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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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21.  機動戦士ガンダムF91 《ネタバレ》 
元々はTV放送で26話の予定だったけど、急遽映画化が決まって無理矢理詰め込みすぎた作品となってしまった。  一応ハッピーエンドで話も解り易いが、何処か途中の話が幾らか抜けているんじゃないかと思うくらいツギハギのようなものも感じて消化不良気味だ。  安彦良和による作画と戦闘描写は圧巻。特にシーブックが初戦闘をする件とか、とにかくMS同士の戦闘が見たい人にはオススメ。 バグとアーサーと薬莢に当たって死ぬ人々の描写は最凶レベルのトラウマ。 でも少し性急にしすぎたのか、作画のムラやミスもタマにあるのが傷だ。  ただ、シービックが初戦闘するまで長く、クロスボーン・バンガードと連邦軍の戦闘ばかりで少し飽きてしまうだろう。  ニコニコ動画で戦闘シーンだけ見て入った人からは、本編のバランスの悪さに四苦八苦する事間違いなし。  登場人物やストーリーもかなり魅力的な部分がある反面、もっと要点を絞って余裕のある造りにするべきだった。  本編に不満がある人は是非とも「クロスボーン・ガンダム」を読む事をオススメします。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-21 22:05:17)
22.  機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 《ネタバレ》 
俺は劇場版が気に入らない。 そりゃあ三枝の音楽は神だったよ。 出渕と庵野のメカデザも素晴らしい。 戦闘描写も流石富野だ。 νガンダムとサザビーの斬り合いで燃えない奴がいんのかよと。 ブライトの核ミサイル弾幕はたまげたなあ。 けど、北爪の絵は何処か平べったく感じる。 「Z」「ZZ」の頃はもう少し質感があった気がするけど今回はTV版のような厚みを感じられない。 かといって、今更安彦にシフトチェンジしても微妙だった気がする(というより「ヴィナス戦記」で鬼のような神作画の真っ最中でガンダムの原画までやったら今度こそ過労死する)。 いっそ「Z」の神OPを手掛けた梅津に全部書かせて「イデオン」みたいな無機質と絶望感ただよう怖い絵で描いた欲しかったかな。ま、そんなifはどう考えたって個人の妄想にすぎない。忘れてくれ。 だがな北爪。ブライトまで白目いれやがって。 でもチェーンは可愛い。ストーリーが良ければチェーンの可愛さで総てを許してしまえるほどの可愛さだ。 俺が気に入らないのは絵だけじゃない。ストーリーも微妙だった。 確かに最初から最後まで引っ張る演出で退屈はしなかった。 けど、本当に「ガンダム」を初代から「ZZ」まで見ている奴しか楽しめないと言ってもいい。 少なくとも初代を見ないと劇中のシャアの行動は意味不だ。キチガイ電波のマザロリシスのオッサンが地球に隕石落すんだぜ?しかも本音はアムロへの復讐だ。ハタ迷惑すぎる。 そんなに闘りたきゃ廃墟のコロニーに二人で篭って殴り合うなり斬り合うなり勝手にやれっての。 個人的にベルトーチカに出てもらった方がストーリー的にも良かったんじゃないかな。 いや、チェーンが嫌いだというんじゃない。むしろあんな可愛いメカニックすらブッ殺せる富野オ・ノーレ。いや、チェーンの件でキレていてはキリが無い。 事もあろうにアストナージまで…富野!おまえだ!いつもいつも脇から見ているだけで!人を弄んで! 大体アクシズ落す必要ねえじゃん。 そもそも地球の俗物を一掃するとか言ってる奴が一番のケダモノ。 己の私欲のために地球滅亡の危機招いといてアムロにボッコボコにされて部下にも「うわあ…」でいいとこまったくなし。 この映画を見た後にいっつも「機動戦士SDガンダム」の「今度は劇場で仕返ししてやる」のセリフを聞いて心を癒しています。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-21 21:58:34)
23.  彼奴(きやつ)は顔役だ! 《ネタバレ》 
「白熱」ほどの凄まじさとパワーは無いが、ラオール・ウォルシュ特有のスピーディーな展開とドラマで一気に引き込まれる。 中盤における倉庫襲撃シーンは豪快だし、レストランにおける流れるようなアクションも見事。 極悪人の筈のキャグニーが持つ銃はあくまで「脅し」であり、この頃冷酷な殺し屋だったボガートの持つ銃は「殺人の道具」だ。 この映画のキャグニーは正に「汚れた顔の天使」なんだよな。表向きは極悪人だけど、本当は誰よりも優しさを持っている。  そんな彼が倒れるラストシーンは、とても切なく哀しい。  マイケル・カーティス&ベン・ヘクトの「汚れた顔の天使」もメッチャ良いです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-21 21:48:40)
24.  銀河英雄伝説 新たなる戦いの序曲<オーヴァチュア> 《ネタバレ》 
OVA本編の1・2話+複数話に相当する部分。 本編がやや急ぎ足のダイジェスト風に対し、本作はヤン、ラップ、ジェシカ3人の徹底的な掘り下げをしてくれた。  OVAでいきなり死んだラップを知る者は、この映画を見ればラップとジェシカへの思い入れがさらに強まるだろう。  作画はOVAも後期に差し掛かっていた時期で、初期に比べると硬さが減りかなりソフトな仕上がりになっているが、その分絵、の柔らかさや温かみが増したとも言える。 それでも初期の作画を意識した描き込み振り。 パエッタ中将の安定感は異常。  それぞれの考えで「親友」を救いたいヤンとパエッタの考えはすれ違っていく。 その立場で無い者にしか解らない葛藤。  ラインハルト陣営も結構掘り下げ、メルカッツやファーレンハイトといった各提督の肉付け、OVA本編で活躍する他の人物も何名か登場している。 OVAファン向けのサービスが多い。  OVA本編でも最大の山場だった「指揮官の交代」。 敗北寸前まで追い込まれた自由惑星同盟の面々、 負傷者の救護と立て直し、 そして迎えるクライマックス・・・二人それぞれが迎えるラストへの流れ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-21 21:38:42)
25.  ギルダ 《ネタバレ》 
本作は恋愛映画とフィルム・ノワールの狭間で揺れるようなラブロマンス。 ナチスを絡めたストーリーは戦後のモダニズムを捉えていたりするから不思議。 本作はまた3人の男女を軸にストーリーは展開される。 細かいセットやギミックなど随所に凝られた演出、ベン・ヘクトの見事なシナリオはまったく飽きるという事をさせてくれない。 ジョニーの賭博から始まるファーストシーン、ジョニーの危機を颯爽と助けるベイリンの登場、そして妖艶な美女ギルダ。 男勝りで肉感のある女優リタ・ヘイワース、これほど彼女の個性と役柄がハマッた作品は無い。グレン・フォードの演技も最高。 過去に愛し合った男女二人。 別れてみればジョニーは賭博に明け暮れ、ギルダは危険な男と床を共にする生活を送っていた。 変わっていないのはギルダの美しい歌声と力強い踊りだけだ。 皮肉にもジョニーの命を救ったベイリン・マンスンはギルダの夫だった。 未練が残るジョニー。本当はギルダとよりでも戻そうかと積極的になりたいが、恩人のベイリンの手前未練をしまい込む。 ギルダもジョニーとまた一緒になろうかと思いつつ、ジョニーの気持ちを知ってか知らずか他人の男と一緒にいる光景をジョニーに見せつける。 それを黙って見つめるベイリンの不気味なこと不気味なこと。 ベイリンの右腕として頭角を表すジョニーだが、命懸けの日々からいつか抜け出してやろうと野心が芽生えてくる。 ギルダもジョニーに急接近し、ベイリンもまた自分の命を守るために逃げようとする。 様々なドラマが交錯し、3人は己の希望を満たす結果となった。 ただ心は満たされない。 ジョニーはよりを戻したとはいえ、恩人の元妻となったギルダに複雑な気持ちを抱く。 ギルダもまたそんなジョニーに対して申し訳なさそうな後ろめたさを感じさせる。 ギクシャクしながらも再び元の仲に戻ろうとする二人。しかしベイリン! この男もまたギルダを愛していたのだろう。 ラストはちょっとベイリンがマヌケすぎて何だか可哀想になってくるのだが、際立った演出はそれを感じさせない。 つうか帰ってくんなよ。一番未練タラタラだったのコイツじゃねえか。 「愚なる妻」のカラムジンかおのれは(ハゲ具合まで一緒)。 その後の刑事な粋な対応、ハッピーエンドなラストと中々の作品だった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 22:13:19)
26.  キング・コング(1933) 《ネタバレ》 
世界恐慌直後のアメリカ。 職にあぶれた人間でごった返す当時の情勢は、その後の第二次大戦の暗い影も見えてきそうだ。 冒頭こそ淡々としすぎる映像だが、島に入ってからその面白さは加速する。 怪しげな原住民の儀式、 巨大な砦、 そしてそこに君臨する巨獣キング・コング! ねんどや人形のコマ撮りで動かしているとは思えないほどの動きと迫力! コングに掴まれたり身ぐるみ剥がされたりで叫びまくる女優の演技もリアルで凄い。 子供の頃は「何でゴリラと恐竜が戦ってんだよ」と理解に苦しんでいたが、今見るとその細かい戦闘描写に見入ってしまう。 コングからヒロインを奪還すべく追う主人公たち、ヒロインを守るコング。 そして事もあろうに、何とコングは人間の手で島からニューヨークに連れていかれるのだ! 安易な思い込みが命取りとなる。 何と愚かな事だろう。 ヒロインを見つけて拘束具を安々と外し逃げ出すコング。 コングはヒロインに惚れてしまったのだ。 セルズニックの演出には常に「愛」が存在している。 後年の「レベッカ」、「風と共に去りぬ」、「白昼の決闘」、「第三の男」における三角関係・・・心が怪獣にはあった。 人間のような感情がコングにはあった。 人間と同じように、コングも赤い血の流れた生き物なのだ。 ただ、コングの純粋な恋心も、人間には恐ろしい化物が叫ぶようにしか見えないのだろう。 コングは戦った。たった一匹で勇敢に戦い、壮絶に散って行ったのだ。 コングの遺体の傍で、コングを捕らえた男が一言漏らす。 いつの時代も、一番の原因となった悪党が生き残るのが世の常だ。 本当に恐ろしいのは、こういう人間なのである。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 20:06:44)(良:2票)
27.  機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編 《ネタバレ》 
俺が子供の頃、猛烈に熱狂したのがこの「ガンダム」だった。 小2の頃にやったBSでの劇場版三部作再放送。BSは「パトレイバー」や「七人の侍」、チャップリンやヒッチコックにも出会えた感謝してもしきれないチャンネルだ。 俺にとっては劇場版のスピーディーな展開が「ガンダム」だったし、小5の頃に見たTV版の「ガンダム」はちょっと退屈してしまった(それでもグフ戦とかズゴック戦とかギャン戦とかスッゲーのよ!) 古ぼけた画面がかえって新鮮だったし、今見ると変テコリンな服装や髪型、モビルスーツのデザインも良い意味で“時代”を感じた。 デブのオッサンかと思ったリュウが誰よりも仲間思いで、チームを引っ張って、後輩のために死ぬ覚悟もある男の中の漢だったり、 ブライトが白目の無いクソ野郎かと思ったら、苦労を背負い込む本当は優しい大人だったり、 スレッガーの覚悟を決めたセリフと行動・・・・ガンダムからは色々学んだ。あの頃は。 ガンダムが起動するシーンは今見てもワクワクするよ。 ビームサーベルがザクの心臓部に深々と刺さっていく描写、テキサスコロニーでの一騎打ち、エルメス戦、ソロモンでの死闘の数々・・・そして倒れ様に敵を撃ち抜くガンキャノンのカッコ良さよぉ!! 「ラスト・シュート」が一番の名場面だけど、俺は心も体も成長したカイの奮闘が一番心に染みるぜ。 俺個人は富野の最高傑作は「イデオン 発動篇」だと思っているが、終わり方は「∀」や「ザブングル」と並んで一番好きだ。 ラストの曲は最高に卑怯だ。安彦の美しい絵も卑怯だ(80年代の安彦は神)。あと永井さんのナレーションも。合唱・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-20 19:01:26)
28.  銀河鉄道の夜(1985) 《ネタバレ》 
タイタニック号(細部は違うけど)から乗船してきたメンツ以外みんな猫になってしまったファンタジー。  ますむらひろしの可愛らしく躍動的なイメージの絵、細野晴臣の幻想的な音楽。  ストーリーは原作に沿っているが、あの宇宙空間に飲み込まれるような美しさ、絶望感、終盤の“別れ際”は或る意味原作以上のものがあるかも。この辺は映像で味わえる映画ならでは。 つうか船の件で乗ってきた女の子がスゲエ可愛い。  カンパネルラ~!
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 19:27:07)
29.  飢餓海峡 《ネタバレ》 
日本映画の黎明期から活躍を続けた内田吐夢の傑作サスペンス。  マキノ省三が日本のD.W.グリフィス、 衣笠貞之助が日本のセシル・B・デミルなら、 内田吐夢は日本のキング・ヴィダー! どんな地味な題材でもスリルを帯させダイナミックに描いてしまうのだ。  「土」や「限りなき前進」なんか正に究極の地味映画。  本作は3時間という長さを感じないスリルに満ちたドラマ。  戦後の台風や火災から一つの殺人事件が浮かび上がってくる。  強盗事件が様々な人間や街一つを焼き尽くすほどに膨れ上がっていく。  だが一度強盗に手を染めた人間は何処まで行っても警察の影が付きまとう。  女を助けた男、愛されていると信じた女、それぞれの顛末。  「限りなき前進」「土」「大菩薩峠」と多くの名作を残した吐夢監督。  本作は邦画黄金期の終焉が迫った65年に制作された。  水上勉の原作を映画化した作品はこの後も多く作られたが、原作の緊迫感を如実に映像化した作品はこの内田吐夢の映画だけであろう。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-18 19:10:59)
30.  銀河英雄伝説 わが征くは星の大海 《ネタバレ》 
田中芳樹が描く壮大なSFバトルサーガ「銀河英雄伝説」。  100話を超えるOVA本編を前に、真っ先に観たいのが本作。  田中芳樹の原作はSFのクセにテキトーすぎる描写や設定が多く、宇宙なのに平面的な戦闘とツッコミどころ満載の作品だったが、それでも骨太の人間ドラマと戦闘の凄絶さが魅力。  それをこの映画は、不明瞭だった観戦の造形、空間戦闘、艦隊同士のぶつかり合いを最高最強の作画! 原作の想像を遥かに超えた迫力で描くのだ! 本編の初戦は恒星での息詰まる空中戦。 宇宙での上下空間を上手く利用した醍醐味がある。  登場人物も神がかった作画で描かれる(唇リアルすぎだろというツッコミはこの際ヤボだ)。 自由惑星同盟からは ハチャメチャな猛将パエッタ、 智将ヤン・ウェンリー、 愛弟子アッテンボロー(原作に先駆けてラオの代わりに登場)、 強運の憎めない艦長のニルソン。  それに対する銀河帝国。 知勇兼備の若き獅子ラインハルト、 それを支える超人キルヒアイス、 頼れる部下のロイエンタール、ミッターマイヤー、メックリンガー、艦長のシュタインメッツ。 土師メックリンガーも素晴らしいが、戸次メックリンガーも気品があって男らしい。  ミュッケンベルガー元帥も面白い役どころ。  これに続く戦いが「新たなる序曲」でも描かれるので、OVAシリーズの前にそちらも先に観て欲しい。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-16 21:45:37)
31.  祇園の姉妹(1936) 《ネタバレ》 
溝口健二にしてはちょっと押しが弱いかなと思った。 ちょっと押しが弱い気がする。 他の作品に比べると(同時期なら「浪華悲歌」とか)キャラの印象を薄く感じる。 ただ、溝口健二の最盛期だった1920年代~1930年代(淀川長治いわく)の名に恥じない作品であるのは確か。 登場人物もそんな感じに抑圧されている印象が良かった。 人物のクローズアップが滅多に無いので、ロングショットの迫力と美しさはスクリーンで楽しみたいものだ。 特に本作は「唐人お吉」の梅村蓉子、山田五十鈴の若く美しい事だけでも楽しめるし、クローズアップされた山田五十鈴の笑みが良い。 若い二人の姉妹は芸妓と一見すると性を自由に謳歌するようなイメージがあるが、実情は幼い頃から芸妓として生きてきた抑圧された面を覗かせる。 普段は着物で“縛られ”、時折の洋服姿は解放された女性像を感じさせる。 この和服/洋服が最も共存し、女性が自由になろうと背伸びしていた戦前の日本。 貧しく辛い身の上、更には女性軽視(嫁が男を尻に敷いている家庭も結構あったけど)が当たり前の時代。女性は慎ましくも自由になろうと抗う強さと美しさを持っていた。 和服と洋服が共存するという映画は、日本じゃなきゃ撮れない独特の美意識を感じさせる。 そんな抑圧された女性ほど魅力的で怖い者は無い・・・! 本作は姉妹でそれぞれの男を取り合い決裂、男を振り回した女は仕返しを受けるし、男の方も手を出してタダでは済まない。 時代に押さえつけられた女の主張、男として何でも強く生きなきゃならない男の主張、どちらも意地の張り合い。 気持ちは解るがどっちもどっち、男も女も勝手だよと、そんな感じがよく出ている映画だねえ。本当溝口はこういうの描くのが上手い。 溝口独特の飽きそうで飽きさせない絶妙な“間”、 映像の切り替えが結構あるし、印象的な長屋のロングショット、美人二人に酌を受ける先生の満更でもない表情、酒に酔った先生が今で言う“逆ナン”的に誘拐されたり、終盤の車の窓越しの夜街のロケーション、直接的な描写を見せずとも伝わる袋叩きにされた娘の悲痛。 悲惨でもあるけど、「そうなってもしゃあないわ」と何処かユーモアすら感じてしまう。  仲違いしていた姉妹が結局仲直りする様子は微笑ましくもあり、「負けてたまるか」と叫ぶ妹の姿は痛々しくもあるし力強さも感じられる。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-15 23:07:11)
32.  CUBE 《ネタバレ》 
冒頭から胃を締め付けられるような作品だ。  彼らは何故ここにいるのか。 ここは何処なのか。 そしてこの「キューブ」は何なのか。  解らない事だらけの恐怖、飢えと焦り、疑心暗鬼、「間がさす」瞬間の恐怖・・・密室でこだまする人間の狂気をたっぷり味わえる。   キューブ内の様々な仕掛けで凄惨な最期を迎える人々。とにかく息苦しく油断ならない映画だ。疲労感がハンパ無い。 その謎のまま終わる恐怖を「キューブ ゼロ」で総て種明かししてしまうのは最悪と言っていい。こういうのは何も解らないからこそ面白いのに。 まして「ソウ」みたいに犯人がベラベラネタ晴らししてしまうのも台無しだ。その点では、ワケの解らないまま死の恐怖にさらされるこの映画の方が遥かに面白いのです。  DVDに収録された短編「Elevated」も怖かったっす。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-14 20:29:20)(良:1票)
33.  キートンのスケアクロウ(案山子) 《ネタバレ》 
キートンは短編でも「文化生活一週間」といった傑作群があるが、本作「案山子(The Scarecrow)」もアイデアに満ちたそんな傑作の一つ。  太陽が昇り、虫歯に悩むキートン、それを見つめる太目の相棒。 相棒はキートンの虫歯とドアノブを繋ぎ抜こうとするが・・・この変のやり取りからして面白い。  その後の“朝食”シーンは笑いよりもそのアイデアの豊富さに脱帽。  レコード盤は朝食を焼くガスになり、上からはティーバックや塩やこしょうのオプションが降り注ぎ、ベッドはピアノに、イスは農場への肥料や水を運ぶ注ぎ口となる。  バターといったものも専用の“車”に入れられ移動し、酒瓶もヒモによって宙を飛ぶ。 「海底王」でもこれに近いギミックが後半出て来た。やっぱりキートンのアイデアは面白いし、見ている方も凄い楽しい。  後半はそんな家のアイテムを活かすシーンが少ないのだが、それでも農園の娘をめぐる父親とのやり取り、“狂犬”との追いかけっこが父親やキートンの事を思っていた相棒すら敵に回して大騒動、娘さんのバレエの真似をする可愛らしさ、家の内部での騒動も激しい出入りで3回に別けて脱出口を開いたり、藁の山に揉みくちゃにされてシャツとパンツ一枚になるキートン、怪我が絶えず不憫な相棒、“案山子”になって追っ手を交わすやり取り(その案山子から酒を拝借)、逆立ちで河渡り、“馬乗り”失敗、盗んだバイクで走り出し神父もかっさらってウォータースライダー張りの飛び込みで求婚とジェットコースターみたいな詰め込まれ振り。 車が一瞬いなくなった瞬間をすり抜ける時のスリルも地味に怖い。  家でのやり取りをもっと見せて欲しかったが、それを抜きにしても充分すぎる傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-12 05:38:01)
34.  銀嶺の果て 《ネタバレ》 
「隠し砦の三悪人」の原型そして三船敏郎のデビュー作。 つうかデビューしたてでこの「雄」の匂い・・・! 野性的なエネルギーで画面を引っ張る。 デビュー初っ端で悲惨な最期って・・・黒澤三船殺し過ぎバロス。 こりゃ散弾銃もって監督殺しに行きたくもなるわ。  三船敏郎、小杉義男、高堂国典、そして志村喬と黒澤映画の常連三人が早くも居並ぶ。 悪のまま滅び行く三船たち、人の優しさに気づき改心する志村。 二人の「光と闇」の図式は既に完成していたようだ。 さらに伊福部昭の音楽! 明るいスケートの場面で流れる悲しきホルンの音色・・・主人公の顛末を物語る。 谷口千吉と黒澤明の脚本、伊福部の音楽が光る隠れた逸品。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-08 23:53:55)
35.  銀河鉄道999 《ネタバレ》 
松本零士の夢と希望が詰まった銀河鉄道999。 りんたろうの手腕、ネームバリューだけと言われるが市川崑もカットの繋ぎをテンポ良くしたり無駄なシーンを徹底的にカット等、りんたろう以上に編集をしたらしい。その結果かどうかは知らないが、本作の流れるようなストーリー展開は素晴らしい。  パラレルワールドであるが、原作よりもシリアス色の濃いストーリー、機械化の波に抗うため人間として生きるハーロック、エメラルダス、アンタレスたち。  遠く離れた仲間や家族に会いたいと願うトチローとメーテル。  機会に憧れる鉄郎の顔立ちも、幼い子供から成長した少年の表情となっている。  徹底的に無駄を削いだストーリー、次々と散って行く仲間たち。  それでも「引き金を引く覚悟」を決めた鉄郎に同調して散って行くのだ。 無駄死にでは、ない・・・!  ラストに流れるゴダイゴの「The Galaxy Express 999」。 全ての血を洗い流すように、穏やかにラストを締めくくる・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2014-12-07 20:18:01)
36.  機動戦士ZガンダムIII 星の鼓動は愛 《ネタバレ》 
カミーユがハッピーエンドで何が悪いんだ!これがアニメだろうがっ!  シャアがカッコ良すぎ&TVより活躍しててバロス。 ハマーンが貫禄ありすぎて20歳とか冗談だろwwwアニメは時々眼が可愛くなってまあ解ったけどさ・・・声にドス効き過ぎ。そこに痺れる憧れるう。  コロニーレーザーでの死闘が熱い、あのサイコミンキーモモと強化型島田兵相手にポンコツの百式だけでコロニーレーザー死守するとかやっぱ凄いは。逃げ足は6倍(ry  俺はラスト擁護派です。セイラさんの声も入ってたし。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-05 19:22:49)
37.  機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者 《ネタバレ》 
「Zガンダム」20周年の時に製作されたツギハギ映画。 「めぐりあい」といった初代の三部作もツギハギといえる代物だったが、アレは日数の経過が少ないからまだ違和感が少なかったし、戦闘のカット繋ぎも巧かった。枚数も後の「Z」より動いているしな。動きだけなら一瞬でも新規作画とタメ張れるカットや演出も多かったし。  というか、元々「Z」が準備期間不足で作画もシナリオもガタガタ、それでもある程度のまとまりを見せたのだから凄いのだが。  新規作画が本当に神すぎて、年月の経った旧作画とのギャップが酷すぎる。せめて人物だけでも新規で統一して欲しかった。  ほら、MSは旧ガンダムでいう「スリムに改造したザク」とか「○○専用リック・ドム」てな感じに許容できるから(震え声)。  しかしMK-Ⅱの蹴りや終盤のギャプラン・アッシマー戦が凄え!やっぱ富野のMS戦は面白い。散弾ではなぁ! キャラクターはTVと比べてトゲが減ったという人もいるだろう。でも魅力でいえば劇場版の方が俺は惹かれる。少なくともエマさんはTV版よりも可愛いだろうがっ!  Gackt動員の主題歌も良かったと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-05 19:19:01)
38.  キャリー(1976) 《ネタバレ》 
スティーヴン・キングの原作を忠実にやりやがったホラー映画。 キングが大絶賛、本編は大惨事。 ブライアン・デ・パルマ監督がホラー&サスペンス時代に撮った怪作。  オープニングは「これポルノ映画?」とDVDケースに18禁マークがあったかどうか慌てて確認したほど思い切った映像で始まる。  前半のヒロインのいじめ問題やそれに向き合う過程のドラマはとても良かった。 ヒロインの「あの能力」も日常の中に奇をねじ込むスティーヴン・キングらしい話だと軽く受け止めていた。  ところが終盤はヒロインがとうとうブチ切れ、周辺を大惨事にしてスタコラ後を去る。 信じた人間に裏切られた絶望、自分を陥れて嘲笑う人間への怒り・・・それがキャリーのリミッターを破壊した。 キャリーの壮絶な最期も「えーっ!!?」という感じで凄まじ過ぎて受け止めきれない。  キャリーの事を最後まで思っていた友達も悪夢にうなされるし、「リング」の貞子とどっちが怖いか対決させたいくらいの映画だった。  マジで酷い映画だった(大賛辞)。 「スカーフェイス」や「アンタッチャブル」が可愛くみえるくらいのな。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-04 23:27:49)(良:1票)
39.  吸血鬼ノスフェラトゥ(1922) 《ネタバレ》 
ムルナウというと「サンライズ」や「ファウスト」「最後の人」といった素晴らしい傑作を残してくれた監督で、この「吸血鬼ノスフェラトゥ」もまた退屈というものを感じさせてくれなかった。・・・しかし正直感想は微妙だ。 久しぶりに「今見ると大したことないな」という映画だった。 自分でもビックリだ。 これまで豊作続きだっただけに、尚且つ上で述べた作品で感動しただけムルナウだけに今作はちょっとガッカリと言えた。 ブラム・ストーカーの原作を下敷きに、ヘンリック・ガレーンといったドイツ映画家たちのアレンジを組み込んだホラー映画。 名前のアレンジはモチロン、ねずみ男のような不気味な風貌(実際ねずみだらけ)、原作とは違った結末など普通の吸血鬼映画ではない。 むしろブラム・ストーカーの世界観をまともに映画化したのがトッド・ブラウニングの「ドラキュラ」辺りからだったし、それまではカール・テドア・ドライヤーの「吸血鬼」みたいにまったく別物の吸血鬼映画が量産された。 屋敷までのやり取りが40分もあるのは展開の遅さを感じた。丁寧すぎる印象を受けた。 つうか馬車のスピード早すぎバロス。 原作にある程度沿ったストーリー、ただ少し違うのがヒロインだ。 原作は伯爵がヒロインを誘惑する。 ただ今作は「かかって来い」と言わんばかりに伯爵を呼び込む。 食虫植物の授業をする教授も真っ青なくらい。 つうか教授がマジで使えねえ。杭を伯爵にねじ込むとかそんな能動的な事はまったくと言って良いほどしない。 「血は生命なり!血は生命なり!」と叫ぶ伯爵の部下はいつも通り。ハゲ具合も教授と双璧だ。 いやー次から次へとブラム・ストーカーのファンが発狂するようなシーンばっかりだね。伯爵のハゲ具合とか。 自分の棺桶を一生懸命に運ぶ伯爵が面白い。 墓場が並ぶ海岸とか、崩れそうな古屋、影、吸血鬼=ペストとなって押し寄せるという演出も不気味だ。 ラストはぶったまげた。 何せヒロインが「身をもって」伯爵を誘い込む。 己の肉体と引き換えに伯爵を消し去る・・・こういう「ドラキュラ」もアリだと思った。 コッポラの「ドラキュラ」なんかヒロインみずからドラキュラ殺りに行くんだぜ? 凄すぎてドン引きしたよ(監督を)。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-04 23:17:38)
40.  ギルバート・グレイプ 《ネタバレ》 
ラッセ・ハルストレムの最高傑作は「HACHI 約束の犬」なのかも知れないが、やっぱりハルストレムはのどかな田舎で起こる騒動を描いた映画が一番落ち着く。「やかまし村のこどもたち」とか「ショコラ」「サイダーハウス・ルール」「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」とか。 冒頭に登場する長い道は、家族という“鎖”から解き放たれ、旅人が大地を歩みはじめる事を待っている。 知的障害の弟アーニー、夫の死のショックで肥満になってしまった母親、それの面倒を見なければならないギルバートたち兄妹。そのストレスを晴らそうと、不倫を受け入れるギルバート。 自分の母親を「鯨」呼ばわりする彼だが、本当は家族を守りたいと一生懸命。必死に自分を押し殺して生きようとしている。 そんな彼を解き放とうとする様々な出会いや事件。 アーニーの行動がギルバートの鬱憤を爆発させ、不動の母を大地に立たせ歩ませる。 妹の“中指”に車の“バック”で返事?するシーンは爆笑。危ねえなあもう。 首の無い状態で腰を振り続けるカマキリを想像してしまって泣いた。色んな意味でオスを「ごちそうさま」ですかそうですか。 男を喰らう母親もいれば、我が子のために死を選ぶ母親もいる。 グレイプを刺激するベッキー。 帽子を被った可憐な少女かと思えば、帽子を取ればボーイッシュで活発な女性に。 多くを語らないベッキーママも粋な事。 不倫に奔る母、 愛する子のために恥を捨てて行動する母、 娘を静かに見守る母・・・様々な母親がギルバートたちを囲む。 終始何処かコミカルだが、終盤はシリアス。 喧嘩と仲直り、別れの前の交わり、そして“火葬”・・・しがらみから解放されたギルバートたちは、愛する者と共に果てしなき大地へと旅立っていく。 メッチャ良い映画やんけ。 ダーレン・ケイツが幼い頃に体験した両親の離婚。家族が死ぬのと同じくらい彼女にはショックだったのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-21 21:22:01)(良:1票)
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