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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2001
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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21.  アダムズ・アップル 《ネタバレ》 
いやいやいや・・北欧の至宝マッツ・ミケルソン主演の、空前絶後な一品であります。なんだコレ。 マッツ・ミケルソンは田舎教会の牧師。仮釈放された受刑者を引き受けて指導を行う立場の人格者・・である。たしか。 ところがねえ。ここの牧師もその助手らも皆そこはかとなくオカシイのですよね。短パン牧師のポジティブさは他を圧倒し、もはや狂気と紙一重。「前向き」なことが脅威に感じられる現象なんて初めて見た。 共同生活中の元受刑者の二人も体内磁場が狂っているのではと思われ、結果観てる側としては新入りのネオナチ暴力男に感性の正常さを委ねねばならないという非常事態がずーっと続くのであります。なんというシュール。 このまま呆気にとられて口が開きっぱなしで終盤へ向かうのかと思いきや、驚くなかれ思いもよらぬ感動の光に包まれるラストが訪れるのであります。 なんということ。やはり神は貴方の味方だったのですねミケルソン牧師。科学を信用しているという医者(この医者のクソぶりもたいがいなもんで)も逃げ出すほどの、信仰の勝利。宗教絡みの作品とは思えないほどの清々しさ。右の頬を打たれたら左の頬を差し出すべし。目の幅の涙が流れ落ちる感動を是非みんなと分かち合いたい。 教訓・猫は先に下ろすこと。クッキーは偶数枚用意のこと。♪How deep is your love(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-12-18 22:59:26)
22.  アンダーカヴァー(2007) 《ネタバレ》 
男子一生の仕事と言いますが、ホアキン演じるボビーは家業か商売か選択を迫られてしまいます。それが警察orクラブ経営かという両極端、水と油のような選択肢。わたしなら自分で選んで頑張って実績も上げてきた方を取りますけどね。でもボビーは父や兄の側に行く。自分の「今」を裏切ることになるボビーの苦悶はホアキンがそれは上手く演技で表現しているのですが、お話の中でもう少し彼と兄の関係を描写してても良かったと思います。むしろ現マネージャーを務める店のオーナーとの円満な関係の方が印象強いので、ワタシなんかはそっちの人間関係が壊れる方に心痛む気持ちになりました。 作品全体の雰囲気は真面目に作られてて良いんですけどね。警察のパーティってクラブのそれと比べるとリアルに地味だなあとか(そりゃ水商売になじんだ彼女は出ていくわ)、クラブマネージャーであっても犯罪者ではないホアキンが潜入する場面の迫真のビビり演技とか雨のカーチェイスとか、引きの強いシーンがたくさんありました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-12-06 23:08:21)
23.  アバウト・タイム 愛おしい時間について 《ネタバレ》 
うん、「時」について色々考えさせられました。映画は中盤までは恋愛パートでコミカル、やがて人生の節目を迎え子どもの誕生と父を送るその時を経て主人公は悟るのです。「今流れるこの時間の美しいことを思おう」と。キレイにまとめやがったなあ。 時間を戻せるということは、いくらでもやり直しが効くということ。難関の試験だってオーディションだって何度でもトライ可能だし、失敗知らずの人生を送ることができますね。エグいことを考えればこの主人公だって、夫婦関係がこじれれば婚姻関係すらリセットすることもできるのです。新しい彼女と人生をやり直すことが。失敗の痛みを知らないゴーマンな人格になりかねない危険な能力ではないですかね。もちろん、主人公が決してそうはならない凡庸な性格設定のもとに作られたお話であるのですが。 ちなみに自分だったらどの辺に戻ろうかな、と考えました。でもまあ、同じ自分であるし、その都度下す選択や決断は似たような結果であろうから、結局は今現在の立ち位置と大して変わりないのではなかろうか、と思った次第です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-11-09 23:14:10)
24.  アンフォゲタブル 《ネタバレ》 
「アン××ブル」ってタイトルの映画他にも色々あったよなー。きっとコレもそのうちどんな内容だったか思い出せなくなりそうな。しかし「レイ・リオッタが主演の」と言ってくれれば ああ、となりそう。だってこの人が主役を張るっていうのがもう珍しいもんね。 顔つきが(役者としては幸運なことに)小ずるくて信用置けなさそう(わたしの主観)だもんだから、役どころもそんなバイプレイヤーキャリアの彼。本作はアルコールに溺れた過去を持ちながらも妻愛に満ち、殺害犯を我が身をリスクに晒しながら探し続ける、しごく「正」側のキャラクターであります。レイはまあ好演と言えるのでしょうが、犯人像が二転三転するという展開も相まって、わたしはどーしてもレイへの固定観念が捨てきれず「結局この人が殺したんちゃうの?」と思い続けてましたから、‟真犯人探し”のプロットを生かすためにも客が勝手にミスリードするこの配役は絶妙だったのかもしれません。レイすまない。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-08-13 23:28:16)
25.  アンダー・ザ・シルバーレイク 《ネタバレ》 
うわあ・・まさかの不条理モノ。正直訳わかんなくて参った。リンチだって得意分野じゃないのに。宣伝でてっきりサスペンスかと思った私は被害者。 巷間評価が真っ二つのようで。謎解きが好きな人には向いてるのかもです。基本私は鑑賞者を置いてきぼりにするタイプの作品は好きじゃないので本作を観ても喜びを感じません。 過去のポップカルチャーが積みあがった上にある現代の空洞ぶりを寓話的に描いているのかね?うーんやっぱりどうでもいいや。 まだD・リンチの作品ならば画が蠱惑的なので心惹かれる部分もあります。しかしこの作品はおっさんの糞便を映したりA・ガーフィールドにマスかかせたり、彼のガールフレンドも住居もそこはかとなく不潔感が漂い、不快です。この監督とはセンス合わないや。今後気を付けよう。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2020-06-17 23:05:27)(良:1票)
26.  アイアン・ジャイアント 《ネタバレ》 
「なりたい自分になる」自我の成長物語ですね。人間の子どもじゃなくて巨大ロボットの話なんだなこれが。どこが製造したのかは不明だけど、攻撃能力の高さからして彼(?)は「兵器」として作られたと思われるのですが、本人は「殺戮者」でなく「スーパーマン」になりたい、と思っている。身体はデカくて強いけど心は平和主義。子どもにはそう育ってほしい、とのアメリカ人の希望がストレートに込められたお話でした。 日本のアニメで育った目で見ますと、展開の面白さやストーリーの深みはいいとしても絵柄に抵抗はやっぱりありますね。特に人間の表情はそんな顔する?と感じること多々でした。文化の違いなんでしょうが・・、モーレツに安彦良和氏の画が恋しくなりました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-06-15 22:57:24)(良:1票)
27.  アラバマ物語 《ネタバレ》 
宣材スチール等ではG・ペックの姿が大写しなので彼が主役の話なのかと思っていたら、あにはからんや彼の子ども達の成長物語だったのですね。学校に上がりたての年頃の子の目を通して見る32年の米国社会。子どもだけど大人社会の諍いや差別などの現場に居合わせて社会の実相を学び吸収してゆく兄妹(とその友人)。 知的障害の隣人を事件の中心人物として世間に晒してしまうことはマネシツグミを殺してしまうこと。こんな高度な解釈を8歳やそこらで理解してしまうスカウト。彼女や兄を正しく導いてくれる父親が側にいてくれて本当に良かったです。強く正しく、そして頑迷ではない、”折り合う”知恵も携えた人物にグレゴリー・ペック。まあ前後50年にわたってハリウッド中を探しても彼以上にハマる役者はそういないのでは。当然のオスカーです。 スカウト役のメアリー・バダムも良いですね。おてんばな米国の女の子像はローラ・インガルスを彷彿とさせます。親子ともにアメリカの理想形が凝縮した良心溢れる名作であります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-09 23:01:42)
28.  ANON アノン 《ネタバレ》 
んーつまんなかった。視覚を監視されてしまうプライバシーの無い社会って、それはそれは恐ろしいことなのに話に生かし切れていない感じ。今見えているリアル視覚も昔の記憶もごっちゃになって扱われてるのも腑に落ちない。思い出って視覚情報とはまた別だよね? それに映画としての見せ方も良くない。他者の脳に侵入するのなら何かの装置があった方が分かりやすかったのでは。向かい合っているだけで第三者の記憶を相手に転送できるって・・便利すぎる。さらにハッカーの娘は他人の記憶も面談するだけで上書きできちゃうのだ。この画ヅラのつまんなさ。座ってるだけかい。 こんな超人的な技巧がアリだとされている話になんのカタルシスもテーマも見出せない、とはお粗末。 殺しをやってた真犯人は「アンタかい」って程度で驚きもなく、国家権力をも翻弄するほどのハッキング能力を持つ彼女のその理由といえば「知られたくない秘密がないから」とか禅問答なオチ。突き放された私。 伝達能力(見つめるだけで壁が突如スカイプ状態になるとか)が物凄く近未来SF感なのに、やたらと多い性行為場面はアナログそのものなことにも失笑。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2020-04-02 00:10:26)
29.  アメリカン・ギャングスター
個人的にマフィアものに欲する要素が色々欠けているように感じて物足りなかったです。「物語」が足りない。裏社会でのし上がろうという気迫も少ない。闇社会で生きる哀切もなければ必然も感じられない。まるでビジネスマンかのような風体のD・ワシントンの役作り上の責任は大きいと思うな。汚職警官に腹は立てていたようだけど、その怒りすら伝わってこないよ。ラッセル・クロウも取りたてて見るべき仕事はしていないけど、組織のボス感がはなはだしく薄いデンゼルには違和感しかなかった。この人はやっぱり優等生に(だけ)向いているのでは。 それに60~70年代が舞台にしては明るくこざっぱりで、画がどうしたって2000年代の作品なんですよ。クルマはちゃんと昔の型を走らせてるけど、街の空気感とか街角の汚れ具合がリアルに70年代に撮った作品群とは全然違う。そこまで映画に要求するのは無理なのかな。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2020-01-06 17:15:21)(良:1票)
30.  穴(1960) 《ネタバレ》 
なんとかっこ良い映画だろう。一コマ一コマに無駄が無く寡黙にきびきび人物紹介を済ませ、隙の無い脱獄計画を行う。モノクロが映えるパリの巨大地下空間の画も圧倒的。縦横無限につながる通路、トンネルに吸い込まれ小さくなってゆく灯り。地図が作成不可と言われるほどの巨大な異空間が舞台装置として満点。 そしてつくづくと「脱獄に必要なのは根気と丁寧さ」を思い知らされる長ーい固定カメラ。コンクリの壁を破る、鉄柵をヤスリで切る。ひとつひとつの作業をじっと見守るかのように画を動かさない。この我慢強いことは他の脱獄モノの追随を許さない。 ことごとく「しっかり描き切る」んですよね。差し入れの品を検品する場面も然り、散った土砂を刷毛できれいに清める場面然り。外した扉をはめ直す時はがしゃん、と心棒がはまるまでちゃんとやる。熱量の高い描写に、絡め取られるように酔ってしまいそう。 隣の房から反対側の房へと物品を受け渡しする、あそこも鮮やかだったなあ。 各キャラクターの性格も五人それぞれが見事に描き分けられており、だからこそ観てる者はラストにやられてしまうのですね。誰に、ってガスパールに。リーダーのマチュー、ねえやっぱり新人は引き入れるべきではなかったのだよ。完璧に進んでいた脱獄計画。ただ一つの穴が新入りの彼だった。でも、四人の仲間も我々も「ガスパールを入れてやれよ」って思ってたんだ。あの衝撃のラストまでは。 ガスパールは見るからに誠実な好青年。差し入れられた食料も気前良く皆と分かち合い、育ちの良さが滲み出る。 だけど、観客はラストシーンを経てから思い至る。そんなに良い奴だったか?と。相続した財産を使い果たした後は金持ち女のヒモになり、あげく義妹に手を出す奴。痴話げんかの末に刑務所行き。ふと頭をよぎるは所長と面談した時の金のライター。エンドロールを観ながらワタシは叫んでしまった。あああれは袖の下だったのか・・。しょてから抜かりなく権力に取り入ってたなんて。ラストで冒頭の伏線を回収するなんて・・! 脚本も画も役者もなにもかもが凄い。半世紀以上も前にフレンチノワールは完成しているのだなあ。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2019-11-02 15:20:56)(良:2票)
31.  アンストッパブル 《ネタバレ》 
今さら暴走列車モノかあ、しかもこのストレートなタイトル、と期待値は低かったのですが、これがもう観始めるとペンシルバニア周辺の住民と同じくらい緊迫しました。無人の貨物列車が暴走するだけのシンプルな話ながら、そのヤバさをリアルに伝えるスコット監督の手腕は只事ではないです。「速さ」に「怖さ」をプラスさせるにあたっての、踏み切りに立つ女の子の前を風を切って過ぎるデカイ車体や連結の衝撃で飛び散り雨あられの如く降りかかる穀物の粒といった目に見える演出は効果抜群でありました。 特に最初の作戦失敗の画は、人間が人形のように車体に弾かれるショッキングなものですが、これがすごくリアルで「ああそりゃそうなるよ」と頭を抱えてしまいそうになりました。さらに状況は悪化し、大曲りに入ってかしぐ777号が弾く鉄路の火花はこちらのメンタルを追い詰めるのに充分。いやあもうおっかない。  と、緊迫映像で魂を抜きにかかったスコット監督なのですが、織り込んできた人間ドラマ部分はちとベタでいらんかったのでは、と思いました。よくある夫婦の危機と忘れてた子供の誕生日。なぜアメリカの子供はいい年になっても親に誕生日を祝ってもらいたがるのだろうか。そしてたいてい高確率でその日を忘れる父親。 でもまあ列車停止と同時にすっとエンディングを迎える潔さは好みです。良かったです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-10-23 00:24:23)(良:1票)
32.  アナザー・カントリー
美麗な英国男子総動員ということで当時の腐女子の間で大騒ぎになってたもんです。ブリティッシュな様式美は感じ入るばかりで、わーキレイ、美しいーといったミーハー目線でしか捉えられず、舞台となる英国のその時代背景や貴族社会の特性を浅いながらも学んだのはずっと後のことでした。 時は1930年代、大陸ではファシズムが台頭し、英国では政治はまだまだ貴族が仕切るものであり、一方でケンブリッジ・ファイブと呼ばれるスパイの存在も不穏に影を落とす。特権階級の主人公らにとっては価値観が大きく揺らぐ時代だったのは間違いありません。 狭い貴族社会の中でパブリックスクールの十代ですら出世競争に神経をすり減らす美しきボーイズ。繊細で悩み多い季節をきらきらと演じた若き俳優陣の瑞々しさは普遍の青春群像と言えましょう。 ああそしてやっぱり特筆すべきはコリン・ファースの美貌。キングスマンも好きだけど、この映画に出て若い輝きを永久に残してくれたことに誰にか分からないけどとても感謝したくなるのでした。
[DVD(字幕)] 6点(2019-07-15 23:57:43)
33.  雨の日は会えない、晴れた日は君を想う 《ネタバレ》 
人の心ってのは難しい。いやわかりますデイヴィスの気持ちはなんとなく。おそらく彼はずーっと抱き続けてきたのでしょう違和感を。結婚生活に対して、そしてあてがわれた仕事に対して。だって彼は生来「正直が売り」(知人談)の人なのだから。 やり過ごしてきた日常が突然破壊され、どこに自分の心を置いていいのか分からなくなる。だから彼はいったん解体する。モノを。突き詰めれば自分の心を。もう一度構築するために。 なんて感覚の鋭敏な人だろう。彼は義父母のように「普通に」妻を追悼することができない。だって彼らのやってることは欺瞞だもの。義父母の娘は彼らが思いたいほど清廉ではなく、事実デイヴィスへの裏切り行為が最悪の形で発覚するし、ついでに義父の選んだ「人格品行方正な」奨学生は初対面のナオミ・ワッツに手を出す最低野郎だというシマツ。ああなにもかもが嘘っぱち。 だからデイヴィスは壊すのだね。ぺかぺかの居間を、豪勢だけど空疎な家を。 心バランスを失って「変人」すれすれの行動に及ぶ主人公はジェイク・ギレンホール。彼はこういう役をやらせると天才的に上手い。 デイヴィスと心が共鳴し合う15歳のナオミの息子を配したのは心憎い脚本でありました。映像もキレイです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2019-05-30 17:35:00)
34.  アンドロメダ・・・ 《ネタバレ》 
終始一貫してソリッドな作り。まるでNHK特集の生真面目な再現ドラマを見ているようです。 ちょっと色気のある制作者なら、未知のウィルスにパニックになる市井の人々だとか、スクープを抜こうとする記者とかの描写を入れそうなものですが、もう頑固なまで科学者サイドべったりの目線。たまにホワイトハウス側の「どうなってるんだよ」という外野の声も入るには入りますが。  スター不在の地味なめんつが地味に(そして必死に)原因を探すのに付き合わされる130分。全身消毒を繰り返すくだりはさすがに飽きますが、派手さは無くともこれが意外にサスペンスフル。特に冒頭の”死の町”描写は淡々としてるが故にぞっとする光景が現実味ありでとても怖いですし、赤ん坊の泣き続ける声というのもこちらの気持ちをざわざわさせます。 そして本作は71年の作品ながら、コンピュータ等の機器に古臭い感性が少ないのも観やすかったです。66年の「ミクロの決死圏」のメカは正直「未来風な」デザインを目指しすぎてヘンテコになった感がありましたから。テレビ電話やタッチ画面など、やけに正確に技術予見してるなあ、と驚きました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-05-29 16:46:52)(良:1票)
35.  アメリカン・スナイパー 《ネタバレ》 
凄惨な戦場での体験が退役後も兵士の心を蝕むというテーマの作品はこれまでいくつも観てきました。主人公らは皆心を再生不能なまでに壊され、その再起のいかに困難なことかを思い知らされるものが圧倒的に多かった気がします。 本作の主人公カイルは伝説のスナイパー。160人を殺めてきた彼もPTSDに悩むことになりますが、回復がかなり早く描かれているのにちょっと驚きました。このことは彼が幼少の頃から受けてきた「番犬であれ」という教育が大きく影響しているのかなと思いました。番犬たること、「悪」である狼を退治することは神の意に添った「善」である。この岩のような信念がカイルをして「人殺しの理由を神に説明できる」と言わしめ、心の回復を早めたのでしょう。そしてこの「米国は世界の警察」な意識はアメリカ人の平均的な考え方であるとずっと感じてきたことでもあります。自らの価値観を善だと信じ、他国の紛争に手出し口出ししてきた結果、大使館爆破も9・11も誘発したのだとは彼らは考えない。同胞が攻撃されている、そのショッキングな映像に奮い立ち、戦場に自ら向かうクリスは極めて普通の感覚のアメリカ人です。 しかし非米国人の私は、他国の兵士に家に踏み込まれ、あげく凶暴なテロリストらに蹂躙されるイラクの一般市民の痛みの方に強く共感します。戦地で生きる市民にとって、禍の度合いはテロリストも米軍も大差ないのだよと冷徹に描かれており監督のフラットなバランス感覚がうかがえます。 けれど人間が戦場で心を喪うということ、その惨たらしさについてはイーストウッドといえども同テーマの他作品より抜きん出ているとは言い難く、平均的な出来の作品と思いました。
[DVD(字幕)] 6点(2019-03-16 15:17:32)(良:1票)
36.  アンフレンデッド 《ネタバレ》 
全編パソコン画面で話が展開するという新手のアイデア、いかほどの評価を受けたのでしょう。いやあー、やっぱり観づらかった・・。衰え気味の動体視力にとって左右下方に振られる字幕はキツく、さらに発言者が誰なのかは目をこらして小っこい文字を読み取らなきゃならない。ここら辺の作業に使うエネルギーはけっこう馬鹿にならなかった。 全く奥行きの無いパタパタと切り替わるウィンドウと文字と音声。「顔」だけで構成されているわりに、ストーリーは分かりやすくはありました。知らない連中のグループトークを聞かされてるだけなんだけど、各々の秘密を暴露させてゆく展開は、盗み聞きをしているかのような下世話な好奇心をくすぐります。 とはいえ、本筋がつまらないと小手先の演出ではどうにもなんないわけで。結局人が順番に死んでゆくのは常道な展開で驚きはありません。怖かったのはアメリカのティーンエイジャーの底意地の悪さぐらいなものでしたな。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-03-05 23:47:43)
37.  赤い部屋の恋人 《ネタバレ》 
大金を手にしたおタク気質の男が女に惚れた場合の”ありがち”な顛末ですね。お金を積んで手に入る物と入らない物ってあるんだよ。しかも彼女プロですからね。契約内容を彼女はきちんと履行しているのに、いわゆる「普通の恋人」を本音ではやりたい男はだんだん機嫌が悪くなってきてやんの。ダメだーこりゃ。 お金って魔力があるのでね。簡単に手に入る物もあるけど失うモノも多い。印象的なのがベガスで会った彼女の女友達。獲られた金を弁済してやったとたん、目の色が変わりましたよねえ。「この人宇宙人?」と。自分も御相伴にあずかろうとさもしい本性がさらけ出され、友情も霧散しちゃった。 だからね、リチャードよ、キミにできることがあるとすれば花でも持ってドラムを叩いている彼女を応援しに行きなさい。気味悪がられない程度に。それでもダメだったら、すっぱりあきらめろ、な?だってそこはセンター・オブ・ザ・ワールドなんかじゃないもん。その赤い部屋は。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-01-31 19:43:05)
38.  アメリカを売った男 《ネタバレ》 
クリス・クーパーによる人物造型力がすごい。この赤い唇の不気味なおっさん一人が核になって話を回しています。潜入捜査員の新人FBI君との腹の探りあいはとんでもない緊張をはらみ、こちらの胃も縮みました。 心が読めず、底知れないクリス・クーパー版ロバート・ハンセンはwikiの写真に見る本人より三割増しに不可解かつ不穏。信仰深く、家族思いの一面がありながら、妻との情交を録画して他に晒す変態性には多いに引きます。実はこっちの捜査はバレているのでは?と思わせる脚本も巧く、ずっとはらはらしながらの観賞になりました。 アメリカ史上、国家運営において最も高度に危険な犯罪者が実のところ何を考えていたのかまでは言及せずに話は終わってしまうのですが(共産主義者かどうかの描写も特に無かったですし)、犯罪サスペンスのカテゴリーとしては上位の位置付けができると思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-27 16:06:29)
39.  アメリカ アメリカ 《ネタバレ》 
カザン監督、どれ自分の出自を皆に語って聞かせよう、と思っちゃったらしい。彼の叔父がいかに苦労してアメリカに渡ったか、を暑苦しいほどに重ねて描写してます。もう、力入っちゃって、主人公スタヴロスの境遇の悲惨なことといったらそこまでやるかーと言葉失うほど。旅の序盤そうそう悪魔みたいなトルコ人追い剥ぎに出会って一族の全財産盗られたくだりは、田舎モノの主人公の朴訥さがこちらも歯がゆくてねえ。絶対騙されると思ったよお、なんでもっと早く闘わないの。それから状況は厳しくなる一方ですから、そりゃだんだん顔つきも変わって口数も少なくなったでありましょう。ただ、この役者さん、物語のスタートからあまり表情数が多くなく、ずっとむっつりと無表情な印象。経験が顔に出る演技に至ってないのが残念でした。それと、やっぱり説明不足に感じるのが裕福な家の婿になる話を蹴ってまで渡米したがるエピソード。故郷の家族をもっと早く確実にラクにできたのに、とは誰でも思うところではないでしょうか。男娼になってまで貫くアメリカ愛とは相当ですよ。彼のその思いがもっと切実に伝わると良かったのですが。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-09-23 23:31:05)
40.  アリスのままで 《ネタバレ》 
ジュリアン・ムーアが迫真の演技ゆえ、見ているこちらはとても辛かった。思い出せない苦しみ、自分が壊れてゆく恐怖、社会にとって有用でなくなることへの絶望。目の輝きすら徐々に失ってゆくアリス、見守るだけのわたし。苦しい。 観客に苦痛を与えるだけでは映画作品にはならないわけで、監督はお話の軸を主にアリスと次女との関わりに持ってきています。次女はエリート一家の中で一人だけ毛色が違い、キャリア重視のアリスとも水と油のよう。だけど、日常が一変してからは徐々に距離が近くなる、その描写の一つ一つが印象的です。アリスがスピーチの原稿を床に落としてしまう場面。見てるこちらは「うっ」とひるみます。黄色いマーカーのチェック虚しく、同じ箇所を「二度読み」してしまうのではないかと。結果そうならず、感動的な内容のスピーチになるのだけど、もうひとつ気付く仕掛けになっています。ああこれは先だっての次女の意見を取り入れたのだな、と。専門的な話は抜きにして、自分の今の気持ちを語った方が良い、と言っていたリディアを尊重したのだと。 病魔と闘う家族の姿を、飾らずリアルに描き実直であるとは思う。ただ、私は個人的にはアリスに自分の人生の幕を下ろす権利を渡してあげたかった。ここはこの脚本と意見の合わないところで、点数もつけづらいのだけど。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-04-16 17:48:28)(良:1票)
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3693.45%
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