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161.  Ray/レイ
印象的だったのは、子供のレイが倒れて「お母さん助けて!」といったとき、母親は息を殺してじっと息子を見守るだけで何もしなかったときです。その時の母親の不安と決心が入り乱れた顔の表情は、非常に素晴らしい。 そして息子は1人で立ち上がり母親を探し当てたのです。母親はそういう息子を見て涙を流しました。母親は、このとき初めて盲目の息子がこれから自立して生きていけるということを確信したのでしょう。まさに母親の愛情は「海」です。しかし母親は体が弱いうえに、洗濯女の仕事で体を酷使しすぎて、息子の活躍をみることなく静かに息を引き取ります。この映画は主役はさることながら彼の周りを支える人物たちが実に存在感があって見ごたえがあります。 「人間」が好きな人、「人間」を見たい人、「人間」を知りたい人、是非この映画をお勧めします。音楽を通した最高の人間ドラマだと思います。 そしてレイのお母さんに一番観て欲しかった映画、あなたの息子さんは大勢の人から尊敬される偉大な人間として人生を終えました。心より尊敬します。
[DVD(字幕)] 10点(2005-07-09 21:26:31)(良:1票)
162.  春にして君を想う
我慢できない状態になった。その状態を間接的に表現するならば、うとうと・・・。すやすや・・・(禁句だからストレートには表現しない) とにかく意識がもうろうとしてきた。私は果たして映画を観ていたのだろうか?それとも夢を見ていたのだろうか? 映画が始まって最初の15分くらいは台詞がなかったので、もしかしてこれはサイレント映画か?と、びびってしまいました。 登場人物は、おじいちゃんとおばあちゃん。 動きが信じられないくらいにスローであり、強制的に観客を眠りの世界へと引きずり込もうとする。この時点でわれわれ観客は、老人と同様に夢と現実の世界を彷徨する羽目になる。もしこれが監督の意図したものであるならば大したものである。 本作は、死に場所探しの物語だと思う。普通は、愛する人達に看取られて死にたいと考える人が多いかもしれない。しかし本作は、死に場所に、こだわっている。老人たちの死は、まるで死期を悟った象が、ひっそりと誰も見られぬ場所に行って息を引き取るのと似たような印象をもつ。そこに恐ろしい孤独を感じる。人はどれほど友人や愛する家族が存在していても死ぬ時は1人なのである。 
[DVD(字幕)] 6点(2006-11-20 19:50:16)(良:1票)
163.  メランコリア 《ネタバレ》 
トリアーの作品の多くは、神経の弱ったアウトローの人間を、まわりの複数の人間たちが、「もっと周りの人間たちと協調しなさい」と注意したり、「かわいそう」と同情したり、憎んだりする描写が中心に描かれている。鬱とは何か?それについて他人は「悩むな」とアドバイスを与える。「もっと頑張れ」とも言う。しかしそのアドバイスには、憎しみと軽蔑が含まれていることに、言っている本人たちが気が付いていない。これを偽善という。トリアーはこの「偽善」を描くために生きているようなものだ。社会の一員になれない異端児を攻撃する本能が、われわれ社会にはある。地球破滅願望の心理は単純です。今、鬱病の自分が持っている不安を凌駕する不安が起これば、小さな不安は消えるからです。しかもそれは自分だけの不安ではなく、自分に対して「もっと頑張れ」とアドバイスをおくる憎悪すべき人々まで巻き込むことができる。姉のクレアの「滅亡」に対する恐怖は、さぞかし主人公にとっては心地よかったと思います。反対にメランコリアが地球から離れていこうとしたとき、彼女は少しがっかりした様子さえ見せます。トリアーはどの作品でも一貫して、社会の一員になりきれない弱者を描いてきた。そしてそういう弱者を周りの我々が、同情や軽蔑によって攻撃する様子を、偽善を交えて描いてきた。偽善こそ憎むべき存在であり、それは人類そのものを意味する。メランコリアは主人公の期待通り、すなわち彼女の敵である我々を滅ぼすために、再び地球に接近する。そして滅亡!ついに出たよ、トリアー流のハッピーエンド。彼の頭の中は人類に対する復讐心でいっぱいなのでしょう。そして私はそういう彼に共感するのだ。勇気を持って爽快感を味わえる映画だと断言しておきます。
[DVD(字幕)] 10点(2012-08-18 20:18:55)(良:1票)
164.  ターミネーター4 《ネタバレ》 
この作品をターミネーターと認めたくない気持ちです。なぜならばターミネーターが出てこないからです。ではターミネーターとは何でしょうか?オリンピックマラソンで野口を追い詰めたヌデレバ選手が、なにゆえにターミネーターのような人だと畏敬の念をこめて日本人から賞賛されたかワカリマスカ??それはしぶとくて、タフで、敵を執拗に追いかけたからです。あのグラサンも脅威だったことは否定しません。その名前はすでに「しぶとい」の代名詞になっている。だから私はあえて言いたい。この作品にターミネーターは出てきましたか?いるはずもない。断じていないのだ。シュワちゃんの裸踊りでお茶を濁し、普通のアクション映画に成り下がったものに、ターミネーターという伝説のタイトルをくっつければ、シリーズ最新作として上映して良いものなのだろうか?真のファンならば恐らく悔し涙がボロボロ流れてくるはずだ。私にはまるで中国に出回っているレベルの高い偽物腕時計のような、そんな精巧な偽映画に思えてならないのです。偽物ならば、偽物らしく、タイトルをダミーネーターに改名してもらいたい。自分を人間だと思い込んでいる悲しいロボット。えぇ、たしかに泣けます。しんみりしてしまいましたよ。だけど私を落ち込ませてどうする?アクションの王道を突き進んできた本作品に、ヒューマン性など必要なない。こざかしい人間描写などクソ食らえだ。しかもこの期に及んでまだ続編を作る気らしい。いっそのこと、今度のタイトルは、ターミネーターシーズン5にしてもらいたい。もはやTVと映画の境界線すら見えなくなってきた。この冒涜はいったいいつまで続くのだろうか。 
[DVD(字幕)] 3点(2010-04-16 22:33:10)(良:1票)
165.  ジョン・カーター 《ネタバレ》 
素直に驚いた。ディズニー生誕110周年記念作品であり、ディズニーの総力を結集した映画、そのうえ世界最高峰の予算が投じられている。それでどうやったらこれほど面白くない映画を作れるのか不思議を通り越して神秘的でした。最後はディズニーらしくハッピーエンドでした。感動しすぎて涙が止まらないと言いたいところですが、むしろこれを映画館で見せられた観客にたいして同情で涙が止まりませんでした。はじめてみた映画なのになぜか何度もみてきた映画のようでした。もしやこれをデジャブというのか?それともマンネリというのか?しかもどういうわけか登場人物の名前が覚えられない。あまりにも主役とヒロインの存在感が薄いため、かえって不思議に感じたので、みんなのシネマレビューの右上にある俳優名をクリックした。2人ともXmenの脇役ミュータントでした。さもありなん。ディズニーの最大の失敗はここだと思った。しかも舞台は火星じゃなくて砂漠だと言っても通じるレベルでした。ジョンカーターと王女のコスチュームもあれでいいのか?おまえら2人ともインディアンかよ。もはやここまでくるとSFじゃなく時代劇だ。ディズニーは優秀だと思うがこの映画に対するお金の使い方は根本的に間違っている。期待していただけに残念です。
[DVD(字幕)] 1点(2012-09-01 19:19:00)(良:1票)
166.  ブルージャスミン 《ネタバレ》 
セレブな姉の生き方と、幸薄な妹の生き方が対比されて描かれており、当然のことながら、貧乏な妹を幸せそうに見せています。つまり監督はこう言いたいのです→女性たちよ、背伸びして男を選ぶなかれ、妥協して男を選び、平凡なあなたの、平凡な人生を受け入れよ!というわけです。当の監督さんは凡人ではなく天才です。ですから彼は何度も女を捨てて再婚し、しまいには自分の養女にまで手を出して再婚してしまった。最近は子供の性的虐待も暴露されている。こんな監督に女性の本質は描けない。鑑賞前から私にはこのような先入観があったことを素直に認めましょう。それはさておき、この映画、身分の高いところから落ちた女性を描くことが主眼の1つですが、その描き方が実にうまい。社会の底辺をさまよう男2人組の演技が素晴らしいからです。ヒロインがテイヘン男に触られて穢された!ということが激しく実感できます。しかもK・ブランシェットと言えば、エリザベス女王のあの女優です。比喩的な表現として、このクソ2人に触れられるたびに女王様はどんどん汚されて壊れていきます。しかしよく考えてください。悪いのは元夫です。彼女は犯罪者ではありません。いったい彼女に何の罪があるのでしょうか?なぜ自業自得なのでしょうか?他人の不幸は蜜の味と言いますが、この女性の悲劇を、笑いのセンスがすごい!と、のたまいながら観られる人間にはなりたくありません。私は心が痛すぎてどうしても笑えませんでした。彼女の始めた勉強は、他人に依存しない生き方を模索しようとした一環だと考えます。失敗はしたがそれでも立ち直ろうとしていました。この映画は失恋して激しく女性を憎むようになった男が笑いながらざまあみろというための映画だと断言します。では謹んで0点を献上させて頂きます。
[DVD(字幕)] 0点(2015-06-25 19:13:30)(良:1票)
167.  道(1954) 《ネタバレ》 
アルコール中毒の夫や暴力を振るう夫から離れられない妻は「私がいなかったらこの人は駄目な人なの」という言い分が多い。夫には自分が必要不可欠という思い込みだ。 ジェルソミーナを見ているとそれを強く感じた。 これは他者に必要とされることで、自分の存在意義を見出そうとしている人に多い。 自分自身に対する過小評価のために、他者に認められることによってしか満足を得られず、そのために他者の好意を得ようとして自己犠牲的な献身を強迫的に行なう傾向がある。 自立した男女の愛ではなく、支配したり支配されたりのドロドロの関係である。 ジェルソミーナの場合は愛するよりもとにかく愛されたかった人だと思う。 彼女の生まれ育った境遇を考えるととても同情を覚える。 一見、ザンパノがジェルソミーナを支配しているようにも見えるが実は彼女がザンパノを支配していた。「支配」という言葉はそのまま「依存」に置き換えてもらったほうが分かりやすいかもしれない。 ザンパノの暴力は増し、盗みを働き殺人を犯し、この先どうなるかと思ったが皮肉なことだがジェルソミーナから離れたことによって彼は変わることができたのだと思う。 この先2人が共依存の関係を続けていても救いはなかったはずだ。 ザンパノが失ったジェルソミーナをあそこまで嘆き悲しむことができたのは唯一の救いだと思った。 
8点(2004-09-11 10:58:23)(良:1票)
168.  ギルバート・グレイプ
家族ってなんだろう?過食症の母親と知恵遅れの弟を愛せる主人公はすごいけど、私は主人公の人間像にリアリティはないと思う。もっとあの拒食症と知恵遅れの2人に対して軽蔑や憎しみがあっても良いではないか?それが人間の本当の姿ではないだろうか。ギルバート・クレイプは、良い奴だとは思うが感情移入できなかった理由はそこにある。 家族だから、という理由だけでこんなにも苦しみを背負うくらいなら私だったら逃げるだろう。なぜ自分の幸福のために家族を捨てていけないのか? 私から見ればギルバート・グレイプは非のうちどころが無いスーパーマンだ。だから心の弱い私には共感できない。 しかしもう少し深く考えてみる。もし、あの2人を愛さなかったら兄や姉妹は負担がだいぶ減るだろうと思う。でも愛しているからこそ苦しんでいる。 と、いうことは苦しむということはまったく無駄なことではないのかもしれない。愛するからこその苦しみなのだから。
10点(2004-04-01 22:06:29)(良:1票)
169.  レッドクリフ Part I 《ネタバレ》 
赤壁の戦いをたった一言で説明するならば、あと一歩で天下統一だった曹操が、9回裏に痛恨の同点満塁ホームランを打たれて延長戦に突入してしまった出来事です。けっきょく曹操軍は、侍ジャパンのように延長戦で勝利し天下統一。劉備の国は、あの趙雲が命がけで助けたバカ息子のせいで滅亡。曹操派の私にとってはハッピーエンド。こういうふうに、わりと冷めた目でこの映画を観ていましたが、張飛が馬に体当たりするシーンや、趙雲が飛んできた矢を素手でキャッチするシーンには大笑いしました。武将の超人化はおおいに歓迎です。しかし曹操は独特の不良っぽさが感じられませんでした。まるで出世競争に負けて天下りしてきた小役人のおじさんのようです。不敵に笑うシーンも泣き顔に見えます。しかも色ボケジジイでした。三国志は晋の時代に、蜀出身の人によって編纂されたものですから、曹操悪人、劉備善人は恣意的に作られたものであることはわかっています。しかしそれでも曹操といえば、絶対悪であるべきです。それが物語の楽しさです。それにしても中村。とても味方には見えません。曹操よりも人相が悪いです。口をひん曲げて笑う顔が、完全に前科10犯の悪党でした。お前が曹操を演じろよ。周瑜と孔明が琴で会話するシーン。その背景の映像が幻想的で素晴らしかったです。まさかアクション監督にこんな映像美が作れるとは思いませんでした。今回はいろんな意味で違ったジョンウーが見られます。恋愛シーンもその1つです。あのジョンウーがラブシーンを演出するというだけで、レアな価値があります。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-01 21:41:42)(良:1票)
170.  ラスト サムライ 《ネタバレ》 
まさに日本最後のサムライたち。それがボロクソに殺される姿を見て、よく感動できるものだ。 ただただ、悔しくて悲しくて哀れで苦しかった。大村という男がむかついた。 勝元とトムと真田たちは、あと一歩のところまで大村に近づいたが、どうせなら大村を道連れに地獄の三丁目まで連れて行ってもらいたかった。 オチはトムクルーズだけ幸せにして終わりでいいのか? それも自分が殺した日本人の妻と幸せな家庭を築くことをイメージして終わっている。
1点(2004-06-12 15:01:55)(良:1票)
171.  サニー 永遠の仲間たち 《ネタバレ》 
セイシュン、それは楽しみ100倍、苦しみ100倍。そして大人になって、ジェットコースターのようなセイシュン時代を思い出すと、苦しみですら良い思い出になってる。軍事政権下で、大人たちが殺し合いをしている。その横で、主人公たちが不良少女軍団と決闘している。抜群のセンスの武勇伝です。泣くほど笑いました。昔、似たような小説を読みました。みんなのボスだったジャイアンが大人になったら悪徳リフォーム会社の社員になってクビにされるのを怯えていた。みんなのマドンナの静香ちゃんは、DV夫と結婚し、昔の同級生だったのびたに、夫の愚痴をこぼしてばかり、という話でした。重松清の本でした。喧嘩が強かった子供や、美人だった子供ほど、大人になると、子ども時代とのギャップに驚くことがあります。この映画では、大人時代のみじめな自分たちには焦点が当てられていません。ひたすら輝かしい過去の栄光に焦点が当てられているのですが、現実から目を背けているわけではなく、しいて言えば、思い出という名の宝物を取り戻そうとする物語だと思いました。子供時代は傷ついた思い出しかない。しかしである。あるきっかけによって、自分の人生で一番輝いていたのは、あの瞬間だったと気が付かされる。人間って、失わないと、失ったものの価値に気が付かない。そしてセイシュンは失った後にその大切さに気が付く代表格のようなものだ。音楽って不思議です。10年前の音楽を聴くと10年前を思い出す。20年前の音楽を聴くと20年前を思い出す。私の時代は、今のモーニング娘じゃなくておニャン子クラブの時代でした。あのころの曲を聴くとやはり酸っぱい過去を思い出しますね。セイシュン時代は自殺したいほど苦しいこともあります。しかしなぜかそれが甘酸っぱい過去へと変わっている。つまり、死にたくても頑張って生きていれば何とかなる、ということです
[DVD(字幕)] 7点(2013-04-21 23:54:40)(良:1票)
172.  コンスタンティン 《ネタバレ》 
ようするにたばこを吸っていると、血を吐いて末期がんになって、あげくのはてに地獄に突き落とされるという話です。悪魔と付き合いたくない人はタスポ導入をきっかけに、タバコをやめたほうがよさそうです。それから自殺という甘美な休息を求めたものは大きな代償を支払わなくてはいけない。地獄への片道切符を強制的に買わされるわけです。ですから生きるという意味は喜びである以上に、神の試練だという意識が強い。神と悪魔が対立しているのではなく、どこかでお互いを必要とし合っている。私には神と悪魔が談合しているように見えました。  
[地上波(吹替)] 6点(2008-05-27 22:10:56)(良:1票)
173.  アジョシ 《ネタバレ》 
恐ろしいほどカッコいい男だな、と素直に感じた。この男、韓国では四天王の1人と呼ばれている最高クラスの男優らしい。なるほど、単なるイケメンじゃ説明できないカッコよさが爆発していた。日本のジャニーズタレントが、副業で映画に出演しているのとは、あまりにもレベルが違いすぎる。歌手か芸能人か分からない中途半端なキムタクや嵐の演技が大根に見えてくる。特に「強すぎる主人公」という設定に対して何の違和感も感じない。普通は強すぎると、敵とのバランスが崩れて面白くないとほざく観客もいるものだが、強くて当然、と思わせる説得力がある。無口ゆえにセリフは極端に少ないが、眼力だけで演技している。思わず、お前なら強すぎても許す!と言ってしまう。素晴らしい、これが四天王の実力か。もちろん四天王を取り巻く悪役たちの演技力もずば抜けて秀逸だ。特にあの殺し屋だ。強いだけではなく、四天王と同じオーラを持っている。つまり影だ。彼も影を引きずって生きていた。そんな殺し屋が、娘に対して、人としての感情を見せたがゆえに、四天王に負けて殺されてしまうというシーンは非常に切ない。ばんそうこうの伏線がうますぎる。悪対正義という単純な構図ではない所も、薄っぺらなアクション映画とは一線を画している。ラストシーンで防弾ガラスにムチャクチャ銃を打ち込んで貫いてしまうシーンなんて、もし日本の俳優にやらせたら大根演技で終わってしまうだろう。四天王だからこそ魅せることができた印象に残るシーンだと思う。ハードバイオレンスなので常に血が飛び仕切るが、人身売買のクソやろうたちの血なのでむしろ痛快だ。返り血を浴びた四天王は怖い。しかしである。最後に娘が近づいてきたときに、「血で汚れるから俺に触るな」と言ったとき、この男の恐ろしいまでの孤独を実感して、不覚にも泣いてしまった。そんな孤独な男を娘は抱きしめる。誰が誰を救ったのか分からなくなる。私には娘が男を救ったように見えた。だからまた泣いた。やはり映画は俳優の演技が一番大切だ。サンキューフォーエバーアジョシ。
[DVD(字幕)] 8点(2013-04-01 22:02:04)(良:1票)
174.  愛のむきだし 《ネタバレ》 
主役は3人。ユウ(西島)、ヨーコ(満島)、コイケ(安藤)です。満島ばかりが注目されていますが、安藤がじつに素晴らしい。彼女は悪役です。しかし父親から虐待を受け続け、ある日父親のペニスを切り落とし、学校では不健全性的行為を行う生徒を刺しまくって、返り血で真っ赤になり、あげくのはてに「壊れちまえ」とつぶやきながら日本刀で自分の腹を刺して爆死するという病んだ現代日本においては、どこにでもいそうなリアル女の子です。それでも存在感は満島を超えていた。もし、私が懺悔することがあるとするならば、彼女に好意を持ったことでしょう。冒頭の乱闘するヨーコは良かった。この女は男を憎むことによって輝きを増す。しかしである。なぜか後半から腑抜けのように弱くなってしまう。ユウごときに拉致されるなよ。しかもこの拉致によってヨーコは逆洗脳されてしまうのだ。それともう1人の主人公ユウ。お前の変態行為(盗撮)は、父のための偽りの変態行為だ。本当の変態たちに大変失礼だ。オタクじゃないのにオタクを演じる芸能人と同様に商業的パフォーマンスに見える。それにこの男は私の知る限り、3人は殺っている。しかし精神異常者で無罪。精神病院へ。ラストでヨーコのおかげで正気を取り戻す。感動どころか、正常者に戻ったのなら死刑になれよ、と私は怒りのあまり叫んでいた。お前の「原罪」は盗撮じゃなく人殺しだと気が付くべきだ。しかも勃起は愛なのか?じゃあ健全な我々は、妻以外の女性たちに勃起したらそれも愛か?むしろ妻より勃起してしまったらどうする気だ?違う、だから違うのだ。愛とは共感なのだ。けっして性欲ではない。だからコイケのユウに対する「共感」は紛れもなく愛だと私は思っている。それが罪の共感であっても。しかし親から愛情を受けずに育ったコイケの愛情表現はゆがんでいた。愛をむきだしにできる人間はむしろ健全だ。しかし愛をむきだしにできないからこそ、トラウマを抱えた我々は犯罪者のように苦しむのだ。ユウの父親が言う。「今日の罪はなんだ?」お前は自分の罪に逆切れしただけだ。だから「罪人は俺だけじゃなくて善人顔のお前もそうだろ?」と自分の息子に詰問したのだ。コメディは不要だ。盗撮シーンで一時間以上も使っておいて何が4時間の超大作だ。ちなみに盗撮は変態じゃなく犯罪です。今日も私の地元では学校の先生が盗撮で逮捕されました。
[DVD(邦画)] 2点(2012-09-09 21:10:14)(良:1票)
175.  モンスターズ・インク 《ネタバレ》 
ガーーン!  びっくりした! こんなにも面白いなんてショック。シュレックのほうが有名俳優を声優に起用して話題を集め、実際に面白かったけど、それで満足していた情報不足の自分にショックを受けた。 まさかそのはるか上をいくアニメが存在したなんて知らなかった。 ピクサー? それもはじめて聞いた・・。 私の場合、CGにびっくりするよりもこの物語のストーリーの秀逸さにびっくりした モンスターの世界では子供は毒のような存在で触っただけでも危険だという思い込みで怖がる設定に引き込まれた。 背中に子供の靴下をくっつけていたモンスターが消毒されるところは久しぶりに大笑い。 そしていつの間にか子供を好きになってしまった主人公モンスターにほろりとさせられたし・・。 あのブーが死んだと思い込んでしまったときの気絶したようなモンスターの顔の表情が最高! 親友のギョロ目モンスターもいい味だしている。 あのひとりボケひとり突っ込みは面白すぎる(笑) 2人が人間世界に追いやられて仲たがいしたところの描写をもっと見たかったと思う。 誰かも言っていたけどこの映画はセリフが分からなくても充分にストーリーが分かるし、顔の表情やしぐさだけでも感動できる素晴らしい映画。 危うくこの映画を見落とさなくて良かったと思います。
9点(2004-09-18 09:21:41)(良:1票)
176.  パッチギ! 《ネタバレ》 
うーん、とにかく熱い映画でした。夏バテもこれ1本みればすぐに回復します(きっぱりと断言します) まず出だしのバスをひっくり返すシーンに圧倒されつつも思わず爆笑。まさにあれは「痛快無比」一気に映画の中に引き込まれました。 日本において在日というのは少数派であり「弱者」というイメージがあったのですが、それを吹き飛ばした瞬間でもあります。あの在日の3人の不良の存在感が素晴らしい。負け犬になっていないし卑怯でもありません。ひたすら熱い奴らでしたね。 ラストで「イムジン河」がラジオから聞こえてきたときは、不覚にもじーんときました。日本映画独特の、しんみりとした感動ではなく、胸が熱くなるような感動がこの映画にはあると思います。 監督はこの映画によって、日朝問題に対して「日本人は反省の意味も込めてもっと考えて欲しい」と言っていましたが、たぶんそのような見方をした人はあまりいないでしょう(笑) 監督がどういう意図でこの作品を作ったにしろ、すでのこの作品は、監督の手から離れていると思います・・。 ここのレビューをみてそれを強く感じたのでした。 しかしあのような熱い俳優たちを縦横無尽に使いこなせるのはやはりこの監督の手腕なんでしょうね。
[DVD(字幕)] 9点(2005-09-10 19:18:07)(良:1票)
177.  ロゼッタ 《ネタバレ》 
少し前にフランスで若者が怒ってデモを起しましたが、その理由はフランス政府の若者に対する雇用政策が原因のようです。もしロゼッタがこの時代に生きていたならば、間違いなくこのデモに参加して暴れまわったことでしょう。日本の若者はフランスほど「仕事」に対する執着はないと思うから多分無関心でしょうね。 この映画は今こそ観るべきです。「仕事」というのは単に賃金を稼ぐための手段ではなくて、社会とつながりを持つための手段だと思う。 ロゼッタの場合は母親の存在が強烈な反面教師となっており、そのために「まともに生きたい」と願う気持ちが「仕事」に対する執着につながっているようで、母親との人間関係しか持たない彼女にとって「仕事」とは人とつながり、社会参加するための唯一の手段だったと考えます。彼女にとって「仕事」をクビになるということは、社会参加を拒否されることと同じ意味を持ち、自ら「仕事」を辞めなくてはいけなくなることは絶望を意味したのだと思う。絶望の中、ロゼッタが最後にとった行動は分かりにくかったけど、母親と一緒にガス自殺することだったのでしょう。しかしそれも失敗に終わり、ついにロゼッタは泣き崩れてしまうシーンが切ない。それでも絶望の中からひとすじの希望が生まれてきそうなラストがある。その結末の行く末は観客の想像力に委ねられていました。こういう映画はハローワークに毎日通っている飽き性で無気力な若者に見せるべし。働くことは素晴らしい。映画は人を救う。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-29 11:59:32)(良:1票)
178.  ジャンゴ 繋がれざる者 《ネタバレ》 
アカデミー賞関連の映画ということで鑑賞したが、やはり意味のない暴力描写が多い。クジラの潮吹きのように飛び出る血や、指で目をつぶす描写などに目を背ける正常な人間とは反対に、興奮して「面白い!」「カッコいい!」「センスのいい音楽と人殺しの組み合わせは最高!」と絶賛する病んだ人々がいる。私はこの映画を観て、病んだ現代人は減っておらず、むしろ増え続けていることを確信した。ゲームの中でモンスターを殺すことに粘着したり、レイプアダルトを見ている病んだ人間たちの深層心理は到底理解できないが、そんな人間が多いからこそ、犬に人間が食われる意味のない映画を観て狂喜できるのだろうと思う。つまり、病んだ人間が増えれば増えるほど、タランティーノは商売繁盛となるわけだ。私はこの映画に映画愛のかけらも感じられなかった。彼は実は映画を憎んでいるのではないだろうか?こんな監督に「差別はいけませんね」なんて言われる筋合いはない。しかし人間というのは、残虐なシーンを見て喜んでいる自分を隠そうとする。だから差別問題をカモフラージュにして血しぶきを見せる。そうすれば観客たちは安堵するのだ。戦争の悲惨さや、差別の根深さを知るためにもっと血を流しましょうか。満足ですか?え?血の量が足りない?差別問題はもっと奥深いからもっとクールな殺し方を見せてほしい?あぁ怖い。映画の内容が怖いのではなく、この手の映画に需要があることが怖い。センスのいい音楽を聴きながら、センスがいい殺され方だと絶賛する病んだ現代人が怖い。
[DVD(字幕)] 0点(2014-03-16 14:26:33)(良:1票)
179.  ディープエンド・オブ・オーシャン 《ネタバレ》 
母親のミシェルファイファーは、弟を行方不明で見失って、悲しんでいましたが、そばにいるはずの家族も、「こころの中」で見失ってしまったのだと思います。 少なくとも兄のほうは、家族と離れ離れになった弟以上に、家族を失ったという喪失感が強かったはずです。 こんなにも近くにいる家族なのに、1つの事件をきっかけに、家族全員が「こころの中」で家族を見失ってしまった。 弟がいない長い年月の間、家族はお互い自分を責めて生きてきた。 弟を失った自分たちが幸福になることが悪いことであるかのように幸せを遠ざけてきた─。 そして弟が真夜中に家に戻ってきた最後の場面、兄は初めて自分の罪を告白する。 「俺はお前なんていなくなれば良いと思っていたんだ・・」と。 すると弟は屈託のない笑顔で「なんだ、そんなことか」といった仕草を兄に対して示した。 そのときの兄の表情は、驚いたような表情にも見え、何かから解放されたような表情にも見えた。また、初めて自分の罪を許してもらえたような、そんな安堵感を感じさせる表情でした。 そしてこの瞬間こそ、兄は家族を取り戻したのではないでしょうか? じつは弟よりも、むしろ兄のほうが家族を失っていたのだと思います。 この作品は家族を描いた映画としては最高級のもの。 圧巻だったのがミシェルファイファーが演じた母親役だった。 彼女は文句なく美しいのですが、家庭の悩みをかかえる母親役をやらすと、本当にいつも見事です。 彼女の演技に本当の人間らしさをいつも見つけることができます。 彼女の演じる母親は、いつも等身大の悩める母親。 悩みもあり、間違いもおかすけど、確実に前に進もうとしている母親の姿です。
10点(2004-03-14 13:12:52)(良:1票)
180.  しあわせの隠れ場所 《ネタバレ》 
マイケル・オアーのあの体格、あのパワー。大関把瑠都を彷彿とさせる怪力を発揮して笑わせてくれる。こういう映画をみていると、バスケで刺青をした黒人選手も一歩間違えればギャングなんだろうと、考えさせられる。それがほんの紙一重で超一流選手として成功している。それにしても、何を好き好んで、どこの馬の骨かも分からない大男を自宅に居候させるのだろうか。しかも相手は黒人。偏見だろうが差別だろうがやはり黒人は怖い。身の危険を感じる。しかしだからこそ、主人公は立派です。偽善だろうが、金持ちの道楽だろうが、自己満足だろうが、ゴジラのような巨人を引き取ろうとしたのだから。そもそも偽善者と言われるのが怖くて他人の目を気にして行動できない人間よりよっぽどマシだ。貧乏人こそボランティアをよく馬鹿にするけど、それは自意識過剰だ。救われる人間は、「おれをこじき扱いして失礼なヤツだ」と怒る人はあまりいない。ほとんどの人は救われたら感謝するはず。しかし主人公は人を救ったことによって世間の好奇の目に悩んでいた。他人からみれば、金持ちの道楽。偉そうなことをしやがって、と影で思われているはず。この映画じたいをそう思っている人も必ずいる。本人も自分は偽善者なのではないかと悩む。そんなとき、彼女は夫に「私は本当にいい人?」と聞く。夫は「おれにとって君は世界一の善人だ」と言った。分かりますか?善人という概念は相対的なものに過ぎないのです。愛する家族から「いい人」だと思われていれば、それが相対的な真実になります。金持ち=性格が悪い。それは金持ちを悪者にすると共感されやすいからそうしているだけ。この作品は黒人に対する偏見よりもむしろ金持ちに対する偏見が描かれているのではないかとさえ思いました。勇気を持って行動した女性に拍手。そしてサンドラブロック、相変わらずバカ男をやりこめるのがうまい。彼女は偉大な女性です。 
[DVD(字幕)] 7点(2010-08-26 19:09:54)(良:1票)

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