81. 河内のオッサンの唄
《ネタバレ》 この名曲を映画化までしてくれたというだけですでに低い点はつけられないが、逆にいうと、たった1曲でここまでのイマジネーションを膨らませられるほど、このテーマソングはとてつもない名曲だったということである。●前半はとにかくカオスな生活が描かれる。「ちょっと聞いてくれ~」というだけで近所からわらわら人が集まって、そのまま宴会の開始。博打のカタで当然のように嫁入りし、その嫁も博打のカタになり、当の嫁自身も「博打のカタはきっちりつけんとあかん」と言い残してあっさり敵地に赴く。女子高生(?)が堂々と大人を挑発したら、周囲も「やってしまったもんはしゃあない」と縁組を認める。カオス以外の何物でもない。しかし製作側にはもちろん何の迷いも作為もないわけで、やはり映画とはこのように堂々としていてほしい。●終盤、場面が東京に移動してからは、ちょっとテンションが落ちるかな・・・せめて大阪市内くらいで収められなかったのかとも思うけど、前半でさんざん東京がどうのこうのという伏線を張っているから、仕方ないか。 [DVD(邦画)] 7点(2017-03-27 01:35:15) |
82. 海底二万哩
いろいろ冒険してるはずの割には、何か全体的な雰囲気がのんびりしていて、迫力を感じないんですよね・・・。やたら長く感じました。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2017-03-10 23:16:37) |
83. 借りぐらしのアリエッティ
《ネタバレ》 何と意外に良い内容だった。まず、主人公家族3人が、実はちっとも格好良くない日陰者の存在に一貫して立脚しているのが良い。そんな環境は簡単には覆せないし、実際に最後には次の住み家を探して出ていくことになるし、でもだからこそ、無力なりに何かをしようとする主人公の行動が輝いている(しかもそこで、すぐに結論が出たり、安易にスーパーウーマン的活躍をしたりしないのが良い)。また、人間には何てこともないちょっとした段差や距離が、小人視点ではそうではないという質感や構造感も的確に表現されている。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2016-10-29 00:35:54) |
84. 華麗なるギャツビー(2013)
ラーマン&ディカプリオによるリメイク作といえばもちろん「ロミオ&ジュリエット」が思い浮かんでしまうのだが、あの古典をグシャグシャに崩しまくった「ロミジュリ」は、まあ、それはそれで面白くはあった。こちらの方は、ただひたすらゴテゴテした絵面があるだけで、一体何が作りたかったのか分からない。必然的にディカプリオも、演技力や表現力を発揮する場はなく、ただ画面内に存在しているだけ。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2016-09-29 00:09:02) |
85. 崖っぷちの男
《ネタバレ》 どう見ても途中からは説明がつかないほどの無謀極まりない展開なのに、なぜか見ているときは最後まで一気に見切ってしまえるという妙な作品。エリザベス・バンクスは、いくら頑張っても、ベースの雰囲気が若すぎ&明るすぎ。もっと不幸そうで疲れ切った感じの人(何じゃそりゃ)をキャスティングすべきだった。ジェネシス・ロドリゲスという人は初めて見ましたが、適度に知性も色気もあって、いい存在感を発していましたね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-09-08 01:06:55) |
86. 母べえ
《ネタバレ》 ステレオタイプな底の浅い人物造形と、筋を追うだけの機能しかない説明台詞(ナレーション含む)を最初から最後まで並べただけの作品。脚本で奥行きを感じたのは、鶴瓶の「その後」をそっけない一言で済ませていた箇所のみ。役者陣で唯一光っていたのは、父の後妻役の左時枝。わずかな出番ながら、違和感なく場面にすっとはまり込んでいる。さすが。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2016-09-04 11:11:29) |
87. 彼女が消えた浜辺
《ネタバレ》 海辺での仲間内旅行から1人が消えました、というたった一つの謎だけでここまで引っ張れる構築力に驚きます。しかもそれが、ちょっとした情報量や共有度の差が徐々に積み重なって、解決するつもりがかえって底なし沼にはまっている、とでもいうような緩やかな迷走を、必然性をもって紡いでいるのです。こういう丁寧な脚本だったら、俳優陣も演じていてやり甲斐があるんだろうな。ただし、最後の確認のシーンは不要で、あそこは謎は謎のまま余韻をもって置いてほしいところでした。それと、キャスティングにおいて、年齢層が合ってなさそうな夫婦が2組ほどいるのが気になりました(入れ替えるとちょうどよさそうな気がしたのですが)。 [DVD(字幕)] 7点(2016-08-24 02:13:21) |
88. 紙屋悦子の青春
《ネタバレ》 設定からして、観念的・感傷的・情緒的に流れるだけの内容になることを危惧していたのだが、意外に良い出来なので驚いた。流れを逸脱せず、かといってストレートに中心だけを目指すこともなく、一つ一つ丁寧に積み上げられる会話の数々。それを辛抱強く息を潜めて追い続けるカメラ。各役者の、感情を安易に露出させない忍耐の演技。それだけで十分です。それから、この作品の中心テーマは反戦ではないです(要素の一部ではあるとしても)。肝は現代の老夫婦にあって、いろんなことを乗り越えてきた二人だからこそ、あんな何でもない会話を、息の合った状態で繰り広げられる。私はそこが一番の見所だと思いました。あと、残念だったのは、衣装や小道具がえらく新品っぽくて、日常的に使い込まれた生活感が表されていなかったこと。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-08-13 01:29:38) |
89. カビリアの夜
《ネタバレ》 前半は、話自体が好き勝手な方向に動いていて、焦点がよく分からなかったのですが・・・催眠ショーのシーン以降は、ほとんど必然のラストへ向けて、騎虎の勢いでした。ラストシーンも的確に決まっていました。 [DVD(字幕)] 5点(2016-08-04 01:34:36) |
90. がんばれ!ベアーズ
《ネタバレ》 よく考えたらこの主人公って、指導らしい指導は何もしていないのだな。しかもラストは、謝ってきた相手をさらに馬鹿にするという反スポーツマンシップ、しかも全員でビールという、およそスポ根ものの定番の逆を行っている。それならば中盤までも、別にもっともらしく野球に取り組んだりせず、もっとアウトロー方面からの描写に徹底したらよかったのにね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-07-27 01:08:39) |
91. カンバセーション・・・盗聴・・・
《ネタバレ》 前半の、同じ会話と同じ公園のシーンが執拗に繰り返され、そこからじわじわと次の展開が浮かび上がる構成力はなかなか。後半は違う世界に行ってしまい、結局何がしたかったのかはよく分からないのですが、74年の時点でこういったサイコ/一人称妄想系サスペンスに正面から取り組んでいたという点は、評価すべきかも。いろんな有名作品の源流が、実はここにあるのかもしれません。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-07-09 02:16:40) |
92. 彼女と彼(1963)
やたらと前衛的というか何というか、通常の描写の枠組を外そうという意図が見て取れるのですが・・・怖いぞ怖いぞと煽り立てられても、逆に作り物っぽさが増してしまって、かえって怖くないのです。 [DVD(邦画)] 3点(2016-05-11 23:27:45) |
93. 華麗なるギャツビー(1974)
いろいろな登場人物を配置しているはずなのに、1人として個性的・魅力的な人物が見当たらない。肝心のギャツビー自体が、何か突出したところがあるわけでもなければ存在感で見せきるわけでもなく、その辺にいるような人でしかないのです。その描写の凡庸さに、逆にびっくりしました。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2016-03-08 00:08:02) |
94. 鉄輪
《ネタバレ》 まあ、何というか、乙羽信子がひたすら90分、浮気夫とその愛人を延々と呪い続けるという作品。過去と現在の二重構造なので、恨みの深さも二重、という趣向と思われる。しかしそれ以外の物語上の要素はほぼゼロであり、フラワー・メグの魅力的な肢体の大盤振る舞いがなかったら、一体どういうことになっていたんだろう。 [DVD(邦画)] 4点(2016-02-09 00:27:55) |
95. 華麗なるヒコーキ野郎
《ネタバレ》 これでもかというくらいの徹底した飛行映像には感服したが、内容的な部分ではそれ以外に特に何もないような…。ただし、命に関わるほどの嫌がらせをした相手といきなり仲良くなったりとか、スーザン・サランドンをいきなり消し去ったりとか、いきなり撮影スタントの世界に突入したりとか、今日の脚本基準ではあまり考えられない無茶ぶりはびっくりした。 [DVD(字幕)] 5点(2015-12-08 01:37:47) |
96. カウボーイ
何というか、何とものどかで平和な世界というか、牧歌的というか・・・。真剣にカウボーイをめざそうとする初心者が、いろいろ経験を積んでいって、いつしか1人前に成長していくという、至って真面目な成長譚。しかし、この全体に漂う頑張ろう感というかほのぼの感みたいなものが、作品世界と対応していなくて、どうにも居心地が悪いのです。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-12-03 23:49:35) |
97. 鍵(1959)
《ネタバレ》 もうちょっと背徳感とか逸脱感があるべき設定だと思いますが、意外にあっさりした描写でした。剣持がいまわの際に郁子を「目だけで脱がせる」ような、心理的なやりとりも加えた官能性をもっと見たかったんですけどね。それと、京マチ子はえらく堂々と落ち着いていて、何をやっても最後には勝ちそうなので、剣持の行動が無茶に見えません。ここはもう少し弱々しそうな幸薄そうな人を起用してほしいところでした。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-11-30 00:22:50) |
98. カサブランカ
今更ながらなんだけど、この作品って、舞台を北アフリカにしたのが思いっきり成功しているんですね。全体に常に漂っている、妙なフワフワ感。支配側のドイツ将校も、そんなに殺気立ったものまでは感じない。だから、寓話性を帯びつつも、人々に単純に理解できるラブロマンスとして後世に名を残したのでしょう。同じ亡命の過程でも、パリやマルセイユが舞台だったら、こうはならなかったはず。 [DVD(字幕)] 7点(2015-09-13 20:36:41) |
99. 限りなき追跡
とりあえず追跡の体はとっているのですが、主人公側も特段技量もなければ作戦もなく、悪役側も別に大して悪くなさそうな感じ。つまり、終始予定調和的な緩い雰囲気だけが漂っています。「何でそこでそうするの?」と双方に突っ込みたくなる場面が満載です。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-08-03 00:14:02) |
100. ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
《ネタバレ》 映像や音響に凝っているだけではなくて、何というか、コントの基本をちゃんと分かっていらっしゃるんですよね。脱獄直前のあの一幕とか。加えて、フットルースのケヴィン・ベーコンを、銀河を救うべきヒーローと大真面目に同一次元で語り、しかも台詞だけでなくネタとしても生かす素晴らしさ。 [映画館(字幕)] 6点(2015-07-12 02:32:34) |