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プロフィール
コメント数 2397
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  影の軍隊(1969) 《ネタバレ》 
これほど地味で暗いレジスタンス映画は観たことがないというのが素直な感想です。派手な破壊工作や戦闘場面はほとんど皆無だし、ゲシュタポに囚われた者たちも拷問されるところは見せずに、終わってボコボコになった顔の姿を見せるだけ。仲間を救出しようと救急車を仕立てて監獄に乗り込んでゆくシークエンスなんかでも、これから派手な見せ場が来るぞと期待するのに、瀕死の同志を救い出せずにすごすごと退却してしまう、これは観ていてサプライズでしたね。リノ・ヴァンチュラたちが属するのはいわゆる自由フランス・ドゴール派の組織なので、共産党系の組織・マキ団の様な派手な武力行使が少なかったからなのかもしれませんが、まるでスパイ組織のお話しみたいです。劇中では殺したドイツ兵よりも密告者を粛清した人数の方がどう見ても多い、こりゃ話が盛り上がらないわけです。でも原作者も監督ジャン=ピエール・メルヴィルも戦時中に実際にレジスタンス活動をしていたわけで、きっとこれがリアルでしょうね。戦後フランスではレジスタンス活動は神話化されていたわけで、この映画はそのタブーを無言で批判する様な意図があったのかもしれません。 レジスタンス側のフランス人は全員フランス解放まで生き残れなかったという壮絶な結末、まさにフレンチ・ノワールの巨匠メルヴィルだからこそ撮れたストーリーだったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-03-26 23:07:28)
2.  カモとねぎ 《ネタバレ》 
森雅之がボスで高島忠夫と砂塚秀夫が子分の詐欺師グループ、競艇場でスクリューを曲げるいかさまで大穴配当金300万円をせしめるのに成功するが、コケティッシュな娘・緑魔子に尾けられて持ち逃げされてしまう。キャバレーで働いていることを突き止めて拉致するけど、亭主の保釈金に300万使ってしまったので手元にないと言い訳、保釈金が戻ってくるまでという前提で彼女も仲間入りすることに。 というお話しなんだけど、この映画は森雅之の怪盗ルパンばりの変装芸を愉しむのが正解でしょう。最初は悪戯程度の詐欺からだんだんスケールが大きくなって最後は大企業から3,000万円を脅し盗るところまで行くけど、毎回毎回色んな変装で登場します。変装するのは彼だけじゃなく高島や砂塚もヘンな感じの化け方なのが面白い。森雅之は緑魔子と同じ屋根の下で寝起きする羽目になるけど誘惑には全く反応しないのに、ロングヘアーの女性にはパブロフの犬みたいに条件反射してしまうのがちょっとヘン、でもダンディーで軽妙な演技は名優の違う一面が観れた感じでお得です。でもこの四人の中でやっぱいちばん眼を引くのは、緑魔子でしょうね。彼女がこの当時の東宝作品に出るのは珍しく、東宝女優にはないエロチシズムを振りまいていましたし、彼女の変装もこの人の色んな魅力が観れて良かったと思います。詐欺専門のレンタル屋さんの小沢昭一やおばさんになりかけた頃合いの山岡久乃も面白かったかな。 まあ全体に他愛もないコメディなんですけども、クレイジーキャッツやドリフの映画を手掛けた松木ひろしらしい脚本でした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-10-15 21:00:18)
3.  ガメラ対宇宙怪獣バイラス 《ネタバレ》 
製作時は大映の終焉カウントダウンが完全に始まっていた68年で、バジェットも前作の三分の一まで削られちゃあ、そりゃスタッフもテンションが下がりますよね。それにしても、まるで子供が書いたのをそのまま採用したんじゃないかと思えるほどの酷い脚本には呆れます。東宝もゴジラにシェーをさせたぐらいに日和っていた怪獣映画業界でしたが、ここまでお子様路線に舵を切った大映のヤケクソぶりはなんか痛々しい。怪獣映画界隈の長男が円谷特撮だとすると、後発で変な縛りやしがらみのないガメラシリーズは、やんちゃな次男坊ということなのかな。そうは言ってもあまりにツッコミどころが多くて、この歳で観返してみるとかえって愉しくなっちゃうぐらいです。ボウリングの球を四つくっつけたような宇宙船、テレパシーで操作できるというのにいちいち言葉にして命令しなくちゃいけないって、どうなってるの?どう見てもイカが元ネタのバイラスに腹からブスッと串刺しにされたガメラ、いくら何でもふつう死ぬでしょ。正夫たちが宇宙船の中を移動するシーンで「でもこの円盤の中、何もないなあ」というセリフがあるけど、これは低予算でまともなセットが組めなかったことへの自虐が込められてるんじゃないかな。でもいちばん唖然としたのは、80分の上映時間のうち15分以上が過去作の特撮シーンの引用というところでしょう。最初はバイラス星人がガメラを研究するためにガメラの記憶を再現するというのは上手いへ理屈を考えついたなと思いましたが(それでも過去三作のシーンを10分ぐらいただ流すだけ)、バイラスに操られたガメラがダムや東京を破壊するという見せ場ですら過去作を流用している。つまり本作で組まれたセットは、海辺のただ砂浜があるだけのものだったみたいです、嗚呼、低予算の悲しさよ… 実は渥美マリはこの作品がデビュー作、翌年にはオッパイ丸出し路線に猛進することになろうとは、本人も予想してなかったでしょうね。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2023-05-28 23:09:03)
4.  影なき狙撃者 《ネタバレ》 
先にリメイク版の『クライシス・オブ・アメリカ』の方を観ているのでだいたいのストーリーは把握していましたけど、『クライシス…』の方では副大統領候補になるのがレイモンドで母親は上院議員の設定、そしてラストで引き金を引くのは操られたマーコ少佐だったと思います。まあ確かに、レイモンドが立候補していなければ『満洲人の候補者』という原題に意味がなくなってしまいますからねえ。陰謀をたくらんだ黒幕もソ連・中国から巨大国防企業コングロマリットに、そしてマーコやレイモンドを操るのは埋め込まれたチップという違いも時代を感じさせてくれます。 そうは言っても、このオリジナルの洗脳シークエンスもけっこう怖いですよ。洗脳された面々が階段教室みたいなところでソ連・中国の軍人にお披露目されているけど、彼らの眼にはヴィクトリア朝風のドレスを着こんだオバンたちが園芸学の講義を受けているところに紛れ込んでいると映っている。ご丁寧に黒人兵士にはそのオバンたちがみんな黒人女性として見えている。どことなくシュールで不気味な絵面なんだけど、フランケンハイマーが後に撮った『セコンド』に通じるところがあって興味深い。こういうぶっ飛んだところのある脚本だけど、ある意味けっこう雑なところがあります。だいいち、わざわざ政界の黒幕的な女性の息子レイモンドを手間暇かけて洗脳し、勲章をもらえる軍功をでっちあげてまでして何がしたかったのかが判りづらい。大統領候補をレイモンドに暗殺させて木偶の棒の義理の父親を大統領にする、この男が大統領になってソ連にどんな利益があるんでしょうか?そもそもソ連の関係者は中盤以降は全くストーリーに関与しなくなっちゃいますけどね。マーコ少佐がソリテアを使って尋問するところでも、洗脳状態のはずなのに自分のしてきた殺人を客観的に説明するなんのも、なんかおかしい。 というわけでいろいろと粗も目立つ作品で公開当時は不評だったのに、近年になってじわじわと評価が上がってきたのはやはりケネディ大統領暗殺があったからかな。レイモンドがライフルを組み立てて銃弾を装填してゆくところは、やはりボルトアクションのカルカノライフルでケネディ大統領を狙撃したオズワルドの姿みたいに見えてしまいます。あと大統領選挙にソ連が謀略を仕掛けてくるというところも、トランプ当選のときのロシア介入の疑惑を彷彿させてくれるのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-04-13 22:57:46)
5.  華麗なる週末 《ネタバレ》 
タイトル・ロールで気づくのですが、すでにドル箱スターだったスティーヴ・マックイーンが主演なのに、この映画はインデペンデント映画なんです。なんでまたこんなマイナーな予算の映画に出演したかと言うと、クラシックカーを思う存分運転できることに魅入られたからで、いかにも熱狂的なカー・マニアだったマックイーンらしいエピソードです。劇中で使われる“ウィントン・フライヤー”という車は実在せず、1905年当時の自動車を模したレプリカが使われました。でもマックイーンはこの車にえらく惚れこみ、撮影終了後に買い取って彼の有名なモーター・コレクションに加えたそうです。 本作はマックイーンのファンであるならば絶対に観ておかなければいけません。おそらくこれがマックイーンの唯一のコメディ演技が観れる作品だと思いますが、彼のバラエティーに富んだ表情が観れてもう感涙ものです。原作がウィリアム・フォークナーですから南部情緒がたっぷり、でも柔らか目ですけど南部黒人の地位に対する批判も感じられます。マックイーンの幼馴染で悪友が黒人なんですが、彼は悪さしても町のセレブたちにも堂々と態度を崩しません。その理由が彼は町の有力者の曽祖父が奴隷に産ませた子の子孫で一族の一員だという理屈なんですが、米国人以外にはちょっと笑えない話ですね。ちなみにこの役を演じたルパート・クロスはオスカー助演男優賞にノミネートされましたが、この賞にノミネートされた初の黒人俳優なんだそうです。 監督は名匠マーク・ライデルで、やはり彼の監督作には外れがないですね。このサイトでも全監督作が6点以上の評価ですから大したものです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-07-24 22:49:18)(良:1票)
6.  価値ある男 《ネタバレ》 
三船敏郎がメキシコ人農夫役で主演して当たり前だけど全編スペイン語で演技している(ネイティブ俳優に吹き替えされていますが)という珍品映画だと言えますが、これが良いドラマに仕上がっていてオスカーとゴールデングローブ賞の外国映画賞にノミネートされたというから凄いです。 三船敏郎の役どころはメキシコのド田舎の農夫、という風に見えますが実質家業は奥さんと子供がメインで、亭主は飲んだくれのバクチ依存症のダメ親父です。それがね~不思議なんですが三船がもうメキシコの田舎者にしか見えないんです、違和感が全然ないんです。これはマジで『黒い罠』のチャールトン・ヘストンなんか目じゃないです。この一家が住む村では年に一度のお祭りが盛大でみんなの楽しみ。その祭りでは司祭が “マヨルドーノ”というエグゼクティブプロデューサーみたいな男を一人任命します。マヨルドーノには祭りにかかる費用一切を自腹斬る責任を背負いますが、村人から“価値ある男”として尊敬される存在になれるのです。本邦で言えば神社のお祭りの氏子総代みたいなもんですかね。でも当たり前ですが財力がないといくら普段から信頼される人物でも務まりません。ダメ男で貧乏な三船には縁遠い話しののですが、なぜかマヨルドーノになることしか人生の意義を見出せないので、真面目に働くのではなく闘鶏などのバクチで一攫千金を狙って奮闘するのです。三船の演技はけっこうコミカルで、彼は考えてみれば器用な役者だったなと再認識させられました。このダメ男が大金を稼ぐのはバクチしかないと観てる方も判っているのでどっかで大勝するんだろうと思っていてもずっと負け続け、そしたら終盤で思いもよらないバクチじゃない幸運(?)で大金をゲットして宿願のマヨルドーノに指名されることができました。 三船の演技が冴えわたるのは祭りの当日のシークエンスで、晴れの舞台で行事の先頭に立っているのに村人たちはマヨルドーノを完全に無視。苦悩する三船ですが、友人から「この状況で自分を見つめ直せ」と忠告されても結局村人たちの真意というか自己の至らなさに思いが向くことはありませんでした。そして妻がとった思わぬ行動が、このダメ男の人生を変えることになるのです。 三船の女房も亭主に苦しめられててもやはり愛していて、子供には厳しいのに亭主を甘やかしてしまって結局ダメにする存在で、10歳ぐらいの息子だけが父親を冷めた眼で見ているところがリアルな家族関係でした。やはりこの作品が評価されたのは三船敏郎という国際スターをオファーできた監督の熱量によるところが、大きいでしょう。三船もその熱意に応えて、日本での配給権を貰う代わりに出演料はゼロ、つまり実質的にノー・ギャラだったということらしいです。でも日本ではほとんど上映されずカルト化してしまったのは、残念なことでした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-05-07 23:06:21)
7.  かわいい毒草 《ネタバレ》 
この映画を要約すると“妄想癖の男とサイコパス女のボーイ・ミーツ・ガール物語”というところでしょうが、アンソニー・パーキンスはどちらかというと統合失調症と見た方がよく、製作者側もパーキンスを“精神病院からでてきたノーマン・ベイツ”と観客に感じてもらうことを期待しているのは見え見えです。ハリウッドを逃げ出して『サイコ』から8年ぶりに復帰したキャラがこれで、完全にハリウッドでの彼の立ち位置が決まってしまったわけで、ちょっと可哀そうともいえます。彼は中盤以降で完全にサイコパスJKであるチューズディ・ウェルドに翻弄されることになるのですけど、主演カップルがどちらもヘンという設定が逆にサスペンスを弱めることになってしまったのは歴然です。サイコパス少女が主人公というと『悪い種子』がどうしても連想されますが、チューズディ・ウェルドは『悪い種子』のパティ・マコーマックの映画史に残る邪悪さには足元にも及びません。もはや完全にあっちの世界に行ってしまったけど、彼女の罪をかぶってムショにぶち込まれることを選択するパーキンスがちょっと哀れすぎます。それでも自分を唯一理解してくれる保護司には、禅問答のような会話で「あの女から目を離すな」というメッセージを伝えるところなんかはパーキンスの上手さが垣間見えました。 チューズディ・ウェルドという女優はローティーンのころに起用された“セブンアップ”のCMで物議をかもして一躍有名になったそうです。取り調べのシーンで刑事からコカ・コーラ(さすがにセブンアップではなかった)をわざとらしい感じで勧められチラッと笑顔を見せます。これは米国人の観客ならだれでも判る楽屋落ちなんでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-04-05 23:43:38)
8.  回転 《ネタバレ》 
子供のころTV放映で観たときはスッゲー怖かった記憶がありますが、改めて見直してみますと違った意味でこれは怖い映画だなとしみじみと感じました。とにかくデボラ・カーの恐怖に取りつかれてゆく演技が凄すぎ、『シャイニング』のジャック・ニコルソンに匹敵するという意見には全面的に賛成です。後半、自分だけに見えている霊と対決するうちにエクソシストと化してゆく過程は迫力あります。この演技が、オスカー演技賞にノミネートすらされなかったというのはちょっと信じがたいです。またマイルスとフローラの二人の子供が全然かわいらしくないところもよく練られています。フローラ役のパメラ・フランクリンなんて後年の面影(ちょっと変な表現かな)が微塵も見られず、女子ってホントに変わってゆくものなんですね。屋敷にまた独特な雰囲気があって、だいたいあの庭は石像がありすぎでしょう、それだけで怖いです。 英文学の歴史では心理小説の金字塔である『ねじの回転』ですが、それに真っ向から取り組んだトルーマン・カポーティの脚本とジャック・クレイトンの演出は評価されるべきでしょうね。ラストのデボラ・カーとマイルスとの対決で、二人の顔に汗がだんだん滲んできます。これは温室の中でのシーンだというわけですが、緊張感が高まる効果的な演出です。ラストがハッピー・エンドかと思わせておいての絶望感、これは渋い終わり方だと思います。 最近はグロい・イタいホラーが全盛ですがこういう渋い心理ホラーもいいもんです。
[DVD(字幕)] 8点(2016-11-04 23:54:21)(良:2票)
9.  海底大戦争 《ネタバレ》 
いやー、実はわたくしも小学1年生の時に学校でこの映画を見せられたんですよ。たしか夜の校庭でスクリーンを張っての夜間上映だったという記憶があります。今の眼で見るとなんか滑稽な半魚人サイボーグの着ぐるみですけど、小学1年にとっては刺激が強かったですよ。でも不思議だったのは、なんでこんなゲテモノ映画を学校の授業の一環として子供に見せたのかということに尽きます。そして下の方のレヴューを見て違う学校でも上映してたんだと知ってびっくりした次第です。まさか同じ小学校に同時期に在籍していたってことは、まあ可能性がないわけじゃないですけどね。私が小学1年の時はこの映画の劇場公開と同年で、当時の東映はこういう形で公立小学校にまで営業をかけていたんでしょうか、大いなる謎です。 肝心の内容の方ですが、どう考えても子供向きじゃないのは確かですが、大人の眼で観たってカスです。海中の特撮映像からして、水中で炎や煙が発生するぐらいですから問題外です。半魚人サイボーグは妙に黒目が巨大だったり顎がなかったリして、よく見てみると確かに気味が悪いかなと言えます。でもあのダイヤルを回してサイボーグをコントロールするバカバカしさは、ちょっと発想がぶっ飛んでます。在日外国人の素人をを大挙動員しているところは資本を海外が出しているからなんでしょうが、日本人俳優はほとんど千葉真一だけというのはまた極端です(敵方ザコ役で室田日出男なんかもちらっと出てますけどね)。この外人素人たちの会話シーンが、ほとんど全編にわたって鼻先が10センチぐらいの近さまで顔をくっつけて演技しているのがこれまた奇妙。でもよく見ると監督は『吸血鬼ゴケミドロ』と同じ人だと判り、なんか納得した次第です(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2016-10-22 19:00:34)
10.  火線地帯 《ネタバレ》 
脚本は石井輝男が書いていますけど監督はしてません。 “ライン・シリーズ”と言っても秘密売春組織がプロットになっていることと石井輝男が監督で三原葉子が出演していること以外に共通点はなく、そういう意味では純粋ないわゆる“ライン・シリーズ”とは言い難いところがあります。 ストーリーは100丁の拳銃の闇取引をめぐる陰謀に巻き込まれるチンピラ・コンビと謎の男天知茂を軸に展開します。今回の天知は軽妙なコメディ・ロールといった役柄で、この人はけっこう器用な役者だったんだなと感心します。ギャングのボスには何と田崎潤が起用されていて、その愛人はご存知三原葉子というわけです。彼女はいつものお約束の“X星人キャラ”、つまり悪の組織の一員だけど寝返って最後は命で償いをする、ってやつです。新東宝では悪の親玉には大友純(今回は敵対組織の親玉)の様ないかにもな俳優たちがキャスティングされるのが通例ですが、さすがに田崎潤だと風格がありますね。でも彼じゃあなんか立派すぎて見えてしまって、あまり悪辣な感じがしなかったですね。そうなんです、この映画については新東宝に独特な安っぽさや登場人物の奇妙さが消えていて、妙にふつうの映画っぽいんですよ。まあ同時期の日活の無国籍アクションに近いレベルまで倒産間際になってやっとたどり着いたかな、という感じですかね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-06-28 22:47:33)
11.  顔役暁に死す 《ネタバレ》 
この頃の岡本喜八は“暗黒街”シリーズと『独立愚連隊』二作で独自のスタイルを築き始めていたころです。その『暗黒街の顔役』から『顔役』だけスピン・オフした様な題名ですが、もちろん“暗黒街”シリーズとはなんの関係も有りません。 主役に加山雄三、脇に中谷一郎と中丸忠雄とくると、どうしても『独立愚連隊』二作を彷彿としてしまいます。じっさいそんな感じで、原作がハードボイルドの大藪春彦とは到底想像がつかない仕上がりです。まあそこは原作のハードボイルドを岡本喜八が自分風味に料理した一皿なんでしょうけど、加山雄三のあっけらかんとしたチャラ男ぶりは堪能できます。岡本作品に登場する加山はたいていこんな感じですが、これは演技が未熟な加山の為に岡本が考えた加山雄三のベストキャラなのかもしれません。映画のストーリー自体は『用心棒』の設定をそのまま現代に持ってきた様な地方都市のヤクザ抗争なんですが、どうもイマイチ岡本にしては弾け具合いが足りません。これはきっと脚本が関沢新一じゃないからなんでしょうね。 敵役には青大将になる前の田中邦衛がキャスティングされていますが、これが加山雄三と田中邦衛の初共演と言うことになるそうです。また平田昭彦も悪役ですけど、岡本作品では平田は悪役にまわることが良く有り、彼の本来の持ち味を上手く引き出しているなと思います。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2016-05-16 21:36:49)
12.  鏡の国の戦争 《ネタバレ》 
ジョン・ル・カレの小説の映像化作品には良作が多いけど、原作が原作だけにどれも派手なアクションは皆無で渋いんですよね。中でもキャスト・スタッフの地味さのせいもあって、本作はその最右翼に位置するんじゃないでしょうか。でもトランペットをフューチャーした哀愁がこもった音楽はなかなかでしたし、ライザーが東独に潜入してからのロード・ムーヴィーっぽい映像も雰囲気が出てました。東独でライザーが出会う謎の女を演じているピア・デゲルマルクという女優がなかなか私好みの美形でしたし、そういやスーザン・ジョージも出てましたね。 若き日のアンソニー・ホプキンスも非情なスパイの世界で苦しむ情報部員を好演してました。スパイとしての価値が無くなったライザーが必死になって情報を送信してくるモールス信号を、お偉方たちは誰も聞こうともしないというシーンのなんと非情なことか。大人の世界です。
[DVD(字幕)] 6点(2015-09-21 22:30:58)
13.  カーツーム 《ネタバレ》 
砂漠での壮大な戦いの映画だと思って観てみたら、ロンドンの政府高官たちの駆け引きを描写するシーンも多いし、戦争映画というよりも政治が主役の歴史映画でした。ヴィクトリア朝時代を代表する軍人である“チャイニーズ”・ゴードン将軍ですが、演じるチャールトン・ヘストンがこのキャラにピッタリの演技を見せてくれたのは予想外でした。上層部の命令に反抗する気難しいが気位の高い男なんですが、こういうキャラを演じたらヘストンはほんと上手いです。大規模な騎馬集団のぶつかり合いあり、ナイル河上での海戦もどきの戦いありと、戦闘シーンもヤキマ・カヌットが実質監督してるだけあり迫力ありましたね。これはシネラマの大画面で観たらさぞや凄かったでしょうね。対するマフディー演じるのはローレンス・オリヴィエ、アル・ジョルスンみたいな黒塗りなのでちょっと見には誰だか判りませんが、あの眼力は強烈でこれぞ名優です。けっきょくゴードンとマフディーはコインの裏・表の様な似た者同士だったわけですが、ありふれたドラマツルギーながらもけっこう説得力に満ちた良い脚本だったと思います。 主要キャラには女性はいないし女性が登場している映像自体がほとんどないという、まるで『アラビアのロレンス』の様な英国製らしさに満ちた映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-06-03 23:15:24)
14.  怪談(1964) 《ネタバレ》 
小林正樹の映画と言うとモノクロというイメージが強いんですが、これが彼の初めてのカラー作品なんですね。黒澤明もそうでしたが、長くモノクロで撮ってきた映画作家はカラー作品に移行すると色の使い方には拘るもんですよね。とにかくこの映画は色彩設計と美術にはもう凝りまくってます。シンプルなんだけどとても斬新、邦画の映画美術の頂点に位置すると言っても決して過言ではないでしょう。『雪女』の眼玉が浮かんでいる様な空と鮮やかな夕陽、『耳なし芳一の話』の日本画の大家に実際に描かせた壇ノ浦合戦の絵、当時の邦画としては空前の製作費を美術費に惜しげもなくつぎ込んだというのは本当でしょう。 “怪談”と言っても決して今で言うホラーではなく、純日本的な「物のあわれ」や「諸行無常」を追求したエピソードが選択されているところも小林正樹らしさが出ています。それでもそれなりの出演者を揃えていますから、グッとくるところはキチンと押さえています。『茶碗の中』での中村翫右衛門が最後に狂ってゆく演技はさすが名優と感服いたしました。でもいちばんゾッとしましたのはやはり『耳なし芳一の話』でしょうね、なんせ芳一をお迎えに来る亡者があの丹波哲朗なんですから(笑)。 
[DVD(邦画)] 8点(2014-07-29 22:19:52)
15.  カトマンズの男 《ネタバレ》 
『リオの男』はスピルバーグの『レイダース』の元ネタだったけど、本作も『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』に見事なまで雰囲気が似てます。邦題こそ“カトマンズ”ですが、ヒマラヤの麓で撮られているのはほんの少しで、ほとんど舞台は香港です。『ホンコンの男』じゃカッコ悪いと思ったのかしら、配給会社の人たちは。でもヒマラヤのシーンは、こんなドタバタ・コメディのために良くあんなところまでロケに行ったものだと、素直に感心しました。 『リオの男』以上にドンドンとヒートアップしてゆくスラップスティックなギャグは、なんだか狂気の様なものさえ感じさせられます。ベルモンドを仕留めようと集まってくる殺し屋の数がどんどん増えてゆき、終いには戦争やってるみたいになってくるのがとてもシュールで傑作です。ベルモンドの“前髪クネ男”くんスタイルがまた妙に可笑しいし、一緒について回るジャン・ロシュフォールの執事がまたとぼけた味わいが有りまして良いんです。個人的にはベルモンドとウルスラ・アンドレスが大真面目に演っている『サンダーボール作戦』のパロディがとってもツボでした。
[ビデオ(字幕)] 7点(2014-01-09 20:50:37)
16.  からみ合い 《ネタバレ》 
ガンを患って余命幾ばくもない大企業のオーナー社長が、遺産を与えるかどうか判断するために三人の認知してない隠し子を部下や弁護士に捜して連れて来いと命令を下す、まるで戦国武将の跡目争いか『リア王』みたいなとても現代劇とは思えないプロットです。社長以下登場人物がみな腹黒くていわば“全員悪人”といった風情で遺産をめぐった暗闘を展開するわけですが、どう考えても社長役の山村聡がミスキャストだと思います。手当たり次第に女に手をつけて子種をまき散らす、おまけに胃を三分の二も切除して療養中なのに秘書の岸恵子を手篭めにする、と言う風に肉欲の化け物みたいな絶倫男が山村聡だなんてちょっと無理があります。ここはもっと下品で脂ぎった演技が出来る役者を使うべきだったでしょう(新東宝なら適役と言える俳優がゴロゴロいますが)。 結局三人の隠し子のうち本物だったのは一人だけだったのですが、この隠し子たちが意外なほどストーリーに絡まないところがこの映画の弱いところです。芳村真理のエピソードなぞは殺人事件に繋がってゆくんですが、これってそもそも仲代達矢の弁護士が人違いをしてしまったのが発端じゃないですか。でもその辺を上手く観客に伝えられないストーリー・テリングの拙さは観ていてもどかしくなるぐらいでした。 いかにも小林正樹らしい重厚な撮り方なんですけど、なんか物足りなさが残ってしまうんですよね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-10-30 17:27:37)
17.  怪談海女幽霊 《ネタバレ》 
熱い夏には納涼映画、やっぱ怪談でしょう。そして海を舞台にしたら涼しげでいいんじゃない、そうなりゃもう海女を主人公にするっきゃない! と言うわけで『怪談海女幽霊』といったタイトルに必然的に落ちつくわけで、実に単純で判りやすい(笑) クズ映画ばかり量産していた大蔵貢時代の新東宝にあっても、怪談ものだけは一定以上の水準を保っていたのは事実でしょう。もっともそれは中川信夫が撮った怪談時代劇にだけ当てはまるセオリーで、他の監督が撮っていたのはこういうZ級レベルのゲテモノが大半だったみたいです。 新東宝怪談映画には欠かせない若杉嘉津子が出ているのに、全然活躍しないし幽霊にもならないというのはいったい監督は何を考えていたんでしょうか。と言うか、そもそもこの映画は怪談と言うよりも殺人ミステリー&復讐劇なんです。真面目に語る様なストーリーの映画ではありませんが、一段と露出度がアップした海女の水中シーンと浜辺でのキャットファイトが楽しめるので一部のファンには堪えられないでしょう。 本年はNHKで放映されている『あまちゃん』が大ヒットしてますし、ここらで久しぶりに海女映画の新作を観てみたいものです。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2013-08-19 20:21:24)
18.  鏡の中にある如く 《ネタバレ》 
ベルイマンの“神の不在”三部作は、トップバッターからしてもう強烈。なんせ神を深く信じるH・アンデルセンは精神異常で、壁を突き抜けて現れた神は蜘蛛の姿をしていたというんですから凄いものです。音楽の劇中での使用は最小限に抑えて、自然の物音を実に効果的に使っているのと、スウェーデンの白夜を美しく撮ったモノクロ映像がとても印象に残ります。重いテーマを扱った重苦しい映画ではありますが、ラストに明るい希望が感じられるところに救いが感じられます。
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-04-24 22:34:54)
19.  華氏451 《ネタバレ》 
サスペンスやSFものを撮ると(もっとも、トリュフォーが撮ったSFは本作だけですが)、この人はヒッチコック・コンプレックスなので妙に力んで頭でっかちな作品を作っちゃう傾向があります。ブラッドベリの原作はSFよりもダークファンタジーに近い内容だと思いますが、トリュフォーはどちらの要素も消化できなかった様な気がします。“Fireman”たちがモンターグを携帯ジェット装置でホバリングしながら追跡するシーンでは、びっくりするほど下手な合成処理のせいで人物を吊るしている太いワイヤーがくっきり映っちゃって興ざめも良いとこです。“Fireman”出動するシーンは、シュールな雰囲気で好きなんですが、やはり全体的にもっと丁寧に撮らないといけませんね。
[DVD(字幕)] 5点(2010-06-10 00:34:01)
20.  海底軍艦 《ネタバレ》 
そりゃ轟天号の古風な造形美とドリルマシンとしての完成度の高さは認めますよ、でも敵役であるムー帝国の設定がねえ・・・。 これも関沢新一の悪いところが全部出た脚本のせいであるのは明らかですが、やたらと「日本は平和憲法で戦争放棄した」ということを強調して神宮寺大佐たちを躍起になって否定するのもなんかあざといですね。やはり明治時代に書かれた原作なので、もっと入念に翻案しなければならなかったということです。それにしても、轟天号のメインウェポンである冷凍光線って摩訶不思議ですね、海中でマンダに発射して凍らせるシーンには失笑させられます。物理の法則が無視されてる・・・。
[映画館(邦画)] 4点(2010-05-11 01:03:51)
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