気質のW・ヒル節を堪能するなら“ウォリアーズ”の方がおすすめ。シンプル故に、時代に流されず骨組みがしっかり残っています。 
[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-10-28 00:29:13)(良:1票)
112.  アタック・ザ・ブロック
これを観て思ったこと。なんとまあ英国の低所得層の若者はあえいでいることか。かの国の不況のなかの青春映画はいくつも観てきたけれど、そういう一連の作品と同じような感慨を抱く。なんかエイリアンみたいのがいくつも出てきたところで、そいつらの印象は濃くなかった。 戦う舞台が“ブロック”という実に局地的な生活圏。その小ささが、彼らの人生全ての象徴のよう。ラストもその小さいエリアでヒーローとなってめでたし、となっている。別に世界を救ったわけではない。 一人の少年が言う。「なんでアフリカの子供を救うわけ?イギリスの子供は救わないのかい?」この台詞が妙に心に残った。作品の骨格のような気がする。 エイリアン退治は、脚本が用意した、少年らが閉塞した生活から抜け出すための力技。一人は英雄となって人生に意味が生まれた。B級映画に対して、少し考えすぎかな。たぶんそうだな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-09-03 00:32:06)(良:1票)
113.  サプライズ(2011) 《ネタバレ》 
これは、けっこうしっかり誠実に(?)作っているな、と思います。登場人物が一人また一人訳も分からず殺されてゆくというすでに百出のプロットをどう見せて客をのせるか。10人もいる人物のキャラクターをしっかり紹介できているのがエライです。初期のゾンビものの傑作もそうでしたが、「この人はどういう性格か」をちゃんと描いて、単なるモブシーンの一部にせずこちらに思い入れを持たせることに成功しています。ここでは兄弟仲がよろしくない、とか兄嫁の意地が悪い、といった押さえるべき点が要領よく披露されます。長男はエラソーに振舞っていましたが、実は一番人間的だったりしました。 印象が薄いor足手まといな者から次々消えてゆくのもセオリー通り。そして展開が早いのも飽きさせない要因でしょう。身内の企み、というネタばらしのタイミングも丁度良いと思います。そこからお話は一転し、事情を知らないのは女主人公一人であると客は知らされ、見守る立場になる。がんばれ、とますます力が入ります。 エンドレスリピートの隣家の音楽や、不気味なアニマルマスクという小道具も効いてます。暇つぶし的に殺された隣家の二人は気の毒でしたが、社会的モラルに照らしてあまり感心できない人たち、という保険もかけてありました。誠実だ。
[DVD(字幕)] 7点(2016-01-25 18:34:28)(良:1票)
114.  フォーン・ブース 《ネタバレ》 
や、面白かったです。80分の短さで、きりりとやりたいことやった感じ。不条理型の攻撃者は絶対的に強くないとイケナイのだけど、こいつも及第点。正体不明&高層ビルからの攻撃って圧倒的に有利だぁ。うーん不条理だ。追い詰められる主人公が自分の内面と向き合うことになって妻に告白するシーン、人が必死に訴える姿というのは周りの人間にもきちんと伝わるもので、警察も野次馬もそして観客の私もちょっと「しん」、となったりするのでした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-12-27 01:47:26)(良:1票)
115.  ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 《ネタバレ》 
まず出てきた率直な感想はといえば、「スウェーデン、変態多すぎ・・」。生理的嫌悪感を起こさせる露骨なシーンがけっこう多いし。北欧の雪景色の清冽さの浄化効果で作品が安っぽいグロに堕ちるのを防いでいるけど。ひとつひとつ謎を検証してゆくプロセスが、丁寧で観ていて分かりやすい。足で追うアナログパターンは昔の探偵物のわくわく感あり。スウェーデンにもナチの影響がこんなにあったんだ、などと北欧についての浅学さを思い知りながら真相にたどり着いてみれば出るわ出るわ変態犯罪者の山。いやはやスウェーデンで女が生きるのってなんかすんごい大変なことのように感じたりして。気のせいだといいんだけど。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-02-05 01:05:14)(良:1票)
116.  天国と地獄 《ネタバレ》 
143分間、凄まじい重厚感にただただ圧倒された。前半は誘拐事件の中で各人の思惑が交錯する人間ドラマに、後半は高度経済成長期の光と影がくっきりと刻まれた昭和の世相描写に。 かっちりと美しいバンフォーカスの枠に配置された演者たち。台詞を言わない者は無言で、表情と佇まいで演技をする。権藤が裏切り秘書を喝破した際の仲代の表情や、ラスト近くで時を告げる時計の音に振り向いた眼に飛び込む差押さえ状。途端に漂うお通夜のごとき空気。忘れ難い場面の数々、なんという役者の力だろう。メインから端役に至るまで、名演につぐ名演に酔う。 息もつけなかったのは昭和の世の、経済成長から取り残された貧困の姿。場末の歓楽街からアヘン窟へと移るカメラは情け容赦なく、オリンピックを控えた都市の底辺の様子には心胆が冷えた。インターン竹内の暮らす貧しい路地。野良犬にシミーズ姿の洗濯女,三畳の暗い安アパート。彼の母親の早い死に、アヘン窟の女たちの姿が重なった。壮絶な幼少期を送ったであろう竹内の、貧困がむしばんだ魂の叫びには、私も権藤氏と同じく一ミリも身体が動かなかった。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2014-10-20 01:14:14)(良:1票)
117.  ショーン・オブ・ザ・デッド
作り手のゾンビ愛が、イギリスコメディ独特の馬鹿なノリで炸裂中。日常にゾンビが溢れる異常事態をまれに見るユルさで乗り切る主人公たちといい、どんなゾンビ映画も考えつかなかった斜め上のオチといい、最高点ではないけど秀作くらいの評価を受けても良いと思う。で、なんでダイアー・ストレイツのレコードを投げてもOKなのよっ こらあっ。
[DVD(字幕)] 7点(2013-12-01 00:30:41)(笑:1票)
118.  リバース(1997) 《ネタバレ》 
20年も前の作品とは思わなかった。カイリー・トラヴィスはヘアスタイルもファッションも全く古臭くない垢抜け美人だし、おもに舞台となる車もむこうの車ってあまりデザインが変わらない(ように見える)しで。怪しい研究所のコンピュータの古色蒼然とした佇まいが、さすがに「これ古くない?」と思わしめたけど。 ”短いスパンで時を繰り返す”ジャンルの「走り」の作品だと思えば、この粗さとか詰みの甘いのにも納得。後作品はもっと練られてるのが世に出てますよね。 やたら身体を張るカイリーと、スピード感のある展開はぐいぐい引っ張ってくれますし、「やり直し」にわくわく感は持たせてくれるんだけどちょっと期待値以上の内容にならないんですよね。はっきり言うと同じことの繰り返し。幕切れもそんな感じ?とあっけない。ちゃんと当時に観て新鮮に驚きたかったなあ。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-10-17 00:17:17)(良:1票)
119.  ローズマリーの赤ちゃん 《ネタバレ》 
ひたひたと、いやぁーな気持ちにさせてじわじわ追い詰めてくるサイコ・ホラーの一級品。血は出ないし、画面も暗くない。けれど、綺麗な壁紙や清潔そうな家具に囲まれ、善良そうな隣人たちに恵まれつつこの奇妙な違和感。居心地の悪さ。妊娠して痩せてゆくミア・ファローの体調不良が、もうね皮膚感覚で伝わってくる。ああ具合悪い・・。この悪夢がミアの妄想なのか事実なのか最後までわからなくて気が抜けない。ラスト、悪夢の連鎖が断ち切られることって無いんだな、と予感させるミアの慈しみの表情がまた怖い。慈愛の表情が怖いというのもまた奇妙だけども。ミアの髪型(ショートの方)、ファッション、小物、ファニシング全てが洗練されていて古臭さを感じない。この品のある感じが数多のスプラッタホラーと一線を画すところ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-01-14 15:37:36)(良:1票)
120.  丹下左膳餘話 百萬兩の壺 《ネタバレ》 
なんと鮮やかな70年前の作品だろう。音が聞こえづらいのを除けば、古さを一切感じさせない。三味線小唄に合わせてカメラがすうっと横に流れる。屋内から屋外へと。会話も説明も無くとも、各場所での人々の動きと流れでドラマが説明される。私の不明もあるだろうけど、こんな演出他では見たことがない。オチを落とす“間”の、絶妙な速さと、各キャラの性格を余さず伝える粋な台詞。左膳がやくざ者に絡まれる場面の緊迫感といったら、のんびり笑って観ていたのでもの凄く驚く。子供に数を数えさせ、カウント・10で瞬殺のこの場面といい、道場破りの立ち回りといい、大河内の身体のキレには目を見張る。予想不可能な結末と、加えて最後までお藤の尻に敷かれる剣豪丹下左膳、チャンチャン、というラストシーンは作り手のキレッキレのセンスが炸裂で、もう眩しくて何にも見えないくらいだ。戦前の日本映画にこんなにオシャレでかっこいい作品が存在したなんて。胸が熱いし山中監督の悲運を思うと泣けてくる。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2013-03-18 14:33:08)(良:1票)

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