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よしのぶさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  気狂いピエロ 《ネタバレ》 
物語本位で観せる従来の映画を解体し、脚本、映像を独自の感性と即興で再構成させた作品。時系列の操作、ジャンプ編集、観客に話しかける俳優など、映画の約束事を破り、多解釈が可能。詩や映像の豊かなイメージと喚起が、男女が閉塞した現実から逃避行するというストーリーと相まって、爽快さと開放感をもたらす。体験する映画。◆男にとって女はファム・ファタール、魔性の存在。犯罪と事件を運んでくる。その神秘性を崇め共にいたいと願う。ドル札を燃やしたり、奪ったばかりの車を川に沈めるのはそのため。金があると女が逃げるとわかっている。◆女にとって男は夢ばかり見ている存在。一緒にいても退屈。「僕を捨てないでね」「もちろんよ」騙されているとも知らないで詩ばかり書いている男は道化師にしか見えない。◆女は何をしても明るく、生き生きと描かれている。倫理観を超越した神々しさがある。一方で男は、つねに閉塞さを感じている。思想を言葉でまとめようとしているが、うまくいかない。◆多くが記号化されて表現。舞台装置に近い。裸で箱に入ればお湯がなくとも風呂、流れる照明で車中、死体と武器があるので武器商人の家、木の棒だけどダイナマイトと書いてあるなど。女が上機嫌のときはミュージカル風になる。◆事故に見せかけて車を燃やす場面で、高速道路が一部しかない。これは行くことも戻ることもできない絶体絶命の象徴。◆犯罪はコミカルに描かれる。盗むつもりの車の台車が上がったり、ギャングが小人だったり。犯罪も舞台装置でしかないということ。◆音楽が頭の中で鳴り続ける男。鳴っているのは音楽ではなく「あなたは私を愛していますか?」の言葉が鳴っている。本当に愛されているかわからない状態。◆逃避行は町から海へ至る道程。海が近づくにしたがって青色が画面を支配するようになる。車、服、椅子、ボーリング場、ペンキ。青は空と海が溶け合った色で、永遠の象徴。永遠=永遠の安楽=死でもある。◆男はダイナマイトを顔に巻くが死ぬつもりはなかった。「言いたかったのは、何故……」「バカだ、こんな死が」消そうとして爆発。死んだのは観客の心の中の道化師。誰にもこんなバカ(現実からの逃避行)をやってみたい気持ちがある。◆監督のプライベートな作品とも解釈可能。離婚したばかりで、分かり合えない男女の様を描いた。男は監督の分身。ウィリアムウィルソンのように男が死んで監督が生き残った。
[DVD(字幕)] 9点(2011-09-11 19:57:09)
22.  CURE キュア 《ネタバレ》 
【間宮は何者か?】心理学の勉強をしているうちに偶然Cureの真髄を悟ったのだろう。そしてCureの伝道師となった。催眠術を使って心を空っぽにし、本当の自分を見つけだす手法。心を空っぽにするとは、倫理観を無くす事。本当の自分を見つけるとは、欲望のままに生きる事。簡単に言えば殺したい奴がいれば殺してさっぱりしろという事。死体にⅩ印を切り刻むのは儀式。間宮は記録喪失で、かつ記憶ができない。これはCureをやりすぎると記憶と意識が蝕まれてゆくからなのだろう。 【刑事に起きた事】特殊な人間はCureを受けると伝道師になれる。つまり他人をCureできるようになる。刑事はこの特殊な人間だった。Cureにより心が開放され、妻を殺した。間宮を病院から逃がしたのは殺すため?刑事は大きな古い木の廃屋で間宮を殺した。この廃屋は教授も訪れている。この廃屋(とバス)は現実ではなく、集合的潜在意識の象徴だろう。深いところでは人の意識はつながっている。だとすれば刑事は現実では間宮を殺していないことになる。間宮は刑事をCureしたが、刑事が殺したいのは間宮だというジレンマがある。刑事は意識せずに他人をCureする手法に長けている。ウエイトレスはあっという間にCureされ、刃物を手にした。 【教授に起きた事】専門家であり、十分に気をつけていたにも関わらずCureされた。それを察して、自分の手を手錠でパイプにつなげておき、最終的に自殺したと考えられるが、何故自らⅩ印を刻んだのかは疑問。Cureされると自殺に走る場合もあるのか?教授をCureしたのは間宮か刑事か?教授は廃屋を訪れているので間宮だろう。 【疑問点】①妻殺しの小学校教師と間宮は高いところから飛び降りた。何故か?②刑事が間宮を殺すとき、「すべてを思い出したか、よし」と納得するが、どういう意味か?③間宮が病院を脱出する前、椅子で暖房器具を断続的に叩いていた。叩く音で病院内の人をCureしたのだろうか?地震のような現象が起きていたが、おおげさすぎないか。タイミングよく刑事がやってきたのは偶然? 【感想】発想は単なる催眠術の応用としか思えず、チープ。健全な精神を持った人間がCureにはまり、壊れてゆく様子が最大の恐怖。刑事の壊れてゆく様子が十分に描かれていない。
[DVD(邦画)] 6点(2011-09-04 14:49:14)(良:1票)
23.  霧の旗(1965) 《ネタバレ》 
兄が殺人犯として逮捕された女が、兄の無実を信じて東京の有名弁護士に弁護を依頼する。時間的に余裕もなく、依頼人にお金が無いと知った弁護士は依頼を断る。数年後兄は拘置所で病死。それを知った弁護士は好奇心から事件の資料を取り寄せ、調査する。結果犯人は左利きであることを発見、兄が無罪であったかも知れないと思う。故郷にいられなくなった女は東京でホステスとなる。弁護士と再会するが、気まずい空気が流れる。 偶々事情を知っている新聞記者は女に同情するが、女は冷たい態度を貫く。 弁護士の愛人に関係する男が殺される。事件現場に女と愛人が居合わせる。女は愛人の手袋を置き、犯人の遺留品を持ち去り、現場には居なかったと嘘の証言をする。愛人が容疑者として逮捕される。弁護士は女に真実を話すように頼み、代わりに兄の無実の証明をすると申し出る。女は承知したと言い、部屋に案内し、巧みに酒を飲ませ、強引に関係をせまる。そして強姦されたと検察に手紙を送り、弁護士生命を絶つ。 ◆復讐劇だが、女が事件現場に居合わせたのは偶然。女は偶然を利用したに過ぎない。企図したものではないので、復習劇としてはインパクトが弱い。女が無実の罪で死んだ兄の名誉を晴らすことに心を砕かないのは何故だろう。あれだけの兄思いだったのに、不自然さが残る。 ◆兄を殺した犯人も第二の殺人事件の犯人も誰かはわからず終了。愛人は無実の罪をきせられたまま。すっきりしないオチにいらだちも最高潮だ。女が弁護士にそれほどの復讐心を抱く理由があるだろうか?そもそも完全な逆恨みではないか。弁護士は依頼を受けなかっただけで、悪いことは何もしていない。そんな異常な女を扱っても観客からは同情は得られない。「女って怖い」ぐらいの感想しか得られないだろう。誰がみても復讐を抱くだけの理由があるようにしないと物語が成立しない。そして犯人が元投手であるとはっきりわかるように示せば、すっきりしただろう。 ◆他にも疑問点がある。兄が学校のお金を落としたのに誰にも相談しなかったこと、女が弁護士にあらかじめ電話や手紙なしに訪問すること、女が味方のはずの記者に冷たい態度をとること、愛人が単に怪しいというだけの理由で逮捕されることなど。穴だらけの脚本である。日常に待ち受ける陥穽を描いた原作が泣いている。題名の「霧の旗」の旗の意味も不明。霧だから桐子?
[DVD(邦画)] 5点(2011-08-29 18:32:29)
24.  疑惑の影(1943) 《ネタバレ》 
ワルツの場面から一転、乱雑な裏町の様子が映し出される。陰鬱な顔で葉巻をくわえベッドに横たわる男。床にはお金が散らばる。大家が来て、知人が訪ねて来たという。誰にも住所は教えてないのに。刑事と察した男は窓から刑事を見てつぶやく。「証拠は何も無いはずだ」掴みはOK。観客の興味を引く術を心得ている。◆娘チャーリーに共感する立場からすれば、恐怖は十分感じられる。叔父のことを敬愛するが故に疑惑を持ち、殺人犯と判明し、誰にも打ち明けられず、自分の命も狙われる。殺人犯と共に暮らす恐怖とやるせなさ。図書館に走るシーンでハラハラさえるのはさすがだ。一方犯人に共感する立場に立てば、解せない事が多い。殺人の新聞記事を不自然に隠し、疑惑を招く。証拠となる指輪を不用意にプレゼントし、取り返した後も処理しない。目が悪いとか捨てようがないという伏線が欲しい。娘殺害のための階段の細工や排気ガスの充満した車庫に閉じ込めるトリックも稚拙。最後の無計画で衝動的な殺害アクションと墓穴は平凡。それに冷静に考えれば指輪は決定的な証拠とはなりえない。娘を殺す動機が薄い。犯人の心の闇が十分に描けていないと思う。未亡人に対する悪意を吐露したり、冒頭シーンで精神的に疲弊した様子を見せるくらい。世間の荒波に揉まれたシーンや未亡人殺害シーンを省いているので、人間像が分りづらいのだ。観客に犯人と分った時点で、犯行シーンを挿入すれば良かったと思う。◆犯罪心理サスペンスにしては、展開がスマートすぎる。もう少しひつこさ、あくどさが欲しい。特に未亡人殺しの詳細が不明のままなのが不満。叔父が殺人者であることが重要で詳細の提示は不要と考えたのだろう。だが警察は叔父を追ってくる。手がかりは無いらしいが、彼が容疑者なのはどういう理由でか?写真を目撃者に見せると言っていたがどうなったか?東部で犯人と疑われた男が飛行機のプロペラに飛び込ん死んだ。それで事件解決では、あまりにもなおざりすぎる。そして突然の刑事の娘へのプロポーズ。取ってつけた恋愛パートは完全に失敗している。◆サブキャラがだれも丁寧に描かれていて賞賛に値する。二人の子供は言うまでもない。推理小説マニアで少しぼんやりした隣人などは魅力的だ。息抜きにはうってつけの存在。娘の同級生だった酒場のウエイトレスも印象的だ。彼女は娘の身近にある影の部分の象徴だ。
[DVD(字幕)] 7点(2011-02-14 05:24:41)
25.  CUTIE HONEY キューティーハニー 《ネタバレ》 
【ハニー】人間をコピーしたアンドロイド。オバカほんわかキャラ。変装能力あり。普段は派遣社員のOL。仕事は覚えないが、残業を引き受ける心優しい娘でもある。友達はお掃除おばさんだけ。憎しみで怪人を殺して憎しみの怖さを知る。女刑事に愛も同様に怖いと言われるが、愛を選ぶことを決意。女刑事と友達になりそうになるが拒絶され落ち込む。 【夏子刑事】自立心が強く、何事も自分の力だけで達成するのが信条。他人との協調性に欠ける。泣く女が嫌い。ハニーと関わることで心を開いてゆく。 ◆ハニーが自宅で入浴しながら叔父と電話していると叔父が誘拐される。変身!のはずが、お腹がすいて変身できず。おにぎりを買いにでるが、何故か服がないのでごみ袋着用。協賛のファミリーマートでおにぎりを大人買い。走りながら食べて変身、何故かバイクに乗ってGO!どこへ行く?不思議とアクアラインで警察が既に犯人を包囲中。それもパトカー数百台以上。怪人と対決して勝利、叔父を救出。以上が導入部。全体の縮図を見せ、映画を観るスタンスを教えてくれる。サービスカット満載のギャグアクション漫画の乗りということ。 ◆敵ボスは永遠の生命を求めているが、愛は知らない。ハニーは過去の記憶をほとんど持たないが、愛は知っている。敵ボスに同化されそうになるが、かすかな父の記憶を元に父の愛情を思い出す。敵ボスは愛は人間の心の弱さと思って切り捨てていたが、その心地よさ、暖かに触れ、愛を理解しようとする。ハニーは「誰かを愛せばいい」と助言。愛を理解した敵ボスは活動停止。女刑事もハニーと一緒に戦うことで友情の大切さに目覚める。ハニーも新しい友達ができる。というわけで本題と別に愛と友情を主題にした物語が成立しています。脚本の流れとしては破綻がなく、一本筋が通っていますね。 ◆カット割りなど監督の美意識が出ている。アクションはテンポがよく爽快。多角度、多カットによる流れるような戦闘シーンは見どころがある。怪人に魅力なし。どうせならもっと美少女を出せばよかったのにと思う。 シスタージルが何故男性なの?ギャグはそこそこ笑える。
[DVD(邦画)] 5点(2010-06-27 22:45:26)
26.  紀元前1万年 《ネタバレ》 
時代考証:①巨大ピラミッド建造はBC2000年頃。大船建造も同様。②トウモロコシの原産は南米でアフリカには16世紀頃伝わる。寒冷地では育たない。③唐辛子の原産は南米で、コロンブスが1493年にスペインへ最初の唐辛子を持ち帰る。④巨鳥モアはニュージーランドに生息。⑤金属ナイフ製造はBC3500年頃。⑥馬の家畜化はBC4000年頃のウクライナ地方。⑦最古の文明はBC3500年頃のシュメール文明(メソポタミア)。その萌芽はBC9000年。⑧象限儀(天体測量の道具)、アストロラーベの発明はBC150年頃。⑨車輪の発明はBC5000年のメソポタミア。 失望:①伝説を解説するナレーションは、冒険が成功することがわかってしまうので不要。②巫女はいらない。③主人公デレーに野性味がなく、顔も身体も弱々しい。どこが伝説の男だ!ヘタレキャラである。④剣歯虎とマンモスが人を襲わない。⑤剣歯虎を助けた「優しさ」が武器となる思っていたが、単なる力業だけの男だった。⑥デレーってラッキーなだけの男。⑦中ボスが女に執着するのが中途半端。⑧父のエピソードが希薄。⑨軽装で氷山越え、砂漠越え。⑩女は目が青いだけで取り柄なし。 ツッコミ:①ラスボス弱すぎ。カリスマ性ゼロ。悪知恵が働くか、最強でなきゃだめしょ。②ラストの敵の軍隊弱すぎ。それまでは強かったのに。③遠くに投げた槍が当たりすぎ。ラスボス少しは避けろよ。④ラスボスは何故オリオンの印をもつ者を恐れるのか?⑤青い目の女が一度死んで再生したのは、巫女の呪術のおかげ?⑥「砂漠を越えて先回りする」と言っていたけど、先回りしてない。敵より後に着いてる。⑦敵城の周囲が砂漠で、樹木がほとんどない。あれではピラミッドの建造できないし、マンモスの餌もない。⑧マンモス倒すのに網はないでしょ。沼地に追い込むか、槍攻撃。⑨戦い終わって敵民族はどうなったの?改心?おとがめなし?⑨牙と対話?ハアー? 感想:マンモス、巨鳥、ピラミッド、騎馬戦闘、恋愛、神話など詰め込みすぎ。男が成長する物語になっていないので感動できず。「恐竜100万年」のように会話のない、骨太の物語ならよかった。あるいはマンモス、剣歯虎を仲間にした冒険活劇ファンタジーとか。とにかくノリが悪い、映画作りの”熱さ”がない。監督は何を伝えたかったのか?多くの謎を残したまま終了。ああ、つまんなかった。
[DVD(字幕)] 5点(2010-05-13 17:27:01)(良:1票)
27.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 
松子の家庭環境は決して最悪ではない。経済的には中流で、妹弟もいて、両親の愛情もそこそこ受けている。松子は父を愛しているが、父の愛情が病気の妹に注がれるのを妬んでいる。父の愛情を自分に向けるためにコミカルな表情をする。愛の飢えの始まりである。松子の不幸を描いているが、本当に不幸なのは他にいる。筆頭は妹で、寝たきりの人生で終る。次は作家志望の男で、自分の才能に絶望して自殺した。もう一人は龍で、家族の愛情は一切知らなかったと言っている。松子は美しく成長し、中学の先生となるが、修学旅行の盗難事件をきっかけにで転落人生に転じる。彼女が家出した心痛で父が死亡、弟から家族の絆と断たれる。家族と故郷を失った松子は、男性に頼るしかなかった。というか、自分を必要とする男性と共依存関係になる。必要とされることでしか、自己の存在意義を感じられない。だから暴力を振るわれても、相手に尽してあげたいと願う。トルコ嬢も厭わない。これが龍をして松子を神と呼ばしめた。不幸な形の自己犠牲。暴力は時にこじれ。殺人に発展する。松子は理容院の男と同棲を始めたばかりのときに逮捕される。タイミングが悪い。刑務所でめぐみという親友を得たのは最大の幸福。出所後は理容院の男と暮らそうと美容師の資格を取るが、出所すると男には妻子がいた。そして愛を知らない男、龍と再会。龍がお金を盗んだのが転落のきっかけだったので、皮肉なめぐり合わせだ。またまた不幸に。松子は足を悪くし、龍は刑務所へ。龍を待つことを唯一の希望にしていたが、逃げらる。以後心を閉ざし、世間と関わりをもたなくなった。ただ一つ、アイドルのファンになることを除いて。典型的な現実逃避。ファンレターとして綴った履歴のバカ正直で長いこと。涙がでます。誰かに理解して欲しかったのですね。返事が来ずに絶望。めぐみと再会し、夢で妹のヘアカットをしたことで、社会復帰をめざす。そんな矢先、中学生に暴殺される。甥の笙が松子の人生を知り、理解を示すのがこの映画の救いの部分。子供に殺人をさせたのは欠点だ。ミュージカル仕立てでテンポがよい。不幸をエンターテイメントとした初の映画だろう。不幸な人生だが、そこに何とか意義を見出してあげたいという心理が働くように作ってある。あのとき、ああしたら、こうしたらと、つい考えてしまう。か弱い松子の”徳”がそうさせるのだ。愚かだが、菩薩のようでもあった。合掌。
[DVD(邦画)] 8点(2009-11-08 16:09:56)(良:1票)
28.  きみがぼくを見つけた日 《ネタバレ》 
ヘンリーとクレアの恋愛物語。ヘンリーは5歳のとき、母の運転する自動車がクラッシュする寸前に瞬間移動する。初めてのタイム・トラベル(以下TT)である。母は死亡。本能が危険を感じたときにTTするのかと思ったが、関係なかった。ヘンリーの前に未来からやってきた本人が出現し、いつか理解できる時がくるからと励まし消える。TTは自分の意思に関係なく、ある日ある時ある場所に勝手に移動していまう病気のようなもの。ただ自分に重要な場面に飛ぶ傾向があるらしい。母は歌手で死ぬ前にも歌ってくれた。またヘンリーの娘も歌えばTTを管理できるようなことを言っていた。だが歌は何の伏線でもなかった。こういう無駄な部分が目立つ。ヘンリーとその胎児、娘たちにはTT能力がある。時間遺伝子を持つからだ。ではヘンリーの父はどうか?たびたび登場するが、その人物像は描かれない。ヘンリーがTTで苦しんでいるのは父が一番理解しているはず。父子の関係を濃厚に描けば、人間ドラマに厚みが増しただろう。又未来からやってきた娘のアドバイスでケンドリック博士に診断を依頼するが、結局何の役にも立たない。無駄キャラである。ロトナンバーを覚えて財を成すのも観客の反発を買うだけ。クレアは6歳でTTしてきたヘンリーと会う。同時代に二人はいるのだがクレアが18歳くらいになるまで会わない。二人は結婚するが、TTの妻としてはストレスも多い。子供ができても胎児がTTして流産。悪趣味である。夫がパイプカットしても別の夫がTTしてきて妊娠。掟破りである。TTものとしては美しくないのだ。自分の死期が迫っており、そのことを未来の娘から聞く。とすれば何とか回避できそうなものだが、期待はずれに終る。死んでも別の夫がTTして出現。何でもありである。節操がなさすぎではないか?夫婦と未来の子とが協力しあって、問題や困難に打ち勝つような展開にすべきだった。ヘンリーは常になすすべがなく、逃げ回るだけで、それでは観客は手に汗を握らないのだ。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-28 02:22:51)(笑:1票)
29.  ギブリーズ episode 2 《ネタバレ》 
折角観たのでメモを残しておきます。カレー編:ブタ顔のサラリーマン(宮崎駿監督の分身?)が、バナナや御菓子食べながら、皆を食事に誘う。眼鏡の野中君は目も口も無く、影が薄い。ザコキャラだろう。ブタがメインキャラと思っていると、ゆかりさんがメインだった。10倍カレーで店主と勝負。勝負に勝って千円入手したけど、口の中に辛さは残っていて、店を出たから辛さ爆発、地球を何週もして、宇宙にまで飛んでいった気分。会社で上司と口をきくと、口から火が出て大火傷。ナンセンスギャグ。最後は三人で笑いを誘うコスプレダンス。三人とも表情がほとんどないので、見慣れるのに時間がかかりそうだ。初恋編:野中君が初恋の人、愛ちゃんを思い出す。運動会、フォークダンス、絵が隣同士でからかわれたこと。自転車に乗って、そんなことを夢想していると会社を通り過ぎてしまい、女子社員に呼び止められた。そういえば、子供の頃自転車で自分の家(洋服屋)に帰るのに、愛ちゃんが店にいたのでそのまま素通りしてしまったことがあった。恥ずかしがり屋なのだ。先日は、電車で帰宅中、隣の女の子が寝て寄りかかってくるので、駅を乗り過ごしてしまった。優しい性格である。野中君は女子社員のことが好きだ。女子社員も野中君のことが好きだ(初恋のことを聞くくらいだから)。野中君は案外もてるのだ。彼は眼鏡をかけ、目と口がない。これは世に埋もれるように生活している、ごくごく普通の人の象徴。表情がないと、空想が働き、かえって親近感が湧く。男なら彼に自分を投影してしまうだろう。がんばれ野中君、恋に仕事に。帰宅編:アザラシのゴマちゃんのような人物が、宙に浮きながら帰社する。宙に浮いているのは、たまに早く帰れたので心が浮き浮きしていることを表現しているのだろう。途中だれかが不満を漏らしていたり、美女やQ太郎のような人物とすれ違ったりする。心に余裕があると帰宅も楽しめるものだ。そこへ車がやってきて、窓から鈴木Pが顔を出す。ドキリ!会社に帰れといわれるかと心配したが、挨拶だけだったのでホットする。ほんまアニメの仕事っちゅうもんはきついなあ。何故か関西弁である。ぼやきは関西弁が似合う?つづく。
[DVD(邦画)] 3点(2009-10-12 13:51:51)
30.  恐怖の報酬(1953) 《ネタバレ》 
ゴキブリで遊ぶ子供。一目で貧しいとわかる埃まみれの町。強烈な導入部です。そこは人生の掃き溜め。一度紛れ込んだら容易には脱出できない。人々は仕事にあぶれ、仕事にありついても食べるのがやっと。鉄道は無く、道は途切れ、脱出するには高額な飛行機代が必要。みな退屈で心が荒み、とげとげしい。そして本筋へ。ニトロの運搬です。報酬の額より人生の再出発ができることが重要。そのためには死をも恐れない男たちの物語。前半の人間ドラマのせいで無理なく後半の冒険ドラマに感情移入できます。冒険には障害がつきもの。一人は恐怖でヘタレになる。一定速度で走らないと危険ななまこ坂。腐った木材に載って行う切り返し。道路をふさぐ巨大な岩。原油の池。四人の素性が少しづつ語られ、友情が芽生えたり、たがいしたり、こちらも起伏も半端じゃない。ジョーがヘタレになったのは、まだ若いと思っていたのに、年をとった自分を認識したから。そこに恐怖が入り込んだ。マリオはジョーを頼りにしていたが、若さゆえの怖さ知らずで立場が逆転。報酬のためにはジョーを轢くことも厭わない。だが根っからの悪人ではないので、ジョーが死ぬと涙が止まらない。人間のエゴと弱さを痛烈に描きます。ビンバは強制労働の経験があり一度死んだ人間。一番芯がしっかりしています。ルイージは塵肺で余命はわずか。死を覚悟しているので、ダイナマイトの導線を消しにゆく勇気がある。彼がニトロを手にして咳をする演出は絶妙。だがそんな二人は爆死。その様子は詳細には描かれません。巻きタバコが爆風で吹っ飛ぶのみ。彼らの死は所詮無名の人の死であり、社会にとって取るに足らないもの、塵芥にすぎないことの象徴。故にその詳細が語られることはないのです。それがわかっているマリオは彼らを「負け犬」呼ばわり。が、それは自分に向けた言葉で、自分への鼓舞です。常識あるジョーは、その言葉をたしなめます。あくまでも対照的な二人。そう描くことで、二つの生命を浮き立たせます。両者共に死にますが、死に様もまた対照的。悲劇の二重奏です。この悲劇にリンダの悲劇が加わります。彼女は野生娘ですが、マリオを一途に愛していたのは痛いほど伝わってきました。マリオが成功したのに死んだのは、恐怖から開放されたから。あまりに凄まじい恐怖だったので、心が浮かれすぎ、思わぬ油断につながりました。これもまた「恐怖の報酬」です。
[DVD(字幕)] 9点(2009-09-20 03:50:19)
31.  キング・コング(2005) 《ネタバレ》 
ハリウッドの超娯楽大作のお手本のようなもの。次々と映し出されるスペクタクルに心奪われ、息つく暇もありません。主題はコングとアンの心の交流。コングがアンに惹かれてゆく様子は丁寧に描かれています。このときの表情豊かなコングは必見。アンも何度もコングに助けられた経験から感情移入してゆきます。つかの間のスケートの場面は実に見事な演出です。悲劇で終ることを知っていますから、泣けますね。島で一緒に眺める夕焼けとニューヨークで見る朝焼けは二人の愛の象徴で、本当に美しい。映像の美的センスが随所に光ってます。コングが町であばれているのを知ったアンが自らコングの前に姿を現すのは、コングを留められるのは自分しかいないことを自覚しているから。コングが最後にアンを降ろすのは、死を覚悟したから。よく出来ていますが、アンがもっとコングに語りかけた方が、より感動的になったでしょう。また、コングがアンを助けるために暴れだす脚本にすればもっとよかったでしょう。さて人間ドラマの方ですが、こちらは中途半端です。アンとドリスコルの愛が微妙。なのでドリスコルが生命をかけてアンを救出に向かう坑道に説得力がありません。元来この俳優は表情が乏しい上に生気がなく、愛とか冒険とかに向いていません。完全にミスキャストです。その点カールの表情の豊かさはどうでしょうか。欲望にとりつかれた現代人を憎いほど自然に演じていますね。バクスターはもっと悪者キャラにすれば物語にメリハリができました。ヘイズとジミーの友情はカットできます。原住民の扱いがひどいですね。孤島に住んでいれば争いがなく、平和に暮らすはずですが。途中から出なくなるのもマイナス。そもそもあんな恐竜や巨大昆虫、蝙蝠などが大量にいては人間は絶滅すること間違いありません。いくらなんでもやり過ぎです。登場するのはTレックスだけで十分です。他にも岩がコングの顔になっているとか、バクスターのポスターがいたずら書きされるとか、不要なものがある。あの船でコングをどうやって運んだか?大事なとこがカットされてましたね。普通ならコングの他に、原住民、巨大な骨、恐竜、昆虫などどれかを運ぶでしょう。どれもこれも大発見ですから。コングの島での暴れようがすごすぎたので、ニューヨークの場面では、スケールダウンの感が否めません。
[DVD(字幕)] 9点(2009-09-10 04:12:31)
32.  恐竜100万年 《ネタバレ》 
攻撃性の高い荒々しい原始人の生活を描いている。 部族から追放され、荒野をさまよって倒れた男が、他の部族に助けられる。 体力が回復し、復讐のために戻ろうとするが、女がついてくる。 恐竜に襲われながたやっと戻ってみると、猿人がいたり、下克上で支配者が変わっていたり…。 男が倒れたとき、女が自分の部族に助けを頼んだために、部族間闘争の様相を呈する。 闘いがクライマックスに達したとき、火山噴火と大地震が起こり、ほとんどの人が飲み込まれる。 言葉はわからなくとも、ストーリーは波乱万丈で飽きさせない。 疑問なのは実写のトカゲや巨大なだけのカメを登場させたこと。 苦笑を禁じえない。 そもそも100万年前に恐竜がいることがおかしいが、たまたま生き残っていたと考えればよく、目をつぶろう。 女性のセクシーなコスチュームが印象的。
[レーザーディスク(字幕)] 5点(2008-06-29 11:31:07)
33.  北の零年 《ネタバレ》 
吉永小百合が撃たれてから永かったなあ。普通は、すぐに医者に見せるのでは?ぐだぐだしたあとで、いきなり鍬で畑を耕し始めたりなんかして、なんかリアリティに欠けるなあ。 馬を差し出せといっていた戸長が、いなごに襲われたから馬が人間以上に必要になったという理屈がわからん。 そもそも馬ってそんなに重要?そこが描かれてないから、モヤモヤが残る。 いなごに襲われて絶望したからといって、油をかぶって火達磨になる人っている? 命を粗末にしすぎだよね。 百姓やるんなら凶作や蝗害くらいは想定しておかないとね。 豊川悦司は、あそこで切死にするつもりだったんだけど、何故だろうね? 吉永小百合一家を守ることにはならないと思うけど。 小百合が撃たれてすぐにこころ変わりっていうのも、なんだかなあって感じです。 馬が逃げ出したから馬の徴用をあきらめて帰っていく役人てなに? 馬で追いかければいいし、ほうっておいてもいずれ帰ってくるよね。 結局、馬は徴用されずに済んだのかなあ。 その代わりに大勢の村人が徴用されて辛苦を味わったのかなあ。 これだけ疑問が残るのは、人間が描けてないってことだなあ。 やっぱ、映画は脚本が重要ということを再認識させられる映画で、ある意味貴重です。
[地上波(邦画)] 2点(2008-01-20 17:50:41)
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